JP4475553B2 - 電子レンジ対応包装袋およびそれに用いる包装材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内容物を包装したまま電子レンジで加熱したとき、自動的に内圧を低下させることができる電子レンジ対応包装袋およびそれに用いる包装材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍食品やチルド食品は、プラスチック製の包装材料で作製された包装袋や、その包装材料を容器本体(トレー)の蓋材に用いて作製された容器等(以下「包装袋等」という。)に、密封収容された状態で冷凍され、さらに冷凍状態で輸送や保管されている。こうした冷凍食品やチルド食品は、通常、電子レンジで加熱又は加熱調理される。しかし、電子レンジで加熱等されると、密封された包装袋等の内圧が、空気の膨張や食品内からの水蒸気の発生によって上昇し、遂には包装袋等の破裂によって内容物が飛散するといった好ましくない事態が起こるおそれがあった。
【0003】
この問題に対して、特開平9−40030号公報には、電子レンジで加熱した際の容器内圧の上昇により、ガス抜き用の貫通細孔が、プラスチック容器のシール面上に塗布された剥離剤に沿って生じる包装容器が開示されている。また、特開平9−272180号公報には、同様の貫通細孔が、耐熱性のある熱可塑性樹脂層とシーラントフィルムとの中間に設けられた剥離剤層に沿ってシール面上に生じる包装容器が開示されている。
【0004】
こうした貫通細孔は、電子レンジで加熱されて起こる内圧の上昇により、ヒートシールされたシール界面が剥がれることによって生じるものである。すなわち、剥離剤層を介してシールされたシール面の剥離剤層部分が剥離したり、熱可塑性樹脂層とシーラントフィルムの中間に設けられた剥離剤層部分が剥離することによって、シール面の強度が弱められ、その結果、剥離した部分に沿ってシール界面が剥がれて貫通細孔が形成されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の剥離剤層は、もともと剥離しやすくするために形成されているものであるため、通常の輸送時や保管時に加わる圧力や衝撃によって剥離するおそれがあった。また、剥離剤を包装袋や容器蓋材の内表面に塗布してシールする場合には、剥離剤が内容物と接触するため、剥離剤の塗布面がシール部分からはみ出すように形成されたものは好ましくなかった。そのため、従来は、輸送時の衝撃等に耐えるように、剥離剤層のパターン形状を工夫したり、剥離剤層がシール部分からはみ出さないように精度よく形成しなければならないといった工程上の複雑な問題があった。
【0006】
さらに、本出願人は、本件出願に先立ち、耐熱性基材層とシーラント層の間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では軟化して強度が低下する樹脂層を設けた包装材料を用い、電子レンジ対応包装袋の作製を試みた。この電子レンジ対応包装袋は、シール部の一部に上記の樹脂層が設けられているので、電子レンジで加熱されて起こる内圧の上昇によって開封し、包装袋内の圧力を自動的に逃がすことが可能であった。しかし、この電子レンジ対応包装袋においては、その際に噴出する蒸気の勢いが強く、シール部の形状やエッジの掛かり具合等によっては、開封時に軽い破裂音が生じたり、開封するまでに時間がかかって包装袋が大きく膨らんで使用者に恐怖感をあたえる等のおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであって、その形成が容易であると共に、通常の輸送時や保管時に加わる圧力や衝撃によっても剥離することがなく、内容物を包装したまま安全且つ安心して電子レンジで加熱することができる電子レンジ対応包装袋およびそれに用いる包装材料を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の電子レンジ対応包装袋は、耐熱性基材層とシーラント層の間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を少なくとも一領域に設けた包装材料を用い、前記シーラント層が包装袋の内側になるように配置され、所定の被シール部をシールして作製された電子レンジ対応包装袋であって、前記樹脂層が、シールされた前記被シール部の少なくとも一部を、前記包装袋の内側から外側に向かって横断するように形成され、当該樹脂層の横断部分が、易開封加工部を有することに特徴を有する。
【0009】
この発明によれば、室温以下の温度環境で所定の強度を有するが、高温の温度環境で常温時の強度が低下する樹脂層が設けられた包装材料を用いて包装袋が作製されるので、食品等の包装袋に用いて電子レンジで加熱した場合に、この樹脂層の強度の低下を契機にして、樹脂層とシーラント層の一部が部分的に破壊されて開封される。その結果、包装袋の内容物を飛散させることなくその内圧を低下させることができる。また、包装袋の内圧を低下させるために有効に作用する樹脂層が、シーラント層と耐熱性樹脂層の間に設けられているので、直接内容物に接触することがない。そのため、樹脂層をパターン形成する場合に、パターン形成の精度を厳しくしなくてもよいので、容易にパターン形成することができる。また、常温以下、すなわち食品等の包装工程時や包装後の冷凍時の環境温度領域において、得られた包装袋のシール強度が十分であるので、輸送や保管中にシール面からの剥離等による包装袋の密封状態の解放が起こることがない。また、シール部には、樹脂層がシール部を横断するように設けられていることが必要であり、その結果、電子レンジで加熱された冷凍食品を包む包装袋のシール部が部分的に破壊されて開封し、その内圧を低下させることができる。さらに、本発明においては、樹脂層が横断する被シール部の一部分(樹脂層の横断部分)が、易開封加工部を有しているので、その部分(易開封加工部)の樹脂層が選択的に破壊して開封し易い。その結果、内圧が高くなる前に開封されるので、噴出する蒸気の勢いを弱めることができ、開封時の破裂音を防ぐことができると共に、包装袋が大きく膨らむのを防止でき、使用者が安心して利用できる。
