JP4753475B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエポキシ樹脂組成物に関し、詳しくは、難燃性に優れ、電気・電子用途、自動車用途、塗料等に好適に使用することができるエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】
エポキシ樹脂は、各種基材に対する接着性、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械特性等に優れるため、電子部品、電気機器、自動車部品等の成型品、塗料、接着剤、繊維処理剤等として広く用いられている。
【0003】
エポキシ樹脂は可燃性であるため電子部品、電気機器、自動車部品等の用途に使用する場合には火災を防止あるいは遅延する目的で臭素化エポキシ樹脂を使用してきた。エポキシ樹脂に臭素に代表されるようなハロゲンを導入することにより難燃性が付与され、かつ、エポキシ基の高反応性により優れた硬化物が得られている。しかし、これら臭素化エポキシ樹脂を使用することで燃焼時にハロゲン化水素等の有害な物質であるハロゲン化合物を生成することによって環境への悪影響が問題とされるようになってきた。このためハロゲン化合物を使用しない難燃性のエポキシ樹脂の要求が高まっている。
【0004】
上記のような問題を解消するために、ハロゲン化合物に代えてリン化合物を使用することで難燃性を付与することが試みられており、例えば、CHUN SHAN WANG et al,Polymer Science,Part APolymer Chemistry Vol.37,3903−3909(1999)には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド(HCA)を反応せしめてなるリン含有エポキシ樹脂が提案されているが、耐アルカリ性等の硬化物性が著しく低下する欠点があった。特開平1−165168号公報には、エポキシ樹脂とHCAを部分的に反応した後、有機多塩基酸無水物を添加混合することによって染料による着色の変退色防止効果が期待されることが記載されているが、目的が異なるものであり、ここで記載される汎用のエポキシ樹脂との組み合わせで難燃化を試みた場合には上記と同様に硬化物物性が低下することになる。さらに、特開平11−166035号公報には、ノボラックエポキシ樹脂にHCAを反応せしめてなるリン含有エポキシ樹脂が提案されており、難燃性に関しては優れた効果を有するものの、耐衝撃性、耐候性等の硬化物物性が低下する等の欠点を有していた。
【0005】
また、特開平8−12692号公報にはメラミンのリン酸アミド化合物が難燃剤として提案されている。しかし、メラミンは3価のアミンであり、エポキシ樹脂に用いた場合には架橋剤として機能するため、難燃性で満足のいく配合量を用いた場合には樹脂物性が脆化するため実用的ではなかった。さらに、エポキシ樹脂用硬化剤と同時にエポキシ樹脂に添加して硬化させるとリン酸アミド化合物が未反応で残存することにより耐熱性及び耐水性が低下する問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、燃焼時に有害なハロゲン化合物の発生が少なく、難燃性に優れ、かつ、硬化物の物性に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、ポリエポキシ化合物と特定のリン酸アミド化合物とを反応させて得られたリン含有エポキシ樹脂組成物が、難燃性に優れ、しかも種々の物性にも優れた硬化物を提供し得ることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
即ち、本発明は、(イ)ポリエポキシ化合物及び(ロ)下記一般式(I)で表される含リン化合物とを反応させて得られたリン含有エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【化4】
Figure 0004753475
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物について詳細に説明する。
【0010】
本発明に用いられる(イ)成分のポリエポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物、脂環族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が用いられる。芳香族エポキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ノボラック、テトラブロモビスフェノールA等の多価フェノールのグリシジルエーテル化合物が挙げられる。脂環族エポキシ化合物としては、少なくとも1個以上の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルへキシル等が挙げられる。脂肪族エポキシ化合物としては、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。代表的な化合物として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、また、これらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル、高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
【0011】
上記ポリエポキシ化合物の中で、下記一般式(II)、(III )又は(IV)で表される化合物を50重量%以上含有するエポキシ樹脂組成物は得られる硬化物のガラス転移温度(Tg)が高く、ガラス積層基板等に好適に用いることができる。
【0012】
【化5】
Figure 0004753475
【0013】
式(II)、(III )及び(IV)におけるR5 〜R16で表される炭素原子数1〜12のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。
【0014】
式(IV)におけるZで表される炭素原子数1〜4のアルキリデン基としては、メチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチリデン等が挙げられる。
【0015】
