JP4118997B2 - パルプ中のピッチ除去方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発名の属する技術分野】
本発明はパルプ製造工程において、パルプ中のピッチを除去する方法に関し、さらに詳しくはパルプ製造の漂白工程アルカリ抽出段において、原料木材に由来するパルプ中のピッチを除去する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パルプおよび紙の製造工程におけるピッチは、疎水性の粘着性物質のことである。紙の原料である木材には油脂、脂肪酸、テルペン類、ステロイド類、天然樹脂やガム状物質などが含まれており、パルプ化工程で得られたパルプ中にもこれらが残留している。パルプ工程や抄紙工程でこれら粘着性物質が遊離し、コロイド状になって分散しているが、大きなせん断力、急激なpH変化、硫酸バンドの添加等によりこのコロイド状態が破壊されて、凝集・巨大化し、所謂ピッチとなる。また、凝集・巨大化すると、その粘着性によりファンポンプ、流送配管、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロール等の製造装置類に付着し装置の汚れの原因となるばかりか、この付着物が大きくなった後に剥離し、パルプや紙に再付着することによって、紙の汚点・欠点による品質の低下、断紙の原因となり、生産性・作業性の低下などの障害を引き起こすこととなる。
近年、水環境が厳しくなり使用する水のクローズド化が高くなるとともに、木材資源環境も厳しくなり、かつては樹脂分が多くパルプ製造に適していないとされた材種も使用されるようになってきた。そのため、ピッチ障害も増加し、複雑化している。
従来、木材由来のピッチを減少させる方法としては、木材やチップのシーズニング、蒸解後のパルプ洗浄強化などが行われてきた。しかしシーズニングは、6カ月〜1年という長い期間を要すること、広い敷地を必要とすること、さらに生産量の増加に対応できない等の限界がある。また、木材チップを蒸解して得たパルプの洗浄を強化する方法は大量の水を必要であるが、
水のクローズド化が進んでいる現状では、大きな改善は期待できない。そこで、ノニオン系界面活性剤を蒸解釜(ダイジェスター)あるいは蒸解後のウオッシャーに添加して洗浄除去する方法(特開昭57−149592号公報)が提案されたが、発泡性が大きく満足な結果は得られていない。
【0003】
パルプは抄造工程に送られる前に白色度を向上させるために、一般には、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、酸素、オゾンなどを使って漂白される。漂白処理後、漂白時に生じた分解物を含む汚れをアルカリ抽出塔を使って洗浄、除去される。また、同時にパルプより遊離した油脂、脂肪酸、天然樹脂分、ゴム状物などのピッチ原因物も洗浄、除去される。
【0004】
しかし、多くの場合、アルカリ抽出塔での処理だけでは、調成工程や抄造工程でのピッチ障害を解決する程には至っていない。そのため、調成工程や抄造工程で水溶性アニオン性共重合体によってピッチを分散させ、ピッチの凝集・集塊化を防止する方法(特公昭59−28676号公報)、タルク(例えば商品名「ミストロンベーパー」)やクレイなどの多孔性無機物、ノニオン系界面活性剤、水溶性カチオン性重合体や両性重合体を添加してピッチの付着性・粘着性を低下させる方法やピッチを小さな状態でパルプに吸着させて系外に出す方法、パークロルエタン、トリクロルエタン、灯油などのピッチ可溶性有機溶剤を添加してピッチを溶解・分散、除去する方法などのような種々の方法が提案されている(特開昭57−149591号公報、特開昭57−149592号公報、特開昭60−94687号公報、特開昭63−264993号公報、特開平2−182995号公報、特公昭61−48975号公報、特公昭62−6039号公報、特公昭63−23320号公報)。しかし、水溶性アニオン性共重合体によってピッチを分散させ、ピッチの凝集・集塊化を防止する方法は、抄紙工程で使用するサイズ剤や填料の定着を妨げるため、その使用量に限界がある。また、タルクやクレイなどの多孔性無機物は白水中に分散するためスラッジの原因となる他、紙に定着してピッチを系外に除去することで目的を達するため、紙に定着させる目的で余分のにカチオン性高分子を必要とするなど、調成・抄紙工程でのピッチコントロール剤の使用は、サイズ剤、歩留向上剤、紙力剤など他の目的の薬品の効果を低下させ、使用量増加をもたらすこととなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法をもってしても抄紙工程におけるピッチ障害を解決するに至らず、より良い方法が求められていた。