JP4883660B2 - 固形製剤用添加物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品、食品等として使用される錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤等の製剤に有用な固形製剤用添加物、及び該固形製剤用添加物を含有する製剤に関する。更に詳しくは、トレハロースとセルロースからなる固形製剤用添加物、及び該固形製剤用添加物を含有する製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖類、糖アルコール類は、医薬品を製剤化する賦形剤として、結合剤、矯味剤等に利用される。最近は嚥下能力が低い高齢者や小児を対象に、服用感を改善した剤形として口腔内で速やかに崩壊する固形製剤が開発されている。その賦形剤としては溶解性、味の観点から糖類・糖アルコール類がよく利用される。
【0003】
WO98/02185号公報には(a)賦形剤と(b)エリスリトールを含有することを特徴とする速崩壊性圧縮成型物について記載され、賦形剤にはセルロース類として結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びカルメロース、糖アルコール類が、糖アルコール類としてD−マンニトール、キシリトール及びマルチトールが挙げられている。
【0004】
WO97/47287号公報には、平均粒径30μm以下の糖アルコールまたは糖類、活性成分及び崩壊剤を含有する錠剤について記載され、糖アルコールまたは糖類として、D−マンニトール、ソルビトール、乳糖、グルコースが挙げられている。
【0005】
WO95/20380号公報には、成形性の低い糖類及び成形性の高い糖類を含有してなる,口腔内において速やかな崩壊性,溶解性を有する口腔内溶解型圧縮成型物及びその製造法について記載され、前者糖類として、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、白糖、キシリットが、後者糖類として、マルトース、マルチトール、ソルビトール、オリゴ糖が挙げられている。
【0006】
その他、口腔内で速やかに崩壊或いは溶解する成型物に関しては、特開平8−333243号公報、特開平9−316006号公報、日本特許第2540131号公報、特開平8−291051号公報などあるが、トレハロースの使用に関しては何の記載もない。また、上述した公報で使用する糖、糖アルコール類は成型物の硬度と口腔内での崩壊性のバランスが充分でない場合があった。つまり、成型物の崩壊が速い場合には成型物の硬度が充分ではなく、また逆に、成型物に充分な硬度を与えようとして、圧縮圧力を高めると成型物の崩壊性が遅延する場合があった。また、これまで汎用されている乳糖、糖アルコール類は緩下性を示す場合があるという問題があった。
【0007】
「第15回製剤と粒子設計シンポジウム講演要旨集(1998)」p166には、トレハロースを糖類の1種として使用した例が記載されているが、トレハロースの物性に関しては何ら記載が無く、また実際に口腔内崩壊錠への応用を検討しているが、成型物の硬度はやや高いものの、崩壊は悪く、速崩壊性成型物としては不十分な結果であった。さらにはセルロースとトレハロースを複合体化することについても記載がない。
【0008】
また特開平11−199517号公報には薬物と結晶セルロース、及び糖アルコールを含有し崩壊剤を含まないものであって、該結晶セルロースと糖アルコールの重量比を5:5〜3.5:6.5の範囲で混合したものを圧縮成形することよりなる口腔内速崩壊性錠剤について開示されている。しかし糖アルコールとしてマンニトール、エリスリトール、キシリトールが好ましくトレハロースの記載はない。また該特許は結晶セルロースとトレハロースに加え薬物を同時に混合して湿式造粒するものであり、本発明は薬物とは別に予め結晶セルロースとトレハロースの複合体を形成しておき両者を混合するという点で異なる。また該特許は硬度と崩壊のバランスが不十分で、特にトレハロースと結晶セルロースを粉体混合した後直接打錠する場合には成形性に劣るという欠点があった。またこれら糖アルコールには緩下性を示す場合があると言う問題があった。
【0009】
また、特開平11−116464号公報には薬物とトレハロース、及び天然高分子としての結晶セルロースとをトレハロースが溶解しない量の水に混合後、水分を除去することにより得られる製剤について開示されている。また特開平11−116466号公報には薬物をトレハロースの水溶液に溶解または分散させ、凍結乾燥することにより得られる急速溶解型固形製剤が開示されている。しかしこれらの製剤は、分散状態あるいは溶解状態、またはクリーム状組成物を減圧乾燥や凍結乾燥するため生産工程が煩雑で生産性が悪く、また、硬度が不十分でエッジが欠けやすい等の問題があった。本発明は粒状の結晶セルロースとトレハロースの複合体が硬度と崩壊性に優れるため直接打錠用賦形剤として使用でき、効率よく所望の物性を具備する錠剤の製造を可能とするものである。また、薬物とは別に予め結晶セルロースとトレハロースの複合体を形成しておき両者を混合するという点でも異なる。
【0010】
特開平10−179045号公報にはトレハロース、澱粉及び結晶セルロースから選ばれた少なくとも1種の賦形剤と可塑剤、及び結合剤を配合してなるシート状可食性組成物について開示されている。しかし該組成物を賦形剤として使用することの示唆はなく、賦形剤として用いた場合には0.5〜3mm大のシート状であるために、その後の直接打錠においてホッパー部分でのブリッジ現象や、薬物との偏斥分離が起こりやすくまた得られた錠剤は成形性に劣るという欠点があった。
