JP2000248483A - パルプ中のピッチ除去方法 - Google Patents

パルプ中のピッチ除去方法

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JP2000248483A
JP2000248483A JP5850298A JP5850298A JP2000248483A JP 2000248483 A JP2000248483 A JP 2000248483A JP 5850298 A JP5850298 A JP 5850298A JP 5850298 A JP5850298 A JP 5850298A JP 2000248483 A JP2000248483 A JP 2000248483A
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pulp
acid
pitch
bleaching
copolymer
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JP5850298A
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Zenji Yamaguchi
善治 山口
Hideki Takahashi
秀樹 高橋
Fumihiko Hirai
文彦 平井
Kazuyuki Tetsuka
和行 手束
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Hakuto Co Ltd
New Oji Paper Co Ltd
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Hakuto Co Ltd
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抄紙工程におけるピッチ障害を防止・抑制す
るために、 パルプ製造の漂白工程アルカリ抽出段におい
て、原料木材に由来するパルプ中のピッチを除去する方
法を提供する。 【構成】 水溶性不飽和カルボン酸類と炭素数4〜1
8のビニル化合物から製造される水溶性アニオン性共重
合体(塩)を、パルプ製造工程の漂白処理の後、アルカ
リ抽出段の手前に添加し、原料木材に由来するパルプ中
のピッチを除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発名の属する技術分野】本発明はパルプ製造工程にお
いて、パルプ中のピッチを除去する方法に関し、さらに
詳しくはパルプ製造の漂白工程アルカリ抽出段におい
て、原料木材に由来するパルプ中のピッチを除去する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パルプおよび紙の製造工程におけるピッ
チは、疎水性の粘着性物質のことである。紙の原料であ
る木材には油脂、脂肪酸、テルペン類、ステロイド類、
天然樹脂やガム状物質などが含まれており、パルプ化工
程で得られたパルプ中にもこれらが残留している。パル
プ工程や抄紙工程でこれら粘着性物質が遊離し、コロイ
ド状になって分散しているが、大きなせん断力、急激な
pH変化、硫酸バンドの添加等によりこのコロイド状態
が破壊されて、凝集・巨大化し、所謂ピッチとなる。ま
た、凝集・巨大化すると、その粘着性によりファンポン
プ、流送配管、チェスト、ワイヤー、フェルト、ロール
等の製造装置類に付着し装置の汚れの原因となるばかり
か、この付着物が大きくなった後に剥離し、パルプや紙
に再付着することによって、紙の汚点・欠点による品質
の低下、断紙の原因となり、生産性・作業性の低下など
の障害を引き起こすこととなる。近年、水環境が厳しく
なり使用する水のクローズド化が高くなるとともに、木
材資源環境も厳しくなり、かつては樹脂分が多くパルプ
製造に適していないとされた材種も使用されるようにな
ってきた。そのため、ピッチ障害も増加し、複雑化して
いる。従来、木材由来のピッチを減少させる方法として
は、木材やチップのシーズニング、蒸解後のパルプ洗浄
強化などが行われてきた。しかしシーズニングは、6カ
月〜1年という長い期間を要すること、広い敷地を必要
とすること、さらに生産量の増加に対応できない等の限
界がある。また、木材チップを蒸解して得たパルプの洗
浄を強化する方法は大量の水を必要であるが、水のクロ
ーズド化が進んでいる現状では、大きな改善は期待でき
ない。そこで、ノニオン系界面活性剤を蒸解釜(ダイジ
ェスター)あるいは蒸解後のウオッシャーに添加して洗
