JP4493769B2 - 球形顆粒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、球状核及び球状核を用いて製造される球形顆粒に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品をフィルムコーティング製剤とすることは生物学的利用能、特定の部位へ選択的に薬物を到達させるいわゆるドラッグデリバリー、服用感等の観点から有効な方法で、徐放性、腸溶性、苦味マスキング製剤等へ応用されている。顆粒にフィルムコーティングを施す場合、コーティング効率、再現性を良好にするため、できるだけ球状に近い核が望ましい。このようなコーティング用の核粒子としては特開昭61−1614号公報の白糖あるいは白糖/デンプンの球状核、特開昭61−213201号公報の結晶セルロース球形粒、特開昭63−301816号公報の結晶セルロースからなる球形核顆粒、日本特許第2542122号の結晶セルロースを50%以上含有する球状核、特開平4−283520号公報の結晶セルロースを10〜70%及び水溶性添加剤を10〜90%含有する球状核が知られている。
【0003】
しかし核として特開昭61−1614号の白糖あるいは白糖/デンプンからなる核を用いた場合、該核に結合液を用いて薬物を含有する粉体を被覆し、さらにフィルムコーティングを施す製剤方法においては、核の主成分である白糖が結合液に溶解し、表面が粘着性となるため、またその核は摩損度が高いため、顆粒同士が凝集する、コーティング機壁へ顆粒が付着するため、収率、コーティング効率が悪化するという問題があった。さらにはコーティングフィルムへ白糖が混入するため、再現性よく所望の溶出特性を得られないという問題があった。また体内に顆粒を投与した場合次第に核の主成分である白糖が溶出し強度が低下するため、腸の運動により応力がかかるとコーティング皮膜が破壊され所望の溶出特性が得られにくいという問題があった。また特開昭61−213201号公報、特開昭63−301816号公報の結晶セルロースからなる球状核は、摩損度が低下し核の強度が向上するメリットはあるが、核の吸水率が多くなり、コーティングの際に結合液が多量に必要でコーティングに時間を要すという欠点があった。日本特許第2542122号公報の結晶セルロースを50%以上含有する球状核は、溶液中で崩壊せず高い強度を有し、核の吸水率を抑えてコーティング性を向上させたものであるが、依然として核の吸水率が高く薬物を含有する粉体をコーティングする際にコーティング液を多量に要すこと、また核への粉体の付着力が弱く、粉体被覆に時間を要すこと、さらには結晶セルロースと反応性のある薬物には使用できないこと等の欠点があった。特開平4−283520号公報の結晶セルロースを10〜70%及び水溶性添加剤を10〜90%含有する球状核は、水溶性添加剤を配合することにより、核の吸水率を抑え、核への粉体の付着力を向上させているが、水溶性添加剤として挙げられている乳糖、白糖、D−マンニトール、ブドウ糖を使用すると、これら糖類の配合量が多くなった場合には顆粒の摩損度が大きくなり強度が低下すること、これら糖類の水溶解度が高いために核への粉体の付着力が強すぎ顆粒同士の凝集が発生しやすいという問題があった。また水溶性添加剤としてトレハロースを使用すること及びその有効性、特に薬物と結晶セルロースの反応性を低減することについては何ら記載がない。該水溶性添加剤の内、D−マンニトールは低反応性の物質であり結晶セルロースの反応性低減の点では良好であるが、核の強度が低く摩損しやすい、といった欠点があった。また日本特許2934436号公報にはセルロース粉末が99〜10重量部と水溶性物質が1〜90重量部からなり平均粒径が50μm〜2000μmである球形顆粒を0.2〜20重量%配合してなる口腔組成物について開示されており、水溶性物質としてトレハロースの記載があるが、該公報の口腔組成物は歯垢除去が目的であり、本発明の球状核は薬物担持用として用いた場合、核のコーティング性が良好となり、医薬品の放出制御、腸溶化、苦味マスキングを効果的に付与できるようになるものであり、該公報の発明とは用途が異なる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、トレハロースを含有する球状核、特に、平均粒径、真球度、強度、吸水性などの特性のバランスがとれており、かつ薬物との反応性が抑制された球状核を提供することを目的とする。また、その球状核を核として用いることで、粉体コーティング、フィルムコーティングが容易にでき、経時的な薬物の反応が抑制された商品価値の高い球形素顆粒、球形顆粒を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、核としてセルロース粉末を0〜95重量%、トレハロースを5〜100重量%含有する球状核を用いることによって上記における問題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)セルロース粉末を0〜95重量%、トレハロース2水物を5〜100重量%含有し、平均粒径が50〜2000μm、タッピング見掛け密度が0.60g/cm3以上、摩損度が1.0%以下である薬物がコーティングされる球状核、
(2)前記(1)の球状核まわりに薬物を含有する粉体層を有する球形素顆粒、
(3)前記(2)の球形素顆粒のまわりに被覆層を有する球形顆粒、
に関する。
【0007】
