JP4887831B2 - オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高密度高容量磁気記録テープ用の針状磁性粒子の前駆体として好適に用いられるオキシ水酸化鉄粒子に関し、特に粒度分布の幅の狭いオキシ水酸化鉄粒子の製造方法に関する。
年々要求が高まる高密度磁気記録テープは、記録密度が高くなるにつれ、1bitあたりの記録容積が小さくなり、それに伴って記録波長が短くなるため、微細な針状磁性粒子が必要となる。
一般に針状磁性粒子を製造するには、はじめに、鉄原料水溶液と中和剤を混合攪拌し、酸化性ガスを吹込むことによる湿式合成法により針状磁性粒子の前駆体となるオキシ水酸化鉄粒子を作製する。次いで、このオキシ水酸化鉄粒子を還元処理してFeを構成元素とする針状磁性粒子を作製する。還元処理の前に、加熱下において脱水処理することによりFe(ヘマタイト)を生成することもある。
オキシ水酸化鉄粒子を作製する際に、一定温度で酸化を進行させた場合には得られるオキシ水酸化鉄粒子は粒度分布に相当の幅がある。この様な粒度分布幅の大きいオキシ水酸化鉄粒子を還元して針状磁性粒子にすると、形状異方性の異なったオキシ水酸化鉄粒子の混合物となり、Hc(保磁力)分布が広くなり、磁気記録テープとした際にはSFD(反転磁界分布)が悪いものとなる。また、得られる針状磁性粒子の粒径の再現性も悪い。
オキシ水酸化鉄粒子の粒度分布幅を狭くするために、特許文献1は、中和後に行われる酸化処理を、その後半で温度を連続的に上げていく方法を提案している。特許文献1では、オキシ水酸化鉄粒子の粒度分布幅が広くなる理由を以下のように説明している。すなわち、中和後、酸化によりオキシ水酸化鉄を製造する方法では、酸化反応途上で結晶核が常に生成している。酸化反応初期に生成した結晶核は粒子の成長時間が長く、また、酸化後期に生成した結晶核は粒子の成長時間が短い。従来の一定温度で酸化を行う方法では、生成した結晶核が一定速度で成長してしまう。その為、酸化の初期に生成した結晶核は成長時間が長く大きな粒子に成長するが、酸化後半に生成した結晶核は成長時間が短く微細な粒子に止まる。その結果、最終的に得られるオキシ水酸化鉄粒子は大きな粒子と微細な粒子が混在し粒度分布の広い不揃いのオキシ水酸化鉄となる。
これに対して特許文献1では、酸化後半で連続的な昇温を行うことにより、生成した結晶核の成長速度に変化を与えることを趣旨としている。酸化初期に生成した結晶核は低温で粒子成長する為に成長速度が遅くなり、酸化後半で生成した結晶核は高温で粒子成長する為成長速度が速くなる。酸化初期に生成した結晶核は成長時間が長いものの成長速度が遅く、酸化後半で生成した結晶核は成長時間が短いものの成長速度が速い為に、両者の最終的な粒子サイズは同一となり粒度分布幅の狭いオキシ水酸化鉄ができると特許文献1は述べている。
特開平5−170451号公報
特許文献1が提案する方法により、粒度分布幅の狭いオキシ水酸化鉄粒子が得られる。しかるに、針状磁性粒子の微細化が進む中では、特許文献1の方法ではさらに粒度分布幅を狭くする必要がでてきている。特許文献1は専ら長軸長が0.1〜0.2μm程度の針状磁性粒子を対象としているが、例えば長軸長が100nm(0.1μm)以下の針状磁性粒子の場合には粒度分布幅が広くなってしまう。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、長軸長が100nm以下の針状磁性粒子であっても粒度分布幅の狭いオキシ水酸化鉄粒子が得られる製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、特許文献1で提案されている連続的な昇温の有効性をさらに向上するものである。すなわち、本発明者等は、酸化処理時の温度を段階的に昇温させることを検討した。例えば、酸化処理の温度を低温と高温の2段階とし、低温において結晶核を生成させ、高温で生成した結晶核を成長させるというものである。なおここでの低温、高温とは相対的な関係に過ぎない。より具体的に説明するならば、低温における酸化処理は、結晶核は生成するが、その成長を期待しない処理である。そして、低温における酸化処理から高温における処理への移行を段階的なものとする。そうすると、その間における結晶核の生成は起こらないため、降温における酸化処理は、低温において生成した結晶核の成長が主となる。したがって、得られるオキシ水酸化鉄粒子の粒度分布幅は狭く揃ったものとなる。
