JP4487362B2 - 光触媒物質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光動作が可能な光触媒物質および光触媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光触媒作用を発現する材料として、TiO2(二酸化チタン),CdS(硫化カドミニウム),WO3(三酸化タングステン),ZnO(酸化亜鉛)等、数多くのものが知られている。これらの光触媒材料は半導体であり、光を吸収して電子と正孔を生成し、種々の化学反応や殺菌作用を呈する。ここで、現在まで、光触媒として実用化されているものは、TiO2のみである。これは、TiO2が、毒性、水や酸・アルカリに対する安定性の観点から優れているからである。
【0003】
ところが、このTiO2光触媒の動作光は、TiO2のバンドギャップ(アナターゼ型のEg=3.2eV)の値から、波長λ<380nmの紫外線に限られている。しかし、屋内での使用や微弱な強度の光照射における触媒活性の向上といった観点から、波長380nm以上の可視光照射によっても触媒活性を発現する材料の開発が強く望まれている。
【0004】
例えば、特開平9−262482号公報では、触媒活性の高いアナターゼ型TiO2にCr(クロム),V(バナジウム)等の金属元素をイオン注入して材料改質を行うことにより、TiO2の光吸収端を長波長側にシフトさせ、可視光でのTiO2触媒の動作を可能にしている。なお、Cr,V等のドーピングについては、1970年代前半から数多くの報告があるが、これらの報告では可視光での動作が可能であるが、紫外〜可視光領域全体での活性は大きく低下してしまう。特開平9−262482号公報は、Cr,V等のドーピングの手法をイオン注入という特別なものとすることで、可視光における動作を本来の活性を低下させることなく可能としたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記従来例では、TiO2に金属元素をイオン注入するという手法で、TiO2光触媒の可視光における動作を可能としている。しかし、金属イオン注入は、装置が大規模になり高価であるという問題点がある。そこで、その他の方法、すなわち溶液中合成したり、またはスパッタリングのような手法でTiO2光触媒を合成したいという要求がある。ところが、このような方法で作製した場合には、可視光での動作が可能とならない。これは、結晶化過程においてドーパントであるCrが凝集してしまったり、あるいはCr23等の酸化物を形成してしまうものと考えられている。このように、従来例においては、金属元素を用いTiO2を可視光における動作を可能とするためには、金属元素のイオン注入という手段を採用しなければならないという問題があった。
【0006】
本発明は、新規な材料を用いることにより、コストのかかるイオン注入等の手法を用いずにTiO2光触媒の可視光動作を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光触媒物質は、酸化物が光触媒作用を呈する金属元素M1であるチタンの酸化物結晶においてその酸化物結晶の酸素サイトの一部を窒素原子で置換、酸化物結晶の格子間に窒素原子をドーピング、あるいは酸化物結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配してなり、かつバナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種の金属元素M2を、酸化物結晶のM1サイトの一部に置換、酸化物結晶の格子間にドーピング、あるいは酸化物結晶の多結晶集合体の粒界に配したことを特徴とする。
【0008】
ここで、窒素および各種金属の組成比は、窒素が0を超え13原子数比%以下、金属元素は、0を超え5原子数比%以下とすることが好ましい
【0009】
このような本発明の光触媒物質は、TiO2、Ti−O−の場合よりも光吸収スペクトルの吸収端が長波長側にシフトする。従って、より長波長の光を吸収して光触媒作用を呈する。この結果、太陽光、蛍光灯を光源とした場合の光触媒効率、すなわち有機分解、有害ガス分解、水質浄化などの特性が向上する。また、紫外光のみならず可視光照射によっても表面の濡れ性や防曇性能の発現を可能にし、かつその特性の長時間保持が可能になる。
【0010】