浄除去する方法(特開昭57−149592号公報)が
提案されたが、発泡性が大きく満足な結果は得られてい
ない。
【0003】パルプは抄造工程に送られる前に白色度を
向上させるために、一般には、塩素、次亜塩素酸塩、二
酸化塩素、酸素、オゾンなどを使って漂白される。漂白
処理後、漂白時に生じた分解物を含む汚れをアルカリ抽
出塔を使って洗浄、除去される。また、同時にパルプよ
り遊離した油脂、脂肪酸、天然樹脂分、ゴム状物などの
ピッチ原因物も洗浄、除去される。
【0004】しかし、多くの場合、アルカリ抽出塔での
処理だけでは、調成工程や抄造工程でのピッチ障害を解
決する程には至っていない。そのため、調成工程や抄造
工程で水溶性アニオン性共重合体によってピッチを分散
させ、ピッチの凝集・集塊化を防止する方法(特公昭5
9−28676号公報)、タルク(例えば商品名「ミス
トロンベーパー」)やクレイなどの多孔性無機物、ノニ
オン系界面活性剤、水溶性カチオン性重合体や両性重合
体を添加してピッチの付着性・粘着性を低下させる方法
やピッチを小さな状態でパルプに吸着させて系外に出す
方法、パークロルエタン、トリクロルエタン、灯油など
のピッチ可溶性有機溶剤を添加してピッチを溶解・分
散、除去する方法などのような種々の方法が提案されて
いる(特開昭57−149591号公報、特開昭57−
149592号公報、特開昭60−94687号公報、
特開昭63−264993号公報、特開平2−1829
95号公報、特公昭61−48975号公報、特公昭6
2−6039号公報、特公昭63−23320号公
報)。しかし、水溶性アニオン性共重合体によってピッ
チを分散させ、ピッチの凝集・集塊化を防止する方法
は、抄紙工程で使用するサイズ剤や填料の定着を妨げる
ため、その使用量に限界がある。また、タルクやクレイ
などの多孔性無機物は白水中に分散するためスラッジの
原因となる他、紙に定着してピッチを系外に除去するこ
とで目的を達するため、紙に定着させる目的で余分のに
カチオン性高分子を必要とするなど、調成・抄紙工程で
のピッチコントロール剤の使用は、サイズ剤、歩留向上
剤、紙力剤など他の目的の薬品の効果を低下させ、使用
量増加をもたらすこととなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな方法をもってしても抄紙工程におけるピッチ障害を
解決するに至らず、より良い方法が求められていた。本
発明は、このようなパルプおよび紙の製造工程における
ピッチ障害に関して、パルプの漂白工程において、漂白
処理後のアルカリ抽出塔でのパルプ洗浄効率を上げるこ
とにより、この段階でピッチ原因物をより多く除去して
抄紙工程におけるピッチ障害を解決することを目的とし
ている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、抄紙工程
のピッチ対策について系統的に鋭意研究を重ねた結果、
原料木材に由来するピッチは、パルプの漂白処理後のア
ルカリ抽出塔のパルプスラリーに特定の水溶性アニオン
性共重合体を添加することにより、効率的に除去できる
ことを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに
至った。即ち、本発明請求項1は、パルプ製造工程にお
いて、(a)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、
イタコン酸およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリ
ウム塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種の
不飽和カルボン酸化合物と、(b)α−オレフィン、ア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸
エステル、イタコン酸エステル、スチレン、α−メチル
スチレンおよびスチレンスルフォン酸より選ばれた少な
くとも1種の炭素数4〜18のビニル化合物を構成成分
として含む水溶性アニオン性共重合体を、漂白処理の
後、アルカリ抽出塔に流入する前のパルプスラリーに加
えることよりなるパルプ中のピッチ除去方法であり、本
発明請求項2は、 不飽和カルボン酸化合物が、マレイン
酸、およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種以上で
あり、炭素数4〜18のビニル化合物が、イソブチレ
ン、ジイソブチレン、スチレン、α−メチルスチレンお
