以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用される画像形成装置の構成例を示す概略図である。図においては、2つの用紙収容部1,2が上下の位置関係で配置されている。用紙収容部1,2は、それぞれ所定枚数(複数枚)の用紙を積載状態で収容するものである。用紙収容部1に収容される用紙のサイズは、用紙収容部2に収容される用紙のサイズよりも小さいものとなっている。
上側の用紙収容部1の給紙部分には、給紙用のロールとして、呼び出しロール3と送り出しロール4が配置されている。呼び出しロール3は、用紙収容部1に収容された用紙を、最上位の用紙から順に呼び出すものである。送り出しロール4は、呼び出しロール3によって呼び出された用紙を1枚ずつ分離して送り出すものである。これと同様に、下側の用紙収容部2の給紙部分にも、給紙用のロールとして、呼び出しロール5と送り出しロール6が配置されている。
また、画像形成装置の本体内には用紙搬送路が形成されている。用紙搬送路は、図示しない搬送路形成部材を用いて形成されるものである。用紙搬送路上には複数の搬送ロール7〜19が設けられている。各々の搬送ロール7〜19は、用紙搬送方向と直交する向きに配置されたロール軸に所定の間隔で取り付けられた複数のロール対によって構成されるとともに、各々のロール対の間に用紙を挟み込んで回転することにより、用紙に搬送力を付与して用紙を搬送するものである。
ここで、用紙搬送路を複数の用紙搬送路R1〜R6に区分して考えると、第1の用紙搬送路R1と第2の用紙搬送路R2は、搬送ロール8と搬送ロール9の間で区分されている。第3の用紙搬送路R3は、搬送ロール11の下流側で第2の用紙搬送路R2から分岐している。第3の用紙搬送路R3と第4の用紙搬送路R4は、搬送ロール14と搬送ロール15の間で区分されている。第5の用紙搬送路R5は、搬送ロール14と搬送ロール15の間で第4の用紙搬送路R4から分岐している。また、第5の用紙搬送路R5は、搬送ロール9の上流側で第2の用紙搬送路R2に合流している。第6の用紙搬送路R6は、搬送ロール13と搬送ロール14の間で第3の用紙搬送路R3から分岐している。また、第6の用紙搬送路R6は、搬送ロール12の上流側で第2の用紙搬送路R2に合流している。
第1の用紙搬送路R1は、用紙収容部1,2に収容された用紙を画像形成手段に向けて給紙するための給紙搬送路となり、第2の用紙搬送路R2は、画像形成手段を経由するように用紙を搬送する画像形成搬送路となる。また、第3の用紙搬送路R3は、第2の用紙搬送路R2と第4の用紙搬送路R4とを中継する中継搬送路となり、第4の用紙搬送路R4は、用紙を表裏反転させるための反転搬送路となる。また、第5の用紙搬送路R5は、第4の用紙搬送路R4で反転させた用紙を再び画像形成手段に向けて給紙するための再給紙搬送路となり、第6の用紙搬送路R6は、画像形成済みの用紙を表裏反転して排出するための反転排出搬送路となる。
搬送ロール7,8は、第1の用紙搬送路R1上に配置され、搬送ロール9〜12は、第2の用紙搬送路R2上に配置されている。搬送ロール13,14は、第3の用紙搬送路R3上に配置され、搬送ロール15は、第4の用紙搬送路R4上に配置されている。搬送ロール16〜19は、第5の用紙搬送路R5上に配置されている。
また、搬送ロール7は、第1の用紙搬送路R1上で搬送ロール8の上流側に配置されている。搬送ロール8は、第1の用紙搬送路R1上で搬送ロール7の下流側に配置されている。これらの搬送ロール7,8は、用紙収容部1から給紙用のロール3,4によって供給された用紙や、用紙収容部2から給紙用のロール5,6によって供給された用紙を、それぞれ第1の用紙搬送路Rに沿って搬送するものである。
