JP4488398B2 - サスペンションアーム - Google Patents

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等のサスペンションアームに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両のサスペンションアームとしては、上板部材と下板部材とを溶着等により接合してアーム本体を構成しこのアーム本体にブッシュ支持部等を固設したものや、パイプ部材を用いて構成したアーム本体にブッシュ支持部等を固設したものがある。
【0003】
例えば特開平6−143953号公報には、上板部材と下板部材とを接合してアーム本体を構成したサスペンションアームとして、板金成形等により平面形状が略同一に形成された、上方に凸形状となるよう断面コの字型に形成された上板部材と、下方に凸形状となるよう断面コの字型に形成された下板部材とを互いに対向させてその縁部を重畳し、これらを溶接接合してアーム本体を構成するとともに、このアーム本体にブッシュ支持部等を固設した技術が開示されている。
【0004】
また、パイプ部材を用いてアーム本体を構成したサスペンションアームとしては、例えば、所定に湾曲成形されたパイプ部材にプレス鋼板加工等により成形されたアーム部材を接合してアーム本体を構成し、このアーム本体にブッシュ支持部を固設したものが広く一般に採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、車両走行時にアーム本体に上下方向の曲げ力が加わるとアーム本体の上下方向略中立部に応力が集中するが、特開平6−143953号公報に開示された技術のように上板部材と下板部材とを接合してアーム本体を構成した場合、応力が集中する位置が溶接部位になっているために溶接剥がれが起こる虞がある。従ってアーム本体の強度を維持する為には溶接工程での管理を厳重に行う必要があり製造コストの増大等を招く虞がある。
【0006】
また、パイプ部材を用いてアーム本体を構成した技術において、ブッシュ支持部を固設するには、高強度のボルト材のピンをパイプ端部をスウェージ加工して溶接等で固設する必要があり、構造が複雑な上コストが増大する。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高強度且つ安価に湾曲の自由度を向上させることのできるサスペンションアームを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明によるサスペンションアームは、アーム本体と、上記アーム本体の端部に固設され該アーム本体を車体或いは車輪に連結支持する支持部材とを備えたサスペンションアームにおいて、面コの字形状をなす一対の湾曲部材の接合縁部を互いに接合して構成した湾曲アームを有し、上記接合縁部を、車両前後方向の荷重による曲げモーメントの略中立軸上に設定するとともに、上記湾曲アームを介して、上記支持部材を上記アーム本体に固設したことを特徴とする。
【0010】
また、請求項に記載の発明によるサスペンションアームは、請求項1に記載の発明において、上記湾曲アームの湾曲内側に位置する一方の上記湾曲部材を、湾曲外側に位置する他方の上記湾曲部材よりも肉厚な部材で構成したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項に記載の発明によるサスペンションアームは、請求項に記載の発明において、上記一対の湾曲部材の接合は上記接合縁部を互いに重畳して行うものであって、湾曲内側に位置する上記湾曲部材の接合縁部を、湾曲外側に位置する上記湾曲部材の接合縁部よりも外部に位置するよう重畳したことを特徴とする。
【0012】
また、請求項に記載の発明によるサスペンションアームは、請求項1乃至請求項の何れかに記載の発明において、上記湾曲アームの上記アーム本体への接続は上記各湾曲部材の端部を上記アーム本体の外部に重畳して行うものであって、これらが溶着される重畳部の位置を、上記支持部材と他の支持部材とを結ぶ直線上に位置するよう設定したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図3は本発明の第1の実施の形態に係わり、図1はサスペンションアームの上面図、図2は図1のII-II断面図、図3は図1のIII-III断面図である。
【0014】
図1において、符号1は車両のサスペンションアームを示し、本実施の形態では車体右側のサスペンションアームを示す。
【0015】
サスペンションアーム1は、アーム本体2に、他の支持部材としてのボールジョイント支持部5と、支持部材としてのリヤブッシュ支持部6と、フロントブッシュ支持部7とが固設されて要部が構成されている。
【0016】
アーム本体2は、平面形状が略同形状となるよう板金形成された、上方に凸形状の上板部材10と、下方に凸形状の下板部材11とを備えて構成されている(図3参照)。これら両板部材10,11の縁部にはフランジ10a,11aが設けられており、フランジ10a,11aが溶接によって互いに接合されることで上板部材10と下板部材11とが一体に接合されている。
【0017】