本発明に用いられる(ロ)成分の含リン化合物である式(I)において、R1 、R2 、R3 で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル等が挙げられる。
【0016】
式(I)において、R4 で表されるアルキリデン基としては、メチレン、エチリデン、プロピリデン、ブチリデン等が挙げられる。
【0017】
式(I)において、Rで表される1級アミノ基を1個有する有機残基を与えるアミノ化合物としては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン等のアルキルアミン;シクロヘキシルアミン等のシクロアルキルアミン;ベンジルアミン等のアリールアルキルアミン;アニリン、2,6−ジメチルアニリン等の芳香族アミン等が挙げられる。その他、アミノフェノール、アミノ安息香酸等のアミン以外のエポキシ基と反応する官能基を有する化合物等が挙げられ、これら2官能の化合物は硬化剤として添加できるため、配合が容易であり好ましい。
【0018】
式(I)において、Rで表される1級アミノ基を2個有する有機残基を与えるアミノ化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン;イソホロンジアミン、1,3−ジアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、1−アミノ−1−メチル−4−(2−アミノ−2−メチルエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシルメタン)等のシクロアルキル基を有する脂肪族ジアミン;ポリプロピレンオキサイド−α、ω−ジアミン、1,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロウンデカン等のエーテル結合を有する脂肪族ジアミン化合物;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホキシド、4−アミノフェニル−4’−アミノフェニルアミド、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン等の芳香族ジアミン化合物;1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン等の芳香環を有する脂肪族ジアミン化合物等が挙げられる。
【0019】
式(I)において、Rで表されるメラミンを除く1級アミノ基を3個有する有機残基を与えるアミノ化合物としては、例えば、以下の一般式(V)で表される化合物が挙げられる。
【0020】
【化6】
Figure 0004753475
【0021】
5 で表される3価の有機基としては、例えば、以下の有機基が示される。
【0022】
【化7】
Figure 0004753475
【0023】
1 及びZ2 で表されるアルキレン基としてはメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられ、アルキレンオキシ基としては、上記アルキレン基に対応する基が挙げられる。
【0024】
上記一般式(I)で表される化合物としては、より具体的には、例えば、以下の化合物No.1〜30が挙げられる。但し、本発明に用いられる化合物は以下の例示により何ら制限されるものではない。
【0025】
【化8】
Figure 0004753475
【0026】
【化9】
Figure 0004753475
【0027】
【化10】
Figure 0004753475
【0028】
【化11】
Figure 0004753475
【0029】
【化12】
Figure 0004753475
【0030】
【化13】
Figure 0004753475
【0031】
【化14】
Figure 0004753475
【0032】
【化15】
Figure 0004753475
【0033】
【化16】
Figure 0004753475
【0034】
【化17】
Figure 0004753475
【0035】
【化18】
Figure 0004753475
【0036】
【化19】
Figure 0004753475
【0037】
【化20】
Figure 0004753475
【0038】
【化21】
Figure 0004753475
【0039】
【化22】
Figure 0004753475
【0040】
【化23】
Figure 0004753475
【0041】
【化24】
Figure 0004753475
【0042】
【化25】
Figure 0004753475
【0043】
【化26】
Figure 0004753475
【0044】
【化27】
Figure 0004753475
【0045】
【化28】
Figure 0004753475
【0046】
【化29】
Figure 0004753475
【0047】
【化30】
Figure 0004753475
【0048】
【化31】
Figure 0004753475
【0049】
【化32】
Figure 0004753475
【0050】
【化33】
Figure 0004753475
【0051】
【化34】
Figure 0004753475
【0052】
【化35】
Figure 0004753475
【0053】
【化36】
Figure 0004753475
【0054】
【化37】
Figure 0004753475
【0055】
上記化合物の中で下記一般式(V)で表される化合物は難燃性と機械強度に優れるので好ましい。
【0056】
【化38】
Figure 0004753475
【0057】
一般式(V)においてR18、R19、R20、R23、R24及びR25で表される炭素原子数1〜5のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル等が挙げられる。
【0058】
21及びR22で表される炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられる。
【0059】
1 で表される炭素原子数1〜4のアルキリデン基としては、メチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデン、ブチリデン等が挙げられる。
