JP3888481B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両制御装置にかかり、詳しくは有段変速機及び無段変速機を含む自動変速装置の変速比の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、運転者に車両の現在地周りの道路情報を知らせて、車両の目的地までの走行経路を誘導するナビゲーションシステム装置が車両に搭載され、この装置に備えられた車両の現在位置の周囲に関する道路情報に応じて、自動変速機の制御パターンを変更する変更手段を備えた自動変速機の制御装置が提案されている(特公平6-58141号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの従来の制御装置においては、必ずしも運転者の走行感覚に合致した変速段の選択が行なわれない場合がある。例えば、カーブを走行する場合の運転操作においては、カーブに進入する際に、好ましい車速まで減速が行なわれるが、この減速を補助するためにシフトダウンをすることが望ましい。そして、このシフトダウンを自動的に行うため、ナビゲーションシステムに記憶されている道路情報に基づいて変速段制御が行なわれる。
【0004】
一方、運転者の判断によって、上記のようなナビゲーションシステムによる変速段の制御を行わず、従来の変速段制御を行うことを選択することも可能であるが、走行している車両がナビゲーションシステムに基づく変速段制御を行っているのか、または従来の変速段制御を行っているのかを、運転者が知っていないと、走行中に不意に変速段の変更が行なわれ、違和感を感じることとなる。
【0005】
このような観点から、本発明は、変速段制御の内容を切り換えた場合には、運転者にその旨を報知する車両制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、以下の本発明により達成される。
【0007】
(1)道路情報を記憶した道路情報記憶手段と、現在地を検出する現在地検出手段と、自車の車速を検出する車速検出手段と、自動的に変速比を選択する自動変速装置と、運転者の減速操作を検出する減速操作検出手段と、現在地から自車の進行方向にある所定区間内における複数の特定点における推奨走行速度を算出する推奨走行速度算出手段と、現在地から前記複数の特定点までの距離を算出する距離算出手段と、前記推奨走行速度と前記特定点までの距離と車速とから、自動変速装置の変更可能な変速比の下限を決定する規制手段と、運転者の減速操作に基づいて、前記自動変速装置が選択する変速比を前記決定した変速比の下限の範囲内となるように設定する変速比設定手段と、前記規制手段と変速比設定手段による変速比規制の、実行と解除を選択する選択手段と、前記選択手段による実行および解除の選択に基づいて、前記規制手段による変速比規制制御の実行および解除を報知する報知手段を備え、前記変速比設定手段は、各特定点における前記推奨走行速度と該特定点までの距離と車速とから各特定点毎に決定される変速比の下限を比較し、その中で変速比の下限が最も高い変速比を決定する、ことを特徴とする車両制御装置。
【0009】
)前記報知手段は、道路情報を視覚情報として表示する表示画面である上記(1)に記載の車両制御装置。
【0010】
)前記報知手段は、視覚情報によって報知するものである上記(1)に記載の車両制御装置。
【0011】
)前記視覚情報は、文字情報である上記()に記載の車両制御装置。
【0012】
)前記報知手段は、聴覚情報によって報知するものである上記(1)ないし()のいずれかに記載の車両制御装置。
【0013】
)聴覚情報は、音声情報である上記()に記載の車両制御装置。
【0014】
)前記特定点は、道路形状を表現するノードである上記()ないし()のいずれかに記載の車両制御装置。
【0015】
)前記自動変速装置は、多段変速機である上記(1)ないし()のいずれかに記載の車両制御装置。
【0016】
)前記自動変速装置は、無段変速機である上記(1)ないし()のいずれかに記載の車両制御装置。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施形態の1つについて、添付図面に基づいて詳説する。図1は、本発明の車両制御装置の構成を示すブロック図である。
本発明の車両制御装置1は、ナビゲーションシステム装置10と、自動変速装置と、ATモード選択部20と、車両状態検出部30とを備えている。ナビゲーションシステム装置10は、ナビゲーション処理部11と、道路情報記憶手段であるデータ記憶部12と、現在位置検出部13と、選択手段として制御解除スイッチ14と、通信部15と、入力部16と、表示部17と、音声出力部19とを有している。
【0018】
ナビゲーション処理部11は、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種演算処理を行い、その結果を出力する中央制御装置(以下「CPU」という)111を備えている。このCPU111は、データバス等のバスラインを介してROM112とRAM113が接続されている。ROM112は、目的地までの経路の検索、経路中の走行案内、特定区間の決定等を行うための各種プログラムが格納されているリード・オンリー・メモリである。RAM113は、CPU111が各種演算処理を行う場合のワーキング・メモリとしてのランダム・アクセス・メモリである。
【0019】
データ記憶部12は、地図データファイル、交差点データファイル、ノードデータファイル、道路データファイル、写真データファイル、および各地域のホテル、ガソリンスタンド、観光地案内などの各種地域毎との情報が格納された他のデータファイルを備えている。これら各ファイルには、経路探索を行うとともに、探索した経路に沿って案内図を表示したり、交差点や経路中における特徴的な写真やコマ図を出したり、交差点までの残り距離、次の交差点での進行方向を表示したり、その他の案内情報を表示部17や音声出力部19から出力するための各種データが格納されている。
【0020】