【0010】
上記の電子レンジ対応包装袋において、前記易開封加工部は、包装袋内方に突出した形状で形成された突出シール部であることに特徴を有する。
【0011】
この発明によれば、包装袋内方に突出した形状で形成された突出シール部に、電子レンジ加熱に基づいて上昇した内圧の応力が集中する。そのため、突出シール部の樹脂層とシーラント層が選択的に破壊して、包装袋を開封することができる。
【0012】
このとき、前記突出シール部には、前記樹脂層が横断する部分の長さを短縮させるための孔または切り欠きが、当該樹脂層を有する側の包装材料に少なくとも設けられていることが好ましい。こうした孔や切り欠きによって、突出シール部で選択的に破壊される樹脂層とシーラント層の長さが短縮されるので、そうした破壊に基づく包装袋の開封が容易且つ速やかに行われる。その結果、開封時の破裂音の防止や包装袋の膨らみ防止により効果がある。
【0013】
上記の電子レンジ対応包装袋において、前記易開封加工部は、前記耐熱性基材層の厚み方向に、切り込み、ハーフカット、ミシン目またはエンボスが形成された部分であることに特徴を有する。
【0014】
この発明によれば、耐熱性基材層の厚み方向に、切り込み、ハーフカット、ミシン目またはエンボスが形成された部分で、シール部の樹脂層とシーラント層が容易且つ選択的に破壊される。その結果、電子レンジの加熱によって包装袋の内圧が高くなる前に、そうした加工部分が破壊され、包装袋が開封される。
【0015】
本発明の電子レンジ対応包装袋においては、前記樹脂層が、60〜90℃の軟化温度を有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、またはポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂を含有する樹脂組成物からなることが好ましい。こうした樹脂組成物を用いることにより、電子レンジで加熱した際に、樹脂層とシーラント層の一部の部分的な破壊を起こり易くさせることができる。
【0016】
また、前記樹脂層を設けた領域のシール強度が、室温以下の温度領域では7(N/15mm)以上となり、80℃以上の高温の温度領域では3(N/15mm)以下となる電子レンジ対応包装袋であることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、樹脂層を設けた領域のシール強度が、室温以下の温度領域では7(N/15mm)以上であるので、室温時又は冷凍時の取扱、輸送、保管等によって、シール部が剥がれて開くことがない。また、80℃以上の高温の温度領域では3(N/15mm)以下であるので、電子レンジで加熱した際に、樹脂層とシーラント層の一部が部分的に破壊する程度の強度まで低下する。その結果、包装袋は、電子レンジで加熱され、内圧がある程度まで上昇して初めて部分的に破壊されることになる。こうしたことは、特にしゅうまい等のように包装袋内又は容器内で発生した水蒸気によって蒸されるような食品に対して使用される場合に特に有効である。
【0018】
このとき、前記シーラント層を、低密度ポリエチレンフィルム、超低密度ポリエチレンフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム、エチレン−メチルアクリレート共重合体フィルム、エチレン−エチルアクリレート共重合体フィルム、エチレン−メチルメタクリレート共重合体フィルムまたはアイオノマーフィルムの何れか一種以上からなる、単層シーラント層または多層シーラント層とすることができる。
【0019】
また、前記耐熱性基材層を、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルムの何れか一種以上によって形成できる。
【0020】
本発明の電子レンジ対応包装材料は、上述した電子レンジ対応包装袋に用いる電子レンジ対応包装材料であって、耐熱性基材層とシーラント層の間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を少なくとも一領域に設けたことに特徴を有する。
【0021】
この発明の包装材料は、シーラント層を包装袋の内側になるように配置し、所定の被シール部をシールして電子レンジ対応包装袋を作製するのに好ましく用いられる。こうした本発明の包装材料は、(i)所定の被シール部をシールする際に、樹脂層が被シール部を横断する部分に、包装袋内方に突出した形状の突出シール部(第一の易開封加工部)を形成した電子レンジ対応包装袋を作製したり、(ii)所定のシール部をシールした後に、樹脂層が被シール部を横断する部分の耐熱性樹脂層に、切り込み、ハーフカット、ミシン目またはエンボスをその厚み方向に形成した部分(第二の易開封加工部)を有する電子レンジ対応包装袋を作製することができる。こうして得られた電子レンジ対応包装袋は、樹脂層に形成された易開封加工部で選択的に開封させることができ、上述の電子レンジ対応包装袋が有する効果を発揮させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0023】
