JP4474557B2 - 塗布型磁気記録媒体の下層用粉末の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,重層構造の塗布型磁気記録媒体における非磁性層を形成するのに用いられる下層用粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
結合剤樹脂(バインダー)に磁性粉を分散含有させた塗膜を支持体上に塗布することによって支持体上に磁性層を形成するいわゆる塗布型磁気記録媒体において,該磁性層と支持体の間に,非磁性粉末を結合剤樹脂中に分散含有させた非磁性層の塗膜(本明細書では下層と呼ぶ)を形成する重層構造の塗布型磁気記録媒体が提案されている。
【0003】
支持体と磁性層との間に,非磁性粉末を分散させた非磁性層(下層)を設ける本来の目的は,磁性層の厚みを薄くして短い記録波長領域での出力を確保し,低ノイズで高出力特性を得ること,また優れた電磁変換特性例えば消去特性やオーバーライト特性を改良することにあり,このためには磁性層自身にもそれなりの特性が要求されるが,下層の非磁性層側の役割としては,表面凹凸の少ない滑らかな薄い磁性層をその上に塗布できること,すなわち,非磁性層自体が表面平滑性に優れること,磁気記録媒体の強度に寄与すること,そして上層の磁性層の磁気特性を充分に引出し得ることが重要となる。
【0004】
このような塗布型磁気記録媒体の下層用粉末として,同一出願人に係る特開平9−255341号公報,特開平10−53421号公報および特開平10−340447号公報において,特定の性質および形状特性をもつオキシ水酸化鉄粉末を用いることを提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記の公報で提案したオキシ水酸化鉄粉は塗布型磁気記録媒体の下層用粉末としてそれぞれの特徴を有し,磁性層の厚みを薄くし且つ磁性層の表面を平滑にすることができるものであるが,その粒径が小さくなると比表面積が一般に大きくなるものであった。微粒子になればなるほど比表面積が大きくなるのは粉体の一般的な性質であるが,前掲公報に記載のオキシ水酸化鉄粉の場合,平均長軸長が0.3μm以下のものでは,BET法で測定した比表面積(以下,BET比表面積と略称することがある)が65m2/gより大きくなり,平均長軸長が0.3μm以下の微粒子であってもBET比表面積65m2/g以下を有するようなオキシ水酸化鉄粉についての具体的開示はない。
【0006】
多重構造の塗布型磁気記録媒体における非磁性層を形成する場合に,下層粉の粒径が大きくなると非磁性層の表面平滑性ひいてはその上の磁性層の表面平滑性が悪くなる。他方,下層粉のBET比表面積が大きくなるとこれをバイダー樹脂に分散させる場合の分散性が悪くなり,円滑な塗料化が困難となる。したがって下層粉としては,粒径はできるだけ小さく,そしてBET比表面積もできるだけ小さいことが望まれる。しかし,前記のように粒径が小さくなればなるほど,BET比表面積も大きくなるのが通常であるから,平均長軸長が0.3μm以下で軸比が2以上の微細な粒子でありながら,BET比表面積が65m2/g以下のオキシ水酸化鉄粉を得ることは一般に困難である。
【0007】
したがって,本発明の目的は,粒径が小さくてもBET比表面積が従来の常識を超えて小さいようなオキシ水酸化鉄からなる下層粉を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために本発明者らは種々の試験研究を重ねた結果,第1鉄塩水溶液に当量以上のアルカリを加えて水酸化第1鉄のコロイド液を作製し,このコロイド液に酸素含有ガスを通気してオキシ水酸化鉄の種晶を析出させ,この種晶が析出した液にさらに第1塩鉄水溶液および当量以上のアルカリを添加し,ついで酸素含有ガスを通気して該種晶を成長させると,粒径が小さくてもBET比表面積が小さいオキシ水酸化鉄粉が得られることを見い出した。
【0009】
この方法によると,平均長軸長が0.25μm以下,軸比が2以上のオキシ水酸化鉄粒子からなり且つBET法で測定した比表面積が65m2/g以下のオキシ水酸化鉄粉が得ることができ,したがって,本発明によれば,平均長軸長が0.25μm以下,軸比が2以上のオキシ水酸化鉄粒子からなり且つBET法で測定した比表面積が65m2/g以下である塗布型磁気記録媒体の下層用粉末を提供する。
