JP4484336B2 - ピッチコントロール剤及びピッチコントロール方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙パルプ製造工程におけるピッチ障害を抑制・防止するためのピッチコントロール剤、およびこれを用いたピッチコントロール方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紙パルプ製造工程におけるピッチは、木材、パルプあるいは紙から遊離した天然樹脂やガム状物質、さらにはパルプ工程や製紙工程で使用される各種添加薬品の有機物などを主体とした非水溶性の粘着性物質である。これらピッチは、パルプスラリー中ではコロイド状となって分散しているが、大きなせん断力、急激なpH変化、硫酸バンドの添加等により、そのコロイド状態が破壊されて凝集・巨大化すると考えられている。凝集・巨大化すると、その粘着性により、ファンポンプ、流送配管、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロール等の製造装置類へ付着するだけでなく、この付着物がある程度成長した後に剥離して紙に付着することにより、紙の汚点・欠点といった紙の品質の低下、断紙の原因となるなど、生産性・作業性の低下の障害を引き起こす原因となっている。近年、紙の多様化によって使用される薬品類も多様化し、さらに工程では水の循環再使用が進められてピッチ障害は増加し、複雑化してきている。
【0003】
ピッチ障害を抑制・防止する方法に関しては、これまでにも多く提案があり、また実施されてきた。例えば、パークロルエタン、トリクロルエタン、灯油等のピッチ可溶性有機溶剤を添加してピッチを溶解・分散する方法が提案されたが、これは溶剤使用に伴う作業環境の悪化から好ましくない。ピッチ原因物質を減少させる方法として、木材やチップのシーズニング、パルプの洗浄強化や白水の清浄化の強化が提案されたが、シーズニングは6ヶ月〜1年間という期間でその効果が発揮されるため、広い敷地を必要とすること、さらに生産量の増加により原材やチップを大量に保管しなければならないことから実用上限界がある。パルプの洗浄強化や白水の清浄化強化は、水の使用量を減らす努力に反しており、現状では期待できない。
【0004】
タルクやクレイ等の多孔性無機物を添加し、ピッチの粘着性を失わせてピッチを紙に抄き込ませてしまう方法〔特開昭60−94687号公報、特公昭61−48975号公報〕は、これら無機物が水中に残り、工程水の汚濁、スラッジの堆積、ワイヤーの摩耗・損傷の要因となることがありこれも使用上問題があった。
【0005】
界面活性剤やアニオン性ポリマーを添加し、ピッチ粒子を分散させ凝集・集塊化するのを防止しようとする方法〔特公昭63−23320号公報、特開昭60−246888号公報、特公昭59−28676号公報〕は、一般的に短期間では効果が認められるが、水の循環再使用が進んで水中のピッチ量が増加すると限界があり、急激なピッチ障害を起こすことがある。しかし、この方法には多くの改善が提案されており、例えば、けん化度70〜80モル%のポリビニルアルコールをピッチ分散剤として用いる方法、〔特公平2−14479号公報〕、けん化度50〜100モル%のポリビニルアルコールと高分子量ゼラチンを併用してピッチの堆積を抑制する方法〔特表平11−503497号公報〕がある。また、カチオン性ポリマーを使用し、アニオン電荷を有するピッチと結合させて紙へ抄き込む方法〔特開昭57−149591号公報、特公平4−8556号公報、特公平7−113200号公報〕、ピッチの粘着性を失わせる方法〔特開平2−182995号公報、特開平4−300383号公報、特許第2840047号公報、特許第2955388号公報〕が提案されたが、いずれもピッチ障害防止効果が十分ではなく、さらなる改善が望まれている。
【0006】