搬送ロール9は、第2の用紙搬送路R2上で搬送ロール10の上流側に配置されている。搬送ロール9は、搬送ロール8によって第1の用紙搬送路R1から第2の用紙搬送路R2へと搬送された用紙を、搬送ロール10に向けて搬送するものである。搬送ロール10は、搬送ロール9によって搬送された用紙を、所定のタイミングで画像転写部に送り込むロールである。画像転写部とは、用紙搬送路上で用紙に画像が転写される部分をいう。以降の説明では、画像転写部に用紙を送り込む搬送ロール10をレジストロールと称し、搬送ロール10に用紙を送り込む搬送ロール9をプレレジストロールと称する。プレレジストロール9とレジストロール10は、用紙搬送方向で隣り合う位置関係で配置される。
用紙搬送方向において、プレレジストロール9からレジストロール10に至る用紙搬送区間は斜行補正部20として構成されている。斜行補正部20は、第2の用紙搬送路R2上で用紙の斜行(傾き)を補正する部分である。斜行補正部20においては、レジストロール10の上流側で、例えば、レジストロール10を基準部材として、用紙の先端をレジストロール10に突き当てて用紙をループ状に弛ませることにより、用紙の斜行を補正する。基準部材は、用紙搬送面内で用紙の先端を用紙搬送方向と直交する向きに揃えるために用いられる部材であり、レジストロール10以外の部材であってもよい。用紙の先端とは、用紙搬送路上で用紙搬送方向の下流側を向いて配置される用紙の端をいう。
図2(A),(B)は斜行補正部20の具体的な構成例を示す図である。斜行補正部20では、第2の用紙搬送路R2を形成する搬送路形成部材のうち、プレレジストロール9とレジストロール10の間で搬送カーブの外側に配置された搬送路形成部材32がバネ33によって付勢されている。そして、レジストロール10への突き当てによってループを形成する用紙34に押されると、バネ33の付勢力に抗して搬送路形成部材32が支点35を中心に揺動して外側に逃げる(変位する)構成となっている。
また、用紙搬送方向において、プレレジストロール9とレジストロール10の間(第2の用紙搬送路R2上)には用紙側端検出器21が配置されている。用紙側端検出器21は、用紙搬送方向において、上記搬送路形成部材32よりも下流側でかつレジストロール10よりも上流側に配置されている。用紙側端検出器21は、斜行補正部20で用紙の側端位置を検出するものである。用紙の側端とは、用紙搬送路上で用紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)を向いて配置される用紙の端をいう。
用紙側端検出器21は、例えば図3(A)の平面図及び(B)の側面図に示すように、センサ光源21Aとラインセンサ21Bとを用いて構成されるものである。センサ光源21Aとラインセンサ21Bは、第2の用紙搬送路R2を介して対向する状態に配置されている。また、ラインセンサ21Bは、第2の用紙搬送路R2に沿って用紙搬送方向に搬送される用紙34の側端に交差する向き(用紙搬送方向に直交する向き)で配置されている。
上記構成からなる用紙側端検出器21においては、センサ光源21Aとラインセンサ21Bの対向部分に用紙34が介在している状況で、センサ光源21Aからラインセンサ21Bに向けてセンサ光を出射した際に、センサ光の一部が用紙34によって遮られることにより、ラインセンサ21Bの画素列方向(長手方向)で受光量が大きく変化する画素位置が現れる。この画素位置は、用紙搬送方向と直交する方向で用紙34の側端位置を示すものとなる。したがって、ラインセンサ21Bの画素列方向で受光量が大きく変化する画素位置を、例えば、予め設定された受光量変動の閾値を用いて特定することにより、用紙34の側端位置を検出することができる。
