JPH08217696A - 球形顆粒用球状核および球形顆粒並びにそれらの製造方法 - Google Patents

球形顆粒用球状核および球形顆粒並びにそれらの製造方法

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JPH08217696A
JPH08217696A JP2318895A JP2318895A JPH08217696A JP H08217696 A JPH08217696 A JP H08217696A JP 2318895 A JP2318895 A JP 2318895A JP 2318895 A JP2318895 A JP 2318895A JP H08217696 A JPH08217696 A JP H08217696A
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spherical
cellulose
particles
granules
granule
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JP2318895A
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English (en)
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Naohiro Imai
直博 今井
Nobutaka Tani
敍孝 谷
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒径が均一で、真球度も高く、カプセルに均
一に充填でき薬剤量のばらつきを防止でき、また表面に
均一で強固なコーテング膜を形成でき薬剤の放出制御な
どを目的とするコーティングにも好適な球形顆粒を提供
すること。 【構成】 セルロース系材料を溶解させた粘度が50〜20
00cPのポリマー溶液に、振動数が3000〜40000 Hzの振動
を直接加えながら均一液滴として気相中に噴出せしめ、
該液滴をほぼ球形になる飛行距離以上を飛行せしめた後
に凝固剤と接触させて粒子とし、これを乾燥してなり、
90%以上の粒子が数平均粒径の±20%以内にあり、数平
均粒径が50〜1000μm、真球度が1.2 以下であるセルロ
ース系球状核とそのまわりの薬剤含有層からなる球形顆
粒、更にこの球形顆粒の外表面がコーティング剤にて被
膜された球形顆粒であり、これらの球形顆粒は、そのま
ま顆粒製剤として、カプセルへ充填してカプセル剤とし
て、または賦型剤とともに圧縮成形した顆粒錠剤として
も利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粒径が均一で真球度が
高く、医薬および食品などの分野において球形顆粒の核
として有用な球状核、並びに該球状核とそのまわりの薬
剤含有層とからなり、均一粒径で真球度が高い球形顆粒
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】顆粒状薬剤は、薬効成分の消化管内での
分散性がよいこと、胃排出速度および薬剤吸収性の固体
差が小さいこと、食事の影響が少ないことなどの理由に
より、近年ひろく利用される製剤形態である。この顆粒
状薬剤は、そのまま顆粒製剤として、カプセルへ充填し
てカプセル剤として、あるいは賦形剤とともに圧縮成形
して錠剤化した顆粒錠剤として利用されている。
【0003】さらに、これらの顆粒状薬剤に薬剤放出制
御能を付与することを目的とした種々のシステムが考案
されている。特に、薬剤の安定性改善、味のマスキン
グ、薬剤の持続放出または消化管の特定部位への薬剤の
送達を目的として、顆粒に水不溶性膜、pH依存性被膜
などの被膜をほどこしたコーティング顆粒が開発されて
おり、これも前記と同様に、そのまま顆粒製剤として、
顆粒をカプセルへ充填したカプセル製剤として、あるい
は賦形剤とともに圧縮成形した顆粒錠剤として利用され
ている。
【0004】前記顆粒の製造法としては、撹拌造粒法、
押し出し造粒法、流動造粒法が知られているが、現在知
られている方法で作製された顆粒の多くは、その粒径分
布が広い、真球度(顆粒の長径/短径の比で表される)
が低い、または顆粒強度が低いなど、製剤への利用とい
う観点では改善すべき余地が多い。具体的には、カプセ
ルに充填され使用される場合、粒径の不均一性は製造さ
れるカプセルに含まれる薬剤量にばらつきが生じる。ま
た、これら顆粒製剤に薬剤放出制御を目的としたコーテ
ィングをする場合には、顆粒の粒径の均一性や、その真
球度が低いと、薬剤放出制御上重要なコーティング層の
