JP2008007566A - 新規化合物、エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂組成物に対して靭性、高いガラス転移点及び低い熱線膨張係数の特性について優れた効果を付与することができる化合物を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と変性ゴム(b)とを反応させて得られる化合物。該化合物を含有してなるエポキシ樹脂組成物は、高度な接着性を有するとともに熱線膨張係数が小さく、低吸湿性で高いガラス転移点を有しながら、引っ張りや伸び等の靭性にも優れた特性を有する。
Figure 2008007566

【選択図】なし

Description

本発明は、特定のエポキシ化合物と変性ゴムを反応させて得られる新規の化合物と、該化合物を含有してなるエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物に関し、特に、ソルダーレジスト、層間絶縁材、めっきレジスト、エッチングレジスト等のプリント配線基盤、プラスチックレリーフ材料、フラット・パネル・ディスプレイ用部材、コーティング保護膜並びに金属精密加工等に好適に用いられるエポキシ樹脂組成物に関する。
近年、電子機器分野における配線基盤の小型化、高密度化の傾向が著しく、それに伴って、材料の面でもより優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性が要求されている。プリント配線基板分野において、エポキシ樹脂、硬化剤及び各種添加剤を配合したエポキシ樹脂組成物が一般に他の熱硬化性樹脂に比べ、成形性、接着性、電気特性、力学的特性及び耐湿性等に優れているため、近年のプリント配線基盤の小型軽量化に伴う高密度化においてもエポキシ樹脂による対応が検討されている。
また、近年需要が伸びている半導体封止材料分野におけるアンダーフィル材や、電気積層板分野におけるフレキシブル配線基板用途においてはエポキシ樹脂硬化物が柔軟であって、尚かつ靭性に優れるものが要求され、ビルドアップ基板用絶縁材やICパッケージ用封止材においては、上記の特性に加えて、高集積化された配線による発熱や絶縁層の薄層化並びに導体層と絶縁層との接着強度の低下に対応できる高いガラス転移点、低い熱線膨張係数、体積固有抵抗、力学的特性及び低い吸水率を有することが要求される。
特許文献1には、多価フェノール類と多価ビニルエーテル類とを反応させて得られる変性多価フェノール類をグリシジルエーテル化してなるエポキシ樹脂、及びマンニッヒ型硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物、特許文献2には、アセタール基含有のエポキシ樹脂及び硬化剤によるエポキシ樹脂組成物が柔軟性と靭性の要求特性を満たすエポキシ樹脂として提案されているが、これらのエポキシ樹脂組成物は、ガラス転移点、熱線膨張係数等他の特性については満足できるものではなかった。
また、特許文献3に、ナフタレン骨格を有する5官能エポキシ樹脂とベンゼン環を3個有するエポキシ樹脂を主剤とするエポキシ樹脂組成物、特許文献4に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、無機充填剤及びフッ素変性樹脂を配合した熱硬化性樹脂組成物、特許文献5に、多官能エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、及び窒化アルミニウムを無機充填剤として含むエポキシ樹脂組成物、特許文献6にエポキシ樹脂とナフタレン環を有するフェノール樹脂及び無機質充填剤を配合したエポキシ樹脂組成物等が高いガラス転移点と低い熱線形膨張性の特性を有すエポキシ樹脂組成物として、提案されているが、靭性については満足できるものではなかった。
従って、従来技術では、靭性と高いガラス転移点及び低い熱線膨張係数を併せ持つ優れたエポキシ樹脂組成物は得られていなかった。
尚、特許文献7の請求項7及び明細書段落〔0014〕において、本願発明にかかるテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂及びカルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルゴム(CTBN)変性エポキシの記載があるが、これらを反応させて得られる化合物についての開示はなく、示唆すらされていない。また、変性ゴムをエポキシ樹脂と反応させて得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物は、一般に靭性については改善されるもののガラス転移点が大きく損なわれる問題があった。
特開2005−336228号公報 特開2004−156024号公報 特開平5−93043号公報 特開平5−105802号公報 特開平11−147936号公報 特公平6−102715号公報 特開2002−256063号公報
上述のように、これまでに種々検討はなされてきているものの、靭性、高いガラス転移点及び低い熱線膨張係数といった物性の要求を全て満たすエポキシ樹脂組成物にかかる技術については、充分なものが得られていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、エポキシ樹脂組成物に対して靭性、高いガラス転移点及び低い熱線膨張係数の特性について優れた効果を付与することができる化合物を提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、テトラフェニロールエタン型エポキシ化合物と変性ゴムを反応させて得られる化合物を用いることによって、高度な接着性を有するとともに熱線膨張係数が小さく、低吸湿性で高いガラス転移点を有しながら、引っ張りや伸び等の靭性にも優れた特性を有するエポキシ樹脂組成物が得られ、更にこのエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物によって、耐熱サイクル性、耐PCT性が良好で、信頼性に優れた絶縁材料が得られることを見出した。
すなわち本発明は、下記式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と変性ゴム(b)とを反応させて得られる化合物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
