JP2007254267A - オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 - Google Patents
オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2007254267A JP2007254267A JP2006318021A JP2006318021A JP2007254267A JP 2007254267 A JP2007254267 A JP 2007254267A JP 2006318021 A JP2006318021 A JP 2006318021A JP 2006318021 A JP2006318021 A JP 2006318021A JP 2007254267 A JP2007254267 A JP 2007254267A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- iron oxyhydroxide
- particles
- oxidation treatment
- heat treatment
- temperature
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Compounds Of Iron (AREA)
- Hard Magnetic Materials (AREA)
Abstract
【課題】長軸長が80nm以下の針状磁性粒子であっても結晶性が高く、かつアモルファス状粒子を低減することができるオキシ水酸化鉄粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、第一鉄塩を含む鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化第一鉄を生成させる中和反応工程と、水酸化第一鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を生成させる酸化処理工程と、生成されたオキシ水酸化鉄粒子を含む反応溶液を95〜250℃に加熱する熱処理工程と、を含む。この熱処理工程により、結晶性を向上し、かつアモルファス状粒子を低減する。熱処理工程は、反応溶液中の炭酸基濃度を0.05mol/L以下に調整した後に行うことが好ましい。
【選択図】図2
【解決手段】本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、第一鉄塩を含む鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化第一鉄を生成させる中和反応工程と、水酸化第一鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を生成させる酸化処理工程と、生成されたオキシ水酸化鉄粒子を含む反応溶液を95〜250℃に加熱する熱処理工程と、を含む。この熱処理工程により、結晶性を向上し、かつアモルファス状粒子を低減する。熱処理工程は、反応溶液中の炭酸基濃度を0.05mol/L以下に調整した後に行うことが好ましい。
【選択図】図2
Description
本発明は、高密度高容量磁気記録テープ向け磁性粒子の前駆体として好適に用いられるオキシ水酸化鉄粒子に関し、特に微細でありながら結晶性の良好なオキシ水酸化鉄粒子の製造方法に関する。
年々要求が高まる高密度磁気記録テープは、記録密度が高くなるにつれ、1bitあたりの記録容積が小さくなり、それに伴って記録波長が短くなるため、微細な針状磁性粒子が必要となる。
一般に磁性粒子を製造するには、はじめに、鉄原料水溶液と中和剤を混合攪拌し、酸化性ガスを吹込むことによる酸化処理により磁性粒子の前駆体となるオキシ水酸化鉄粒子を作製する。次いで、このオキシ水酸化鉄粒子を還元処理してFeを構成元素とする針状磁性粒子を作製する。または、加熱下において脱水処理することによりFe2O3(ヘマタイト)を生成させた後還元処理をすることもある。更には、還元後にアンモニアガスなどを用いて窒化することにより、窒化鉄磁性粒子(Fe16N2やFe4N等)を作製することもある。
一般に磁性粒子を製造するには、はじめに、鉄原料水溶液と中和剤を混合攪拌し、酸化性ガスを吹込むことによる酸化処理により磁性粒子の前駆体となるオキシ水酸化鉄粒子を作製する。次いで、このオキシ水酸化鉄粒子を還元処理してFeを構成元素とする針状磁性粒子を作製する。または、加熱下において脱水処理することによりFe2O3(ヘマタイト)を生成させた後還元処理をすることもある。更には、還元後にアンモニアガスなどを用いて窒化することにより、窒化鉄磁性粒子(Fe16N2やFe4N等)を作製することもある。
例えば長軸長が80nm以下と微細な針状のオキシ水酸化鉄粒子を作製するためには、低温で酸化処理を行うことが有効である。しかし、低温での酸化処理を行って得られたオキシ水酸化鉄粒子は、結晶性が低く、さらには結晶に至らずにアモルファス状態の粒子が生成することもある。結晶性が低いことは、X線回折によるFeOOHの(110)面の回折ピーク強度を観察することにより把握することができる。このように結晶性の低いオキシ水酸化鉄粒子を還元処理すると、粒子形状が崩れやすく形状異方性の異なった磁性粒子の混合物となる。また、アモルファス状粒子を含んだ状態で還元処理すると、オキシ水酸化鉄粒子(磁性粒子)同士の焼結の要因となりやすい。このようにして得られた磁性粒子は、Hc(保磁力)分布が広くなり、磁気記録テープとした際にはSFD(反転磁界分布)が悪いものとなる。