均一性が損なわれる問題が指摘されている。
【0005】また、前記顆粒製造法の中では、製剤とし
ての利用に好適な球形顆粒の製造法として、流動造粒
法、すなわち流動型コーティング装置内で核粒子を転動
させながらその回りに結合液を噴霧しながら賦形剤と薬
剤をコーティングする方法が知られている。ここで用い
られる一般的な核粒子としては、ノンパレル(商品名フ
ロイン産業(株)製 成分:白糖あるいは白糖/澱粉)
が知られている。しかしながら本核粒子は、水溶性材料
から製造されているので、水系での造粒においては核同
士の凝集が大きな問題であった。この問題を解決すべ
く、結晶性セルロースを原料として作製された核粒子が
近年開発され、水系でのコーティング時の凝集などの問
題が改善されるにいたっている(特開平3−11142
6号)。しかし、これら結晶性セルロース系核粒子は粒
径の均一性に乏しく、また真球度が低いことから、製造
される球形顆粒の粒径分布の幅が大きく、あるいは粒径
分布の小さい球形顆粒の製造においては長時間を要する
などの問題がある。さらに、製造される球形顆粒の真球
度が低く、また表面に凹凸があるために薬剤の制御放出
などを目的として顆粒表面にさらにコーティングを施す
際にはそのコーティング層の膜厚が顆粒間で不均一とな
り、また、ひとつの顆粒をとってみた場合にも部分的に
膜厚が不均一でコーティング層が損傷しやすく、十分な
強度のコーティング層を実現するには過剰のコーティン
グを施す必要があるなどの問題が指摘されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の問題点に鑑み、粒径が均一で、真球度も高く、
カプセルに均一に充填でき薬剤量のばらつきを防止しう
るとともに、表面に均一で強固なコーテング膜を形成す
ることが可能で薬剤の放出制御などを目的とするコーテ
ィングに好適な球形顆粒およびその球状核を提供せんと
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の
結果、90%以上の粒子が数平均粒径の±20%以内に
あるセルロース系球状核を用い、該球状核とそのまわり
の薬剤含有層とからなる球形顆粒が、粒径分布が小さ
く、また真球度も高く、医薬および食品分野での利用に
適することを見いだし本発明を完成するにいたった。
【0008】すなわち、本発明は、セルロース、セルロ
ース誘導体または再生セルロースなどのセルロース系材
料からなり、90%以上の粒子が数平均粒径の±20%
以内にあることを特徴とする球形顆粒用球状核、前記球
状核と該球状核のまわりの薬剤含有層からなる球形顆
粒、さらに、前記球形顆粒の外表面がコーティング剤に
て被膜された球形顆粒を要旨とするものである。
【0009】前記のように、本発明に係る球形顆粒用の
球状核は、セルロース、セルロース誘導体、再生セルロ
ースなどのセルロース系材料から構成され、90%以上
の粒子が数平均粒径の±20%以内にある球状粒子であ
る。
【0010】前記のセルロースとは、いわゆる天然型セ
ルロースであり、例えば木綿繊維を脱脂したもの、麻
類、木材から得られるパルプ、該パルプを精製して得ら
れる精製セルロースが代表的なものとして挙げられる。
【0011】また、セルロース誘導体とは、セルロース
の水酸基の一部または全部がエステル化あるいはエーテ
ル化されたセルロースから誘導されるものである。前記
のセルロースの水酸基の一部または全部がエステル化さ
れたセルロース誘導体の具体的な例としては、酢酸セル
ロース、プロピオン酸セルロース、ニトロセルロース、
リン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロー
ス、セルロースのジチオカルボン酸エステル(ビスコー
スレーヨン)などが挙げられるが、これらに限定される
ものではない。また、セルロースの一部または全部がエ
ーテル化されたセルロース誘導体の具体的な例として
は、メチルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセ
ルロース、トリチルセルロース、シアノエチルセルロー
ス、カルボキシルメチルセルロース、カルボキシエチル
セルロース、アミノエチルセルロース、オキシエチルセ
ルロースなどが挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。
【0012】さらに、再生セルロースとは、セルロース
をいったん成形しやすいセルロース誘導体とし、成形し
た後に再びセルロースに変換したものである。具体的に
は、酢酸セルロースやプロピオン酸セルロースなどのセ
ルロースのエステル誘導体を加水分解することにより調