Figure 2008007566
また、本発明は、上記化合物と硬化剤とを含有してなるエポキシ樹脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、上記エポキシ樹脂組成物からなるビルドアップ用絶縁材料を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明の新規化合物を用いることで、ガラス転移点が高く、熱線膨張係数が小さく、引張強度や伸び等の靭性に優れるエポキシ樹脂組成物が得られる。本発明の化合物は上記の優れた物性を付与することができるから、塗料材料、電子材料、自動車材料、構造材料分野からの要求に対応することができ、特に高品位な塗料、半導体封止材料、プリント配線基盤、車載材料、コンポジット材料等において極めて有用である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、詳細に説明する。
本発明の化合物を得るために使用される変性ゴム(b)としては、例えば、アクリルゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、ランダム型スチレン/ブタジエンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンゴム、ウレタンゴム、スチレン/イソプレン/スチレンブロックゴム、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンブロックゴム、スチレン/ブタジエンブロックゴム等の合成ゴム系ポリマー等の単独重合体もしくは共重合体を変性させたものが挙げられ、かかる単独重合体または共重合体の両末端がカルボキシル変性、ヒドロキシル変性又はアミノ変性されているものが好ましく使用される。本発明においては、特にカルボキシル変性ブタジエンアクリロニトリルゴムが好ましく使用することができる。
上記式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と変性ゴム(b)とを反応させて、本発明の化合物を得る方法については、公知の合成方法を採用することができる。例えば、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド溶媒中に溶解させたエポキシ化合物(a)と変性ゴム(b)とを、塩基性触媒の存在下で加熱反応させることによって得ることができる。この際、エポキシ化合物(a)と変性ゴム(b)との配合比は、それぞれのエポキシ化合物(a)と変性ゴム(b)の反応量等を考慮して適宜決定すればよいが、本発明においては、エポキシ化合物(a)/変性ゴム(b)の配合比(モル比)は、10/1〜60/1の範囲内が好ましく、特に好ましくは15/1〜30/1である。
上記式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と変性ゴム(b)との反応を促進させるために、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、サリチル酸等の有機酸の亜鉛や銅等の金属塩や、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミン、2−エチル−4−イミダゾール、4−メチルイミダゾ−ル等のイミダゾール類等の触媒を単独又は複数種を併用して用いることができる。
本発明の化合物は、エポキシ樹脂として下記のエポキシ樹脂組成物に用いられる他に、接着性エポキシ組成物、低線膨張プリプレグ樹脂組成物、液状エポキシ樹脂組成物等にも用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の化合物と硬化剤とを含有してなるものである。
本発明のエポキシ樹脂組成物においては、本発明の化合物の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。含有量が5質量部未満では、得られる硬化物のガラス転移点、体積固有抵抗が低く、本発明の効果が得られないことがある。また、本発明の化合物の含有量の上限は、本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、40質量部が好ましく、30質量部がより好ましい。
上記硬化剤としては、例えば、酸無水物、ポリアミン化合物、ポリフェノール化合物及びカチオン系光開始剤等が挙げられる。
上記酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物等が挙げられる。
上記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の脂環族ポリアミン、m−キシレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族アミン、m−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等の芳香族ポリアミンが挙げられる。
上記ポリフェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、テルペンジフェノール、テルペンジカテコール、1,1,3−トリス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン、ブチリデンビス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。フェノールノボラックは得られるエポキシ樹脂の電気特性、力学的強度が積層板に適しているので好ましい。
本発明に使用するカチオン系光開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であり、特に好ましいものは、照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、一般式、[A]m+[B]m- で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
ここで陽イオン[A]m+ はオニウムであるのが好ましく、その構造は、例えば、一般式、[(R1aQ]m+ で表すことができる。
