JP4486740B2 - 粉砕分別機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、堆肥(コンポスト)の粉砕、分別に用いられる粉砕分別機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
わら、生ゴミ、落葉等を積み重ねて自然に発酵、腐熟させて作る堆肥には、ビニール袋等の異物が混在していることがある。そこで、堆肥を細かく粉砕して篩にかけることにより、篩に残る異物と篩い落ちる堆肥とを分別する装置が考案されている。
【0003】
この種の粉砕分別機としては、横置き状態に配置した円筒状ドラム内に、回転軸に粉砕刃が櫛状に取付けられた羽根車を同軸状態に配置した形式のものが一般的である。ドラムの外周面の下側半分は、メッシュ状のパンチングメタルからなる篩面とされている。ドラムの一端に形成した投入口から堆肥をドラム内に投入すると、堆肥が粉砕されて、パンチングメタルからなる篩面から粉砕された堆肥が篩い落とされ、ドラムの中にビニール袋などの異物が残る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、堆肥は一般に湿っているので、粉砕されてもパンチングメタルのドラム内周面に付着して篩面を塞いでしまうことがある。このような事態が起きると、堆肥を篩い落とすことができなくなってしまう。
【0005】
また、堆肥から分別されてドラムに残った異物は、装置を止めてドラム内から手作業により取り除かなければならないので作業効率が悪い。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、堆肥の粉砕および異物の分別を効率よく行なうことのできる粉砕分別機を提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、横置き状態の円筒ドラムと、この中に配置された粉砕用の羽根車とを有し、前記羽根車は、回転軸と、この回転軸の外周に放射状に取り付けた複数の粉砕刃とを備え、前記円筒ドラムの下側外周面には、篩面が形成されており、各粉砕刃の基端部分は、当該粉砕刃の移動方向に回転可能な状態で、前記回転軸に取り付けられており、各粉砕刃は、前記回転軸の回転に伴って生ずる遠心力により当該回転軸の半径方向に向かう姿勢に保持されていることを特徴としている。さらに、前記羽根車は、前記円筒ドラムの後端に位置する部分に、送風羽根を備えており、当該送風羽根の回転によって、前記円筒ドラムの後端まで送り出された堆肥に含まれている異物が当該端部に形成されている排出口から風力によって送り出されることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、粉砕刃の先端と円筒ドラム内周面の間に、堆肥に含まれている大きな石等が詰まって、粉砕動作に支障を来すことがないようにすることができる。また、送風羽根によって、堆肥から分別されたビニール袋等の異物を円筒ドラム内から効率よく排出することができる
【0009】
堆肥を粉砕刃によって粉砕しながら搬送するためには、前記粉砕刃を、前記回転軸に対して、当該回転軸の軸線方向に向かって螺旋状に取り付け、前記円筒ドラムの前端に形成された投入口から投入された堆肥が、これら粉砕刃の回転によって、当該円筒ドラムの後端に向けて送り出されるようにすればよい。
【0010】
また、前記粉砕刃の先端部分は、前記回転軸の回転に伴う当該粉砕刃の移動方向に対して直交する方向に延びていることが望ましい。このようにすれば、粉砕刃が堆肥を粉砕すると共に、その先端部分が篩面に付着した堆肥を掻くように移動する。よって、堆肥が付着して篩面が詰ってしまうという弊害を回避できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明を適用した粉砕分別機の実施例を説明する。
【0013】
図1(A)、(B)、(C)および(D)は、それぞれ本発明を適用した粉砕分別機を示す正面図、平面図、右側面図および左側面図である。これらの図に示すように、本例の粉砕分別機1は、横置状態の円筒ドラム2と、このドラム2の内部において同軸状態で回転可能に配置された粉砕用羽根車3と、この粉砕用羽根車3を回転させる駆動モータ5と、これらを搭載した装置架台6とを有している。
【0014】
円筒ドラム2の前端部分21の上側位置には、当該円筒ドラム内に堆肥を投入するための投入口7が形成されている。円筒ドラム2の反対側の後端部分22には、その上側位置に、当該円筒ドラム内から水平に延びて側方に開口している排出口8が形成されている。この排出口8は、堆肥から分別されて円筒ドラム2内を後端部分22まで搬送されてきたビニール袋等の異物を排出するためのものである。
【0015】