本発明の球状核は、強度が高いためコーティングが容易で、所望の溶出特性が付与できること、強度、吸水性、付着性のバランスに特に優れているためコーティング時間が短縮できること、さらには薬物との反応性が低減しているので、塩基性薬物等を被覆する場合の核粒子として適している等の利点がある。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明でいう球状核は、セルロース粉末を0〜95重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重量%、及びトレハロースを5〜100重量%、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは40〜80重量%含有する薬学的に不活性な球状核である。薬物等との反応性の抑止の点からは、トレハロースの配合量が多い方が好ましく、コーティング性からは、セルロースを適量配合する方が好ましい。球状核の平均粒径は好ましくは50〜2000μmであり、さらに好ましくは50〜1000μm、特に好ましくは100〜700μmである。タッピング見掛け密度は好ましくは0.60g/cm3以上、さらに好ましくは0.70g/cm3以上、特に好ましくは0.80g/cm3以上である。真球度は好ましくは0.7以上であり、さらに好ましくは0.8以上である。また、その吸水率は好ましくは2〜15%、さらに好ましくは5〜15%であり、摩損度は好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。
【0009】
セルロース粉末の配合量が95重量%を超えると(トレハロース配合量が5重量%未満では)、核の吸水率が大きくなりすぎるため、結合液を多量に要し、薬物を含有する粉体の被覆に時間を要すので好ましくない。また、口中に残留した球状核がザラツキの原因となったり、入れ歯の隙間に侵入し、痛みを与える場合がある。
【0010】
球状核の平均粒径は、薬物を含む粉体の量や、被膜量、目標とする球形素顆粒、球形顆粒の粒径により決まるが、50μm未満では粉体のコーティングが困難で粒子の凝集が起こりやすくなる。球状核の平均粒径が2000μmを超えると被覆させる薬物の量が制限され好ましくない。タッピング見掛け密度が0.60g/cm3未満では、粉体の被覆時に核の流動性が悪くなり、均一なコーティングが困難になるので好ましくない。また真球度が0.7未満ではできあがりの、球形素顆粒、球形顆粒の真球度が悪く、製品美観上あるいは薬物溶出制御の点で好ましくない。また、球状核の吸水率が2%未満では結合液やコーティング液を噴霧した場合に、粒子の凝集、機壁への付着が多くなり、また吸水率が15%より大きいと核が吸収する液量が多くなるので粉体のコーティング速度が遅くなるという欠点がある。また、摩損度が1%より大きいとコーティング時に摩耗が起こり、収率、コーティング効率が悪くなる。
【0011】
本発明の球状核の成分について述べる。本発明で用いるセルロース粉末とは、結晶セルロース、粉末セルロースなどの、β−1,4グルカン粉末である。第13改正日本薬局方に適合する品質であることが好ましく、中でも結晶セルロースが好ましい。
【0012】
結晶セルロースとは木材パルプ、精製リンター、再生繊維等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解等により解重合した後精製した水質セルロース、及びこれを乾燥したセルロースあるいは前記化学処理の後に粉砕等の機械処理を施して得られるものであって、平均重合度は60〜350であることが好ましい。特に好ましくは100〜300である。ここでいう結晶セルロースとはX線回折法により測定した結晶化度が10%以上であるセルロースをいう。好ましくは40%以上である。また吸水量が1.0〜2.8ml/g、75μm以上の粒子の割合が80%以下であることが好ましい。平均重合度が60未満だとセルロース分子の絡み合いが少なくなるため球状核の摩損度が大きくなり、また350より大きいと繊維性が現れるため球状になりにくく好ましくない。
【0013】
本発明で使用するトレハロースとは、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、β,β−トレハロースであるが、天然に存在するα,α−トレハロースが好ましい。また、トレハロースは、固体状態では無水物と2水物の2種が存在するが、経時的な吸湿がない点から、2水物のほうが好ましい。特に結晶状態の2水物が好ましい。DSC測定による融解熱ピークが100℃付近に現れることにより、判別できる。
【0014】
また本発明で使用するトレハロースは、グルコース重合度が3以上の澱粉分解物から酵素処理して得られるものであり、例えば市販品(「トレハオース」(林原生物科学研究所製))や特開平7−143876号公報に記載される、澱粉分解物から酵素を用いる方法等で製造されるもの(グルコース重合度3以上から選ばれる1種または2種以上の還元性澱粉部分分解物を含有する溶液に、グルコース重合度3以上から選ばれる1種または2種以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質生成酵素を作用させ、次いでグルコアミラーゼ、またはα−グルコシダーゼを作用させ、トレハロースおよび夾雑糖類含有溶液とし、これを強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけ得られる、含量を向上させたトレハロース)を原料とし、これをさらに精製、粉砕、粒度調整等を経て得られるものが、コストの点から、産業利用上好ましい。