一方、ピッチを分解する微生物や酵素を添加する方法〔特公平4−29794号公報、特開平9−119085号公報〕の提案もあるが、この方法は木材由来の天然樹脂ピッチには効果が認められるが、工程に添加される薬品や古紙に由来する合成樹脂ピッチなどに対して有効でないなどの問題点が指摘されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、紙パルプの工程水中におけるピッチ粒子やコロイド状ピッチの分散性を向上させ、これらの凝集を防止するピッチコントロール剤と、これを用いたピッチコントロール方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、紙パルプ工程におけるピッチコントロールに関して鋭意検討を行った結果、分子中に疎水性単位を有する特定の水溶性共重合体が、優れたピッチ分散作用を示すとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、請求項1の発明は、紙パルプ製造工程において使用されるピッチコントロール剤であって、(A)酢酸ビニルと(B)炭素数5〜22のα−オレフィン、炭素数5〜22のアルキルビニルエーテル、炭素数5〜22のα、β−不飽和カルボン酸アミド、炭素数5〜22のα−分岐−α、β−不飽和カルボン酸エステル、炭素数5〜22のα−分岐飽和カルボン酸ビニルから選ばれる1種以上の非水溶性ビニル化合物を構成単位として共重合し、然る後該酢酸ビニル単位部分をけん化して得られた水溶性ポリビニルアルコール共重合体であり、且つ(B)非水溶性ビニル化合物の前記水溶性ポリビニルアルコール共重合体に対する配合比が1.1〜9.7モル%である水溶性ポリビニルアルコール共重合体を有効成分として含むことを特徴とするピッチコントロール剤。

【0010】
請求項2の発明は、紙パルプ製造工程におけるピッチコントロール方法であって、請求項1記載のピッチコントロール剤をパルプスラリーに添加することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、紙パルプ製造工程におけるピッチコントロール方法であって、請求項1記載のピッチコントロール剤を水溶液として、ピッチが付着する製紙工程装置類に噴霧することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の水溶性ポリビニルアルコール共重合体(以下、「PVA共重合体」と記す)は、(A)酢酸ビニルと(B)非水溶性ビニル化合物を共重合し、然る後酢酸ビニル単位部をけん化して得られたPVA共重合体であり、分子中の構成単位に疎水性単位を持っていることが特徴である。
【0013】
PVA共重合体の構成単位である(B)非水溶性ビニル化合物は、炭素数5〜22のα−オレフィン、炭素数5〜22のアルキルビニルエーテル、炭素数5〜22のα、β−不飽和カルボン酸アミド、炭素数5〜22のα−分岐−α、β−不飽和カルボン酸エステル、炭素数5〜22のα−分岐飽和カルボン酸ビニルの中から選ばれた1種以上である。
【0014】
炭素数5〜22のα−オレフィンは、好ましくは炭素数5〜12のα−オレフィンで、具体的な例を挙げると、イソプレン、1−ヘキセン、スチレン、α−メチルスチレン、1−デセン、1−ドデセンなどがある。
【0015】
炭素数5〜22のアルキルビニルエーテル類は、好ましくは炭素数5〜14のアルキルビニルエーテルで、具体的な例を挙げると、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテルなどがある。
【0016】
炭素数5〜22のα、β−不飽和カルボン酸アミド類は、好ましくは炭素数5〜16のα、β−不飽和カルボン酸アミド類で、具体的な例を挙げると、N,N−ジエチルアクリル酸アミド、N,N−ジプロピルアクリル酸アミド、N、N−ジプロピルメタクリル酸アミド、N−2−エチルへキシルアクリル酸アミド、N−ラウリルメタクリル酸アミド、N、N−ジエチルクロトン酸アミド、N−へキシルクロトン酸アミド、N−デシルクロトン酸アミド、N−ラウリルクロトン酸アミドなどがある。
【0017】
炭素数5〜22のα−分岐−α、β−不飽和カルボン酸エステルは、α位に側鎖を持つことにより酢酸ビニルのけん化時に加水分解を受けることがなく、共重合体中で疎水基として作用できるもので、好ましくは、炭素数5〜16のα−分岐−α、β−不飽和カルボン酸エステルで、具体的にはメタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸ラウリルなどがある。