また、第2の用紙搬送路R2において、レジストロール10の下流側には感光体ドラム22が配置されている。感光体ドラム22は、図の反時計回り方向に回転駆動されるものである。感光体ドラム22の周囲には、用紙に転写すべき画像(トナー画像)を形成するための手段として、例えば、感光体ドラム22の表面を所定の電位レベルに帯電する帯電器(不図示)と、この帯電器で帯電された感光体ドラム22の表面をレーザ光(レーザビーム)で露光走査して静電潜像を書き込む画像書き込み部23と、この画像書き込み部23によって書き込まれた静電潜像をトナーで現像する現像器(不図示)と、この現像器で現像されたトナー画像を用紙に転写する転写ロール24と、用紙に転写されずに感光体ドラム22の表面に残留したトナーを除去するドラムクリーナー(不図示)と、感光体ドラム22の表面を除電する除電器(不図示)が、それぞれ感光体ドラム22の回転方向に順に配置されている。
感光体ドラム22と転写ロール24は、第2の用紙搬送路R2を介して対向する状態に配置されている。感光体ドラム22と転写ロール24は、少なくとも両者の対向部分を用紙が通過する際に所定の圧力で接触した状態となる。そして、レジストロール10によって送り込まれた用紙は、所定の圧力で接触する感光体ドラム22と転写ロール24の対向部分を通過する。このとき、転写ロール24がトナーと逆極性の電荷を用紙に印加することにより、感光体ドラム22から用紙にトナー画像が転写される。したがって、感光体ドラム22と転写ロール24の対向部分が、画像転写部に相当するものとなる。
バキューム搬送部25は、無端状の搬送ベルト26と、この搬送ベルト26を支持する2つのロール27,28とを有するものである。バキューム搬送部25は、搬送ベルト26の上に用紙を載せて用紙の下面(トナー画像が転写される面と反対側の面)をバキューム方式で吸着しつつ、搬送ベルト26の走行にしたがって用紙を搬送するものである。
バキューム搬送部25の下流側には定着器29が配置されている。定着器29は、画像転写部で用紙に転写されたトナー画像を加熱加圧方式で用紙の紙面に定着させるもので、ヒータ等によって所定の温度(定着温度)に加熱される加熱ロール30と、この加熱ロール30に所定の圧力で接触する加圧ロール31とを備えている。定着器29は、上述した感光体ドラム22、帯電器、画像書き込み部23、現像器、転写ロール24等とともに、、画像形成手段を構成するものである。ただし、画像形成手段の構成はこれに限らず、例えば、中間転写体(中間転写ベルト等)を用いた構成や、複数の感光体ドラムを配列したタンデム方式を採用した構成であってもよい。
搬送ロール11は、第2の用紙搬送路R2上で定着器29の下流側に配置されている。搬送ロール11の下流側では、第2の用紙搬送路R2の途中から第3の用紙搬送路R3が斜め下方に分岐しており、この分岐部分に図示しない搬送切り替え部材が設けられている。搬送切り替え部材は、搬送ロール1によって搬送される用紙の進行方向を、搬送ロール12に向かう第1の方向(第2の用紙搬送路R2の沿う方向)と、搬送ロール13に向かう第2の方向(第3の用紙搬送路R3に分岐する方向)のいずれか一方に切り替えるものである。
搬送ロール12は、第2の用紙搬送路R2の終端部に配置されている。搬送ロール12は、画像形成済みの用紙を図示しない用紙排出収容部(例えば、排出トレイ)に排出するロール(以下、「排出ロール」とも記す)である。
搬送ロール13は、搬送ロール11によって搬送された用紙を、搬送ロール13の下流側に配置された搬送ロール14に向けて搬送するものである。搬送ロール14は、第3の用紙搬送路R3上で搬送ロール13の下流側に配置されている。搬送ロール14は、両方向に回転(正転/逆転)可能に設けられている。
搬送ロール15は、用紙搬送方向で搬送ロール14の下流側に配置されている。搬送ロール15は、上記搬送ロール14と同様に、両方向に回転(正転/逆転)可能に設けられている。搬送ロール14及び搬送ロール15は、それぞれ搬送中の用紙をスイッチバック方式で表裏反転するロール(以下、「反転ロール」とも記す)である。用紙の先端とは、用紙搬送路上で用紙搬送方向の下流側を向いて配置される用紙の端をいう。また、用紙の後端とは、用紙搬送路上で用紙搬送方向の上流側を向いて配置される用紙の端をいう。
