JP4487331B2 - 車両制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両制御装置に係り、詳細には、有段変速機又は無段変速機を含む自動変速装置の変速比を、前方に存在する走行道路の形状等に応じて車両制御を行う車両制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ナビゲーション装置において得られる車両の現在位置と、ナビゲーション装置に備え付けられた地図データベースから得られる前方の道路形状と、車両情報とに基づき、自動変速機もしくはエンジンの制御量を決定し、該制御量を自動変速機の制御を司る自動変速装置、もしくはエンジンの制御を司るエンジン制御装置に送信することにより、現在位置より前方カーブへの進入に対応させて減速制御を行うことができるようにした車両制御装置が提供されている(特開平7−306998号公報)。
この車両制御装置を含めて従来の車両制御装置では、一般にカーブの状態に応じて車両制御をするために、道路データベース中の連続する3点のノードデータとリンクデータとからノード3点を含む円の半径Rを算出し、この半径Rをカーブの形状を表す曲率半径(ノード半径)としている。この算出した曲率半径に基づいてカーブ内に存在するノード点位置を走行通過するのに適正な車速すなわち適正車速を算出し、この適正車速をパラメータに用いて自動変速機もしくはエンジンの制御量を決定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の車両制御装置では、制御対象となるカーブの曲率半径を連続する3つのノードとノード間距離とから算出していたため、以下のような問題が生じていた。
すなわち、従来では連続する3点のノードによりカーブ状態を判断しているためカーブに対する局所的な判断であり、該当するカーブに対する状態を適切に判断することはできなかった。
【0004】
図7は、このような状態を説明するためのもので、異なる形状の道路に対して同一の位置関係でノードが付された場合を表したものである。
図7(a)に示すようにノードN2の通過後に直線道路が続く道路D1に比べて、(b)に示すように同方向のカーブが継続している道路D2の方が、運転操作ではきついカーブであると感じられるのが実状であり、(カーブが継続する道路D2の方が減速制御等の車両制御の必要性が高い。
しかし、図7(a)、(b)に示されるように、異なる形状の道路D1、D2であっても同一の位置関係で連続する3点のノードN1、N2、N3が付された場合、中心ノードN2に対する曲率半径R0は両道路とも同一になる。従って、従来の車両制御装置では、中心ノードN2を通過する場合に、両道路共に同一の車両制御が行われていた。このように従来では、連続した3点に基づく局所的な判断からカーブに対する曲率半径を求め、その曲率半径に応じて車両制御が行われているため、実際のカーブに対する運転操作上の感覚とはずれた制御が行われる可能性があった。
【0005】
図8は、同一形状の道路D3に対して異なる位置にノードが付された場合を表したものである。
この図8に示されるように、同一形状のカーブであれば運転操作上は同一の感覚であり、車両制御も同一であることが望ましい。
しかし、従来の連続する3ノードから曲率半径を求める場合、制御対象となっているノードN2と他のノードN1、N3との距離が短い場合には図8(a)に示されるように曲率半径R1が小さくなり、距離が長い場合にいは(b)に示されるように曲率半径R2が大きくなり、このため同一形状の道路であっても、ノードの付け方によって異なる車両制御が行われる可能性があった。
【0006】
本発明はこのような従来の車両制御装置における課題を解決するためになされたもので、カーブ等の道路形状により合致した車両制御を行うことが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、道路種別、道路幅、及び、各道路に付された複数のノードのノードデータを有する道路情報を記憶した道路情報記憶手段と、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、この現在位置検出手段で検出した車両の現在位置の進行方向にある特定点を中心として進行方向後方に距離Lbの地点から、前方に距離Lfの地点までの区間内に存在するノードを抽出する抽出手段と、前記抽出した各ノードによる旋回角の累計値である累積旋回角と、前記道路情報の道路種別又は道路幅に応じて変更される値aを算出する累積旋回角算出手段と、前記算出した累積旋回角と値aから前記特定点の推奨走行速度を決定する推奨走行速度決定手段と、車速を検出する車速検出手段と、自動的に変速比を選択する自動変速装置と、前記特定点と前記現在位置との距離、及び前記特定点の推奨走行速度と現在の車速との速度差に応じて予め定められた範囲内に前記自動変速装置の変速比を規制する変速比規制手段と、を具備することを特徴とする車両制御装置を提供する。
請求項2記載の発明では、前記推奨走行速度決定手段は、前記累積旋回角算出手段で算出した累積旋回角と値aから、前記特定点の曲率又は曲率半径を算出する曲率算出手段を備え、この算出した曲率又は曲率半径から前記特定点の前記推奨走行速度を決定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置を提供する。
請求項3記載の発明では、前記自動変速装置は、多段変速機もしくは無段変速機であることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の車両制御装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について、図1から図6を使用して詳細に説明る。
(1)実施形態の概要
本実施形態では、車両から進行方向で所定距離(例えば、200m)先に存在するノードを特定点とし、この特定点の前後一定の距離(例えば、前35m、後35m)内に存在する各ノードに対する旋回角の累計値Σθから、特定点を通過する際の推奨走行速度Vnを決定する。そして、特定点までの距離、及び現在車速と推奨走行速度との速度差から、自動変速装置で設定し得る変速比の上限を規制する。