【0010】
このオキシ水酸化鉄粉は0.1〜5.0重量%のAlまたはSiを含有することができる。また,このオキシ水酸化鉄粉はカルボン酸で表面処理されていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
針状のオキシ水酸化鉄,例えばα−FeOOHの針状粒子を製造する方法として,第1鉄塩溶液にアルカリを添加して水酸化第1鉄を生成させ,この水酸化第1鉄の懸濁液(コロイド液)に空気等の酸素含有ガスを吹き込んで酸化処理することにより,α−FeOOHの針状粒子を析出させる方法が良く知られている。このような一般的なα−FeOOHの製法において,その条件制御を行うことにより,α−FeOOH粒子の枝分かれ状態や粒子形状を変化させることができ,また粒径も変化させることができる。しかし,この一般的の製法に従う限り,粒径の小さいものを得ようとすると,それに伴ってBET比表面積が大きくなるというのが,常識的なところであった。理論的にも粒径が小さいほどその粉体の単位重量当りの表面積が大きくなるから,α−FeOOHについても同様のことが言い得るのはむしろ当然のことである。
【0012】
ところが,このα−FeOOHの製法を多段階で実施し,いったんα−FeOOHの種晶を析出させ,この種晶の存在下でα−FeOOHを析出させる(種晶を成長させる)と,前記の常識に反して,粒径が小さくなってもBET比表面積が大きくならずに,小さなBET比表面積をもつα−FeOOHの針状微粒子が得られることがわかった。このことは,表面に凹凸や空洞のない微細なα−FeOOHが得られることを示している。
【0013】
より具体的には,第1鉄塩水溶液に当量以上のアルカリを加えてpH7以上の水酸化第1鉄コロイド溶液を作製し,このコロイド溶液に80℃以下の温度で酸素含有ガス(例えば空気)を通気することによりα−FeOOHの種晶を先ず生成させる。すなわち,目的とするα−FeOOHの粒子よりも遙かに小さなα−FeOOHの結晶核を生成させる。このためには,水酸化第1鉄コロイドからα−FeOOHの微小な核がが多数同時に発生し,時間をかけずに終了することが必要であり,この種晶の生成工程では,水酸化第1鉄コロイドの濃度,供給酸素濃度,温度,液pHをそれぞれ次のような範囲に設定するのがよい。
【0014】
種晶の生成工程
水酸化第1鉄コロイドの濃度:0.01〜1 mol/L
酸素供給条件:Fe1mol あたり空気で100〜1000mL/min
反応温度:10℃以上80℃以下
pH:7〜11
【0015】
このようにして得られた種晶が生成した液に,次いで,新たに第1鉄塩水溶液と当量以上のアルカリを加えて酸素含有ガスを通気すると,該種晶が成長して粒径は小さくてもBET比表面積が小さいα−FeOOH結晶が得られる。この挙動は,種晶に水酸化第1鉄が析出し,その種晶に析出した水酸化第1鉄がα−FeOOHになるものと推定される。
【0016】
この種晶の成長工程では,次のように条件設定するのがよい。
種晶の成長工程
第1鉄塩水溶液の添加量:0.01〜1 mol/L
アルカリの添加量:1〜5当量
酸素供給条件:Fe1mol あたり空気で100〜3000mL/min
反応温度:20℃以上80℃以下
pH:10〜14
【0017】
このα−FeOOHの種晶の生成と,その成長の2段階に分けて行う酸化反応において,後段の酸化反応のさいに,水可溶性のAl塩やアルミン酸塩を適量添加するとα−FeOOH粒子内にAlを固溶させることができ,このAlの固溶によってオキシ水酸化鉄粒子の形状安定性・耐熱性・保存安定性を改善することができ,非磁性層の塗膜形成にさいしての塗料粘度の低下を図ることができ,またテープ化のさいの乾燥工程における昇温時にもオキシ水酸化鉄粉体が変質せず安定に存在でき,ひいてはテープの表面平滑性を向上させることができる。オキシ水酸化鉄中に含有させるAl量としては0.1〜5重量%が適切である。0.1重量%未満ではAl含有のによる効果は不充分であり,Alの含有量が5重量%より多いと粉体の比表面積が大きくなる傾向となる。ここで,Alの含有量とは,Alが化合物として含有されている場合にはその化合物の量ではなく,Al元素の含有量を言う。Al添加に使用する化合物としては,Al2(SO4)3, Al(NO3)3, AlCl3などの水可溶塩,更にはNaAlO2(アルミン酸ナトリウム)などの水可溶性アルミン酸などのを使用することができる。