よびスチレンスルフォン酸より選ばれた少なくとも1種
以上である請求項1記載のパルプ中のピッチ除去方法で
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態をさらに詳細
に説明する。本発明方法において使用する水溶性アニオ
ン性共重合体は、(a)不飽和カルボン酸化合物と
(b)炭素数4〜18のビニル化合物を構成成分として
含むものである。
【0008】本発明方法で使用する不飽和カルボン酸化
合物は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタ
コン酸およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種の不飽
和カルボン酸化合物であり、好ましくは、マレイン酸、
およびその無水物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモ
ニウム塩より選ばれた少なくとも1種である。
【0009】本発明方法におけるビニル化合物は、炭素
数は4〜18、好ましくは炭素数6〜12のビニル化合
物であり、α−オレフィン、アクリル酸エステル、メタ
クリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エ
ステル、スチレン、α−メチルスチレンおよびスチレン
スルフォン酸より選ばれた少なくとも1種以上のもので
ある。このうち、α−オレフィンの例としては、イソブ
チレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、シ
クロヘキセン、1−オクテン、ジイソブチレン、1−デ
セン、1−ドデセン、1−オクタデセン、イソオクタデ
セン等が挙げられ、アクリル酸エステル、メタクリル酸
エステル、イタコン酸エステルにおけるエステル基の例
としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピ
ル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、セチ
ル、オクタデシル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロ
ピル、ヒドロキシブチルなどが挙げられる。これらのう
ち、特に好ましいビニル化合物としては、イソブチレ
ン、ジイソブチレン、スチレン、α−メチルスチレンお
よびスチレンスルフォン酸がある。ビニル化合物の炭素
数が3以下ではアルカリ抽出塔でのピッチの分散が十分
に行われずピッチの除去が不十分であり、炭素数が19
以上では生成した共重合体の水溶性が十分でなく好まし
くない。
【0010】本発明方法における水溶性アニオン性共重
合体は、適用されるパルプ漂白工程のアルカリ抽出塔の
アルカリ水溶液中に溶解し、且つ該工程のアルカリ水溶
液中でピッチ分散力が大きいことが必要である。水溶性
アニオン性共重合体の水への溶解度としては、適用する
パルプ漂白工程のアルカリ抽出段のアルカリ水溶液に溶
解する程度であればよく、そのためには0.005%以
上の水溶性があればよい。この要求を満たす範囲におい
て、不飽和カルボン酸化合物と炭素数は4〜18のビニ
ル化合物の好ましい重合モル比は80:20〜25:7
5、さらに好ましくは、60:40〜40:60であ
る。また、生成した水溶性アニオン性共重合体の分子量
は、好ましくは5,000〜200,000、さらに好
ましくは10,000〜150,000である。この分
子量はピッチを分散させる能力と深く関係しており、分
子量が低いものはピッチ分散性が不十分であり、分子量
が大きすぎるとピッチの凝集性が高くなり好ましくない
上に、共重合体の製造も容易でなく不利なことが多い。
【0011】本発明方法における水溶性アニオン性共重
合体水溶性を得る重合方法は、特に限定されるものでは
なく、一般的なラジカル重合方法に準じて行われる。無
溶剤下、あるいは溶剤使用下のいずれで重合を行なって
も良く、さらに不飽和カルボン酸と炭素数は4〜18の
ビニル化合物を一括して反応容器に入れて、あるいは、
一定の割合で仕込んで反応させるなど任意に選ばれる。
重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、ア
ゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾビス
化合物、過酸化水素、クメンパーオキサイド、ジ−te
rt−ブチルヒドロパーオキサイド、ラウロイルパーオ