このように、カーブに対する自動変速装置の変速比規制を行うにあたり、特定点を含む連続した3ノードによる局所的な道路形状判断に基づく車両制御ではなく、特定点の前後一定距離内に含まれる各ノードに対する旋回角の累計値を使用して道路形状判断に基づく車両制御を行うことにより、より道路形状に即した適切な車両制御が行われる。
なお、本実施形態において旋回角は、次のように定義される。すなわち、3つの連続するノードa、b、cにおいて、中心のノードbに対する旋回角をθとし、線分(リンク)abをaからb方向に延長した線分と線分bcとがなす角度が旋回角θで、線分abの延長線に対してノードcが右側にある場合θ>0で、左側にある場合θ<0である。この旋回角θは、角abc(∠abc)の補角であり、角abcの角度をαとした場合、θ=180°−αで表される。
【0009】
(2)実施形態の詳細
図1は、本実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図である。
本実施形態の車両制御装置1は、ナビゲーションシステム10と、自動変速装置(40、41)と、ATモード選択部20と、車両状態検出部30とを備えている。
ナビゲーションシステム10は、ナビゲーション処理部11と、道路情報記憶手段として機能するデータ記憶部12と、現在位置検出部13と、通信部15と、入力部16と、表示部17と、音声入力部18と、音声出力部19とを有している。
【0010】
ナビゲーション処理部11は、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種演算処理を行い、その結果を出力する中央制御装置(以下「CPU」という)111を備えている。このCPU111は、データバス等のバスラインを介してROM112とRAM113が接続されている。
ROM112は、目的地までの予定走行経路の検索、予定走行経路中の走行案内、特定区間の決定等を行うための各種プログラムが格納されているリード・オンリー・メモリである。RAM113は、本実施形態における累積旋回角の演算等の各種演算処理をCPU111が行う際にワーキング・メモリとして使用されるランダム・アクセス・メモリである。
【0011】
ROM112には、更に、各ノード位置を通過する際に推奨される車速(推奨走行速度)を、所定区間内における累積旋回角Σθから演算するための処理プログラムが格納されている。なお、CPU111は、各ノード位置に対する推奨走行速度を演算により算出せずに、予め作成された累積旋回角Σθに対応する推奨走行速度テーブルをROM112に格納しておき、この推奨走行速度テーブルから各ノード位置に対する推奨走行速度を決定するようにしてもよい。また、これら各種テーブルや処理プログラムをROM112ではなく、データ記憶部12に格納し、適宜更新できるようにしてもよい。
【0012】
またROM112には、現在位置における最適変速段を決定するための最適変速段マップ(データテーブル)が格納されている。この最適変速段マップもROM112ではなく、データ記憶部12に格納し、適宜更新できるようにしてもよい。更に、最適変速段マップは、マップ(データテーブル)の形態ではなく、最適変速段を算出する計算式の形態でROM112に格納するようにしてもよい。
【0013】
データ記憶部12は、地図データファイル、ネットワークデータファイル、目的地データファイルが格納されている。地図データファイルには、地形データ(描画データ)、市街地図データ(詳細描画データ)等が含まれ、ネットワークデータは、マップマッチングや経路案内用のデータとして道路データ、交差点データが含まれている.目的地データには、施設データとして名称、位置、住所、写真、施設紹介データ等が含まれている。
【0014】
道路データには、交差点間を結ぶ道路特性を特定する情報として次のようなデータが格納されている。つまり、道路データには、交差点番号、ノード数、ノードの絶対位置(緯度、経度により絶対座標)、リンク長さ、リンクの交差角、道路幅、道路名称等が格納され、更に各ノードには、ノード情報として踏み切りの有無、カーブ曲率、勾配などがノード点毎に格納されている。また、各リンクには、リンク情報として道路の車線数、トンネルの有無などが格納されている。
また、交差点データとしては、交差点に交差する道路の道路番号、案内対象となる道路かを示す案内対象許可フラグ、ランドマーク位置種別データ、交差点写真データ、高速道路等の出口ランプウェイ案内データ、交差点番号などが格納されている。
【0015】
以上の他、ガソリンスタンド、観光地案内などの各種地域毎の情報が格納された他のデータファイルを備えている.これら各ファイルには、経路探索を行うと共に、探索した経路に沿って案内図を表示したり、交差点や経路中における特徴的な写真やコマ図を出したり、交差点までの残り距離、次の交差点での進行方向を表示したり、その他の案内情報を表示部17や音声出力部19から出力するための各種データが格納されている。
これらのファイルに記憶されている情報の内、通常のナビゲーションにおける経路探索に使用されるのが交差点データ、道路データである。これらデータによって、道路の幅員、勾配、路面の状態、コーナの曲率半径、交差点、T字路、道路の車線数、車線数の減少する地点、コーナの入口、踏切、高速道路出口ランプウェイ、高速道路の料金所、道路の幅員の狭くなる地点、降坂路、登坂路、その他高速道路からランプウェイヘ進入する分岐路、Y字路などのような分岐道路などを示す道路情報が構成されている。
【0016】
各ファイルは、例えば、DVD、MO、CD−ROM、光ディスク、磁気テープ、ICカード、光カード等の各種記憶装置が使用される.なお、各ファイルは記憶容量が大きい、例えばCD−ROMの使用が好ましいが、その他のデータファイルのような個別のデータ、地域毎のデータは、ICカードを使用するようにしてもよい。また、通信部15を用いて、渋滞情報や目的地までの経路情報等のデータを、図示しない外部情報提供手段により、通信で獲得する構成としてもよい。更に同様に通信部15を用いて、前記地図データファイルやネットワークデータファイルを通信で獲得する構成とすることもできる.或いは、ネットワークデータフアイルの更新は、前述した様に、通信にて行うこともできるし、更にこの更新は、自車の走行軌跡と対応するネットワークデータとを比較することにより、新規道路の認識を行って、新規道路のネットワークデータを作成することにより行われる。