【0018】
なお,前記のようなAl化合物をアルカリ水溶液に溶解させた溶液に対して,前記の後段の酸化反応が終了したオキシ水酸化鉄を分散させ,炭酸ガスや酸を添加することにより,該液中からオキシ水酸化鉄の表面に結晶質または非結晶質なAl23・nH2Oを被着させることにより,オキシ水酸化鉄粒子の結合剤樹脂中への分散性を改善することができる。
【0019】
また,前記のAl化合物に代えて, Si化合物例えばケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム,コロイダルシリカ懸濁液若しくは3号水ガラス等を使用することができ,Al化合物を添加する場合と同様にこれらSi化合物を添加してオキシ水酸化鉄に対して0.1〜5 重量%の範囲でSiを含有させると,オキシ水酸化鉄粒子の表面性をコントロールでき,脂肪酸吸着量を低減できる。なお,Al化合物とSi化合物を併用することにより,オキシ水酸化鉄にAlとSiを複合含有させることもできる。この場合にはAlとSiの合計量が0.1〜5 重量%となるように添加すればよい。
【0020】
さらに,本発明に従って得られたオキシ水酸化鉄粒子の表面にカルボン酸を付着させると,これを樹脂系バインダーに分散させた非磁性層の表面粗度が低くなり,しかも強度を増強させることができ,このため,その上に塗布する薄膜の磁性層の表面粗度が低くなって表面平滑性に優れた磁気テープが得ることができる。使用できるカルボン酸としては,シュウ酸,マロン酸,マレイン酸,フタル酸,コハク酸,リンゴ酸,フマル酸,酒石酸,アジピン酸,グルタミン酸等のジカルボン酸:クエン酸,トリメリト酸等のトリカルボン酸等があり,これらの少なくとも一種のカルボン酸をオキシ水酸化鉄粉末に対して0.1〜10重量%の量で付着させるのがよい。
【0021】
このようにして,本発明によれば,粒子径が小さくなってもBET比表面積が大きくならないオキシ水酸化鉄粉末が製造でき,例えば長軸長が0.25μm以下軸比が2以上で且つBET比表面積が65m2/g以下,さらに好ましくは,長軸長が0.20μm以下軸比が2以上で且つBET比表面積が60m2/g以下のオキシ水酸化鉄が得られる。この結果,テープ化するときの分散性が良好で且つ良好な表面平滑性が得られるようになり,多層構造の塗布型磁気記録媒体の下層用粉末に適したオキシ水酸化鉄粉が得られる。
【0022】
また,このオキシ水酸化鉄は結晶性が良好であり,後記の実施例に示すように粒径が小さいにも拘わらず,結晶粒径が100オングストローム以上,好ましくは,150オングストローム以上を示す。このように長軸長および短軸長が小さくても比較的大きな結晶子を有することがBET比表面積を高くしない一つの要因になっているものと考えられる。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕
4Lのイオン交換水に,Fe0.7 mol相当のFeSO4,1.4 mol相当のNa2CO3を窒素ガス雰囲気で混合し,水酸化第1鉄のコロイド溶液(30℃)を得る。このコロイド溶液を約35℃に維持しながら液中に空気を160mL/minの流量で135分間吹き込み(一次酸化),水酸化第1鉄コロイドのほぼ全量をα−FeOOHの種晶として析出させる。次いで,窒素ガス雰囲気として,この種晶が析出した液に,Fe0.1 mol相当のFeSO4と4 mol相当のNaOHを添加し,次に空気を200mL/minの流量で20分間吹き込んだ(二次酸化)。
【0024】
このようにして得られたオキシ水酸化鉄のスラリーをろ過,水洗,乾燥,調湿してオキシ水酸化鉄粉体71gを得た。得られた粉体からサンプルを採取して,次の項目の測定を行ない,その粉体特性を調べた。その結果を表1に示した。
【0025】
平均長軸長,平均短軸長および平均軸比:174000倍の電子顕微鏡写真にて100個の粒子について計測し,平均を求めた。
結晶粒径(表1ではDx:単位オングストロームで示す):X線回析装置を用いて得られたプロファイルから(110)面に相当するピークの半価幅を求め,これをシェラーの式に代入して算出した。
比表面積(同BET):BET法で測定。
タップ密度(同TAP):JISK5101に準じて測定した。
pH:JISK5101に準じて測定した。