搬送ロール16〜19は、用紙搬送方向の上流側から下流側に向かって順に配置されている。すなわち、第5の用紙搬送路R5において、搬送ロール17は搬送ロール16の下流側に配置され、搬送ロール18は搬送ロール17の下流側に配置され、搬送ロール19は搬送ロール18の下流側に配置されている。
図4は本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。主制御部41は、画像形成装置全体の処理動作を統括的に制御するものである。
画像書き込み制御部42は、上記画像書き込み部23による静電潜像の書き込み動作(書き込みのタイミング)を制御するものである。主制御部41には、上述した用紙側端検出器21とともに、用紙搬送制御部43と記憶部44と斜行状態検出部45とが接続されている。
用紙搬送制御部43は、上述した呼び出しロール3,5や送り出しロール4,6、さらには複数の搬送ロール7〜19の回転動作を制御したり、バキューム搬送部25や搬送切り替え部材の動作を制御したりすることにより、用紙搬送路に沿った用紙の搬送を制御するものである。
記憶部44は、画像形成装置の処理動作を制御する際に必要となる種々のデータや情報を記憶するために用いられるものである。
斜行状態検出部45は、斜行補正部20で用紙の斜行状態を検出するものである。さらに詳述すると、斜行状態検出部45は、用紙の斜行状態として、用紙の斜行量と斜行方向を検出する。用紙の斜行量は、用紙がどの程度斜行しているかを示すものである。用紙の斜行方向は、用紙が用紙搬送方向に真っ直ぐに向いた状態を基準にして、用紙がどちらの方向(向き)に斜行しているかを示すものである。
図5は画像書き込み部の構成例を示す概略図である。図示した画像書き込み部23は、半導体レーザ等からなるレーザ発光器101と、コリメータレンズ102と、ポリゴンミラー(回転多面鏡)103と、fθレンズ等からなるレンズ系104と、ビームディテクトセンサ(以下、「BDセンサ」)105とを備えた構成となっている。
レーザ発光器101が発生するレーザ光は、コリメータレンズ102でビーム形状を整形された後、図中B方向に定速回転するポリゴンミラー103に照射される。このとき、ポリゴンミラー103の一面でレーザ光が反射され、かつその反射したレーザ光がポリゴンミラー103の回転にしたがって偏向される。これにより、ポリゴンミラー103の一面で反射したレーザ光は、レンズ系104を介して感光体ドラム22の表面を図中A方向に走査される。レンズ系104は、ポリゴンミラー103によって偏向されたレーザ光を感光体ドラム22上で等速直線運動できるように偏向する役割を果たす。
BDセンサ105は、感光体ドラム22の軸方向に沿う主走査方向で、レーザ光による画像の書き込み範囲外の位置P0に配置され、そこでレーザ光の受光を感知したときにBD信号を出力するものである。このBDセンサ105が出力するBD信号は、感光体ドラム上にレーザ光のライン走査によって画像を書き込むときに、各々のラインで主走査方向の画像の書き込み開始位置を揃えるための同期信号となる。
上記構成からなる画像書き込み部23においては、レーザ発光器101からコリメータレンズ102を介してポリゴンミラー103に照射されたレーザ光が、ポリゴンミラー103の回転によって感光体ドラム22の軸方向(主走査方向)にライン走査される。このライン走査をポリゴンミラー103の回転と感光体ドラム22の回転により1ラインごとに繰り返すことにより、感光体ドラム22の表面に二次元の画像(静電潜像)が形成される。したがって、感光体ドラム22の表面では、感光体ドラム22の軸方向が主走査方向に相当し、感光体ドラム22の回転方向が副走査方向に相当するものとなる。