【0015】
トレハロースの純度は98.0%以上で、不純物としてのグルコース含量は1.0%未満であることが好ましい。トレハロースの純度が98.0%未満、あるいはグルコース含量が1.0%以上では、薬効成分との反応性が増加する傾向がある。トレハロースは、薬物の反応性を低減することが期待されているが、不純物としてグルコースが存在すると、薬物の安定性を損なう。より好ましくは、トレハロースの純度は99.0%以上である。また、好ましくはグルコース含量は0.5%以下である。特に好ましくは、グルコース含量は0.3%以下である。可能な限り、トレハロースの純度が100%に近く、グルコース含量が0%に近いほど好ましいが、収率が悪化しコスト高となるので、そのために必要な労力とその効果を鑑みて精製すれば良い。
【0016】
トレハロースの平均粒径は10〜350μmが好ましい。10μm未満だと粉体の凝集性が高まるため、球形化が困難となる。350μmを超えると結晶セルロースとの混合性が悪くなると同時に、小さい平均粒径の球状核を製造する場合には適さない。より好ましくは20〜250μm、さらに好ましくは30〜150μm、特に好ましくは30〜120μmである。
【0017】
トレハロースの粉体粒度において、75μm以上の粒子の割合は2〜90重量%であることが好ましい。2重量%未満だと球形化が困難である。また90重量を超えると、結晶セルロースとの混合性が悪くなる。より好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは10〜70重量%である。
【0018】
トレハロースの見かけ比容積は1.3〜3.5cm3/gが好ましい。1.3cm3/g未満だと、その他の添加剤との混合性が悪くなる。また、3.5cm3/gを超えると、粉体の流動性が著しく悪くなり、ハンドリング性が悪くなって実用的でない。より好ましくは1.5〜3.0cm3/g、特に好ましくは1.6〜2.5cm3/gである。さらにトレハロースの白色度は90%以上であることが好ましい。製剤において、外観上の色は白いほど品質が高いとされる場合が多く、また、着色を行う場合であっても、添加剤の白色度が高いほど綺麗な色となり好ましい。より好ましくは93%以上である。
【0019】
本発明の球状核の成分として、セルロース粉末、トレハロースの他に、該球状核の特徴である強度、吸水性、粘着性、低反応性のバランスを損なわない範囲で薬学的に不活性な添加物を使用することができる。例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤、界面活性剤などが挙げられる。賦形剤としては、乳糖、白糖等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、コメ澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉等のデンプン類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ酸アルミ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機類等が挙げられる。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポビドン等が挙げられる。結合剤としては、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、コンニャクマンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類等が挙げられる。流動化剤としては含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げられる。矯味剤としてはグルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、l−メントールなどが挙げられる。香料としてはオレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール等が挙げられる。着色剤としては食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、リボフラビンなどが挙げられる。甘味剤としてはアスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア等が挙げられる。界面活性剤としては、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0020】