図1は、本発明の電子レンジ対応包装袋に用いられる包装材料1の一例を示す断面図である。包装材料1は、図1に示すように、耐熱性基材層2、印刷層3、樹脂層4、接着層5、シーラント層6の順に積層されている。なお、印刷層3と接着層5は、後述するように、必須の層ではなく、適宜必要に応じて設けられる層である。従って、本発明で用いられる包装材料は、少なくとも耐熱性樹脂層2とシーラント層6の間に樹脂層4を備えた積層体である。
【0024】
本発明の包装材料1は、耐熱性基材層2とシーラント層6の間に室温以下の温度環境では所定の強度を有するが高温の温度環境ではその所定の強度が低下する樹脂層4を、少なくとも一領域に有している。そして、シーラント層6を包装袋の内側になるように配置し、所定の被シール部をシールして電子レンジ対応包装袋を作製するのに用いられる。こうした本発明の包装材料1は、(イ)所定の被シール部をシールする際に、樹脂層4が被シール部を横断する部分に、包装袋内方に突出した形状の突出シール部(第一の易開封加工部)を形成した電子レンジ対応包装袋を作製したり、(ロ)所定のシール部をシールした後に、樹脂層4が被シール部を横断する部分の耐熱性樹脂層2に、切り込み、ハーフカット、ミシン目またはエンボスをその厚み方向に形成した部分(第二の易開封加工部)を有する電子レンジ対応包装袋を作製するのに使用される。
【0025】
耐熱性基材層2は、包装材料1の必須の層であり、この包装材料を用いて本発明の包装袋が作製された際には外側に配置されるように設けられる。耐熱性基材層2としては、一般に電子レンジで加熱又は加熱調理される冷凍食品やチルド食品用の包装材料として使用されているものであれば特に限定されない。例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等のうち、何れかのフィルムを使用することができる。これらの耐熱性樹脂層2は、融点が通常150℃以上であり、厚さは10〜50μmである。
【0026】
印刷層3は、従来公知の印刷方法等によって、内容表示または美感付与等の目的で設けられるものであり、必須の層ではなく、適宜必要に応じて設けられる。通常、この印刷層3は、図1に示すように、耐熱性基材層2の上面側、すなわち包装袋が作製された際に耐熱性基材層2の内側(内容物側)になるように形成されたり、耐熱性樹脂層2の下面側、すなわち包装袋が作製された際に耐熱性基材層2の外側(内容物の反対側)になるように形成されたりする。
【0027】
樹脂層4は、必須の層として、耐熱性樹脂層2とシーラント層6の間に設けられる。この樹脂層4は、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境ではその強度が低下する性質を有するものである。
【0028】
所定の強度を保持する室温以下の温度とは、通常、包装材料1を用いて食品等の内容物を包装する工程時の環境温度や、内容物を密封包装した後の包装袋の冷凍工程時の環境温度や、冷凍食品を輸送、保管する際の環境温度である。従って、樹脂層4は、こうした温度環境では、所定の強度が保持されることとなる。一方、上記の所定の強度が低下する高温の温度環境とは、食品等の内容物を密封包装した包装袋を、電子レンジで加熱又は加熱調理する際に加わる温度であり、こうした高い温度で樹脂層4の強度が低下することとなる。
【0029】
本発明では、このような性質を有する樹脂層4を、包装材料1の所定の位置、すなわち包装袋の作製時にシールされる所定の被シール部の少なくとも一部(一領域)に、包装袋の内側から外側に向かって横断するように設ける。こうした位置に設けられた樹脂層4は、電子レンジで加熱されて高温になることによってその強度が低下する。
【0030】
図2の包装袋21のシール部分22の拡大断面図に示すように、形成された樹脂層4は、電子レンジで加熱等されて包装袋21内の空気の膨張や内容物に含まれる水蒸気によって内圧が上昇したとき、シール部22近傍のシーラント層6の任意の個所23を起点として、強度が低下した樹脂層4が破壊される(符号24は、破壊する仮想線を示す。)。その結果、シール部22のシーラント層6と耐熱性基材層2との間に、包装袋21の内側から外側に向かって樹脂層4の破壊による比較的小さい大きさの空気抜けが生じるので、包装袋21内の水蒸気等が逃げ、その内圧を低下させることができる。本発明では、破壊が部分的に起こるので、比較的小さい大きさの空気抜けが生じ、包装袋21の内圧が一気に低下することがなく、内容物の飛散が起こらない。
【0031】
こうしたことは、容器本体(トレー)の縁にヒートシールされる容器蓋体の場合も同様に適用することもできる。上述の包装材料を用いた容器蓋材をヒートシールした容器は、上記と同様の作用によって部分的な破壊が起こって比較的小さい大きさの空気抜けが生じ、容器の内圧が一気に低下することがなく、内容物の飛散が起こらない。
【0032】
このような性質を有する樹脂層4として、60〜90℃の融点を有する材料、例えば、エチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、またはポリアド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂を含有する樹脂組成物を挙げることができる。融点が60〜90℃の樹脂層を用いることによって、電子レンジで加熱した際に、樹脂層4とシーラント層6の一部の部分的な破壊を起こり易くさせることができる。
【0033】