【0017】
道路情報記憶手投として機能するデータ記憶部12に格納されている道路データの一部は、道路の形状を示す道路データとして、道路上の位置を示す点であるノードと、ノードを結ぶ線分(リンク)で構成されている。図2は、データ記憶部12に格納されている道路データの構造を示した模式図である。図中で、実線Rは道路の形状を示している。ここで、道路は、ノード(N1、N2、…)と、ノードを結ぶリンクによって表現される。そして、ノードは、少なくとも座標(ここでは、絶対座標である緯度、経度)によって定義されている。
【0018】
道路形状はノードやリンクのみならず、標高によって定義することもできる。標高データは、左右上下250m間隔のマトリクス状の各点において保持されており、例えば図中に10−10で指した地点の標高20mであり、図中10−11で指した地点の標高点は標高22mというようにデータを持っている。また、ノードにおける道路の曲率半径(ノード半径)は、リンクの交差角で求めることができる。
このように、道路に関する情報は、ノードに付与されて、ノード毎にデータ記憶部12に格納されている。
本実施形態では、この道路データのうちの各ノードに対する旋回角θを求め、車両制御の対象となっている特定点(ノード)の前後所定距離内に含まれる全ノードに対する旋回角θの累積値Σθから、車両制御をすべき道路形状か否かを判断すると共に、制御内容を決定するようにしている。
【0019】
現在位置検出部13は、GPSレシーバ131、地磁気センサ132、距離センサ133、ステアリングセンサ134、ビーコンセンサ135、ジヤイロセンサ136とを備えている。GPSレシーバ131は、人工衛星から発せられる電波を受信して、自車の位置を測定する装置である。地磁気センサ132は、地磁気を検出して自車の向いている方位を求める。距離センサ133は、例えば車輪の回転数を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものや、その他計測装置等が使用される。ステアリングセンサ134は、例えば、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転抵抗ボリューム等が使用されるが、車輪部に取り付ける角度センサを用いてもよい。ビーコンセンサ135は、路上に配置したビーコンからの位置情報を受信する。ジヤイロセンサ136は、車両の回転角速度を検出しその角速度を積分して車両の方位を求めるガスレートジヤイロや振動ジヤイロ等で構成される。また、このジヤイロセンサ136によって、車両に加わる横加速度(横G)を検出することもできる。
【0020】
現在位置検出部13のGPSレシーバ131とビーコンセンサ135は、それぞれ単独で位置測定が可能であるが、その他の場合には、距離センサ133で検出される距離と、地磁気センサ132、ジヤイロセンサ136から検出される方位との組み合わせ、または、距離センサ133で検出される距離と、ステアリングセンサ134で検出される舵角との組み合わせによって自車の絶対位置(自車の現在地)を検出するようになっている。
本実施形態に基づいて経路毎に検出される精密な走行軌跡データの構築には、現在位置検出部13で検出された各種情報が使用される。
【0021】
通信部15は、FM送信装置や電話回線等との間で各種データの送受信を行うようになっており、例えば情報センタ等から受信した渋滞などの道路情報や交通事故情報等の各種データを受信するようになっている。
入力部16は、走行開始時の現在位置の修正や、目的地を入力するように構成されている。入力部16の構成例としては、表示部17を構成するディスプレイの画面上に配置され、その画面に表示されたキーやメニューにタッチすることにより情報を入力するタッチパネル、その他、キーボード、マウス、バーコードリーダ、ライトペン、遠隔操作用のリモートコントロール装置などが挙げられる。
【0022】
表示部17には、操作案内、操作メニュー、操作キーの表示や、ユーザの要求に応じて設定された案内地点までの経路の表示や、走行する経路に沿った案内図等の各種表示が行われる。表示部17としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を用いることができる。
音声入力部18はマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報が入力される。音声出力部19は、音声合成装置と、スピーカとを備え、音声合成装置で合成される音声の案内情報を出力する。なお、音声合成装置で合成された音声の他に、各種案内情報をテープ等の音声記憶装置に録音しておき、これをスピーカから出力するようにしてもよく、また音声合成装置の合成音と音声記憶装置の音声とを組み合わせてもよい。
【0023】
以上のように構成されたナビゲーションシステムは、運転者に車両の現在地周りの道路情報を知らせて、車両の目的地までの走行経路を誘導する。つまり、入力部16から目的地を入力すると、ナビゲーション処理部11は、現在位置検出部13で検出された自車位置に基づき、データ記憶部12から読み出した道路情報から目的地までの走行経路を選択し、該経路を表示部17に出力するとともに、該表示部17に表示された走行経路と、音声出力部19から出力される音声によって、運転者を目的地まで誘導するようになっている。
また、目的地が入力されていない場合には、自車位置の周辺の道路情報を表示部17に表示することで自車位置を知らせるロケーション機能を実現している。
なお、本発明においては、運転者を目的地まで誘導する機能が備わっていなくてもよく、誘導のための表示部17や音声出力部19が設けられていなくてもよい。
【0024】
ATモード選択部20は、シフトポジションと変速モード(後述するパワーモード、ノーマルモード)を運転者が選択する操作部である。このATモード選択部20からは、運転者が選択した変速モードの選択信号が、後述する電気制御回路部(以下「A/T ECU」という)40へ供給される。