また、感光体ドラム22の軸方向において、画像の書き込みが開始される位置をP1とし、画像の書き込みが終了する位置をP2とすると、主走査方向の画像位置(書き込み範囲Lr)は、画像書き込み開始位置Psと画像書き込み終了位置Peによって規定される。
主走査方向の画像書き込み開始位置Psは、例えば、主走査同期信号(BD信号)の出力タイミングをトリガー(起点)として、図示しない基準クロック発生回路が発生する基準クロック信号のクロック数(パルスの数)をカウントし、このカウント値が所定値に達したタイミングで画像の書き込み(レーザー発光器101の駆動)を開始するものとすると、上記所定値を変えることで調整可能である。また、主走査方向の画像書き込み終了位置Peは、例えば、画像書き込み信号となるパルス信号の周波数を変えたり、画像の書き込みに適用するパルス信号の総数を変えたりすることで調整可能である。
そこで、主制御部41においては、用紙側端検出器21で用紙の側端位置を検出することで得られる用紙側端検出データを用いて、主走査方向の画像位置を決定し、この決定にしたがって主走査方向の画像書き込み開始位置Psや画像書き込み終了位置Peを補正(調整)するように、画像書き込み制御部42に対して画像書き込み位置の補正指示を与える構成となっている。
続いて、本発明の実施形態に係る画像形成装置の動作(画像形成動作)について説明する。まず、画像形成動作を開始するにあたって、ユーザーが指定した用紙収容部又は自動で選択された用紙収容部から、画像形成の対象となる用紙を給紙する。例えば、ユーザー指定の用紙収容部又は自動選択された用紙収容部が、上段の用紙収容部1であるとすると、この用紙収容部1に対応する呼び出しロール3及び送り出しロール4の回転により、用紙収容部1から第1の用紙搬送路R1へと用紙を送り出す。
こうして用紙収容部1から第1の用紙搬送路R2へと送り出された用紙は、搬送ロール8の回転によって用紙搬送方向の下流側へと搬送されてプレレジストロール9に送り込まれる。次に、用紙はプレレジストロール9の回転にしたがってレジストロール10に送り込まれる。このとき、斜行補正部20では、レジストロール10への突き当てによって用紙の斜行が補正される。レジストロール10は、プレレジストロール9による用紙の送り込みに先立って回転停止状態とされる。そのため、プレレジストロール9によって送り込まれた用紙の先端は回転停止状態のレジストロール10に突き当てられる。また、この突き当て状態でプレレジストロール9により用紙を所定量だけ送り込むことにより、上記図2(B)に示すように用紙がループ状に弛んだ状態、すなわち用紙の斜行が補正された状態となり、この状態で用紙が一時停止する。
一方、レジストロール10の下流側では感光体ドラム22が一定の速度で回転し、この回転中に感光体ドラム22の表面に画像書き込み部23によって静電潜像が書き込まれる。こうして感光体ドラム22の表面に書き込まれた静電潜像は、現像器(不図示)でトナー画像に現像されて画像転写部に送り込まれる。
これに対して、レジストロール10は、画像転写部にトナー画像が到達するタイミングで画像転写部に用紙が到達するように、所定のタイミングで回転を開始する。これにより、用紙はレジストロール10の回転にしたがって画像転写部へと送り込まれる。そして、画像転写部においては、感光体ドラム22と転写ロール24の対向部分(接触部分)を通過するように用紙が移動するとともに、転写ロール24がトナーと逆極性の電荷を用紙に付与することにより、感光体ドラム22上のトナー画像が用紙の第1面に転写される。
その後、用紙はバキューム搬送部25によって定着器29へと送られる。定着器29に送られた用紙は、加熱ロール30と加圧ロール31の間(接触部分)を通過するように移動するとともに、それらのロール30,31によって加えられる加熱作用と加圧作用によって用紙の第1面にトナー画像が定着される。次いで、定着器29から送り出された用紙は、第2の用紙搬送路R2に沿って搬送ロール11から排出ロール12へと送り込まれた後、排出ロール12によって用紙排出収容部(不図示)に排出される。以上の動作は、用紙の片面に画像を形成する片面画像形成処理で適用されるものである。