【0018】
炭素数5〜22のα−分岐飽和カルボン酸ビニルは、α位に側鎖を持つことにより酢酸ビニルのけん化時に加水分解を受けることがなく、共重合体中で疎水基として作用できるもので、具体的には、1,1,3,3−テトラメチル酪酸ビニル、2,2,4,4−テトラメチルバレリアン酸ビニル等がある。
【0019】
PVA共重合体中における(B)非水溶性ビニル化合物の構成割合は、その種類により異なるが、好ましくは0.1〜30(モル%)、さらに好ましくは、1〜20(モル%)であり、かつ共重合体にした後酢酸ビニル部分をけん化して水溶性となる範囲である。構成単位(B)が0.1モル%未満では、ピッチを分散させる効果が十分大きくなく、30モル%を越えるとピッチを分散させる効果が十分大きくなく、かつ十分な水溶性が得られない事がある。
【0020】
PVA共重合体は、(A)酢酸ビニルに由来するビニルアルコールと(B)非水溶性ビニル化合物を構成単位とするが、本発明の効果が損なわれない範囲においてその他の共重合成分が入っていても差し支えない。
【0021】
PVA共重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、代表的には、(A)酢酸ビニルと(B)非水溶性ビニル化合物を含む単量体をラジカル開始剤の存在下に塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合し、次いで酢酸ビニル単位部のみをけん化することである。このうち溶液重合が最も好ましく用いられる。
【0022】
溶液重合法による具体例を示すと、特公昭44−168062号公報、特公昭58−19681号公報記載に準じて、(A)酢酸ビニルと(B)非水溶性ビニル化合物をメタノールに溶解させ、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチルなどのラジカル開始剤を添加し、50℃〜60℃に加熱してラジカル重合させ、次いで得られた重合体のメタノール溶液に、水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加え、室温〜40℃でけん化反応を行うことで目的とするPVA共重合体が得られる。このとき高沸点溶媒を使用し、約70〜100℃の温度でけん化すると、非水溶性ビニル化合物中のエステル結合やアミド結合が分解されることがあり好ましくない。また、酢酸ビニル単位部分のけん化は、必ずしも完全にけん化する必要はなく、得られた共重合体が水溶性になれば特に限定されるものではない。しかしけん化度は本発明のピッチの分散効果には大きな影響を及ぼすので、この意味ではけん化度を十分管理する必要がある。通常、けん化度は75モル%以上とする。逆に、けん化が不十分で共重合体が非水溶性となるとピッチ分散剤としての適用にも限界があり、またピッチの分散力が低下して好ましくないことがある。
【0023】
共重合体の重合度は、好ましくは300〜3,000、さらに好ましくは、500〜2,000である。重合度が300未満では本発明の目的とするピッチの分散が不十分で好ましくないことがあり、また、重合度が3,000を越えると、水溶液としたとき粘性が高く、作業上不都合なことがある。
【0024】
本発明のピッチコントロール剤は、PVA共重合体を有効成分としている。ピッチコントロール剤を紙パルプ工程に適用するにあたっては、溶液にして該工程に加えるのが好ましく、従ってPVA共重合体を水溶液にしてピッチコントロール剤とするのがよい。水溶液中のPVA共重合体濃度は、PVA共重合体の溶解度、溶液とした時の粘度などにより異なるが、一般的には1〜10重量%程度である。
【0025】
ピッチコントロール方法は、上記ピッチコントロール剤をピッチ障害の発生している箇所、あるいはその前段階、あるいは前工程のパルプスラリーや工程水(白水)中にポンプで注入する。また、別の適用方法は、ピッチ障害が発生している製造装置類、例えば、ワイヤー、ロール、フェルトなどの洗浄シャワー水に圧入して水と一緒に噴霧する方法である。
【0026】