これらのファイルに記憶されている情報の内、通常のナビゲーションにおける経路探索に使用されるのが交差点データ、ノードデータ、道路データのそれぞれが格納された各ファイルである。これらのファイルには、道路の幅員、勾配、路面の状態、コーナの曲率半径、交差点、T字路、道路の車線数、車線数の減少する地点、コーナの入口、踏切、高速道路出口ランプウェイ、高速道路の料金所、道路の幅員の狭くなる地点、降坂路、登坂路などの道路情報が格納されている。
【0021】
各ファイルは、例えば、DVD、MO、CD−ROM、光ディスク、磁気テープ、ICカード、光カード等の各種記憶装置が使用される。なお、各ファイルは記憶容量が大きい、例えばCD−ROMの使用が好ましいが、その他のデータファイルのような個別のデータ、地域毎のデータは、ICカードを使用するようにしてもよい。
【0022】
また現在位置検出部13は、GPSレシーバ131、地磁気センサ132、距離センサ133、ステアリングセンサ134、ビーコンセンサ135、ジャイロセンサ136とを備えている。GPSレシーバ131は、人口衛星から発せられる電波を受信して、自車の位置を測定する装置である。地磁気センサ132は、地磁気を検出して自車の向いている方位を求める。距離センサ133は、例えば車輪の回転数を検出して計数するものや、加速度を検出して2回積分するものや、その他計測装置等が使用される。ステアリングセンサ134は、例えば、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転抵抗ボリューム等が使用されるが、車輪部に取り付ける角度センサを用いてもよい。ビーコンセンサ135は、路上に配置したビーコンからの位置情報を受信する。ジャイロセンサ136は、車両の回転角速度を検出しその角速度を積分して車両の方位を求めるガスレートジャイロや振動ジャイロ等で構成される。
【0023】
現在位置検出部13のGPSレシーバ131とビーコンセンサ135は、それぞれ単独で位置測定が可能であるが、その他の場合には、距離センサ133で検出される距離と、地磁気センサ132、ジャイロセンサ136から検出される方位との組み合わせ、または、距離センサ133で検出される距離と、ステアリングセンサ134で検出される舵角との組み合わせによって自車の絶対位置(自車位置)を検出するようになっている。
【0024】
通信部15は、FM送信装置や電話回線等との間で各種データの送受信を行うようになっており、例えば情報センタ等から受信した渋滞などの道路情報や交通事故情報等の各種データを受信するようになっている。
【0025】
入力部16は、走行開始時の現在位置の修正や、目的地を入力するように構成されている。入力部16の構成例としては、表示部17を構成するディスプレイの画面上に配置され、その画面に表示されたキーやメニューにタッチすることにより情報を入力するタッチパネル、その他、キーボード、マウス、バーコードリーダ、ライトぺン、遠隔操作用のリモートコントロール装置などが挙げられる。
【0026】
表示部17には、操作案内、操作メニュー、操作キーの表示や、ユーザの要求に応じて設定された案内地点までの経路の表示や、走行する経路に沿った案内図等の各種表示が行われる。表示部17としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を用いることができる。この表示部17が、視覚情報によって、運転者に変速段制御の内容を知らせる報知手段を構成する。
【0027】
音声入力部18はマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報が入力される。音声出力部19は、音声合成装置と、スピーカとを備え、音声合成装置で合成される音声の案内情報を出力する。なお、音声合成装置で合成された音声の他に、各種案内情報をテープに録音しておき、これをスピーカから出力するようにしてもよく、また音声合成装置の合成音とテープの音声とを組み合わせてもよい。この音声出力部19によっても、聴覚情報によって運転者に変速段制御の内容を知らせる報知手段を構成することができる。
【0028】
以上のように構成されたナビゲーションシステム装置は、運転者に車両の現在地周りの道路情報を知らせて、車両の目的地までの走行経路を誘導する。つまり、入力部16から目的地を入力すると、ナビゲーション処理部11は、現在位置検出部13で検出された自車位置に基づき、データ記憶部12から読み出した道路情報から目的地までの走行経路を選択し、該経路を表示部17に出力するとともに、該表示部17に表示された走行経路と、音声出力部19から出力される音声によって、運転者を目的地まで誘導する。また、目的地が入力されていない場合には、自車位置の周辺の道路情報を表示部17に出力する。
【0029】
一方、選択手段である制御選択スイッチ14は、ナビゲーション処理部11にON/OFF信号を供給し、この信号に基づき、ナビゲーション処理部11は、道路情報に基づく変速段の規制制御(以下、「ナビAT制御」という)を解除するかを決定する。つまり、OFF信号が供給された場合には、変速段の規制は行なわれない。制御選択スイッチ14は、例えばシフトレバーの近傍に配置することができる。また、選択手段は、イグニッションスイッチとすることもできる。つまり、イグニッションスイッチをONすると、ナビAT制御のOFFが選択される構成とすることもできる。このような構成とすることによって、運転者は、常に自らの意志でナビAT制御を選択することとなり、ナビAT制御は、運転者の意志を確認した後実行されることとなる。
【0030】
以上のようなナビゲーションシステム装置10において、現在地検出手段は、現在位置検出部13によって構成され、道路情報記憶手段は、データ記憶部12によって構成される。自車位置の進行方向にある特定点は、現在位置検出部13で検出された現在地と自車の走行方向および道路情報記憶手段に記憶されている道路情報に基づき、ナビゲーション処理部11が決定する。また、距離算出手段は、現在位置検出部13と、データ記憶部12と、ナビゲーション処理部11とによって構成され、図2及び図3に示されているように、現在位置から各ノードまでの距離L1〜Lnを算出する。
【0031】
