JP4090723B2 - 電子レンジ用包装袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内容物を包装されたまま電子レンジ、特に高出力の電子レンジを用いても、袋の爆発がなく、内圧を自動的に逃がすことのできる電子レンジ用包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
包装袋等に密封包装された食品を食するために、電子レンジを用いて加熱または加熱調理する場合、包装が密封系のままであると加熱によって発生する水蒸気により系内の内圧が上昇し、ついには、包装袋が破裂して内容物が電子レンジ庫内に飛散してしまうことはよく知られている。このような袋等の破裂を防止するために種々の方法が知られている。例えば、電子レンジ加熱前に包装袋の一部を鋏で切ったり、先端の尖ったもので包装袋に孔を空けてから加熱する(特開平10−72070)方法がある。また、弱シール部や切欠部を設ける(特開平9−142541、特開平10−95471)方法等である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、加熱前に袋の一部を鋏で切ったり、孔を設けたりすることは面倒であり、また、それらの作業を失念した場合には袋の破裂となる。また、前記弱シール部や切欠部を設ける方法は包装袋の作製に特殊な装置や工程を必要とし、製造コストの上昇となる。
そこで、本発明者らは、先に、基材層とシーラント層からなる積層体において、基材層とシーラント層との間に低温下では十分な強度を有するが、高温では軟化して強度が低下する樹脂層を設けることにより内容物を包装したまま電子レンジ加熱が出来ると共に、包装袋内の内圧を自動的に逃がすことの出来る電子レンジ対応包装材料及びそれを用いた包装袋に関して提案(特開2000−190192)したが、更なる研究を続けた結果、業務用電子レンジのように出力の高い電子レンジで加熱すると、パウチの形態やシールバーの形状、エッジの掛かり具合等によりパウチが爆発することがあることが判明した。業務用電子レンジのように高出力の電子レンジで加熱すると包材が十分に温まらないうちに内圧が高まることがあり、包材が十分に温まっていないと、温まっている時に比べ、シーラントが切れるのにより高い力がかかり、開封した時の勢いで基材も切れてしまい爆発がおこることがあった。
本発明の目的は、袋に密封された内容物を、高出力の電子レンジを用いてそのまま加熱または加熱調理しても、加熱によって袋内に発生する蒸気による袋の爆発を防止し、自動開封により穏やかな蒸気逃げを可能とする電子レンジ用包装袋を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくとも耐熱性基材層とシーラント層とからなる積層体であって、耐熱性基材層とシーラント層の間に低温下では十分な強度を有するが、高温では軟化して強度が低下する樹脂層を少なくとも一領域に設けた包装材料で、耐熱性基材層の引っ張り破断強度が25N/cm以上、引っ張り破断伸びが100%以上であることを特徴とするを用いて製造した包装袋であって、かつ、前記の包装材料のシーラントが、包装袋の内側になるように配置され、所定のシール部をヒートシールして形成される包装袋であって、樹脂層がシール部の一領域を包装袋の内側から外側に向かって横断して形成されることを特徴とする電子レンジ用包装袋からなる。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載した樹脂層は軟化温度が60℃〜90℃であるエチレン・酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド/硝化綿/ポリエチレンWAX系樹脂で、厚さ1μm〜5μmにパターンコートして設けられることを特徴とするものである。請求項3に記載した発明は、請求項1または請求項2のいずれかに記載の耐熱性基材層が延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ナイロンフィルム、ナイロン6/メタキシレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルムから選択されることを特徴とするものである。請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシーラント層を形成する樹脂が低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン,エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体またはアイオノマーから選択されることを特徴とするものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
少なくとも耐熱性基材層とシーラント層とからなる積層体とし、積層体の製造において、包装袋のシール部3となる領域に、高温軟化樹脂層12(以下、樹脂層)を形成する電子レンジ用包装袋の、前記基材層を破断強度を25N/cm以上、破断伸びが100%以上の材質とすることによって、業務用のような高出力の電子レンジを用いた加熱の際にも袋の爆発のない自動開封の可能な包装袋を供給できる。以下、本発明について、図等を用いてさらに詳細に説明する。
【0006】
図1は、本発明の電子レンジ用包装袋の実施例を示す、(a)平面概念図、(b)X1−X1部断面図、(c)X2−X2部断面図である。図2は、図1の電子レンジ用包装袋の製袋前の巻取と繰り出された積層体の状態を説明する図である。図3は、実施例及び比較例に用いた包装袋の説明図で、(a)包装袋の斜視図、(b)樹脂層形成部の平面概念部分図である。
【0007】
