JP4596586B2 - トレハロース粒子 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、医薬用途において流動性が良好でかつ圧縮性に優れるトレハロース粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】
錠剤の硬度は輸送運搬中に欠けや摩損が生じないことが要求されるため、賦形剤の圧縮成形性は高いほどよい。賦形剤の圧縮成形性が低いと、添加量を増加させねばならず、医薬品有効成分が多い場合や服用のしやすさ等の観点から小型化する際には不都合を生じる。
トレハロースを医薬品用の結合剤として使用することに関しては、例えば特開平6−217716号公報に澱粉類の添加剤より優れた圧縮成形性を示すこと、またトレハロースの粒度をコントロールする、あるいはその他の添加剤との混合物を造粒する(転動流動層、流動層造粒等)あるいは噴霧乾燥することにより直接打錠用の添加剤として有用なことが記載されている。これによればトレハロースの圧縮成形性は造粒乳糖並であることから、医薬品錠剤用の硬度としては十分でなく輸送運搬中に錠剤が摩損する等の問題が生じることが予想される。
【0003】
また該公報には粒度をコントロールすること、あるいはその他の添加剤との混合物を造粒する(転動流動層、流動層造粒等)あるいは噴霧乾燥することで直接打錠用の有用な添加剤となりうることが記載されている。しかし、これらの造粒操作によって得られるトレハロースのうち、成形性が高くかつ流動性に優れるトレハロースの物性については知られていなかった。また、特開平11−140094号公報に噴霧乾燥して粉末トレハロースを得ることが記載されているが、得られたトレハロースの物性について記載がなく、またトレハロース以外に単糖類、二糖類を含むが、本発明のトレハロース粒子はこれらを含まない。また、特開平7−143876号公報にトレハロースを医薬用の賦形剤として使用できることが記載されているが、トレハロースの物性については純度以外に記載がなく、圧縮成形性、流動性をバランス良く付与するために必要なトレハロースの物性については知られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
トレハロースを医薬品用の賦形剤、主として結合剤に用いる場合、特に直接打錠法において流動性等の、ハンドリング、生産性、薬物含量均一性等に及ぼす粉体物性と輸送中に摩損を生じない程度の錠剤硬度を付与することが求められる。
本発明は医薬品、食品、化粧品、工業用品等の広い分野において、特に医薬品分野において流動性が良好でかつ十分な圧縮成形性を有するトレハロース粒子を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記従来技術の課題を種々検討した結果、トレハロースの物性をコントロールすることによりトレハロースの流動性を改善しかつ圧縮成形性を大幅に向上させることに成功し本発明を完成させるに到達した。即ち、本発明は、
(1)原料トレハロースを精製し、純度を99.0%以上とした後、
水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で溶解もしくは懸濁する工程を経て造粒する、
あるいは水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤する工程を経て造粒することを特徴とする、
純度が99.0%以上、平均粒径が10〜350μm、見掛け比容積が1.2〜2.5cm3/g、圧縮度が40%以下、0.5gを50MPaで圧縮して得られる底面積1cm2の円柱状成型物の錠剤硬度が30N以上であるトレハロース粒子の製造方法。
(2)原料トレハロースを精製し、純度を99.0%以上とした後、
水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物を用いて、スラリー濃度がトレハロース固形分で5〜50重量%となるように、溶解、もしくは懸濁する工程を経て噴霧乾燥により造粒することを特徴とする、(1)に記載のトレハロース粒子の製造方法。
(3)原料トレハロースを精製し、純度を99.0%以上とした後、
トレハロース固形分に対して20〜250重量%の水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤する工程を経て流動層造粒することを特徴とする、(1)に記載のトレハロース粒子の製造方法。
(4)原料トレハロースを精製し、純度を99.0%以上とした後、