これは、次のような理由と考えられる。窒素NやイオウSのドープの効果によって、酸素Oが特性を支配する半導体の価電子帯が影響を受け、また金属のドープの効果によりTiが特性を支配する伝導帯が影響を受ける。これによって、TiO2などの酸化物のバンドキャップ(禁制帯域)の内側に新しいエネルギー準位が形成され、実効的なバンドギャップが狭くなる。その結果、TiO2、Ti−O−Nの場合より低エネルギーの長波長光も吸収して電子と正孔を生成することが可能になる。
【0011】
また、前記金属元素M1は、チタン(Ti)でる。チタンの酸化物は光触媒として機能し、窒素および上述のような金属元素M2のドーピングによって動作光が長波長側にシフトする。
【0012】
また、上述の光触媒物質を内部物質とし、この内部物質の表面に外部物質として酸化チタンまたは酸化チタンに窒素を含有させたTi−O−N層を形成したことが好適である。
【0013】
このように内部にTi−Cr−O−N等を配置することによって、ここで長波長の可視光を効果的に吸収して電子と正孔が生成する。そして、この電子と正孔が表面のTiO2、Ti−O−Nに移動しその表面において優れた親水性、防汚性、有機物の分解性を実現する。さらに、より安定な、TiO2、Ti−O−Nを最表面に配することで、Ti−Cr−O−N等の単体と比較して長期にわたる安定性を向上させることができる。
【0014】
また、外部物質と内部物質の組成比が、表面からの距離に応じて徐々に変化することも好適である。
【0015】
本発明においては、基本的に酸化チタン等の金属酸化物の酸素サイトの一部を窒素原子(N)で置換、格子間に窒素原子をドーピング、あるいは多結晶集合体の粒界に窒素原子またはイオウ原子を配してなるチタン化合物(Ti−O−N)を有している。
【0016】
このような金属酸化物、例えば酸化チタン結晶に窒素を含有させたTi−O−Nは、可視光領域及び紫外光領域において光触媒作用を発現する。
【0017】
そして、Ti−O−N等にさらに上述のような金属をドープ(コドープ)することによって、さらに長波長の光を効率的に吸収できるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、実施形態の構成を示す図であり、基板10上に、光触媒物質膜12が形成されている。基板10は、SiO2、ガラス、セラミックなど用途に応じて各種の材料が利用される。
【0020】
この光触媒物質膜12は、チタン(Ti)である金属M1の酸化物の結晶に窒素原子(N)がドーピングされ、かつバナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)のうちの少なくとも1種の金属元素M2がドーピングされている。
【0021】
前述のイオン注入の結果は、金属ドーバントをTiサイトに凝集せずに導入することが、重要であることを示唆している。本特許では、金属元素M2及びNとの同時導入により、紫外光のみならず可視光照射によっても動作可能な光触媒を実現するものである。
【0022】
本発明者らは実験と平行して、第一原理計算法の一つであるfull−potential linearized−augmented−plane−wave(FLAPW)法によって、Oサイトを別の元素(=B、C、N、F、P、S)に置換したTi−O−X系半導体光触媒の電子状態、ならびにTiサイトを金属元素M2(=V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ru、Rh、Pt、Re、Os、Pd、Ir)に置換したTi−M2−O系半導体光触媒の電子状態を評価した。
【0023】
図6は、第一原理計算(FLAPW)による計算結果に基づき、状態密度を図式的に示したものである。
【0024】
計算に用いた単位胞は、Tiサイトを金属元素M2(=V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Nb、Mo、Ru、Rh、Pt、Re、Os、Pd、Ir)に置換したものである。この図において、CBMは伝導体の下端を、VBMは価電子帯の上端を示し、各々の四角は新たに形成した光学的な吸収端を示す。結果が示すように、TiO2のバンドギャップ中に金属置換による新たな光吸収帯が生成されることが分かる。したがってこれらの金属元素による可視光吸収が期待できる。
【0025】
図7は、Oサイトを別の元素(=B、C、N、F、P、S)に置換した際に得られた状態密度の計算結果である。
【0026】
この結果から分かるように、NとSによる置換によって、TiO2の価電子帯最上部(VBM)付近に吸収帯が生成することが分かる。したがって、これらの元素の置換によって、可視光吸収が期待できる。
【0027】