図1(c)は、本発明の電子レンジ用包装袋の積層体10を、樹脂層12を含む部分のシール後の状態を示す断面図として示したものであるが、本発明の電子レンジ用包装袋1は、少なくとも基材層11とシーラント層13とからなる積層体10を用いて形成される包装袋であって、積層体10の製造の際に、基材層11に必要により印刷層15を施した後、包装袋のシール部3となる領域に、高温軟化樹脂層12(以下、樹脂層)を形成し、さらに、その上にシーラント層13を形成することにより得られる積層体10を製袋するものである。
【0008】
前記樹脂層12は、前述のように、耐熱性基材層11とシーラント層13との間に設けられ、該樹脂層12は、低温下では十分な強度を有するが、高温では軟化して強度が低下する組成からなるものである。また、樹脂層パターン2は、図1(a)に示すように、包装袋1のシール部3の一領域を内側から外側に横断する形状とする。
【0009】
本発明の電子レンジ用包装袋を形成する積層体10に用いる耐熱性基材層11は、引っ張り破断強度を25N/cm以上、引っ張り破断伸びが100%以上の材質とすることによって、業務用のような高出力の電子レンジを用いた加熱の際にも袋の爆発のない、また、密封シールされた包装袋が自動開封される際に破裂音のないものとすることができる。前記耐熱性基材層として用いるフィルムの引っ張り破断強度が25N/cm未満、引っ張り破断伸びが100%未満のフィルムを用いた場合、業務用のような高出力電子レンジにより急速な加熱をした場合、包装袋を形成する積層体が十分に温まらない状況において、包装袋の内圧が上昇する。積層体が十分に温まっていないと、温まっている時と比較するとシーラントが切れるためにより高い圧力がかかり、基材が瞬間的に破断して包装袋の爆発となる。
本発明において、耐熱性基材層11に用いるフィルムの引っ張り破断強度が25N/cm以上、引っ張り破断伸びが100%以上のフィルムを用いた場合、爆発、破裂音の発生が防止でき、穏やかな自動開封が可能となる。
【0010】
本発明の電子レンジ用包装袋1を形成する積層体10の耐熱性基材層11としては、前記の条件を満たすフィルムであればよい、例えば、耐熱性基材層11としては、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ナイロンフィルム、ナイロン6/メタキシレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム等のいずれかから選択され、前記条件を満たす種類のフィルム(厚さ、延伸度を含め)ものとする。
【0011】
耐熱性基材層11と樹脂層12との間には従来公知の方法等によって、印刷層15を設けても良い。
【0012】
本発明の電子レンジ用包装袋1を形成する積層体10に設ける樹脂層12は軟化温度が60℃〜90℃であるエチレン・酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド/硝化綿系樹脂またはポリアミド/硝化綿/ポリエチレンWAX系樹脂等を、厚さ1μm〜5μmに、パターンコートして設けることが望ましい。
この時の樹脂層パターン2は、図1(a)に示すように、包装袋にしたとき包装袋内側から包装袋の外側に向けてシール部3を横断して設ける。
樹脂層パターン2の形状は、図1(a)に示すような四辺形に限定されるものではなく、その形状は適宜設計することができる。
【0013】
本発明の電子レンジ用包装袋1においては、積層体10の強度アップ、バリア性を向上させるために、基材層11とシーラント層13との間に中間層を設けてもよい、中間層を設ける場合は、樹脂層12は該中間層とシーラント層13との間に設けることが望ましい。
【0014】
バリア性耐熱性基材層11とシーラント層13との貼り合せは従来公知の方法であるドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押出ラミネート法等を用いることができる。
【0015】
シーラント層13を形成する樹脂は、一般に電子レンジで加熱又は加熱調理される食品用包材として使用されている樹脂を用いることができる。
シーラント層13として用いる樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン,エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体またはアイオノマー等を挙げることができる。
これらの樹脂をシーラント層13として基材層11に押出ラミネート方式により製膜してもよいし、また、シーラント層を、予め、インフレーション方式、Tダイ方式等の製膜法によって製膜したフィルムとして、基材層11とドライラミネーション法や接着樹脂を用いてサンドイッチラミネーション法を用いて積層してもよい。
そして、シーラント層13としての厚みは20〜60μmの範囲であり、より好ましくは30〜40μmである。
【0016】
本発明の電子レンジ用包装袋1は、各種の袋のタイブに適用することが、できる。例えば、図1に示したピロータイプのほか、三方シール、四方シール等の袋形式、または、少なくとも片側のフィルムを真空圧空成形してトレー状として、蓋体を被覆して周縁をヒートシールする深絞りタイプの包装袋にも適用できる。
【0017】
本発明では、食品等を収納して密封シールした本発明の電子レンジ用包装袋を電子レンジを用いて加熱または加熱調理をすると自動開封が可能で、開封前に袋を切る等の手間が必要なく、特に、本発明の電子レンジ用包装袋に食品等を密封シールした状態で電子レンジを用いた加熱または加熱調理にやおいて、業務用の高出力電子レンジを用いても、加熱により発生した蒸気により包装袋が爆発することがなく、樹脂層部を形成したシール部からの穏やかな剥離開封となり、包装袋が大きな音をたてて破裂することがない。