アーム本体2の自由端2aにはボールジョイント支持部5が固設され、このボールジョイント支持部5に支持されたボールジョイントを介して車輪支持部材(何れも図示せず)が連結支持されている。
【0018】
また、アーム本体2の中途は車体後方になだらかに湾曲形成されているとともに前後に分岐され、フロント側に形成された固定端2bには、フロントブッシュ支持部7が固設されている。フロントブッシュ支持部7にはフロントブッシュ15が内嵌固着され、フロントブッシュ15にボルト締結されたブラケット16を介して、アーム本体2のフロント側固定端2bが車体のクロスメンバ(図示せず)に弾性的に連結されている。
【0019】
また、アーム本体2のリヤ側に形成された固定端2cには、車体側に湾曲形成された湾曲アーム17を介してリヤブッシュ支持部6が固設されている。リヤブッシュ支持部6にはリヤブッシュ18が内嵌固着され、リヤブッシュ18にボルト締結されたブラケット19を介して、アーム本体2のリヤ側固定端2cが車体のクロスメンバ(図示せず)に弾性的に連結されている。
【0020】
湾曲アーム17は板金成形等により断面”コ”の字形状に形成された一対の湾曲部材20,21を有し、これら湾曲部材20,21の上下位置に湾曲方向に沿って設けられた接合縁部20a,21aが互いに溶接接合されて湾曲アーム17が構成されている。すなわち、接合縁部20a,21aはサスペンションアーム1に前後力が作用した際に発生する曲げモーメントの中立軸上に設定されるもので、図2に示すように、湾曲部材20,21は互いに対向された状態でその接合縁部20a,21aが互いに重畳され溶接接合されている。
【0021】
ここで、湾曲内側に位置する一方の湾曲部材20は、湾曲外側に位置する他方の湾曲部材21よりも肉厚な部材で構成されている(図2参照)。
【0022】
また、接合縁部20a,21aの重畳は、湾曲内側に位置する肉厚な湾曲部材20の接合縁部20aが、湾曲外側に位置する肉薄な湾曲部材21の接合縁部21aの外部に位置するよう設定されている(図2参照)。
【0023】
また、湾曲アーム17のアーム本体2への接続は各湾曲部材20,21の端部をアーム本体2の外部に重畳するとともにこの重畳部を溶着して行うもので(図3参照)、これらが溶着される重畳部の位置は、フロントブッシュ支持部6とボールジョイント支持部5とを結ぶ直線上に位置するよう設定されている(図1参照)。
【0024】
上述の構成によるサスペンションアーム1によれば、急峻な角度で湾曲した方向に取り付けられるリヤブッシュ支持部6を、湾曲アーム17を介してアーム本体2に固設するとともに、湾曲アーム17を接合縁部20a,21aが湾曲方向に沿って上下位置に設けられた断面”コ”の字形状をなす一対の湾曲部材20,21で構成することにより、サスペンションアーム1におけるリヤブッシュ支持部6近傍の湾曲部の側部の強度を安価に向上することができ、しかも、強度面から見た湾曲方向の制限が緩和されるので、サスペンションアーム1の設計の自由度が向上する。
【0025】
また、サスペンションアーム1に前後力が作用した際に発生する曲げモーメントの中立軸上に湾曲部材20,21の接合縁部20a,21aを設定することにより、必要以上に湾曲部材20,21の強度を高くする必要がなく、より安価で効果的にサスペンションアーム1の強度向上を図ることができる。
【0026】
また、サスペンションアーム1に前後力が作用した際に発生する曲げモーメントがより強く影響する湾曲内側の湾曲部材20を湾曲外側の湾曲部材21よりも肉厚な部材で構成することにより、より安価で効果的にサスペンションアーム1の強度向上を図ることができる。
【0027】
また、各湾曲部材20,21の端部をアーム本体2の外部に重畳してこれらを溶着接続するとともに、これらが溶着される重畳部の位置をリヤブッシュ支持部6とボールジョイント支持部5とを結ぶ直線上に位置するよう設定することにより、湾曲アーム17とアーム本体2との接続を曲げモーメントが小さい位置で高強度に行うことができる。
【0028】
次に、図4〜図6は本発明の第2の実施の形態に係わり、図4はサスペンションアームの斜視図、図5は図4のV-V断面図、図6は図4のVI-VI断面図である。
【0029】
図4において、符号31は車両のサスペンションアームを示し、本実施の形態では車体左側のサスペンションアームを示す。
【0030】
サスペンションアーム31は、アーム本体32に、他の支持部材としてのジョイント支持部35と、支持部材としてのフロントブッシュ支持部36と、リヤブッシュ支持部37とが固設されて要部が構成されている。
【0031】
アーム本体32は、自由端側の中途が車体側に”く”の字形状に曲げ形成されたパイプ部材40と、自由端がパイプ部材40に固設された鋼板部材41とを備えて構成されている。
【0032】
パイプ部材40の自由端側には複数のジョイント支持部35が固設され、このジョイント支持部35に支持されたジョイントを介して車輪支持部材(何れも図示せず)が連結支持されている。
【0033】
また、鋼板部材41は、パイプ部材40の後方寄り位置でその自由端がパイプ部材40の自由端側に溶着等によって固設されるもので、鋼板部材41の固定端41aには、リヤブッシュ支持部37が固設されている。リヤブッシュ支持部37にはリヤブッシュ45が内嵌固着され、リヤブッシュ45にボルト締結されたブラケット(図示せず)を介して、アーム本体32のリヤ側固定端41aが車体のクロスメンバ(図示せず)に弾性的に連結されている。