Hc(保磁力)の分布を狭くするためには、オキシ水酸化鉄粒子の粒度分布幅を狭くすることが有効である。そこで、特許文献1は、中和後に行われる酸化処理を、その後半で温度を連続的に上げていく方法により粒度分布幅を狭くすることができるとしている。ところが、特許文献1の方法によって結晶性を向上することはできない。また、アモルファス状粒子を低減することもできない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、例えば長軸長が80nm以下と微細であっても、結晶性が優れ、さらにアモルファス状粒子が消滅又は低減されたオキシ水酸化鉄粒子を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
オキシ水酸化鉄粒子の粒径を小さくする最も効果的な手法は、酸化処理を低温で行うことである。したがって、微細なオキシ水酸化鉄粒子を得る上で、結晶性が低く、さらにアモルファス状粒子を一旦は含むことを本発明者らは許容することとし、事後的に結晶性を向上し、かつアモルファス状粒子を消滅させ又は低減させる(以下、低減と総称する)検討を行った。その結果、酸化処理を行った後に、酸化処理が施された反応溶液を加熱したところ、得られたオキシ水酸化鉄粒子の結晶性は確実に向上し、またアモルファス状粒子が低減することが確認された。本発明は以上の検討結果に基づくものであり、第一鉄塩を含む鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化第一鉄を生成させる中和反応工程と、水酸化第一鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を生成させる酸化処理工程と、生成されたオキシ水酸化鉄粒子を含む反応溶液を95〜250℃に加熱する熱処理工程と、を含むことを特徴とするオキシ水酸化鉄粒子の製造方法である。
本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法において、生成されたオキシ水酸化鉄粒子を含む反応溶液中の炭酸基濃度を0.05mol/L(リットル)以下に調整した後に、95〜250℃に加熱する熱処理工程を行うことが好ましい。熱処理工程において、オキシ水酸化鉄粒子に対して異相となるヘマタイト粒子の生成を抑制又は防止するためである。
本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、微細なオキシ水酸化鉄粒子が得られる低温酸化処理に有効であり、特に水酸化第一鉄の酸化処理を35℃以下で行う場合に有効である。このような低温で酸化処理を行うことにより、熱処理工程を経たオキシ水酸化鉄粒子を、長軸長が80nm以下の針状粒子とすることができる。
本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、微細なオキシ水酸化鉄粒子が得られる低温酸化処理に有効であり、特に水酸化第一鉄の酸化処理を35℃以下で行う場合に有効である。このような低温で酸化処理を行うことにより、熱処理工程を経たオキシ水酸化鉄粒子を、長軸長が80nm以下の針状粒子とすることができる。
熱処理工程はいくつかの形態を含んでいる。例えば、反応溶液を煮沸することによって熱処理工程を実施することができる。この場合、加圧を伴うことなく大気圧で熱処理することができるので、製造コストの点で有利である。ただし、加圧あるいは減圧を伴うことを排除するものでない。加熱処理の温度を上げるのであれば、反応溶液を加圧下で加熱することが必要となる。後述する実施例に示すように、加熱処理の温度が高いほど結晶性の高いオキシ水酸化鉄粒子を得ることができる。
本発明において、酸化処理工程は、20℃以下の温度で酸化処理を行う第1の酸化処理と、第1の酸化処理の後に、第1の酸化処理が行われた温度よりも5℃以上高い温度で酸化処理を行う第2の酸化処理と、を含むことができる。この2段階の酸化処理を採用することにより、得られるオキシ水酸化鉄粒子の粒度分布幅を狭くすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、酸化処理後に反応溶液に所定の加熱処理を加えることにより、例えば長軸長が80nm以下の針状磁性粒子であっても結晶性が高く、かつアモルファス状粒子を低減することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、第一鉄塩を含む鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて反応溶液中に水酸化第一鉄を生成させる中和反応工程と、生成された水酸化第一鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を得る酸化処理工程と、酸化処理が施された反応溶液を95〜250℃に加熱する熱処理工程を有している。これらの各工程について、順次詳細に説明する。
本発明のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法は、第一鉄塩を含む鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて反応溶液中に水酸化第一鉄を生成させる中和反応工程と、生成された水酸化第一鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を得る酸化処理工程と、酸化処理が施された反応溶液を95〜250℃に加熱する熱処理工程を有している。これらの各工程について、順次詳細に説明する。
(1)鉄原料水溶液
原料として硫酸第1鉄(FeSO4)、塩化第1鉄(FeCl2)などの2価鉄を有する第1鉄塩を水に溶かして鉄原料水溶液を用意する。
鉄原料水溶液中の第1鉄の濃度は、0.01〜1.0mol/L、好ましくは、0.05〜0.5mol/Lとされる。
原料として硫酸第1鉄(FeSO4)、塩化第1鉄(FeCl2)などの2価鉄を有する第1鉄塩を水に溶かして鉄原料水溶液を用意する。
鉄原料水溶液中の第1鉄の濃度は、0.01〜1.0mol/L、好ましくは、0.05〜0.5mol/Lとされる。