本発明の球状核の製造方法について説明する。原料粉体をニーダー、プラネタリーミキサー、コロイドミル、リボンブレンダー等の汎用の練合機、磨砕機械、流動層造粒機、高速攪拌造粒機、オシレーティング造粒機、エクストルーダー等の押出造粒機、ドラムドライ、スプレードライ等の乾燥機、マルメライザー等の球形造粒機等の1種、または2種以上を組み合わせて加工することにより製造できる。例えば以下の方法により製造する。セルロース粉末を0〜95重量%、トレハロースを5〜100重量%含有する粉体を混合攪拌造粒機に入れ、蒸留水を加え練合する。蒸留水の代わりにヒドロキシプロピルセルロース、デンプン糊、ポリビニルピロリドン等の水溶液を結合液として用いても良い。その後、押出造粒機を用いて混練物の押出造粒を行う。その後押出物を転動型コーティング装置へ移し、球形化を行った後、乾燥し必要に応じて篩分し球形核を得る。この方法では、押出造粒時に混練物が強く圧密化されるので、セルロース粉末の含有量が少ない場合でも摩損度の小さい球状核ができる利点がある。トレハロースは、押出造粒時に押出をスムーズに行う潤滑剤としても働く。また、粉体を混合攪拌造粒機に入れ、蒸留水を加え練合後、造粒物を直接転動型コーティング装置へ移し、球形化を行うことも可能である。また、粉体を水に分散溶解後、噴霧乾燥し、必要に応じて篩分し球形核を得ることも可能である。このように本発明の球状核は高価な機器を使用せずとも、従来より使用されてきた安価な機器を組み合わせて製造することができる利点がある。
【0021】
本発明の球形素顆粒及び球形顆粒の製造方法について述べる。従来、薬物を含む粉体層の被覆、フィルムコーティングは有機溶媒系で行われることが多かったが、環境、コスト、残留溶媒などの問題のため徐々に水溶液系、水性懸濁液系への転換が図られている。従って、以下のように水溶液系、水性懸濁液系で行うことが好ましく、本発明の球状核の効果も水系においてより顕著に発現する。
【0022】
粉体層の被覆、フィルムコーティングは従来から行われる方法、例えば、転動流動層コーティング機、流動層コーティング機、ワースター型流動層コーティング機、転動型コーティング機、遠心転動型コーティング機、パン型コーティング機などで行うことができる。例えば、球状核を遠心流動型コーティング装置中で転動させながら、結合液含有水溶液を連続的に噴霧し、同時に薬物と必要ならば賦形剤とからなる粉体を供給し、球状核に粉体を被覆して球形素顆粒とする。あるいは球状核を流動層コーティング機中で流動させながら、結合水溶液中に薬物を溶解あるいは懸濁させた液を噴霧し、球状核に薬物を含む粉体を被覆し球形素顆粒とする。必要があれば球形素顆粒を乾燥後、コーティング剤の水溶液またはコーティング剤の水性懸濁液を噴霧し、乾燥させて防湿、苦味マスキング、腸溶性、徐放性等を目的とした被膜層を形成させ球形顆粒とする。また、薬物を含む粉体を被覆する際、コーティング剤の水溶液あるいはコーティング剤の水性懸濁液を同時に噴霧しても構わない。
【0023】
球形素顆粒、球形顆粒の粒径は、用いた球状核の粒径、薬物を含む粉体層の重量により決まるが、日局で定められる散剤、いわゆる細粒、顆粒剤など、約50〜2000μmの範囲で自在に製造することができる。また、用いる球状核に依存するが、粒度分布の狭い球状核を用いることにより、球形素顆粒、球形顆粒の粒度分布についても狭くすることができる。
【0024】
被覆に用いる粉体の量は、投与すべき薬物量や最終製剤の大きさ等によって異なるが、球状核に対しておおよそ1〜300%程度である。しかし必要によってはもっと多くても構わない。本発明の球状核に被覆する粉体は、医薬品薬効成分粉末、農薬成分粉末、肥料成分粉末、飼料成分粉末、食品成分粉末、化粧品成分粉末、色素粉末、香料粉末、金属粉末、セラミックス粉末、触媒粉末、界面活性剤粉末等を含んでも良い。またさらに、必要に応じて他の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤等を添加剤として含有することも自由である。医薬品薬効成分としては例えば抗生物質、化学療法剤、吸収促進剤、催眠鎮静剤、抗不安剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、骨格筋弛緩剤、自律神経用剤、鎮痙剤、循環・代謝改善剤、強心剤、不整脈用剤、降圧剤、血管拡張剤、血管補強剤、血管収縮剤、抗凝血剤、抗脂血症剤、利尿剤、解熱鎮痛消炎剤、中毒治療剤、抗ウイルス剤、抗潰瘍剤、胃腸薬、制酸剤、健康消化剤、整腸剤、利胆剤、肝臓疾患用剤、痛風治療剤、糖尿病用剤、骨粗鬆症治療剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳去痰剤、生薬、抗喘息剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。水溶性薬物の方が結合剤水溶液に溶解して粘着性を帯び、核粒子の付着凝集を起こしやすくなるので、本発明の球状核を用いる効果がより顕著になる。賦形剤としては、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、粉末セルロース等のセルロース類、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、マルトースなどの糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、コメ澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ(CS)、馬鈴薯澱粉、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプンなどのデンプン類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ酸アルミ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機類等が挙げられる。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポビドン等が挙げられる。