【0011】
また、特開平7−143876号公報には澱粉部分分解物から得られる非還元性糖質を含む医薬用組成物が開示され、特開平6−217716号公報にはトレハロースからなる製剤用添加剤が開示されている。しかしこれら公報には、セルロースとトレハロースを予め湿潤処理し複合粒とすることの効果については記載がなく、流動性に優れ、杵付着が低減できるので直接圧縮に有利なこと、成形性と崩壊性のバランスに優れるため、口腔内あるいは水中で迅速に崩壊して口腔内速崩壊錠に有用なことなどについては知られていなかった。
【0012】
また、歯垢除去を目的とした口腔用組成物として日本特許2934436号公報にはセルロース粉末が99〜10重量部と水溶性物質が1〜90重量部からなり平均粒径が50μm〜2000μmである球形顆粒を0.2〜20重量%配合してなる口腔組成物について開示されている。しかし、該公報では該口腔用組成物の硬度と崩壊性のバランスについては何ら記載が無く、液体状、懸濁状、固体状、ペースト状のうち特に固体状すなわち錠剤状、顆粒状、粉状等の固形製剤用添加物へ応用できることについては記載がない。例えば口腔内速崩壊錠に適すること等については全く知られていなかった。さらには真球度が高く球形に近い上、重質な顆粒であるために錠剤化した際に硬度が出ないという欠点があった。また、複合化による医薬用賦形剤として十分な性能を発揮するためには、複合化に供するトレハロースは特定のトレハロースであることが望ましいが該公報には記載がない。すなわち、複合化する結晶セルロースとの均一性を増すという観点から、粒子径、見掛け比容積等の特定の粉体物性が必要なこと、薬物との反応性低減の観点から不純物含量を制限すべきこと等については全く知られていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、流動性、混合性(薬物含量均一性)に優れ、圧縮成形性と崩壊性をバランス良く付与する固形製剤用添加物を提供することを目的とする。またその製剤として、特に医薬、食品等に使用される錠剤等の成型物において、口腔内で、あるいは水に入れた際、短時間で速やかな崩壊性、溶出性を示し、同時に製造中、運搬中、保存中に壊れない硬度を持つ速崩壊性成型物を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、薬物を含まず、トレハロースとセルロ−スを含む原料粉体を湿潤処理により予め複合粒とすることにより、流動性、圧縮性を格段に向上し直接打錠が可能であることさらには驚くことに同時に素速い崩壊性を併せ持つため口腔内速崩壊錠等医薬固形製剤に適することを見いだし本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明は、
(1)薬物を含まず、トレハロースとセルロースとを含み、トレハロース重量に対するセルロース重量の比が0.05〜1である粒状複合体からなる固形製剤用添加剤を含有することを特徴とする錠剤、
(2)製剤が速崩壊性成型物であり、口腔内での崩壊時間、及び日局崩壊試験による崩壊時間が2秒〜45秒である(1)記載の錠剤、
(3)トレハロースとセルロースとを、トレハロース重量に対するセルロース重量の比が0.05〜1となるように、水を用いて湿潤処理を行い粒状複合体を得る工程を含む、錠剤の製造方法、
に係わる。
【0016】
本発明で使用するトレハロースとは、α,α−トレハロース、α,β−トレハロース、β,β−トレハロースであるが、天然に存在するα,α−トレハロースが好ましい。また、トレハロースは、固体状態では無水物と2水物の2種が存在するが、経時的な吸湿がない点から、2水物のほうが好ましい。特に結晶状態の2水物が好ましい。DSC測定による融解熱ピークが100℃付近に現れることにより、判別できる。
【0017】
また本発明で使用するトレハロースは、グルコース重合度が3以上の澱粉分解物から酵素処理して得られるものであり、例えば市販品(「トレハオース」(林原生物科学研究所製))や特開平7−143876号公報に記載される、澱粉分解物から酵素を用いる方法等で製造されるもの(グルコース重合度3以上から選ばれる1種または2種以上の還元性澱粉部分分解物を含有する溶液に、グルコース重合度3以上から選ばれる1種または2種以上の還元性澱粉部分分解物から末端にトレハロース構造を有する非還元性糖質生成酵素を作用させ、次いでグルコアミラーゼ、またはα−グルコシダーゼを作用させ、トレハロースおよび夾雑糖類含有溶液とし、これを強酸性カチオン交換樹脂を用いるカラムクロマトグラフィーにかけ、得られる含量を向上させたトレハロース)を原料とし、これをさらに精製、粉砕、粒度調整等を経て得られるものが、コストの点から、産業利用上好ましい。
【0018】
トレハロースの純度は98.0%以上で、不純物としてのグルコース含量は2.0%未満であることが好ましい。トレハロースの純度が98.0%未満、あるいはグルコース含量が1.0%以上では、薬効成分との反応性が増加する傾向がある。高純度トレハロースは、薬物の安定化剤として機能することが期待されているが、不純物として微量のグルコースが存在すると、薬物の安定性を著しく損なう。より好ましくは、トレハロースの純度は99.0%以上である。また、好ましくはグルコース含量は0.5%以下である。特に好ましくは、グルコース含量は0.3%以下である。可能な限り、トレハロースの純度が100%に近く、グルコース含量が0%に近いほど好ましいが、収率が悪化しコスト高となるので、そのために必要な労力とその効果を鑑みて精製すれば良い。トレハロースの平均粒径は10〜250μmが好ましい。10μm未満だと粉体の凝集性が高まるため、流動性、ハンドリング性が悪くなる。また、成型物中の空隙率が減少するためか、崩壊性が悪化する。250μmを超えると薬効成分、その他の添加剤との混合性が悪くなるため、製剤にした時の含量がばらついてしまう。また、粒子が粗いため口腔内での感触が当初悪くなる。好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは30〜150μm、特に好ましくは30〜100μmである。
