JPS5853686B2 - 針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造法 - Google Patents

針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造法

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JPS5853686B2
JPS5853686B2 JP54068298A JP6829879A JPS5853686B2 JP S5853686 B2 JPS5853686 B2 JP S5853686B2 JP 54068298 A JP54068298 A JP 54068298A JP 6829879 A JP6829879 A JP 6829879A JP S5853686 B2 JPS5853686 B2 JP S5853686B2
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章 向坂
篤 竹土井
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造法に関する
ものである。
更に詳しくは、針状晶と粒度を保持継承しており、また
、樹枝状粒子が混在しておらず、粒子表面並びに粒子内
部の結晶性の度合が高められた素質的に高密度な粒子粉
末であることに起因して、磁気特性においては大きな飽
和磁束密度δSと高い保磁力Heを有し、粉体特性にお
いては、高分散性、高配向性、高充填性を有する磁気記
録用磁性材料として特に適した針状晶金属鉄磁性粒子粉
末を容易に製造することができる新規技術手段を提供す
ることを目的とする。
近年、磁気記録再生用機器の小型軽量化が進むにつれて
、磁気テープ、磁気ディスク等の記録媒体に対する高性
能化の必要性が益々生じてきている。
すなわち、高記録密度、高感度特性、高出力特性、殊に
、周波数特性の向上が要求される。
磁気記録媒体に対する上記のような要求を満足させる為
に適した磁性材料の特性は、大きな飽和磁束密度と高い
保磁力を有することである。
ところで、従来から磁気記録媒体に用いられている磁性
材料は、マグネタイト、マグネタイト、二酸化クロム等
の磁性粉末であり、これらの磁性粉末は飽和磁束密度σ
s70〜80 emu / ?、保磁力He 250〜
5000eを有するものである。
殊に、上記酸化物磁性粒子粉末のσSは最大856mu
/y程度であり、一般にはσs70〜80emu/ft
であることが再生出力並びに記録密度に限度を与えてい
る主因となっている。
更に、Coを含有しているCo−マグネタイトやC。
マグヘマイト磁性粉末も使用されているが、これらの磁
性粒子粉末+iH磁力Hcが400〜8000eと高い
という特徴を有するが、これに反して飽和磁束密度σS
が60〜70 emu l ’? と低いものである。
最近、高出力並びに高密度記録に適する特性を備えた磁
性粒子粉末すなわち、大きな飽和磁束密度と高い保磁力
を有する磁性粒子粉末の開発が盛んであり、そのような
特性を有する磁性粒子粉末は、第一鉄塩水溶液とアルカ
リとを反応させ空気酸化しく通常湿式反応という)て得
られる針状晶ゲータイト粒子又は、該針状晶ゲータイト
粒子を加熱脱水して得られる針状晶へマタイト粒子を出
発原料とし、該出発原料を還元性ガス中350℃程度の
比較的低い温度で長時間還元することにより得られる針
状晶金属鉄磁性粒子粉末である。
針状晶金属鉄磁性粒子粉末の保磁力HCは次に示すよう
な関係式により表わすことができる。
Hc −K ・(Nb −Na ) ・Msこの関係式
において Kは粒子の結晶性の度合に (Nb −Na ) の粒子の形状(針状性)にまた
、Msは粒子の化学組成に 関係する項である。
この関係式から明らかなように、針状晶金属鉄磁性粒子
粉末の保磁力の向上をはかるためには、出発原料である
針状晶ゲータイト粒子の針状晶を保持継承させることと
生成物針状晶金属鉄磁性粒子の結晶性の度合を高めるこ
とが必要である。
従来、針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造にあたって、前
述したように350℃程度の還元反応が可能な可及的に
低い温度で多量の還元性ガスを用い、長時間をかげて加
熱還元処理が行なわれているのは、針状晶ゲータイト粒
