以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置は用紙搬送装置を有するものである。この用紙搬送装置は画像形成装置の装置本体1の内部に組み込まれている。すなわち、キャスター付きの装置本体1の内部には、多段構造をなす複数(図例では4つ)の用紙収容カセット2,…が組み込まれている。各々の用紙収容カセット2,…は、用紙を積載状態に収容するもので、それぞれ装置本体1に対して着脱可能に組み込まれている。これらの用紙収容カセット2,…は、収容対象となる用紙のサイズや種類によってカセット全体のサイズが異なるものの、基本的には同様の構成となっている。
また、用紙収容カセット2の近傍には、給紙用のロールとして、呼び出しロール3、分離ロール4及び送り出しロール5が配置されている。呼び出しロール3は、用紙収容カセット2に収容された用紙の最上面に接触して回転することにより、用紙収容カセット2から用紙を呼び出すものである。分離ロール4は、呼び出しロール3によって呼び出された用紙を一枚ずつ分離して送り出すものである。送り出しロール5は、分離ロール4で分離された用紙を搬送路に向けて送り出すものである。これら3つの給紙用ロール3,4,5は、用紙収容カセット2と1:1の対応関係で設けられている。
また、各々の用紙収容カセット2から給紙された用紙の送り先となる搬送路には、所定の間隔で複数の搬送ロール6が設けられ、これらの搬送ロール6の回転によって用紙が搬送路の下流側へと搬送されるようになっている。搬送ロール6による用紙の搬送先には搬送ロール7が配置されている。各々の用紙収容カセット2から給紙された用紙は、搬送ロール6の回転によって共通の搬送ロール7へと送り込まれるようになっている。搬送ロール7は、搬送ロール6によって搬送されてきた用紙をレジストロール8に向けて搬送するものである。
レジストロール8は、画像形成の対象となる用紙を、後述する画像転写部に向けて送り込むとともに、この送り込みに際して用紙の位置合わせを行うものである。レジストロール8による用紙の位置合わせは、用紙の先端をレジストロール8に突き当ててスキューを補正したり、スキュー補正後に用紙の搬送開始タイミング(レジストロール8の回転開始タイミング)を調整したりすることにより行われる。このレジストロール8の1つ手前(上流側)に搬送ロール(以下、「プレレジストロール」という)7が配置されている。
また、プレレジストロール7とレジストロール8との間の搬送路には膨らみ部9が形成されている。膨らみ部9は、レジストロール8への突き当てによって用紙のスキューを補正する際に、プレレジストロール7による送り込みによって用紙をループ状に撓ませるためのものである。このループの形成により用紙の先端がレジストロール8に均一に突き当てられることになる。
レジストロール8による用紙の送り先には、感光体ドラム10とバキューム搬送部11が配置されている。感光体ドラム10は、図の反時計回り方向に回転駆動されるものである。感光体ドラム10の周囲には、用紙に転写すべき画像(トナー画像)を形成するための手段として、例えば、感光体ドラム10の表面を一様に帯電する帯電器(不図示)と、この帯電器で帯電された感光体ドラム10の表面に静電潜像を書き込む画像書き込み装置(レーザROS;Laser Raster Output Scanner)12と、この画像書き込み装置12によって静電潜像が書き込まれた感光体ドラム10の表面にトナーを供給する現像器(不図示)と、この現像器で現像されたトナー画像を用紙に転写するための転写ロール13と、用紙に転写されずに感光体ドラム10の表面に残留した不要トナーを除去するクリーナー(不図示)と、感光体ドラム10の表面を除電する除電器(不図示)が、それぞれ感光体ドラム10の回転方向にしたがって順に配置されている。
画像書き込み装置12は、感光体ドラム10の表面でレーザビームを走査することにより画像の書き込みを行うものである。この画像書き込み装置12は、例えば、レーザビームの発生源となるレーザ素子(半導体レーザ等)と、このレーザ素子から発生したレーザビームを反射しつつライン状に走査するポリゴンミラー(回転多面鏡)と、ポリゴンミラーで反射させたレーザビームのビーム径を絞り込む結像光学系とを用いて構成されるものである。画像書き込み装置12による画像の書き込み動作は、所定の電位に帯電された感光体ドラム10の表面をレーザビームの照射によって露光するとともに、そのレーザビームを画像信号に応じて点滅(変調)することにより行われる。