ピッチコントロール剤の添加量は、パルプや紙の種類、工程の条件、ピッチの発生状況、ピッチコントロールの必要性などによって変わるため、一律に限定されるものではないが、パルプに添加する場合は、通常、PVA共重合体をパルプに対して好ましくは0.001〜2重量%、さらに好ましくは0.01〜1重量%である。製造装置類に噴霧する場合は、通常、共重合体を、噴霧水に対して好ましくは0.1〜2,000mg/L、さらに好ましくは2〜500mg/Lである。
【0027】
また、本発明のピッチコントロール方法を実施するにその効果を損なわない範囲において、他の工程添加剤、例えば、消泡剤、スケールコントロール剤、スライムコントロール剤及び他のピッチコントロール剤などを配合・併用することに何ら制限を加えるものではない。
【0028】
【実施例】
以下に、実施例により実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[PVA共重合体の合成]
PVA共重合体−1:撹拌機、還流冷却器、分液ロート、温度計、及び窒素導入管を備えた反応容器に、酢酸ビニル500重量部、イソアミルビニルエーテル10重量部、メタノール600重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加え、窒素ガス雰囲気下60℃で7時間攪拌して重合させた。反応終了後、重合反応液中にメタノール蒸気を吹き込んで未反応の酢酸ビニルモノマーを除去し、共重合体のメタノール溶液を得た。この溶液を35℃で撹拌しながら水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加えて中和し、これにさらに水酸化ナトリウムをポリマー中の酢酸ビニル単位に対しして0.02モル加えて混合した。得られたけん化物をメタノールで洗浄した後、加熱乾燥して重合体粉末を得た。得られたPVA共重合体はNMR分析の結果、イソアミルビニルエーテル単位が1.1モル%含有していた。また、JIS K 6726に準じて、酢酸ビニル単位のけん化度及び平均重合度を測定した結果、けん化度は92.5モル%で、平均重合度は1,600であった。
【0029】
PVA共重合体−2〜PVA共重合体−8:同様にして、各種非水溶性ビニル化合物を用いてPVA共重合体−2〜PVA共重合体−8を製造した。このうち、PVA共重合体−8は、比較例として用意したもので、けん化度60%であって水溶性でない。
【0030】
試験に供したPVA共重合体の組成を表1に示した。
【0031】
【表1】
Figure 0004484336
【0032】
[実施例に用いたピッチコントロール剤の調製]
攪拌機付きの容器に95重量部の冷水を入れ、攪拌下に上記PVA共重合体1〜7のそれぞれを重量5部一気に添加し、強く撹拌し、水中に均一に分散させた後、撹拌を少し弱くして50〜70℃に加温してさらに撹拌を2〜3時間継続した。不溶解分がないことを確認した後、ピッチ付着防止効果の評価に用いた。それぞれは、PVA共重合体の5重量%水溶液である。
【0033】
[比較例に用いたピッチコントロール剤の調製]
PVA共重合体−8;PVA共重合体−8の5重量%を水―グリセリン(1:1)溶液とした。
PVA−9:部分けん化ポリビニルアルコール〔重合度1,700、けん化度:80.0モル%、日本合成化学工業(株)製「ゴーセノールKH−17」(商品名)〕を5重量%水溶液とした。
PVA−10:部分けん化ポリビニルアルコール〔重合度2,500、けん化度:85.5〜87.0モル%、エアープロダクツ社(Air ProductsInc.)製「Airvol540」(商品名)〕とゼラチン〔アルカリ処理ゼラチン、分子量:約100,000、(株)ニッピ製「ニッピゼラチンST1」(商品名)〕の1:1(重量比)混合物を5重量%水溶液とした。
AP−1:無水マレイン酸/ジイソブチレン共重合体(分子量:50,000)のナトリウム塩〔日本油脂(株)製、「ポリスターOM」(商品名)〕の25重量%水溶液を用いた。
CP−1:ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(分子量120,000)〔日東紡績(株)製、「PAS−H−10L」(商品名)〕の28重量%水溶液を用いた。