また、これらを両方ドープしたTi−O−M2−X(X=N,S)系半導体の電子状態を計算した。その結果、M2とNまたはSを隣接サイトにした場合の方が、M2とNまたはSを離した場合より、エネルギー的に安定であることが分かった。したがって、上述のような、M2とNまたはSとの安定な結合状態によって、再結合中心の増加、キャリア移動度の低下、及び、M2及びNまたはSの固溶限界、等のドーピングによる弊害を低減させることが期待できる。
【0028】
実際、Ni、Cu、Pd、Pt等の金属元素M2とNとの同時置換によりTiO2のバンドギャップ中に導入された状態密度は、互いのエネルギー準位が近いため、相互作用により強い混成状態を形成する。そのため、M2による局在したバンドギャップ内の状態密度は、同時置換により非局在の性質へと変化していることが確認された。したがって、これらの同時置換によるポテンシャル変化による影響は、M2のみ、あるいはXのみの単体置換による場合に比較して小さく、再結合中心となりにくい。
【0029】
上記の計算結果は、TiサイトをM2で、また酸素サイトをXで置換したモデルにおける計算結果を示したが、本発明の効果を発現するためには、上記の状態に限らない。すなわち、酸化チタン結晶の酸素サイトの一部を窒素原子またはイオウ原子で置換、酸化チタン結晶の格子間に窒素原子またはイオウ原子をドーピング、あるいは酸化チタン結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子またはイオウ原子を配し、かつバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、パラジウム、白金、イリジウム、ニオブ、モリブデンのうち少なくとも一種で金属サイトの一部を置換、酸化チタン結晶の格子間にドーピング、あるいは酸化チタン結晶の多結晶集合体の粒界に配してなるチタン化合物であれば、ドーピングの効果により酸化チタンの電子状態を変化させることができ、可視光吸収を可能にする。
【0030】
ここで、NまたはSは、M1の酸化物結晶の中でM1と化学結合を有していることが好ましい。すなわち、このようなM1−Nの化学結合を含むことで、可視光の吸収が可能となる。そして、金属元素M2をドーピングすることで、さらなる可視光吸収が可能となる。
【0031】
このような光触媒物質膜12は、金属M1の酸化物および金属M2をターゲットとして窒素ガス雰囲気でスパッタすることなどによって得ることができる。
【0032】
次に、本実施形態の具体例として、TiO2結晶に、NおよびCrをドープしたTi−Cr−O−N構造の光触媒物質について述べる。
【0033】
この実施例では、光触媒物質をRFマグネトロンスパッタリングで作成した。ターゲットには、4インチの径のTiO2およびCrターゲットを用いた。このターゲットを40%N2−Ar雰囲気中で、0.5Paの圧力下でスパッタリングを行い、55℃、N2雰囲気中で90分間熱処理することにより結晶化させTi−Cr−O−N膜を作成した。投入電力は、TiO2が600W×2,Crは10〜40Wの範囲で変化させた。
【0034】
一方、比較対象としてTiO2膜も形成した。この場合、ターゲットを20%O2−Ar雰囲気中でスパッタし、450℃、O2雰囲気中で90分間熱処理することにより結晶化させた。
【0035】
X線回折によりTi−Cr−O−N膜の結晶性を見たところ、アナターゼTiO2とルチルTiO2の両方の回折線が観察された。Cr化合物や、TiNに由来する回折線は観察されなかった。
【0036】
この膜の光吸収スペクトルを図2に示す。Ti−Cr−O−N膜は、TiO2膜と比べて、吸収端が長波長側にシフトしている。これは、CrとNドープにより、TiO2のバンドギャップ内に新たな準位が形成され、実効的なバンドギャップが狭くなったことに起因する。
【0037】
この膜の光触媒機能をメチレンブルーの分解性能で評価した。この評価は、Ti−Cr−O−N膜の表面に塗布したメチレンブルーの分解性能を波長600nmにおける膜の吸光度(ΔABS)の変化として測定することによって行った。照射光源に500WのXeランプを用い波長λ≧200nmの紫外線を含む光を照射した場合と、光学フィルタにより照射波長域を制限することにより波長λ≧380nmの可視光を照射した場合について試験した。
【0038】
その結果を図3に示す。このように、Ti−O−Nによれば紫外光から可視光にわたる照射(λ≧200nm)においてTiO2に比べ、大きな触媒活性が得られる。そして、Ti−Cr−O−Nでは、触媒活性がさらに改善されていることがわかる。この要因は、λ≧380nmの可視光における触媒活性が向上していることによる。これはCrとNドープの効果である。この結果は、図2における光吸収スペクトル特性を反映しているといえる。