バキューム搬送部11は、無端状の搬送用ベルト11Aと、この搬送用ベルト11Aを支持する2つのロール11Bとを有するものである。バキューム搬送部11では、レジストロール8によって送り込まれた用紙を搬送用ベルト11Aに載置し、この搬送用ベルト11A上で用紙の裏面(画像が転写された面と反対側の面)をバキューム方式で吸着しつつ、ベルト支持用ロール11Bの回転駆動に伴う搬送用ベルト11Aの走行にしたがって用紙を搬送する。また、転写ロール13は、バキューム搬送部11の搬送用ベルト11Aを介して感光体ドラム10と対向する位置に配置されている。したがって、バキューム搬送部11によって搬送される用紙は搬送中に感光体ドラム10と転写ロール13の対向部分を通過し、この対向部分で感光体ドラム10から用紙に画像が転写される。よって、感光体ドラム10と転写ロール13の対向部分は画像転写部に相当するものとなる。
バキューム搬送部11による用紙の送り先には、所定の間隔で搬送ロール15A,15Bが順に配置されている。また、搬送ロール15Bの下流側では搬送路が2つに分岐しており、その分岐部分に図示しないゲート部材が設けられている。ゲート部材は搬送路の分岐部分で用紙の進行方向を切り替えるもので、その切り替え先となる一方の搬送路の終端部には排出ロール16が配置され、他方の搬送路の途中には搬送ロール17が配置されている。排出ロール16は用紙を排出トレイ21に向けて排出するものである。搬送ロール17は用紙を反転ロール18に向けて搬送するものである。
反転ロール18は、双方向に回転可能に設けられたもので、一方向への回転によって用紙を引き込む動作と他方向への回転によって用紙を送り出す動作を順に行う、いわゆるスイッチバック方式で用紙を表裏反転するものである。反転ロール18による用紙の送り出し方向には、排出ロール16に通じる搬送路と、プレレジストロール7に通じる搬送路とが形成されている。そして、排出ロール16に通じる搬送路には搬送ロール19が配置され、プレレジストロール7に通じる搬送路には所定の間隔で複数の搬送ロール20が配置されている。搬送ロール19は、反転ロール18によって送り出された用紙を排出ロール16へと搬送するもので、搬送ロール20は、反転ロール18によって送り出された用紙をプレレジストロール7へと搬送するものである。
また、用紙の給紙部分や搬送路の適所(図中、三角印で示す位置)には、用紙の搬送動作や画像の形成動作を制御する際に必要となる各種のセンサが配置されている。このうち、プレレジストロール7とレジストロール8との間には、搬送方向の異なる位置に2つのパスセンサ22,23が配置され、さらにパスセンサ22の近傍にはエッジセンサ24とホームセンサ25が配置されている。上流側のパスセンサ22はプレレジストロール7の近傍(下流側)に配置され、下流側のパスセンサ23はレジストロール8の近傍(上流側)に配置されている。
パスセンサ22,23は、例えば発光素子と受光素子を同一面に配置した反射型のフォトセンサからなるもので、センサ検知位置(素子面と近接する位置)に用紙が存在するときはオン状態となり、存在しないときはオフ状態となる。したがって、パスセンサ22,23の検知位置を用紙の先端が通過した際にはオフ状態からオン状態に切り替わり、その後、パスセンサ22,23の検知位置を用紙の後端が通過した際にはオン状態からオフ状態に切り替わる。したがって、各々のパスセンサ22,23のオンオフ状態に基づいて用紙の先端通過及び後端通過を検出することが可能となる。以降の説明では、プレレジストロール7の近傍のパスセンサ22をプレレジセンサ22と称し、レジストロール8の近傍のパスセンサ23をレジセンサ23と称する。