【0019】
トレハロースの粉体粒度において、75μm以上の粒子の割合は2〜90重量%であることが好ましい。2重量%以下だと粉体の流動性が著しく悪くなる。また90重量%以上だと薬効成分等との混合性が悪くなるため、製剤にした時、含量のバラツキが生じる。特に好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜60重量%である。
【0020】
トレハロースの見かけ比容積は1.5〜3.5cm3/gが好ましい。1.5cm3/g未満だとその他の添加剤との混合性が悪くなる。また、3.5cm3/gを超えると、粉体の流動性が著しく悪くなり、ハンドリング性が悪くなって実用的でない。好ましくは1.5〜3.0cm3/g、特に好ましくは1.6〜2.5cm3/gである。さらにトレハロースの白色度は90%以上である。製剤において、外観上の色は白いほど品質が高いとされる場合が多く、また、着色する場合であっても、添加剤の白色度が高いほど綺麗な色となり好ましいため、白色度が90%未満では実用に供さない。好ましくは93%以上である。
【0021】
本発明のセルロースとは粉末セルロース、または結晶セルロース等が挙げられる。これらはそれぞれ単独、または組み合わせて用いることも随意である。結晶セルロースとは木材パルプ、精製リンター、再生繊維等のセルロース系素材を酸加水分解、アルカリ酸化分解、酵素分解、スチームエクスプロージョン分解等により解重合した後精製した重合度30〜375(銅安法で測定)の水湿セルロース及びこれを乾燥したセルロースである。またパルプ等を鉱酸により軽度に加水分解した後粉砕したセルロースであっても良い。市販されている結晶セルロースはグレードに制限なく使用可能であるが、平均粒径が10〜300μm、見掛け比容積が0.8〜6.0cm3/g、安息角が35〜60゜の範囲にあるものであって、トレハロースと共に湿潤処理し複合体を形成する際に、セルロースの積算体積50%粒径が1〜100μmにまで微細化されるものが好ましい。さらに好ましくは1〜50μmである。積算体積50%粒径は複合体を適当な濃度に分散し、レーザー回折式粒度分布測定器(LA−910、堀場製作所製)等で得ることができる。
【0022】
本発明の固形製剤用添加物中のセルロース重量は、トレハロース重量に対するセルロース重量の比が0.01〜20であることが好ましい。さらに好ましくは0.02〜10である。特に好ましくは0.05〜1である。トレハロース重量に対するセルロース重量の比が0.01未満だと成形性、崩壊性がバランス良く付与されず、20を越えると崩壊が著しく悪くなり、またセルロース特有の食感の悪さを付与してしまうので好ましくない。
【0023】
本発明の固形製剤用添加物はトレハロースとセルロースとを含む粒状複合体からなることを特徴とする。本発明の複合体は湿潤処理により得られる。湿潤処理とは、原料が湿潤物質により湿った状態で処理が行われる工程、例えばニーダー、プラネタリーミキサー、コロイドミル、リボンブレンダー等の汎用の練合機、磨砕機械、流動層造粒機、高速攪拌造粒機、オシレーティング造粒機、エクストルーダー等の押出造粒機、ドラムドライ、スプレードライ等の乾燥機等の1種を使用または2種以上を組み合わせて使用して、トレハロースとセルロースとを含む原料粉体を均一化する工程により造粒された複合体を形成する処理をいう。湿潤物質としては適量の水が望ましいが、親水性有機溶媒、または水と親水性有機溶媒との混合物であってもよい。親水性有機溶媒としては例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール等、炭素数1〜6程度の低級アルコール、アセトン等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上を混合しても良く、特に工業化の観点からメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等が好ましい。湿潤物質の添加量は湿潤化後、練合、磨砕、押出等により均一化する複合化の工程において、最適な添加量が存在する。トレハロース、セルロースを含む原料粉体に対して0.1〜70重量部、好ましくは1〜50重量部である。0.1重量部未満ではトレハロースとセルロースの複合化が不十分であり、70重量部を超えると出来上がりの粒状物の平均径が大きくなりすぎて成形性、崩壊性のバランスに悪影響を及ぼす。トレハロースとセルロースとを予め湿潤処理して複合化することによって、圧縮成形性を高めることの他、湿潤処理によってセルロースの微細化が起こるため、セルロースの有する繊維感、ざらつき、渋み等を低減する効果がある。これら成形性と崩壊性のバランス、食感等の機能を高めるためには、セルロースとトレハロースとを単に粉体混合だけ、あるいは他の薬物、賦形剤が存在した状態で混合するだけでは得られない効果である。これはセルロースとトレハロースの混合状態(均一性)が不十分であり、セルロースの機能付与が不十分となること、湿潤処理によるセルロースの微細化が起きないためである。また、本発明の固形製剤用添加物を薬物やその他の賦形剤等と共に製剤化する際に、トレハロースとセルロースとを複合化しておくと、セルロースが均一に分布しているため、製剤表面に導水管が付与され、崩壊が速くなるという効果がある。