【0060】
本発明の(イ)ポリエポキシ化合物と(ロ)含リン化合物の反応は、官能基の数において(イ)/(ロ)=1〜10が好ましく、1.2〜3がより好ましい。1より小さいとゲル化を起こし易く樹脂を得ることが難しく、ゲル化を起こさなかった場合でも充分な架橋密度が得られず耐熱性が不足する。また、10より大きいと難燃性が不足する。
【0061】
(イ)成分と(ロ)成分の反応は公知の方法で行うことができる。反応は必要に応じてエポキシ開環触媒を使用し、適当な溶媒を用いて、30〜200℃の加熱下、必要に応じて減圧下で撹拌することで行われる。
【0062】
反応溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類単独又はこれら2種類以上の混合溶媒等が挙げられる。
【0063】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ開環触媒により成分(イ)と成分(ロ)の付加反応を促進してもよい。エポキシ開環触媒としては、例えば、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン等のホスフィン類、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等の挙げられる。
【0064】
ここでエポキシ開環触媒の使用量は、(イ)成分及び(ロ)成分の総量100重量部に対し、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
【0065】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、水あるいは有機溶剤に溶解あるいは分散させて使用することができ、ここで有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルイソプロピルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;イソ−又はn−ブタノール、イソ−又はn−プロパノール、アミルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(丸善石油化学(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、ジオキサン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いることも、また任意に2種以上の混合溶剤として用いることも可能である。
【0066】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、通常、エポキシ樹脂用の硬化剤を使用することができ、該硬化剤としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類等が挙げられる。また、これらのポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類又はカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ樹脂とを常法によって反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;これらの有機ポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸等のカルボン酸類とを常法によって反応させることによって製造されるアミド化変性物;これらのポリアミン類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類及びフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に少なくとも一個のアルデヒド化反応性場所を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物等が挙げられる。さらに、ジシアンジアミド、酸無水物、イミダゾール類等の潜在性硬化剤も使用できる。
【0067】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、硬化触媒;モノグリシジルエーテル類、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルアルコール、コールタール等の反応性又は非反応性の希釈剤(可塑剤);ガラス繊維、炭素繊維、セルロース、ケイ砂、セメント、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、ベントナイト、タルク、シリカ、微粉末シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、瀝青物質等の充填剤もしくは顔料;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−N’−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、イボタロウ、みつろう、ラノリン、鯨ろう、モンタンワックス、石油ワックス、脂肪酸ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、芳香族エステル、芳香族エーテル等の潤滑剤;増粘剤;チキソトロピック剤;酸化防止剤;光安定剤;紫外線吸収剤;難燃剤;消泡剤;防錆剤;コロイダルシリカ;コロイダルアルミナ等の常法の添加剤を含有してもよく、さらに、キシレン樹脂、石油樹脂等の粘着性の樹脂類を併用することもできる。
【0068】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、電子回路基板に用いられる銅張積層板、封止材、注型材、接着剤、電気絶縁塗料等の用途;粉体塗料、防食塗料等難燃性の要求される種々の用途に好適に使用することができる。
【0069】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明のエポキシ樹脂組成物を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、表1〜3の配合割合は、すべて重量基準である。
【0070】