製されるものであるが、これらに限定されるものではな
い。
【0013】上記のような球状核としてのセルロース系
粒子は、セルロース、セルロース誘導体などのセルロー
ス系材料を溶解させたポリマー溶液を、たとえば特開昭
62−191033号公報記載の装置および方法(振動
法と乾湿式凝固法とを組み合わせた方法)を適用するこ
とにより製造される。
【0014】このセルロース系粒子の製造方法をさらに
詳しく説明する。この方法は、セルロース、セルロース
誘導体などのセルロース系材料を溶解させた所定粘度の
ポリマー溶液に、所定振動数の振動を直接加えながら該
ポリマー溶液を小径のノズルから押し出すことで粒径が
均一な液滴を形成し、これを凝固させるものである。図
1は、このセルロース系粒子を製造するために用いられ
る装置の一部の断面図である。この方法では、高粘度の
ポリマー溶液と孔径の小さいノズル(5) が使用されるた
めに、ポリマー溶液には比較的大きな噴出圧力が要求さ
れる。したがって、ポリマー溶液に周期的に変化する圧
力を加えるために、シリンダー(2) の中に振動棒(6) を
挿入する方法を採用している。振動棒(6) は、適当な振
動発生源、たとえば磁歪素子、電歪素子あるは電磁コイ
ル式振動子に連結されている。これらの振動エネルギー
を効率的に振動棒(6) に伝えるために、シリンダー(2)
とのシールに接触抵抗の小さいOリング(7) を使用して
いる。ノズル(5) と振動棒(6) の先端との距離は、シリ
ンダー(2) のネジ(11)とシリンダー固定用ナット(4) に
よって任意に調整できる。ノズル(5) はノズル固定用ナ
ット(3) によってシリンダー(2) に固定され、ノズル
(5) とシリンダー(2) との間はOリング(8) でシールさ
れている。シリンダー(2) は固定台(1) にシリンダー固
定用ナット(4)によって固定されている。
【0015】ギヤーポンプなどから送られてくるセルロ
ース系材料のポリマー溶液は、液体入口(9) からシリン
ダー(2) 内に入り、ノズル(5) 上で振動棒(6) の往復運
動によって周期的な圧力変化を受けながらノズル(5) か
ら噴出する。本装置を使用すれば、ポリマー溶液を種々
の振動数で周期的に変化する圧力を加えながらノズル
(5) から噴出させることができる。また共振周波数をよ
り安定的に保持するために、必要ならば固定台(1) に冷
却水出入口(10)を設けることもできる。ノズル(5) は、
通常多孔ノズルが使用される。ノズル(5) と振動棒(6)
先端との間の距離は、とくに振動数が超音波領域に含ま
れるほど高い場合には、5mm以上とすることが好まし
い。この間隔が2mm未満の場合、場合によってはキャ
ビテーションが生じ、振動棒(6) 先端やノズル(5) の内
面が荒れる恐れがある。安定的に微小な均一液滴をうる
ための振動数は数千〜数万Hz、好ましくは3000〜
40000Hzである。振動棒の振動数がおよそ300
0Hz未満では、振動棒の振幅や噴出速度などの他の噴
出条件を変えても均一な液滴が形成されなくなる。一
方、振動数が大きい領域では、高粘度のポリマー溶液を
用いても溶液の噴出条件を適当に調整することによっ
て、均一な液滴を得ることができる。しかしながら、振
動数が数十KHzを超えると隣りあう液滴間の距離がき
わめて小さくなり、液滴同士の衝突頻度が大きくなるた
めに均一な液滴を得ることが困難になる。一度形成され
た均一液滴は、ノズル(5) から遠ざかるとともに空気抵
抗などによって乱れた動きをとるようになり、多くの液
滴は互いに衝突しあって再結合する。しかし、各液滴に
同一符号の電荷を帯びさせれば、この再結合を比較的長
時間防ぐことができる。液滴の粒径が均一であるかどう
かは常法によって確認することができる。すなわちスト
ロボスコープの点滅周期を液滴の発生周期に同調させて
写真撮影し、ひとつひとつの液滴の直径を測定すればよ
い。
【0016】また、本発明では、セルロース系材料のポ
リマー溶液の粘度は50〜2000cPとする。この粘
度が2000cPを超えると噴出圧力があまりに高くな
りすぎ、装置に特別な工夫が必要となるばかりでなく、
このように高い粘度のポリマー溶液を使用しなくても多
くの場合、本発明の用途に利用しうる液滴を得ることが
できる。上記のようにして、粘度が50〜2000cP
の溶液を振動数が3000〜40000Hzの振動を直
接加えながらノズルから噴出させることによって、粒径
が均一な液滴が形成される。
【0017】このように、セルロース、セルロース誘導
体などのセルロース系材料を、これらを溶解する溶媒に
溶解してポリマー溶液とし、図1のごとき装置を用いて
均一液滴として気相中に噴出せしめる。そして、この液