更にここで、R1は炭素数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでもよい有機の基である。aは1〜5なる整数である。a個のR1は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qの関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
また、陰イオン[B]m-は、ハロゲン化物錯体であるのが好ましく、その構造は、例えば、一般式、[LXbm- で表すことができる。
更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co、Hf等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[B]m-中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pの関係が成り立つことが必要である。
上記一般式で表される陰イオン[LXbm-の具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4-、ヘキサフルオロホスフェート(PF6-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6-等が挙げられる。
また、陰イオン〔B〕m- は、[LXb-1 (OH)]m- で表される構造のものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。また、その他用いることができる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン等が挙げられる。
本発明では、この様なオニウム塩の中でも、下記のイ)〜ハ)の芳香族オニウム塩を使用するのが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等のジアリールヨードニウム塩
ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4'−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4'−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4'−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4'−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4'−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4'−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリアリールスルホニウム塩等が好ましい。
また、その他好ましいものとしては、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6,−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げられる。
これらの中でも実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましい。
これらのカチオン系光開始剤は安息香酸系または第三級アミン系等の公知の増感剤の1種または2種以上と組み合わせて用いても良い。カチオン系光開始剤は、エポキシ化合物100質量部に対して、0.1〜30質量部含有していることが好ましい。0.1質量部未満では添加効果が得られないことがあり、30質量部より多いと硬化物の力学的強度が低下することがある。
上記増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン、3−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,5−ジメチルベンゾフェノン、3,4−ジメチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、4,4−ジメトキシベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、2,4−ジメトキシアセトフェノン、2,5−ジメトキシアセトフェノン、2,6−ジメトキシアセトフェノン、4,4−ジメトキシアセトフェノン、4−エトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−エトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン類、アントラキノン、ヒドロキシアントラキノン、1−ニトロアントラキノン、アミノアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、アントラキノンスルホン酸、1,2−ベンズアントラキノン、1,4−ヒドロキシアントラキノン(キニザリン)等のアントラキノン類、アントラセン、1,2−ベンゾアントラセン、9−シアノアントラセン、9,10−ジシアノアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチル)アントラセン等のアントラセン類、2,3−ジクロロ−6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、メトキシベンゾキノン、2,5−ジクロロ−p−ベンゾキノン、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン、9,10−フェナンスレキノン、カンファ−キノン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、キサントン等のキノン類、チオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−イソプロピルチオキサンソン等のチオキサン類、ジベンゾスベロン、ジベンゾスベレン、ジベンゾスベレノール、ジベンゾスベラン等のシクロヘプタン類、2−メトキシナフタレン、ベンゾインイソプロピルエーテル、4−ベンゾイルジフェニル、o−ベンゾイル安息香酸、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4−メチル−ジフェニルスルフィド、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル等の芳香族化合物、及び色素系増感性物質であるクマリン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、キサンテン系化合物でなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物が挙げられる。