結合剤としてはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウムなどのセルロース誘導体、デンプン糊、アルファー化デンプンなどのデンプン加工品、アラビアガム、プルランなどの多糖類、ポリビニルピロリドン(PVP)などの合成高分子、糖シロップなどの糖類などの水溶液が好ましい。薬物が水溶性の場合、薬物水溶液自体を結合剤水溶液として用いても良い。また、有機溶媒を用いる場合は、PVP、HPCなどを有機溶媒に溶解させて用いればよい。流動化剤としては含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げられる。矯味剤としてはグルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、l−メントールなどが挙げられる。香料としてはオレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール等が挙げられる。着色剤としては食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、リボフラビンなどが挙げられる。甘味剤としてはアスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア等が挙げられる。界面活性剤としては、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。コーティング機としては、転動型コーティング機、遠心流動型コーティング機、流動層コーティング機、ワースター型流動層コーティング機、転動流動層コーティング機、パンコーティング機など通常のコーティング機が使用できる。コーティング剤の水溶液としては、HPMC、HPC、PVP、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの水溶液が挙げられる。コーティング剤の水性懸濁剤としては、水不溶性のコーティング剤を懸濁状としたものであって、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなどのセルロース類、アクリル系共重合体類、ビニル系共重合体、シェラック、シリコン樹脂類などの水性懸濁液が挙げられる。市販品として例えば、TC−5(HPMC、信越化学(株)製)、微粉EC(EC、米国ダウケミカル社製)、Aquacoat(ECの水性懸濁液、米国FMC社製)、オイドラギットL−30D−55、同NE30D(両者ともアクリル共重合体の水性懸濁液、独レーム社製)などがある。これらコーティング剤は単独で用いても、2つ以上を組み合わせて用いても良い。また、有機溶媒を用いる場合は、上記のコーティング剤が溶解する溶媒系を用いて行う。エタノールあるいはアセトンなどの水と混和しうる有機溶媒と水の混液を用いても良い。また溶出速度調整のための水溶性物質、可塑剤、安定化剤、着色料、薬物等を必要に応じて加えても良い。被膜層の量はコーティングの目的、顆粒の粒径等によっても異なるが、球形素顆粒に対して1〜100%程度が好ましい。徐放性を目的とする場合、好ましくは5〜50%程度であり、苦味マスキング、防湿を目的とする場合は2〜30%程度コーティングすることが好ましい。得られた球形顆粒にさらに粉体層及びコーティング剤の被膜層を形成させても良い。得られた球形素顆粒及び球形顆粒は公知の方法によりカプセルに充填しても良く、あるいは結晶セルロースなど適当な添加剤と混合後圧縮し、錠剤としても良い。
【0025】
以下に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、結晶セルロース、トレハロース、球状核及び球形顆粒の物性評価方法は下記の通りである。ここではセルロース粉末として、結晶化度が10%以上の結晶セルロースを用いた。
【0026】
結晶セルロース
・平均重合度
第13改正日本薬局方、「結晶セルロース」確認試験(3)平均重合度測定法に従う。
【0027】
・吸水量
JIS K5101に記載の吸油量の測定法に準じ、油の代わりに蒸留水を用いる。終点は全体が一つの塊状となった後、離水し始める点とする。
【0028】
・75μm以上の粒子の割合
ロータップ式篩分機により目開き75μm(200メッシュ)のJIS標準篩を用いて試料30gを30分間篩分した後の、篩上の残留分である。
【0029】
トレハロース
・純度、グルコース含量
以下の方法で、結晶水は計算に入れず、糖類を無水物換算したものとして求める。
(a)サンプル1.0gを正確に量り、水に溶かして正確に100cm3とする。
(b)この溶液20μLにつき、以下に示す操作条件で液体クロマトグラフ法で分析する。
(c)オリゴ糖、トレハロース、グルコースの順にピークが現れる。
(d)自動積分法により測定し、全ピーク面積に対するトレハロースあるいはグルコースのピーク面積の比をもとめる。
【0030】
トレハロース純度(%)=(A2/(A1+A2+A3))×100
グルコース含量(%)=(A3/(A1+A2+A3))×100
A1:オリゴ糖のピーク面積
A2:トレハロースのピーク面積
A3:グルコースのピーク面積
【0031】
操作条件
検出器:示差屈折計(ERC−7515B)
カラム:MCI−GEL CK04SS(三菱化学(株))
カラム温度:85℃
移動相:水
流量:0.4cm3/min