ノード半径算出手段は、データ記憶部12とナビゲーション処理部11とによって構成され、図2に示されているように、各ノードN1〜Nn毎のノード半径r1〜rnを計算する。ここで、ノードとは、デジタル地図において、道路の位置形状を示す要素で、デジタル化された道路情報は、道路上の位置を示す点(ノード)とノード間を結ぶ線(リンク)により構成される。本実施形態においては、ノードが特定点である。特定点におけるノード半径の算出方法は、例えば特定点で交叉するリンクの交叉角度から算出することができる。
【0032】
また、推奨走行速度算出手段は、データ記憶部12と現在位置検出部13とナビゲーション処理部11とによって構成され、各ノード半径r1〜rnと、予め設定されている旋回横Gより、図3に示されているような、予め定められたデータテーブルに従って、各ノード位置を通過する際に推奨される車速(ノードスピード)V1〜Vn(推奨走行速度)を各ノード毎に計算する。
【0033】
次に、予定走行経路とは、既に車両の走行経路が設定されている場合には、その設定されている経路であり、設定されていない場合には、例えば直進した場合に通過することが予想される経路とすることができる。このような、予定走行経路を探索する走行経路検出手段を設けることによって、予定走行経路がより明確となり、制御性が向上する。
【0034】
ATモード選択部20は、シフトポジションと変速モードを選択する操作部である。車両状態検出部30は、車速検出手段である車速センサ31、減速操作検出手段としてブレーキセンサ32、アクセル開度センサ33、ウィンカーセンサ34とを備え、さらにスロットル開度センサ35を有してしている。車速センサ31は車速Vを、ブレーキセンサ32はブレーキが踏まれたか否か(ON/OFF)を、アクセルセンサ33はアクセル開度αを、ウインカーセンサ34はウインカースイッチのON/OFFを、スロットルセンサはスロットル開度θをそれぞれ検出する。
【0035】
そして、検出された減速操作は、ブレーキのON/OFF信号、アクセル開度信号、ウインカのON/OFF信号として、それぞれナビゲーション処理部11に供給される。また、車速センサ31で検出された車速Vは、ナビゲーション処理部11と後述する電気制御回路部40にそれぞれ供給され、スロットルセンサで検出されたスロットル開度θは、電気制御回路部40に供給される。
【0036】
運転操作は、ブレーキのON信号によって、運転者の減速操作を検出することができる。また、アクセル開度αの変化によって、運転者の減速操作を検出することができる。つまり、アクセル開度が零に近い場合で、アクセル開度が所定の変化率(アクセルペダルを踏み込んでいる量に対して、踏み込み量が減少した割合)以上で減少した場合など、運転者の減速操作として検出することができる。つまり、アクセルペダルを踏み込んでいる状態から戻すという操作は、明らかに減速を意図しているものとすることができるので、減速操作として検出することができる。この検出は、アクセル開度αの変化量(減少量)、変化速度(減少速度)、変化加速度(減少加速度)等によって行ってもよい。これらのパラメータとアクセル開度αの変化後の状態とを組み合わせて減速操作を検出することもできる。例えば、α≒0の場合であっても、車両を惰性で走行させている場合もあるので、アクセル開度の減少があり、かつ、α≒0となった場合に減速操作として検出するようにすることもできる。
【0037】
さらに、ウインカのON信号によって、運転者の減速の意志を予測し、減速操作して検出することもできる。このウインカON操作に基づく減速操作の検出は、さらにウインカON時の車速と組み合わせて判断してもよい。例えば、ウインカON時に、交差点の進入等が可能な速度まで減速されていなければ、交差点の進入等のために減速操作が行なわれるものと予測できるので、減速操作として検出し、既に充分減速されている場合には、減速操作として検出しないこととすることもできる。
【0038】
自動変速装置は、プラネタリギアを主体としたギアトレーン及びギアトレーンの各構成要素を係合、解放して多段変速段を形成する油圧回路からなる機構部(図中、A/Tという)41と、この機構部41を制御する電気制御回路部(以下、A/T ECUという)40とを備えている。
ナビゲーションシステム装置10とA/T ECU40とは、相互に通信線で接続され適宜通信が行われる。
【0039】
A/T ECU40は、車速センサ31及びスロットル開度センサ35が接続されており、車速センサ31からは車速信号が、スロットル開度センサ35からはスロットル開度信号が入力される。さらに、機構部41に取り付けられた図示しないシフトポジションセンサからはATモード選択部20で選択されたシフトポジションに対応したシフトポジション信号が入力される。シフトポジションセンサによって、シフトポジション検出手段が構成される。
【0040】
一方、A/T ECU40から機構部41の油圧回路内のアクチュエータ(油圧ソレノイド)に対して駆動信号が出力され、この駆動信号に基づき上記アクチュエータが作動して変速段の形成等を行う。A/T ECU40は、また、EEPROM42にき記憶された制御プログラムにより制御されており、例えば、変速段の選択は、スロットル開度センサ35より検出されるスロットル開度と、車速センサ31からの車速とに基づき、メモリテーブル(変速マップ)に基づき行われるように構成されている。この変速マップが自動変速装置固有の変速段を決定する。
【0041】
変速マップは、ノーマルモード、スポーツモードの各モードに応じて用意されており、ナビゲーション処理部11から供給される変速モード変更指令信号に基づいて自動的に変更される。また、変速モードは、運転者の意志によりATモード選択部20を介して変更することもできる。
ここで、ノーマルモードは、燃費と動力性能のバランスのとれた経済走行パターンで、通常走行に用いるものである。スポーツモードとは、動力性能を重視したパターンで、山間地等での運転に使用するものであり、変速段マップでは、低速側の変速段の領域が大きく取られている。
【0042】