トレハロース固形分に対して1〜80重量%の水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤する工程を経て攪拌造粒又は練合破砕造粒することを特徴とする、(1)に記載のトレハロース粒子の製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のトレハロース粒子は、α、α−トレハロース、α、β−トレハロース、β、β−トレハロースを原料として使用することができるが、天然に存在するα、α−トレハロースが好ましい。また、トレハロースには、固体状態では無水物と2水物の2種が存在するが、経時的な吸湿がない点から、2水物のほうが好ましい。DSC測定による融解熱ピークが100℃付近に現れることにより、判別できる。原料となるトレハロースは、グルコース重合度が3以上の澱粉分解物から酵素処理して得られるものであり、例えば市販品(「トレハオース」(林原生物科学研究所製))や特開平7−143876号公報に記載される、澱粉分解物から酵素を用いる方法等で製造されるもの(グルコース重合度3以上から選ばれる1種または2種以上の還元性澱粉部分分解物を含有する溶液に、グルコース重合度3以上から選ばれる1種または2種以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質生成酵素を作用させ、次いでグルコアミラーゼ、またはα−グルコシダーゼを作用させ、トレハロースおよび夾雑糖類含有溶液とし、これを強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけ、得られる含量を向上させたトレハロース)等である。
【0007】
本発明のトレハロース粒子中のトレハロース純度は99.0%以上である。また、不純物としてのグルコース含量が1.0%未満であることが好ましい。トレハロースの純度が99.0%未満では、薬効成分との反応性が増加する傾向がある。高純度トレハロースは、薬物の安定化剤として機能することが期待されているが、不純物として微量のグルコースが存在すると、薬物の安定性を著しく損なうことはこれまで知られていなかった。より好ましくは、トレハロースの純度は99.3%以上である。また、好ましくはグルコース含量は0.5%以下である。特に好ましくは、グルコース含量は0.3%以下である。可能な限り、トレハロースの純度が100%に近く、グルコース含量が0%に近いほど好ましいが、収率が悪化しコスト高となるので、そのために必要な労力とその効果を鑑みて精製すれば良い。
【0008】
本発明のトレハロース粒子は、平均粒径が10〜350μmである必要がある。10μm未満では粒子の付着凝集性が増して流動性が悪化し、粉立ち等のためハンドリングが悪くなって好ましくなく、350μmを超えると薬物や他の賦形剤との混合性が悪くなり主薬の偏析が生じるという問題があって好ましくない。好ましくは20〜250μm、さらに好ましくは20〜150μmである。また本発明のトレハロース粒子は、その見掛け比容積が1.2〜2.5cm3/gである必要がある。1.2cm3/g未満だと、造粒物が硬く塑性変形性が低下し、圧縮成形性が低下するので好ましくない。2.5cm3/gを超えると嵩高くなり流動性が低下して好ましくない。好ましい範囲は1.2〜2.0cm3/gである。流動性の尺度としての圧縮度(100×[(1/見掛けタッピング比容積)−(1/見掛け比容積)]/(1/見掛けタッピング比容積))は40%以下である。40%を超えると流動性が悪くなり、直接打錠法でオープンフィードシューを使用した場合には錠剤重量バラツキが大きくなる。好ましくは35%以下、さらに好ましくは30%以下である。直接的に流動性を示す物性として安息角があるが、本発明のトレハロース粒子は安息角が45゜以下、好ましくは42゜以下、さらに好ましくは40゜以下である。
【0009】
本発明のトレハロース粒子は、その球形度が0.6以上であることが好ましい。球形度は1に近い程流動性が良好になるためであるが、好ましくは0.7以上である。
本発明のトレハロース粒子は0.5gを50MPaで圧縮して得られる底面積1cm2の円柱状成型物の錠剤硬度が30N以上である。30N未満では輸送運搬中に欠けや摩損等が多く発生するため実用に供さず好ましくない。好ましくは40N以上である。本発明のトレハロース粒子は、実用的に十分な圧縮成形性を有しているため他の賦形剤を用いずとも製剤化が可能である。また成形性に加えて流動性が非常に良好であり、両機能をバランス良く有するトレハロースは知られていなかった。すなわち単にトレハロース結晶、あるいはトレハロース結晶を造粒したものでは成形性と流動性をバランスよく付与することはできず、上述した範囲にコントロールすることによって初めて達成可能である。
【0010】