【0032】
・白色度
トレハロースの粉末をカラーアナライザー(TC−1800MKII、東京電色(株)製)によりL、a,bの値を求め以下の式により算出した。
白色度=100−[(100−L)2+(a2+b2)]0.5
【0033】
・75μm以上の粒子の割合
篩目開き75μmの篩上にトレハロース5gを取り、エアージェットシーブ(200LS型、ALPINE製)にて5分間篩分したとき、篩に残留する粒子重量の全重量に対する重量百分率。
【0034】
・平均粒径
トレハロース5gを篩目開き500μm、300μm、250μm篩を用いて篩分し、また、篩目開き150μm、75μm、45μm、38μm、32μm篩を用いてエアージェットシーブにて篩分し各篩の篩上重量百分率[%]を求め、累積重量百分率が50%の時の粒子径で表した。
【0035】
・見掛け比容積
粉体10gを100cm3メスシリンダーに衝撃を与えずに静かに全量を流し込み(この時、メスシリンダーの内径より小さい円筒を入れ、粉体を流し込んだ後、円筒をゆっくり持ち上げる)、読みとった体積を粉体の重量で除した値で示した。
【0036】
球状核
・平均粒径
ロータップ式篩分機によりJIS標準篩を用いて試料30gを10分間篩分し、積算50重量%の粒度を平均粒径とする。
【0037】
・タッピング見掛け密度
試料30gを100cm3メスシリンダーに充填し、30回程度タッピングして求める。繰り返し数は3でその平均値をとる。
【0038】
・真球度
100個の粒子について個々の粒子の長径と短径を画像解析装置(Imagehyper、インタークエスト製)で求め、下式により真球度を計算した。
真球度=粒子の短径/粒子の長径
【0039】
・吸水率
球状核400g(固形分換算)を遠心流動型コーティング装置(フロイント産業(株)製、CF−360)中で回転させながら、3%HPC(低粘度タイプ)水溶液を6g/minの速度で噴霧する。核同士が付着し始めるまで行って終点とし、要した液重量(g)を求める。吸水率は以下の式で表される。なお式中の含水率は、球状核が元々含んでいる水分率である(トレハロース結晶中の2含水は除く)。
吸水率(%)=(液重量/400)×100+含水率(%)
【0040】
・摩損度
摩損度試験機に試料10gを仕込み、25rpmで15分間回転させ、粉化による重量減少を重量百分率で表す。繰り返し数は3でその平均値をとる。
【0041】
・反応性
球状核とアルギニンを等量混合し密栓瓶に入れ、40℃、75%RH加湿下で2週間放置したときの着色の程度を目視で観察した。
【0042】
記号の説明
◎:白色のまま
○:ほぼ白色だが、やや黄変の傾向あり。
△:やや黄変
×:黄変
【0043】
球形顆粒
・コーティング効率(%)
球形顆粒の回収量を、用いた原料の総量で除した重量百分率で表す。
【0044】
・凝集度(%)
球形顆粒を紙上に分散させ、凝集している粒の個数を数え、総個数で除した時の百分率で表す。n=1000で行う。
【0045】
実施例1
表1に示す結晶セルロース(a)400g、表2に示すトレハロースA600gをポリ袋中で混合後、プラネタリーミキサー5DM−R(品川製作所製)に入れ、蒸留水0.3kgを加え、5分間練合する。その後押出造粒機ドームグラン(不二パウダル(株)製、ダイ孔径0.5mmφ)を用いて押し出す。押出物0.6kgをとりマルメライザーQ−230(不二パウダル(株)製)へ移し、蒸留水を少量ずつ噴霧させながら500rpmで20分間転動させ球形化する。湿球状物をマルチプレックスMP−01(パウレック(株)製)で入口温度75℃で流動乾燥後、30メッシュ(目開き0.50mm)を通過し、60メッシュ(目開き0.25mm)上に残るように篩い、球状核(A)を得た。得られた球状核の物性を表3に示す。
【0046】
実施例2
表1に示す結晶セルロース(a)、表2に示すトレハロースBを用いる以外は実施例1と同様の方法で球状核(B)を得た。得られた球状核(B)の物性を表3に示す。
【0047】
実施例3
表1に示す結晶セルロース(b)を用い、水の添加量を減量する以外は実施例1と同様の方法で球状核(C)を得た。得られた球状核(C)の物性を表3に示す。
【0048】
実施例4
表1に示す結晶セルロース(c)を用い、水の添加量を減量する以外は実施例1と同様の方法で球状核(D)を得た。得られた球状核(D)の物性を表3に示す。
【0049】
実施例5
表1に示す結晶セルロース(d)を用い、水の添加量を増量すること、60メッシュ(目開き0.25mm)の代わりに70メッシュ(目開き0.212mm)を用いること以外は実施例1と同様の方法で球状核(E)を得た。得られた球状核(E)の物性を表3に示す。
【0050】
実施例6
表1に示す結晶セルロース(a)を用い、水の添加量を減量すること、30メッシュ(目開き0.5mm)の代わりに50メッシュ(目開き0.3mm)、60メッシュ(目開き0.25mm)の代わりに150メッシュ(目開き0.105mm)を用いること以外は実施例1と同様の方法で球状核(F)を得た。得られた球状核(F)の物性を表3に示す。
【0051】
実施例7
表1に示す結晶セルロース(a)を用い、水の添加量を増量すること、30メッシュ(目開き0.5mm)の代わりに24メッシュ(目開き0.71mm)、60メッシュ(目開き0.25mm)の代わりに50メッシュ(目開き0.3mm)を用いること以外は実施例1と同様の方法で球状核(G)を得た。得られた球状核(G)の物性を表3に示す。
【0052】