【0025】
車両状態検出部30は、車速センサ31(車速検出手段)、とスロットル開度センサ35を有している。
車速センサ31は車速Vを検出し、検出された車速Vはナビゲーション処理部11とA/T ECU40にそれぞれ供給される。
スロットル開度センサ35はスロットル開度を検出し、検出されたスロットル開度は、A/T ECU40と、E/G ECU50に供給される。
【0026】
車両状態検出部30は、更に、減速操作検出手段として機能するブレーキセンサ32、アクセルセンサ33、ウィンカーセンサ34とを備えている。
ブレーキセンサ32はブレーキが踏まれたか否か(ON/OFF)を検出し、アクセルセンサ33はアクセル開度αを検出し、ウィンカーセンサ34はウィンカースイッチのON/OFFを検出し、これらうちの少なくとも1つ以上の検出信号が減速操作としてそれぞれナビゲーション処理部11とA/T ECU40へ供給される(減速操作検出手段として機能)。
この減速操作検出手段で検出される減速操作は、本実施形態による車両制御において、カーブに対する変速段制御を行う場合に、シフトダウンを行うきっかけとなるものである。
【0027】
減速操作検出手段は、ブレーキのON信号に基づき、またはアクセル開度αの変化に基づき、運転者の減速操作を検出することができる。つまり、アクセル開度が零に近い場合で、アクセル開度が所定の変化率(アクセルペダルを踏み込んでいる量に対して、踏み込み量が減少した割合)以上で減少した場合など、運転者の減速操作として検出することができる。つまり、アクセルペダルを踏み込んでいる状態から戻すという操作は、明らかに減速を意図しているものとすることができるので、減速操作として検出することができる。この検出は、アクセル開度αの変化量(減少量)、変化速度(減少速度、変化加速度(減少加速度)等によって行ってもよい。これらのパラメータとアクセル開度αの変化後の状態とを組み合わせて減速操作と判断してもよい。例えば、α≒0の場合であっても、車両を惰性で走行させている場合もあるので、アクセル開度の減少があり、かつ、α≒0となった場合に減速操作として検出するようにすることもできる。
【0028】
また、アクセル開度αの減少があっても、加速をやめるために行う操作もあるので、アクセル開度αの変化量(減少量)、変化速度(減少速度)、変化加速度(減少加速度)等が、所定値以上である場合に、運転者が車速の減少を意図しているものとして、これを減速操作として検出する構成とすることもできる。
更に、ウィンカーのON信号によって、運転者の減速の意志を予測し、減速操作として検出することもできる。このウィンカーON操作に基づく減速操作の検出は、更にウィンカーON時の車速と組み合わせて判断してもよい。例えば、ウィンカーON時に、交差点への進入等が可能な速度まで減速されていなければ、交差点への進入等のために減速操作が行なわれるものと予測できるので、減速操作として検出し、既に充分減速されている場合には、減速操作として検出しないこととすることもできる。
【0029】
また、アクセル開度の減少と、ブレーキの踏み込みとウィンカーのON操作のいずれか一つの操作を検出したときに、減速操作として検出する構成とすることもできる。この場合には、確実に減速操作を検出することができる。また、アクセル開度の減少と、ブレーキの踏み込みと、ウィンカーのON操作のうち、2つ以上が検出された時に、減速操作として検出する構成としてしもよい。この場合には、運転者の意図した減速程度をより明確に確認することができる。例えば、アクセル開度の減少のみによって減速する場合よりも、アクセルをオフし(アクセル開度の急激な減少があり)、かつその直後にブレーキが踏み込まれた場合が、運転者の意図する減速の程度がより大きいものと判断することができる。
【0030】
以上説明した減速操作検出手段は、上記各動作に基づき減速操作の開始を検出するものとしてもよい。例えば、アクセルペダルのオンからオフへの切り換え、アクセルペダルが所定以上の速度で戻されること、ブレーキペダルのオンなどを減速操作の開始として検出することができる。例えば、アクセル開度αが所定値以上の場合であって、α=0となった場合、或いは、所定値以上の速度でアクセルが戻された場合にのみ、減速操作の開始として検出する構成とすることができる。このような構成とすれば、例えば、加速を抑制したり、増速をやめる目的でアクセルペダルを戻す操作を減速操作として検出しない構成とすることができる
【0031】
本実施形態の自動変速装置は有段変速機であって、プラネタリギアを主体としたギアトレーン及びギアトレーンの各構成要素を係合、解放して変速段を形成する油圧回路からなる機構部(図中A/Tで示し、以下ATという)41と、このAT41を制御する電気制御回路部(A/T ECU)40とを備えている。
ナビゲーションシステム10とA/T ECU40とは、相互に通信線で接続され適宜通信が行われる。
【0032】
A/T ECU40は、車速センサ31及びスロットル開度センサ35、ウィンカーセンサ34、アクセルセンサ33、ブレーキセンサ32が接続されており、車速センサ31からは車速信号が、スロットル開度センサ35からはスロットル開度信号が入力される。更にAT41に取り付けられた図示しないシフトポジションセンサからはATモード選択部20で選択されたシフトポジションに対応したシフトポジション信号が入力される。
【0033】
一方、A/T ECU40からAT41の油圧回路内のアクチュエータ(油圧ソレノイド)に対して駆動信号が出力され、この駆動信号に基づき上記アクチュエータが作動してAT41における変速段の形成等が行われる。
A/T ECU40は、また、EEPROM42に記憶された制御プログラムにより各種制御が実行される。例えば、変速段の選択は、スロットル開度センサ35より検出されるスロットル開度と、車速センサ31からの車速Vとに基づき、予めEEPROM42に記憶されているメモリテーブル(変速マップ)に基づき行われるように構成されている。この変速マップに従って自動変速装置固有の変速段(本実施形態による車両制御が行われない場合の変速段)が決定される。