上記増感剤は、エポキシ化合物100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部使用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物における硬化剤の含有量は、特に限定されず、通常は、エポキシ化合物の全エポキシモル数と硬化剤の官能基数の比が0.9/1.0〜1.0/0.9であり、本発明のエポキシ化合物をエポキシ樹脂として用いる場合、硬化剤の含有量は、エポキシ化合物100質量部に対して、30〜80質量部含有されていることが好ましい。また、フッ素置換された硬化剤は吸水率の低いエポキシ樹脂となるので好ましいが、フッ素置換化合物は一般に高価であり、他の特性値等も含め、用途に応じて適宜選択される。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を促進するための硬化促進剤を含有することができる。例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等をあげることができる。硬化促進剤はエポキシ化合物100質量部に対し、0.1〜5質量部の含有されているのが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物はさらに充填材を含むと、エポキシ樹脂硬化物の熱線膨張係数をさらに低くすることができるので好ましく使用することができる。
前記充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、水酸化アルミ、水酸化マグネシウム、ガラス繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ホウ素ウィスカー等が挙げられる。充填剤の配合量が大きい場合には溶融シリカを用いるのが一般的である。溶融シリカは破砕状、球状のいずれも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高めかつ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状の特に真球状で粒径が小さいものが好ましい。充填剤は適用用途や所望の特性によって必要な含有量が異なるが、回路基盤の絶縁材料として使用する場合には、本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して5質量部〜60質量部が好ましく、特に好ましくは10質量部〜50質量部である。また、導電ペーストや導電フィルム等の用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電充填剤を用いることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、難燃剤、有機溶剤、表面処理剤、粘度調節剤、可塑剤、レベリング剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、安定剤、顔料、乳化剤、消泡剤、抗菌剤、防かび剤等の種々の添加剤を使用することができる。
上記難燃剤としては、例えば、リン酸トリフェニル、フェノール・レゾルシノール・オキシ塩化リン縮合物、フェノール・ビスフェノールA・オキシ塩化リン縮合物、2,6−キシレノール・レゾルシノール・オキシ塩化リン縮合物等のリン酸エステル;アニリン・オキシ塩化リン縮合物、フェノール・キシリレンジアミン・オキシ塩化リン縮合物等のリン酸アミド;ホスファゼン;デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン系難燃剤;リン酸メラミン、リン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン等の含窒素有機化合物のリン酸塩;赤リン及び表面処理やマイクロカプセル化された赤リン;酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛等の難燃助剤;ポリテトラフルオロエチレン、シリコン樹脂等のドリップ防止剤等が挙げられる。上記難燃剤の含有量は、本発明のエポキシ樹脂組成物100質量部に対して、2〜20質量部が好ましく、特に好ましくは5〜10質量部である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、通常、必要に応じて前記の各成分を溶解または分散しえる溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、クロロホルム、塩化メチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、オクタデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレンモノブチルエーテル、石油エーテル、石油ナフサ、エチレングリコール、プロピレングリコール、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等を加えた溶液状組成物として用いることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中に本発明のエポキシ化合物の他に、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等のその他のエポキシ化合物を併用してもよい。
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ノボラック、テトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等の多価フェノールのグリシジルエーテル化合物が挙げられる。