【0024】
また本発明の粒状とは、不定形状で、散剤、細粒剤、顆粒剤の体をなすものをいう。球状のものは圧縮性が低下するので好ましくない。真球度として0.8以下のものが好ましい。粒子径は特に限定しないが、薬剤との混合性(均一性)、崩壊性、服用感の観点からはできるだけ小さい方が良く、10〜1000μmの範囲にあるものが好ましい。さらに好ましくは10〜500μmである。また、複合体粒子の見掛け比容積が減少すると圧縮成形性を損なうため、1.25cm3/g以上であることが好ましい。さらに好ましくは1.3〜3.0g/cm3である。
【0025】
本発明でいう固形製剤用添加物は、固体状すなわち錠剤状、顆粒状、粉状等の製剤に用いることが好ましい。
【0026】
本発明でいう固形製剤用添加物は、セルロースとトレハロースの他に、薬物以外の成分を含んでも良い。そのような成分としては他の賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤、界面活性剤などが挙げられる。賦形剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、マルトースなどの糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、コメ澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉等のデンプン類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ酸アルミ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機類等が挙げられる。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポビドン等が挙げられる。このうち部分アルファー化デンプンの添加は食感を改善する効果がある。結合剤としては、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、コンニャクマンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類等が挙げられる。流動化剤としては含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げられる。矯味剤としてはグルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、l−メントールなどが挙げられる。香料としてはオレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール等が挙げられる。着色剤としては食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、リボフラビンなどが挙げられる。甘味剤としてはアスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア等が挙げられる。界面活性剤としては、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0027】
本発明でいう製剤は、本発明の固形製剤用添加物以外に医薬品薬効成分粉末、農薬成分粉末、肥料成分粉末、飼料成分粉末、食品成分粉末、化粧品成分粉末、色素粉末、香料粉末、金属粉末、セラミックス粉末、触媒粉末、界面活性剤粉末等を含んでも良い。またさらに、必要に応じて他の賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、甘味剤等を添加剤として含有することも自由である。
【0028】
医薬品薬効成分粉末を含むものとしてはエキス剤、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤、パップ剤等の他、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、リニメント剤、ローション剤等のうち用時調製して用いるものがある。本発明の製剤中の固形製剤用添加物の含有量は、薬効成分の含有量、目標とする製剤の物性等により異なるが、例えば錠剤等の固形製剤においては0.1〜99.9重量%程度が好ましい。含有量が0.1重量%未満であると、製剤に所望の物性を付与できない。99.9重量%を超えると、薬効成分の含有量が確保できない。特に好ましくは、5〜90重量%程度である。更に好ましくは、10〜80重量%程度である。
【0029】
本発明でいう速崩壊性成型物は、本発明の固形製剤用添加物の他、薬効成分、必要に応じて他の添加剤を含む。本発明の固形製剤用添加物の含有量は、薬効成分の含有量、目標とする成型物の物性等により異なるが、成型物中で5〜99.9重量%程度が好ましい。含有量が5重量%未満であると、速崩壊性成型物として必要な硬度、崩壊性を示さない。99.9重量%を超えると、薬効成分の含有量が確保できない。特に好ましくは、10〜90重量%程度である。更に好ましくは、20〜70重量%程度である。
【0030】