【0034】
変速マップは、ノーマルモード、パワーモードの各モードに応じて用意されており、ナビゲーション処理部11から供給される変速モード変更指令信号に基づいて自動的に変更される。また、変速モードは、運転者の意志によりATモード選択部20を介して変更することもできる。
【0035】
ここで、ノーマルモードは、燃費と動力性能のバランスのとれた経済走行パターンで、通常走行に用いるものである。パワーモードとは、動力性能を重視したパターンで、山間地等での運転に使用するものであり、変速段マップでは、低速側の変速段の領域が大きく取られている。
【0036】
本実施形態では、この自動変速装置固有の変速段を決定するための変速マップを変化させることなく、変速段の高速側(上限)を制限(規制)することにより、結果的に変速段が低速側にシフトされたような制御を実行している。したがって、固有の変速マップとして、どのような変速マップを用いることもできる。
【0037】
ATモード選択部20が備えるシフトレバーは、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジ、セカンドレンジ、ロウレンジ、の6つのシフトポジションが選択可能な6ポジションタイプで、AT41に取り付けられた図示しないシフトポジションセンサと機械的に接続されている。
【0038】
ドライブレンジのシフトポジションでは、1〜4速の間で変速段が選択され、セカンドレンジでは、1〜2速の間で変速段が選択され、ロウレンジでは、1速の変速段のみが設定される。本実施形態では、シフトレバーがドライブレンジのシフトポジションに保持されている場合にのみ、ナビゲーションシステム10による変速段の規制制御が実行可能な構成となっている。
例えば、A/T ECU40によって自動変速装置固有の変速段として4速が決定されていても、ナビゲーション処理部11により上限が3速に規制されているときは、駆動信号は1速から3速までの範囲内でしか出力されない。そして、変速比を設定するA/T41のアクチュエータに対して、その範囲内で駆動信号がA/T ECU40から出力される。
以上のように、ナビゲーション処理部11とA/T ECU40とによって変速比規制手段が構成される。本実施形態では、変更可能な変速段の範囲として、上限値が制限された規制範囲とされる。
【0039】
エンジンコントロールユニット(図中、E/G ECUで示す)50は、スロットル開度の信号と、エンジン(図中、E/Gで示す)51からのエンジン回転数その他(冷却水温、センサ信号等)とに基づき、燃料噴射指令等を変化させて、エンジン51を制御する。
【0040】
以下、本実施形態の車両制御装置における、変速段の上限規制を行うナビAT協調制御の動作について説明する。
図3は、本実施形態におけるナビAT協調制御のうちの、ナビゲーション処理部11が行う処理動作を表したフローチャートである。
この図3に示されるように、まずナビゲーション処理部11は、現在位置検出部13を介して、自車の現在位置データを取得し、自車の現在位置を把握する(ステップS5)。なお、特にフローチャート上に図示しないが、この現在位置の把握は常時行われており、ナビゲーション処理部11は最新の位置情報を把握しているものとする。
更に、ナビゲーション処理部11は、把握した現在位置の進行方向の道路データをデータ記憶部12から読み出す。すなわち、現在位置から進行方向前方の所定区間(例えば、現在位置の200m(後述する制御判定区間に相当する)先の位置x1から1km先の位置x2までの区間)をコーナー判定区間とし、このコーナー判定区間の道路に対して付されたノードNのノードデータを読み出す(ステップ10)。
【0041】
そして、ナビゲーション処理部11は、コーナー判定区間内の各ノードに対して、以下のコーナー判定処理を行う(ステップ15)。このコーナー判定処理は、各ノードNに位置を車両が通過するためにコーナー制御をする必要があるノードか否かを各ノードに対して行うものである。
すなわちナビゲーション処理部11は、各ノードに対する累積旋回角Σθを算出する。
図4は、ノードNに対する累積旋回角Σθの算出について表したものである。
この図4に示すように、道路上にノードN0、N1、…、N5、…が設定されており、ノードN2に対する累積旋回角Σθを算出する場合を例に説明する。
この場合、ノードN2を中心として進行方向後方に距離Lb(=35m)の地点から、前方に距離Lf(=35m)の地点までの区間をノードN2に対する累積区間とし、この累積区間内に存在するノードを抽出する。図4(a)に示した道路の場合、ノードN2に対する累積区間内には、ノードN1、N2、N3、N4が存在している。なお、実施形態において両距離Lb=Lf=35mとしているが、両距離は30m、50m、100m、150m、200m等の任意の距離を設定することが可能であり、またLb≠Lfとして設定するようにしてもよい。Lb≠Lfとする場合、進行方向に対する車両制御なので、Lb>Lfとすることで進行方向前方の道路形状をより多く考慮に入れた制御とすることができる。
ナビゲーション処理部11は、これら各ノードN1〜N4に対する旋回角度θ1〜θ4を算出し、その累計値Σθ(=θ1+θ2+θ3+θ4)を累積旋回角Σθとする。
【0042】
このようにして算出した累積区間内での累積旋回角Σθは、ノードの打たれ方の影響を受けずにほぼ一定の値となる。すなわち、図4(b)に示すように、(a)と同一の道路に対して少ないノードN1〜N3が設定された場合、ノードN1に対する累積区間内にはノードN1だけが存在することになるが、累積旋回角Σθ=θ1の値は、(a)のノードN2に対する累積旋回角Σθとほぼ等しくなる。
このように、ノードが実際の道路上に設定されていれば累積旋回角Σθは、設定の仕方による誤差が小さく、またリンクLの長さ(ノードの間隔)による影響も少ない。
従って、本実施形態による累積旋回角Σθを使用して次に説明するコーナーの判定を行う場合には、コーナーを表現するノードNの設定数を少なくすることが可能になる。
【0043】