子の針状晶をいかに保持継承するかということを第一に
配慮したためである。
これは例えば特公昭49−7313号公報に次のように
記載されている。
針状晶金属鉄磁性粒子粉末は「微粉砕した酸化水化物を
水素または他のガス発生還元剤により還元することによ
り作ることも知られている。
還元を実際上使用しうる速度で行うために350℃以上
の温度で行う必要がある。
しかしながら、このために生成した金属粒子が融着し、
磁気記録用材料として望ましくない。
これに対して還元を350℃以下の温度で行う場合には
、生成する金属粒子が互に融着しないために好ましいけ
れども還元時間が長くなり、実際上望ましくない。
」。しかし、低温での加熱還元処理を採用することによ
り粒子の針状晶を比較的よく保持継承することはできて
も、生成される針状晶金属鉄磁性粒子は、結晶性の度合
が小さくその為、保磁力Heも小さい値のものとなる。
針状晶ゲータイト粒子、又は、針状晶へマタイト粒子を
還元性ガス中で加熱還元する温度が高げれば高い程、結
晶性の度合が高められ、且つ大きな飽和磁束密度を有す
る針状晶金属鉄磁性粒子粉末が得られることが知られて
いる。
しかし、加熱還元する温度が高くなると、この金属鉄磁
性粒子粉末の針状晶粒子の変形と粒子および粒子相互間
の焼結が著しくなり、得られた金属鉄磁性粒子粉末の保
磁力が極度に低下することになる。
一方、磁気テープ、磁気ディスク等磁気記録媒体の出力
特性、感度特性は、残留磁束密度Brに依存し、残留磁
束密度Brは、磁性粒子粉末のビークル中での分散性、
塗膜中での配向性及び充填性に依存している。
そして、ビークル中での分散性、塗膜中での配向性及び
充填性を向上させるためには、ビークル中に分散させる
磁性粒子粉末が針状晶を有し、且つ、粒度が均斉であり
、また、樹枝状粒子が混在していないことが要求される
このような特性を有する磁性粒子粉末を得る為には、出
発原料である針状晶ゲータイト粒子粉末が針状晶を有し
、且つ、粒度が均斉であり、また樹枝状粒子が混在して
いないことが必要である。
上述したように、針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造過程
においては、まず、出発原料として針状晶を有し、且つ
、粒度が均斉であり、また、樹枝状粒子が混在していな
い針状晶ゲータイト粒子を生成させることが必要であり
、次に、いかにしてこの針状晶及び粒度な保持継承させ
ながら、加熱還元して結晶性の度合が高められた実質的
に高密度な針状晶金属鉄粒子粉末とするかが大きな課題
となってくる。
本発明者は、長年に亘り、針状晶ゲータイト粒子の製造
及び開発にたずされっているものであるがその研究過程
において、針状晶を有し、且つ、粒度が均斉であり、ま
た、樹枝状粒子が混在していない針状晶ゲータイト粒子
を得る方法を既に開発している。
例えば、次に述べるようである。即ち、針状晶を有し、
且つ、粒度が均斉であり、また、樹枝状粒子が混在して
いない針状晶ゲータイト粒子は、第一鉄塩水溶液とアル
カリ水溶液とを反応させて得られたFe(OH)2を含
むPH11以上の水溶液にあらかじめ水可溶性ケイ酸塩
を添加し、しかる後、酸化することにより得ることがで
きる。
この方法について説明すれば次のようである。
従来、PH11以上のアルカリ領域で得られた針状晶ゲ
ータイト粒子は、一般に粒度が不均斉で樹枝状粒子が混
在しているが、これは針状晶ゲータイト粒子の前駆体で
あるFe (OH)2からなるフロックが不均斉である
こと、更に、F e (OH) 2を含む水溶液から針
状晶ゲータイト粒子を生成するに際しての針状晶ゲータ
イト族の発生と該針状晶ゲータイト族の成長が同時に生
起し、しかもゲータイト生成反応が終了するまで幾重に
も新しい核が発生することに起因する。
前述した様に、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液とを反
応させて得られたFe(OR)2を含むPH11以上の
水溶液にあらかじめ水可溶性ケイ酸塩を添加した場合に
は、Fe(OH)2からなるフロックを均斉にすること
ができ、更に、水可溶性ケイ酸塩がFe(OH)2を含
む水溶液から針状晶ゲータイト粒子を生成する際の酸化
反応を抑制する効果を有することに起因して、針状晶ゲ
ータイト族の発生および該針状晶ゲータイト族の成長を
段階的に行うことができるので粒度が均斉であり、また
、樹枝状粒子が混在していない針状晶ゲータイト粒子を