本発明は、このようなパルプおよび紙の製造工程におけるピッチ障害に関して、パルプの漂白工程において、漂白処理後のアルカリ抽出塔でのパルプ洗浄効率を上げることにより、この段階でピッチ原因物をより多く除去して抄紙工程におけるピッチ障害を解決することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、抄紙工程のピッチ対策について系統的に鋭意研究を重ねた結果、原料木材に由来するピッチは、パルプの漂白処理後のアルカリ抽出塔のパルプスラリーに特定の水溶性アニオン性共重合体を添加することにより、効率的に除去できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。即ち、本発明請求項1は、パルプ製造工程において、(a)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸化合物と、(b)α―オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、α―メチルスチレンおよびスチレンスルフォン酸より選ばれた少なくとも1種の炭素数4〜18のビニル化合物を構成成分として含み、(a)不飽和カルボン酸化合物と(b)炭素数4〜18のビニル化合物の重合モル比が80:20〜25:75であり、分子量が5,000〜200,000である水溶性アニオン性共重合体を、漂白処理の後、アルカリ抽出塔に流入する前のパルプスラリーに加えることよりなるパルプ中のピッチ除去方法であり、本発明請求項2は、不飽和カルボン酸化合物が、マレイン酸、およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種以上であり、炭素数4〜18のビニル化合物が、イソブチレン、ジイソブチレン、スチレン、α―メチルスチレンおよびスチレンスルフォン酸より選ばれた少なくとも1種以上である請求項1記載のパルプ中のピッチ除去方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態をさらに詳細に説明する。
本発明方法において使用する水溶性アニオン性共重合体は、(a)不飽和カルボン酸化合物と(b)炭素数4〜18のビニル化合物を構成成分として含むものである。
【0008】
本発明方法で使用する不飽和カルボン酸化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸化合物であり、好ましくは、マレイン酸、およびその無水物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種である。
【0009】
本発明方法におけるビニル化合物は、炭素数は4〜18、好ましくは炭素数6〜12のビニル化合物であり、α−オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、スチレン、α−メチルスチレンおよびスチレンスルフォン酸より選ばれた少なくとも1種以上のものである。このうち、α−オレフィンの例としては、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、シクロヘキセン、1−オクテン、ジイソブチレン、1−デセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、イソオクタデセン等が挙げられ、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステルにおけるエステル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、セチル、オクタデシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルなどが挙げられる。これらのうち、特に好ましいビニル化合物としては、イソブチレン、ジイソブチレン、スチレン、α−メチルスチレンおよびスチレンスルフォン酸がある。ビニル化合物の炭素数が3以下ではアルカリ抽出塔でのピッチの分散が十分に行われずピッチの除去が不十分であり、炭素数が19以上では生成した共重合体の水溶性が十分でなく好ましくない。