実施例8
表1に示す結晶セルロース(a)を用い、水の添加量を増量すること、30メッシュ(目開き0.5mm)の代わりに16メッシュ(目開き1.0mm)、60メッシュ(目開き0.25mm)の代わりに30メッシュ(目開き0.5mm)を用いること以外は実施例1と同様の方法で球状核(H)を得た。得られた球状核(H)の物性を表3に示す。
【0053】
実施例9
表1に示す結晶セルロース(e)を用い、水の添加量を減量する以外は実施例1と同様の方法で球状核(I)を得た。得られた球状核(I)の物性を表3に示す。
【0054】
実施例10
表1に示す結晶セルロース(f)を用い、水の添加量を増量する以外は実施例5と同様の方法で球状核(J)を得た。得られた球状核(J)の物性を表3に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
実施例11
実施例1の球状核(A)400gを遠心流動型コーティング装置(フロイント産業(株)製、CF−360)に入れ、エア温度40℃、ローター回転数160rpmとし、ヒドロキシプロピルセルロース[HPC(低粘度タイプ)]水溶液(3%W/V)を10ml/minの速度で噴霧しながら、下記組成粉体を造粒状態を見ながら供給し、粉体被覆を行う。その後顆粒を取り出し40℃で16時間乾燥させる。次いで目開き106μmの篩で微粉分をカットして球形素顆粒を得た。この球形素顆粒は、凝集度が非常に小さく、外観の良好な顆粒であった。
【0059】
粉体組成
テオフィリン(和光純薬(株)製)50g
白糖(九州製糖(株)製)100g
CS(日澱化学(株)製)50g
【0060】
次いで、球形素顆粒をCF−360装置に入れ、エア温度60℃、ローター回転数200rpmとし、下記組成の水性懸濁液を20ml/minの速度で噴霧し徐放性コーティングを行った。
【0061】
水性懸濁液
Aquacoat 400g
(EC水性懸濁液、30%W/V、米国FMC社製)
クエン酸トリエチル(東京化成(株)製) 25g
【0062】
コーティング終了後、60℃の乾燥機に1時間入れて球形顆粒を得た。結合液供給開始から粉体被覆終了までに要した時間(T(分))、得られた球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表4に示す。
【0063】
実施例12〜14
球状核(C)、(D)、(E)を用いる以外は、実施例11と同様に操作し球形顆粒を得た。T(分)、球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
実施例15
表5に示す処方(k)を用い、水の添加量を増量する以外は、実施例1と同様の方法で球状核(K)を得た。得られた球状核(K)の物性を表6に示す。
【0066】
実施例16
表5に示す処方(l)を用い、水の添加量を減量すること、30メッシュ(目開き0.5mm)の代わりに50メッシュ(目開き0.3mm)、60メッシュ(目開き0.25mm)の代わりに100メッシュ(目開き0.15mm)を用いること以外は、実施例1と同様の方法で球状核(L)を得た。得られた球状核(L)の物性を表6に示す。
【0067】
実施例17
表5に示す処方(m)を用い、実施例1と同様の方法で球状核(M)を得た。得られた球状核(M)の物性を表6に示す。
【0068】
実施例18
表5に示す処方(n)を用い、30%濃度の水溶液を作成後、入口温度150℃、排風温度70℃、水溶液流量5L/min.、ディスク回転数10000rpmで噴霧乾燥を行った。さらに60メッシュ(目開き0.25mm)を通過し、200メッシュ(目開き0.075mm)上に残留するよう篩分を行い、球状核(n)を得た。得られた球状核(N)の物性を表6に示す。
【0069】
比較例1
表5に示す処方(o)を用い、水の添加量を増量する以外は、実施例1と同様の方法で球状核(O)を得た。得られた球状核(O)の物性を表6に示す。
【0070】
比較例2
ノンパレル−101(市販品、フロイント産業(株)製:白糖75重量%、コーンスターチ25重量%)42メッシュ〜32メッシュを球状核(P)とする以外は実施例1と同様の方法で該球状核(P)を得た。その組成を表5に、その物性を表6に示す。
【0071】
比較例3
ノンパレル−103(市販品、フロイント産業(株)製:白糖100重量%)42メッシュ〜32メッシュを球状核(Q)とする以外は実施例1と同様の方法で該球状核(Q)を得た。その組成を表5に、その物性を表6に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
実施例19〜21
表6に示す球状核(K)、(L)、(M)を用いる以外は実施例11と同様に操作して球形顆粒を得た。T(分)、球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表7に示す。
【0075】
比較例4〜6
表6に示す球状核(O)、(P)、(Q)を用いる以外は実施例11と同様に操作して球形顆粒を得た。T(分)、球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表7に示す。
【0076】
【表7】
【0077】
実施例22
表3に示す球状核(A)500gをマルチプレックスMP−01流動層コーティング機に仕込み、入口温度を60℃として流動させながら、下記の薬物水溶液を10ml/minの速度で噴霧し薬物を被覆し、球形素顆粒を得た。この球形素顆粒は、凝集度が非常に小さく、外観の良好な顆粒であった。