本発明において使用される鉄原料水溶液の鉄濃度が濃くなると生成されるオキシ水酸化鉄粒子の粒度が大きくなり、1.0mol/Lを超えると、長軸長が80nm以下の微細な粒子が得られにくくなる。しかも、枝分かれした樹枝状の粒子が多くなり針状粒子群が得られにくくなってしまうという傾向がある。この一方で鉄濃度が0.01mol/L未満となると、生成するオキシ水酸化鉄粒子の数が極端に減少して生産性に寄与しないばかりか、針状形状にも乱れが生じ、不定形粒子が混在しやすくなる傾向が現れる。
また、この第1鉄塩の水溶液において、鉄に加えてSiO2を水溶液中に含有させておくのも好ましい態様である。添加に際しては、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸ソーダ等を用いればよい。その添加量は、後述するメタル磁性粒子の前駆体となるゲーサイト中におけるSiO2含有量が0.01〜0.5wt%となるように添加するのがよい。さらに、最終的に還元されたメタル磁性粒子中のSiO2含有量で表示すれば0.05〜0.8wt%となるように添加するのがよい。
(2)アルカリ水溶液
本発明では、上記鉄原料水溶液との中和反応用のアルカリ水溶液が用意される。アルカリ水溶液を作製するには、水酸化ナトリウム(NaOH)が好適に用いられるが、水酸化アンモニウム(NH4OH)、炭酸アンモニウム(NH4)2CO3、炭酸水素アンモニウム((NH4)HCO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(K2CO3)等を単独もしくは組み合わせて用いてもよい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、中和において、鉄とアルカリの等量に対して過剰のアルカリを投入することが好ましく、等量付近では粒状のマグネタイトが生成しやすく、等量より少ないアルカリ量では投入したFe量より少ない収量となる上、廃液にFeイオンが残留することから、その廃液処理が必要となるため好ましくない。
本発明では、上記鉄原料水溶液との中和反応用のアルカリ水溶液が用意される。アルカリ水溶液を作製するには、水酸化ナトリウム(NaOH)が好適に用いられるが、水酸化アンモニウム(NH4OH)、炭酸アンモニウム(NH4)2CO3、炭酸水素アンモニウム((NH4)HCO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(K2CO3)等を単独もしくは組み合わせて用いてもよい。
アルカリ水溶液のアルカリ濃度は、中和において、鉄とアルカリの等量に対して過剰のアルカリを投入することが好ましく、等量付近では粒状のマグネタイトが生成しやすく、等量より少ないアルカリ量では投入したFe量より少ない収量となる上、廃液にFeイオンが残留することから、その廃液処理が必要となるため好ましくない。
(3)中和反応(水酸化第一鉄生成)工程
上記の要領で用意された鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化第一鉄(水酸化鉄(II)、Fe(OH)2)を生成させる。中和反応の処理温度は、次の酸化処理に速やかに移行するために、酸化処理が行われる温度で行うことが好ましい。本発明では、後述するように、酸化処理工程を、第1の酸化処理と、第1の酸化処理よりも高温域で行われる第2の酸化処理とを含むことが好ましく、中和反応は第1の酸化処理が行われる温度と同等とするのが好ましい。第1の酸化処理は20℃以下で行うことが好ましいため、中和反応も20℃以下で行うことが好ましい。中和反応の時間は、中和物である水酸化第一鉄粒子の不必要な成長及び凝集を防止するために60分以下、好ましくは30分以下とする。
上記の要領で用意された鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化第一鉄(水酸化鉄(II)、Fe(OH)2)を生成させる。中和反応の処理温度は、次の酸化処理に速やかに移行するために、酸化処理が行われる温度で行うことが好ましい。本発明では、後述するように、酸化処理工程を、第1の酸化処理と、第1の酸化処理よりも高温域で行われる第2の酸化処理とを含むことが好ましく、中和反応は第1の酸化処理が行われる温度と同等とするのが好ましい。第1の酸化処理は20℃以下で行うことが好ましいため、中和反応も20℃以下で行うことが好ましい。中和反応の時間は、中和物である水酸化第一鉄粒子の不必要な成長及び凝集を防止するために60分以下、好ましくは30分以下とする。
(4)酸化処理(オキシ水酸化鉄粒子生成)工程
上記の要領で生成された水酸化第一鉄は、すぐさま液中で酸化処理することによりオキシ水酸化鉄(ゲーサイト)粒子を生成する。酸化処理は、液中に酸化性ガスとして酸素または酸素を含む気体を吹込むことにより行なわれる。一般には、酸化性ガスとして空気が用いられるが、酸化速度を調整するために酸素と窒素等の不活性ガスとの混合ガスを用いることもできる。
酸化処理は1〜50℃の温度範囲で行うことができるが、オキシ水酸化鉄粒子の粒径を微細にするためには、酸化処理温度を好ましくは35℃以下、より好ましくし30℃以下とする。
上記の要領で生成された水酸化第一鉄は、すぐさま液中で酸化処理することによりオキシ水酸化鉄(ゲーサイト)粒子を生成する。酸化処理は、液中に酸化性ガスとして酸素または酸素を含む気体を吹込むことにより行なわれる。一般には、酸化性ガスとして空気が用いられるが、酸化速度を調整するために酸素と窒素等の不活性ガスとの混合ガスを用いることもできる。
酸化処理は1〜50℃の温度範囲で行うことができるが、オキシ水酸化鉄粒子の粒径を微細にするためには、酸化処理温度を好ましくは35℃以下、より好ましくし30℃以下とする。
酸化処理は、一般的には等温で行われるが、本発明はこの酸化処理を、第1の酸化処理と第1の酸化処理よりも高温域で行なわれる第2の酸化処理という形態にすることができる。図4を参照しつつ第1の酸化処理及び第2の酸化処理について説明する。図4は横軸が処理時間を、また縦軸が処理温度を示している。
