JP6744517B1 - セルロース組成物、錠剤及び口腔内崩壊錠 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、特許文献1では、純粋なセルロース粉末であることを前提としており、セルロースを含む組成物としては、口腔内崩壊錠に求められる崩壊性と保存安定性の点において、改善の余地が残されている。
(1) セルロースと、グルコースと、ソルビトールとを含むセルロース組成物であり、前記セルロース組成物5gあたり、グルコース及びソルビトールの合計含有量が0.7mg以上4.0mg以下であり、前記セルロース組成物が粉体であり、前記粉体は、セルロースと、グルコースと、ソルビトールとを含む粒子からなる、セルロース組成物。
(2) 前記セルロース組成物5gあたり、水可溶物の含有量が2.5mg以上12.5mg以下である、(1)に記載のセルロース組成物。
(3) 前記セルロース組成物5gあたり、グルコースの含有量が0.3mg以上4.0mg以下である、(1)又は(2)に記載のセルロース組成物。
(4) 前記セルロース組成物5gあたり、ソルビトールの含有量が0.2mg以上4.0mg以下である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載のセルロース組成物。
(5) 前記セルロース組成物が粉末であり、該粉末の平均粒子径が10μm以上200μm以下である、(1)〜(4)のいずれか一つに記載のセルロース組成物。
(6) 吸水速度が2.0g2/s以上9.0g2/s以下である、(1)〜(5)のいずれか一つに記載のセルロース組成物。
(7) (1)〜(6)のいずれか一つに記載のセルロース組成物を含む、錠剤。
(8) (1)〜(6)のいずれか一つに記載のセルロース組成物を含む、口腔内崩壊錠。
本実施形態のセルロース組成物は、セルロースと、グルコースと、ソルビトールとを含む。前記セルロース組成物5gあたりの単糖、すなわち、グルコース及びソルビトールの合計含有量は0.7mg以上4.0mg以下であり、1.0mg以上3.5mg以下が好ましく、2.0mg以上3.0mg以下がより好ましい。
セルロース組成物5gあたりの単糖の含有量が上記範囲内であることにより、口腔内崩壊錠としたときの崩壊性を良好なものとすることができる。また、錠剤としたときの保存安定性を良好なものとすることができる。なお、セルロース組成物が粉体の場合、一つの粒子の中にセルロースと、グルコースと、ソルビトールとを含むものであることが望ましい。
セルロース組成物中の水可溶物が上記範囲内であることにより、口腔内崩壊錠としたときの芯残りを抑制することができ、崩壊性を良好なものとすることができる。
セルロース組成物中のグルコース含有量が上記範囲内であることにより、口腔内崩壊錠としたときの芯残りを抑制することができ、崩壊性を良好なものとすることができる。また、錠剤に含まれる活性成分とグルコースとの反応を抑制することができ、その結果として、錠剤としたときの保存安定性を良好なものとすることができる。
セルロース組成物中のソルビトール含有量が上記範囲内であることにより、口腔内崩壊錠としたときの芯残りを抑制することができ、崩壊性を良好なものとすることができる。また、錠剤に含まれる活性成分とソルビトールとの反応を抑制することができ、その結果として錠剤としたときの保存安定性を良好なものとすることができる。
吸水速度が上記範囲内であることにより、口腔内崩壊錠としたときの芯残りをより効果的に抑制することができ、崩壊性をより良好なものとすることができる。
本実施形態におけるセルロース組成物は、粉末、顆粒、ペースト、ウェットケークのいずれかの形態であることが好ましい。取り扱い性の観点から、セルロース粉末であることが好ましい。セルロース粉末とは、一般に結晶セルロース、粉末セルロース等と称されるものであり、医薬品添加剤又は食品添加物として好適に用いられるものである。セルロース粉末として好ましくは、結晶セルロースである。結晶セルロースとしては、たとえば、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)で定められた微結晶セルロース、食品添加物公定書第8版(日本、厚生労働省発行)に記載された微結晶セルロース、日本薬局方(第17改定)に記載に記載された結晶セルロース、米国薬局方、欧州薬局方などに記載された結晶セルロースが知られている。
なお、成形性、流動性、崩壊性のバランスを良好にする観点から、セルロース組成物中のセルロースの平均重合度は400以下が好ましく、350以下がより好ましい。平均重合度の下限値は100以上が好ましい。セルロースの平均重合度は日本薬局法の結晶セルロースの確認試験(3)、又は、同薬局方の粉末セルロースの確認試験(3)に記載された銅エチレンジアミン溶液粘度法により測定することができる。