樹脂層4の形成は、従来公知の樹脂コーティング法を用いることができ、その厚さは、1〜5μmであることが好ましい。樹脂層4の厚さが1μm未満では、電子レンジで加熱した際に、樹脂層4とシーラント層6の破壊が起きにくいという不都合があり、また、樹脂層4の厚さが5μmを越えると、樹脂層4のパターンによっては、得られたフィルム状の包装材料をロール状に巻いたときに、一部に盛り上がりが生じ、その部分の包装材料が伸びてしまうという不都合がある。
【0034】
包装材料1は、後述するシーラント層6を向かい合うように重ね合わせてシールした時に、樹脂層4を設けた領域のシール強度が、室温以下の温度領域では7(N/15mm)以上であり、80℃以上の高温の温度領域では3(N/15mm)以下であることが好ましい。樹脂層4を設けた領域のシール強度が、室温以下の温度領域では7(N/15mm)以上であるので、室温時又は冷凍時の取扱、輸送、保管等によってはシール部が剥がれて開くことがなく、80℃以上の高温の温度領域では3(N/15mm)以下であるので、電子レンジで加熱した際に、樹脂層4とシーラント層6の一部が部分的に破壊する程度の強度まで低下する。このような特性を有する包装材料によって作製された包装袋は、その範囲でシール強度を調整できるので、電子レンジで加熱されて内圧がある程度まで上昇したときに初めて部分的に破壊させるように調整することもできる。こうした点は、特にしゅうまい等のように包装袋内や容器内で発生した水蒸気によって蒸されるような食品に対して使用される場合に特に有効である。
【0035】
シーラント層6は、必須の層として、樹脂層4上に設けられ、包装袋が作製された際には内容物に接触する最内層となる。シーラント層6としては、低密度ポリエチレンフィルム、超低密度ポリエチレンフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム、エチレン−メチルアクリレート共重合体フィルム、エチレン−エチルアクリレート共重合体フィルム、エチレン−メチルメタクリレート共重合体フィルム、アイオノマーフィルムのうち、何れか一種以上のフィルムが使用され、単層シーラント層または多層シーラント層とすることができる。これらのシーラント層6の厚さは、通常20〜60μmである。本発明においては、包装袋が作製される際に、シーラント層6どうしが包装袋の被シール部でシール面を形成するので、従来の包装袋のように、シール強度の弱い剥離剤層によって一部のシール面が形成されることがないので、冷凍時、輸送時、保管時等において、貼り合わされたシール面が破れて内容物の露出が起こることがない。
【0036】
シーラント層6は、高温の温度領域で樹脂層4の強度が低下することにより、密封された包装袋21内で上昇した内圧をシーラント層6自身の強度によって維持しなければならなくなる。そのため、包装袋21の内側のシール部22境界面付近のシーラント層6が、そのすぐ隣に設けられた樹脂層4の強度の低下によって、亀裂が生じやすくなり、遂には、内圧に耐えきれずに任意の個所23を起点として樹脂層4と共に破壊し、空気抜けが生ずることとなる(図2を参照。)。
【0037】
なお、図示されていないが、中間層として、例えば、酸素バリアー層および衝撃吸収樹脂層の何れか一方または両方を設けることもできる。また、これらの層を数層設けることもできる。例えば、酸素バリアー層としては、塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、無機物蒸着フィルムを用いることもできる。衝撃吸収樹脂層としては、ナイロンフィルムが好適に用いられる。ナイロンフィルムは、1軸延伸、2軸延伸または無延伸の何れのものであっても好適に用いることができる。衝撃吸収樹脂層の厚さは特に限定されないが、通常5〜40μm、好ましくは10〜30μmの範囲である。但し、こうした中間層を設ける場合であっても、樹脂層4は、最内層であるシーラント層6上、または接着層5を介してシーラント層6上に設けることが、空気抜けを容易に生じさせる観点から好ましい。
【0038】
包装材料の各層を形成する樹脂には、本発明の目的の達成を阻害しない範囲で、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤のような公知の添加剤を随時添加することができる。各々の層は、ウレタン系接着剤等の接着剤を用いて貼着するともできる。なお、公知のもので衛生的に支障のないものであればそれ以外の接着剤の使用も可能である。
【0039】
以上に説明した包装材料1を、シーラント層6が向かい合うように重ね合わせ、所望の被シール部をヒートシールすることによって、本発明の電子レンジ対応包装袋を製造することができる。また、ピロー包装にも適用することができ、その背シール部に空気抜けを生じさせることができる。さらに、包装材料1を容器蓋体とし、その容器蓋体を、シーラント層6が容器本体側になるように配置して、所定の被シール部をシールすることによって、電子レンジ対応容器を製造することもできる。ヒートシールの方法は、従来公知の方法を使用でき、例えば、加熱バー、加熱ナイフ、加熱ワイヤ、インパルスシールのような外部加熱方式、または超音波シール、誘電加熱シールのような内部加熱方式を使用できる。
【0040】