以上に基づいて酸化処理を段階的な昇温させて行ったところ、粒度分布幅の狭いオキシ水酸化鉄粒子を得ることができた。本発明は以上の検討結果に基づくものであり、鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化鉄を生成させる中和反応工程と、水酸化鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を生成させる酸化処理工程と、を備え、酸化処理工程は、20℃以下の温度で酸化処理を行う第1の酸化処理と、第1の酸化処理の後に、第1の酸化処理が行われた温度よりも5℃以上高くかつ30℃以下の温度で酸化処理を行う第2の酸化処理と、を含むことを特徴とするオキシ水酸化鉄粒子の製造方法である。
工業的な生産を考慮すると、第1の酸化処理から第2の酸化処理への昇温を瞬時に行うことは容易ではない。そこで本発明では、第1の酸化処理が行われる温度から第2の酸化処理が行われる温度への昇温を、酸化処理を停止しつつ行うことを提案する。このようにすることにより、昇温の期間中には酸化が行われないので、第1の酸化処理により生成した結晶核( 又は結晶)の成長が停止する。
また本発明において、第1の酸化処理は1〜15℃の温度で行うことが好ましく、また第2の酸化処理は、第1の酸化処理が行われた温度域よりも10℃以上高くかつ30℃以下の温度で行うことがオキシ水酸化鉄粒子の粒度分布の幅を狭くする上で好ましい。
本発明において、第1の酸化処理は専ら結晶核の生成が主目的であり、その成長を期待しないものであるため、処理時間は、第1の酸化処理及び第2の酸化処理の処理時間の合計の1/2以下であることが好ましい。
本発明によれば、第2の酸化処理を経て得られるオキシ水酸化鉄粒子の長軸長が100nm以下と微細であっても、その比表面積(BET値)の最小値又は最大値が、その比表面積(BET)の平均値から±10%とすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、長軸長が100nm以下の針状磁性粒子にも十分に対応できる粒度分布幅の狭いオキシ水酸化鉄粒子を提供できる。より具体的には、長軸長が100nm以下と微細であっても、その比表面積(BET値)の最小値又は最大値が、その比表面積(BET)の平均値から±10%以内とすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化鉄を生成させる中和反応工程と、生成された水酸化鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を得る酸化処理工程と、を有している。これらの各工程について、順次詳細に説明する。
(1)鉄原料水溶液
原料として硫酸第1鉄(FeSO)、塩化第1鉄(FeCl)などの2価鉄を有する第1鉄塩を水に溶かして鉄原料水溶液を用意する。
鉄原料水溶液中の第1鉄の濃度は、0.01〜1.0(mol/l)、好ましくは、0.05〜0.5(mol/l)とされる。
本発明において使用される鉄原料水溶液の鉄濃度が濃くなると生成されるオキシ水酸化鉄粒子の粒度が大きくなり、1.0(mol/l)を超えると、長軸長が100nm以下の微細な粒子が得られにくくなる。しかも、枝分かれした樹枝状の粒子が多くなり針状磁性粒子が得られにくくなってしまうという傾向が生じる。この一方で鉄濃度が0.01(mol/l)未満となると、生成する針状磁性粒子の数が極端に減少して生産性に寄与しないばかりか、針状形状にも乱れが生じ、不定形粒子が混在しやすくなる傾向が現れる。
また、この第1鉄塩の水溶液において、鉄に加えてSiOを水溶液中に含有させておくのも好ましい態様である。添加に際しては、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸ソーダ等を用いればよい。その添加量は、後述するメタル磁性粒子の前駆体となるゲーサイト中におけるSiO含有量が0.01〜0.50wt%となるように添加するのがよい。さらに、最終的に還元されたメタル磁性粒子中のSiO含有量で表示すれば0.05〜0.80wt%となるように添加するのがよい。