【0010】
本発明方法における水溶性アニオン性共重合体は、適用されるパルプ漂白工程のアルカリ抽出段のアルカリ水溶液中に溶解し、且つ該工程のアルカリ溶液中でピッチ分散力が大きいことが必要である。水溶性アニオン性共重合体の水への溶解度としては、適用するパルプ漂白工程のアルカリ抽出段のアルカリ水溶液に溶解する程度であればよく、そのためには0.005%以上の水溶性があればよい。この要求を満たす範囲において、不飽和カルボン酸化合物と炭素数は4〜18のビニル化合物重合モル比は80:20〜25:75好ましくは60:40〜40:60である。また、生成した水溶性アニオン性共重合体の分子量は5,000〜200,000好ましくは10,000〜150,000である。この分子量はピッチを分散させる能力と深く関係しており、分子量が低いものはピッチ分散性が不十分であり、分子量が大きすぎるとピッチの凝集性が高くなり好ましくない上に、共重合体の製造も容易でなく不利なことが多い。
【0011】
本発明方法における水溶性アニオン性共重合体水溶性を得る重合方法は、特に限定されるものではなく、一般的なラジカル重合方法に準じて行われる。無溶剤下、あるいは溶剤使用下のいずれで重合を行なっても良く、さらに不飽和カルボン酸と炭素数は4〜18のビニル化合物を一括して反応容器に入れて、あるいは、一定の割合で仕込んで反応させるなど任意に選ばれる。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾビス化合物、過酸化水素、クメンパーオキサイド、ジ−tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の過酸化物が一般に使用される。また、共重合体の分子量は、連鎖移動剤、例えば、チオグリコール酸およびそのエステル類、β−メルカプトプロピオン酸およびそのエステル、アルキルメルカブタン類、(メタ)アリルスルフォン酸、(メタ)アリルアルコール、次亜燐酸塩、重亜リン酸塩等の添加によって制御できる。
【0012】
本発明方法における水溶性アニオン性共重合体は、通常、1〜40重量%、好ましくは5〜10重量%濃度のナトリウム塩、カリウム塩あるいはアンモニウム塩水溶液としてを目的とする工程に添加される。その添加量は、パルプの種類、工程の条件、抄紙工程でのピッチの発生状況などによって大きく変わり一律に決められるものではないが、一般的には乾燥パルプに対する重量比で、水溶性アニオン性共重合体を0.005〜2重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
【0013】
本発明方法における水溶性アニオン性共重合体の添加場所は、漂白処理後のパルプスラリーが次のアルカリ抽出塔に入る前である。具体的には、苛性ソーダ、加温用スチームとパルプスラリーを混合するミキサーおよび高濃度ポンプのサクション口、あるいはアルカリ抽出塔直前のラインである。
【0014】
本発明の方法が適用されるパルプの漂白方法は、特に限定されるものではなく、一般に使用されている塩素漂白、次亜塩素酸塩漂白、二酸化塩素漂白、酸素漂白、過酸化水素漂白、オゾン漂白、ハイドロサルファイト漂白等がある。通常パルプ製造工程では、これらの漂白段とアルカリ抽出段をいくつかを組み合わせて、例えば、[塩素漂白]−[アルカリ抽出]−[次亜塩素酸塩漂白]−[アルカリ抽出]−[二酸化塩素漂白]、[塩素漂白]−[アルカリ抽出]−[次亜塩素酸塩漂白]−[二酸化塩素漂白]のようなシーケンスを組んで行われている。本発明はこれら漂白方法、漂白シーケンスに限定されるものではない。また、漂白設備も特に限定されるものでなく、一般に使用されている漂白設備、例えばアップフロー漂白塔、ダウンフロー漂白塔、置換漂白塔等であって差し支えない。
【0015】
本発明の方法は、漂白処理後のアルカリ抽出段で実施される。本発明のアルカリ抽出段も特に限定されるものではなく、一般に使用されている設備、例えば、苛性ソーダ、加温用スチームとパルプスラリーを混合するミキサー、高濃度ポンプ、アルカリ抽出塔からなるものである。
本発明におけるアルカリ抽出塔は、特に限定されるものでなく、一般に使用されている設備、例えばダウンフロー抽出塔、置換抽出塔等があり、その運転条件も特に限定されるものではなく、例えば苛性ソーダ添加量2〜5重量%(対パルプ)、パルプ濃度6〜12重量%、温度40〜70℃、pH10〜11、処理時間40〜80分で行われる。