用紙の両面に画像を形成する両面画像形成処理においては、搬送ロール11によって搬送される用紙が、搬送切り替え部材(不図示)によって第2の用紙搬送路R2から第3の用紙搬送路R3に案内されて搬送ロール13へと送り込まれる。次いで、用紙は搬送ロール13によって反転ロール14に送り込まれ、さらに反転ロール14の正回転によって反転ロール15へと送り込まれる。次に、用紙は反転ロール15の正回転によって第4の用紙搬送路R4に取り込まれる。そして、用紙の後端が第5の用紙搬送路R5への分岐位置を通過すると、反転ロール15は、用紙を挟み込んだままの状態で回転停止した後、逆回転を開始する。これにより、用紙は反転ロール15の逆回転にしたがって第4の用紙搬送路R4から第5の用紙搬送路R5へと送り込まれる。
その後、用紙は、第5の用紙搬送路R5に設けられた複数の搬送ロール16〜19の回転にしたがって第5の用紙搬送路R5を上流側から下流側へと搬送される。そして、第5の用紙搬送路R5の最下流部では、第5の用紙搬送路R5の終端部から第2の用紙搬送路R2の始端部に合流するように用紙が搬送ロール19によって搬送される。これにより、用紙は再び第2の用紙搬送路R2上のプレレジストロール9へと送り込まれる。以降は、上記同様の手順で用紙の第2面に画像が形成(転写、定着)される。
また、第2面への画像形成を終えた用紙は、第2の用紙搬送路R2に沿って搬送ロール11から排出ロール12へと送り込まれた後、排出ロール12によって用紙排出収容部(不図示)に排出される。
一方、第1面又は第2面への画像形成を終えた用紙を表裏反転して排出する場合は、排出ロール11によって搬送される用紙が、搬送切り替え部材(不図示)によって第2の用紙搬送路R2から第3の用紙搬送路R3に案内されて搬送ロール13へと送り込まれる。次いで、用紙は搬送ロール13によって反転ロール14に送り込まれ、さらに反転ロール14の正回転によって用紙搬送方向の下流側に送り込まれる。
次に、用紙の後端が第6の用紙搬送路R6への分岐位置を通過すると、反転ロール14は、用紙を挟み込んだままの状態で回転停止した後、逆回転を開始する。これにより、用紙は反転ロール14の逆回転にしたがって第3の用紙搬送路R3から第6の用紙搬送路R6へと送り込まれる。次いで、用紙は、第6の用紙搬送路R6から第2の用紙搬送路R2に合流するように排出ロール12へと送り込まれた後、排出ロール12によって用紙排出収容部(不図示)に排出される。
図6は上記画像形成動作中に画像書き込み位置の補正指示を与えるために行なわれる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、プレレジストロール9の回転にしたがってレジストロール10に送り込まれる用紙の斜行状態を、当該用紙の先端がレジストロール10に突き当たる前(斜行補正部20で用紙の斜行を補正する前)に、斜行状態検出部45で検出する(ステップS1)。その際、斜行状態検出部45は、用紙側端検出器21を用いて用紙の斜行状態を検出する。
具体的には、図7(A),(B)に示すように、プレレジストロール9の回転によって搬送される用紙34の先端が、用紙側端検出器21の検出位置を通過してからレジストロール10に突き当たるまでの間に、予め設定された複数のタイミング、例えば第1の検出タイミングT1と、それよりも後の第2の検出タイミングT2で、それぞれ用紙側端検出器21が用紙34の側端位置を検出する。このとき、第1の検出タイミングT1で用紙側端検出器21が検出した用紙34の側端位置をE1とし、第2の検出タイミングT2で用紙側端検出器21が検出した用紙34の側端位置をE2とすると、斜行状態検出部45は、斜行補正前の用紙の斜行量を、斜行量(mm/sec)=(E2−E1)÷(T2−T1)の数式に基づいて求める。