以上のように本発明のトレハロース粒子は、特定の粉体物性を付与することによって、流動性、圧縮成形性が良好となるため、医薬品の製剤化、特に直接打錠において打錠時のハンドリング性、生産性、含量均一性を改善し、輸送中の摩損を防止する程度の錠剤強度を付与できる等の利点がある。
本発明のトレハロース粒子は、原料トレハロースを必要により精製することにより、トレハロース純度を99.0%以上とした後、水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で溶解もしくは懸濁する工程を経て造粒する、あるいは水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤する工程を経て造粒することにより得ることができる。中でも水、親水性溶媒またはそれらの混合物を用いることが好ましい。
【0011】
前者の造粒方法としては例えば、ディスクタイプあるいは空気使用の二流体ノズルタイプのアトマイザーを用いる噴霧乾燥等が挙げられる。噴霧乾燥時のスラリー濃度はトレハロース固形分として5〜50重量%であることが好ましい。5重量%未満では経済的に不利であることに加えて、粒子が小さくなり付着凝集性が増す、粒子の凝集状態が疎になり嵩高くなるなどして期待する流動性が得られない。50重量%を超えると粒子が緻密化しすぎて圧縮成形性が悪くなるため好ましくない。好ましくは10〜40重量%である。乾燥温度はトレハロースの融点が二水和物の場合97℃(無水結晶が203℃)であるためこれを超えない範囲に設定することが好ましい。ここでいう乾燥温度とは例えば噴霧乾燥においては出口温度のことであり、トレハロース粒子が乾燥時に到達する温度のことである。
【0012】
後者の造粒方法としては、通常の湿式造粒法、すなわち流動層造粒、攪拌造粒、攪拌流動造粒、転動流動造粒、練合破砕造粒等公知の方法、またはこれらの方法を2つ以上組み合わせた方法が挙げられる。これらの方法においては水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤させるが、造粒方法、用いる溶媒によって湿潤させる程度が異なる。水、親水性溶媒の場合について以下に述べる。例えば流動層造粒法においてはトレハロース固形分に対して20〜250重量%の水、親水性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤させることが好ましい。20重量%未満では粒子の凝集状態が疎になり嵩高くなるため流動性が悪くなる。250重量%を超えると粒子が緻密化しすぎて圧縮成形性が悪くなるため好ましくない。好ましくは50〜150重量%である。また攪拌造粒法、練合破砕造粒においてはトレハロース固形分に対して1〜80重量%の水、親水性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤させることが好ましい。1重量%未満では粒子の凝集状態が疎になり嵩高くなるため流動性が悪くなる。80重量%を超えると粒子が緻密化しすぎて圧縮成形性が悪くなるため好ましくない。好ましくは3〜50重量%である。
【0013】
乾燥後に必要に応じ粒度をコントロールするための整粒工程を経てもよい。造粒の前処理としてボールミル、ビーズミル、チューブミル、振動ミル等の粉砕形式による粉砕化の工程を経てもよい。磨砕、練合の後マルメライザー等を用いて球形化を施すことも随意である。湿式造粒法での乾燥には、棚段熱風乾燥、ドラム乾燥機、ベルト乾燥機、流動層乾燥機、転動流動層乾燥機等を使用することができる。磨砕、練合時には水、親水性溶媒、あるいは両者の混合物で湿潤させても良く、親水性溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール等、炭素数1〜6程度の低級アルコール、アセトン等の水とは混和するがトレハロースを溶解しにくいものが好ましい。これらは単独で用いても、二種以上を混合しても良く、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等が好ましい。
【0014】
本発明でいう医薬品製剤とは、トレハロース粒子と製剤成分とを混合後、顆粒、錠剤等に加工する工程、あるいは調製した顆粒をトレハロース粒子と粉体混合して錠剤化する湿式後末錠剤化の工程等を経て得られるもので、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、乾燥エキス剤、ドライシロップ剤、カプセル剤、トローチ剤等の固形製剤である。またこれらは必要に応じて徐放性、苦味マスク、腸溶性付与等のコーティングを施してあってもよい。本発明のトレハロース粒子はこれら医薬品製剤の中でも錠剤に有用であって、特に服用感を改善した、口腔内で迅速に崩壊する錠剤に有用である。