ステアリン酸吸着量(同STA) :試料粉末をステアリン酸2%のMEK溶液に分散させた後,遠心分離機により試料粉末を沈ませ,上澄み液の濃度を求めることにより比表面積当りの吸着量として算出した。
【0026】
また,該オキシ水酸化鉄の粉末と下記材料とで下記組成で塗料化した。
オキシ水酸化鉄粉 100重量部
塩化ビニル樹脂 9重量部
メチルエチルケトン 45重量部
シクロヘキサノン 105重量部
トルエン 60重量部
【0027】
遠心ボールミルで1時間分散させて得た上記組成の塗料を,ポリエチレンテレフタラートからなるベースフィルム上に,アプリケーターを用いて,目標厚みが約3μmとなるように塗布して非磁性の下層を形成した。この下層だけのテープに対して,株式会社小坂研究所製の3次元微細形状測定機(ET−30HK)を用いて,テープ表面のRa(粗度)を測定した。また,該塗料の粘度をE型粘度計(東機産業株式会社製の商品名RE−110H)により測定した。これらの測定値を,表1のテープ評価の欄に記した。
【0028】
〔実施例2〕
一次酸化で種晶を析出させたあとに加えるFeSO4の添加量をFe0.3mol 相当に変更し,二次酸化の空気吹き込み条件を200mL/min×60分間に変更した以外は,実施例1を繰り返し,得られたオキシ水酸化鉄粉を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に併記した。
【0029】
〔実施例3〕
一次酸化前のコロイド溶液を得るためのFeSO4水溶液の量をFe0.3mol に相当に変更し,またNa2CO3を0.6mol に相当に変更し,種晶を析出させたあとに加えるFeSO4添加量をFe0.7mol 相当に変更し,一次酸化の空気吹き込み条件を160mL/min×60分間,二次酸化の空気吹き込み条件を200mL/min×45分間に変更した以外は,実施例1を繰り返し,得られたオキシ水酸化鉄粉を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に併記した。
【0030】
〔実施例4〕
二次酸化のさいに,Al/FeOOHの重量百分比=1重量%に相当するAl2(SO4)3を加えてAlイオンを液中に存在させた以外は実施例1を繰り返し,得られたオキシ水酸化鉄粉を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に併記した。
【0031】
〔実施例5〕
二次酸化のさいに,Si/FeOOHの重量百分比=0.5重量%に相当するケイ酸ナトリウムを加えてSiを液中に存在させた以外は,実施例1を繰り返し,得られたオキシ水酸化鉄粉を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に併記した。
【0032】
〔実施例6〕
二次酸化のさいに,Al/FeOOHの重量百分比=1重量%に相当するAl2(SO4)3と,Si/FeOOHの重量百分比=0.5重量%に相当するケイ酸ナトリウムを加えてAlとSiを液中に存在させた以外は,実施例1を繰り返し,得られたオキシ水酸化鉄粉を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に併記した。
【0033】
〔実施例7〕
実施例1を繰り返して得られたオキシ水酸化鉄のスラリーをろ過,水洗したあと,オキシ水酸化鉄粉に対する重量百分比で1.0重量%に相当するフタル酸を添加混合し,このフタル酸処理したオキシ水酸化鉄粉を用いて実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なった。試験結果を表1に示した。
【0034】
〔実施例8〕
実施例1を繰り返して得られたオキシ水酸化鉄のスラリーをろ過,水洗したあと,オキシ水酸化鉄粉に対する重量百分比で1.0重量%に相当するクエン酸を添加混合し,このクエン酸処理したオキシ水酸化鉄粉を用いて実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なった。試験結果を表1に示した。
【0035】
〔実施例9〕
実施例1を繰り返して得られたオキシ水酸化鉄のスラリーをろ過,水洗したあと,オキシ水酸化鉄粉に対する重量百分比で1.0重量%に相当するトリメリト酸を添加混合し,このトリメリト酸処理したオキシ水酸化鉄粉を用いて実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なった。試験結果を表1に示した。