本実施態様では、この固有の変速マップを変化させることなく、変速段の高速側(上限)を制限することにより、結果的に変速段が低速側にシフトされたような制御を実行している。したがって、固有の変速マップとして、どのような変速マップを用いることもできる。また、本実施形態では、この固有の変速マップに対応させて変速段の上限を規制する程度を決定している。
【0043】
ATモード選択部20が備えるシフトレバー21は、パーキングレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、ドライブレンジ、セカンドレンジ、ローレンジ、の6つのシフトポジションが選択可能な6ポジションタイプで、機構部41に取り付けられた図示しないシフトポジションセンサと機械的に接続されている。
【0044】
ドライブレンジのシフトポジションでは、1〜4速の間で変速段が選択され、セカンドレンジでは、1〜2速の間で変速段が選択され、ロウレンジでは、1速の変速段のみが設定される。本実施態様では、シフトレバー21がドライブレンジのシフトポジションに保持されている場合にのみ、ナビゲーションシステム装置10によるナビAT制御が実行可能な構成となっている。例えば、A/T ECU40によって、4速が決定されていてもナビゲーション処理部11により上限が3速とされているときは、駆動信号は1速から3速までの範囲内でしか出力されない。そして、変速比を設定するアクチュエータ42に対して、その範囲内で駆動信号が出力される。なお、上記シフトポジションおよび変速モードは、A/T ECU40からナビゲーション処理部11へも供給される。
なお、上記シフトポジションは、A/T ECU40からナビゲーション処理部11へ供給される。
【0045】
エンジンコントロールユニット(図中、E/G ECUという)50は、スロットル開度の信号と、エンジン(図中、E/Gという)51からのエンジン回転数その他(冷却水温、センサ信号等)とに基づき、燃料噴射指令等を変化させて、エンジン51を制御する。
以上のように、規制手段は、ナビゲーション処理部11で構成され、変速比設定手段は、ナビゲーション処理部11とA/T ECU40とによって構成される。
本実施形態では、変更可能な変速段の範囲として、上限値が制限された規制範囲とされる。
【0046】
以下、ナビゲーション処理部11と、A/T ECU40による変速段の選択制御について図4〜図6及び図11に示されているフローチャートを参照して詳説する。ここで図4は、ナビゲーション処理部11で実行される処理の一部としてのナビAT制御ルーチンを示している。図5は、A/T ECU40で実行される処理の一部としての変速段出力ルーチンを示している。
【0047】
図4に示されているように、ナビAT制御ルーチンについて説明する。
運転者がイグニッションスイッチをONすることにより、初期化が行なわれる(ステップS10)。この初期化においては、例えばナビAT制御は、OFFとされる。或いは、ONとすることもできる。
次に、始動ルーチン(ステップS30)を開始する。始動ルーチンでは、ナビゲーションシステムの表示部17の画面に、変速段制御のモード選択表示を示す。
始動ルーチン(ステップS30)は、イグニッションスイッチがONされて、車両が始動したときに、ナビAT制御スイッチがONされる時に、変速段制御の内容を運転者に知らせるためのものである。この始動ルーチン(ステップS30)によって、報知手段としての機能が発揮される。
【0048】
次に、通常制御ルーチン(ステップS50)を開始する。通常制御ルーチン(ステップS50)は、カーブを円滑に通過する減速をするために、どの様に変速段の上限を設定するかという観点で設定されている。この通常制御ルーチン(ステップS50)によって、規制手段としての機能が発揮される。
さらに、ナビAT制御ルーチンでは、ステップS50で設定された変速段の規制値を上限値指令信号としてA/T ECU40へ出力する(ステップS70)。
次に、イグニッションスイッチがOFFとなったかを判断する(ステップS90)。OFFとなった場合(S90:Y)には、次のステップに進み、ONのまま、あるいはアクセサリー位置である場合(S90:N)には、ステップS50〜S70を繰り返す。
イグニッションスイッチがOFFとなった場合には、終了時ルーチン(ステップS100)を実行する。このルーチンによってナビゲーションシステムが停止される。
【0049】
図5に示されているフローチャートに基づいて、A/T ECU40の動作を説明する。変速段出力ルーチンは、EEPROM42の変速マップに基づき、固有の変速段がいかなる変速段であるかを判断し(ステップS601)、上記ナビゲーション処理部11側からの変速段上限指令値(いかなる範囲内で変速段を選択可能とする指令)を受信し(ステップS603)、自己の選択した変速段と比較してその範囲内で変速段を決定し(ステップS605)、変速用アクチュエータを駆動すべくA/T41の機構部に対して指令信号を出力する(ステップS607)。ステップS50とステップS605によって、変速比設定手段としての機能が発揮される。なお、ナビゲーションシステムの道路情報に基づくナビAT制御が行なわれない場合には、ステップS603において、ナビゲーション処理部11から最上変速段である4速が供給される。
【0050】
図6に示されているフローチャートに基づいて、ナビゲーション処理部11の始動ルーチン(ステップS30)について説明する。
最初にナビゲーションシステムを始動させる(ステップS301)。これにより、ナビゲーションシステムを構成する表示部17である表示ディスプレイ、音声出力部19が駆動状態となり、また、現在位置検出部13によって現在地の確認ができ、データ記憶部12から道路情報を取得できるようになる。
【0051】
A/T ECU40の始動を確認する(ステップS303)。ナビゲーション処理部11は、A/T ECU40からの入力信号に基づきA/T ECU40が始動しているかを確認する。
制御選択スイッチ14の状態を確認する(ステップS305)。制御選択スイッチ14のON/OFF、モードスイッチがスポーツモード、ノーマルモードのいずれの状態であるか、シフトレバーがどのシフトポジションに置かれているかを検出する。