滴を、ほぼ球形になる飛行距離以上を飛行せしめた後に
凝固剤と接触させ粒子とし、このセルロース系粒子を、
凝固剤より単離し、乾燥することにより90%以上の粒
子が数平均粒径の±20%以内にある球状粒子が製造さ
れるのである。
【0018】ここで用いるセルロース系材料のポリマー
溶液を調製するのに用いる溶剤としては、セルロースの
溶剤である、たとえば銅アンモニア水溶液、ジメチルス
ルホキシドとパラホルムアルデヒドとの混合液、チオシ
アン酸カルシウム水溶液など、また代表的なセルロース
誘導体である酢酸セルロースの溶剤としては、たとえば
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メ
チル−2−ピロリドン、アセトンなどが挙げられる。さ
らに、これらの溶剤に、メタノール、エタノール、エチ
レグリコール、プロピレングリコール、グリセリン、
水、無機塩類、ポリエチレングリコールなどを加えても
よい。
【0019】前記凝固剤はポリマーの非溶剤からなる
が、液滴を構成する溶媒と溶け合い、液滴が自然にぬれ
るような表面張力を有するものが好ましい。この様な凝
固剤の具体例としては、例えば水、水と前記良溶剤ある
いは非溶剤との混合液、水と界面活性剤との混合液など
が挙げられる。
【0020】また、再生セルロースから構成される粒子
は、セルロースから調製される酢酸セルロースの如きセ
ルロース誘導体から上記のような方法で製造されるセル
ロース誘導体の粒子を加水分解した後、乾燥することに
より製造される。
【0021】次に、上記のようなセルロース系粒子を球
状核とし、この球状核とそのまわりの薬剤含有層とから
なる球形顆粒を製造するには、上記セルロース系粒子を
核粒子とし、その表面に、公知の方法により結合液を用
いて薬剤および賦形剤からなる粉体を積層する。すなわ
ち、セルロース系球状核を流動造粒装置内に入れ、結合
液を噴霧しながら、薬剤または薬剤および賦形剤からな
る散布剤により球状核を被膜し、これを乾燥することに
より調製される。
【0022】ここでいう結合液とは、ヒドロキシプロピ
ルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの
結合剤を水または適当な溶媒に溶解したものである。ま
た、賦形剤としては、通常用いられる乳糖、結晶セルロ
ース、コーンスターチなどが挙げられる。さらに、製造
される球形顆粒に徐放性を付与したい場合には、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースアセテートスクシネート、アクリル酸共重合体など
の腸溶解性の製剤基剤を賦形剤として単独または混合し
て、あるいは先に述べた賦形剤と混合して利用すること
ができる。
【0023】また上記散布剤中には、必要に応じて、薬
学的に許容される添加剤、例えば低置換ヒドロキシプロ
ピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの崩
壊剤、タルクなどの滑沢剤、各種色素などの着色剤を添
加してもよい。
【0024】顆粒に含まれる薬剤としては、顆粒として
投与されうるものであれば、特に限定されないが、中枢
神経系薬剤としては、ジアゼパム、アスピリン、イブプ
ローフェン、パラセタモール、ナプロキセン、ピロキシ
カム、ジクロフェナック、インドメタシン、スリンダッ
ク、ロラゼパム、ニトラゼパム、フェニトイン、アセト
アミノフェン、エテンザミド、ケトプロフェンなどが、
循環器系薬剤としてはモルシドミン、ビンポセチン、プ
ロルラノール、メチルドパ、ジピリダモール、フロセミ
ド、ニフェジピン、アテノロール、ピンドロール、カプ
トプリルなどが、呼吸器系薬剤としては、アムレノキサ
ックス、デキストロメトルファン、テオフィリン、プソ
イドエフェドリン、サルブタモールなどが、消化器系薬
物としてはシメチジン、ラニチジン、パンクレアチン、
5−アミノサリチル酸、プレドゾロンなどが、抗生物質
および化学療法剤としてはセファレキシン、セファクロ
ール、セフラジン、アモキシリン、エリスロマシン、リ
ンコマイシン、トリメトプリムなどが、代謝系薬剤とし
てはセラペプターゼ、グリベンクラミドなどが、ビタミ
ン系薬剤としてはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミ
ンB6、ビタミン12、ビタミンC、フルスルチアミン
などが挙げられる。これら薬剤の配合量は、薬剤の種類
により異なるが一般に2〜80重量%の範囲で用いられ
る。
【0025】ここで球状核として用いられるセルロース
粒子は、90%以上の粒子が数平均粒径の±20%以内
にあるものが望ましい。90%未満の粒子分布幅の広い