キサイド等の過酸化物が一般に使用される。また、共重
合体の分子量は、連鎖移動剤、例えば、チオグリコール
酸およびそのエステル類、β−メルカプトプロピオン酸
およびそのエステル、アルキルメルカブタン類、(メ
タ)アリルスルフォン酸、(メタ)アリルアルコール、
次亜燐酸塩、重亜リン酸塩等の添加によって制御でき
る。
【0012】本発明方法における水溶性アニオン性共重
合体は、通常、1〜40重量%、好ましくは5〜10重
量%濃度のナトリウム塩、カリウム塩あるいはアンモニ
ウム塩水溶液としてを目的とする工程に添加される。そ
の添加量は、パルプの種類、工程の条件、抄紙工程での
ピッチの発生状況などによって大きく変わり一律に決め
られるものではないが、一般的には乾燥パルプに対する
重量比で、水溶性アニオン性共重合体を0.005〜2
重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。
【0013】本発明方法における水溶性アニオン性共重
合体の添加場所は、漂白処理後のパルプスラリーが次の
アルカリ抽出塔に入る前である。具体的には、苛性ソー
ダ、加温用スチームとパルプスラリーを混合するミキサ
ーおよび高濃度ポンプのサクション口、あるいはアルカ
リ抽出塔直前のラインである。
【0014】本発明の方法が適用されるパルプの漂白方
法は、特に限定されるものではなく、一般に使用されて
いる塩素漂白、次亜塩素酸塩漂白、二酸化塩素漂白、酸
素漂白、過酸化水素漂白、オゾン漂白、ハイドロサルフ
ァイト漂白等がある。通常パルプ製造工程では、これら
の漂白段とアルカリ抽出段をいくつかを組み合わせて、
例えば、[塩素漂白]−[アルカリ抽出]−[次亜塩素
酸塩漂白]−[アルカリ抽出]−[二酸化塩素漂白]、
[塩素漂白]−[アルカリ抽出]−[次亜塩素酸塩漂
白]−[二酸化塩素漂白]のようなシーケンスを組んで
行われている。本発明はこれら漂白方法、漂白シーケン
スに限定されるものではない。また、漂白設備も特に限
定されるものでなく、一般に使用されている漂白設備、
例えばアップフロー漂白塔、ダウンフロー漂白塔、置換
漂白塔等であって差し支えない。
【0015】本発明の方法は、漂白処理後のアルカリ抽
出段で実施される。本発明のアルカリ抽出段も特に限定
されるものではなく、一般に使用されている設備、例え
ば、苛性ソーダ、加温用スチームとパルプスラリーを混
合するミキサー、高濃度ポンプ、アルカリ抽出塔からな
るものである。本発明におけるアルカリ抽出塔は、特に
限定されるものでなく、一般に使用されている設備、例
えばダウンフロー抽出塔、置換抽出塔等があり、その運
転条件も特に限定されるものではなく、例えば苛性ソー
ダ添加量2〜5重量%(対パルプ)、パルプ濃度6〜1
2重量%、温度40〜70℃、pH10〜11、処理時
間40〜80分で行われる。
【0016】漂白処理によりパルプは白色度を増し、そ
の白水中には、パルプ中から遊離したピッチの原因とな
る油脂、脂肪酸、天然樹脂分、ゴム状物などが増加し、
コロイド状あるいは微細粒子状のピッチ粒となって分散
している。本発明方法の水溶性アニオン性共重合体は、
漂白処理によって白水中にできたコロイド状あるいは微
細粒子状になって分散しているピッチ粒子をアルカリ水
溶液中に安定分散させ、パルプ繊維、工程中の配管、装
置への付着を防止し、アルカリ抽出塔での除去、排出を
高め、パルプに残って抄紙工程へ送られるピッチ原因物
を少なくするものである。その作用機構は、パルプスラ
リー中にあるピッチ粒子及びピッチ原因物の分散物が、
本発明方法の水溶性アニオン性共重合体によりアニオン
性が高め、静電気的反発が強くなり、アルカリ水溶液中
に安定に分散され、アルカリ抽出段の洗浄装置でアルカ
リ水溶液とともに除去され易くなることにある。その結
果、後段の抄紙工程に送られるパルプ中のピッチ及びピ
ッチ原因物を大幅に減少することができ、抄紙工程での
ピッチ障害を大きく改善することになる。
【0017】本発明方法に使用する水溶性アニオン性共
重合体は、アルカリ抽出段で使用されるもので、そのほ
とんどはアルカリ抽出塔後の洗浄装置でアルカリ液とと
もに除去される。本発明の方法に使用する水溶性アニオ
ン性共重合体がたとえパルプ中に残存したとしても、通
常その後にも漂白段があるので、その漂白段でほとんど
酸化分解されてしまう。従って、抄紙工程で用いられる
ピッチコントロール剤、サイズ剤、歩留向上剤、紙力
剤、消泡剤、スライムコントロール剤などの各種添加薬
品の効果には実質影響を及ぼすことはない。
【0018】特に、本発明の水溶性アニオン性共重合体
は、抄紙工程でミストロンベーパーあるいは他のタルク