(2)アルカリ水溶液
本発明では、上記鉄原料水溶液との中和反応用のアルカリ水溶液が用意される。アルカリ水溶液を作製するには、水酸化ナトリウム(NaOH)が好適に用いられるが、水酸化アンモニウム(NHOH)、炭酸アンモニウム(NHCO、炭酸水素アンモニウム(NH)HCO、炭酸ナトリウム(NaCO)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(KCO)等を用いてもよい。
炭酸水素ナトリウム(NaHCO)等の炭酸塩は、枝分かれの少ない針状磁性粒子を得る上で好ましい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、中和において、鉄とアルカリの等量に対して過剰のアルカリを投入することが好ましく、等量付近では粒状のマグネタイトが生成しやすく、等量より少ないアルカリ量では投入したFe量より少ない収量となる上、廃液にFeイオンが残留することから、その廃液処理が必要となるため好ましくない。
(3)中和反応(水酸化鉄生成)工程
上記の要領で用意された鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化鉄(水酸化第一鉄、Fe(OH))を生成させる工程である。中和反応の処理温度は、次の酸化処理に速やかに移行するために、酸化処理が行われる温度で行うことが好ましい。本発明では、後述するように、酸化処理工程を、第1の酸化処理と、第1の酸化処理よりも高温域で行われる第2の酸化処理とを含んでおり、中和反応は第1の酸化処理が行われる温度と同等とするのが好ましい。第1の酸化処理は20℃以下で行うことが好ましいため、中和反応も20℃以下で行うことが好ましい。中和反応の時間は、中和物である水酸化鉄粒子の不必要な成長及び凝集を防止するために60分以下、好ましくは30分以下とする。
(4)酸化処理工程(オキシ水酸化鉄粒子生成工程)
上記の要領で生成された水酸化鉄は、すぐさま液中で酸化処理することによりオキシ水酸化鉄(ゲーサイト)粒子を生成する。酸化処理は、液中に酸化性ガスとして酸素又は酸素を含む気体を吹込むことにより行なわれる。一般には、酸化性ガスとして空気が用いられるが、酸化速度を調整するために酸素と窒素等の不活性ガスとの混合ガスを用いることもできる。
本発明はこの酸化処理として、第1の酸化処理と第1の酸化処理よりも高温域で行なわれる第2の酸化処理とを含んでいる。図1を参照しつつ第1の酸化処理及び第2の酸化処理について説明する。図1は横軸が処理時間を、また縦軸が処理温度を示している。
図1に示すように、中和反応が終了すると第1の酸化処理が行われる。この第1の酸化処理は、結晶核の生成を主たる目的としている。生成した結晶核が成長することも勿論あるが、成長は最低限に抑えることが望まれる。粒度分布幅を狭くするためである。
第1の酸化処理は20℃以下の温度で行われる。酸化処理時の温度が高くなると生成した結晶核の成長が速くなり粒度分布を狭くするのに障害となるとともに、第2の酸化処理が行われる温度との温度差を設け易くするためである。より好ましい第1の酸化処理が行われる温度は1〜15℃、さらに好ましい第1の酸化処理が行われる温度は5〜15℃である。
また、第1の酸化処理をあまり長時間行うと、結晶核が不必要に成長してしまうとともに新たな結晶核が生成することにより、粒度分布幅が広くなる要因となる。したがって、本発明では、第1の酸化処理は酸化処理全体の時間の1/2以下の時間とすることが好ましく、より好ましくは酸化処理全体の時間の1/3以下の時間とし、さらに好ましくは酸化処理全体の時間の1/10〜1/4の時間とする。