本実施形態のセルロース組成物が粉末である場合、平均粒子径が10μm以上200μm以下が好ましく、15μm以上90μm以下がより好ましく、20μm以上80μm以下がさらに好ましく、30μm以上70μm以下が特に好ましく、40μm以上60μm以下が最も好ましい。
平均粒子径が上記上限値以下であることにより、薬物等の活性成分と均一に混合されやすく、口腔内崩壊錠としたときの崩壊性が良好になる。一方、平均粒子径が上記下限値以上であることにより、取り扱い性が良好になる。
ゆるみ嵩密度が上記下限値以上であることにより、圧縮成形性をより向上させることができる。一方、ゆるみ嵩密度が上記上限値以下であることにより、充填性がより良好になる。
ゆるみ嵩密度は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
かため嵩密度が上記下限値以上であることにより、薬物等の活性成分と均一に混合されやすく、取り扱い性がより良好になる。一方、かため嵩密度が上記上限値以下であることにより、活性成分やその他添加剤の粒子との密度差による偏析が生じることをより効果的に抑制することができる。
かため嵩密度は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
圧縮率が上記範囲内であると、セルロース粉末自身の流動性がより良好となり、偏析が生じることをより効果的に抑制することができる。
圧縮率は、後述する実施例に記載の方法を用いて算出することができる。
アスペクト比が上記範囲内であることにより、活性成分との混合性も良好であり、細長い粒子同士の絡み合いも適度であり、成形性と崩壊性のバランスに優れる。
アスペクト比(L/D)は、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
以下に本実施形態のセルロース組成物の製造方法の一例について記述する。ただし、本件実施形態のセルロース組成物は、下記の製造方法で得られるものに限定されない。
本実施形態のセルロース組成物は、例えば、加水分解処理された天然セルロース系物質を適当な媒体に分散してセルロース水分散液を得る工程、該水分散液を乾燥する工程を含むことにより得られる。該セルロース水分散液の固形分濃度は特に限定されるものではなく、例えば、1質量%以上30質量%以下とすることができる。この場合、加水分解処理により得られる加水分解反応溶液から、加水分解処理されたセルロース系物質を含む固形分を単離し、別途これを適当な媒体に分散させて調製した分散液を乾燥してもよい。また、このセルロース分散液に、セルロース組成物中のグルコース及びソルビトールの含有量が特定の範囲内となるように、グルコースやソルビトールを添加し、混合した後に乾燥してもよい。また、同加水分解溶液がそのままの状態で、セルロース分散液を形成している場合はこの分散液を直接乾燥することもできる。
前記の噴霧乾燥の際には、分散液の表面張力を下げる目的で、微量の水溶性高分子、界面活性剤を添加してもよく、媒体の気化速度を促進させる目的で分散液に発泡剤又はガスを添加してもよい。
乾燥後のセルロース粉末の平均粒子径が100μm未満の場合でも、セルロース粉末を撹拌造粒や流動層造粒等の造粒法を用いることにより、平均粒子径を100μm以上200μm以下程度の所望の範囲に調整可能である。
本実施形態のセルロース組成物は、活性成分を含む組成物に配合することで、崩壊性を良好に保ちながら、保存安定性に優れる錠剤が得られる。後述する実施例に示すように、本実施形態のセルロース組成物は、口腔内崩壊錠としたときの崩壊性に優れることから、口腔内崩壊錠の賦形剤として好適に用いられる。
以降、錠剤化のための組成物であって、1種以上の活性成分と本実施形態のセルロース組成物を含む組成物を、「本実施形態の組成物」という。
医薬品薬効成分としては、経口投与される医薬品の有効成分が好ましい。経口投与される医薬品としては、例えば、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗鬆症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤等が挙げられる。