図3は、包装材料31の原反の所定の領域に樹脂層4がパターンコートされた樹脂層形成領域32を示す平面図であり、図4は、図3に示す電子レンジ対応包装材料31を用いて作製された本発明の電子レンジ包装袋41の一例を示す平面図である。包装袋41は、包装材料31の原反を図4に示すように折り込んだり2枚重ねしたり(図示しない)して、その外周をヒートシールして作製する。上述した樹脂層4は、包装材料31の原反の全面に形成することもできるが、図3に示すように、その一領域32にパターン形成することもできる。樹脂層4をパターン形成する場合には、その形成位置は、シールされた被シール部の少なくとも一領域32を、包装袋の内側から外側に向かって横断するように形成されることが必要となる。その結果、電子レンジで加熱されることによって、シール部のうち、樹脂層形成領域32で樹脂層4とシーラント層6の部分的な破壊が起こって空気抜けが生じ、内容物を飛散させることなく冷凍食品等の内圧を低下させることができる。
【0041】
次に、易開封加工部、および易開封加工部を有する包装袋について説明する。
【0042】
本発明の特徴部分である易開封加工部は、(イ)所定の被シール部をシールする際に、樹脂層4が被シール部を横断する部分に、包装袋内方に突出した形状の突出シール部からなる第一の易開封加工部、乃至、(ロ)所定のシール部をシールした後に、樹脂層4が被シール部を横断する部分の耐熱性樹脂層2に、切り込み、ハーフカット、ミシン目またはエンボスをその厚み方向に形成した第二の易開封加工部であり、この易開封加工部が、電子レンジで加熱された際の包装袋を選択的に開封させる起点となる役割を担っている。なお、ここで言う易開封加工部とは、開封が選択的に起こり易くなるように加工された部分、の意味である。
【0043】
図5は、本発明の電子レンジ対応包装袋に設けられる第一の易開封加工部の形状を示す平面図である。第一の易開封加工部は、図5(a)〜(c)に示すように、包装袋内方に向かって形成された突出シール部51、52、53であり、例えば三角形状(図5(a))、半円等の円弧状(図5(b))、台形状(図5(c))、四角形状等の形状で形成したものである。こうした突出シール部51、52、53は、ヒートシールする際の加熱治具の形状を改良または選択することによって、容易に形成することができる。突出シール部51、52、53には、包装袋が電子レンジで加熱された際に、上昇した内圧の応力が集中することとなり、その結果、突出シール部51、52、53の樹脂層4とシーラント層6が選択的に破壊して、包装袋が開封される。なお、突出シール部の形状を適宜選択することによって、その突出シール部に応力を集中させる程度を適宜設定することができる。例えば、図5(a)(c)のような角部55を有する突出シール部は、図5(b)のような円弧状の突出シール部に比べて、その角部55に内圧の上昇に基づいた応力が集中して選択的な破壊が容易に起こりやすくなる。
【0044】
第一の易開封加工部である突出シール部51、52、53には、図6に示すような孔61または切り欠き62が設けられていることが好ましい。このような孔61または切り欠き62は、樹脂層4が横断する部分の長さLを短縮させるために設けられるものである。その孔61また切り欠き62を設けることによって、電子レンジで加熱された包装袋の突出シール部が選択的に破壊される際に、樹脂層4とシーラント層6の長さLが短縮されるので、図7の(b)(d)に示すように、樹脂層4とシーラント層6の破壊に基づいた包装袋の開封が容易且つ速やかに行われる。その結果、開封時の破裂音の防止や包装袋の膨らみ防止により効果がある。孔61または切り欠き62の形状は特に限定されないが、図6に示すように、突出シール部51、52、53の形状に沿った形状で形成することが好ましく、その突出シール部で破壊され得る長さLが、各部で同程度になるように形成することが好ましい。
【0045】
この孔61または切り欠き62は、図7に示すように、樹脂層4が設けられている側の包装材料には少なくとも設けられている必要があるが、樹脂層4が設けられていない側の包装材料と一緒に形成されていてもよい。なお、樹脂層4が設けられていない側の包装材料と一緒に形成する場合は、ヒートシールによって突出シール部を有する包装袋を作製した後に、穴あけや穴抜き、カットや打ち抜き等によって上述の孔61または切り欠き62を形成できるので、製造上便利である。
【0046】
図8は、本発明の電子レンジ対応包装袋に設けられる第二の易開封加工部の形状を示す平面図であり、図9は、樹脂層が被シール部を横断する部分の耐熱性樹脂層に切り込みが形成された態様と、選択的な破壊に基づく開封後の態様とを示す断面図である。
【0047】
第二の易開封加工部は、図8(a)(b)に示すように、樹脂層4が被シール部を横断する部分81の耐熱性樹脂層2に、切り込み、ハーフカット、ミシン目またはエンボス等(以下、総称する場合には「切り込み等82」という。)を、その厚み方向に形成した部分である。こうした第二の易開封加工部は、通常、所定のシール部をシールした後に、加工されて形成される。切り込み等82は、耐熱性樹脂層2の厚み方向に形成されていれば、その切り込み等82が延びる方向は、シール方向に沿ったX方向であっても、シール方向に直交するY方向であってもよく、特に限定されない。通常は、シール方向に沿ったX方向にその切り込み等82を延ばしている。さらに、図9(b)に示すように、切り込み等82を複数形成することもできる。なお、切り込み等82は、図8(a)(b)に示すように、樹脂層が形成されている部分81のヒートシール部であれば、何れの部位にも設けることが可能である。
【0048】
切り込み等82の種類、切り込み等82が延びる方向、切り込み等82の位置、切り込み等82の数、等々を適宜設定して第二の易開封加工部を形成することにより、電子レンジで加熱した際の包装袋の開封し易さを調整することができる。切り込み等は、従来から知られている方法を採用することができ、例えば、切り込みはカッターやポンチにより、ハーフカットはレーザーやカッターにより、ミシン目はカッターにより、エンボスはエンボスロールにより、それぞれ形成することができる。こうした切り込み等82によって、第二の易開封加工部であるシール部の樹脂層4とシーラント層6が容易且つ選択的に破壊される。