第1の酸化処理が終了した後に、第2の酸化処理に移行する。ここで、第1の酸化処理が行われた反応溶液を工業的生産規模において瞬時に第2の酸化処理の温度に昇温することは、極めて困難である。そこで本実施の形態では酸化処理を中断し、図1に示すように、その間に昇温する非酸化昇温処理を行う。この処理のためには、第1の酸化処理で行っていた酸化性ガスの吹込みを停止するとともに、酸化性ガスを反応溶液から排除するために、窒素、Ar、その他の非酸化性ガスを反応溶液に吹込む。反応溶液中の酸化性ガスは吹込まれた非酸化性ガスに置換されることにより、反応溶液の酸化は停止される。酸化が停止されている期間に反応溶液を昇温する。昇温は、第2の酸化処理が行われる温度まで行われ、昇温が完了したならば、非酸化性ガスの吹込みを終了する。この非酸化昇温処理に要する時間は可能な限り短い方が好ましいことは言うまでもないが、昇温のための装置の能力、反応溶液の量等に依存するところがある。
非酸化昇温処理が終了後、昇温された温度を維持しつつ、酸化性ガスを吹込むことにより、第2の酸化処理を行う。第2の酸化処理は、第1の酸化処理で生成した結晶核を成長させることを主たる目的とする。非酸化昇温処理を介在させることにより、酸化処理だけを捉えると、第1の酸化処理で処理された反応溶液は、図2に示すように、第1の酸化処理よりも高い温度に瞬時に曝されることになる。したがって、第1の酸化処理の温度から第2の酸化処理の温度までの昇温の過程で、結晶核は成長が停止されるか、成長したとしても僅かである。したがって、第2の酸化処理に供される結晶核又は結晶は、その粒度分布幅が狭く揃ったものとなり、第2の酸化処理が施された後に得られるオキシ水酸化鉄粒子の粒度分布幅も狭く揃ったものとなる。
第2の酸化処理は、第1の酸化処理が行われた温度よりも5℃以上高い温度域で行われる。この温度差が5℃未満では、粒度分布幅を狭くする効果が十分でない。この温度差は、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。また、第2の酸化処理は、第1酸化処理との温度差が5℃以上あることを前提に、30℃以下で行われる。50℃を超えると粒成長速度が速くなって、長軸長を100nm以下に制御するのが容易でなくなる。第2の酸化処理の温度は30℃以下である。
図3は、第1の酸化処理、非酸化昇温処理及び第2の酸化処理を通じてのオキシ水酸化鉄粒子の成長過程を模式的に示している。まず、第1の酸化処理により結晶核Cが生成される。この結晶核Cは、第1の酸化処理が低温であることから成長が抑制され、結果として粒度分布幅が狭い。非酸化昇温処理では粒度分布幅の狭い状態を維持しつつ所定の温度まで昇温させる。第2の酸化処理では、第1の酸化処理よりも5℃以上高温で酸化処理するから、結晶核(又は結晶)Cの成長が加速される。しかるに、成長の対象である結晶核の粒度分布幅が狭いので、得られるオキシ水酸化鉄粒子Pの粒度分布の幅も狭いことになると推測される。
以上のような一連の工程によって、いわゆるメタル磁性粒子の前駆体であるオキシ水酸化鉄粒子(ゲーサイト)が形成される。形成されるオキシ水酸化鉄粒子は、長軸長100nm以下(特に、20〜70nm)であって、しかも針状磁性粒子が微細であっても粒度分布の幅が狭い。
(5)還元処理工程
上述の要領で作製されたオキシ水酸化鉄粒子を作製することができるがメタル磁性粒子とするためには以下の還元処理工程を行う。
この還元処理工程は、水素ガス等の還元ガス気流中、300〜600℃、0.25〜72時間での還元処理が行なわれる(メタル磁性粒子の作製)。さらに、NH等のガス中での窒化処理を施して、窒化鉄磁性粒子としてもよい。その後、微量の酸素を含むガス等によりメタル磁性粒子もしくは窒化鉄磁性粒子表面に薄い酸化膜を形成する。
このようにして得られたメタル磁性粒子は、その磁気特性として、飽和磁化量80〜140Am/kg、保磁力79.6〜254.7kA/mの物性を備えている。しかも、本発明において最終的に得られる磁性粒子は、長軸長100nm以下の針状磁性粒子であって、しかも針状磁性粒子が微細であっても粒度分布の幅が狭い。
なお、本発明においては、オキシ水酸化鉄粒子に希土類元素、Co、Ni、Al、Zr、Si、Ca、Sr、Mgなどの各種の元素を含有させるように公知の種々の処理法を施すようにしてもよい。