エッジセンサ24及びホームセンサ25は、図2に示すように、サイドエッジ位置検出機構26に含まれるものである。サイドエッジ位置検出機構26は、用紙の搬送方向と直交する方向(サイド方向)で用紙のサイドエッジ位置を検出するものである。サイドエッジ位置検出機構26は、エッジセンサ24及びホームセンサ25の他に、エッジセンサ24を移動させるための駆動源となるセンサ移動用モータ27と、エッジセンサ24を用紙の搬送方向と直交する方向に移動可能に案内支持するガイド機構28と、センサ移動用モータ27の駆動力をガイド機構28に伝達する動力伝達機構29とによって構成されている。
エッジセンサ24は、例えば上記パスセンサ22,23と同様に発光素子と受光素子を同一面に配置した反射型のフォトセンサからなるもので、センサ検知位置に用紙が存在するときはオン状態となり、存在しないときはオフ状態となる。したがって、用紙のサイドエッジを横切るようにエッジセンサ24をサイド方向に移動させると、この移動中にエッジセンサ24がオフ状態からオン状態、又はオン状態からオフ状態に切り替わる。
ホームセンサ25は、例えば発光素子と受光素子を対向配置した透過型のフォトセンサからなるもので、その素子間の光路が遮られていない状態(発光素子で発光させた光を受光素子で受光している状態)ではオン状態となり、その光路が遮られた状態(発光素子で発光させた光を受光素子で受光していない状態)ではオフ状態となる。このホームセンサ25は、サイド方向にエッジセンサ24を移動させるにあたって、エッジセンサ24のホーム位置を規定するためのセンサである。
センサ移動用モータ27は、例えば回転方向と回転量の制御が容易なパルスモータを用いて構成されるものである。
ガイド機構28は、センサ支持ブラケット30と、一対のガイドシャフト31と、移動部材32とを用いて構成されている。センサ支持ブラケット30は、例えば長方形の薄い金属板を曲げ成形して得られるものである。センサ支持ブラケット30の一端側は斜めに傾斜し、この傾斜部にエッジセンサ24がネジ止め、接着等で固定状態に取り付けられている。また、センサ支持ブラケット30の他端部は略直角に曲げられている。
一対のガイドシャフト31は、それぞれ断面円形の丸シャフトからなるもので、用紙の搬送方向と直交する向きで互いに平行に配置されている。また、各々のガイドシャフト31の両端部は、板状のベース部材33に一体に形成されたシャフト支持部33A,33Bに嵌合状態で固定されている。
移動部材32は、平面視略コ字形をなすもので、相対向する部分をそれぞれ一対のガイドシャフト31に嵌合した状態で、当該一対のガイドシャフト31に移動自在(スライド自在)に案内支持されている。また、移動部材32の下端部は、センサ支持ブラケット30に固定状態で取り付けられている。よって、移動部材32が一対のガイドシャフト31に沿って移動すると、移動部材32と一体にセンサ支持ブラケット30も移動する。
動力伝達機構29は、大小2つのプーリ34,35と無端状のベルト36とを用いて構成されている。大径側のプーリ34は、上記ベース部材33に取り付けられたセンサ移動用モータ27の回転軸(駆動軸)に嵌合固定されている。小径側のプーリ35は、大径側のプーリ34から所定の距離だけ離れた位置で、ベース部材33上に回転自在に取り付けられている。ベルト36は、上記2つのプール34,35にループ形状に張設されている。また、ベルト36の一部は、上述したセンサ支持ブラケット30の他端部(略直角に曲げられた部分)にネジ止め、接着等で固定されている。さらに、センサ支持ブラケット30には検出片37が固定状態で取り付けられている。検出片37は、上記移動部材32と一体にセンサ支持ブラケット30を移動させたときに、一方の移動終端部でホームセンサ25の光路を遮蔽するように配置されている。
上記構成のサイドエッジ位置検出機構26において、センサ移動用モータ27の駆動により大径側のプーリ34を回転させると、このプーリ34を駆動プーリとしてベルト36が走行するとともに、このベルト36の走行にしたがって小径側(従動側)のプーリ35が回転する。また、ベルト36が走行すると、これにしたがってセンサ支持ブラケット30と移動部材32も移動する。その際、移動部材32は一対のガイドシャフト31に沿って移動するため、センサ支持ブラケット30の移動方向は一対のガイドシャフト31によって案内される。したがって、一対のガイドシャフト31を用紙の搬送向と直交する向きで配置することにより、センサ支持ブラケット32上のエッジセンサ24を用紙の搬送方向と直交する方向(サイド方向)に移動させることができる。また、センサ移動用モータ27の回転方向を反転(正転、逆転)させることにより、用紙の搬送方向と直交する方向で、エッジセンサ24を一方向と他方向に移動(往復移動)させることができる。