【0049】
なお、以上説明した第一の易開封加工部と第二の易開封加工部を一緒に形成することもできる。すなわち、突出シール部からなる第一の易開封加工部を形成すると共に、その部分に、切り込み等を形成して第二の易開封加工部を形成することもできる。こうした複合的な易開封加工部は、電子レンジで加熱した際の包装袋の開封し易さを適宜調整する際に採用される。
【0050】
以上説明したように、易開封加工部を有する本発明の電子レンジ対応包装袋は、電子レンジの加熱によって包装袋の内圧が高くなる前に、そうした加工部分が破壊され、包装袋が開封されるので、開封時の噴出蒸気の勢いを弱めることができ、開封時の破裂音を防ぐことができる。また、包装袋が大きく膨らむのを防止でき、安心して利用できる。
【0051】
【実施例】
以下に実施例と比較例をあげて本発明を更に説明する。
【0052】
(実施例1)
耐熱性基材層2として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その上に樹脂層4としてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(融点:66.8℃、WT−PC剤:ザ・インクテック株式会社製)を図3に示すようなパターンで、厚さ3μmとなるようにパターンコートした。さらにその上に、シーラント層6として厚さ30μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用い、二液硬化型ポリウレタン接着剤を接着層5として用いて貼り合わせてドライラミネートし、電子レンジ対応包装材料を作製した。得られた包装材料のシール強度は、25℃で23.8(N/15mm)であり、90℃で2.4(N/15mm)であった。
【0053】
この包装材料を用い、高速全自動ピロー包装機を使用してトレー入りしゅうまいを横ピロー包装し(袋サイズ:130mm×240mm)、実施例1の電子レンジ対応パウチを作製した。この際、ヒートシール加工において、図5(a)の形状の突出シール部51を形成できる加熱治具を用いて包装袋内方に突出シール部51を形成した。
【0054】
このパウチを冷凍し、得られた冷凍しゅうまいのパウチをそのまま電子レンジで加熱調理した。電子レンジによって約100℃程度に加温され、蒸気によって内圧が上昇したパウチは、図5(a)に示す突出シール部51の先端の角部55を起点として、その角部55近傍のヒートシール層6に微小な亀裂が生じ、引き続いて樹脂層4が破壊されて空気抜けが生じ、その結果、包装袋内に満たされた蒸気が抜けて内圧を低下させることができた。このとき、破裂音は起こらず、包装袋の著しい膨張も起こらず、中身のシュウマも飛散することがなかった。電子レンジで加熱調理した後のしゅうまいは、樹脂層4の破壊が小さなものであり包装袋内の蒸気を一気に放出させるものではないため、十分に蒸され、食するのにきわめて良好な状態であった。
【0055】
(実施例2)
耐熱性基材層2として厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、その上に樹脂層4としてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(融点:66.8℃、WT−PC剤:ザ・インクテック株式会社製)を図3に示すようなパターンで、厚さ3μmとなるようにパターンコートした。さらにその上に、シーラント層6として低密度ポリエチレン樹脂を用い、厚さ30μmとなるように溶融押出しして積層させ、電子レンジ対応包装材料を作製した。得られた包装材料のシール強度は、23℃で18.6(N/15mm)であり、90℃で1.7(N/15mm)であった。
【0056】
この包装材料を用い、高速全自動ピロー包装機を使用してトレー入りしゅうまいを横ピロー包装し(袋サイズ:130mm×240mm)、実施例2の電子レンジ対応パウチを作製した。この際、ヒートシール加工において、図6(b)の形状の突出シール部52を形成できる加熱治具を用いて包装袋内方に突出シール部51を形成し、さらに、その後、突出シール部52に孔61を打ち抜き加工によって形成した。
【0057】
このパウチを冷凍し、得られた冷凍しゅうまいのパウチをそのまま電子レンジで加熱調理した。電子レンジによって約100℃程度に加温され、蒸気によって内圧が上昇したパウチは、図6(b)に示す突出シール部52を起点として、その近傍のヒートシール層6に微小な亀裂が生じ、引き続いて樹脂層4が破壊されて空気抜けが生じ、その結果、包装袋内に満たされた蒸気が抜けて内圧を低下させることができた。このとき、破裂音は起こらず、包装袋の著しい膨張も起こらず、中身のシュウマも飛散することがなかった。電子レンジで加熱調理した後のしゅうまいは、樹脂層4の破壊が小さなものであり包装袋内の蒸気を一気に放出させるものではないため、十分に蒸され、食するのにきわめて良好な状態であった。
【0058】
(実施例3)
耐熱性基材層2として厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、その上に樹脂層4としてポリアミド、硝化綿及びポリエチレンワックスを含有する樹脂(融点:83.8℃、EOPワニス:ザ・インクテック株式会社製)を図3に示すようなパターンで、厚さ3μmとなるようにパターンコートした。さらにその上に、シーラント層6として低密度ポリエチレン樹脂を用い、厚さ30μmとなるように溶融押出しして積層させ、電子レンジ対応包装材料を作製した。得られた包装材料のシール強度は、23℃で8.6(N/15mm)であり、90℃で1.8(N/15mm)であった。