また、斜行状態検出部45は、各々の検出タイミングT1,T2で用紙側端検出器21が検出した用紙34の側端位置E1,E2の相対的な位置関係から、用紙の斜行方向を判別する。例えば、第1の検出タイミングT1で検出される用紙34の側端位置E1を基準に、第2の検出タイミングT2で検出される用紙34の側端位置E2が、用紙搬送方向と直交するロール軸方向で、どちらの方向にずれているかにより、用紙の斜行方向を判別する。
続いて、用紙34の先端をレジストロール10に突き当てるとともに、この突き当て状態でプレレジストロール9により用紙34を所定量だけ送り込むことにより、用紙34をループ状に弛ませて用紙の斜行を補正する(ステップS2)。
その際、レジストロール10に突き当たる前の段階で用紙34が斜行していると、図8に示すように、用紙34の先端はレジストロール10のロール軸に対して傾いた状態となる。このため、用紙搬送方向でみると、用紙34の先端は、先行側の用紙先端がレジストロール10に先に突き当たって停止してから、プレレジストロール9の送り込みによるループの形成によって、遅れ側の用紙先端もレジストロール10に突き当たった状態となる。これにより、用紙の斜行が補正される。
このとき、レジストロール10に先に突き当たった用紙34の先行側先端は、レジストロール10が高い摩擦抵抗をもつ部材(一般的にはゴム材)で構成されることから、容易にはロール軸方向に移動しない。このため、プレレジストロール9による用紙の搬送方向と、用紙34の遅れ側先端をレジストロール10に突き当てるための回転運動方向のずれが、図9に示すように、用紙幅方向の撓みとなって現れる。こうした用紙の撓みは、斜行補正前の用紙の斜行量が大きいほど大きくなる。
また、斜行補正部20で用紙の斜行補正を完了した段階(用紙のループ形成を完了した段階)では、用紙34の側端が撓みの影響で用紙中央部に寄ることがある。特に、コシの弱い用紙(薄紙など)は、コシの強い用紙(厚紙など)に比較して、用紙側端の中央部への寄りが発生しやすくなる。この理由は、コシの強い用紙は、用紙を撓ませる力よりも用紙のコシが強いことから、レジストロール10に先に突き当たった用紙の先行側先端がロール軸方向に移動する現象を起こすためである。
そこで、主制御部41は、斜行補正部20で用紙の斜行補正を完了した段階で用紙側端検出器21を動作させることにより、斜行補正後の用紙の側端位置を用紙側端検出器21で検出する(ステップS3)。このとき、用紙側端検出器21で検出される用紙側端位置の検出データは、予め設定された用紙側端の基準位置からのずれ量とずれの方向を示すデータとなる。
次いで、主制御部41は、上記ステップS1で斜行状態検出部45が検出した用紙の斜行状態と上記ステップS3で用紙側端検出器21が検出した用紙の側端位置とに基づいて、主走査方向の画像位置を決定する(ステップS4)。具体的には、用紙側端検出器21で検出した用紙の側端位置の検出値(検出データ)を、斜行状態検出部45で検出した用紙の斜行状態に応じた補正値で補正し、この補正結果に基づいて、主走査方向の画像位置を決定する。これを数式で表すと、次のようになる。
主走査方向の画像位置=用紙側端位置の検出値+補正値(但し、補正値は正数、負数又は0)