図4に示すように、中和反応が終了すると第1の酸化処理が行われる。この第1の酸化処理は、結晶核の生成を主たる目的としている。生成した結晶核が成長することも勿論あるが、成長は最低限に抑えることが望まれる。粒度分布幅を狭くするためである。
図4に示すように、中和反応が終了すると第1の酸化処理が行われる。この第1の酸化処理は、結晶核の生成を主たる目的としている。生成した結晶核が成長することも勿論あるが、成長は最低限に抑えることが望まれる。粒度分布幅を狭くするためである。
第1の酸化処理は20℃以下の温度で行うことが好ましく、また、第1の酸化処理をあまり長時間行うと、結晶核が不必要に成長してしまうとともに新たな結晶核が生成することにより、粒度分布幅が広くなる要因となる。したがって、第1の酸化処理は酸化処理全体の時間の1/2以下の時間とすることが好ましい。
第1の酸化処理が終了した後に、第2の酸化処理に移行する。ここで、第1の酸化処理が行われた処理液を工業的生産規模において瞬時に第2の酸化処理の温度に昇温することは、極めて困難である。そこで本実施の形態では酸化処理を中断し、図4に示すように、その間に昇温する非酸化昇温処理を行う。この処理のためには、第1の酸化処理で行っていた酸化性ガスの吹込みを停止するとともに、酸化性ガスを処理液から排除するために、窒素、Ar、その他の非酸化性ガスを処理液に吹込む。酸化が停止されている期間に処理液を昇温する。昇温は、第2の酸化処理が行われる温度まで行われ、昇温が完了したならば、非酸化性ガスの吹込みを終了する。この非酸化昇温処理に要する時間は可能な限り短い方が好ましいことは言うまでもないが、昇温のための装置の能力、処理液の量等に依存するところがある。
非酸化昇温処理が終了後、昇温された温度を維持しつつ、酸化性ガスを吹込むことにより、第2の酸化処理を行う。第2の酸化処理は、第1の酸化処理で生成した結晶核を成長させることを主たる目的とする。第2の酸化処理は、第1の酸化処理が行われた温度よりも5℃以上高い温度域で行うことが好ましい。この温度差が5℃未満では、粒度分布を狭くする効果が十分でない。
以上のような一連の工程によって、いわゆるメタル磁性粒子の前駆体であるオキシ水酸化鉄粒子(ゲーサイト)が形成される。形成されるオキシ水酸化鉄粒子は、長軸長100nm以下、特に80nm以下であって、しかも針状粒子が微細であっても粒度分布幅が狭い。
(5)洗浄処理工程
酸化処理終了後に、洗浄工程を行うことが好ましい。洗浄工程は、以下の要領で行う。
酸化処理が施された反応溶液を静置し、オキシ水酸化鉄粒子(ゲーサイト粒子)を含まない上澄み液を廃棄する。この際に反応溶液全体の1/2以上の上澄み液を廃棄することが好ましい。上澄み液が廃棄された後の反応溶液に、廃棄された上澄み液と同量のイオン交換水を加え、撹拌を行った後に静置する。このデカンテーション(decantation)操作を繰り返し、反応溶液中の炭酸基濃度を0.05mol/L以下にする。
炭酸基濃度が0.05mol/Lを超える反応溶液に対して、次工程の熱処理を行うと異相であるヘマタイト(Fe2O3)粒子が生成しやすくなる。また、炭酸基濃度が低いほど前記熱処理による異相の生成が確実に抑制されるが、工業的な生産コストを考慮すると0.0005mol/L程度を下限値とすることが好ましい。
炭酸基濃度が0.05mol/Lを超えるとヘマタイト(Fe2O3)粒子が生成しやすくなる理由の詳細は明らかとなってはいないが、本発明者等は以下のように考えている。炭酸塩は、ゲーサイト(オキシ水酸化鉄)の結晶成長を抑制する効果がある。しかし、過剰にある場合には結晶成長を抑制しすぎ、ゲーサイト結晶にならない不定形物(アモルファス状粒子)を生成させる。この不定形物とある程度の炭酸塩が共存した状態で熱処理を行うと、結晶成長抑制効果が強すぎて不定形物はゲーサイトへの結晶化が起こらず、ヘマタイトに加水分解されると解される。
なお、炭酸基濃度を低下させる方法として、以上ではデカンテーションを実例としてあげたが、この方法に限定するものではなく、例えば、ゲーサイト粒子を濾過した後、イオン交換水などで洗浄してゲーサイト粒子を再分散させて、炭酸基濃度を0.05mol/L以下にすることもできるし、他の方法を採用してもよいことは言うまでもない。
酸化処理終了後に、洗浄工程を行うことが好ましい。洗浄工程は、以下の要領で行う。
酸化処理が施された反応溶液を静置し、オキシ水酸化鉄粒子(ゲーサイト粒子)を含まない上澄み液を廃棄する。この際に反応溶液全体の1/2以上の上澄み液を廃棄することが好ましい。上澄み液が廃棄された後の反応溶液に、廃棄された上澄み液と同量のイオン交換水を加え、撹拌を行った後に静置する。このデカンテーション(decantation)操作を繰り返し、反応溶液中の炭酸基濃度を0.05mol/L以下にする。
炭酸基濃度が0.05mol/Lを超える反応溶液に対して、次工程の熱処理を行うと異相であるヘマタイト(Fe2O3)粒子が生成しやすくなる。また、炭酸基濃度が低いほど前記熱処理による異相の生成が確実に抑制されるが、工業的な生産コストを考慮すると0.0005mol/L程度を下限値とすることが好ましい。
炭酸基濃度が0.05mol/Lを超えるとヘマタイト(Fe2O3)粒子が生成しやすくなる理由の詳細は明らかとなってはいないが、本発明者等は以下のように考えている。炭酸塩は、ゲーサイト(オキシ水酸化鉄)の結晶成長を抑制する効果がある。しかし、過剰にある場合には結晶成長を抑制しすぎ、ゲーサイト結晶にならない不定形物(アモルファス状粒子)を生成させる。この不定形物とある程度の炭酸塩が共存した状態で熱処理を行うと、結晶成長抑制効果が強すぎて不定形物はゲーサイトへの結晶化が起こらず、ヘマタイトに加水分解されると解される。
なお、炭酸基濃度を低下させる方法として、以上ではデカンテーションを実例としてあげたが、この方法に限定するものではなく、例えば、ゲーサイト粒子を濾過した後、イオン交換水などで洗浄してゲーサイト粒子を再分散させて、炭酸基濃度を0.05mol/L以下にすることもできるし、他の方法を採用してもよいことは言うまでもない。