得ることができる。
上記の方法において使用される水可溶性ケイ酸塩として
は、ナトリウム、カリウムのケイ酸塩がある。
Fe(OH)2粒子を含む水溶液への水可溶性ケイ酸塩
の添加量は、Feに対しSi換算で0.1〜1.7原子
%である。
0.1原子%以下である場合には粒度が均斉で、樹枝状
粒子が混在していない針状晶粒子を得る効果が十分では
なく、1.7原子%以上である場合は、マグネタイト粒
子が混入してくる。
図1は、反応鉄濃度、反応液のPH1反応温度、空気の
通気量が一定の条件下において、 Fe(OH)2粒子を含む水溶液への水可溶性ケイ酸塩
の添加量と針状晶ゲータイト粒子の生成反応時間の関係
図である。
図中、曲線A、B 、Cはそれぞれ、反応鉄濃度0.3
mol/A、0.4mol/、e、0.7mol/jl
?の場合である。
図1に示すように反応鉄濃度、反応液のpH1反応温度
、空気の通気量が一定であるにもかかわらず、水可溶性
ケイ酸塩の添加量の増加に伴って、針状晶ゲータイト粒
子の生成反応時間が著しく短縮されるのはFe (OH
)2粒子からなるフロックと溶存酸素との接触反応が非
常に効率よく行なわれた為と考えられる。
このことは、水可溶性ケイ酸塩の添加量の増加に伴って
Fe(OH)2粒子からなるフロックが微細化され、均
斉化されていることを示すものと考えられる。
図2は、Fe (OH)2粒子を含む水溶液への水可溶
性ケイ酸塩の添加量と図1の場合と全く同一の反応条件
のもとで生成された針状晶ゲータイト粒子の比表面積と
の関係を示したものである。
図中、曲線A、B、Cはそれぞれ反応鉄濃度が0.3m
ol/ l: 、 0.4 mol/ 110.7 m
ol/ 73の場合である。
一般に、反応鉄濃度を一定にした場合、針状晶ゲータイ
ト粒子の生成反応時間が短くなるに従りて粒子の比表面
積が大きくなる傾向がある。
しかし、上記方法において、図1に示されるように、針
状晶ゲータイト粒子の生成反応時間が短縮しているにも
かかわらず粒子の比表面積がほぼ一定値を示しているの
は、水可溶性ケイ酸塩が、Fe (OH)2粒子を含む
水溶液を酸化して針状晶ゲータイト粒子を生成する際の
酸化反応を抑制する効果を有し、その結果、針状晶ゲー
タイト核の発生と該針状晶ゲータイト核の成長が段階的
に起るためと考えられる。
次に、いかにして上記に詳述した方法により得られた針
状晶を有し、且つ、粒度が均斉であり、また、樹枝状粒
子が混在していない針状晶ゲータイト粒子の針状晶と粒
度を保持継承させながら加熱還元して、結晶性の度合が
高められた実質的に高密度な針状晶金属鉄磁性粒子とす
るかが問題となる。
前述したように、低温での加熱還元処理を採用すること
により、粒子の針状晶と粒度を比較的よく保持継承でき
ても、生成される針状晶金属鉄磁性粒子は、結晶性の度
合が小さいものである。
加熱還元する温度が高ければ高いほど、結晶性の度合が
高められるが、一方で金属鉄磁性粒子粉末の針状晶粒子
の変形と粒子および粒子相互間の焼結が著しくなり、保
磁力が極度に低下する。
殊に粒子の形状は加熱温度の影響を受けやすく、特に雰
囲気が還元性である場合には、粒子成長が著しく、単一
粒子が形骸粒子の大きさを越えて成長し、形骸粒子の外
形は漸次消え、粒子形状の変形と粒子および粒子相互間
の焼結を引き起す。
その結果、保磁力が低下するのである。
本発明者は、本発明において用いられる微量のSiを含
有している粒度が均斉であり、また、樹食状粒子が混在
していない針状晶ゲータイト粒子を300℃付近で加熱
脱水して得られた針状晶へマタイト粒子を出発原料とし
、該出発原料を還元性ガス中で加熱還元して針状晶金属
鉄粒子とする場合の粒子形状の変形と粒子及び粒子相互
間の焼結現象について詳細に検討した。
即ち、図3は、本発明において用いられる微量のSiを
含有(S i/Fe = 1. i原子%)している粒
度が均斉であり、また、樹枝状粒子が混在していない針
状晶ゲータイト粒子を加熱脱水して得た微細なヘマタイ
ト単一粒子群からなる平均長軸長さ0.50μ瓶であり
、且つ、比表面積が130771″/?である針状晶形
骸粒子を水蒸気流中400℃で加熱還元して針状晶金属
磁性粒子とする加熱還元過程における加熱還元生成粒子
の還元度X(FeOx、1.5>X>0)と比表面積の
関係を示したものである。
図3かられかるように、加熱還元の進行に伴って生成粒
子の比表面積が急激に小さくなっているのは、粒子形状