【0039】
ここで、図3に示したように、Ti−Cr−O−N光触媒物質は、可視光の入射により、光触媒機能を発揮する。すなわち、Ti−Cr−O−N光触媒物質は、紫外光のみならず可視光のみの照射によっても、光触媒機能を発現し、親水性の向上(水の接触角の減少)や、有機物分解能が得られる。従って、Ti−O−Nは、単に可視光を動作光にできるだけでなく、その結果として紫外−可視域にわたる光照射による光触媒機能を著しく向上させることができる。
【0040】
ここで、本実施形態の基本となるTi−O−N膜は、TiとNとの化学結合を有している。すなわち、図4に示すMg−KαX線を用いたXPS(X-ray Photoemission Spectroscopy)による窒素Nの1s殻の測定結果から窒素原子の化学的な結合状態を判断したところ、本実施形態のTi−O−N中の窒素原子は、396eV付近に、Ti−N結合に由来するピークを示す。
【0041】
上記のように、本発明のTi−O−N光触媒のX線回折とXPSの二つの測定結果から、アナターゼ+ルチル結晶構造を有するTi−O−N中にTiとN原子の間の化学的結合が存在することが明らかである。
【0042】
本発明のTi−Cr−O−Nにおいても、TiとN原子の結合に由来するXPSのピークが得られている。
【0043】
一般に光触媒用の酸化チタンとして市販されている粉末や膜中にも、製造過程で窒素原子が混入する場合があるが、図中に示すようにこれらの窒素原子のピークは400eV付近に現れる。すなわち、従来の酸化チタンに混入する窒素原子は有機化合物やニトロ基を形成しているため、Ti−N結合は観察されない。このように、製造過程に混入したり後処理で表面修飾される酸化チタンに存在する窒素とは、化学的な性質が異なる。
【0044】
そして、本実施形態では、Crなどとドープすることによって、さらに電子状態を変化させることができ、可視光の利用の効率化を図っている。
【0045】
次に、他の金属とNとともに、ドープしたTi−(Co,Cu,Ni)−O−N光触媒について、メチレンブルー分解実験を行った結果を表1に示す。照射光λ≧380nmの光触媒性能は、ドープ量に依存する。この表1で表示した結果はそれぞれの系における最高値である。ドーパントの種類によって触媒活性はやや異なるが、これらすべての金属とNのドープによってTiO2より一桁大きな触媒活性を実現できる。
【0046】
このときの組成比は、Ti26Co1712、Ti27Ni1702であった。これらの組成比は、酸素が過剰な状態であるが、組成比はこの状態に限らず、例えばTi33Ni2632のような還元気味の組成比であってもよい。Mg−Kα線を用いたXPS分析におけるN1s殻結合エネルギースペクトルには、N原子と金属原子の結合に由来するピークが396〜397eV付近に観察された。
【0047】
この酸素過剰、還元気味の組成比の範囲はNの代わりにSドーピングを用いた場合においても同様である。
【0048】
【表1】
Figure 0004487362
金属元素M2としては、Crの他、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)等を用いることができる。また、用いる金属元素は、これらのうち1種類とは限らず、これらのうちの2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
なお、本発明において、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、白金、パラジウム、イリジウム、ニオブ、モリブデンのうちの少なくとも1種の金属元素M2は、酸化物結晶のM1サイトの一部に置換、酸化物結晶の格子間にドーピング、あるいは酸化物結晶の多結晶集合体の粒界に配されている。
【0050】
さらに、上記例では、Ti−Oをベースに用いたが、その他に、ZnO、SrTiO3、SnO2、WO3、ZrO2、Nb25、Fe23、Cu2O、FeTiO3等の酸化物半導体に少なくとも1つの金属M2および窒素またはイオウ(またはN+S)をドープすることによっても、同様の光触媒機能を有する光触媒物質を得ることができる。
【0051】
また、上述の説明では、スパッタにより、薄膜を形成する例について述べた。しかし、これらの光触媒特性は、材料が本質的に有するものであり、蒸着で作成した薄膜、ゾル・ゲル法により作成した薄膜、あるいは微粉末の形態においても同様の特性を得ることができる。