タルク:タルク〔日本ミストロン(株)製、「ミストロンベーパー」(商品名)〕の20%の水分散懸濁液を使用した。
【0034】
[ピッチ付着防止効果の評価]
(試験1)
新聞古紙を配合して中質紙を抄造している工程で、ワイヤーパートのワイヤー、フォイル及びプレスパートのフェルト、ロールにピッチが付着して問題となっていた。抄紙機のワイヤー及びフォイルに付着したピッチをかき取り、乾燥させた後、クロロホルム:エタノール=2:1(重量比)混合溶媒に分散させ、20重量%濃度のピッチ試料とした。200mLビーカーに工程水(白水)100mLとピッチコントロール剤を有効成分として50mg入れ、これをミキサー〔特殊機化工業(株)製、TKオートホモミキサーM型〕にて8000rpmで撹拌しながら、調製した20重量%濃度のピッチ試料500mgを添加し、さらに1分間撹拌した。ビーカー及びミキサーに付着した付着物をクロロホルムにて洗浄・抽出し、付着量を求めた。その結果を表2に示した。
【0035】
(試験2)
雑誌古紙を原料としてトイレットペーパーを抄造している工程では、雑誌古紙中の接着剤に由来する粘着性のピッチがプレスパートのフェルトやロールに付着して問題となっていた。該工程からピッチで汚れたフェルトを切り取り、クロロホルムで12時間ソックスレー抽出してピッチを抽出した。抽出したピッチをクロロホルム:エタノール=2:1混合溶媒に溶解させ、10%濃度のピッチ溶液を調製した。この液500mgをステンレス板(厚さ0.5mm、縦25mm、横50mm)の片面に均一に塗布し、乾燥させた後、これをピッチ試料とした。本発明のピッチコントロール剤を有効成分として工程水(白水)200mLに10mg及び30mg溶解し、これを300mLのビーカーに入れ、ピッチを塗布したステンレス板を液中に浸漬させ、水温35℃で15分間撹拌した。その後、ピッチを塗布したステンレス板を取り出し、そのピッチ表面のタック性をASTM D−2979に従って、「ポリケンプローブタックテスター」(TESTING MACHINE Inc.製(商品名))にて測定した。その結果を表2に示した。尚、表中、○:タック値=0(粘着性がない)、△:タック値=0.5N/cm2未満(粘着性が僅かにある)、×:タック値=0.5N/cm2以上(粘着性がある)を示す。
【0036】
【表2】
Figure 0004484336
【0037】
この結果から、本発明のPVA共重合体によってピッチの付着を効果的に抑制されることが判る。
【0038】
【発明の効果】
本発明の疎水性部分を持つPVA共重合体を有効成分として含むピッチコントロール剤は、水中のピッチ粒子やコロイド状ピッチを効果的に分散し、該ピッチコントロール剤を用いたピッチコントロール方法により、製造装置へのピッチ付着を抑え、パルプの汚れ、紙の汚点・欠点、断紙を少なくすることができる。これは、作業性を改善し、製品品質の向上など、紙パルプ工業に益するところが大である。

Claims (3)

  1. 紙パルプ製造工程において使用されるピッチコントロール剤であって、(A)酢酸ビニルと(B)炭素数5〜22のα−オレフィン、炭素数5〜22のアルキルビニルエーテル、炭素数5〜22のα、β−不飽和カルボン酸アミド、炭素数5〜22のα−分岐−α、β−不飽和カルボン酸エステル、炭素数5〜22のα−分岐飽和カルボン酸ビニルから選ばれる1種以上の非水溶性ビニル化合物を構成単位として共重合し、然る後該酢酸ビニル単位部分をけん化して得られた水溶性ポリビニルアルコール共重合体であり、且つ(B)非水溶性ビニル化合物の前記水溶性ポリビニルアルコール共重合体に対する配合比が1.1〜9.7モル%である水溶性ポリビニルアルコール共重合体を有効成分として含むことを特徴とするピッチコントロール剤。
  2. 請求項1記載のピッチコントロール剤をパルプスラリーに添加することを特徴とするピッチコントロール方法。
  3. 請求項1記載のピッチコントロール剤を水溶液として、ピッチが付着する製紙工程装置類に噴霧することを特徴とするピッチコントロール方法。
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