粒子では製造される球形顆粒の粒径分布が広く、カプセ
ルに充填され使用される場合、製造されるカプセルに含
まれる薬剤量にばらつきが生じる。また、これら球形顆
粒に薬剤放出制御などを目的としたコーティングを施す
場合にはコーティング層の均一性が損なわれる。
【0026】また、このセルロース系粒子の平均粒径
は、望まれる造粒球形顆粒の大きさ、含有させる薬剤の
種類、含有量、および粉末粒子径、ならびに薬剤層形成
に用いる賦形剤の種類、量または粒子径により、数平均
粒径50〜1000μmの範囲内であれば適宜選択可能
であるが、好ましくは100〜800μm、さらに好ま
しくは100〜500μmの範囲の粒子を使用するのが
好ましい。核粒子径が50μmより小さい場合には、造
粒工程、すなわち、結合液を噴霧しながら薬剤または薬
剤と賦型剤からなる散布剤により被膜する場合に、核粒
子同士の凝集が起きやすくなる。また核粒子径が100
0μmを越える場合には、被膜される薬剤量が制限され
好ましくない。
【0027】さらに、このセルロース系粒子の真球度は
1.2以下が好ましい。真球度が1.2以上では、それ
を用いて製造した球形顆粒の真球度が低く、製品美観上
あるいは薬剤放出速度の制御あるいは薬剤放出制御を目
的とした均一なコーティングの点で好ましくない。
【0028】上記のようにして得られる、本発明に係る
薬剤を含有する球形顆粒は、そのまま顆粒製剤として利
用してもよく、また顆粒をカプセルへ充填したカプセル
剤として、あるいは賦形剤とともに圧縮成形した顆粒錠
剤としても利用される。
【0029】前記カプセル剤の場合は、上記のような薬
剤を含有する顆粒を、公知の方法によりゼラチンなどか
らなるカプセルに充填することにより製造される。さら
に、製造されるカプセル剤は、味のマスキング、胃溶解
性、腸溶解性、持続性などの目的に応じて、公知のコー
ティング基剤および方法にてコーティングを施すことが
可能である。この際用いられるコーティング剤としてエ
チルセルロース、セラックのごとき水不溶性コーティン
グ剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースアセテートスクシネート、アクリル酸
共重合体などの腸溶解性コーティング剤、または大腸分
解性のコーティング基剤などが挙げられる。
【0030】また、顆粒錠剤の場合には、公知の方法に
より、上記のような薬剤を含有する顆粒と乳糖、結晶性
セルロース、デンプンなどの賦型剤とを、またはこれら
顆粒と賦型剤の混合物に必要に応じて、低置換ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボシキメチルセルロースな
どの崩壊剤、タルクなどの滑沢剤、第4級アンモニウム
塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤、グリセ
リンなどの保湿剤、その他の薬剤学的に許容される添加
剤を添加し、ロータリー打錠機などを用い圧縮成形する
ことにより製造される。ここで製造される顆粒錠剤は、
味のマスキング、胃溶解性、腸溶解性、持続性などの目
的に応じて、公知のコーティング基剤および方法にてコ
ーティングを施すことが可能である。この際用いられる
コーティング剤としてエチルセルロース、セラックのご
とき水不溶性コーティング剤、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレー
ト、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートス
クシネート、アクリル酸共重合体などの腸溶解性コーテ
ィング剤、または大腸分解性のコーティング基剤などが
挙げられる。
【0031】上記のように、本方法では、用いる核粒子
すなわちセルロース系球状核の粒径が均一であり、かつ
真球度が高いことによりきわめて粒径分布が狭く、また
真球度が高いため製剤としての利用にあたっては分級の
必要がない。したがって、これらの顆粒に薬剤の放出制
御などを目的としたコーティングを施すのに好適な球形
顆粒が製造される。
【0032】つまり、上記のようにして製造された本発
明に係る球形顆粒には、味のマスキング、胃内溶解性、
腸内溶解性、持続性などの目的に応じて、公知のコーテ
ィング基剤および方法にてコーティングを施すことが可
能である。この際、用いられるコーティング剤としてエ
チルセルロース、セラックのごとき水不溶性コーティン
グ剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピル
メチルセルロースアセテートスクシネート、アクリル酸
共重合体などの腸溶解性コーティング剤、または大腸分
