JP4353589B2 - 難燃性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲンフリーの難燃性エポキシ樹脂組成物、詳細には、ハロゲンを含有しないで優れた難燃性を示し、しかも耐熱性、耐湿性、耐トラッキング性に優れ、ガラスエポキシ銅張積層板、更には種々の特性に優れたプリント配線板を提供し得る、特にビルドアップ用組成物として有用なエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、世界的な環境問題、人体に対する安全性についての関心の高まりとともに、電気・電子製品については、難燃性に加えて、より少ない有害性、より高い安全性という要求が増大している。すなわち、電気・電子製品は、単に燃えにくいだけでなく、有害性ガスや発煙の発生が少ないことが要望されている。従来、電気・電子部品を搭載するプリント配線板は、通常ガラスエポキシからなる基板を有するが、そこに使用されているエポキシ樹脂としては、難燃剤として作用する臭素を含有する臭素化エポキシ樹脂、特にテトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂が一般に使用されている。
【0003】
このような臭素化エポキシ樹脂は、良好な難燃性を有するものの、燃焼時に有害なハロゲン化水素(臭化水素)ガスを発生するため、その使用が抑制されつつある。そのため、通常のエポキシ樹脂に非ハロゲン系難燃剤、例えば、窒素化合物、リン化合物、無機化合物等を配合した組成物が開発されている。しかしながら、これら難燃付与性添加剤は、エポキシ樹脂の硬化に悪影響を及ぼしたり、硬化組成物の耐湿性を低下させる等の問題がある。
【0004】
例えば、特開平10−195178号公報には、反応性のリン酸エステル化合物を用いることが提案されているが、リン酸エステルが樹脂中に組み込まれると吸湿し易くなったり、一部が3次元構造になってエポキシ樹脂の粘度が増大し、作業性が大きく低下するため、実用的ではなかった。
【0005】
また、特開昭47−39300号公報には、フェニルホスホン酸ジクロリドとハイドロキノンとの等モル脱塩酸重合物が難燃剤として有用であることが記載されている。しかし、該公報にはエポキシ樹脂の難燃化に有用であるとの具体的記載はなく、ましてビルドアップ用硬化性組成物の難燃化に有用であることは何等記載されていない。また、該公報に記載された上記重合物は、重合度5〜数十と高分子量体でエポキシ樹脂の構造中に組み込むには実用的ではなく、添加型難燃剤として用いた場合には、樹脂の物性を低下する欠点があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、ハロゲンを含まずに良好な難燃性を示すとともに、耐トラッキング性、耐熱性及び耐湿性等に優れ、特にビルドアップ用組成物として有用なエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の含リン化合物と多価エポキシ化合物とからなる組成物が、上記の目的を達成し得ることを知見した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、下記〔化3〕(前記〔化1〕と同じ)の一般式(I)で表される化合物と多価エポキシ化合物とからなり、該一般式(I)で表される化合物の全部又は一部が、該多価エポキシ化合物に予め付加されている難燃性エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0009】
【化3】
Figure 0004353589
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物について詳細に説明する。
【0011】
本発明に用いられる上記一般式(I)で表される化合物において、R1 〜R11で表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル等が挙げられる。
【0012】
また、上記一般式(I)におけるXで表される炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられ、アルキリデン基としては、エチリデン、プロピリデン、2,2−プロピリデン、ブチリデン等が挙げられる。
【0013】
また、上記一般式(I)におけるmは、1以上の数であり、特に1〜4が好ましい。4より大きいと、高分子量体となってエポキシ樹脂の構造中に組み込むには反応性、粘度等の点で実用的でなくなる。
【0014】
上記一般式(I)で表される化合物としては、具体的には、下記の化合物No.1〜No.4等が挙げられる。
【0015】
【化4】
Figure 0004353589
【0016】
【化5】
Figure 0004353589
【0017】
【化6】
Figure 0004353589
【0018】
【化7】
Figure 0004353589
【0019】
上記一般式(I)で表される化合物の合成方法としては、フェニルホスホン酸ジクロライド等のアリールホスホン酸ジクロライドと、ハイドロキノン等の2価フェノール化合物とを塩化マグネシウム等の触媒を用いて脱塩酸反応することで、上記一般式(I)におけるRが水素原子である化合物が容易に合成できる。無溶媒でも反応は可能であるが、粘度の上昇により高温での反応が必要となるため、テトラクロロエタン、ニトロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルアセテート等を用いることが好ましい。また、この化合物を必要に応じてエピクロルヒドリンと常法により反応することでRがグリシジル基である化合物が合成できる。上記一般式(I)で表される化合物を合成するに際しては、電子部品関連に用いる場合に電気特性を維持するために吸着剤処理、アルカリ洗浄処理、水洗処理等により塩素含有量を低くすることが好ましい。
【0020】
上記一般式(I)で表される化合物を合成する際のアリールホスホン酸ジクロライド:2価フェノールは、1:1.2〜1:2が好ましく、1:1.3〜1:1.8がより好ましい。1:1.2未満では生成物が高分子量になるためエポキシ樹脂に導入する際に粘度が高く扱いにくくなる。また、1:2超であると未反応の2価フェノールを多量に含むため精製工程が煩雑になったり、得られるエポキシ樹脂組成物の物性が低下するので実用的でない。
【0021】
上記一般式(I)で表される化合物の使用量は、本発明の組成物中、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%である。5重量%未満では十分な難燃性が得られ難い。