図3は本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。図において、主制御部38は、画像形成装置全体の処理動作を統括的に制御するものである。主制御部38には、プレレジセンサ22、レジセンサ23、ホームセンサ25、エッジセンサ24を含む各種のセンサが電気的に接続され、各々のセンサから出力される信号が主制御部38に取り込まれるようになっている。また、主制御部38にはセンサ移動用モータ27が接続されている。センサ移動用モータ27は主制御部38から供給される駆動パルスにしたがって回転駆動する。
さらに、主制御部38には、データ格納用のメモリ39と書き込み制御回路40とが接続されている。メモリ39は、画像形成装置の処理動作を制御するにあたって必要となる各種のデータを格納するためのものである。書き込み制御回路40は、画像書き込み装置12による画像(静電潜像)の書き込み動作を制御するものである。
以下に、主制御部38の制御処理に基づく画像形成装置の動作について説明する。まず、ユーザは、画像形成装置の操作パネル(不図示)を使って所望の画像形成条件(例えば、画像形成の濃度や部数、両面印刷の指定など)を入力した後、操作パネル内のスタートボタンを押す。このとき、操作パネルを用いたユーザの入力操作によって指定された用紙や、自動選択機能によって選択された用紙を収容する用紙収容カセット2に対応する給紙用ロール3,4,5を回転させることにより、用紙収容カセット2に収容された用紙を最上位から順に一枚ずつ分離して搬送路上に送り出す。この場合、用紙の搬送路上ではセンサ基準方式で用紙が搬送されるものとする。
こうして用紙収容カセット2から搬送路へと送り出された用紙は、搬送ロール6の回転によって下流側へと搬送され、プレレジストロール7に送り込まれる。次に、用紙はプレレジストロール7の回転にしたがってレジストロール8に送り込まれる。レジストロール8の回転はプレレジストロール7による用紙の送り込みに先立って停止状態とされる。そのため、プレレジストロール7によって送り込まれた用紙の先端は回転停止状態のレジストロール8のニップ部分に突き当てられる。また、この突き当て状態でプレレジストロール7により用紙を適量だけ送り込むことにより、レジストロール8の手前の膨らみ部9で用紙がループ状に撓んだ状態、すなわち用紙のスキューが補正された状態となり、この状態で用紙が一時停止する。
その後、画像書き込み装置2によって感光体ドラム10の表面に書き込まれた静電潜像がトナー画像に現像されて画像転写部に送り込まれるタイミングに合わせて、レジストロール8の回転を開始する。これにより、先述のようにスキュー補正された用紙は、レジストロール8の回転にしたがって画像転写部へと送り込まれる。そして、画像転写部においては、レジストロール8によって送り込まれた用紙がバキューム搬送部11の搬送用ベルト11A上に載置され、この搬送用ベルト11Aの走行によって画像転写部(感光体ドラム10と転写ロール13の対向部分)を通過するように移動する。このとき、用紙の先端が画像転写部に到達するタイミングに合わせて画像転写部にトナー画像が到達し、そこで転写ロール13がトナーと逆極性の電荷を付与することにより、感光体ドラム10表面のトナー画像が用紙の第一面に転写される。
その後、用紙はバキューム搬送部11によって定着ロール14に送られ、そこでロール間に加えられる加圧作用と加熱作用によって用紙の第一面に画像が定着される。次いで、定着ロール14から送り出された用紙は搬送ロール15A,15Bによって搬送される。このとき、用紙が両面印刷を指定されたものでなければ、搬送ロール15A,15Bの回転にしたがって用紙を排出ロール16に送り込むとともに、この排出ロール16の回転によって用紙を排出トレイ21に排出する。