この検出によって、ナビAT制御の内容を決定することができる。例えば、制御選択スイッチ14がOFFであったり、シフトポジションがドライブレンジ以外の位置にあれば、ナビAT制御は行なわれない。
【0052】
ナビゲーションシステム装置10の表示部17に視覚情報として、所定の内容の表示を行う。表示内容は、例えば次のようにすることができる。図7ないし図8に示されているように、表示画面左右にを2分割し、左側画面17Aを通常のナビゲーションシステム装置10における表示画面とし、最初の注意を表示した後、経路表示、案内を行う。このように、画面表示を、左右2分割にする場合には、ワイドタイプの画面を用いることが望ましい。
【0053】
また、右側画面17Bに、ナビAT制御のスイッチON/OFFを表示する表示領域171を設ける。この表示は、ナビAT制御の制御選択スイッチ14の状態に対応している。また、例えば、図8に示されているように、ONの場合には、表示領域の背景色をグリーンで表示し、図7にしめされているように、OFFの場合には青、黄等で表示するなど、表示内容によって背景色を変更して表示することができる。このような表示方法を取ることによって、表示内容を感覚的に、一見して認識できるようにすることが可能となる。
さらに、制御選択スイッチ14を別に設けずに、表示画面において、ON/OFFの表示する部分に指で接触することによって、スイッチ信号が出力される構成の表示画面を用いてもよい。
【0054】
また、ON/OFFの表示領域171の下側には、ナビAT制御に関する説明事項を表示する説明領域172を設けることもできる。これにより、より運転者に制御内容についての理解を深めることができるとともに、始めて搭乗する運転者が、ナビAT制御による走行をおこなっても、違和感が生じるのを抑制することができる。この説明は、任意の内容に変更してもよい。例えば、OFF表示の場合には、どうやったらナビAT制御をONにできるかを表示するようにしてもよい。具体的には、「シフトレバーをドライブレンジに、ナビAT制御スイッチをONにすると、ナビAT制御を始動することができます。」等の文章を表示することができる。
【0055】
また、ON表示の場合には、減速操作をきっかけとしてシフトダウンが行なわれることを説明する文章としてもよい。上記説明内容は、予め複数種類を用意して、用途に応じて任意に切り換える構成とすることもできる。さらに、画面の分割は、上下2分割とすることもできる。
上記説明内容に限らず、通常のAT制御や、操作部分の説明、例えばスポーツモード、マニュアルモード等の使い方などを説明した文章を表示してもよい。
この構成の場合には、常にナビゲーションシステム装置10による道路情報を確認することができるといった利点がある。
【0056】
一方、他の表示方法として、2画面に分割する表示ではなく、1画面表示とすることも可能である。この場合には、ナビゲーションシステム装置10の起動とともに、先ず最初にナビゲーションシステム装置10に関する注意を一定時間(例えば30秒程度)表示した後、図7の右側画面17Bと同じ表示内容のものを1画面全体に表示する。ここで、ナビAT制御のON/OFF状態と、説明事項が表示され、この確認が行なわれた後、ナビゲーションシステム装置10の画面に戻され、引き続き経路表示、案内が行なわれる。また、その際には、図9に示されているように、画面の隅にナビAT制御の状態を示す表示領域173が確保される。
【0057】
ナビAT制御のON/OFF状態と説明事項の表示から、ナビゲーションシステム装置10の画面に戻されるタイミングは、一定時間経過したときとすることができ、又はナビAT制御のON/OFF状態が切り換わった時とすることもできる。この構成では、表示画面全体を利用することができるので、さらに詳しい説明文を表示したり、説明図を表示して、より理解しやすい内容となるといった利点がある。また、図9に示されている状態でも、画面表面にタッチセンサーを配置したタッチパネルを画面表面に重ね、表示領域173が表示された部分の画面表面に触れれば、説明事項を全画面(あるいは、2分割された画面の一方)に表示するような構成とすることもできる。
【0058】
以上説明した説明事項や、ナビAT制御のON/OFFの状態等は、表示部17で表示せず、音声出力部19から説明文を音声によって出力してもよく、また、表示部17に表示するとともに、音声出力部19から出力する方式としてもよい。
さらに、音声出力部19からの音声情報のみならず、警報音などの聴覚情報を発する構成でもよい。例えば、表示画面に説明事項が表示されている間は、警報音を発する構成としたり、ナビAT制御を選択した時に、警報音が止まったり、音色が変わるといった構成としてもよい。
【0059】
次に、運転者確認信号の入力を確認する(ステップS309)。つまり、運転者がナビAT制御がON状態なのか、OFF状態なのかを確認して、リモコン等の入力手段により確認の信号を入力するのを確認する。また、この確認信号を待たずに、数秒後に次のステップに進む構成としてもよい。
そして、制御選択スイッチ14の状態により、自動変速装置の制御内容を決定する(ステップS311)。ナビAT制御がONである場合には、通常制御ルーチン通りに作動させる。ナビAT制御がOFFである場合には、そのままメインルーチンにリターンする。
【0060】
図10に示されているフローチャートを参照して、先ずモードセレクトスイッチがスポーツモードを選択している場合の通常制御ルーチン(ステップS50)の内容について説明する。
まず、制御選択スィッチ14の状態を確認する(ステップS500)。制御選択スイッチ14のON/OFF、モードスイッチがスポーツモード、ノーマルモードのいずれの状態であるか、シフトレバーがどのポジションに置かれているかを検出する。
この検出により、車両が走行中においてもナビAT制御の内容を決定、変更することができる。例えば、制御選択スィッチ14がONからOFFへ変更されたりした場合には、後述するステップS509の判断において、ナビAT制御の実施を解除することができる。
【0061】