(6)熱処理工程
洗浄処理終了後に、洗浄処理が施された反応溶液を95〜250℃に加熱処理する熱処理工程を実施する。この熱処理工程によって、低温の酸化処理で生成された結晶性の低いオキシ水酸化鉄粒子の結晶性を向上させることができる。また、低温の酸化処理で生成されたアモルファス状粒子を低減させることができる。アモルファス状粒子は、加熱処理により反応溶液中に溶解し、オキシ水酸化鉄粒子の結晶に取り込まれる結果として、熱処理工程を経ることにより低減されるものと解される。
洗浄処理終了後に、洗浄処理が施された反応溶液を95〜250℃に加熱処理する熱処理工程を実施する。この熱処理工程によって、低温の酸化処理で生成された結晶性の低いオキシ水酸化鉄粒子の結晶性を向上させることができる。また、低温の酸化処理で生成されたアモルファス状粒子を低減させることができる。アモルファス状粒子は、加熱処理により反応溶液中に溶解し、オキシ水酸化鉄粒子の結晶に取り込まれる結果として、熱処理工程を経ることにより低減されるものと解される。
加熱処理の温度が低いと結晶性向上及びアモルファス状粒子の低減の効果を十分に発揮することが困難である。そこで本発明では加熱処理の温度を95℃以上とする。加熱処理の対象である反応溶液は水溶液であり、そうすると気液の臨界温度である350℃近傍以下の温度であれば、本発明の効果が得られると解されるが、コストを含めた工業設備を考慮すると、加熱処理の温度は250℃以下とすることが現実的である。なお、100℃以上の温度に加熱する場合には、加圧下での加熱ということになる。その場合の加熱処理はオートクレーブを用いて行えばよい。加熱処理の温度が100℃以下の場合には、反応溶液を煮沸することによって熱処理工程を実施することができる。
結晶性の向上は前述したように、X線回折によるFeOOHの(110)面の回折ピーク強度を観察することにより把握することができる。つまり、熱処理工程を経ることにより、特に加熱処理の温度が高くなるにつれ、(110)面の回折ピーク強度が増加する。
また、アモルファス状粒子の低減効果は、TEM(透過型電子顕微鏡)像を観察することにより把握することができる。つまり、TEM像においてアモルファス状粒子は薄く表示されるが、熱処理工程を経ることにより、この薄い像が減少する。
また、アモルファス状粒子の低減効果は、TEM(透過型電子顕微鏡)像を観察することにより把握することができる。つまり、TEM像においてアモルファス状粒子は薄く表示されるが、熱処理工程を経ることにより、この薄い像が減少する。
なお、特許文献2(特開昭61−168536号公報)には、水熱処理、つまり加圧下で加熱することによりオキシ水酸化鉄を得ることの開示がなされている。しかし、特許文献2は、鉄原料として第二鉄塩を用い中間性生物が水酸化第二鉄である点で本発明と相違している。また、特許文献2は、水酸化第二鉄を水熱処理することによってオキシ水酸化鉄を得ているのに対して、本発明は得られたオキシ水酸化鉄を熱処理するものである点で相違している。
(7)還元処理工程
上述の要領でオキシ水酸化鉄粒子を製造することができるが、メタル磁性粒子とするためには以下の還元処理工程を行う。
この還元処理工程は、水素ガス等の還元ガス気流中、300〜600℃、0.25〜72時間の条件で行なわれる(メタル磁性粒子の作製)。さらに、NH3等のガス中での窒化処理を施して、窒化鉄磁性粒子としてもよい。その後、微量の酸素を含むガス等により磁性粒子もしくは窒化鉄磁性粒子表面に薄い酸化膜を形成する。
上述の要領でオキシ水酸化鉄粒子を製造することができるが、メタル磁性粒子とするためには以下の還元処理工程を行う。
この還元処理工程は、水素ガス等の還元ガス気流中、300〜600℃、0.25〜72時間の条件で行なわれる(メタル磁性粒子の作製)。さらに、NH3等のガス中での窒化処理を施して、窒化鉄磁性粒子としてもよい。その後、微量の酸素を含むガス等により磁性粒子もしくは窒化鉄磁性粒子表面に薄い酸化膜を形成する。
このようにして得られたメタル磁性粒子は、その磁気特性として、飽和磁化量80〜140Am2/kg、保磁力79.6〜254.7kA/mの物性を備えることができる。本発明において最終的に得られる磁性粒子は、長軸長100nm以下、特に80nm以下の針状磁性粒子であって、しかも針状磁性粒子が微細であっても結晶性が高く、さらにアモルファス状粒子の量を低減することができる。さらに、粒度分布幅も狭くすることができる。
なお、本発明においては、オキシ水酸化鉄粒子に希土類元素、Co、Ni、Al、Zr、Si、Ca、Sr、Mgなどの各種の元素を含有させるように公知の種々の処理法を施すようにしてもよい。また、以上では針状のオキシ水酸化鉄粒子について説明したが、本発明の適用はこの形態に限定されず、粒状、楕円状等の形状のオキシ水酸化鉄粒子に用いることができる。
鉄原料として2価の硫酸鉄(FeSO4)を用い、1mol/Lの水溶液を作製した。また、中和剤として炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を用い、1mol/L程度の水溶液を作製した。中和剤は鉄原料に対して2倍当量となる量を準備した。
反応溶液全体(硫酸鉄水溶液+炭酸水素ナトリウム水溶液+イオン交換水)で鉄濃度が0.1mol/Lとなる量のイオン交換水に炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、さらに硫酸鉄水溶液を添加して中和を行った。中和は反応溶液が10℃となるように温度をコントロールした。
中和後に十分に混合撹拌した反応溶液を各々40℃、30℃及び20℃に昇温し、酸化性ガスとしての空気の吹込みを開始した。各々の温度で55分間空気の吹込みを維持した時点で空気の吹込みを中断し、反応溶液中のFeに対してAlが10at%になるようにアルミン酸ナトリウム(NaAlO2)を添加した。このアルミン酸ナトリウムは、還元処理時の焼結防止のために添加されるものであり、還元もしくは窒化後の酸化処理によってアルミナ(Al2O3)として鉄粒子表面の酸化膜を構成する。添加後、酸化性ガスとして空気を25分間吹込んで、酸化処理を終了した。酸化処理終了後、反応生成物を濾過水洗後乾燥し、針状のオキシ水酸化鉄微粒子を得た。