薬効成分は、それを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水難溶性で固体状の活性成分としては、例えば、アセトアミノフェン、イブプロフェン、安息香酸、エテンザミド、カフェイン、カンフル、キニーネ、グルコン酸カルシウム、ジメチルカプロール、スルフアミン、テオフィリン、テオプロミン、リボフラビン、メフェネシン、フェノバービタル、アミノフィリン、チオアセタゾン、クエルセチン、ルチン、サリチル酸、テオフィリンナトリウム塩、ピラピタール、塩酸キニーネ、イルガピリン、ジキトキシン、グリセオフルビン、フェナセチン等の解熱鎮痛薬、神経系医薬、鎮静催眠薬、筋弛緩剤、血圧硬化剤、抗ヒスタミン剤等;アセチルスピラマイシン、アンピシリン、エリスロマイシン、キサタマイシン、クロラムフェニコール、トリアセチルオレアンドマイシン、ナイスタチン、硫酸コリスチン等の抗生物質;メチルテストステロン、メチルアンドロステトロンジオール、プロゲステロン、エストラジオールベンゾエイト、エチニレストラジオール、デオキシコルチコステロン・アセテート、コーチゾンアセテート、ハイドロコーチゾン、ハイドロコーチゾンアセテート、プレドニゾロン等のステロイドホルモン剤;ジエンストロール、ヘキサストロール、ジエチルスチルベステロール、ジエチルスチルベステロールジブロヒオネイト、クロロトリアニセン等の非ステロイド系卵黄ホルモン剤;その他脂溶性ビタミン類等の、「日本薬局方」、「局外基」、「USP」、「NF」、「EP」に記載の医薬品薬効成分等が挙げられる。前記から選ばれる1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。水難溶性であれば、昇華性、表面極性の程度にかかわらず、本実施形態の組成物に活性成分として配合することで、本発明の効果が得られるものである。
1錠当たりの最大配合量が少ない薬効成分としては以下に挙げられる100mg以下、10mg以下の薬効成分が挙げられる。
本実施形態の組成物は、前記の活性成分に加えて、さらに他の添加剤を含有してもよい。
その他の添加剤としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤等が挙げられる。
以下に、1種以上の活性成分と本実施形態のセルロース組成物とを含む組成物を錠剤化して錠剤を製造する方法(本実施形態の錠剤の製造方法)について記述するが、これは一例であって、本実施形態の効果は、以下の方法に制限されるものではない。
錠剤に成形する方法としては、例えば、活性成分と本実施形態のセルロース組成物を混合したもの、又は1種以上の活性成分と本実施形態のセルロース組成物と、必要に応じて他の添加剤を混合したものをそのまま圧縮成型する直接打錠法が挙げられる。その他、予め圧縮成形した錠剤を内核とする多核錠、予め圧縮した複数の成形体を重ねて再度圧縮する多層錠の製造方法等の製造方法を使用してもよい。生産性、工程管理のし易さから、直接打錠法が好ましい。
[分析1]
(セルロース組成物中の水可溶物の含有量の測定方法)
第17改正日本薬局方の結晶セルロースの純度試験(2)の方法を参考に、次の手順でセルロース組成物中の水可溶物の含有量を測定した。
セルロース組成物5.0gに精製水80mLを加え、10分間振り混ぜた。その後、定量分析用ろ紙(5種C)を用いて、セルロース組成物含有溶液を吸引ろ過した。ろ液を質量既知のビーカー中で焦がさないように蒸発乾固した後、105℃で1時間乾燥し、デシケーター中で放冷して、残留物を得た。その後、得られた残留物の質量を量り、残留物の質量を求めた。各粉体2回の測定を行い、平均値を採用した。また、上記操作でセルロース組成物5.0gを加えず、精製水80mLのみで行った試験を空試験とし、空試験で検出された水可溶物の量を測定値から引いた値を得た。この値について、小数点第二桁を四捨五入し、水可溶物量の測定値とした。本試験方法で求められる水可溶物量はセルロース組成物5gに含まれる水可溶物の量である。
(セルロース組成物中の糖(グルコース、ソルビトール、セロビオース)の含量測定)
上記「分析1」で得られた水可溶物の乾固物全量に50%(v/v)アセトニトリル水溶液を10mL加えて再溶解させ、加え、フィルター(0.20μm)でろ過し、LC/MSを用いて、グルコース、ソルビトール、セロビオースの含量測定を行った。LC/MS測定の測定条件は下記のとおりである。
測定溶液の調製、希釈時は精密天秤を使用し、重量を用いてサンプル濃度、希釈率を求めた。
また、グルコース、ソルビトール、セロビオースの含量測定にあたって、グルコース、ソルビトール、セロビオースは市販品を用いて調製した既知濃度の溶液をLC/MS分析し、各糖に対応する保持時間とm/zのイオンクロマトグラムのピーク面積を求め、検量線(サンプル濃度−ピーク面積)を作成した。この検量線を用いて、水可溶物(セルロース組成物5g)中の各糖の含有量を求めた。なお、各糖の含有量は、小数点第二桁を四捨五入した値で表記する。
LC装置:島津製作所製、Nexera
カラム:Shodex製、Asahipak NH2P−50 2D(2mm I.D.×150mm)
カラム温度:40℃
検出器:PDA検出器200〜400nm
流速:0.3mL/min
移動相:A=精製水、B=アセトニトリル
グラジエント:グラジエントの条件は、以下の表1に示す。
注入量:10μL
MS装置:Waters製、Synapt G2
イオン化条件:ESI−
スキャンレンジ:m/z 50〜2000