次に、ナビゲーションシステム装置10の表示部17に視覚情報として、所定の内容の表示を行う(ステップS501)。この場合図示しないが、経路案内の画面上に図7におけるナビゲAT制御のスィッチON/OFFを表示する表示領域171と同様の領域が確保される。またこの領域は、メータパネルに設けられても構わない。また、スイッチのON/OFFに応じて、背景色を変更して表示することができる。またこの表示により、運転手は、車両が走行中にナビAT制御スイッチを変更した場合にも、その変更した旨を知ることができる。
【0062】
次に、現在位置検出部13から入力された現在地、データ記憶部12から入力された道路データ(道路種別、道路形状、各ノードの座標データ等が含まれる)より、車両の現在位置より前方100mに存在するノードを探索する(ステップS502)。そして、現在車速V0、アクセル開度、ブレーキ信号、ウインカー信号、現在の変速段等の車両情報を取得する(ステップS503)。
【0063】
各ノードにおけるノード半径rを、そのノードの前後に位置するノードから算出し、そのrから、モード毎に予め設定されているマップに基づき、各ノードにおける推奨車速を求め、また現在地から各ノードまでの区間距離Lを求める。この推奨車速に基づき、各ノード毎に予め設定されている減速加速度Gと区間距離Lとから、基準車速を算出する(ステップS504)。このステップS504によって、推奨走行速度算出手段としての機能が発揮される。
【0064】
ここで、減速加速度Gは、これ以上、減速加速度が大きい場合、変速段が3速以下の方が望ましいとされる3速用の減速加速度(図3中のm2)と、変速段が2速以下の方が望ましいとされる2速用の減速加速度(図3中のm1)が、各ノード毎に設定されている。これは、変速段が低速側にある方が、減速時の車両の安定性と制動に有利であるためである。これらの減速加速度は、モードセレクトスイッチの状態に対応して、その値が変更されるよう構成される。これは、運転者の意志に、さらに対応するために行なわれる。例えば、モードセレクトスイッチがスポーツモードに置かれている場合には、運転者が動力性能を重視したい場合であり、その為に図3に示されているマップでは、より低速側の変速段に規制することができるように、各減速加速度(例えば、m1、m2)の傾きが小さく設定される。
【0065】
これらの変速段は、例えば、図3に示されているマップに基づき設定することができる。このような減速加速度Gと距離Lとの関係を示したのが、図3の減速加速度曲線m1、m2である。また、基準車速とは、区間距離Lを各減速加速度で減速すると仮定した場合、現在の車速はいかなる値であるかを示すものである。
次に、ステップS507へ進み、以下に記載の判断が行なわれる。ノード点N1に対する基準車速は、現在位置からの垂線と減速加速度曲線m1、m2が交叉した点で現される。つまり、例えば、図3中において、現在車速V0は、基準車速VB11より小さく、基準車速VB12より大きいこととなる。減速加速度曲線m1は、2速用の減速加速度を現し、同じくm2は3速用の減速加速度を現している。従って、図3に現されている現在位置では、ノードN1を通過するためには、3速が最適変速段となる。一方、現在車速V0で、ノードN2を通過する場合を考えると、現在車速V0は、2速の基準車速VB21より大きくなっており、2速が最適変速段となる。
【0066】
以上のように、図3に基づき、車速センサ31から入力された現在車速V0とステップS504で得られた基準車速とを比較して、減速をするための制御が必要性か否かを判断する(ステップS507)。例えば、図3に示す例では、現在の変速段が4速の場合には、減速をするための制御が必要であると判断される。ステップS504およびステップS507により、規制範囲設定手段としての機能が発揮される。
【0067】
そして、ステップS507の判断の結果、制御が必要と判断されたノードは、カーブと認定する。制御が必要でないと判断された場合には、カーブと認定しない。そして、変速段の変更が必要と判断されたノード(制御が必要と判断されたノード)に対する変速段を比較し、その中で最も変速段の上限の低い変速段を最適変速段と決定する(ステップS507)。図3の例では、ノードN1が3速、ノードN2が2速であるから、最も低い2速が最適変速段として決定される。
【0068】
次に、制御選択スイッチ14によって、ナビAT制御がOFFとされたかについて判断する(ステップS509)。OFFとされている場合には(ステップS509:Y)、ステップS513へ進む。OFFとされていない場合には(ステップS509:N)、アクセル開度αにより、減速操作(以下「イベント」という)がおこなわれたかを判断する(ステップS511)。これにより運転者の減速意志を検出することができる。本実施形態では、アクセル開度αが所定の変化率δ以上で減少し、かつその後のアクセル開度αがほぼ零となった場合にイベントありと判断する。このイベントは、アクセル開度αの変化に基づく場合に限らず、ブレーキの踏み込みに基づき、または、ウインカーのON操作に基づき、或いは、これらの操作に組み合わせに基づき、イベントを判断することとしてもよい。
【0069】
イベントを検出しない場合には(ステップS511:N)、変速段の規制範囲を、変速段の規制制御を行わない旨である4速に設定し(ステップS513)、メインルーチンにリターンする。
イベントを検出した場合には(ステップS511:Y)、ステップS507で決定された最適変速段を変速段の上限値として設定し(ステップS515)、メインルーチンへリターンする。
【0070】
以上のような制御によって、運転者の意志を尊重したナビAT制御が行なわれる。つまり、イベントをきっかけとして、変速段の規制が行なわれ、結果してシフトダウンが行なわれれば、カーブ走行の際の減速の補助が行なわれる。また、運転者が道路状況を判断し、制御選択スイッチ14によって、ナビAT制御を解除することができ、これによって変速段制御に運転者の意志が反映される。
【0071】
また、次に図10に示されているフローチャートと図11を参照して、モードセレクトスイッチがノーマルモードを選択している場合の通常制御ルーチン(ステップS50)内容について説明する。
ステツプS500〜ステップS503の内容は、先に説明したスポーツモードの場合と同一なので、ここでは説明を省略する。