これに対して、用紙が両面印刷を指定されたものであれば、搬送ロール15A,15Bの回転にしたがって用紙を搬送ロール17に送り込むとともに、この搬送ロール17の回転にしたがって用紙を反転ロール18に送り込む。そして、反転ロール18で用紙の引き込み動作と送り出し動作を順に行うことにより、用紙を表裏反転した状態で搬送ロール20に送り出す。次いで、複数の搬送ロール20の回転にしたがって用紙を再びプレレジストロール7に送り込んだ後、上記用紙の第一面に画像を形成(印刷)する場合と同様の手順で用紙の第二面にトナー画像を転写するとともに、このトナー画像を用紙の第二面に定着させる。これにより、用紙の両面に画像が形成(印刷)されることになる。
このように両面印刷がなされた用紙は、搬送ロール15A,15Bの回転にしたがって再び搬送ロール17に送り込まれ、この搬送ロール17を経由して反転ロール18に送り込まれる。そして、反転ロール18による用紙の引き込み動作と送り出し動作により、用紙が表裏反転した状態で搬送ロール19に送り込まれ、この搬送ロール19の回転と排出ロール16の回転によって用紙が排出トレイ21に排出される。
以上のように画像形成装置を動作させる際に、主制御部38は、図4〜図6のフローチャートにしたがって、サイド方向で用紙と画像の位置を合わせるための処理(以下、「サイドレジストレーション処理」ともいう)を実行する。図7はサイドレジストレーション処理において、用紙のサイドエッジ位置を検出するためにエッジセンサを移動させるときの手順を示す模式図である。
まず、用紙の搬送が開始されると、センサ移動用モータ27を駆動してエッジセンサ24をホーム位置に向けて移動開始する(ステップS1)。センタ基準方式で用紙を搬送する場合において、ホーム位置は、エッジセンサ24と一緒(一体)に移動する検出片27がホームセンサ25の光路を遮ったとき(ホームセンサ25がオンしたとき)のタイミングに基づいて一意に特定される位置である。これに対して、移動開始前のエッジセンサ24の位置(以下、「初期位置」という)は、前回の画像形成ジョブで用紙のサイドエッジ位置の検出動作を行った後にエッジセンサ24を最終的に停止させた位置である。用紙の搬送方向と直交する方向において、ホーム位置は用紙サイズにかかわらず常に同じ位置となるが、初期位置は前回処理した用紙サイズに依存した位置となる。したがって、初期位置からホーム位置までの距離は用紙サイズ(用紙幅)に応じて異なるものとなる。
次に、タイマーによる時間計測を開始した後(ステップS2)、ホームセンサ25がオン状態になったか否かを確認する(ステップS3)。そして、ホームセンサ25がオン状態になっていない場合は、タイマーによる計測値が所定値を超えていないかどうかを確認する(ステップS4)。この場合の所定値は、エッジセンサ24を初期位置からホーム位置に戻すときに必要となる時間よりも若干長めの時間に設定される。
その後、タイマー計測値が所定値を超える前にホームセンサ25がオフ状態からオン状態に切り替わると、タイマーの値をゼロリセットした後(ステップS5)、センサ移動用モータ27の駆動を停止してエッジセンサ24の移動を停止する(ステップS6)。このときのセンサ停止位置がエッジセンサ24のホーム位置となる。次に、センサ移動用モータ27を駆動してエッジセンサ24をホーム位置から待機位置に移動させる(ステップS7)。待機位置とは、用紙のサイドエッジ位置をエッジセンサ24で検出可能な位置(まで用紙が搬送されるまでにエッジセンサ24を待機させておく位置である。エッジセンサ24をホーム位置から待機位置に移動させる際にセンサ移動用モータ27に供給される駆動パルスの数は、予め用紙サイズ(用紙幅)ごとに設定される。したがって、エッジセンサ24の待機位置は用紙サイズに応じて異なるものとなる。これまでの処理は、用紙がプレレジストロール7に到達する前に行われる。