解性のコーティング基剤などが挙げられる。
【0033】これらコーティングにおいては、本発明に
係る薬剤を含有する球形顆粒は、その粒径が均一であ
り、かつ真球度が高いことにより、形成されるコーティ
ング層の膜厚が顆粒間で均一であり、また、ひとつの顆
粒をとってみた場合にも膜厚が均一なコーティング球形
顆粒の製造が可能である。このように、コーティング層
の厚さが粒子間で均一であることは高度な放出制御を可
能にするものである。すなわち、前述の腸溶解性コーテ
ィング剤によるコーティングにより球形顆粒からの薬剤
の放出を制御する場合、薬剤が放出してほしい消化管部
位のpH溶解性を有する基剤の選択とコーティング層の
厚さにより制御するのが一般的であるが、コーティング
層の厚さが粒子間で均一である場合、消化管内において
コーティングに用いた基剤が溶解するpHを有する部位
に到達後の薬剤の放出パターンが一定となる。
【0034】このことは、異なるコーティング膜厚を有
する顆粒を混合する持続性製剤への応用、消化管の特定
部位への局所的薬剤放出製剤への応用において極めて有
用である。また、ひとつの顆粒をとって見た場合のコー
ティング層の均一性は比較的うすい膜厚においても十分
な強度を実現でき、コーティング層溶解開始後の速やか
な薬剤放出を可能にする。
【0035】これらのコーティングされた球形顆粒に含
まれる薬剤としては前述の顆粒に含まれる薬剤と同様に
特に限定されるものではないが、先に例示した薬剤に加
え、ルシトニン、CSF、EPO、インシュリン、シク
ロスポリンなどの蛋白性医薬品、ペプチド系薬剤が加え
られる。
【0036】また、これらコーティングされた球形顆粒
は、先の非コーティング顆粒と同様にそのまま顆粒製剤
とし利用してもよく、顆粒をカプセルへ充填したカプセ
ル剤として、あるいは賦形剤とともに圧縮成形した顆粒
錠剤としても利用できる。
【0037】
【実施例】つぎに、本発明を5−アミノサリチル酸(以
下、5−ASAと略す。)を含有する球形顆粒を例に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0038】(実施例1)二酢酸セルロースを濃度が、
12.5%(重量%、以下同様)となるようにジメチル
スルホキシド/プロピレングリコールが重量比で4/6
の混合液に溶解させた。ノズルの前方5mmのところに
2cmの間隔を離して、幅5cmで液滴の進行方向の長
さが25cmの大きさの平行平板状の電極を設置し、該
電極とノズルとの間に800vの直流電圧を印加した。
このノズルに設けた直径250μmのオリフィスから、
145℃に保持した前記溶液を7.8m/secの線速
で3850Hzの振動を加えながら吐出させ、該溶液の
均一な液滴を形成させ、空気中を約3m飛行させたの
ち、23℃の10%メタノール水溶液中へ侵入させて凝
固させ、二酢酸セルロース粒子を得た。得られた二酢酸
セルロース粒子を50℃、0.6%の苛性ソーダ水溶液
に投入して、2時間攪拌した後回収し、中和、水洗して
再生セルロース粒子を得た。得られた再生セルロース粒
子をメタノールに浸漬し再生セルロース粒子内の水をメ
タノールに置換した後、減圧下、50℃にて12時間乾
燥し、数平均粒径が250μmであり、90%以上の粒
子が数平均粒径の±20%以内にあり、真球度が1.1
5の再生セルロース粒子を得た。本粒子500gを遠心
流動装置に入れ、ロータ回転数170rpm、室温で、
4重量%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液300
gをスプレー速度5g/分で噴霧しながら、5−ASA
20重量%とコーンスターチ80重量%とからなる散布
剤300gを10g/分の速度で粉末コーティングし、
40℃で16時間乾燥して球形顆粒を得た。この方法に
より、粒径が350〜450μmの球形顆粒が得られ
た。
【0039】(実施例2)実施例1で得た球形顆粒50
0gを遠心流動装置に仕込み、オイドラギットS100
を7重量部、タルクを3.5重量部およびポリエチレン
グリコ−ル6000を0.7重量部を含む70%エタノ
−ル/水を噴霧してコーティング層を形成し、コーティ
ング量5重量%のコーティング球形顆粒を得た。
【0040】(実施例3)実施例2で得られたコーティ
ング球形顆粒からの5−ASAの放出性について、人工
腸液第1液(0.1N 塩酸(pH=1.2))、第2
液(リン酸緩衝液pH7.2)を用いて評価した。溶出
した5−ASA量は一定時間後、分光測定により測定し
た。
【0041】実施例2で得られた球形顆粒500mg
(5−ASA 100mg含有)を900ml溶解液に
加え、37゜C、撹拌速度100rpmにて溶出薬剤量