合成例(化合物No.1の合成)
1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン136.2g(1モル)、トリエチルアミン111.3g(1.1モル)をTHF200mlに溶解し、10℃以下でジフェニルリン酸クロライド537.2(2モル)のTHF溶液1000mlを2時間で滴下した。1時間室温で反応後、加熱還流下で3時間反応した。トルエン300mlを加え水洗によりトリエチルアミン塩酸塩を取り除き、減圧脱溶媒してエタノール300mlより再結晶して白色固体504g(収率84%)を得た。
【0071】
その他の試料化合物も合成例と同様にして得た。
【0072】
〔実施例1〜8及び比較例9〕
表1〜3記載のリン酸アミド化合物とエポキシ1、エチルトリフェニルホスホニウムヨージド(以下、ETPPIという)0.5重量部を150℃で6時間反応し、エポキシ樹脂組成物を得た。
【0073】
(ガラス転移温度)
得られたエポキシ樹脂組成物に表1〜3記載のエポキシ2、ジシアンジアミド(以下、DICYという)、2−エチル−4−イミダゾール(以下、2,4−EMZという)を表1〜3に示す割合で混合し、50℃×1時間、180℃×30分の条件にて試験片を作成し、バイブロンの動的粘弾性試験機によってガラス転移温度を測定した。
【0074】
(耐アルカリ性)
エポキシ樹脂組成物、DICY、2,4−EMZを表1〜3に示す割合で混合し、ブリキ板に塗布し、50℃×1時間、180℃×30分の条件にて塗膜を形成した。該塗膜を形成したブリキ板を10重量%水酸化ナトリウム水溶液に60℃で12時間浸漬し、その塗膜を目視によって評価した。評価基準は、変化無しを○、僅かにフクレが見られるものを△、フクレ大を×とした。
【0075】
(耐熱性)
エポキシ樹脂組成物、DICY、2,4−EMZを表1〜3に示す割合で混合し、ブリキ板に塗布し、50℃×1時間、180℃×30分の条件にて塗膜を形成した。該塗膜を形成したブリキ板を沸騰水に3時間浸漬後180℃×10分間熱処理し、その塗膜を目視によって評価した。評価基準は、変化無しを◎、変色あるが硬化物に変化無しを○、僅かにフクレが見られるものを△、フクレ大を×とした。
【0076】
(難燃性)
エポキシ樹脂組成物、DICY、2,4−EMZを表1〜3に示す割合で混合し、50℃×1時間、180℃×30分の条件にてUL−94規格に従った試験片を作成し、UL−94に準じて難燃性の評価を行った。
【0077】
これらの結果(ガラス転移温度、耐アルカリ性、耐熱性、難燃性)を表1〜3に示す。
【0078】
〔比較例1〜8〕
表2及び3に示す割合で、エポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物について、実施例1に準じてガラス転移温度、耐アルカリ性、耐熱性、難燃性を評価した。結果を表2及び3に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0004753475
【0080】
*1:ビスフェノールAジグリシジルエーテル
*2:オルトクレゾールノボラックエポキシ樹脂
*3:日本化薬製多官能ノボラックエポキシ樹脂:EPPN−502H
【化39】
Figure 0004753475
*4:ビスフェノールAビスホスフェートテトラフェニル
*5:
【化40】
Figure 0004753475
【0081】
【表2】
Figure 0004753475
【0082】
【表3】
Figure 0004753475
【0083】
表1より明らかなように、本発明で用いる難燃剤とエポキシ化合物を予め反応させたエポキシ樹脂を用いた場合には、難燃性だけでなく、耐アルカリ性や耐熱性にも優れたエポキシ樹脂硬化物が得られる。しかし、難燃剤と硬化剤を同時にエポキシ樹脂に添加して硬化させた場合には得られる硬化物は耐熱性や耐アルカリ性に劣り、難燃剤を用いない場合には難燃性以外は満足できるものの難燃性を有していないために難燃性を要求される各種用途には適用できない。
【0084】
【発明の効果】
本発明により、ガラス転移温度が高く、耐アルカリ性、耐熱性、難燃性に優れたエポキシ樹脂硬化物を提供できる。

Claims (8)

  1. (イ)ポリエポキシ化合物と(ロ)下記一般式(I)で表される含リン化合物とをエポキシ開環触媒を使用し30〜200℃の加熱下に反応させ得られるリン含有エポキシ樹脂組成物であって、上記ポリエポキシ化合物が下記一般式(II)、(III) 又は(IV)で表される化合物を50重量%以上含有し、上記エポキシ開環触媒の使用量が、上記ポリエポキシ化合物及び上記含リン化合物の総量100重量部に対し0.001〜10重量部である、リン含有エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004753475
    Figure 0004753475
  2. 上記ポリエポキシ化合物の官能基の数と上記含リン化合物の官能基の数との比が、(イ)/(ロ)=1〜10であり、エポキシ開環触媒の使用量が、上記ポリエポキシ化合物及び上記含リン化合物の総量100重量部に対し0.01〜1重量部である、請求項1記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。
  3. 記含リン化合物が以下の一般式(V)で表される請求項1又は2記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004753475
  4. エポキシ開環触媒が、第三級アミン、第四級アンモニウム塩、ホスフィン類、ホスホニウム塩類、又はイミダゾール類である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする電子回路用積層基板。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする封止材。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする注型材。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリン含有エポキシ樹脂組成物を用いることを特徴とする電気絶縁塗料。
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