【0072】
ステップS503の後、ステップS504において以下の判断が行われる。各ノードにおけるノード半径rを、そのノードから算出し、そのrから、モード毎に予め設定されているマップに基づき、各ノードにおける推奨車速を求め、また現在地から各ノードまでの区間距離Lを求める。
【0073】
このモード毎に設定されているマップにおいては、同じノード半径rでもスポーツモードよりもノーマルモードの方が、推奨車速が大きくなるように設定される。これはノーマルモードは、燃費と動力性能のバランスのとれた経済走行を行うためのものであるので、低速側の変速段を使用する頻度をスポーツモードよりも少なくする目的で、推奨車速が大きく設定される。
この推奨車速に基づき、予め設定されている減速加速度Gと区間距離Lとから、基準車速を算出する(ステップS504)。このステップS504によって、推奨走行速度算出手段としての機能が発揮される。
【0074】
ここで、減速加速度Gは、これ以上、減速加速度が大きい場合、変速段が3速以下の方が望ましいとされる3速用の減速加速度(図11中のm2)と、変速段が2速以下の方が望ましいとされる2速用の減速加速度(図11中のm1)がある。
これは、変速段が低速側にある方が、減速時の車両の安定性と制動に有利であるためである。またこれらの減速加速度はモードセレクトスイッチの状態に応じて、その値が変更されるよう構成される。これは運転手の意志にさらに対応するため行われるものである。
例えば、モードセレクトスイッチがノーマルモードに置かれている場合は、運転手は経済的な走行重視したい場合であり、図11に示されているマップでは、図3に示されているマップと比較して各減速加速度の傾きが大きく設定されている。換言すると基準車速の値が大きく設定されている。このためスポーツモードの場合と比較して、低速側の変速段を使用する頻度を少なくすることができる。
【0075】
これらの変速段は、例えば、図11に示されているマップに基づき設定することができる。このような減速加速度Gと距離Lとの関係を示したのが図11の減速加速度曲m1、m2である。また、モードセレクトスイッチの状態に対応して、推奨車速や各減速加速度のような制御に要するパラメータを変更することで、より運転手の意志に対応した制御が可能となる。なおここでは、推奨車速と各減速加速度曲線の両方のパラメータを変更したが、これに限定されるものではなく、どちらか一方とすることもできる。或いは、2速用の減速加速度曲線m1の傾きのみ大きくして、3速の領域を広げることにより、2速の領域を狭くするようにしてもよい。以上のように、選択されるモード(つまり、変速マップ)に応じて、基準車速の大きさを変化させる制御範囲変更手段がステップS504によって構成される。
【0076】
次に、ステップS507へ進み、以下に記載の判断が行なわれる。ノード点N1に対する基準車速は、現在位置からの垂線と減速加速度曲線m1、m2が交叉した点で現される。つまり、例えば、図11中において、現在車速V0は、基準車速VB’11より小さく、基準車速VB’12より大きいこととなる。減速加速度曲線m1は、2速用の減速加速度を現し、同じくm2は3速用の減速加速度を現している。従って、図11に現されている現在位置では、ノードN1を通過するためには、3速が最適変速段となる。一方、現在車速V0で、ノードN2を通過する場合を考えると、現在車速V0は、2速の基準車速VB’21より小さくなっており、同様に3速が最適変速段となる。
【0077】
以上のように、図11に基づき、車速センサ31から入力された現在車速V0とステップS504で得られた基準車速とを比較して、減速をするための制御が必要性か否かを判断する(ステップS507)。例えば、図11に示す例では、現在の変速段が4速の場合には、減速をするための制御が必要であると判断される。
ステップS504およびステップS507により、規制範囲設定手段としての機能が発揮される。
【0078】
そして、ステップS507の判断の結果、制御が必要と判断されたノードは、カーブと認定する。制御が必要でないと判断された場合には、カーブと認定しない。そして、変速段の変更が必要と判断されたノード(制御が必要と判断されたノード)に対する変速段を比較し、その中で最も変速段の上限の低い変速段を最適変速段と決定する(ステップS507)。図11の例では、ノードN1が3速、ノードN2が3速であるから、3速が最適変速段として決定される。このように、先に説明したスポーツモードの場合と比較して、同じ車速V0でも、低速側(ここでは2速)まで変速段の上限が規制されることが少なく、上限が3速まで規制される頻度が多くなる。
【0079】
次に、制御選択スイッチ14によって、ナビAT制御がOFFとされたかについて判断する(ステップS509)。OFFとされている場合には(ステップS509:Y)、ステップS513へ進む。OFFとされていない場合には(ステップS509:N)、アクセル開度αにより、減速操作(以下「イベント」という)がおこなわれたかを判断する(ステップS511)。これにより運転者の減速意志を検出することができる。本実施形態では、アクセル開度αが所定の変化率δ以上で減少し、かつその後のアクセル開度αがほぼ零となった場合にイベントありと判断する。このイベントは、アクセル開度αの変化に基づく場合に限らず、ブレーキの踏み込みに基づき、または、ウインカーのON操作に基づき、或いは、これらの操作に組み合わせに基づき、イベントを判断することとしてもよい。
【0080】
イベントを検出しない場合には(ステップS511:N)、変速段の規制範囲を、変速段の規制制御を行わない旨である4速に設定し(ステップS513)、メインルーチンにリターンする。
イベントを検出した場合には(ステップS511:Y)、ステップS507で決定された最適変速段を変速段の上限値として設定し(ステップS515)、メインルーチンへリターンする。
【0081】
上記説明した通常制御ルーチンは、ナビゲーション処理部11で行う場合に限らず、A/T ECU40において行う構成としてもよく、これらのうちの一部で上記ルーチンの一部を担当する構成としてもよい。または、ナビゲーション処理部11に接続されたカードメモリ等から構成される外部制御装置において、上記制御を行う構成とすることもできる。