【0016】
漂白処理によりパルプは白色度を増し、その白水中には、パルプ中から遊離したピッチの原因となる油脂、脂肪酸、天然樹脂分、ゴム状物などが増加し、コロイド状あるいは微細粒子状のピッチ粒となって分散している。本発明方法の水溶性アニオン性共重合体は、漂白処理によっ
て白水中にできたコロイド状あるいは微細粒子状になって分散しているピッチ粒子をアルカリ水溶液中に安定分散させ、パルプ繊維、工程中の配管、装置への付着を防止し、アルカリ抽出塔での除去、排出を高め、パルプに残って抄紙工程へ送られるピッチ原因物を少なくするものである。
その作用機構は、パルプスラリー中にあるピッチ粒子及びピッチ原因物の分散物が、本発明方法の水溶性アニオン性共重合体によりアニオン性が高め、静電気的反発が強くなり、アルカリ水溶液中に安定に分散され、アルカリ抽出段の洗浄装置でアルカリ水溶液とともに除去され易くなることにある。その結果、後段の抄紙工程に送られるパルプ中のピッチ及びピッチ原因物を大幅に減少することができ、抄紙工程でのピッチ障害を大きく改善することになる。
【0017】
本発明方法に使用する水溶性アニオン性共重合体は、アルカリ抽出段で使用されるもので、そのほとんどはアルカリ抽出塔後の洗浄装置でアルカリ液とともに除去される。本発明の方法に使用する水溶性アニオン性共重合体がたとえパルプ中に残存したとしても、通常その後にも漂白段があるので、その漂白段でほとんど酸化分解されてしまう。従って、抄紙工程で用いられるピッチコントロール剤、サイズ剤、歩留向上剤、紙力剤、消泡剤、スライムコントロール剤などの各種添加薬品の効果には実質影響を及ぼすことはない。
【0018】
特に、本発明の水溶性アニオン性共重合体は、抄紙工程でミストロンベーパーあるいは他のタルク等の従来より使われてきた多孔性無機物のピッチコントロール剤、あるいは他の非イオン性界面活性剤等のピッチコントロール剤を使用することを何ら妨げるものではなく、むしろこれらのピッチコントロール方法と組み合わせることにより、より好ましいピッチコントロールができることがある。
【0019】
本発明のピッチ除去方法により、パルプや紙、さらにファンポンプ、配管、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロール等の製造装置類へのピッチ付着、さらに、この付着物が剥離してパルプや紙への再付着等による紙の汚点・欠点、断紙の発生などのピッチ障害が大幅に改善され、製品品質、生産性・作業性の向上が得られる。
【0020】
【実施例】
以下に実施例によって本発明を詳細に説明するが、これによって本発明が何等限定されるものではない。
【0021】
[テストに用いた薬品]
(本発明の水溶性アニオン性共重合体)
A− 1:無水マレイン酸−スチレン(1:1モル比)共重合体
(分子量5,000)のナトリウム塩を使用した。
A− 2:無水マレイン酸−スチレン(1:1モル比)共重合体
(分子量100,000)のナトリウム塩を使用した。
A− 3:無水マレイン酸−スチレン(1:3モル比)共重合体
(分子量10,000)のナトリウム塩を使用した。
A− 4:無水マレイン酸−スチレン(4:1モル比)共重合体
(分子量10,000)のナトリウム塩を使用した。
A− 5:無水マレイン酸−イソブチレン(1:1モル比)共重合体
(分子量170,000)のナトリウム塩を使用した。
A− 6:無水マレイン酸−ジイソブチレン(1:1モル比)共重合体
(分子量10,000)のナトリウム塩を使用した。
A− 7:アクリル酸−アクリル酸ヒドロキシプロピル(3:1モル比)共重合体(分子量6,000)のナトリウム塩を使用した。
A− 8:アクリル酸−α−メチルスチレン(1:1モル比)共重合体
(分子量13,000)のナトリウム塩を使用した。
A− 9:無水マレイン酸−炭素数16〜18のα−オレフィン混合物(1:1モル比)共重合体(分子量16,000)のナトリウム塩を使用した。
A−10:スチレンスルホン酸(2:1モル比)共重合体(分子量30,000)のナトリウム塩を使用した。
A−11:アクリル酸−イタコン酸ジメチル共重合体(1:1モル比)