【0034】
また、パイプ部材40の固定端(フロント側固定端)40aには、車体側に湾曲形成された湾曲アーム47を介してフロントブッシュ支持部36が固設されている。フロントブッシュ支持部36にはフロントブッシュ48が内嵌固着され、フロントブッシュ48にボルト締結されたブラケット(図示せず)を介して、アーム本体32のフロント側固定端40aが車体のクロスメンバ(図示せず)に弾性的に連結されている。
【0035】
湾曲アーム47は板金成形等により断面”コ”の字形状に形成された一対の湾曲部材50,51を有し、これら湾曲部材50,51の上下位置に湾曲方向に沿って設けられた接合縁部50a,51aが互いに溶接接合されて湾曲アーム47が構成されている。すなわち、接合縁部50a,51aはサスペンションアーム31に前後力が作用した際に発生する曲げモーメントの中立軸上に設定されるもので、図5に示すように、湾曲部材50,51は互いに対向された状態でその接合縁部50a,51aが互いに重畳され、この重畳部が溶接接合されている。
【0036】
ここで、湾曲内側に位置する一方の湾曲部材50は、湾曲外側に位置する他方の湾曲部材51よりも肉厚な部材で構成されている(図5参照)。
【0037】
また、接合縁部50a,51aの重畳は、湾曲内側に位置する肉厚な湾曲部材50の接合縁部50aが、湾曲外側に位置する肉薄な湾曲部材51の接合縁部51aの外部に位置するよう設定されている(図5参照)。
【0038】
また、湾曲アーム47のアーム本体32への接続は各湾曲部材50,51の端部をアーム本体32の外部に重畳するとともに(図6参照)、この重畳部を溶着することにより行われている。
【0039】
上述の構成による本実施の形態によれば、上述の第1の実施の形態と略同様の効果が得られることに加え、パイプ部材40を湾曲形成する個所を削減することにより、プレス工程を低減することが可能となり、安価にサスペンションアーム31を構成することができる。
【0040】
なお、上述の各実施の形態において、アーム本体に湾曲アームを介して固設される支持部材は、車体側ブッシュ支持部に限定されるものではなく、サスペンションアームのレイアウト等によっては、上記構成をボールジョイント支持部或いはジョイント支持部等に適用可能であることは勿論である。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、サスペンションアームの湾曲の自由度を高強度且つ安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係わり、サスペンションアームの上面図
【図2】同上、図1のII-II断面図
【図3】同上、図1のIII-III断面図
【図4】本発明の第2の実施の形態に係わり、サスペンションアームの斜視図
【図5】同上、図4のV-V断面図
【図6】同上、図4のVI-VI断面図
【符号の説明】
1 サスペンションアーム
2 アーム本体
5 ボールジョイント支持部(他の支持部材)
6 リヤブッシュ支持部(支持部材)
7 フロントブッシュ支持部
17 湾曲アーム
20 湾曲部材
20a 接合縁部
21 湾曲部材
21a 接合縁部
31 サスペンションアーム
32 アーム本体
35 ジョイント支持部(他の支持部材)
36 フロントブッシュ支持部(支持部材)
37 リヤブッシュ支持部
40 パイプ部材
41 鋼板部材
47 湾曲アーム
50 湾曲部材
50a 接合縁部
51 湾曲部材
51a 接合縁部

Claims (4)

  1. アーム本体と、上記アーム本体の端部に固設され該アーム本体を車体或いは車輪に連結支持する支持部材とを備えたサスペンションアームにおいて、
    面コの字形状をなす一対の湾曲部材の接合縁部を互いに接合して構成した湾曲アームを有し、
    上記接合縁部を、車両前後方向の荷重による曲げモーメントの略中立軸上に設定するとともに、
    上記湾曲アームを介して、上記支持部材を上記アーム本体に固設したことを特徴とするサスペンションアーム。
  2. 上記湾曲アームの湾曲内側に位置する一方の上記湾曲部材を、湾曲外側に位置する他方の上記湾曲部材よりも肉厚な部材で構成したことを特徴とする請求項1記載のサスペンションアーム。
  3. 上記一対の湾曲部材の接合は上記接合縁部を互いに重畳して行うものであって、湾曲内側に位置する上記湾曲部材の接合縁部を、湾曲外側に位置する上記湾曲部材の接合縁部よりも外部に位置するよう重畳したことを特徴とする請求項2に記載のサスペンションアーム。
  4. 上記湾曲アームの上記アーム本体への接続は上記各湾曲部材の端部を上記アーム本体の外部に重畳して行うものであって、これらが溶着される重畳部の位置を、上記支持部材と他の支持部材とを結ぶ直線上に位置するよう設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のサスペンションアーム。
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