反応溶液全体(硫酸鉄水溶液+炭酸水素ナトリウム水溶液+イオン交換水)で鉄濃度が0.1mol/Lとなる量のイオン交換水に炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、さらに硫酸鉄水溶液を添加して中和を行った。中和は反応溶液が10℃となるように温度をコントロールした。
中和後に十分に混合撹拌した反応溶液を各々40℃、30℃及び20℃に昇温し、酸化性ガスとしての空気の吹込みを開始した。各々の温度で55分間空気の吹込みを維持した時点で空気の吹込みを中断し、反応溶液中のFeに対してAlが10at%になるようにアルミン酸ナトリウム(NaAlO2)を添加した。このアルミン酸ナトリウムは、還元処理時の焼結防止のために添加されるものであり、還元もしくは窒化後の酸化処理によってアルミナ(Al2O3)として鉄粒子表面の酸化膜を構成する。添加後、酸化性ガスとして空気を25分間吹込んで、酸化処理を終了した。酸化処理終了後、反応生成物を濾過水洗後乾燥し、針状のオキシ水酸化鉄微粒子を得た。
得られたオキシ水酸化鉄粒子について、結晶性を観察するためにX線回折を行い、FeOOHの(110)面の回折ピーク強度(XRDピーク強度、測定条件:Cuターゲット、50kV、300mA)を求めた。また、オキシ水酸化鉄粒子の形状及びアモルファス状粒子の有無等をTEMにより観察した。さらに、オキシ水酸化鉄粒子の比表面積(BET値)を測定した。以上の結果を表1に示す。なお、得られた針状のオキシ水酸化鉄粒子の長軸長が微細であるため、一般的に使用されている粒度分布計を用いても正確に粒度分布を測定することができない。そこで、本実施例では、各条件で5回のオキシ水酸化鉄粒子の製造を行い、比表面積(BET値)を測定し、その最大値、最小値及び平均値を求め、さらに平均値に対する最大値又は最小値のばらつき(%)を求め、それを粒度分布の判断指標とした。また、長軸長はTEM(透過型電子顕微鏡)により100個の粒子の長軸長を測定し、その平均値とした。
また、乾燥されたオキシ水酸化鉄粒子を、大気中で230〜500℃の温度にて加熱処理を行った後、400〜550℃の温度にて、水素を用いて還元処理した。還元処理の降温過程の60℃になったときに、窒素と空気の混合ガス(N2:空気=200:1)を処理雰囲気に導入して鉄粒子の表面に酸化膜を形成した。その後、鉄粒子の保磁力(Hc)を測定した。その結果を表1に示す。
なお、酸化処理後の加熱処理を行わないで得られたオキシ水酸化鉄粒子、鉄粒子についても上記と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
なお、酸化処理後の加熱処理を行わないで得られたオキシ水酸化鉄粒子、鉄粒子についても上記と同様の測定を行った。その結果を表1に示す。
表1に示すように、酸化処理後に加熱処理を行うことにより、FeOOHの(110)面の回折ピーク強度(XRD(X-ray diffraction)ピーク強度)が高くなっており、結晶性を向上できることがわかる。また、酸化処理後に加熱処理を行うことによって、アモルファス状粒子の生成を防止できることがわかる。その結果として、酸化処理後に加熱処理を行って得られた鉄粒子の保磁力(Hc)は高い。
実施例1と同様にして中和後に充分に混合撹拌を行った後、反応溶液に酸化性ガスとして空気を吹込む第1の酸化処理を行った。第1の酸化処理の温度及び時間は表2に示す通りである。当該時間経過後に空気の吹込みを停止するとともに、窒素ガスを吹込んだ。窒素ガスの吹込みと同時に反応溶液の昇温を開始した。反応溶液が表2の第2の酸化処理の各温度に達するまで窒素ガスの吹込みを行う非酸化昇温処理を行った。各々の温度に達したら窒素ガスの吹込みを停止するとともに、反応溶液に再び酸化性ガスとして空気を吹込む第2の酸化処理を開始した。第2の酸化処理の残り時間が25分となった時点で空気の吹込みを中断し、反応溶液中のFeに対してAlが10at%になるようにアルミン酸ナトリウムを添加した。その後、酸化性ガスとして空気を表2に示す時間吹込んで、第2の酸化処理を終了した。
第2の酸化処理終了後、反応溶液を加熱処理した。第2の酸化処理後の反応溶液の炭酸基濃度を測定したところ、0.4mol/Lであった。なお、このときの炭酸基は、CO3 2−とHCO3 −である。そこで、表2のNo.11〜15については、上述したデカンテーションにより炭酸基濃度を0.01〜0.2mol/Lまで低減した後に、以後の加熱処理を実行した。加熱処理は、表2に示すように、煮沸(100℃、大気圧)又はオートクレーブ(加熱温度が100℃超の場合)による加圧加熱により行った。加熱処理終了後、応生成物を濾過水洗後乾燥し、針状のオキシ水酸化鉄微粒子を得た。得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の観察を行った。その結果を表2に示す。
第2の酸化処理終了後、反応溶液を加熱処理した。第2の酸化処理後の反応溶液の炭酸基濃度を測定したところ、0.4mol/Lであった。なお、このときの炭酸基は、CO3 2−とHCO3 −である。そこで、表2のNo.11〜15については、上述したデカンテーションにより炭酸基濃度を0.01〜0.2mol/Lまで低減した後に、以後の加熱処理を実行した。加熱処理は、表2に示すように、煮沸(100℃、大気圧)又はオートクレーブ(加熱温度が100℃超の場合)による加圧加熱により行った。加熱処理終了後、応生成物を濾過水洗後乾燥し、針状のオキシ水酸化鉄微粒子を得た。得られたオキシ水酸化鉄粒子について、実施例1と同様の観察を行った。その結果を表2に示す。