本発明で使用する薬効成分としては、粉体状、結晶状、油状、液体状などいずれの形状でも良く、例えば抗生物質、化学療法剤、吸収促進剤、催眠鎮静剤、抗不安剤、抗てんかん剤、抗パーキンソン剤、精神神経用剤、骨格筋弛緩剤、自律神経用剤、鎮痙剤、循環・代謝改善剤、強心剤、不整脈用剤、降圧剤、血管拡張剤、血管補強剤、血管収縮剤、抗凝血剤、抗脂血症剤、利尿剤、解熱鎮痛消炎剤、中毒治療剤、抗ウイルス剤、抗潰瘍剤、胃腸薬、制酸剤、健康消化剤、整腸剤、利胆剤、肝臓疾患用剤、痛風治療剤、糖尿病用剤、骨粗鬆症治療剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳去痰剤、生薬、抗喘息剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。また、医薬品に限らず、健康食品、浴用剤、動物薬、診断薬、農薬、肥料など成型物の形態として利用されるものも本発明に含まれる。またこれらは口腔内で嚥下困難でない程度に、苦味、においなどの不快感を伴わないよう皮膜等でコーティング処理を施すことも可能である。コーティング剤、及びコーティング方法は公知のものを使用することができる。
【0031】
本発明の製剤中の薬効成分の含有量は、薬効成分の種類、特性により異なるが、成型物に対して0.01〜90重量%程度である。0.01重量%未満では薬効を示さない場合が多く、また、90重量%を超える場合は、目標とする速崩壊性を付与することが難しくなる。好ましくは0.01〜80重量%、特に好ましくは0.01〜50重量%である。他の添加剤としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤、界面活性剤などを添加することは自由である。賦形剤としては、結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、マルトースなどの糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、コメ澱粉、小麦澱粉、とうもろこし澱粉、馬鈴薯澱粉等のデンプン類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ酸アルミ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機類等が挙げられる。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、クロスポビドン等が挙げられる。結合剤としては、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、コンニャクマンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類等が挙げられる。流動化剤としては含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げられる。矯味剤としてはグルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、l−メントールなどが挙げられる。香料としてはオレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール等が挙げられる。着色剤としては食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、リボフラビンなどが挙げられる。甘味剤としてはアスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸二カリウム、ステビア等が挙げられる。界面活性剤としては、リン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0032】
本発明の速崩壊性成型物は、薬効成分、本発明の賦形剤の他、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤を適宜組み合わせて製造することで、品質を向上できる。特に好ましくは、賦形剤としてのセルロース、糖類、糖アルコール類、デンプン類、および崩壊剤、結合剤としてのセルロース、滑沢剤としてのステアリン酸類である。
【0033】
本発明の速崩壊性成型物は、口腔内であるいは水に入れた際、短時間で速やかな崩壊性、溶出性を示すと同時に適度な硬度を付与する点で、速溶解性成型物として有用である。さらに製造時及び保存時の強度を有するので長期間の保存、安定性にも優れる。
【0034】
本発明の速崩壊性成型物は、成型物の大きさにもよるが、口腔内での崩壊時間、及び日局崩壊試験による崩壊時間が、通常2秒〜2.0分程度であることが好ましい。特に好ましくは、2秒〜1.0分程度、さらに好ましくは、3秒〜30秒程度である。また、成型物の硬度は、通常1〜20kg程度であることが好ましい。特に好ましくは、2〜12kg程度、更に好ましくは、3〜8kg程度である。
【0035】
本発明の速崩壊性成型物は、成型物を製造する定法に従って製造することができる。即ち、以下に具体的に方法を示すが、これに限定されるものではない。
1.薬効成分、本発明の賦形剤、及び必要に応じて他の添加剤を混合、加水混練した後、乾燥工程の有無により幾分か湿った状態にしてから打錠し、更に錠剤を乾燥する。この場合の打錠圧は、組成により異なるが、通常0.3〜20MPa程度である。好ましくは0.5〜10MPa程度、特に好ましくは0.5〜5MPa程度である。
【0036】
2.また、1.において、混練後、実質的に乾燥してから打錠する通常の湿式打錠法を用いる。
3.薬効成分、本発明の賦形剤、及び必要に応じて他の添加剤を混合後、型に入れ、加温加湿下で荷重をかけたまま放置する。