【0022】
本発明において、上記一般式(I)で表される化合物及び多価エポキシ化合物は、該一般式(I)で表される化合物の全部又は一部が多価エポキシ化合物に予め付加されている化合物として用いる。
【0023】
上記一般式(I)で表される化合物は、該式(I)中のRが水素原子であるか又はグリシジル基であるかに応じて、以下のようにエポキシ樹脂に適用することができる。
即ち、Rが水素原子である化合物は、多価フェノール化合物であるので難燃性エポキシ樹脂硬化剤として用いられる。また、硬化剤として用いられる他、予め過剰の多価エポキシ化合物と反応して難燃性の高分子量エポキシ化合物としてもよい。
また、Rがグリシジル基である化合物は、それ自体難燃性のエポキシ化合物であり、エポキシ樹脂にそのまま用いることができる。
【0024】
これらの難燃性エポキシ樹脂硬化剤又は難燃性エポキシ化合物として用いられる上記一般式(I)で表される化合物は、エポキシ樹脂組成物の構成成分である硬化剤又はエポキシ化合物として単独で又は他の硬化剤やエポキシ化合物ととも用いることで、本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物を提供できる。
【0025】
本発明に用いられる多価エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が用いられる。芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA 、ビスフェノールF 、4,4' −ジヒドロキシビフェニル、ノボラック、テトラブロモビスフェノールA等の多価フェノールのグリシジルエーテル化合物が挙げられる。また、脂環族エポキシ化合物としては、少なくとも1個以上の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルへキシル等が挙げられる。また、脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられ、代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖ニ塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。更に、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
【0026】
上記多価エポキシ化合物は、下記〔化8〕の一般式(II)で表される化合物を含有していると、得られるエポキシ樹脂組成物の硬化物が耐水性、軟化点で優れるので好ましい。上記多価エポキシ化合物として、該一般式(II)で表される化合物を含有する多価エポキシ化合物を用いた本発明のエポキシ樹脂組成物は、ビルドアップ用組成物(硬化性組成物)として有用である。
【0027】
【化8】
Figure 0004353589
【0028】
上記多価エポキシ化合物の使用量は、本発明の組成物中、好ましくは3〜95重量%、更に好ましくは5〜60重量%である。3重量%未満では得られるエポキシ樹脂組成物の物性における添加効果が認められ難く、95重量%を超えると上記一般式(I)で表される化合物の配合量が5重量%未満になるので難燃性が不十分となるおそれがある。
また、上記多価エポキシ化合物が上記一般式(II)で表される化合物を含有する場合、上記一般式(II)で表される化合物の含有量は、上記多価エポキシ化合物中、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%である。5重量%未満では添加効果が認められ難い。
【0029】
本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物には、他のエポキシ樹脂硬化剤を併用することができる。
上記エポキシ樹脂硬化剤としては、潜在性硬化剤、ポリアミン化合物、ポリフェノール化合物及びカチオン系光開始剤等の光開始剤等が挙げられる。
【0030】
潜在性硬化剤としては、ジシアンジアミド、ヒドラジド、イミダゾール化合物, アミンアダクト、スルホニウム塩、オニウム塩、ケチミン、酸無水物、三級アミン等が挙げられる。ここで、上記酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物等が挙げられる。これら潜在性硬化剤は、一液型の硬化性組成物を与え、取り扱いが容易なので好ましい。
【0031】
ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等の脂環族ポリアミン、m−キシレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族アミン、m−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、α,α−ビス(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン等の芳香族ポリアミンが挙げられる。
【0032】
ポリフェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、テルペンジフェノール、テルペンジカテコール、1,1,3−トリス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン、ブチリデンビス(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)等が挙げられる。これらのうち、フェノールノボラックは、得られるエポキシ樹脂組成物の電気特性、機械強度が積層板に適しているので好ましい。
【0033】
光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4' −モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4' −メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4' −メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4' −イソプロピルベンゾイル)プロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9' −アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2' −モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、9−n−オクチル−3,6−ビス(2' −モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−n−ブチル−3' −カルバゾリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(N−(2" −メトキシ−1" −メチルエトキシカルボニルメチル)−3' −カルバゾリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0034】