【0082】
以上説明した実施形態では、アクセル開度αに基づいて運転者の減速の意志を判断(ステップS511)していたが、スロットルセンサから入力されるスロットル開度θ(即ち、エンジントルク)の変化率や値に基づいて減速操作を検出し、減速の意志を判断することもできる。このほか、ウインカーセンサに基づき減速操作を検出し、ウインカーオン操作の検出により減速の意志を判断する構成としてもよい。或いは、アクセルの減速操作、ブレーキの踏み込みによる減速操作、ウインカーのON操作による減速の予測の内、少なくとも2つの操作が検出された場合に、減速の意志があるものと判断するように設定してもよい。この場合には、より確実に減速の意志を確認することができ、運転者の意図により一層沿った制御が可能となる。
【0083】
また、A/T ECU40おける変速段の決定は、アクセル開度と車速により、または、スロットル開度と車速により、或いはエンジンのトルクの大きさと車速によって行ってもよい。
この他、表示手段を、音声出力部19で構成した場合には、選択手段によって、ナビAT制御のON/OFFを切り換える毎に、音声にて運転者に告知する構成とすることができる。具体的には、例えば「ナビAT制御が入ります。」「ナビAT制御が切れます。」と告知する構成としてもよい。
【0084】
選択手段は、音声入力部18によって構成してもよい。この場合には、音声によって、例えば「制御ON」、「制御OFF」と入力することによって、ナビAT制御のON/OFFを選択することができる。
自動変速装置には、無段変速機を有するものを用いてもよく、この場合には、規制手段は、変速段ではなく、変速比の範囲を規制し、変速比が決定される。
【0085】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の車両制御装置によれば、変速比制御の内容を切り換えた場合に、運転者にその旨を報知する報知手段を設けたので、運転者は、変速比の制御内容を把握して運転することができ、変速比制御の結果、走行中に不意に変速比の変更が行なわれても、運転者の違和感を少なくすることができる。
【0086】
また、ナビゲーションシステム装置の道路情報を表示する表示画面に報知内容を表示する構成とすれば、表示画面を共用することができ、既存の構成要素を用いることができるので有利である。
さらに、視覚情報に加えて、聴覚情報で報知する構成とした場合には、より確実に運転者に注意を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】道路上のノードの配置を示す模式図である。
【図3】変速段の上限値を決定する、スポーツモード用の規制変速段マップである。
【図4】ナビゲーション処理部の制御動作を示すフローチャートである。
【図5】A/T ECUの制御動作を示すフローチャートである。
【図6】ナビゲーション処理部の制御動作を示すフローチャートである。
【図7】報知内容を表示画面に表示しする1例を示す、表示画面の全体正面図である。
【図8】報知内容を表示画面に表示しする1例を示す、表示画面の全体正面図である。
【図9】報知内容を表示画面に表示しする1例を示す、表示画面の全体正面図である。
【図10】ナビゲーション処理部の制御動作を示すフローチャートである。
【図11】変速段の上限値を決定する、ノーマルモード用の規制変速段マップである。
【符号の説明】
1 車両制御装置
2 車両
10 ナビゲーションシステム装置
11 ナビゲーション処理部
12 データ記憶部
13 現在位置検出部
20 ATモード選択部
30 車両状態検出部
40 A/T ECU

Claims (9)

  1. 道路情報を記憶した道路情報記憶手段と、
    現在地を検出する現在地検出手段と、
    自車の車速を検出する車速検出手段と、
    自動的に変速比を選択する自動変速装置と、
    運転者の減速操作を検出する減速操作検出手段と、
    現在地から自車の進行方向にある所定区間内における複数の特定点における推奨走行速度を算出する推奨走行速度算出手段と、
    現在地から前記複数の特定点までの距離を算出する距離算出手段と、
    前記推奨走行速度と前記特定点までの距離と車速とから、自動変速装置の変更可能な変速比の下限を決定する規制手段と、
    運転者の減速操作に基づいて、前記自動変速装置が選択する変速比を前記決定した変速比の下限の範囲内となるように設定する変速比設定手段と、
    前記規制手段と変速比設定手段による変速比規制の、実行と解除を選択する選択手段と、
    前記選択手段による実行および解除の選択に基づいて、前記規制手段による変速比規制制御の実行および解除を報知する報知手段を備え、
    前記変速比設定手段は、各特定点における前記推奨走行速度と該特定点までの距離と車速とから各特定点毎に決定される変速比の下限を比較し、その中で変速比の下限が最も高い変速比を決定する、
    ことを特徴とする車両制御装置。
  2. 前記報知手段は、道路情報を視覚情報として表示する表示画面である請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記報知手段は、視覚情報によって報知するものである請求項1に記載の車両制御装置。
  4. 前記視覚情報は、文字情報である請求項に記載の車両制御装置。
  5. 前記報知手段は、聴覚情報によって報知するものである請求項1ないしのいずれかに記載の車両制御装置。
  6. 聴覚情報は、音声情報である請求項に記載の車両制御装置。
  7. 前記特定点は、道路形状を表現するノードである請求項1ないし6のいずれかに記載の車両制御装置。
  8. 前記自動変速装置は、多段変速機である請求項1ないしのいずれかに記載の車両制御装置。
  9. 前記自動変速装置は、無段変速機である請求項1ないしのいずれかに記載の車両制御装置。
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