等の従来より使われてきた多孔性無機物のピッチコント
ロール剤、あるいは他の非イオン性界面活性剤等のピッ
チコントロール剤を使用することを何ら妨げるものでは
なく、むしろこれらのピッチコントロール方法と組み合
わせることにより、より好ましいピッチコントロールが
できることがある。
【0019】本発明のピッチ除去方法により、パルプや
紙、さらにファンポンプ、配管、チェスト、ワイヤー、
フェルト、ロール等の製造装置類へのピッチ付着、さら
に、この付着物が剥離してパルプや紙への再付着等によ
る紙の汚点・欠点、断紙の発生などのピッチ障害が大幅
に改善され、製品品質、生産性・作業性の向上が得られ
る。
【0020】
【実施例】以下に実施例によって本発明を詳細に説明す
るが、これによって本発明が何等限定されるものではな
い。
【0021】[テストに用いた薬品] (本発明の水溶性アニオン性共重合体) A− 1:無水マレイン酸−スチレン(1:1モル比)
共重合体(分子量5,000)のナトリウム塩を使用し
た。 A− 2:無水マレイン酸−スチレン(1:1モル比)
共重合体(分子量100,000)のナトリウム塩を使
用した。 A− 3:無水マレイン酸−スチレン(1:3モル比)
共重合体(分子量10,000)のナトリウム塩を使用
した。 A− 4:無水マレイン酸−スチレン(4:1モル比)
共重合体(分子量10,000)のナトリウム塩を使用
した。 A− 5:無水マレイン酸−イソブチレン(1:1モル
比)共重合体(分子量170,000)のナトリウム塩
を使用した。 A− 6:無水マレイン酸−ジイソブチレン(1:1モ
ル比)共重合体(分子量10,000)のナトリウム塩
を使用した。 A− 7:アクリル酸−アクリル酸ヒドロキシプロピル
(3:1モル比)共重合体(分子量6,000)のナト
リウム塩を使用した。 A− 8:アクリル酸−α−メチルスチレン(1:1モ
ル比)共重合体(分子量13,000)のナトリウム塩
を使用した。 A− 9:無水マレイン酸−炭素数16〜18のα−オ
レフィン混合物(1:1モル比)共重合体(分子量1
6,000)のナトリウム塩を使用した。 A−10:スチレンスルホン酸(2:1モル比)共重合
体(分子量30,000)のナトリウム塩を使用した。 A−11:アクリル酸−イタコン酸ジメチル共重合体
(1:1モル比)(分子量20,000):テフロン樹
脂製攪拌翼をつけた攪拌機、環流冷却器、滴下ロート、
温度計をセットした1リットル四ッ口フラスコに水33
3g、アクリル酸23g、イタコン酸ジメチル23gを
入れ、窒素ガスを流しながら55℃に加熱し、ここにβ
−メルカプトプロピオン酸2.3gおよび過硫酸ナトリ
ウム5gを水15gに溶かした溶液を速やかに加え、反
応熱を除去しながら55℃に維持した。反応熱の発生が
小さくなってから、さらに30分間維持し、ついで、8
0℃で2時間加熱し反応を完結させた。50%水酸化ナ
トリウム液で中和し、約10%のアクリル酸−イタコン
酸ジメチル共重合体ナトリウム塩を得た。
【0022】(比較に用いた薬品) B− 1:ポリマレイン酸(分子量1,000)のナト
リウム塩を使用した。 B− 2:ポリアクリル酸(分子量2,000,00
0)のナトリウム塩を使用した。 B− 3:無水マレイン酸−スチレン(1:1モル比)
共重合体(分子量1,000)のナトリウム塩を使用し
た。 B− 4:無水マレイン酸−スチレン(1:4モル比)
共重合体(分子量10,000)のナトリウム塩を使用
した。この化合物の10重量%水溶液は、白濁した状態
であり、完全には溶解していなかった。 B− 5:マレイン酸−アクリル酸メチル−酢酸ビニル
(1:1:1モル比)共重合体(分子量1,300)の
ナトリウム塩を使用した。 B− 6:タルクを使用した。
【0023】[試験]広葉樹材(LKP)から中質紙を
日産300トン生産している製紙工場で、調製工程およ
び抄造工程でピッチ障害が恒常的に発生していた。調整
工程では、ファンポンプ出口、ミキシングチェスト壁
面、マシンチェスト壁面および配管内にピッチが付着
し、時折、剥離して抄紙機に持ち込まれ、欠損部の発生
原因となっていた。また、常時、成紙斑点の欠点数の測
定を行い、欠点数が一定レベル以下になるように2週間
〜1ヶ月に1回装置の苛性洗浄を行っていた。該工場の
パルプ漂白工程は、[塩素漂白](C)−[アルカリ抽
出](E)−[次亜塩素酸塩漂白](H)−[二酸化塩
素漂白](D)のシーケンス(図−1)となっており、
塩素漂白は、塩素添加量3%(対パルプ)、パルプ濃度
4%、温度25〜30℃、処理時間60分、pH=1.