医薬品製剤はトレハロース粒子の他、薬効成分(徐放性、苦味マスク、腸溶性付与等の目的でコーティングを施してあってもよい)、必要に応じて他の添加剤を含む。トレハロース粒子の含有量は、薬効成分の含有量や目標とする製剤の物性等により異なるが、製剤中で1〜99.9重量%程度が好ましい。トレハロース粒子の含有量が1重量%未満であると、医薬品製剤として必要な硬度、摩損度を付与できない。99.9重量%を超えると、薬効成分の含有量が確保できない。特に好ましくは、10〜80重量%程度である。更に好ましくは、20〜70重量%程度である。使用する薬効成分としては、粉体状、結晶状、油状、溶液状などいずれの形状でも良く、不整脈用剤、降圧剤、血管拡張剤、利尿剤、解熱鎮痛消炎剤、抗潰瘍剤、胃腸薬、整腸剤、骨粗鬆症治療剤、鎮咳去痰剤、抗喘息剤、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は1種または2種以上を組み合わせて用いる。また、医薬品に限らず、健康食品、浴用剤、動物薬、診断薬、農薬、肥料など成型物の形態で利用されるものも本発明に含まれる。
【0015】
薬効成分の含有量は、薬効成分の種類、特性により異なるが、製剤に対して0.1〜99重量%程度である。0.1重量%未満では薬効を示さない場合が多く、また、99重量%を超える場合は、硬度を付与することが難しくなる。好ましくは0.1〜95重量%、特に好ましくは0.1〜90重量%である。
他の添加剤としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、香料、着色料、甘味剤、界面活性剤などを添加することは自由である。
【0016】
賦形剤としては、結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、マルトースなどの糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉等のデンプン類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ酸アルミ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機類等が挙げられる。
【0017】
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポビドン等が挙げられる。
結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等の合成高分子類、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム等の天然高分子類等が挙げられる。
【0018】
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げられる。
コーティング剤の水溶液としては、HPMC、HPC、PVP、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどの水溶液が挙げられる。コーティング剤の水性懸濁剤としては、水不溶性のコーティング剤を懸濁状としたものであって、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなどのセルロース類、アクリル系共重合体類、ビニル系共重合体、ジェラック、シリコン樹脂類などの水性懸濁液が挙げられる。これらコーティング剤は単独で用いても、2つ以上を組み合わせて用いても良い。
【0019】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を制限しない。なお、実施例、比較例における粉体物性及び錠剤の物性の測定方法は以下の通りである。
・トレハロース純度[%]
以下の方法で、結晶水は計算に入れず、糖類を無水物換算したものとして求める。
(1)サンプル1.0gを正確に量り、水に溶かして正確に100cm3とする。
(2)この溶液20μlにつき、以下に示す操作条件で液体クロマトグラフ法で分析する。
(3)オリゴ糖、トレハロース、グルコースの順にピークが現れる。
(4)自動積分法により測定し、全ピーク面積に対するトレハロースあるいはグルコースのピーク面積の比をもとめる。
トレハロース純度(%)=(A2/(A1+A2+A3))×100
グルコース含量(%)=(A3/(A1+A2+A3))×100
A1:オリゴ糖のピーク面積
A2:トレハロースのピーク面積
A3:ブドウ糖のピーク面積
操作条件
検出器:示差屈折計(ERC−7515B)
カラム:MCI−GEL CK04SS(三菱化学(株))
カラム温度:85℃
移動相:水
流量:0.4cm3/min
【0020】
・平均粒径[μm]