また、図1及び図2では、第1の酸化処理及び第2の酸化処理の温度を一定として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図4に示すように第2の酸化処理を行う温度を、上記条件を備えることを前提に連続的に昇温する、または図5に示すように第1の酸化処理を行う温度を、上記条件を備えることを前提に連続的に昇温することができる。勿論、第1の酸化処理を行う温度及び第2の酸化処理を行う温度の両者を連続的に昇温することもできる。さらに、図示はしないが、第1の酸化処理を行う温度及び/又は第2の酸化処理を行う温度の両者を断続的に昇温することもできる。さらにまた、図示はしないが、第1の酸化処理を行う温度及び/又は第2の酸化処理を行う温度の両者を連続的に又は断続的に降温することもできる。
鉄原料として2価の硫酸鉄(FeSO)を用い、1mol/lの水溶液を作製した。また、中和剤として炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を用い、1mol/l程度の水溶液を作製した。中和剤は鉄原料に対して2倍当量となる量を準備した。
反応溶液全体(硫酸鉄水溶液+炭酸水素ナトリウム水溶液+イオン交換水)で鉄濃度が0.1mol/lとなる量のイオン交換水に炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、さらに硫酸鉄水溶液を炭酸水素ナトリウムが添加されたアルカリ性溶液に添加して中和を行った。中和は反応溶液が10℃となるような温度をコントロールした。中和後に充分に混合撹拌を行った後に反応溶液に酸化性ガスとして空気を吹込んで第1の酸化処理を行った。第1の酸化処理は10℃を20分間維持した。20分経過後に空気の吹込みを停止するとともに、窒素ガスを吹込んだ。窒素ガスの吹込みと同時に反応溶液の昇温を開始した。表1に示すように、反応溶液が各々50℃、40℃、30℃及び15℃に達するまで窒素ガスの吹込みを行う非酸化昇温処理を行った。各々50℃、40℃、30℃及び15℃に達したら窒素ガスの吹込みを停止するとともに、反応溶液に再び酸化性ガスとして空気を吹込む第2の酸化処理を開始した。第2の酸化処理を各温度で60分保持した後に、反応生成物を濾過水洗後乾燥し、針状のオキシ水酸化鉄微粒子を得た。
得られた微細針状磁性粒子の比表面積(BET値)を測定した。その結果を表1に示す。なお、得られた針状のオキシ水酸化鉄粒子の長軸長が表1に示すように100nm以下と微細であるため、一般的に使用されている粒度分布計を用いても正確に粒度分布を測定することができない。そこで、本実施例では、各条件で5回のオキシ水酸化鉄粒子の製造を行い、比表面積(BET値)を測定し、その最大値、最小値及び平均値を求め、さらに平均値に対する最大値又は最小値のばらつき(%)の範囲を求め、それを粒度分布の判断指標とした。また、長軸長はTEM(透過型電子顕微鏡)により100個の粒子の長軸長を測定し、その平均値とした。
比較として、以下の酸化処理を行い、上記と同様に比表面積(BET値)を測定した。その結果を表1に示す。
中和後に反応溶液を40℃に昇温した後に酸化剤として空気を吹込み、その状態を80分維持する等温酸化処理
中和後に反応溶液を30℃に昇温した後に酸化剤として空気を吹込み、その状態を80分維持する等温酸化処理
中和後(10℃)に、酸化剤として空気を吹込むとともに、反応溶液を80分かけて40℃まで連続的に昇温
中和後(10℃)に、酸化剤として空気を吹込むとともに、反応溶液を80分かけて30℃まで連続的に昇温
中和後(10℃)に、酸化剤として空気を吹込むとともに、反応溶液を80分かけて15℃まで連続的に昇温
Figure 0004887831
表1に示すように、等温酸化処理及び連続昇温の酸化処理に比べて第1の酸化処理及び第1の酸化処理よりも高温の第2の酸化処理を行うことにより、粒度分布幅を狭くすることができる。
第1の酸化処理と第2の酸化処理の温度差が大きいほど、粒度分布幅を狭くできることがわかる。一方で、第1の酸化処理と第2の酸化処理の温度差が小さくなるほど比表面積(BET値)が大きくなり、粒子が微細化する。
図6に表1のNo.1で得られたオキシ水酸化鉄粒子のTEM(透過型電子顕微鏡)像を、図7に表1のNo.5で得られたオキシ水酸化鉄粒子のTEM像を示している。図6及び図7から明らかなように、No.5で得られたオキシ水酸化鉄粒子は粒度の大きい粒子及び小さい粒子が混在し、粒度分布の幅が広いことが容易に理解できる。これに対してNo.1で得られたオキシ水酸化鉄粒子は、粒度が揃っており、粒度分布の幅が狭いことが理解できる。