これらの光開始剤は、安息香酸系又は第三級アミン系等の公知の光重合促進剤の1種又は2種以上と組み合わせて用いても良い。光開始剤は、本発明の組成物中、0.1〜30重量%含有していることが好ましい。0.1重量%未満では添加効果が得られないことがあり、30重量%より多いと硬化物の機械強度が低下することがある。
【0035】
光開始剤を用いる場合の重合に用いる光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の公知の光源を用い、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等の活性エネルギー線の照射により上記光開始剤からルイス酸を放出することで、組成物中のエポキシ樹脂を硬化させる。これら光源としては、400nm以下の波長を有する光源が有効である。
【0036】
本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物には、更に難燃性を向上させるために、含窒素化合物を併用することが好ましい。含窒素化合物としては、メラミン及びその誘導体、シアヌル酸及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体等が挙げられる。但し、メラミン等の1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物はエポキシ樹脂の硬化剤であり、多量に配合すると得られるエポキシ樹脂が脆化する等、物性に大きく影響するのでエポキシ樹脂に要求される物性に応じて誘導体として用いることが好ましい。例えば、メラミン誘導体としては、フェノール化合物とメラミン化合物とアルデヒド化合物との共縮合樹脂として得られる分子中に窒素原子を含有するフェノール樹脂等が挙げられる。いうまでもなく、フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることが出来る。
【0037】
上記含窒素化合物の使用量は、本発明の組成物中、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは3〜20重量%である。1重量%未満では難燃性の改善効果が認められ難く、30重量%を超えると樹脂の機械強度が低下して実用的でなくなるおそれがある。
【0038】
本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物には、必要に応じて他の硬化性化合物、硬化促進剤、エポキシ樹脂以外の樹脂、スクリーン印刷性向上剤、他の難燃剤、難燃助剤、充填剤、溶剤等が添加される。
【0039】
また、本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物をビルドアップ用組成物として用いる場合、該組成物には、種々の硬化促進剤、スクリーン印刷性向上剤、難燃剤、難燃助剤、分散性改良剤等、通常エポキシ樹脂組成物に用いられる添加剤を必要に応じて用いることが好ましい。
【0040】
上記硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、ジアザビシクロウンデセン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール及び2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられる。これら硬化促進剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。硬化促進剤は、エポキシ樹脂の硬化を促進するに十分な少量で用いられる。
【0041】
上記エポキシ樹脂以外の樹脂としては、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブタジエン−スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等の弾性に優れた耐衝撃性を改良する樹脂(ゴム)が、機械強度の点で好ましい。
【0042】
上記充填剤は、エポキシ樹脂組成物に付加的な難燃剤、耐熱性、耐湿性を付与するためのものである。充填剤としては、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機充填剤が挙げられ、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、シリカを用いると、得られるエポキシ樹脂組成物の電気特性に優れるので好ましい。
【0043】
本発明のエポキシ樹脂組成物をビルドアップ用組成物として用いる場合、該組成物には、シリカ、ゴム又はフェノールノボラック型硬化剤の少なくとも一種が添加されていることが好ましい。この場合、本発明の組成物中、シリカの添加量は好ましくは1〜50重量%であり、ゴムの添加量は好ましくは1〜30重量%であり、フェノールノボラック型硬化剤はエポキシ樹脂の硬化に必要な量適宜用いられる。シリカ及びゴムの添加量は、十分な添加効果を発現する点からそれぞれの下限以上が好ましく、また、ビルドアップ用組成物としての要求物性を更に向上させる点からそれぞれの上限以下が好ましい。
【0044】
上述した本発明のエポキシ樹脂組成物は、これをプロピレングリコールモノメチルエーテル等の好適な有機溶媒で希釈してワニスとなし、これをガラス不織布、ガラス織布等の多孔質ガラス基材に塗布・含浸させ、加熱するという通常の方法によりプリプレグを製造することができる。また、このプリプレグを複数枚重ね合わせ、その積層構造の片面又は両面に銅箔を重ね合わせた後、これを通常の条件で加熱・加圧してガラスエポキシ銅張積層板を得ることができる。このとき、銅箔を用いなければ、積層板が得られる。多層板は、銅張積層板(内層板)に回路を形成し、次いで銅箔をエッチング処理した後、内層板の少なくとも片面にプリプレグ及び銅箔を重ね合わせ、これを例えば170℃,40kg/cm2 の圧力で90分間加熱・加圧するという通常の方法により製造することができる。更に、プリント配線板は、銅張積層板又は多層板にスルーホールを形成し、スルーホールメッキを行った後、所定の回路を形成するという通常の方法により製造することができる。