上記脂環族エポキシ化合物としては、少なくとも1個以上の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテルまたはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルへキシル等が挙げられる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオ−ルジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖ニ塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、電子回路基板に用いられる銅張積層板、プリプレグ、プリント配線板、封止材、注型材、接着剤、電気絶縁塗料、等の各種電子・電気材料;塗料(粉体塗料、防食塗料等);接着剤;建材等、従来公知のエポキシ樹脂の種々の用途に使用することができる。本発明のエポキシ樹脂組成物は、ガラス転移点が高く、熱線膨張係数が小さく、引張強度や伸び等の靭性に優れることから、ビルドアップ基板用絶縁材やICパッケージ用封止材として有用である。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させる方法としては、従来公知のエポキシ樹脂の硬化方法を用いることができ、上記硬化剤による硬化、硬化触媒を用いた自己重合による硬化、光開始剤による光硬化、上記硬化促進剤の併用による硬化速度を制御する硬化方法を選択することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物について光開始剤を用いて重合する場合に用いる光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の公知の光源を用い、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等の活性エネルギー線の照射により上記光開始剤からルイス酸を放出することで、上記エポキシ化合物を硬化させることができる。これら光源としては、400nm以下の波長を有する光源が有効である。
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させる方法としては、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物をプロピレングリコールモノメチルエーテル等の好適な有機溶媒で希釈してワニスとなし、これをガラス不織布、ガラス織布等の多孔質ガラス基材に塗布・含浸させ、加熱するという通常の方法によってプリプレグが得られる。また、このプリプレグを複数枚重ね合わせることによって積層板が得られる。その積層構造の片面又は両面に銅箔を重ね合わせた後、これを通常の条件で加熱・加圧することにより、ガラスエポキシ銅張積層板を得ることができる。該銅張積層板(内層板)に回路を形成し、ついで銅箔をエッチング処理した後、内層板の少なくとも片面にプリプレグ及び銅箔を重ね合わせ、これを例えば170℃、40kg/cm2の圧力で90分間加熱・加圧するという通常の方法により、多層板を製造することができる。さらに、該銅張積層板もしくは該多層板にスルーホールを形成し、スルーホールメッキを行った後、所定の回路を形成するという通常の方法により、プリント配線板を製造することができる。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。但し、以下の実施例により本発明はなんら制限を受けるものではない。尚、合成例1は、本発明化合物の製造例を示したものであり、合成例2は本発明化合物と比較する化合物の製造方法を示したものである。そして、〔表1〕記載のように調製したエポキシ樹脂組成物を用いて、下記の作製方法によって試験片Aを作製し、下記の試験方法によって、ガラス転移点、熱線膨張係数、引張強度、伸び、難燃性について評価した。これらの結果について〔表1〕に併せて示す。
(合成例1)
本発明の化合物を、下記記載の方法で得た。
すなわち、温度計、攪拌機を取り付けたフラスコにテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂(エピコート1031S;ジャパンエポキシレジン(株)製)100g(0.16mol/L)とプロピレングリコ−ルモノメチルエーテルアセテート80gを仕込み、80℃まで加熱して完全に溶解させた。その後40℃以下まで冷却し、カルボキシル基変性ブタジエンアクリロニトリルゴム(CTBN1300×9;宇部興産(株)製)21.86gを加えて、槽内温度を30〜40℃に保ちながら30分間撹拌後、140〜150℃まで加熱し6時間反応させた。反応終点を確認後40℃まで冷却して褐色液状201.86gを得た。この褐色液状物についてエバポレーターを用いて、10mmHg、150℃、2時間の条件で溶媒を留去して、黄色固体を得た。次にこの黄色固体の構造分析のために、IR分析及び1H−NMRを行い、下記式(2)で表される本発明のエポキシ樹脂化合物であることを確認した。IR分析結果を下記に示し、1H−NMRチャートを図1に示す。
尚、上記反応終点は、カルボキシル変性ブタジエンアクリロニトリルゴム中のカルボン酸の消失による酸価の減少によって判断し、酸価が減少しなくなった時点をもって反応終点とした。
Figure 2008007566
(分析結果)
IR(cm-1
753、832、913、967、1031、1108、1177、1245、1346、1453、1509、1608、1735、2236、2923、3001、3483
(酸価測定方法)
上記酸価の測定は、三角フラスコに1〜2gをサンプリングしてアセトンで溶解し、指示薬としてフェノールフタレインを用い、0.1mol/Lエタノール性水酸化カリウム水溶液で中和滴定し、下記の式によって酸価を求めた。
酸化(mgKOH/g)=
中和滴定量(ml)×f/サンプル重量(g)×56.1(g/KOH)/10
(合成例2)
下記式(3)で表されるエポキシ樹脂化合物を合成例1に準じて、カルボキシル基変性ブタジエンアクリロニトリルゴムと反応させて淡黄色液状の比較化合物を得た。合成例1と同様に、この淡黄色液状の構造分析として、IR分析及び1NMR分析を行い下記式(4)で表される目的の化合物が得られていることを確認した。IR分析結果を下記に示し、1H−NMRチャートを図2に示す。