の変形と粒子及び粒子相互間の焼結が急激に生起したこ
とを示している。
この現象について以下に詳細に説明する。
本発明において用いられる針状晶ゲータイト粒子は、微
量のSiを含有しており、出発原料として用いた針状晶
へマタイト粒子も又Siを含有したものとなる。
一般にSiを含有している針状晶ゲータイト粒子から得
られる針状晶へマタイト粒子はその粒子表面並びに粒子
内部には、脱水により発生する多数の空孔が存在し、こ
の空孔は加熱温度が上昇するにつれて少な(なるが、一
方、加熱温度が800℃を越えて高くなると焼結が進ん
で針状晶粒子がくずれることが知られている。
このことは、特開昭48−83100号公報に次のよう
に記載されている。
微量のSi を含有する針状晶ゲータイト粒子は「脱水
処理中、またはそれに続く焼き戻しく針状晶へマタイト
粒子の高温加熱処理)作業中に、針状晶が焼結すること
なくSOO℃までの温度の使用が可能である。
」従来から、出発原料としては一般に用いられている針
状晶へマタイト粒子は、針状晶ゲータイト粒子を300
℃付近の温度で加熱脱水することにより得られ、針状晶
ゲータイト粒子の外形を残した針状晶形骸粒子であり、
この形骸粒子は、多数の単一粒子を連結した凝集粒子か
らなる。
この場合、針状晶ゲータイト粒子を300℃付近の比較
的低温で加熱脱水するのは、針状晶ゲータイト粒子の針
状晶をいかに保持継承するかを第一に配慮した工めであ
る。
しかし、300℃付近の比較的低温で加熱することによ
り得られた針状晶へマタイト粒子は、針状晶を保持継承
したものではあるが、一方単一粒子の粒子成長が十分で
はな(、従って粒子の結晶性の度合が小さいものである
殊に、微量のSiを含有している針状晶ゲータイト粒子
を常法により300℃付近の低温で加熱脱水した場合は
、周知の様にSiの粒子成長抑制効果に起因して、結晶
性の度合が更に小さいものとなる。
その為、微量のSiを含有している針状晶へマタイト粒
子は、粒子表面並びに粒子内部に空孔が多数存在し、比
表面積の大きなものしか得られない。
図4は、平均長軸長さが0.55μmであり、且つ、比
表面積が38m/fである微量のSiを含有(Si/F
e =1.1原子%)している粒度が均斉であり、また
、樹皮状粒子が混在していない針状晶ゲータイト粒子を
加熱脱水して針状晶へマタイトとする過程において、脱
水速度の異なる条件下において生成された粒子の脱水率
と比表面積との関係を示したものである。
図中、曲線A、B。Cは、それぞれ脱水速度が7.2モ
/I//分、2.0モル/分、0.25モル/分の場合
である。
図4から明かなように脱水速度を変化させることにより
得られる微量のSiを含有している針状晶へマタイト粒
子粉末の比表面積は異なり、脱水速度を遅くする程、比
表面積が小さい針状晶へマタイト粒子粉末を得ることが
できるが、高々50〜80 ml 1位である。
このように、粒粉成長が十分でなく、従って、粒子の結
晶性の度合が小さい微量のSiを含有している針状晶へ
マタイト粒子を還元性ガス中で加熱還元した場合、加熱
還元過程における単一粒子の粒子成長即ち、物理的変化
が急激である為、単一粒子の均一な粒子成長が生起し難
く、従って、単一粒子の粒子成長が急激に生起した部分
では、粒子及び粒子相互間の焼結が生起し、粒子形状が
くずれやすくなると考えられる。
また、加熱還元過程においては酸化物から金属への急激
な体積収縮が生起することにより粒子形状は一層くずれ
やすいものとなる。
更に、加熱還元過程における加熱処理は、雰囲気が還元
性である為、単一粒子の粒子成長という物理的変化と同
時に還元反応という化学的変化が生起する。
その為、優れた針状晶金属鉄磁性粒子粉末を得るために
は物理的変化と化学的変化を同時に制御する必要があり
、従って加熱還元処理に非常に長時間を要し、また、還
元性ガスも多量に必要としたのである。
加熱還元処理に長時間を必要とするということは、生成
粒子の粒子形状の変形と粒子及び粒子相互間の焼結を更
に進行させる原因となる。
上述したように、加熱還元過程における粒子形状の変形
と粒子及び粒子相互間の焼結が生起する原因としては、
単一粒子の粒子成長が急激である為単一粒子の均一な粒
子成長が生起しがたいこと、酸化物から金属への急激な
体積収縮が生起すること、及び単一粒子の粒子成長とい
う物理的変化と還元反応という化学的変化とが同時に生
起することが考えられる。
そこで、本発明者は、上記の現象に鑑み、加熱還元過程