粉体5gを篩目開き500μm、300μm、250μm篩を用いて篩分し、また、篩目開き150μm、75μm、45μm、38μm、32μm篩を用いてエアージェットシーブにて篩分し各篩の篩上重量百分率[%]を求め、累積重量百分率が50%の時の粒子径で表した。
・見掛け比容積[cm3 /g]
100cm3のガラス製メスシリンダーに粉体試料を定量フィーダーなどを用い、2〜3分かけて粗充填し、粉体層上面を筆のような軟らかい刷毛で水平にならしその容積を読みとりこれを粉体試料の重量で除した値である。粉体の重量は容積が70〜100cm3程度になる様に適宜決定する。
【0021】
・見掛けタッピング比容積[cm3 /g]
見掛け比容積を測定後、ゴム板を敷いた机のような衝撃の低い台上で、手でタッピングを行う。タッピングは数cmの高さから台に垂直に落とすようにして行い、粉体層の圧密が止まるまで行う。粉体層の体積を粉体重量で除する。
・圧縮度[%]
以下の式より得た。
圧縮度=100×[(1/見掛けタッピング比容積)−(1/見掛け比容積)]/(1/見掛けタッピング比容積)
・安息角[゜]
杉原式(薬剤学27,260,1965)にて測定した。
・球形度[−]
100個の粒子について個々の粒子の長径と短径を画像解析装置(Imagehyper、インタークエスト製)で求め、下式により球形度を計算した。
球形度=粒子の短径/粒子の長径
【0022】
・錠剤硬度[N]
粉体試料0.50gを精秤し、底面積が1cm2 の円柱状成形体を調製することができる片側圧縮タイプの金型に仕込み、所定応力で圧縮し、この圧力で10秒間保持し、錠剤を調製する。シュロインゲル硬度計(フロイント産業(株)製、6D型)で錠剤の直径方向に荷重を加え、破壊したときの荷重で表す。繰り返し数は10でその数平均値をとる。
・錠剤の口腔内崩壊時間[sec]
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の唾液で錠剤が完全に崩壊する時間を測定する。各人2回測定し、3人の平均値を用いた。
・錠剤の摩損度[%]
摩損度試験機(Pharmatest)を用い、試料20個、25rpm、4分の条件で試験前後の錠剤重量変化より摩損度を重量百分率で表した。
【0023】
【実施例1】
市販トレハロース2水和物(林原生物化学研究所製、商品名「トレハオース」、純度98.9%)を再結晶により精製後、10%濃度に調整したトレハロース水溶液を流量3L/hr、入口温度150℃、出口温度80℃、スプレーマシン回転数25000rpmの条件で噴霧乾燥し平均粒径45μmのトレハロース粒子を得た。粉体物性及び50MPaで打錠した時の硬度及び摩損度を表1に示す。
【0024】
【実施例2】
市販トレハロース2水和物(林原生物化学研究所製、商品名「トレハオース」、純度98.9%)を再結晶により精製したトレハロース(純度99.3%)300gに加水(トレハロース重量に対して10%)しながら5分間練合後、流動層乾燥機(入口温度75℃、風量30m3/hr)で、出口温度が45℃になるまで乾燥した。1410μmで篩分し平均粒径144μmのトレハロース粒子を得た。粉体物性及び50MPaで打錠した時の硬度及び摩損度を表1に示す。
【0025】
【実施例3】
市販トレハロース2水和物(林原生物化学研究所製、商品名「トレハオース」、純度98.9%)を再結晶により精製した後、105℃で4時間乾燥処理して製した無水トレハロース(純度99.5%)80gにエタノール40gを加えライカイ機で磨砕した。この間エタノール70g追加した。その後ガラス板にキャスティングし棚段熱風乾燥機内(40℃)で24時間乾燥し、篩サイズ350μmで篩分した。乾燥後のトレハロース粒子は室温(25℃、55%RH)に3日放置し、2水和物とした(カールフィッシャー法で測定した水分値は9.8%であった)。篩分品の粉体物性及び50MPaで打錠した時の硬度及び摩損度を表1に示す。
【0026】
【実施例4】
市販トレハロース2水和物(林原生物化学研究所製、商品名「トレハオース」、純度98.9%)を再結晶により精製した後、バンタムミル(回転数10000rpm、フィード量5kg/hr、スクリーン目開き2.0mmφ)で粉砕したトレハロース(純度99.4%、平均粒径70μm)500gを流動層造粒機(パウレック社製、マルチプレックスMP−01型)に仕込み、入口温度75℃、風量20〜50m3/hrの条件下、20g/minの速度で500g加水した後、出口温度が40℃になるまで乾燥してトレハロース粒子を得た。粉体物性及び50MPaで打錠した時の硬度及び摩損度を表1に示す。
【0027】
【実施例5】