[物性1]
(吸水速度)
ペネトアナライザー(型式:PNT−N、ホソカワミクロン製)を用いて、吸水速度を測定した。
具体的には、まず、静電気による測定値のばらつきを抑えるため、測定前に、家庭用洗剤を1%含有する水溶液を染み込ませ、絞ったタオルで測定セルの底面を拭き上げ、自然乾燥させた。測定セルに底板、ろ紙をセットし、セルロース組成物5gを入れ、付属のタッピング装置でタッピングした(300回、18mm、錘198g)。タッピングしたサンプルをセルホルダーに取り付けて、ペネトアナライザー本体に取り付けた。室温(25℃)にて、溶媒(精製水、300mL)、測定時の昇降条件((1)1.5mm/s、(2)0.1mm/s、(3)0.5mm/s、手動1.5mm/s)として測定した。縦軸:質量の2乗(g2)、横軸:測定時間(吸水開始したからの経過時間)(s)とする吸水曲線の直線領域(吸水量飽和量の1/3から2/3までの領域)で吸水曲線を直線近似し、近似直線の傾きを浸透速度係数(g2/s)として求めた。
(平均粒子径)
レーザー回折式粒度分布計(LA−950 V2(商品名)、堀場製作所製)を使用し、乾式測定モードにて圧縮空気圧0.10MPa、フィーダー速度160、フィーダー初速度係数1.2、屈折率1.51で測定した。測定により得られた累積体積50%粒子を、セルロース組成物の平均粒子径(μm)とした。
(ゆるみ嵩密度)
測定には、水分含有量を3.5質量%以上4.5質量%以下に調整したセルロース組成物を用いた。セルロース組成物の水分含有量の範囲が下側に外れた場合は、恒温恒湿機等でセルロース組成物に水分を吸湿させて調整した。また、上側に外れた場合は、熱風オーブンにて60℃の熱風をセルロース組成物に均等に与えて水分を範囲内に調整した。
セルロース組成物のゆるみ嵩密度の測定にはスコットボリュメーター(型式ASTM B−329−85、筒井理化学器械製)を使用し、篩(目開き1mm)を通じてセルロース組成物を25mLの円筒金属容器に充填した。25mLの円筒金属容器に入ったセルロース組成物を摺り切り、容器に入ったセルロース組成物の質量(g)を25mLで除して、ゆるみ嵩密度(g/mL)を求めた。測定は5回実施し、平均値を求めた。
(かため嵩密度)
測定には、水分含有量を3.5質量%以上4.5質量%以下に調整したセルロース組成物を用いた。セルロース組成物の水分含有量は、「物性3」に記載の方法を用いて当該範囲に収まるように調整した。粉体物性測定機(PT−R、ホソカワミクロン製)にて、かため嵩密度(かため見掛け比重)(g/mL)を計算した。使用した篩の目開きは710μm、ロートは金属製(静電防止スプレー塗布)の内径0.8cmのものを使用した。VIBRATIONは2.0(供給電源:AC100V、60Hz)で実施した。
(圧縮率)
下記に示す式により、各セルロース組成物の圧縮率を算出した。
(セルロース粒子の短径に対する長径の比(L/D))
セルロース組成物をガラス板上に分散させ、マイクロスコープ(VHX−1000、キーエンス製)を用いて倍率500倍で撮影した。撮影した画像を、画像処理解析システムソフトウェア(Image HyperII、DigiMo製)を用いて以下の手順で解析して、粒子のアスペクト比(短径に対する長径の比;L/D)を測定した。少なくとも50個の粒子について測定を行い、平均値を求めた。
マイクロスコープで撮影した画像をモノクロで解析ソフトに取り込み、画像のスケールの設定を2点間距離法で行った。次に、2値化処理にて「大津法」を選択し、閾値の設定を行った。最適な閾値は画像ごとに異なるため、元画像と見比べつつ、なるべく元の粒子の形状と一致するよう、閾値を選択した。
撮影した元画像と見比べつつ、粒子同士が重なっているもの、画面からはみ出ている粒子、不鮮明で輪郭がぼやけている粒子等、適切な測定結果が得られない粒子は削除し、測定対象から除外した。
「穴埋め」のモードで、「近傍」は「8」を選択し、「穴埋め」を実行した。次に、再度、「2値画像手補正」にて元画像と比較を行い、正常に補正できているか確認した。正常に補正できていない場合は、再度手補正を行った。
削除画素数を「100」に設定し、「近傍」は「8」を選定した後、「画像計測」を実行した。測定粒子1個毎に「長径」及び「短径」の計測結果が、パソコン上にて表示される。「長径」を「短径」で除した数値をアスペクト比とした。
以下に示す方法を用いて、口腔内崩壊錠(OD錠)及び錠剤を作製し、各種評価を行った。
以下に示す処方粉末をポリ袋に入れて1分間振り混ぜて混合した。次いで、混合粉末を710μmの篩で篩過し、さらに滑沢剤(フマル酸ステアリルナトリウム)をOD錠の総質量に対して1質量%となるように添加して、30秒混合した。次いで、混合粉末をロータリー打錠機(菊水製作所製、クリーンプレス コレクト12HUK、12本杵、ターンテーブル54rpm)で打錠し、Φ8mm−12R 200mg錠を得た。打錠圧力は、錠剤硬度が80N以上90N以下になるように適宜設定した。