また、乾燥されたオキシ水酸化鉄粒子を、実施例1と同様に還元処理、表面に酸化膜を形成した後に、やはり実施例1と同様に保磁力(Hc)を測定した。また、オキシ水酸化鉄粒子中に異相であるヘマタイト粒子が混在しているか確認した。この確認は、XRDのピークによる定性分析を行い、オキシ水酸化鉄のピークとヘマタイトのピークの存在の有無によって行った。また、TEM(Transmission Electron Microscope)写真にて、明らかにオキシ水酸化鉄の紡錘形状と異なるヘマタイトの立方体状粒子存在の有無による確認も行った。その結果を表2に示す。
なお、酸化処理後の加熱処理を行わないで得られたオキシ水酸化鉄粒子、鉄粒子についても上記と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。また、図1〜図3に、No.10〜12により得られたオキシ水酸化鉄粒子のTEM像を示す。
なお、酸化処理後の加熱処理を行わないで得られたオキシ水酸化鉄粒子、鉄粒子についても上記と同様の測定を行った。その結果を表2に示す。また、図1〜図3に、No.10〜12により得られたオキシ水酸化鉄粒子のTEM像を示す。
表2より、酸化処理後に加熱処理を行うことにより、FeOOHの(110)面の回折ピーク強度(XRDピーク強度)が高くなっており、結晶性が向上されることがわかる。また、酸化処理後に加熱処理を行うことによって、アモルファス状粒子の生成を防止できることがわかる。図1〜図3において、酸化処理後に加熱処理を行わない場合(図1)に比べて、加熱処理を行うことにより(図2、図3)結晶が縮み輪郭が明瞭になっており、結晶性が向上したことがTEM像からも確認することができる。また、酸化処理後に加熱処理を行わない(図1)とアモルファス状粒子が確認できるが、加熱処理を行うと(図2、図3)アモルファス状粒子を確認することができないことがわかる。以上の結果として、酸化処理後に加熱処理を行って得られた鉄粒子の保磁力(Hc)は高い。ただし、加熱処理の温度を高くするにつれ粒子の結晶性は向上するが、形状異方性(軸比)が低下する傾向にあり、そのためにNo.13の保磁力(Hc)がNo.12よりも若干低くなっているものと解される。
また、第1の酸化処理の前に、炭酸基濃度を低減することにより、ヘマタイト粒子の生成を抑制できることがわかった。特に、ヘマタイト粒子を生成させないためには、炭酸基濃度を0.05mol/L以下にすることが好ましい。
また、第1の酸化処理の前に、炭酸基濃度を低減することにより、ヘマタイト粒子の生成を抑制できることがわかった。特に、ヘマタイト粒子を生成させないためには、炭酸基濃度を0.05mol/L以下にすることが好ましい。
Claims (7)
- 第一鉄塩を含む鉄原料水溶液とアルカリ水溶液とを中和反応させて水酸化第一鉄を生成させる中和反応工程と、
前記水酸化第一鉄を酸化処理してオキシ水酸化鉄粒子を生成させる酸化処理工程と、
生成された前記オキシ水酸化鉄粒子を含む反応溶液を95〜250℃に加熱する熱処理工程と、
を含むことを特徴とするオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。 - 生成された前記オキシ水酸化鉄粒子を含む反応溶液中の炭酸基濃度を0.05mol/L以下に調整した後に、前記熱処理工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
- 前記水酸化第一鉄の酸化処理が、35℃以下でなされることを特徴とする請求項1又は2に記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
- 前記熱処理工程を経た前記オキシ水酸化鉄粒子は、長軸長が80nm以下の針状粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
- 前記熱処理工程は、前記反応溶液を煮沸するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
- 前記熱処理工程は、前記反応溶液を加圧下で加熱するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
- 前記酸化処理工程は、
20℃以下の温度で前記酸化処理を行う第1の酸化処理と、
前記第1の酸化処理の後に、前記第1の酸化処理が行われた温度よりも5℃以上高い温度で前記酸化処理を行う第2の酸化処理と、
を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄粒子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006318021A JP2007254267A (ja) | 2006-02-23 | 2006-11-27 | オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006046328 | 2006-02-23 | ||
JP2006318021A JP2007254267A (ja) | 2006-02-23 | 2006-11-27 | オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007254267A true JP2007254267A (ja) | 2007-10-04 |
Family
ID=38628879
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006318021A Withdrawn JP2007254267A (ja) | 2006-02-23 | 2006-11-27 | オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007254267A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008169082A (ja) * | 2007-01-12 | 2008-07-24 | Tdk Corp | オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 |