続いて、プレレジセンサ22がオン状態になったか否かを確認する(ステップS8)。そして、プレレジストロール7によって送り出された用紙の先端がプレレジセンサ22の検知位置を通過し、これによってプレレジセンサ22がオフ状態からオン状態に切り替わると、エッジセンサ24を用いて用紙のサイドエッジ位置の検出動作を開始した後(ステップS9)、タイマーによる時間計測を開始する(ステップS10)。サイドエッジ位置の検出動作は、センサ移動用モータ27に駆動パルスを供給してエッジセンサ24を待機位置から終点位置へと移動させるとともに、その移動中にセンサ移動用モータ27に供給される駆動パルスの数をリアルタイムにカウントすることにより行う。エッジ検出動作におけるエッジセンサ24の終点位置は、用紙の搬送方向と直交する方向において、検出対象となる用紙のサイドエッジ部分が通過する位置を間に挟んで待機位置と反対側に設定される。待機位置から終点位置までのセンサ移動距離は用紙サイズにかかわらず一定の距離となる。また、エッジセンサ24を待機位置から終点位置に移動させると、その移動途中でエッジセンサ24が用紙のサイドエッジ部分を横切り、その瞬間にエッジセンサ24がオフ状態からオン状態に切り替わる。
そこで、主制御部38では、エッジセンサ24がオン状態になったか否かを確認し(ステップS11)、エッジセンサ24がオン状態になっていない場合は、タイマーによる計測値が所定値を超えていないかどうかを確認する(ステップS12)。この場合の所定値は、エッジセンサ24を待機位置から終点位置まで移動させるときに必要となる時間よりも若干長めの時間に設定される。
その後、タイマー計測値が所定値を超える前にエッジセンサ24がオフ状態からオン状態に切り替わると、タイマーの値をゼロリセットした後(ステップS13)、エッジセンサ24を用いたサイドエッジ位置の検出結果に基づいて用紙の搬送方向と直交する方向の用紙の位置ずれ量を算出する(ステップS14)。用紙位置ずれ量を算出するにあたっては、上述のようにエッジセンサ24を待機位置から終点位置に向けて移動させたときに、この移動を開始(センサ移動用モータ27の駆動を開始)してからエッジセンサ24がオン状態になるまでにセンサ移動用モータ27に供給した駆動パルスのカウント値をサイドエッジ位置の検出結果として取得する。このパルスカウント値は、用紙の搬送方向と直交する方向で、用紙の位置がエッジセンサ24の待機位置(ホーム位置)に近づくほど小さな値となる。そこで、主制御部38では、実際にサイドエッジ検出動作を行って得られたパルスカウント値(以下、検出値)と、予め設定された基準パルスカウント値(以下、基準値)とを比較し、その比較結果に基づいて用紙位置ずれ量を求める。
具体的には、例えば、基準値と検出値との差分(基準値から検出値を差し引いた値)を求め、この差分が検出誤差範囲内(ほぼゼロ)であれば、サイド方向での用紙の位置ずれ量をゼロとする。また、基準値と検出値との差分が検出誤差範囲を超える場合は、その差分の大きさから用紙位置ずれ量を求めるとともに、その差分(用紙位置ずれ量)が正の値であるか負の値であるかによって用紙の位置ずれ方向を認識する。用紙の位置ずれ量については、基準値と検出値との差分を1パルスあたりのセンサ移動量に掛け合わせることにより求めることができる。また、用紙の位置ずれ方向は、基準値と検出値との差分が正の値であれば用紙が待機位置側にずれていると認識し、負の値であれば用紙が待機位置と反対側にずれていると認識することができる。
こうしてサイド方向での用紙の位置ずれ量を求めたら、この用紙位置ずれ量を補正用データとしてメモリ39に格納(記憶)する(ステップS15)。次いで、先に算出した用紙位置ずれ量に基づいて主走査方向の画像の書き込み位置を補正する(ステップS16)。画像書き込み位置の補正は、画像書き込み装置12で感光体ドラム10の表面に静電潜像を書き込むときに行われる。画像書き込み装置12による静電潜像の書き込み動作(スキャン動作)は感光体ドラム10の軸方向に沿う主走査方向に対して行われ、それと直交する副走査方向(ドラム回転方向)では感光体ドラム10の回転にしたがって画像書き込み装置12による静電潜像の書き込み位置が移動する。これにより、感光体ドラム10の表面には、画像書き込み装置12によって1ラインずつ順に静電潜像の書き込みが行われる。また、各ラインに画像を書き込む場合は、画像の書き込み開始を指示する同期信号(以下、「書き込み開始信号」という)の出力にしたがって主走査方向での画像の書き込み開始タイミングが制御される。