直打用マンニトール(Mannogem EZ、旭化成製):70質量%
部分α化澱粉(PCS、PC−10、旭化成製):10質量%
クロスカルメロースナトリウム(キッコレート ND−200、旭化成製):5質量%
セルロース組成物:15質量%
(硬度)
各OD錠に対して、打錠直後から20時間以上48時間以下経過した後に、その硬度を硬度計(DR.SCHLEUNIGER Tablet Tester 8M)で測定した。各打圧5錠の平均値をOD錠の硬度(N)とした。
(口腔内崩壊時間)
口腔内崩壊時間の測定には、口腔内崩壊錠試験機(富山産業株式会社製、型式ODT−101)を用いた。試験液:水(37±1℃)、錘直径:φ20mm、錘質量:20g、回転速度:140rpm、OD錠厚み:4.0mmの条件で、OD錠を試料固定枠の中央の穴の左端に寄せてセットし、崩壊時間を測定した。6錠の平均値をOD錠の口腔内崩壊時間とした。
(芯残り)
OD錠の芯残りは、口腔内崩壊錠試験機を使って、評価した。まず、「評価2」に記載した口腔内崩壊時間を測定し、口腔内崩壊時間を求めた。次に、OD錠の芯残りを評価するために、OD錠の崩壊時間のカウントスタートから「得られた口腔内崩壊時間の75%の時間」で崩壊試験機を停止させ、OD錠の固い断片が残っているかを確認した。以下の評価基準に従い、芯残りを評価した。3回試験を行い、2回以上(+)判定があったものを(+)とした。
(+)OD錠の固い断片が残っていたもの
(−)OD錠の固い断片が残っていなかったもの
セルロース組成物:アミノフィリン=1:1(質量部)としてポリ袋で混合した粉体を静圧打錠機(打圧7kN、保持時間10秒)で打錠し、φ11.3mm、500mgの平錠を打錠した。
(保存安定性)
打錠直後と保存後の錠剤の白色度変化により、セルロース組成物と薬物との反応性を確認した。
上記作製方法で得られた錠剤について、打錠直後に分光式色彩計(SE−2000、日本電色工業製)を用いて、明るさ(L)、彩度(緑〜赤)(a)、彩度(青〜黄)(b)の値を求めた。次いで、以下の式を用いて白色度を算出した。
[調製例1]
(湿フロックXの調製)
市販のパルプを細断したもの2kgと、塩酸水溶液30Lとを低速型攪拌機(池袋琺瑯工業(株)製、30LGL反応器(商品名))に入れ、攪拌しながら、加水分解し(反応条件:塩酸濃度0.5%、反応温度120℃、反応時間1.0時間、撹拌速度220rpm)、酸不溶解性残渣を得た。得られた酸不溶解性残渣を濾液の電気伝導度が100μS/cm未満になるまで純水で十分に洗浄した後、ろ過し、湿フロックXを得た。湿フロックXの平均重合度を日本薬局方の結晶セルロースの確認試験(3)に記載された銅エチレンジアミン溶液粘度法により測定したところ、平均重合度は170であった。
[実施例1]
(セルロース粉末Aの製造)
湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで分散し、分散液30kgを調製した。分散液を攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、グルコース1.56gを加えて撹拌し、噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース組成物Aを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量4.9mg、グルコース量2.9mg、ソルビトール量0.2mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Bの製造)
湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで分散し、分散液30kgを調製した。分散液を攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、グルコース0.81gを加えて撹拌し、噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース組成物Bを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量3.7mg、グルコース量1.7mg、ソルビトール量0.2mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Cの製造)
実施例2で得られたセルロース組成物B 800gを高速撹拌造粒機に仕込み、造粒し、流動層で乾燥後、500μmの篩で篩過し、セルロース組成物Cを得た(造粒条件:加水量600g、造粒時間20分、メインブレード400rpm、クロススクリュー500rpm;乾燥条件:乾燥温度80℃)。セルロース組成物5g中の水可溶物量3.4mg、グルコース量1.6mg、ソルビトール量0.2mg、セロビオース量0.6mgであった。