【0052】
さらに、図5に、本発明の他の実施形態の構成を示す。図5(a)において、基板10上にTi−Cr−O−N膜14形成し、その上にTiO2膜16を形成している。
【0053】
なお、図5においては、二層の積層構造としているが、熱処理などの過程で両者の境界は明確ではなくなり、表面に向けてN、Crが徐々に減少していく構成となる。すなわち、表面に近いほどNおよびCrの原子量が少なく、かつ最表面ではTiO2が露出した傾斜組成のTiO2/Ti−Cr−O−N膜が形成される。なお、Ti−Cr−O−N膜14と、TiO2膜16の界面をシャープなものに維持してもよい。
【0054】
また、傾斜組成は、Ti−Cr−O−N膜14およびTiO2膜16の積層形成後の熱処理に限らず、雰囲気のガス組成およびCrのスパッタ条件を膜の堆積状態に応じて変更してもよい。すなわち、雰囲気のN2分圧を徐々に減少し、かつCrのスパッタ量を徐々に減少することで、表面側をTiO2にすることができる。
【0055】
このような構成により、基板10に近いTi−Cr−O−N領域(Ti−Cr−O−N膜14)で可視光を吸収し、電子と正孔が生成される。これらは膜表面のTiO2(TiO2膜16)に供給される。そこで、表面においては、TiO2膜16として光触媒作用を発現する。
【0056】
TiO2膜は、安定でありかつ親水性について特に優れており、内部からの電子・正孔を受け、好適な親水性殺菌、防汚等の機能を発揮する。
【0057】
なお、傾斜組成のTiO2/Ti−Cr−O−N光触媒は、図5(b)に示すように、内部にTi−Cr−O−N部分22、外側にTiO2部分24を有する粒子状とすることも好適である。このような粒子状の光触媒は、塗料用のバインダー中に混入させておき、塗料のようにして利用することが好適である。
【0058】
なお、この例のTi−Cr−O−N膜14のTi−Cr−O−Nに代えて各種のM1−M2−O−Nが利用可能である。さらに、TiO2膜16のTiO2に代えてTi−O−Nを利用することも好適である。Ti−O−Nは、安定でありかつ有機分解などの機能に優れている。そこで、これを外側物質として、特徴的な光触媒機能を達成することができる。
【0059】
また、これら本発明の光触媒体の表面に、Pt、Pd、Niの金属元素や酸化ルテニウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ニッケル等の酸化物のうちの少なくとも一つを担持すれば、より活性の高い光触媒体が形成できる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、M1−M2−O−N(またはS)は、M1の酸化物のスパッタリングの際の雰囲気に窒素ガスや亜硫酸ガス、硫化水素ガス、硫化炭素ガスを導入し、M2をスパッタすることなどの方法で、容易かつ安価に作製することができ、これによって、可視光を動作光とした光触媒機能を発現することができる。そして、M2を導入することで、バンドギャップ内に新たな準位を作り、光の吸収特性をより長波長側にシフトすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1の構成を示す図である。
【図2】 TiO2結晶相を示す図である。
【図3】 実施形態1の光触媒機能を示す図である。
【図4】 Ti−O−N膜のXPSスペクトルを示す図である。
【図5】 実施形態2の構成を示す図である。
【図6】 Ti−M2−Oの状態密度を示す図である。
【図7】 Ti−O−Xの状態密度を示す図である。
【符号の説明】
10 基板、12 光触媒物質膜。

Claims (1)

  1. 酸化物が光触媒作用を呈する金属元素であるチタンの酸化物結晶について、その酸化物結晶の酸素サイトの一部を窒素原子で置換、酸化物結晶の格子間に窒素原子をドーピング、あるいは酸化物結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子を配してなり、かつバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、レニウム、オスミウム、パラジウム、白金、イリジウム、ニオブ、モリブデンのうちの少なくとも1種の金属元素を、酸化物結晶のチタンサイトの一部に置換、酸化物結晶の格子間にドーピング、あるいは酸化物結晶の多結晶集合体の粒界に配した光触媒物質。
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