CN101767832B (zh) * | 2008-12-30 | 2013-06-12 | 北京三聚环保新材料股份有限公司 | 含无定形羟基氧化铁的物料的制备及其再生方法 |
CN103493154A (zh) * | 2011-04-27 | 2014-01-01 | 户田工业株式会社 | 强磁性颗粒粉末的制造方法、各向异性磁体、粘结磁体和压粉磁体 |
-
2006
- 2006-11-27 JP JP2006318021A patent/JP2007254267A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008169082A (ja) * | 2007-01-12 | 2008-07-24 | Tdk Corp | オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 |
CN101767832B (zh) * | 2008-12-30 | 2013-06-12 | 北京三聚环保新材料股份有限公司 | 含无定形羟基氧化铁的物料的制备及其再生方法 |
CN103493154A (zh) * | 2011-04-27 | 2014-01-01 | 户田工业株式会社 | 强磁性颗粒粉末的制造方法、各向异性磁体、粘结磁体和压粉磁体 |
EP2704159A1 (en) * | 2011-04-27 | 2014-03-05 | Toda Kogyo Corporation | Process for producing ferromagnetic particulate powder, and anisotropic magnet, bonded magnet, and compacted magnet |
EP2704159A4 (en) * | 2011-04-27 | 2014-12-03 | Toda Kogyo Corp | FERROMAGNETIC PARTICLE POWDER PRODUCTION PROCESS, AND ANISOTROPIC MAGNET, BONDED MAGNET, AND COMPACT MAGNET |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6676493B2 (ja) | 鉄系酸化物磁性粒子粉の製造方法 | |
JP6010181B2 (ja) | 鉄系酸化物磁性粒子粉およびその製造方法並びに塗料および磁気記録媒体 | |
JP5105503B2 (ja) | ε酸化鉄の製法 | |
US10504548B2 (en) | Iron-based oxide magnetic particle powder and method for producing iron-based oxide magnetic particle powder | |
CN103123837B (zh) | 醇系溶液及烧结磁铁 | |
JP6856196B2 (ja) | 磁性粒子およびその製造方法 | |
WO2016111224A1 (ja) | 鉄系酸化物磁性粒子粉およびその製造方法並びに塗料および磁気記録媒体 | |
WO2016047559A1 (ja) | 鉄系酸化物磁性粒子粉および鉄系酸化物磁性粒子粉の製造方法 | |
JP2010024478A (ja) | 鉄微粒子及びその製造方法 | |
JP6480715B2 (ja) | 鉄系酸化物磁性粒子粉の前駆体およびそれを用いた鉄系酸化物磁性粒子粉の製造方法 | |
Mosivand et al. | Synthesis of electrocrystallized cobalt ferrite nanopowders by tuning the cobalt salt concentration | |
WO2021065936A1 (ja) | 鉄系酸化物磁性粉およびその製造方法 | |
JP2007254267A (ja) | オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 | |
Wang et al. | Comparative study on the preparation procedures of cobalt ferrites by aqueous processing at ambient temperatures | |
JP2007039301A (ja) | フェライト粉末の製造方法 | |
JP6024453B2 (ja) | 金属酸化物粉末の製造方法 | |
JP4887831B2 (ja) | オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 | |
JP2008103510A (ja) | 窒化鉄系磁性粉末およびその製造法 | |
JP2019056165A (ja) | 鉄粉およびその製造方法並びにインダクタ用成形体およびインダクタ | |
EP4039649A1 (en) | Iron-based oxide magnetic powder and method for producing same | |
JP5846540B2 (ja) | 窒化鉄粉末の製造方法 | |
JP2008169082A (ja) | オキシ水酸化鉄粒子の製造方法 | |
JP7393773B2 (ja) | サマリウム-鉄-窒素系磁石及びサマリウム-鉄-窒素系磁石粉末 | |
WO2021187329A1 (ja) | 鉄系酸化物磁性粉の製造方法 | |
JPH03174704A (ja) | 強磁性金属粒子およびその製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20100202 |