5、の条件で漂白を行っていた。また、アルカリ抽出
(図−2)は、苛性ソーダ添加量2.5%(対パル
プ)、パルプ濃度12%、温度65℃、処理時間60
分、pH=11、の条件で抽出を行っていた。塩素漂白
の後アルカリ抽出塔手前にある苛性ソーダと加温用蒸気
をミキシングするミキサーに、本発明の水溶性アニオン
性共重合体10重量%水溶液を添加した。添加量は、水
溶性イオン性共重合体として300ppm(対パルプ)
とし、注入ポンプを用い連続添加した。薬品の効果判定
は、次の2つの方法によって行った。 漂白工程からのパルプを一時ストックする完成チェ
ストに、直径5cm、浸潰部100cm長、長さ2mの
パイプを固定し、5日間にその表面に付着する粘着物付
着量を測定した。 5日間の成紙100m2あたりの成紙斑点数を計測
した。 この結果を表1に示した。この結果にみられるように、
本発明の水溶性アニオン性共重合体をアルカリ抽出塔手
前に添加することにより、パルプ中の粘着物は減り、こ
のパルプから得られる成紙の斑点数は減少し、抄紙工程
でのピッチ障害を大幅に改善できることが認められた。
【0024】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 文彦 徳島県阿南市豊益町吉田1番地 王子製紙 株式会社富岡工場内 (72)発明者 手束 和行 徳島県阿南市豊益町吉田1番地 王子製紙 株式会社富岡工場内 Fターム(参考) 4L055 AG58 AG62 AG63 AG70 AG71 AG89 AH22 EA30 FA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ製造工程において、(a)アクリ
    ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこ
    れらの無水物、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
    ム塩より選ばれた少なくとも1種の不飽和カルボン酸化
    合物と、(b)α−オレフィン、アクリル酸エステル、
    メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン
    酸エステル、スチレン、α−メチルスチレンおよびスチ
    レンスルフォン酸より選ばれた少なくとも1種の炭素数
    4〜18のビニル化合物を構成成分として含む水溶性ア
    ニオン性共重合体を、漂白処理の後、アルカリ抽出塔に
    流入する前のパルプスラリーに加えることよりなるパル
    プ中のピッチ除去方法。
  2. 【請求項2】 不飽和カルボン酸化合物が、マレイン
    酸、およびこれらの無水物、ナトリウム塩、カリウム
    塩、アンモニウム塩より選ばれた少なくとも1種以上で
    あり、炭素数4〜18のビニル化合物が、イソブチレ
    ン、ジイソブチレン、スチレン、α−メチルスチレンお
    よびスチレンスルフォン酸より選ばれた少なくとも1種
    以上である請求項1記載のパルプ中のピッチ除去方法。
JP5850298A 1998-03-10 1998-03-10 パルプ中のピッチ除去方法 Pending JP2000248483A (ja)

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