【0059】
この包装材料を用い、高速全自動ピロー包装機を使用してトレー入りしゅうまいを横ピロー包装し(袋サイズ:130mm×240mm)、実施例2の電子レンジ対応パウチを作製した。この際、ヒートシール加工において、図5(b)に示す半円形状の突出シール部を形成できる加熱治具を用いて包装袋内方に突出シール部を形成し、さらにその後、その突出シール部にレーザー加工でハーフカットを形成した。なお、このハーフカットは、図9に示すように、シール方向に沿ったX方向に形成した。
【0060】
このパウチを冷凍し、得られた冷凍しゅうまいのパウチをそのまま電子レンジで加熱調理した。電子レンジによって約100℃程度に加温され、蒸気によって内圧が上昇したパウチは、図5(b)に示す半円形状の突出シール部を起点として、その近傍のヒートシール層6に微小な亀裂が生じ、引き続いて樹脂層4が破壊されて空気抜けが生じ、その結果、包装袋内に満たされた蒸気が抜けて内圧を低下させることができた。このとき、破裂音は起こらず、包装袋の著しい膨張も起こらず、中身のシュウマも飛散することがなかった。電子レンジで加熱調理した後のしゅうまいは、樹脂層4の破壊が小さなものであり包装袋内の蒸気を一気に放出させるものではないため、十分に蒸され、食するのにきわめて良好な状態であった。
【0061】
(比較例1)
実施例1で作製した包装材料を用い、易開封加工部を形成しない以外は、実施例1と同じ方法で比較例1の電子レンジ対応パウチを作製した。
【0062】
このパウチを冷凍し、得られた冷凍しゅうまいのパウチをそのまま電子レンジで加熱調理した。電子レンジによって約100℃程度に加温され、蒸気によって内圧が上昇したパウチは、図2に示す包装袋内側のヒートシール部近傍に微小な亀裂を起点として樹脂層4が破壊されて空気抜けが生じ、その結果、包装袋内に満たされた蒸気が抜けて内圧を低下させることができた。このとき、中身のシュウマは飛散することがなく、加熱調理後のしゅうまいも良好ではあったが、小さな破裂音が生じた。
【0063】
(比較例2)
実施例2で作製した包装材料を用い、易開封加工部を形成しない以外は、実施例2と同じ方法で比較例2の電子レンジ対応パウチを作製した。
【0064】
このパウチを冷凍し、得られた冷凍しゅうまいのパウチをそのまま電子レンジで加熱調理した。電子レンジによって約100℃程度に加温され、蒸気によって内圧が上昇したパウチは、図2に示す包装袋内側のヒートシール部近傍に微小な亀裂を起点として樹脂層4が破壊されて空気抜けが生じ、その結果、包装袋内に満たされた蒸気が抜けて内圧を低下させることができた。このとき、中身のシュウマは飛散することがなく、加熱調理後のしゅうまいも良好ではあったが、小さな破裂音が生じ、さらに、包装袋がやや大きく膨らんだので、多少の恐怖感があった。
【0065】
(シール強度測定)
実施例1〜3、および比較例1、2で得られた包装材料のシール強度測定は、以下のように測定した。先ず、シーラント層6を相対向するように配置し、所定のシール幅(例えば、10mm)を通常のシール条件で熱圧着(条件:150℃、98kPa、1秒)し、次いで、包装材料を幅15mmの短冊状に2枚切り取って測定試料を作製した。そして、作製された測定試料の圧着シール部を引き剥がすように引張試験(テンシロン万能引張試験器、オリエンテック社製)することによって、シール強度(単位:N/15mm)を測定した。このときの引張速度は、300mm/分とした。また、各温度での引張強度は、恒温容器内に測定試料を取り付けて引張試験を行った。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の電子レンジ対応包装袋によれば、樹脂層が横断する被シール部の一部分(樹脂層の横断部分)が、易開封加工部を有しているので、その部分(易開封加工部)の樹脂層が選択的に破壊して開封し易い。その結果、内圧が高くなる前に開封されるので、噴出する蒸気の勢いを弱めることができ、開封時の破裂音を防ぐことができると共に、包装袋が大きく膨らむのを防止でき、使用者が安心して利用できる。
【0067】
また、第一の易開封加工部である突出シール部に、電子レンジ加熱に基づいて上昇した内圧の応力が集中するので、突出シール部の樹脂層とシーラント層が選択的に破壊して、包装袋を開封することができる。さらに、その突出シール部に、孔や切り欠きを形成することによって、包装袋の開封を容易且つ速やかに行うことができる。
【0068】
また、第二の易開封加工部である切り込み等の形成部によって、その部分を容易且つ選択的に破壊することができるので、電子レンジの加熱によって包装袋の内圧が高くなる前に、そうした加工部分が破壊され、包装袋が開封される。
【0069】
本発明の電子レンジ対応包装材料によれば、(イ)所定の被シール部をシールする際に、樹脂層が被シール部を横断する部分に、包装袋内方に突出した形状の突出シール部(第一の易開封加工部)を形成した電子レンジ対応包装袋を作製したり、(ロ)所定のシール部をシールした後に、樹脂層が被シール部を横断する部分の耐熱性樹脂層に、切り込み、ハーフカット、ミシン目またはエンボスをその厚み方向に形成した部分(第二の易開封加工部)を有する電子レンジ対応包装袋を作製することができる。こうして得られた電子レンジ対応包装袋は、樹脂層に形成された易開封加工部で選択的に開封させることができ、上述の電子レンジ対応包装袋が有する効果を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子レンジ対応包装材料の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の包装材料によって作製された包装袋のシール部分の一例を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の電子レンジ対応包装材料の原反の所定の領域に樹脂層がパターンコートされた状態を示す平面図である。