4.薬効成分、本発明の賦形剤、及び必要に応じて他の添加剤を、混合後、そのまま打錠する直接打錠法を用いる。打錠前に、混合粉体を加湿下に放置した後、打錠しても良い。
5.薬効成分、本発明の賦形剤、及び必要に応じて他の添加剤を混合、加水混練しペースト状にした後、型に入れ、そのままゆっくり乾燥する。
【0037】
本発明の固形製剤用添加物はトレハロースとセルロースを複合粒としているため、直接打錠可能な流動性を兼ね備えており、さらに圧縮成形性が格段に改良されているため、錠剤成型時の圧縮圧力を大幅に低減でき、速崩壊性を達成するのに有利である。それ故、口腔内速崩壊錠等の賦形剤として利用するのに適している。また、高打圧下において、トレハロース単独では結合性が良く崩壊性は遅延傾向を示すが、セルロースを複合化しているのでセルロースが崩壊剤として働きトレハロースの崩壊遅延を抑制する効果がある。セルロースを含まない場合は、組成により異なるが、通常20〜100MPa程度の打圧で製錠することにより実用硬度(4〜10kg)の硬度でかつ1分以内の速崩壊性成型物を得られるが、セルロースを複合化すると1〜50MPa程度の打圧で崩壊性を損なうことなく実用硬度の速崩壊性圧縮成型物を得ることが可能となる。打圧の低減は、臼杵への付着防止の他、耐久性の面でも望ましい。またトレハロースは臼・杵への付着による打錠障害が起こりやすいが、セルロースを複合化しておくと臼・杵への付着が大幅に低減するため打錠障害の頻度が少なくなることが期待される。
【0038】
【発明の実施の形態】
次に、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
なお、測定は以下のとおり行った。
【0039】
<平均粒径>
粉体20gを篩目開き1410、1000、840、710、500μm、355、250、150、75、45、38μm篩を用いて10分間篩分(ロータップ型篩分機使用)し、各篩の篩上重量百分率[%]を求め、累積重量百分率が50%の時の粒子径で表した。
【0040】
<見掛け比容積>
粉体10gを100cm3メスシリンダーに衝撃を与えずに静かに全量を流し込み(この時、メスシリンダーの内径より小さい円筒を入れ、粉体を流し込んだ後円筒をゆっくり持ち上げる)、読みとった体積を粉体の重量で除した値で示した。
【0041】
<安息角>
杉原式安息角測定器(薬剤学27、p.260、1965年)を使用して求めた。
【0042】
<水分>
試料1gについて赤外線式水分計(FD−220、ケット科学研究所製)で測定した。
【0043】
<真球度>
約100個の粒子について個々の粒子の長径と短径を画像解析装置(Imagehyper、インタークエスト製)で求め、下式により真球度を計算した。
真球度=粒子の短径/粒子の長径
【0044】
<錠剤硬度>
粉体または顆粒を約0.5gを取り、底面積が1cm2である臼に入れ一定の荷重で10秒間保持し錠剤を調製する。シュロインゲル硬度計で錠剤を破壊するのに必要な荷重を求め、錠剤5個の平均値を算出した。
【0045】
<口腔内崩壊時間>
健康な成人男子3人を被験者として、口腔内の唾液で成型物が完全に崩壊する時間を測定する。各人2回測定し、3人の平均値を用いる。
【0046】
<トレハロースの物性測定>
(1)純度、グルコース含量
以下の方法で、結晶水は計算に入れず、糖類を無水物換算したものとして求める。
(a)サンプル1.0gを正確に量り、水に溶かして正確に100cm3とする。
(b)この溶液20μLにつき、以下に示す操作条件で液体クロマトグラフ法で分析する。
(c)オリゴ糖、トレハロース、グルコースの順にピークが現れる。
(d)自動積分法により測定し、全ピーク面積に対するトレハロースあるいはグルコースのピーク面積の比をもとめる。
【0047】
トレハロース純度(%)=(A2/(A1+A2+A3))×100
グルコース含量(%)=(A3/(A1+A2+A3))×100
A1:オリゴ糖のピーク面積
A2:トレハロースのピーク面積
A3:グルコースのピーク面積
【0048】
操作条件
検出器:示差屈折計(ERC−7515B)
カラム:MCI−GEL CK04SS(三菱化学(株))
カラム温度:85℃
移動相:水
流量:0.4cm3/min
【0049】
(2)白色度
トレハロースの粉末をカラーアナライザー(TC−1800MKII、東京電色(株)製)によりL、a,bの値を求め以下の式により算出した。
白色度=100−[(100−L)2+(a2+b2)]0.5
【0050】
(3)75μm以上の粒子の割合
篩目開き75μmの篩上にトレハロース5gを取り、エアージェットシーブ(200LS型、ALPINE製)にて5分間篩分したとき、篩に残留する粒子重量の全重量に対する重量百分率。
【0051】
(4)平均粒径
トレハロース5gを篩目開き500μm、300μm、250μm篩を用いて篩分し、また、篩目開き150μm、75μm、45μm、38μm、32μm篩を用いてエアージェットシーブにて篩分し各篩の篩上重量百分率[%]を求め、累積重量百分率が50%の時の粒子径で表した。
【0052】
【実施例1】
表1に示すトレハロースA、270gとセルロース(表2に示すA〜Dのいずれか使用)、30g(トレハロース重量に対する重量比:0.111)とをポリ袋中で3分間混合後、水を加えながら(最終的に原料粉体の10重量部を加えた。)プラネタリーミキサーで10分間練合した。練合物を流動層造粒機(マルチプレックス、MP−01型、パウレック(株)製)に入れ、給気温度60℃、風量70m3/hrの条件で排気温度が40℃になるまで乾燥した。その後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で3時間乾燥した。