(セルロース組成物Dの製造)
実施例2で得られたセルロース組成物Bをジェットミル粉砕機で粉砕し、セルロース組成物Dを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量4.0mg、グルコース量1.8mg、ソルビトール量0.2mg、セロビオース量0.8mgであった。
(セルロース組成物Eの製造)
実施例2で得られたセルロース組成物Bを超遠心粉砕機で粉砕し、セルロース組成物Eを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量4.3mg、グルコース量2.0mg、ソルビトール量0.2mg、セロビオース量0.8mgであった。
(セルロース組成物Fの製造)
湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで分散し、分散液30kgを調製した。分散液を攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、グルコース0.19gを加えて撹拌し、噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース組成物Fを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量2.7mg、グルコース量0.7mg、ソルビトール量0.2mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Gの製造)
湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで分散し、分散液30kgを調製した。分散液を攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、ソルビトール2.0gを加えて撹拌し、噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース組成物Gを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量5.6mg、グルコース量0.4mg、ソルビトール量3.4mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Hの製造)
湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで分散し、分散液30kgを調製した。分散液を攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、ソルビトール1.0gを加えて撹拌し、噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース組成物Hを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量4.0mg、グルコース量0.4mg、ソルビトール量1.8mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Iの製造)
実施例8で得られたセルロース組成物H 800gを高速撹拌造粒機に仕込み、造粒し、流動層で乾燥後、500μmの篩で篩過し、セルロース組成物Iを得た。造粒条件及び乾燥条件は、実施例3と同様の条件とした。セルロース組成物5g中の水可溶物量3.8mg、グルコース量0.4mg、ソルビトール量1.7mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Jの製造)
実施例8で得られたセルロース組成物Hをジェットミル粉砕機で粉砕し、セルロース組成物Jを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量4.2mg、グルコース量0.4mg、ソルビトール量1.9mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Kの製造)
実施例8で得られたセルロース組成物Hを超遠心粉砕機で粉砕し、セルロース組成物Kを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量4.5mg、グルコース量0.5mg、ソルビトール量2.0mg、セロビオース量0.8mgであった。
(セルロース組成物Lの製造)
湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで分散し、分散液30kgを調製した。分散液を攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、ソルビトール0.13gを加えて撹拌し、噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース組成物Lを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量2.6mg、グルコース量0.4mg、ソルビトール量0.4mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Mの製造)
湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで分散し、分散液30kgを調製した。分散液を攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、グルコースは添加せずに撹拌し、噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース組成物Mを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量2.4mg、グルコース量0.4mg、ソルビトール量0.2mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース組成物Nの製造)
湿フロックXを90Lポリバケツに導入し、全固形分濃度が10質量%になるように純水を加え、スリーワンモータで分散し、分散液30kgを調製した。分散液を攪拌しながら、アンモニア水で中和し(中和後pH7.5以上8.0以下)、グルコース2.31gを加えて撹拌し、噴霧乾燥して(条件:分散液供給速度6kg/時間、入口温度180℃以上220℃以下、出口温度50℃以上70℃以下)、セルロース組成物Nを得た。セルロース組成物5g中の水可溶物量6.1mg、グルコース量4.1mg、ソルビトール量0.2mg、セロビオース量0.7mgであった。
(セルロース混合物Oの製造)
比較例1で得られたセルロース組成物M 100gに粉末のグルコース50mgを添加して、ポリ袋を用いて、振りまぜて混合し、セルロース組成物Aの組成に相当する物理混合品として、セルロース混合物Oを得た。
セルロース組成物A〜L(実施例1〜12)において、グルコース又はソルビトールの含量の増加に伴い、口腔内崩壊時間がより短くなる傾向が見られた。
また、セルロース組成物5g中のグルコース又はソルビトール含量の減少に伴い、保存安定性がより向上する傾向が見られた。
なお、セルロース組成物Aを用いた錠剤では、白色度変化が−9%であったが、目視では色の変化を確認することはできなかった。
また、セルロース組成物中のグルコースの含有量が4.0mg超であるセルロース組成物N(比較例2)では、口腔内崩壊時間は21秒であり、芯残りがなかったが、白色度変化が−12%と保存前と比較して保存後での色の変化が目視でも確認できるほど大きく、保存安定性が劣っていた。
さらに、セルロース組成物Mにセルロース組成物A(実施例1)と同量となるようにグルコースを添加したセルロース混合物O(比較例3)では、保存安定性は良好であったが、口腔内崩壊時間は33秒と長く、芯残りが見られた。
Claims (8)
- セルロースと、グルコースと、ソルビトールとを含むセルロース組成物であり、
前記セルロース組成物5gあたり、グルコース及びソルビトールの合計含有量が0.7mg以上4.0mg以下であり、
前記セルロース組成物が粉体であり、前記粉体は、セルロースと、グルコースと、ソルビトールとを含む粒子からなる、セルロース組成物。 - 前記セルロース組成物5gあたり、水可溶物の含有量が2.5mg以上12.5mg以下である、請求項1に記載のセルロース組成物。
- 前記セルロース組成物5gあたり、グルコースの含有量が0.3mg以上4.0mg以下である、請求項1又は2に記載のセルロース組成物。
- 前記セルロース組成物5gあたり、ソルビトールの含有量が0.2mg以上4.0mg以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロース組成物。
- 前記セルロース組成物が粉末であり、該粉末の平均粒子径が10μm以上200μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロース組成物。
- 吸水速度が2.0g2/s以上9.0g2/s以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロース組成物を含む、錠剤。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロース組成物を含む、口腔内崩壊錠。
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