円筒ドラム2の下半部分は、堆肥を篩い落とすためにメッシュ状のパンチングメタルから形成された篩面部分23となっている。この篩面部分23の直下の部分は、当該篩面部分を通って落下する堆肥を受けるための収容部分24とされている。なお、架台6は前後4本の脚61によって支持されており、各脚61にはキャスタ62が取付けられ、粉砕分別機1の移動が容易となっている。
【0016】
粉砕用羽根車3は、円筒ドラム2の内部に同軸状態に配置されており、回転軸31と、複数の粉砕刃32とを備えている。回転軸31の前端部分33および後端部分34は、円筒ドラム2の前端壁25および後端壁26から突出しており、これらの突出部分が、装置架台6によって支持されているベアリング71、72によって回転可能に支持されている。また、円筒ドラム2の後端壁26の外側には駆動モータ5が配置されており、この駆動モータ5の回転力が、ベルト、プーリからなる伝達機構を介して、回転軸31の後端部分34に伝達される。本例では、駆動モータ5によって、羽根車3は図1(C)の矢印Eで示す方向に回転する。
【0017】
図2は、図1に示す粉砕分別機1の粉砕用羽根車3を示す斜視図である。この図に示すように、粉砕用羽根車3には、堆肥を粉砕するための粉砕刃32が取り付けられていると共に、その後端部分34には、円筒ドラム2の内部を後端部分22まで送られてきた異物を風力で排気口8から排出するための送風羽根35が取り付けられている。
【0018】
送風羽根35は、回転軸31に対して60度間隔で放射状に取付けられた6枚の羽根351を備え、これらの羽根351は、これらが支持している円盤状端板352と共に一体回転するようになっている。また、6枚の羽根351のうち直径方向に位置する一対の羽根351の先端には、円筒ドラム2の内周壁を摺動する板ゴム353が取付けられている。
【0019】
本例においては、各粉砕刃32は次のように取り付けられている。回転軸31には、その軸線方向Lに沿って一定間隔で複数枚の円板36が軸線Lに対して垂直となるように溶接されている。これらの円板36によって、4本の粉砕刃取付け軸37が90度間隔で同心円上に支持されている。本例では各円板36の間に2枚ずつ粉砕刃32が配置されており、各粉砕刃32は、回転軸31の軸線方向Lに向けて、順次、90度ずつ回転した位置となるように、各粉砕刃取付け軸37に取り付けられている。すなわち、回転軸31の軸線方向Lに見た場合に、各粉砕刃32は螺旋状に配列されている。
【0020】
各粉砕刃32の位置は、スペーサによって軸線方向Lの移動が拘束されているが、次に説明するように、その回転方向へは移動可能となっている。
【0021】
図3(A)、(B)および(C)は、一つの粉砕刃4を示す正面図、平面図および右側面図である。また、図4は、図1(B)におけるI−I線で切断した場合における円筒ドラムおよび羽根車を示す部分断面図である。これらの図から分かるように、粉砕刃32は、全体として、長方形の平板の先端部分を90度ねじった形状をしている。すなわち、取付け軸37を回転可能な状態で通す穴321が開けられた平板状の基端部分322と、この部分に連続して、長手方向に延びる材軸32aを中心として90度ねじることにより形成した先端部分323とを備えている。
【0022】
次に、図1(A)、(B)および図4から分かるように、円筒ドラム2の内周面における上側位置には粉砕刃32の螺旋配置に沿うように3枚の仕切板231を取り付けてある。これらの仕切板231と、螺旋状に配置されている粉砕刃32との協働によって、堆肥が効率良くドラム内をその後端側に向けて送りだされるようになっている。
【0023】
このように構成された粉砕分別機1による粉砕分別動作を説明する。駆動モータ5を駆動すると粉砕用羽根車3が回転を開始する。この結果、各粉砕刃32は回転に伴って発生する遠心力によって半径方向に向き、その先端部分323が円筒ドラム2の内周面に接近した状態となる。また、各粉砕刃4の先端部分323は回転方向Eに直交した状態になっている(図4参照)。
【0024】
堆肥を、投入口8からドラム2内に投入すると、回転している粉砕用羽根車3の粉砕刃32により堆肥は粉砕される。粉砕された堆肥は、円筒ドラム2の下半部分に形成された篩面部分23から篩い落とされる。湿った堆肥が篩面23の穴を塞いでも、各粉砕刃32の先端部分323が堆肥を篩面部分23に押し付ける状態で回転するので、粉砕された堆肥が篩面部分23から強制的に押出される。従って、篩面部分23が塞がれることを防止できる。
【0025】
また、各粉砕刃32は、各取付け軸37に対してその基端部分322が回転可能な状態で取り付けられている。従って、図5に示すように、堆肥の中に含まれた大きな石などの障害物Gに当たっても、粉砕刃32はその障害物Gから逃げるように取付け軸37を中心に回転可能である。障害物Gを乗り越えると、再び遠心力により半径方向に向かう姿勢に戻る。よって、各粉砕刃32は、障害物Gに当たっても粉砕用羽根車3の回転を止めることなく、堆肥の粉砕、分別を続けることができる。