【0053】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を40MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表4に示す。
表3中の安息角の値から、比較例よりも流動性が良好なことがわかる。さらに本発明の固形製剤用添加物は比較例より低打圧でほぼ同一の硬度を付与するにもかかわらず、比較例よりも素早い崩壊性を示す。口腔内で崩壊中、セルロースの違和感は比較例2より少なかった。
【0054】
【実施例2】
表1に示すトレハロースA、270gと表2に示すセルロースA、30g(トレハロース重量に対する重量比:0.111)とをポリ袋中で3分間混合後、水を加えながらプラネタリーミキサーで10分間練合した。水は最終的に原料粉体の7重量部を加えた。練合物を流動層造粒機(マルチプレックス、MP−01型、パウレック(株)製)に入れ、給気温度60℃、風量70m3/hrの条件で排気温度が40℃になるまで乾燥した。その後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で3時間乾燥した。
【0055】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を40MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表4に示す。
表3中の安息角の値から、比較例よりも流動性が良好なことがわかる。さらに本発明の固形製剤用添加物は比較例より低打圧でほぼ同一の硬度を付与するにもかかわらず、比較例よりも素早い崩壊性を示す。口腔内で崩壊中、セルロースの違和感は比較例2より少なかった。
【0056】
【実施例3】
表1に示すトレハロースA、270gと表2に示すセルロースA、30g(トレハロース重量に対する重量比:0.111)とをポリ袋中で3分間混合後、水を加えながらプラネタリーミキサーで10分間練合した。水は最終的に原料粉体の18.5重量部を加えた。練合物を流動層造粒機(マルチプレックス、MP−01型、パウレック(株)製)に入れ、給気温度60℃、風量70m3/hrの条件で排気温度が40℃になるまで乾燥した。その後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で3時間乾燥した。
【0057】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を40MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表4に示す。
表3中の安息角の値から、比較例よりも流動性が良好なことがわかる。さらに本発明の固形製剤用添加物は比較例より低打圧でほぼ同一の硬度を付与するにもかかわらず、比較例よりも素早い崩壊性を示す。口腔内で崩壊中、セルロースの違和感は比較例2より少なかった。
【0058】
【実施例4】
表1に示すトレハロースA、270gと表2に示すセルロースA、30g(トレハロース重量に対する重量比:0.111)とをポリ袋中で3分間混合後、エタノールを加えながらプラネタリーミキサーで10分間練合した。エタノールは最終的に原料粉体の30重量部を加えた。練合物を風乾後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で一晩乾燥した。
【0059】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を40MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表4に示す。
比較例より低打圧で実用硬度を付与するにもかかわらず、比較例よりも素早い崩壊性を示す。口腔内で崩壊中、セルロースの違和感は比較例2より少なかった。
【0060】
【実施例5】
表1に示すトレハロースA、270gとセルロース(表2に示すA〜Cのいずれかを使用)21g(トレハロース重量に対する重量比:0.078)と、結晶セルロース製剤(商品名、「アビセル」RC−591NF、旭化成工業(株)製)9gとをポリ袋中で3分間混合後、エタノールを加えながらプラネタリーミキサーで10分間練合した。エタノールは最終的に原料粉体の30重量部を加えた。練合物を風乾後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で一晩乾燥した。
【0061】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を40MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表4に示す。
比較例より低打圧で実用硬度を付与するにもかかわらず、比較例よりも素早い崩壊性を示す。口腔内で崩壊中、セルロースの違和感は比較例2より少なかった。また、RC−591NFの添加によりまろやかな食感となった。
【0062】
【実施例6】
表1に示すトレハロースB、150gとセルロース(表2に示すA〜Dのいずれかを使用)、150g(トレハロース重量に対する重量比:1)とをポリ袋中で3分間混合後、水を加えながらプラネタリーミキサーで10分間練合した。水は最終的に原料粉体の20重量部を加えた。練合物を流動層造粒機(マルチプレックス、MP−01型、パウレック(株)製)に入れ、給気温度60℃、風量70m3/hrの条件で排気温度が40℃になるまで乾燥した。その後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で3時間乾燥した。