そこで、画像書き込み装置12による主走査方向での静電潜像の書き込み位置を制御するにあたっては、上述のように検出した用紙位置ずれ量に応じて書き込み開始信号の出力タイミングを変化させる。このような書き込み位置の制御は、主制御部38から与えられる用紙位置ずれ量のデータにしたがって書き込み制御回路40により行われる。一例として、書き込み制御回路40では、主制御部38で算出された用紙位置ずれ量がゼロであれば、予め設定された基準タイミングで書き込み開始信号を出力する。また、用紙位置ずれ量が正の値であれば、その用紙位置ずれ量に応じた時間だけ基準タイミングよりも早いタイミングで書き込み開始信号を出力し、用紙位置ずれ量が負の値であれば、その用紙位置ずれ量に応じた時間だけ基準タイミングよりも遅いタイミングで書き込み開始信号を出力する。これにより、サイド方向で用紙の位置にずれが生じていた場合は、それに合わせて主走査方向の画像の書き込み位置が補正される。
こうして主走査方向の画像の書き込み位置を補正したら、次に処理すべき用紙(以下、次用紙)があるかどうかを判断し(ステップS17)、次用紙がないと判断した場合は、その時点で一連の処理を終了する。また、次用紙があると判断した場合は、上記ステップS7に戻り、そこでセンサ移動用モータ27を駆動してエッジセンサ24を再び待機位置へと移動させる。これにより、次用紙に対してもステップS7以降の処理が実施される。そのため、上記ステップS11でエッジセンサ24のオン状態が確認されると、これを基にステップS14で算出された用紙位置ずれ量が上記ステップS15でメモリ39に格納される。したがって、メモリ39には、ステップS14で用紙位置ずれ量が算出されるたびに、この用紙位置ずれ量が補正用データとして格納されることになる。
そうした場合、メモリ39における補正用データの格納個数が1個に設定されている場合は、このメモリ39に格納された補正用データが、ステップS14で用紙位置ずれ量が算出されるたびに更新される。この場合の更新処理は、前回の処理で補正用データとしてメモリ39に格納された用紙位置ずれ量のデータを、今回の処理で算出された用紙位置ずれ量のデータで上書きすることにより実行される。
また、メモリ39における補正用データの格納個数が複数個(例えば、N個とする)に設定されている場合は、このメモリ39に格納されたN個の補正用データが、ステップS14で用紙位置ずれ量が算出されるたびに更新される。この場合の更新処理は、メモリ39に格納された補正用データの格納個数がN個に達するまでは、今回の処理で算出された用紙位置ずれ量のデータを新規な補正用データとしてメモリ39に書き込むことにより行われ、メモリ39に格納された補正用データの格納個数がN個に達した後は、前回の処理までに補正用データとしてメモリ39に格納されたN個の補正用データのうち、一番最初に格納された補正用データ(最も古いデータ)を、今回の処理で算出された用紙位置ずれ量のデータ(最新のデータ)で上書きすることにより実行される。
このようにメモリ39に格納された補正用データは、サイドエッジ位置検出機構26に何らかの異常が発生し、これによって用紙のサイドエッジ位置を検出できなくなった場合に有効に利用される。ここでは、サイドエッジ位置検出機構26の異常として、センサ移動用モータ27が故障した場合を例にとって説明する。実際にセンサ移動用モータ27が故障すると、センサ移動用モータ27に駆動パルスを供給してもエッジセンサ24が移動しなくなる。そのため、エッジセンサ24を初期位置からホーム位置に移動させるためにセンサ移動用モータ27に駆動パルスを供給する時点でセンサ移動用モータ27が故障していた場合は、ステップS4でタイマー計測値が所定値を超えてタイムオーバーとなる。また、エッジセンサ24を待機位置から終点位置に移動させるためにセンサ移動用モータ27に駆動パルスを供給した時点でセンサ移動用モータ27が故障していた場合は、上記ステップS12でタイマー計測値が所定値を超えてタイムオーバーとなる。また、それ以前にエッジセンサ24をホーム位置から待機位置に移動させるためにセンサ移動用モータ27に駆動パルスを供給する時点でセンサ移動用モータ27が故障していた場合も、上記ステップS12でタイマー計測値が所定値を超えてタイムオーバーとなる。