以上のようにして各ノードNnに対して算出した累積旋回角Σθが所定のしきい値よりも小さい場合には、曲率の少ないカーブ(曲率半径Rは大)なので減速を補助する必要がないとして、コーナー制御が必要ないノードと判定する。
逆に、累積旋回角Σθがしきい値よりも大きい場合、曲率の大きいカーブ(曲率半径Rは小)なので減速を補助する必要があると判断して、コーナー制御が必要な制御対象ノードと判定する。ナビゲーション処理部11は、制御対象ノードと判定したノードのノードデータと、そのノードに対する算出済みの累積旋回角ΣθをRAM113の所定エリアに格納する。
【0044】
次に、ナビゲーション処理部11は、車両現在位置から進行方向所定距離(例えば、200m先)までの区間を制御判定区間とした場合、この制御判定区間内に制御対象ノードが存在するか否かを判断する(ステップ20)。存在しない場合(ステップ20;N)には、ステップ20戻り制御対象ノードが現れるまで走行を継続する。
【0045】
一方、制御対象ノードが制御判定区間内に存在する場合(ステップ20;Y)、各制御対象ノードNnに対する推奨走行速度Vnを算出する(ステップ25)。なお、ノードNnに対する推奨走行速度Vnとは、ノードNを通過する場合の適正な車速のことであり、主としてコーナーを安全に走行することが可能な速度として設定される。
ナビゲーション処理部11は、該当する制御対象ノードNnに対する累積旋回角ΣθをRAM113から読み出し、次の数式(1)に従って推奨走行速度Vnを算出する。
【0046】
Vn=3.6×√(c/(a×Σθ+b)) … (1)
【0047】
この推奨走行速度算出式(1)において、aは定数であるが、道路の種別(例えば、高速道路、有料道路、一般道等)や道路幅などのデータ記憶部12に格納されている道路情報によって変更してもよい。
例えば走行している道路が高速道路の場合は、道幅が広く、カーブが緩く、道路の設計速度が高い場合が殆どなのでaの値は通常と比較して小さくなる。逆に一般道の場合は、道幅が狭く、カーブがきつく、道路の設計速度が低い場合が多いのでaの値は通常と比較して大きくなる。
また道路データの内、幅員データに応じて変更しても良い。例えば現在走行している道路の幅員が広い場合はaの値を小さくする。
また、ワインディング判定を行い山岳路の数値に変更してもよい。
このように道路種別や幅員に応じてaの値を補正することで、より実際の走行に適した適正速度としての推奨走行速度が得られる。
また上記例ではナビゲーション装置の地図データベースに備えられたデータに基づき道路種別等を判断したが、図示しないカメラ、CCDカメラにより道路種別や幅員等を判断し、aの値決定に使用することも可能である。
【0048】
数式(1)におけるbも定数であるが、簡単のためにb=0とすることも可能である。
cは許容横Gに関する数値で、例えば、0.2であるが、この値cも天候や路面の状態等によって変更するよにしてもよい。
【0049】
以上のように制御対象ノードNnに対する推奨走行速度Vnを算出すると、ナビゲーション処理部11は、車速センサ31で検出されている現在の車速vを車両情報として読み込む(ステップ30)。
更に、ナビゲーション処理部11は、車両の現在位置から制御対象ノードNnまでの距離Lnを算出する(ステップ35)。
【0050】
次いでナビゲーション処理部11は、ROM112に予め記憶されている最適変速段マップ(図5)を読み出し、このマップ上に減速加速度曲線を設定し(ステップ40)、減速加速度曲線を設定した最適変速段マップを使用し、現在車速と、現在位置から各制御対象ノードNnまでの距離Lnとから、各制御対象ノードNnの推奨走行車速Vnに応じた最適変速段を判定する(ステップ45)。
【0051】
以下、図5を使用して、減速加速度曲線の設定(ステップ40)と最適変速段の設定(ステップ45)の具体的方法について説明する。
図5は、安定した減速、車両挙動、変速段の変更による減速度合等を考慮して、推奨される減速度を設定し、その減速度に応じて、現在位置において最も適切と思われる車速を設定したマップであり、横軸を距離L、縦軸を車速Vとし、各制御対象ノードNn毎に減速加速度曲線が設定されている。図5では、制御判定区間(車両からその進行方向200mまでの区間)内に、制御対象ノードNnとして、N1とN2が存在する場合について示している。
この図5に示されるように制御対象ノードNn(図5では、n=1と2)に対する減速加速度曲線は、以下のようにして引かれる。すなわち、車両の現在位置を横軸の原点とし、現在位置から制御対象ノードNnまでの距離Lnと、制御対象ノードNnに対する推奨走行速度Vnを成分とする座標点Qn(Ln、Vn)をとり、この座標点Qnから3速用の減速加速度曲線mn3と、2速用の減速加速度曲線mn2が引かれている。この減速加速度曲線mn2、mn3と、車両現在位置からの垂線(縦軸と並行な線)との交差点が制御対象ノードNnに対する車両現在位置での基準車速VBn2、VBn3となる。
【0052】
ここで、減速加速度は、これ以上、減速加速度が大きい場合、変速段が3速以下の方が望ましいとされる3速用の減速加速度(図5中のm13、m23)と、変速段が2速以下の方が望ましいとされる2速用の減速加速度(図5中のm12、m22)がある。これは、変速段が低速側にある方が、減速時の車両の安定性と制動に有利であるためである。このような減速加速度と距離Lとの関係を示したのが図5の減速加速度曲線、m12、m13、m22、m23である。
また、基準車速VBnとは、制御対象ノードNnまでの区間距離Lnを各減速加速度で減速すると仮定した場合、現在の車速はいかなる値であるかを示すものである。すなわち、基準車速VBn2は2速用の減速加速度で減速した場合に、また、VBn3は3速用の減速加速度で減速した場合に、制御対象ノードNnの地点で推奨走行速度Vnになるために必要な、制御対象ノードNnから距離Ln手前での車速である。
例えば、車両現在位置での車速が基準車速VB12であれば、区間L1を2速用の減速加速度m11で減速することで制御対象ノードN1を基準車速V1で通過することができる。
【0053】
そして、現在位置における車両の実際の車速V0が、制御対象ノードNnに対する2速用の減速加速度曲線mn2で規定される基準車速VBn2よりも大きい場合(減速加速度曲線mn2よりも上側に存在する場合)、制御対象ノードNnを推奨速度Vnで通過するための最適変速段は2速になる。