【0036】
〔実施例10〕
実施例6を繰り返して得られたAl・Si含有オキシ水酸化鉄のスラリーをろ過,水洗したあと,オキシ水酸化鉄粉に対する重量百分比で1.0重量%に相当するフタル酸を添加混合し,このフタル酸処理したAl・Si含有オキシ水酸化鉄粉を用いて実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なった。試験結果を表1に示した。
【0037】
〔比較例1〕
第1鉄塩水溶液に当量以上の水酸化アルカリを加えて得られる水酸化第1鉄コロイドを含む水溶液をpH11以上にて80℃の温度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行なわせ,表1に示すように,長軸長=0.11μm,短軸長=0.03μm,BET比表面積=90m2/g,結晶粒径=90オングストローム,Al含有量=2.0重量%のオキシ水酸化鉄を得た。このオキシ水酸化鉄を用いて実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なったところ,当該樹脂を用いたものでは塗料化が困難であり,テープ化ができなかった。
【0038】
〔比較例2〕
長軸長=0.15μm,短軸長=0.02μmである以外は比較例1と同様にしてオキシ水酸化鉄を得て,実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なったところ,当該樹脂を用いたものでは塗料化が困難であり,テープ化ができなかった。
【0039】
〔比較例3〕
長軸長=0.30μm,短軸長=0.04μm,BET比表面積=60m2/g,Al含有量=3.0重量%である以外は比較例1と同様にしてオキシ水酸化鉄を得て,実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なったところ,塗料の粘度=100mPas,表面粗度=300オングストロームであった。
【0040】
〔参考例1〕
表1に記載した長軸長,短軸長,BET比表面積をもつ針状酸化鉄(Fe23)を用いて実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なったところ,塗料の粘度=220mPas,表面粗度=230オングストロームであった。
【0041】
〔参考例2〕
表1に記載した粒径の球状酸化チタンを用いて実施例1と同様にしてテープ評価試験を行なったところ,塗料の粘度=220mPas,表面粗度=220オングストロームであった。
【0042】
【表1】
Figure 0004474557
【0043】
表1の結果に見られるように,実施例のオキシ水酸化鉄は,いずれも長軸長が0.15μm以下でありながら,BET比表面積は55m2/g以下である。また結晶子が150オングストローム以上であり,タップ密度が0.76g/cm3以上である。その結果,前記した試験条件でのテープ評価では表面粗度が殆んどのものが140〜180オングストロームであり,塗料粘度も低いものが得られている。これに対して,比較例1〜2では長軸長が0.15μm以下ではBET比表面積90m2/gに達し,このテープ評価試験では分散性が悪くてテープ化ができなかった。また比較例3のものはBET比表面積55m2/gであるが,長軸長が0.30μmと大きく表面粗度が粗いものとなった。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると粒径が小さくてもBET比表面積が小さいオキシ水酸化鉄が得られるので,これを,重層構造の塗布型磁気記録媒体の下層用粉末として用いると,表面平滑性と強度に優れた非磁性層を構成することができ,その結果,高密度記録に適した重層構造の磁気記録媒体を得ることができる。

Claims (1)

  1. 第1鉄塩水溶液に当量以上のアルカリを加えて水酸化第1鉄のコロイド液を作製し、このコロイド液に酸素含有ガスを通気してオキシ水酸化鉄の種晶を析出させ、この種晶が析出した液にさらに第1鉄塩水溶液および当量以上のアルカリを添加し、ついで酸素含有ガスを通気して該種晶を成長させることからなる塗布型磁気記録媒体の下層用オキシ水酸化鉄粉末の製造法。
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