上記ステップS4又はS12でタイムオーバーとなると、主制御部38は、サイドエッジ位置検出機構26に異常が発生したと認識(判別)して画像形成の処理モードを通常モード(正常モード)から異常発生モードに移行させる(ステップS18,S19)。異常発生モードでは、メモリ39に格納されている補正用データを読み出す(ステップS20)。次に、メモリ39から読み出された補正用データの個数が複数であれば、それら複数の補正用データを平均化して補正値を求める(ステップS21,S22)。次いで、データの読み出し又は平均化によって得られた補正用データ値に基づいて上記ステップS16と同様に主走査方向の画像の書き込み位置を補正する(ステップS23)。その後、次用紙があるかどうかを確認し(ステップS24)、次用紙がないと判断した場合は、その時点で一連の処理を終了する。また、次用紙があると判断した場合は上記ステップS23に戻り、そこで次用紙に対しても上記同様の補正用データ値を適用して主走査方向の画像の書き込み位置を補正する。
このように本実施形態に係る画像形成装置においては、サイドレジストレーション処理に際して、サイドエッジ位置検出機構26に異常が発生し、これによって用紙のサイドエッジ位置をエッジセンサ24で検出できない状況になると、異常発生前にメモリ39に格納された補正用データを適用して主走査方向の画像の書き込み位置を補正するため、センサ移動用モータ27の故障などが発生しても、メモリ39内の補正用データを用いて画像の書き込み位置の補正を継続することができる。したがって、異常発生時においても、用紙の搬送方向と直交する方向で、用紙と画像の位置合わせを適切に行うことができる。
また、サイドエッジ位置検出機構26に異常が発生する前に、補正用データとしてメモリ39に格納された複数個の用紙位置ずれ量の平均値を用いて主走査方向の画像の書き込み位置を補正することにより、当該書き込み位置の補正に適用されるデータの信頼性を高めることができる。
また、上記ステップS14でサイドエッジ位置の検出結果を基に算出された用紙位置ずれ量を上記ステップS15でメモリ39に格納するにあたって、その算出された用紙位置ずれ量が所定範囲内であるか否かを判断する処理ステップを追加し、この処理ステップで所定範囲内であると判断された用紙位置ずれ量を補正用データとしてメモリ39に格納し、それ以外のデータは格納しないように制御することにより、メモリ39に格納された補正用データを適用して画像の書き込み位置の補正するときの補正精度を高めることができる。
また、メモリ39に所定数(1個又は複数個)の補正用データを格納した後は、ステップS14で用紙位置ずれ量が算出されるたびにメモリ39内のデータを更新するため、常に最新の補正用データを適用して画像の書き込み位置を補正することができる。
また、メモリ39に補正用データを格納するにあたって、例えば、図8(A)に示すように、用紙を収容するトレイ(トレイ1、トレイ2、トレイ3、トレイ4)毎に補正用データ(補正用データ1、補正用データ2、補正用データ3、補正用データ4)を分類して格納したり、図8(B)に示すように、用紙のサイズ毎に補正用データ(補正用データ1、補正用データ2、補正用データ3、補正用データ4)を分類して格納したり、あるいは図8(C)に示すように、用紙の画像形成面(第一面、第二面)毎に補正用データ(補正用データ1、補正用データ2)を分類して格納することも可能である。用紙の種類としては、用紙のサイズ以外にも、用紙の坪量や紙質、向き(タテ、ヨコ)によって区別してもよい。このように補正用データを分類してメモリ39に格納することにより、メモリ39内の補正用データを適用して画像の書き込み位置を補正する際に、その時々の画像形成条件(トレイ、用紙の種類、両面印刷の指定など)に合わせて、メモリ39から適切な補正用データを読み出すことができる。したがって、用紙収容トレイの違いや用紙の種類、画像形成面の違いなどによる補正誤差を低減することができる。
7…搬送ロール(プレレジストロール)、8…レジストロール、10…感光体ドラム、12…画像書き込み装置、13…転写ロール、22…プレレジセンサ、23…レジセンサ、24…エッジセンサ、25…ホームセンサ、26…サイドエッジ位置検出機構、38…主制御部、39…メモリ、40…書き込み制御回路