同様に、実際の車速V0が、基準車速VBn2以下で、かつ3速用の減速加速度曲線mn3で規定される基準車速VBn3よりも大きい場合大きい場合(減速加速度曲線mn2とmn3の間に存在する場合)、制御対象ノードNnを推奨速度Vnで通過するための最適変速段は3速になる。
また、実際の車速V0が、基準車速VBn3以下である場合(減速加速度曲線mn3上又は下側に存在する場合)、制御対象ノードNnを推奨速度Vnで通過するための最適変速段は4速になる。
図5に示した例では、現在車速V0は、2速用の基準車速VB12より小さく、3速用の基準車速VB13より大きいため、制御対象ノードN1を推奨走行速度V1で通過するための現在位置での最適変速段は、3速となる。
また、現在車速V0は、2速用の基準車速VB22よりも大きいため、制御対象ノードN2を推奨走行速度V2で通過するための現在位置での最適変速段は、2速となる。
実際の制御では、制御判定区間内に存在する各制御対象ノードNn毎に最適変速段を求め、その中から最も低い最適変速段を制御内容として決定する。
【0054】
以上の最適変速段設定処理(ステップ45)が終了すると、ナビゲーション処理部11は、上記した減速操作検出手段として機能し、ブレーキセンサ32、アクセルセンサ33、ウィンカーセンサ34から供給される検出信号から減速操作を検出する(ステップ50)。すなわち、ナビゲーション処理部11は、運転者の減速操作(=アクセルペダルのオフが検出された瞬間、アクセルペダルのオフ状態、ブレーキペダルのオンが検出された瞬間、ブレーキペダルのオン状態、またこれらの適宜組み合わせ)があったか否かを判断し、減速操作が検出された場合(ステップ50;Y)、ナビゲーション処理部11は、ステップ45で設定した最適変速段を変速段の上限値(以下、上限変速段という)としてA/T ECU40に指令する(ステップ55)。
【0055】
一方、減速操作がければ(ステップ50;N)、ナビゲーション処理部11は、上限変速段としてA/T41がとりうる最高速段である4速をA/T ECU40に指令する(ステップ60)。最高速段を上限変速段としてA/T ECU40に供給することで、実質的には変速段が規制されず減速制御が行われないことになる。このように、運転者による減速操作の意志が確認されるまでの間に減速制御が行われないことで、運転者の運転操作上の違和感を与えないようになっている。
【0056】
上限変速段をA/T ECU40に指令した後、ナビゲーション処理部11は、車両現在位置がステップ15でコーナー判定済みのコーナー判定区間から制御判定区間に相当する距離(=200m)手前に到達したか否か判断する(ステップ65)。
到達していない場合には(ステップ65;N)、コーナー判定済みのノードNが存在するので、ステップ20に戻り、新たな制御対象ノードが制御対象区間内に入ったか否かの判断からステップ65までの処理を繰り返す。
一方、車両がコーナー判定区間から200m手前に到達した場合(ステップ65;Y)にはリターンし、新たなコーナー判定区間についての処理を開始する。
【0057】
次に、A/T ECU40の処理動作について説明する。
図6は、本実施形態におけるナビAT協調制御のうちの、A/T ECU40が行う処理動作をあらわしたフローチャートである。
A/T ECU40は、ナビゲーション処理部11から指令される上限変速段を入力する(ステップ70)と共に、スロットル開度、車速V等の各種車両情報を車両状態検出部30から入力する(ステップ75)。
【0058】
そしてA/T ECU40は、入力した車両情報から通常の変速段(本実施形態によるナビAT協調制御が行われない場合に決定される変速段)を判断する(ステップ80)。すなわち、特に図示しないが、EEPROM42に予め記憶されている変速マップに基づいてスロットル開度と車速Vから通常の変速段を決定する。
A/T ECU40は、この決定した通常の変速段とナビゲーション処理部11から指令された上限変速段(ステップ70)とを比較して、より低速側の変速段(変速比の大きい方の変速段)を実際の変速段として決定する(ステップ85)。例えば、減速操作等が検出されていない場合(図3のステップ50;N)には、上述したように上限変速段がA/T41の最大変速段なので、常に変速マップから決定される通常の変速段が実際の変速段となる。
そして、減速操作等が検出されると(図3のステップ50;Y)、最適変速段が上限変速段になり、この上限変速段が変速マップから決定した現在の変速段よりも低速側の変速段である場合には、ナビゲーション処理部11での減速操作等の検出をきっかけとして、A/T ECU40は、A/T41へ上限値(最適変速段)の駆動信号を供給し、シフトダウンを行う(ステップ90)。
以上のように、最適変速段が通常の変速段よりも低速側である場合、減速操作をきっかけとして、最適変速段(上限変速段)にシフトダウンすることで、変速比の規制が行われる。
【0059】
次に第2の実施形態について説明する。
上記第1実施形態では、累積旋回角Σθを算出し、この累積旋回角Σθから直接制御対象ノードNnに対する推奨走行速度Vnを算出するようにしたが、この第2の実施形態では、道路形状や運転操作感覚に合致した曲率半径Rnを累積旋回角Σθから算出し、この曲率半径から従来と同様にして制御対象ノードNnに対する推奨走行速度Vnを算出するものである。
すなわち、ナビゲーションデータを利用して車両制御を行う場合、道路コーナーの曲率半径は重要なデータであり正確な情報を得る必要があるが、所定区間における累積旋回角Σθと曲率(1/R)に高い相関関係があることから本実施形態では、累積旋回角Σθから曲率又は曲率半径(R)、更に制御対象ノードNnに対する推奨走行速度を算出するようにしたものである。
この累積旋回角Σθから曲率半径を算出することで、従来の連続する3点から曲率半径を算出する場合に比べて、少ないノード点数であっても正確な曲率半径を得ることができる。
【0060】
従来の連続する3ノードから曲率半径を算出する場合、図4のノードN2の曲率半径を例に説明すると、ノードN2の曲率半径R2は、