(分子量20,000):テフロン樹脂製攪拌翼をつけた攪拌機、環流冷却器、滴下ロート、温度計をセットした1リットル四ッ口フラスコに水333g、アクリル酸23g、イタコン酸ジメチル23gを入れ、窒素ガスを流しながら55℃に加熱し、ここにβ−メルカプトプロピオン酸2.3gおよび過硫酸ナトリウム5gを水15gに溶かした溶液を速やかに加え、反応熱を除去しながら55℃に維持した。反応熱の発生が小さくなってから、さらに30分間維持し、ついで、80℃で2時間加熱し反応を完結させた。50%水酸化ナトリウム液で中和し、約10%のアクリル酸−イタコン酸ジメチル共重合体ナトリウム塩を得た。
【0022】
(比較に用いた薬品)
B− 1:ポリマレイン酸(分子量1,000)のナトリウム塩を使用した。
B− 2:ポリアクリル酸(分子量2,000,000)のナトリウム塩を使用した。
B− 3:無水マレイン酸−スチレン(1:1モル比)共重合体(分子量1,000)のナトリウム塩を使用した。
B− 4:無水マレイン酸−スチレン(1:4モル比)共重合体(分子量10,000)のナトリウム塩を使用した。この化合物の10重量%水溶液は、白濁した状態であり、完全には溶解していなかった。
B− 5:マレイン酸−アクリル酸メチル−酢酸ビニル(1:1:1モル比)共重合体(分子量1,300)のナトリウム塩を使用した。
B− 6:タルクを使用した。
【0023】
[試験]
広葉樹材(LKP)から中質紙を日産300トン生産している製紙工場で、調製工程および抄造工程でピッチ障害が恒常的に発生していた。調整工程では、ファンポンプ出口、ミキシングチェスト壁面、マシンチェスト壁面および配管内にピッチが付着し、時折、剥離して抄紙機に持ち込まれ、欠損部の発生原因となっていた。また、常時、成紙斑点の欠点数の測定を行い、
欠点数が一定レベル以下になるように2週間〜1ヶ月に1回装置の苛性洗浄を行っていた。該工場のパルプ漂白工程は、[塩素漂白](C)−[アルカリ抽出](E)−[次亜塩素酸塩漂白](H)−[二酸化塩素漂白](D)のシーケンス(図−1)となっており、塩素漂白は、塩素添加量3%(対パルプ)、パルプ濃度4%、温度25〜30℃、処理時間60分、pH=1.5、の条件で漂白を行っていた。また、アルカリ抽出(図−2)は、苛性ソーダ添加量2.
5%(対パルプ)、パルプ濃度12%、温度65℃、処理時間60分、pH=11、の条件で抽出を行っていた。
塩素漂白の後アルカリ抽出塔手前にある苛性ソーダと加温用蒸気をミキシングするミキサーに、本発明の水溶性アニオン性共重合体10重量%水溶液を添加した。添加量は、水溶性イオン性共重合体として300ppm(対パルプ)とし、注入ポンプを用い連続添加した。薬品の効果判定は、次の2つの方法によって行った。
▲1▼ 漂白工程からのパルプを一時ストックする完成チェストに、直径5cm、浸潰部100cm長、長さ2mのパイプを固定し、5日間にその表面に付着する粘着物付着量を測定した。
▲2▼ 5日間の成紙100m2あたりの成紙斑点数を計測した。
この結果を表1に示した。
この結果にみられるように、本発明の水溶性アニオン性共重合体をアルカリ抽出塔手前に添加することにより、パルプ中の粘着物は減り、このパルプから得られる成紙の斑点数は減少し、抄紙工程でのピッチ障害を大幅に改善できることが認められた。
【0024】
【表1】
Figure 0004118997

Claims (2)

  1. パルプ製造工程において、(a)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸化合物と、(b)α―オレフィン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、α―メチルスチレンおよびスチレンスルフォン酸より選ばれた少なくとも1種の炭素数4〜18のビニル化合物を構成成分として含み、(a)不飽和カルボン酸化合物と(b)炭素数4〜18のビニル化合物の重合モル比が80:20〜25:75であり、分子量が5,000〜200,000である水溶性アニオン性共重合体を、漂白処理の後、アルカリ抽出塔に流入する前のパルプスラリーに加えることよりなるパルプ中のピッチ除去方法。
  2. (a)不飽和カルボン酸化合物がマレイン酸、およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種以上であり、(b)炭素数4〜18のビニル化合物が、イソブチレン、ジイソブチレン、スチレン、α―メチルスチレンおよびスチレンスルフォン酸より選ばれた少なくとも1種以上である請求項1記載のパルプ中のピッチ除去方法。
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