を測定した。人工腸液第1液中においては1時間後、3
時間後における放出量はいずれも検出限界以下であっ
た。一方人工腸液第2液においては1時間後に薬剤の放
出が確認され、4時間後までに薬剤含有量の90重量%
以上の薬剤の放出が確認された。このことから、本発明
に係る球形顆粒の薬剤放出制御効果が明らかとなった。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る球形顆粒用
球状核は、その粒径が均一でありまた真球度も高いこと
により、粒径が均一で、かつ真球度が高い球形顆粒を得
ることができる。そして、この球形顆粒は、粒径が均一
であり、かつ真球度が高いことから、医薬、食品分野で
の利用においては、カプセルへの充填などにおいてカプ
セル内への薬剤含有量の均一な充填が可能であり、ま
た、その表面に薬剤放出制御能を付与することを目的と
して、たとえば、薬剤の安定性改善、味のマスキング、
薬剤の持続放出または消化管の特定部位への薬剤の送達
を目的として、顆粒表面に水不溶性膜、pH依存性被膜
などの被膜をほどこしてコーティング顆粒とする場合に
あっては、全体に均一な膜厚のコーティングが施された
球形顆粒を製造することができ少ないコーティング量で
強固なコーティング膜を形成することができ、また、顆
粒間のコーティング膜厚も均一で、薬剤放出制御性の優
れた経口投与製剤を提供しうるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 球形顆粒用球状核を製造するための装置の一
部分の断面図。
【符号の説明】
1:固定台、 2:シリンダー、3:ノズル固定用ナッ
ト、4:シリンダー固定用ナット、5:ノズル、 6:
振動棒。7:Oリング、 8:Oリング、9:液体入
口、 10:冷却水出入口、11:ネジ、 12:ノズ
ル孔。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース、セルロース誘導体または再
    生セルロースなどのセルロース系材料からなり、90%
    以上の粒子が数平均粒径の±20%以内にあることを特
    徴とする球形顆粒用球状核。
  2. 【請求項2】 数平均粒径が50〜1000μmである
    請求項1記載の球形顆粒用球状核。
  3. 【請求項3】 真球度が1.2以下である請求項1記載
    の球形顆粒用球状核。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の球状核と該球状核のま
    わりの薬剤含有層からなる球形顆粒。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の球形顆粒の外表面がコ
    ーティング剤にて被膜された球形顆粒。
  6. 【請求項6】 請求項4または請求項5に記載の球形顆
    粒からなる顆粒製剤。
  7. 【請求項7】 請求項4または請求項5に記載の球形顆
    粒をカプセルへ充填してなるカプセル剤。
  8. 【請求項8】 請求項4または請求項5に記載の球形顆
    粒を賦型剤とともに圧縮成形してなる顆粒錠剤。
  9. 【請求項9】 セルロースまたはセルロース誘導体など
    のセルロース系材料を溶解させた粘度が50〜2000
    cPのポリマー溶液に、振動数が3000〜40000
    Hzの振動を直接加えながら均一液滴として気相中に噴
    出せしめ、該液滴をほぼ球形になる飛行距離以上を飛行
    せしめた後に凝固剤と接触させて粒子とし、これを乾燥
    することを特徴とする球形顆粒用球状核の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の方法で製造されたセ
    ルロース誘導体の粒子を加水分解した後、これを乾燥し
    てなる再生セルロースの粒子からなる球形顆粒用球状核
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載の球状核を流動造粒装
    置内に入れ、結合液を噴霧しながら薬剤または薬剤およ
    び賦型剤からなる散布剤を散布することにより、球状核
    のまわりを薬剤含有層で被覆し、これを乾燥することを
    特徴とする球形顆粒の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001172430A (ja) * 1999-12-21 2001-06-26 Asahi Kasei Corp 球形顆粒

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