R2=(L2+L3)/2/θ2
であり、個々のノード点の旋回角θに誤差があり、リンク長Lさの影響を受けるため、必ずしも正確ではなかった。
【0061】
これに対して、本実施形態では、制御対象ノードNnに対する曲率半径Rnを、累積旋回角Σθを使用して次の式(2)から算出する。なお、累積旋回角Σθの算出については第1実施形態と同一である。また、式中のa、bについては、第1実施形態おける式(1)で説明したa、bと同一であり、例えば、a=0.00035、b=0.001が使用される。
1/Rn=a×Σθ+b … (2)
このように累積旋回角Σθから曲率半径Rnを算出することで、個々の旋回角θの誤差が相殺されより正確な曲率半径や曲率を求めることが可能となる。またこの方法により算出した曲率半径(曲率)は、ノード点の打たれ方の影響を受けず、ノード点が実道路内にあればθの誤差は小さく、また、リンク長さの影響も少ない。
【0062】
この第2実施形態における累積旋回角Σθは図3の処理動作のうちのステップ15におけるコーナー判定処理で算出済みの各ノードNnに対する累積旋回角Σθを使用する。そして、ステップ25における推奨走行速度の算出処理において、本実施形態においては、累積旋回角Σθから曲率半径Rnを算出し、この曲率半径Rnに対応する旋回横Gを決定し、更に決定した旋回横Gに対応する推奨走行速度Vnを決定する。
図3における他の動作は第1実施形態と同一である。
【0063】
このように累積旋回角Σθから推奨走行速度Vnを決定するために、第2実施形態のROM112には、曲率半径Rから旋回横Gを得るための旋回横Gテーブル及び、ノードNnに対する推奨走行速度を得るための推奨走行速度テーブルが格納されている。
なお、曲率半径から旋回横Gを求めることなく直接その制御対象ノードNnでの推奨走行速度を求める曲率半径−推奨速度テーブルをROM112に格納するようにしてもよい。
また、旋回横Gを得るために旋回横Gテーブルを使用し、推奨走行速度を得るために推奨走行テーブルや半径−推奨速度テーブルを使用するのではなく、旋回横Gや推奨速度を所定の計算式に従った計算によって得るためのプログラムをROM112に格納するようにしてもよい。
また、これら各種テーブルやプログラムをROM112ではなく、データ記憶部12に格納し、適宜更新できるようにしてもよい。
【0064】
以上、本発明の車両制御装置における各実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲で任意の変形をすることが可能である。
例えば、説明した実施形態では、自動変速装置として有段変速機を例に説明したが、本発明では、これに限らず無段変速機(CVT)を有するものを用いてもよい。この場合には、変速比規制手段は、変速段ではなく、変速比の範囲を規制し、変速比が決定される。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、現在位置の進行方向にある特定点の推奨走行速度を、特定点の前後所定距離範囲内に存在するノードのノードデータから決定し、決定した推奨走行速度を使用して自動変速装置の変速比を規制するようにしたので、カーブ等の道路形状により合致した車両制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】データ記憶部に格納されている道路データの構造を示した模式図である。
【図3】同上、実施形態におけるナビAT協調制御のうちの、ナビゲーション処理部が行う処理動作をあらわしたフローチャートである。
【図4】同上、実施形態においてノードNに対する累積旋回角Σθの算出について表した説明図である。
【図5】最適変速段を設定するためのマップである。
【図6】同上、実施形態におけるナビAT協調制御のうちの、A/T ECUが行う処理動作をあらわしたフローチャートである。
【図7】異なる形状の道路に対して同一位置にノードが付された場合を表した説明図である。
【図8】同一形状の道路に対して異なる位置にノードが付された場合を表して説明図である。
【符号の説明】
1 車両制御装置
2 車両
10 ナビゲーションシステム
11 ナビゲーション処理部
12 データ記憶部
13 現在位置検出部
14 制御専用メモリ
20 ATモード選択部
30 車両状態検出部
40 A/T ECU
Claims (3)
- 道路種別、道路幅、及び、各道路に付された複数のノードのノードデータを有する道路情報を記憶した道路情報記憶手段と、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
この現在位置検出手段で検出した車両の現在位置の進行方向にある特定点を中心として進行方向後方に距離Lbの地点から、前方に距離Lfの地点までの区間内に存在するノードを抽出する抽出手段と、
前記抽出した各ノードによる旋回角の累計値である累積旋回角と、前記道路情報の道路種別又は道路幅に応じて変更される値aを算出する累積旋回角算出手段と、
前記算出した累積旋回角と値aから前記特定点の推奨走行速度を決定する推奨走行速度決定手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
自動的に変速比を選択する自動変速装置と、
前記特定点と前記現在位置との距離、及び前記特定点の推奨走行速度と現在の車速との速度差に応じて予め定められた範囲内に前記自動変速装置の変速比を規制する変速比規制手段と、を具備することを特徴とする車両制御装置。 - 前記推奨走行速度決定手段は、前記累積旋回角算出手段で算出した累積旋回角と値aから、前記特定点の曲率又は曲率半径を算出する曲率算出手段を備え、この算出した曲率又は曲率半径から前記特定点の前記推奨走行速度を決定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
- 前記自動変速装置は、多段変速機もしくは無段変速機であることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の車両制御装置。
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