補正値は、例えば、斜行状態検出部45で検出した用紙の斜行量に3つの重み付け係数(以下、単に「係数」と記す)A,B,Cを乗して得られるものである。このうち、第1の係数Aは、斜行補正部20の固有値に応じて決まる係数である。例えば、斜行補正部20の固有値が、プレレジストロール9の送り込み量に比例した用紙のループ量であるとすると、主制御部41は、用紙のループ量が多いほど第1の係数Aに大きな係数値を適用し、用紙のループ量が少ないほど第1の係数Aに小さな係数値を適用する。斜行補正部20の固有値(用紙のループ量等)と第1の係数Aとの対応関係を示すテーブルデータは、制御用データの一つとして予め記憶部44に記憶されている。このため、主制御部41は、斜行補正部20の固有値に対応する第1の係数Aを記憶部44から読み出して補正値の演算に用いる。
第2の係数Bは、用紙の紙質に応じて決まる係数である。例えば、用紙の紙質を用紙の厚さ(坪量)で区分するものとすると、主制御部41は、用紙の厚さが厚いほど第2の係数Bに大きな係数値を適用し、用紙の厚さが薄いほど第2の係数Bに小さな係数値を適用する。用紙の紙質と第2の係数Bとの対応関係を示すテーブルデータは、制御用データの一つとして予め記憶部44に記憶されている。このため、主制御部41は、用紙の紙質に対応する第2の係数Bを記憶部44から読み出して補正値の演算に用いる。
第3の係数Cは、斜行状態検出部45で検出した用紙の斜行方向に応じて決まる係数である。例えば、斜行状態検出部45で検出した用紙の斜行方向が、用紙側端検出器21側が用紙の遅れ側先端となる方向であれば、主制御部41は、第3の係数Cに1よりも大きい係数値を適用し、用紙側端検出器21側が用紙の先行側先端となる方向であれば、主制御部41は、第3の係数Cに1よりも小さい係数値(ゼロを含む)を適用する。第3の係数Cにゼロを適用した場合は、補正値もゼロになる。用紙の斜行方向と第3の係数Cとの対応関係を示すテーブルデータは、制御用データの一つとして記憶部44に記憶されている。このため、主制御部41は、用紙に斜行方向に対応する第3の係数Cを記憶部44から読み出して補正値の演算に用いる。
こうして主走査方向の画像位置を決定すると、この決定にしたがって主制御部41は画像書き込み制御部42に画像書き込み位置(画像書き込み開始位置Ps、画像書き込み終了位置Pe)の補正指示を与える。このため、レジストロール10の回転にしたがって画像転写部に用紙を送り込んだ際には、画像転写部で用紙に転写される画像の位置が、主制御部41から画像書き込み制御部42に与えられる補正指示にしたがって主走査方向(用紙幅方向)で補正(調整)されることになる。
その後、主制御部41は、次に画像形成すべき用紙があるかどうかを判断する(ステップS5)。そして、次に画像形成すべき用紙があれば、上記ステップS1に戻って同様の処理を行ない、次に画像形成すべき用紙がなければ、その段階で処理を抜ける。
なお、上記実施形態においては、用紙搬送方向と直交する方向で、片側だけに用紙側端検出器21を設けたが、両側に用紙側端検出器21を設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、斜行状態検出部45が用紙側端検出器21を用いて用紙の斜行状態を検出するものとしたが、これに限らず、例えば図10(A),(B)に示すように、用紙搬送方向と直交する仮想軸上に所定の間隔をあけて2つの用紙検知センサ46R,46Lを設け、どちらの用紙検知センサ46R,46Lが先に用紙の先端通過を検知するかによって用紙の斜行方向を検出するとともに、一方の用紙検知センサ46R(又は46L)が用紙の先端通過を検知してから、他方の用紙検知センサ46L(又は46R)が用紙の先端通過を検知するまでの時間差に基づいて、用紙の斜行量を検出する方式を採用してもよい。
また、本発明は、電子写真式の画像形成装置に限らず、他のプリント方式(例えば、インクジェット式、熱転写式など)を採用した画像形成装置に適用することも可能である。
9…プレレジストロール(搬送ロール)、10…レジストロール(搬送ロール)、20…斜行補正部、21…用紙側端検出器、23…画像書き込み部、34…用紙、41…主制御部、42…画像書き込み制御部、43…用紙搬送制御部、44…記憶部、45…斜行状態検出部