【0063】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を10MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表5に示す。
表3中の安息角の値から、比較例よりも流動性が良好なことがわかる。さらに本発明の固形製剤用添加物は比較例より低打圧で実用硬度を付与するにもかかわらず、比較例よりも素早い崩壊性を示す。
【0064】
【実施例7】
実施例1で得られた顆粒(セルロースは表1に示すAを使用したもの)270gとアスコルビン酸30gとをポリ袋中で3分間十分混合し、さらに混合粉体にステアリン酸マグネシウム1.5gを加え30秒間ゆっくり混合した。
混合粉体を40MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表4に示す。
本発明の固形製剤用添加物の性質を反映して、本発明の固形製剤用添加物と薬物からなる製剤は成形性と崩壊性のバランスが良好であった。
【0065】
【実施例8】
表1に示すトレハロースA、270gと表2に示すセルロースA、30g(トレハロース重量に対する重量比:0.111)とをポリ袋中で3分間混合後、水を加えながらプラネタリーミキサーで10分間練合した。水は最終的に原料粉体の10重量部を加えた。練合物を風乾後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で一晩乾燥した。
【0066】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を40MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表4に示す。
比較例2,3に比較して安息角が良好で流動性に優れること、低打圧で実用硬度が得られ、かつ崩壊が素早いことがわかる。
【0067】
【比較例1】
表1に示すトレハロースA、500gに水を加えながらプラネタリーミキサーで10分間練合した。水は最終的に原料粉体の8重量部を加えた。練合物を流動層造粒機(マルチプレックス、MP−01型、パウレック(株)製)に入れ、給気温度60℃、風量70m3/hrの条件で排気温度が40℃になるまで乾燥した。その後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で3時間乾燥した。
【0068】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を40及び80MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表6に示す。本系はセルロースを配合していないので打圧40MPaでは実用硬度が得られず、打圧を80MPaに増すと崩壊が悪くなる。
【0069】
【比較例2】
表1に示すトレハロースA、270gと表2に示すセルロースA30g(トレハロース重量に対する重量比:0.11)とをポリ袋中で3分間混合後、80MPaで打錠した。
混合粉体の物性を表3に、錠剤の硬度、口腔内崩壊時間を表6に示す。
単に粉体同士で混合した場合にはセルロースの添加効果が弱く、打圧を増すと崩壊が悪くなる。また、口腔内で崩壊中、セルロースの違和感を感じた。
【0070】
【比較例3】
表1に示すトレハロースA、9gと表2に示すセルロースA、291g(トレハロース重量に対する重量比:32.3)とをポリ袋中で3分間混合後、水を加えながらプラネタリーミキサーで10分間練合した。水は最終的に原料粉体の20重量部を加えた。練合物を風乾後、流動床乾燥機(パーフェクトオーブン、タバイエスペック製)にて40℃で一晩乾燥した。
【0071】
得られた顆粒の物性を表3に、顆粒を40MPaで打錠した時の硬度、口腔内崩壊時間を表7に示す。
セルロースの配合量が20を超えるため、セルロース同士の結合力が増して崩壊が悪いこと、口腔内で崩壊中、セルロースの違和感が強く実用的でない。
【0072】
【比較例4】
セルロース27g、トレハロース243g及びアスコルビン酸30gとをポリ袋中で3分間十分混合し、さらに混合粉体にステアリン酸マグネシウム1.5gを加え30秒間ゆっくり混合した。
混合粉体を40MPaで打錠したときの硬度、口腔内崩壊時間を表4に示す。
実施例7と比較すると、硬度がやや低く、口腔内崩壊が悪い。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のトレハロースとセルロースとを特定の組成で含む粒状複合体からなる固形製剤用添加物は、圧縮成形性と崩壊性のバランスに優れており、これを使用した固形製剤は製造、運搬、保管時に要求される硬度を保持する一方、固形製剤使用時は短時間で崩壊性、溶出性を示すことができる。
Claims (3)
- 薬物を含まず、トレハロースとセルロースとを含み、トレハロース重量に対するセルロース重量の比が0.05〜1である粒状複合体からなる固形製剤用添加剤を含有することを特徴とする錠剤。
- 製剤が速崩壊性成型物であり、口腔内での崩壊時間、及び日局崩壊試験による崩壊時間が2秒〜45秒である請求項1記載の錠剤。
- トレハロースとセルロースとを、トレハロース重量に対するセルロース重量の比が0.05〜1となるように、水を用いて湿潤処理を行い粒状複合体を得る工程を含む、錠剤の製造方法。
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