実施例1の造粒物600g、L−アスコルビン酸300g、結晶セルロース50g、コーンスターチ50gをポリ袋中で3分間混合後、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを外割で0.5%加え30秒間ゆっくり混合した。この混合粉体をロータリー打錠機(菊水製作所製、0.2g錠、12本杵、回転数54rpm、打圧80MPa)で打錠し錠剤とした。混合粉体の物性と得られた錠剤の物性を表2に示す。
【0028】
【比較例1】
市販トレハロース2水和物結晶(林原生物化学研究所製、商品名「トレハオース」、純度98.9%)の粉体物性及び50MPaで打錠したときの硬度及び摩損度を表1に示す。
【0029】
【比較例2】
市販トレハロース2水和物(林原生物化学研究所製、商品名「トレハオース」、純度98.9%)を再結晶により精製したトレハロース二水和物結晶(純度99.3%)をバンタムミル(回転数10000rpm、フィード量5kg/hr、スクリーン目開き2.0mmφ)で粉砕し、平均粒径68μmの粉砕物を得た。粉砕物の粉体物性及び50MPaで打錠した時の硬度及び摩損度を表1に示す。
【0030】
【比較例3】
市販トレハロース2水和物(林原生物化学研究所製、商品名「トレハオース」、純度98.9%)を再結晶により精製した後、3%濃度に調整したトレハロース水溶液(純度99.3%)を流量3L/hr、入口温度190℃、出口温度80℃、スプレーマシン回転数35000rpmの条件で噴霧乾燥し平均粒径8μmの造粒物を得た。造粒物の粉体物性及び50MPaで打錠した時の硬度及び摩損度を表1に示す。
【0031】
【比較例4】
市販トレハロース2水和物(林原生物化学研究所製、商品名「トレハオース」、純度98.9%)を再結晶により精製したトレハロース(純度99.3%)300gに加水(トレハロース重量に対して90%)しながら10分間攪拌造粒後、棚段熱風乾燥機内(60℃)で乾燥した。その後1410μmで篩分し平均粒径390μmの造粒物を得た。造粒物の粉体物性と50MPaで打錠したときの硬度と摩損度を表1に示す。
【0032】
【比較例5】
比較例2の造粒物600g、L−アスコルビン酸300g、結晶セルロース50g、コーンスターチ50gをポリ袋中で3分間混合後、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを外割で0.5%加え30秒間ゆっくり混合した。この混合粉体をロータリー打錠機(菊水製作所製、0.2g錠、12本杵、回転数54rpm、打圧80MPa)で打錠し錠剤とした。混合粉体の物性と得られた錠剤の物性を表2に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
本発明のトレハロース粒子は、流動性に優れ、特に直接打錠時のハンドリング、生産性を改善することができると同時に、圧縮性に優れ、これを使用した錠剤は製造、運搬、保管時に要求される硬度を保持することができる。
Claims (4)
- 原料トレハロースを精製し、純度を99.0%以上とした後、
水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で溶解もしくは懸濁する工程を経て造粒する、
あるいは水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤する工程を経て造粒することを特徴とする、
純度が99.0%以上、平均粒径が10〜350μm、見掛け比容積が1.2〜2.5cm3/g、圧縮度が40%以下、0.5gを50MPaで圧縮して得られる底面積1cm2の円柱状成型物の錠剤硬度が30N以上であるトレハロース粒子の製造方法。 - 原料トレハロースを精製し、純度を99.0%以上とした後、
水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物を用いて、スラリー濃度がトレハロース固形分で5〜50重量%となるように、溶解、もしくは懸濁する工程を経て噴霧乾燥により造粒することを特徴とする、
請求項1に記載のトレハロース粒子の製造方法。 - 原料トレハロースを精製し、純度を99.0%以上とした後、
トレハロース固形分に対して20〜250重量%の水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤する工程を経て流動層造粒することを特徴とする、
請求項1に記載のトレハロース粒子の製造方法。 - 原料トレハロースを精製し、純度を99.0%以上とした後、
トレハロース固形分に対して1〜80重量%の水、親水性溶媒または親油性溶媒、またはそれらの混合物で湿潤する工程を経て攪拌造粒又は練合破砕造粒することを特徴とする、
請求項1に記載のトレハロース粒子の製造方法。
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