【0026】
次に、粉砕刃32は、粉砕用羽根車3の軸線方向Lに沿って螺旋状に配置されているので、これらの粉砕刃32の回転によって、投入口7から投入された堆肥は、粉砕されながら、円筒ドラム2内をその後端部分22に向けて送り出される。これに加えて、円筒ドラム2内に配置されている3枚の仕切板231と、螺旋状に配置されている粉砕刃32との協働によって、堆肥が効率良くドラム内をその後端側に向けて送りだされる。
【0027】
堆肥は、円筒ドラム2内を後端部分22に向けて送り出されながら粉砕刃32によって粉砕されて、徐々に篩面23から落下する。これに対して、堆肥に混在しているビニール袋等の異物は篩面23を通ることなくそのまま円筒ドラム2内を後端部分22に向けて搬送される。
【0028】
円筒ドラム2の後端部分22に位置する粉砕用羽根車3の部分には送風羽根35が取り付けられている。従って、円筒ドラム2内を後端部分22まで搬送された異物は、当該送付羽根35の回転によって生ずる風力によって、吹き上げられ、そこに形成されている排出口8から外部に排出される。よって、装置を止めることなく、分別された異物を取り出すことができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の粉砕分別機では、粉砕刃が、円筒ドラムの外周面に形成された篩面部分を掻くような形状に形成されている。従って、篩面部分に付着した湿った堆肥を効率良くかき落とすことができる。
【0030】
また、円筒ドラムの後端部分には送風羽根が配置されているので、堆肥から分別された異物を送風羽根によりドラム外に排出できる。
【0031】
さらに、粉砕刃が、回転可能に取付けられているので、粉砕刃と円筒ドラム内周面の間を通ることのできないような石等の異物が混在していても、粉砕刃が回転して、このような異物が粉砕刃と円筒ドラム内周面の間に詰ってしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、(C)および(D)は、それぞれ本発明を適用した粉砕分別機を示す正面図、平面図、右側面図および左側面図である。
【図2】図1に示す粉砕分別機の粉砕用羽根車を示す斜視図である。
【図3】(A)、(B)および(C)は、図2に示す粉砕用羽根車に取付けられる一つの粉砕刃を示す正面図、平面図および右側面図である。
【図4】図1(B)におけるI−I線で切断した場合における部分断面図である。
【図5】図4に示す粉砕刃が障害物に当たった様子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 粉砕分別機
2 円筒ドラム
3 粉砕用羽根車
5 駆動モータ
6 装置架台
7 投入口
8 排出口
21 前端部分
22 後端部分
23 篩面部分
24 収容部分
25 前端壁
26 後端壁
31 回転軸
32 粉砕刃
33 前端部分
34 後端部分
35 送風羽根
36 円板
37 粉砕刃取付け軸
61 脚
62 キャスタ
71、72 ベアリング
231 仕切板
321 穴
322 基端部分
323 先端部分
351 羽根
352 円盤状端板
353 板ゴム
G 障害物
Claims (4)
- 横置き状態の円筒ドラムと、
この中に配置された粉砕用の羽根車とを有し、
前記羽根車は、回転軸と、この回転軸の外周に放射状に取り付けた複数の粉砕刃とを備え、
前記円筒ドラムの下側外周面には篩面が形成されており、
各粉砕刃の基端部分は、当該粉砕刃の移動方向に回転可能な状態で、前記回転軸に取り付けられており、
各粉砕刃は、前記回転軸の回転に伴って生ずる遠心力により当該回転軸の半径方向に向かう姿勢に保持されており、
前記羽根車は、前記円筒ドラムの後端に位置する部分に、送風羽根を備えており、当該送風羽根の回転によって、前記円筒ドラムの後端まで送り出された堆肥に含まれている異物が当該端部に形成されている排出口から風力によって送り出されることを特徴とする粉砕分別機。 - 前記粉砕刃は、前記回転軸に対して、当該回転軸の軸線方向に向かって螺旋状に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の粉砕分別機。
- 前記粉砕刃の先端部分は、前記回転軸の回転に伴う当該粉砕刃の移動方向に対して直交する方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の粉砕分別機。
- 前記粉砕刃は、一枚の平板の先端部分を90度ねじることにより形成されたものであることを特徴とする請求項3に記載の粉砕分別機。
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