Figure 2008007566
Figure 2008007566
(分析結果)
IR(cm-1
736、761、830、915、969、1011、1037、1107、1184、1248、1297、1346、1361、1385、1452、1509、1581、1607、1638、1736、1888、2066、2237、2926、3496
(試験片の作成)
試験片A:38μm厚の表面剥離処理PETフィルム上に、表1に記載のエポキシ樹脂組成物または比較エポキシ樹脂組成物をそれぞれ200μmの厚さに塗布し、加熱オーブン中で130℃、10分間乾燥して樹脂をBステージ化しドライフィルムを作製した。このドライフィルムを、表面剥離処理したガラス基板上に樹脂面とガラス面とが接触するように90℃、10分で、真空ラミネート法で貼り付けた後PETフィルムをはがし、ガラス基板上にBステージの樹脂を転写した。Bステージの樹脂が転写されたガラス基板を加熱オーブンに入れ、150℃、1時間で樹脂を完全に硬化させ、室温に戻した後樹脂をガラス基板から剥離し、完全に硬化した樹脂フィルム(試験片A)を得た。得られた樹脂フィルム(試験片A)に対して、下記の試験を実施した。
(試験方法)
(1)ガラス転移点
試験片Aを用い、カッターナイフで5×50mmの大きさに成形し、粘弾性スペクトロメータ(DMS−6100;エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)で動的粘弾性を測定し、tanδの極大値を示す温度を求めてガラス転移点とした。
(2)熱線膨張係数
試験片Aを用いて、カッターナイフで3×50mmの大きさに成形し、熱分析装置(TMA/SS6000;エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)を用いて加熱膨張曲線を測定した。40〜100℃の範囲の伸び率から、熱線膨張係数を算出した。
(3)引張強度、伸び
試験片Aを用い、JIS−K7127に準拠し(試験片タイプ5を使用)、測定した。
(4)難燃性
米国アンダーライターラボラトリー規格(UL−94)に準拠して難燃性の評価をした。試験片Aを長さ127mm、幅12.7mm、厚さ0.1mmの短冊試験片に成形して、垂直に保ち、下端にバーナの火を10秒間接炎させた後、炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間(t1[秒])を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行い、1回目と同様にして着火した火が消える時間(t2[秒])を測定した。また、試験片から落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等から上述のUL−94規格に従って燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高の難燃効果を示すものであり、以下にV−1、V−2の順に難燃効果が低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しない場合NRとする。
Figure 2008007566
*1)下記式(2)で表される化合物
*2)下記式(4)で表される化合物
*3)下記式(5)で表される化合物
*4)下記式(6)で表される化合物
*5)PR−53194;住友ベークライト(株)製
*6)シリカ:TS−100;テグサ(株)製
*7)下記式(7)で表される化合物
*8)エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
*9)2−エチル−4−イミダゾール
Figure 2008007566
Figure 2008007566
Figure 2008007566
Figure 2008007566
Figure 2008007566
表1より、本願発明化合物を使用しないエポキシ樹脂硬化物(比較例1〜3)は、ガラス転移点、熱線膨張係数並びに引張強度や伸び等の靭性の全てが満足できる物性は得られていない。特に比較例1及び比較例3より、変性ゴムと反応して得られた比較化合物を使用したエポキシ樹脂硬化物はガラス転移点が大きく損なわれる問題があるのに対し、同じ変性ゴムと反応して得られた化合物であるにもかかわらず、実施例1及び実施例2より、本発明化合物を使用したエポキシ樹脂硬化物の物性は極めて良好で、ガラス転移点の低下が著しく改善されることがわかった。
また、本発明で得られるエポキシ樹脂硬化物は、高いガラス転移点、小さい熱線膨張係数及び靭性が良好だけでなく、耐熱サイクル性及び耐PCTも優れた効果を得ることができ、信頼性の高い電子部品材料を得ることができる。
図1は、本発明化合物の核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)による測定結果を示すグラフである。 図2は、比較化合物の核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)による測定結果を示すグラフである。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表されるエポキシ化合物(a)と変性ゴム(b)とを反応させて得られる化合物。
    Figure 2008007566
  2. 上記変性ゴム(b)が、その両末端がカルボキシル変性、ヒドロキシル変性又はアミノ変性されているものである請求項1記載の化合物。
  3. 上記変性ゴム(b)がカルボキシル変性ブタジエンアクリロニトリルゴムである請求項1又は2記載の化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物と硬化剤とを含有してなるエポキシ樹脂組成物。
  5. さらに充填剤を含有してなる請求項4記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項4又は5記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られる硬化物。
  7. 請求項4又は5記載のエポキシ樹脂組成物からなるビルドアップ用絶縁材料。

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