【0078】
薬物溶液組成
スルピリン(保栄薬工(株)製) 100g
HPC(低粘度タイプ) 5g
蒸留水 145g
【0079】
次に苦味マスキングのため、TC−5(信越化学(株)製)水溶液(10%W/V)150mlを10ml/minの速度で噴霧する。その後顆粒を取り出し40℃で16時間乾燥させる。次に24メッシュを通過する顆粒について、150メッシュ(目開き106μm)の篩を通して微粉をカットし球形顆粒を得た。球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表8に示す。球形顆粒をしばらく口の中に含んでいたが、フィルムが溶解した後もトレハロースの存在により、スルピリンの苦味はほとんど感じられなかった。また、口中でのザラツキは感じられず、滑らかな感触であった。
【0080】
実施例23
球状核(N)を用いること、篩分を50メッシュと200メッシュを用いて行う以外は、実施例22と同様に操作し、球形顆粒を得た。球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表8に示す。実施例22と同様、球形顆粒をしばらく口の中に含んでいたが、フィルムが溶解した後もトレハロースの存在により、スルピリンの苦味はほとんど感じられなかった。また、口中でのザラツキは感じられず、滑らかな感触であった。
【0081】
比較例7
球状核(O)を用いる以外は実施例22と同様に操作して球形顆粒を得た。球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表8に示す。実施例22と同様、球形顆粒をしばらく口の中に含んでいたが、フィルムが溶解した後、スルピリンの苦味が感じられた。また、口中で球状核に起因するザラツキが感じられた。
【0082】
比較例8
球状核(P)を用いる以外は実施例22と同様に操作して球形顆粒を得た。球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表8に示す。実施例22と同様、球形顆粒をしばらく口の中に含んでいたが、フィルムが溶解した後、スルピリンの苦味が感じられた。
【0083】
【表8】
【0084】
実施例24
表6に示す球状核(M)400gを遠心流動型コーティング装置(フロイント産業(株)製、CF−360)に入れ、エア温度40℃、ローター回転数160rpmとし、ポリビニルピロリドン(BASF社製、K−30)水溶液(6%W/V)100mlを噴霧しながら、下記組成の粉体を供給し粉体コーティングを行う。その後顆粒を取り出し40℃で16時間まで乾燥させる。次に目開き106μmの篩を通して微粉をカットし球形素顆粒を得た。
【0085】
粉体組成
リボフラビン(和光純薬(株)) 20g
乳糖(DMV社製、200メッシュ) 60g
CS(日澱化学(株)) 20g
【0086】
次に球形素顆粒をCF−360装置に入れ、エア温度60℃、ローター回転数200rpmとし下記組成の水性懸濁液を15ml/minの速度で噴霧しコーティングを行う。
【0087】
水性懸濁液組成
オイドラギットL−30D−55 300g
(30%W/V、独レーム・ファルマ社製)
タルク(和光純薬(株)製) 15g
クエン酸トリエチル(和光純薬(株)製) 9g
蒸留水 136g
【0088】
コーティング終了後、40℃で16時間乾燥し、腸溶性球形顆粒を得た。得られた腸溶性球形顆粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表9に示す。
【0089】
比較例9
球状核(Q)を用いる以外は実施例24と同様に操作して球形粒を得た。球形粒の凝集度、コーティング効率の測定結果を表9に示す。
【0090】
【表9】
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、核が適度な溶解性、吸水性を有しているため、粉体層の被覆が良好になり、所望の溶出特性を付与できる等のコーティング性に優れた核粒子を提供することができる。また、本発明の核粒子は、薬物等に対して低反応性であるため、使用できる薬物の制限が少なくなるという効果も併せ持つ。
平均粒径、真球度、強度、吸水性などの特性のバランスがとれた本発明の球状核を用いることにより、核に薬物を含有する粉体を被覆し、さらにコーティング剤を被覆して球形顆粒を作る場合において、従来の白糖を主体とする核と比べて、顆粒同士の凝集が1/10程度に著しく減少し、コーティング効率が5%程高く、かつ薬物との反応性が抑制された商品価値の高い球形顆粒を容易に製造できる。
また、本発明の球状核は、従来の結晶セルロースを主体とする球状核と比べて、吸水率が抑えられ、かつ核への粉体の付着力が強いため、粉体被覆速度が速く、また、結合液量も少なくて良い。また、口中でのザラツキ感が無く、感触が良好である。
Claims (3)
- セルロース粉末を0〜95重量%、トレハロース2水物を5〜100重量%含有し、平均粒径が50〜2000μm、タッピング見掛け密度が0.60g/cm3以上、摩損度が1%以下である薬物がコーティングされる球状核。
- 請求項1記載の球状核まわりに薬物を含有する粉体層を有する球形素顆粒。
- 請求項2記載の球形素顆粒のまわりに被覆層を有する球形顆粒。
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