【0045】
本発明の難燃性エポキシ樹脂組成物は、特に、ビルドアップ用組成物として好ましく用いられ、ガラスエポキシ銅張積層板に有用であり、更にこれを用いたプリント配線板等に有用である。
【0046】
【実施例】
以下、本発明を製造例、実施例により更に具体的に説明する。しかしながら、本発明は、これら製造例、実施例により何等制限されるものではない。
【0047】
製造例A
フェニルホスホン酸ジクロライド195g(1モル)、ハイドロキノン165g(1.5モル)、無水塩化マグネシウム0.95g(0.01モル)を2時間で140℃まで昇温して30分間保持した。100℃まで冷却してプロピレングリコールモノメチルアセテート(以下、「PGMAC」という)123gを加え、2.6%リン酸水200mlで洗浄し、更に純水で3回洗浄した。100〜110℃で減圧脱水脱溶媒し、PGMAC191gを加えて、化合物No.1のPGMAC溶液478g(収率99%)を得た。
【0048】
得られた化合物No.1のPGMAC溶液478gにビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190)760g、トリフェニルホスフィン6.29gを添加して115〜120℃で2 時間反応し、冷却後取出して、1238gの溶液を得た。得られた溶液は、リン含有率2.49%(計算値:2.50%)、エポキシ当量422(計算値:414)であった。得られたエポキシ化合物を試料化合物1として以下の性能試験に用いた。
【0049】
製造例B
ハイドロキノンをビスフェノールAに代え、水洗時のPGMACを200g、取出し時のPGMACを309g用いた以外は製造例Aと同様にして化合物No.2のPGMAC溶液773g(収率99%)を得た。
【0050】
得られた化合物No.2のPGMAC溶液773gにエピクロルヒドリン925g(10モル)、テトラメチルアンモニウムクロリド3g、水酸化ナトリウム80g(2モル)を添加して80〜100℃で3時間反応し、冷却後取出して、885gの溶液を得た。得られた溶液は、リン含有率3.48%(計算値:3.50%)、エポキシ当量464(計算値:443)であった。得られたエポキシ化合物を試料化合物2として以下の性能試験に用いた。
【0051】
実施例1
表1記載の配合物を十分に混合し、表面処理アルミニウム板上にナイフコーターを用いて乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布した。80℃で5分間熱乾燥した後、更に150℃で30分間ベーキングして硬化物を得た。得られた硬化物について、JIS K7198に基づいてガラス転移温度(Tg)を、室温で蒸留水に24時間浸漬後の重量増加率(%)で吸水率を、UL−94に基づき難燃性を評価した。それらの結果を表1に示す。但し、試料化合物1、2及び比較化合物1、2の配合量は溶媒を除く固形分としての配合であり、配合量は全て重量部を示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004353589
【0053】
尚、表1中の*1〜*7の詳細は、以下に示す通りである。
*1:オキシ塩化リン/ハイドロキノン/フェノール=1/2/1(モル)縮合物とビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量=190)との1/4(モル)混合物
*2:フェニルホスホン酸ジクロリド/ハイドロキノン=1/1(モル)縮合物(平均分子量9000)とビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量=190)との1/4(重量比)混合物
*3:2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン
*4:下記〔化9〕で表されるフェノールノボラック
【0054】
【化9】
Figure 0004353589
【0055】
*5:下記〔化10〕で表される光開始剤
【0056】
【化10】
Figure 0004353589
【0057】
*6:2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール
*7:フロラードFC−430(フッ素系界面活性剤:3M(米国)社製)
【0058】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ハロゲンを含有しないで優れた難燃性を示し、しかも耐熱性、耐湿性、耐トラッキング性に優れたものである。従って、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いれば、ガラスエポキシ銅張積層板を提供することができ、更に、このガラスエポキシ銅張積層板を用いて種々の特性に優れたプリント配線板を製造することができる。

Claims (5)

  1. 下記〔化1〕の一般式(I)で表される化合物と多価エポキシ化合物とからなり、該一般式(I)で表される化合物の全部又は一部が、該多価エポキシ化合物に予め付加されている難燃性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004353589
  2. 上記一般式(I)中のmが、1〜4である請求項1記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  3. 含窒素化合物を含有する請求項1又は2記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  4. 上記多価エポキシ化合物が下記〔化2〕の一般式(II)で表される化合物を含有する、ビルドアップ用組成物である請求項1又は2記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004353589
  5. シリカ、ゴム及びフェノールノボラック型硬化剤からなる群より選択された少なくとも一種を添加された請求項記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
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