【0018】
【実施例】
本発明の電子レンジ用包装袋について、実施例により具体的に説明する。
<実施例1>
耐熱性基材層として、破断強度32.3N/cm、破断伸び率120%の延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)を用い、その上に白インキ(CLIOS950シロ、ザ・インクテック株式会社)を用い全面に印刷し、その上に樹脂層4としてポリアミド/硝化綿系樹脂を図3(b)に示すようなパターン(a=15mm、b=20mm、厚さ5μm)で設け、その上にシーラント層5として低密度ポリエチレンフィルム(厚さ40μm)を用い、ドライラミネート法にて貼りあわせ積層体を作成した。この積層体を用いて、図3(a)に示すようなピロータイプの包装袋(w=100mm、l=190mm、S1=10mm)を作成し、トレー入り冷凍シュウーマイ2個(50g)を充填した。これを家庭用電子レンジ(出力500W)及び業務用電子レンジ(出力1600W)で加熱し、脱気孔の形成場所、破裂音の有無を評価した。
<比較例1>
耐熱性基材層として、破断強度21.5N/cm、破断伸び率80%の延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm)を用い、その上に白インキ(CLIOS950シロ、ザ・インクテック株式会社)を用い全面に印刷し、その上に樹脂層4としてポリアミド/硝化綿系樹脂を図3(b)に示すような実施例1と同じパターンで設け、その上にシーラント層5として低密度ポリエチレンフィルム(厚さ40μm)を用い、ドライラミネート法にて貼りあわせ積層体を作成した。この積層体を用いて実施例1と同寸法のピロータイプを作成し、実施例と同様に冷凍シューマイを充填し電子レンジにより加熱した。
【0019】
加熱による包装袋の開封の結果は表1に示す通りであった。
【表1】
実施例1の包装袋においては、家庭用、業務用いずれの電子レンジの加熱においても、爆発あるいは破裂音の発生はなかったが、比較例1においては、家庭用電子レンジによる加熱においては、包装袋の爆発もなく、破裂音の発生もなかったが、業務用電子レンジによる加熱においては70%に爆発があり、殆どの包装袋(90%)において破裂音が発生した。
【0020】
【発明の効果】
本発明の、引っ張り破断強度が25N/cm以上、引っ張り破断伸びが100%以上である耐熱性基材層を用いることによって高出力の電子レンジを用いて、食品等を密封包装状態のまま、加熱または加熱調理しても加熱により発生する蒸気による爆発、破裂音等発生のそれがなくなり、従って、加熱の際に電子レンジの庫内において内容物が飛散することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子レンジ用包装袋の実施例を示す、(a)平面概念図、(b)X1−X1部断面図、(c)X2−X2部断面図である。
【図2】図1の電子レンジ用包装袋の製袋前の巻取と繰り出された積層体の状態を説明する図である。
【図3】実施例及び比較例に用いた包装袋の説明図で、(a)包装袋の斜視図、(b)樹脂層形成部の平面概念部分図である。
【符号の説明】
1 電子レンジ用包装袋
2 樹脂層パターン
3 シール部
4 巻取
5 カット線またはカット予定線
10 本発明の電子レンジ用包装袋を形成する積層体
11 基材層
12 樹脂層
13 シーラント層
14 接着層
15 印刷層
S シール巾
f 合掌シール部
r 光電管マーク
Claims (4)
- 少なくとも耐熱性基材層とシーラント層とからなる積層体であって、耐熱性基材層とシーラント層の間に低温下では十分な強度を有するが、高温では軟化して強度が低下する樹脂層を少なくとも一領域に設けた包装材料で、耐熱性基材層の引っ張り破断強度が25N/cm以上、引っ張り破断伸びが100%以上であることを特徴とする包装材料を用いて製造した包装袋であって、
かつ、前記の包装材料のシーラントが、包装袋の内側になるように配置され、所定のシール部をヒートシールして形成される包装袋であって、樹脂層がシール部の一領域を包装袋の内側から外側に向かって横断して形成されることを特徴とする電子レンジ用包装袋。 - 樹脂層は軟化温度が60℃〜90℃であるエチレン・酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド/硝化綿/ポリエチレンWAX系樹脂で、厚さ1μm〜5μmにパターンコートして設けられる請求項1に記載の電子レンジ用包装袋。
- 耐熱性基材層が延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、シリカ蒸着延伸ナイロンフィルム、アルミナ蒸着延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールコート延伸ナイロンフィルム、ナイロン6/メタキシレンジアミンナイロン6共押共延伸フィルムまたはポリプロピレン/エチレンービニルアルコール共重合体共押共延伸フィルムから選択されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子レンジ用包装袋。
- シーラント層を形成する樹脂が低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン,エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体またはアイオノマーから選択されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電子レンジ用包装袋。
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