第1酸化処理及び第2酸化処理の条件を表2に示すものとした以外は、実施例1と同様にしてオキシ水酸化鉄粒子を作製し、やはり実施例1と同様に長軸長及び比表面積(BET値)を測定した。その結果を表2に示す。
表2より、第1の酸化処理時間が、酸化処理の合計時間に占める割合が多くなるにつれて粒度分布幅が広くなることがわかる。特に、第1の酸化処理時間が、酸化処理の合計時間の1/2を超えると粒度分布の幅が広くなる度合いが顕著となる。
一方で、第1の酸化処理時間が短すぎると、結晶核の生成が十分でないこと、また、第2の酸化処理時間が長すぎることになって長軸長が大きくなる。
Figure 0004887831
第1酸化処理及び第2酸化処理の条件を表3に示すものとした以外は、実施例1と同様にしてオキシ水酸化鉄粒子を作製し、やはり実施例1と同様に比表面積(BET)を測定した。その結果を表3に示す。
表3より、第1の酸化処理の温度が高くなるにつれて粒度分布の幅が広くなることがわかる。特に、第1の酸化処理温度が20℃を超えると粒度分布の幅が広くなる度合いが顕著となる。
一方で、第1の酸化処理の温度が低くなりすぎると結晶核の生成が不十分となり、粒度分布の幅が広くなる。
Figure 0004887831
本発明による酸化処理の一例を説明するための図である。 本発明による酸化処理の一例を説明するための図であり、第1の酸化処理及び第2の酸化処理のみを考慮した図である。 本発明による酸化処理の作用を説明するための図である。 本発明による酸化処理の他の例を説明するための図である。 本発明による酸化処理の他の例を説明するための図である。 実施例1のNo.1で得られたオキシ水酸化鉄粒子のTEM像である。 実施例1のNo.5で得られたオキシ水酸化鉄粒子のTEM像である。

Claims (6)

  1. 鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化鉄を生成させる中和反応工程と、
    前記水酸化鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を生成させる酸化処理工程と、を備え、
    前記酸化処理工程は、
    20℃以下の温度で前記酸化処理を行う第1の酸化処理と、
    前記第1の酸化処理の後に、前記第1の酸化処理が行われた温度よりも5℃以上高くかつ30℃以下の温度で前記酸化処理を行う第2の酸化処理と、を含むことを特徴とするオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
  2. 前記第1の酸化処理が行われる温度から前記第2の酸化処理が行われる温度への昇温を、前記酸化処理を停止しつつ行うことを特徴とする請求項1に記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
  3. 前記第1の酸化処理が1〜15℃の温度で行い、
    前記第2の酸化処理が、前記第1の酸化処理が行われた温度域よりも10℃以上高くかつ30℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
  4. 前記第1の酸化処理の処理時間は、前記第1の酸化処理及び前記第2の酸化処理の処理時間の合計の1/2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
  5. 前記第2の酸化処理を経て得られる前記オキシ水酸化鉄粒子の長軸長が100nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
  6. 前記第2の酸化処理を経て得られる前記オキシ水酸化鉄粒子は、その比表面積(BET値)の最小値又は最大値が、その比表面積(BET)の平均値から±10%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
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