【図4】図3に示す電子レンジ対応包装材料を用いて作製された本発明の電子レンジ包装袋の一例を示す平面図である。
【図5】本発明の電子レンジ対応包装袋に設けられる第一の易開封加工部の形状の一例を示す平面図である。
【図6】図5の突出シール部に設けられる孔と切り欠きの形状の一例を示す平面図である。
【図7】図6(b)に示す孔の形成態様の一例を示す断面図である。
【図8】本発明の電子レンジ対応包装袋に設けられる第二の易開封加工部の形状を示す平面図である。
【図9】樹脂層が被シール部を横断する部分の耐熱性樹脂層に切り込みが形成された態様と、選択的な破壊に基づく開封後の態様とを示す断面図である。
【記号の説明】
1、31 電子レンジ対応包装材料
2 耐熱性樹脂層
3 印刷層
4 樹脂層
5 接着層
6 シーラント層
21、41 包装袋
22 シール部
23 破壊の起点となる任意の個所
24 破壊する仮想線
32、81 樹脂層形成領域
51、52、53 突出シール部
55 角部
61 孔
62 切り欠き
82 切り込み等
L 突出シール部で破壊され得る長さ
X シール方向に沿った方向
Y シール方向に直交する方向
Claims (6)
- 耐熱性基材層とシーラント層の間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を少なくとも一領域に設けた包装材料を用い、前記シーラント層が包装袋の内側になるように配置され、所定の被シール部をシールして作製された電子レンジ対応包装袋であって、
前記樹脂層が、シールされた前記被シール部の少なくとも一部を、前記包装袋の内側から外側に向かって横断するように形成され、当該樹脂層の横断部分が、包装袋内方に突出した形状で形成された突出シール部からなる第一の易開封加工部と、
前記横断部分の耐熱性基材層の厚み方向に、切り込み、ハーフカット、ミシン目またはエンボスが形成されてなる第二の易開封加工部と、を有し、
前記突出シール部には、前記樹脂層が横断する部分の長さを短縮させるための孔または切り欠きが、当該樹脂層を有する側の包装材料に少なくとも設けられていることを特徴とする電子レンジ対応包装袋。 - 前記樹脂層が、60〜90℃の軟化温度を有するエチレン−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリアミド−硝化綿系樹脂、またはポリアミド−硝化綿−ポリエチレンワックス系樹脂を含有する樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ対応包装袋。
- 前記樹脂層を設けた領域のシール強度が、室温以下の温度領域では7(N/15mm)以上となり、80℃以上の高温の温度領域では3(N/15mm)以下となることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子レンジ対応包装袋。
- 前記シーラント層が、低密度ポリエチレンフィルム、超低密度ポリエチレンフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、中密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−アクリル酸共重合体フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム、エチレン−メチルアクリレート共重合体フィルム、エチレン−エチルアクリレート共重合体フィルム、エチレン−メチルメタクリレート共重合体フィルムまたはアイオノマーフィルムの何れか一種以上からなる、単層シーラント層または多層シーラント層であることに特徴を有する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電子レンジ対応包装袋。
- 前記耐熱性基材層が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ポリプロピレンフィルム、ナイロン6/メタキシレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルム、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルムの何れか一種以上からなることに特徴を有する請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電子レンジ対応包装袋。
- 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の電子レンジ対応包装袋に用いる電子レンジ対応包装材料であって、耐熱性基材層とシーラント層の間に、室温以下の温度環境では所定の強度を有するが、高温の温度環境では前記所定の強度が低下する樹脂層を少なくとも一領域に設けたことを特徴とする電子レンジ対応包装材料。
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