に先立って、単一粒子の粒子成長という物理的変化と還
元反応という化学的変化とが同時に生起しないような非
還元性雰囲気下において加熱焼成して単一粒子の十分、
且つ、均一な粒子成長をはかることにより、結晶性の度
合が高められた実質的に高密度であり、且つ、針状晶を
保持継承している出発原料としておけば、加熱還元過程
では化学的変化を主体に行えばよいから加熱還元過程に
おける粒子の変形と粒子及び粒子相互間の焼結が防止で
きるのではないかと考えた。
そして、本発明者は、本発明において用いられる微量の
Siを含有している針状晶へマタイト粒子を非還元性ガ
ス中加熱焼成して単一粒子の十分、且つ、均一な粒子成
長をはかることにより、結晶性の度合が高められた実質
的に高密度であり、且つ、針状晶を保持継承している出
発原料へマタイト粒子を得るべく種々検討した結果、本
発明に到達したのである。
即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液とを
反応して得られるFe(OH)2を含むPH11以上の
水溶液にあらかじめ、水可溶性ケイ酸塩を添加し、しか
る後、酸イヒして針状晶ゲータイト粒子を生成させ、次
いで該生成ゲータイト粒子をF別、水洗、乾燥後、加熱
脱水することにより得られた平均長軸長さが0.3〜2
.0μmであり、且つ、BET法による比表面積が50
〜30300 ml f?であって、針状晶ゲータイト
粒子の長軸長さと軸比とを保持継承した針状晶へマタイ
ト粒子を、加熱水蒸気と非還元性ガスとからなるs 雰囲気下において水蒸気分圧 (P8は水Ps+
Pi 蒸気分圧、Piは非還元性ガス分圧)30〜100%、
温度350〜700℃の範囲で加熱焼成することにより
、平均長軸長さが0.1−1.5μmであり、且つ、B
ET法による比表面積が10〜30m/fである針状晶
を継承している実質的に高密度な針状晶へマタイト粒子
とした後、該針状晶へマタイト粒子を還元性ガス中35
0〜630℃の温度範囲で加熱還元することにより針状
晶金属鉄磁性粒子を得ることよりなる針状晶金属鉄磁性
粒子粉本の製造法である。
本発明の構成、効果を説明すれば以下の通りである。
先ず、本発明の基礎とする諸知見について述べる。
一般に微量のSiを含有している針状晶ゲータイト粒子
を300℃付近で加熱脱水して得られた微量のSiを含
有している針状晶へマタイト粒子は前述したように針状
晶を保持継承したものではあるが、一方、単一粒子の粒
子成長が十分ではなく、従って結晶性の度合が非常に小
さいものである。
このような結晶性の度合が小さい微量のSiを含有して
いる針状晶へマタイト粒子でも、更に、焼きもどし等の
加熱焼成をすることにより単一粒子の粒子成長をはかる
ことができ、従って、結晶性の度合も高めることができ
る。
前述した様に、微量のSiを含有している針状晶へマタ
イト粒子を非還元性ガス中加熱焼成する温度が高くなる
程効果的に単一粒子の粒子成長をはかることができ、従
って、結晶性の度合が高められた針状晶へマタイト粒子
とすることができるが、soo’c以上になると単一粒
子が形骸粒子の大きさを越えて成長し、針状晶粒子の変
形と粒子および粒子相互間の焼結をひき起すことが知ら
れている。
さらに、微量のSi を含有している出発原料の針状晶
を保持継承することができる800℃以下の温度範囲に
おいてできるだけ高い温度で加熱焼成して、単一粒子の
粒子成長をはかり、従って結晶性の度合が高められた微
量のSiを含有している針状晶へマタイト粒子を得る方
法が知られて(・る。
例えば、特開昭52−95097号公報には次のように
記載されている。
「Siを吸着または混入せしめたα−Fe00Hまたは
α−F e 20g粒子を適切な熱処理条件のもとで」
加熱焼成することにより「粒子間相互の焼結を抑制して
針状性を保持しながら脱水・封孔性は促進せしめ」、結
晶の「完全性の高い」針状晶へマタイト粒子を得ること
ができる。
この方法における 「適切な熱処理条件」とは、実施例
の記載によれば、微量のSiを含有している針状晶ゲー
タイト粒子をアルゴン、大気等の非還元性雰囲気中、7
00〜800℃の温度で加熱焼成するものである。
即ち、微量のSi を含む針状晶へマタイト粒子を加熱
焼成して単一粒子の粒子成長をはかり、従って結晶性の
度合を高めようとすれば、700’C以上の温度が必要
であり、700℃以下の温度では、Si粒子成長抑制効
果により、かえって単一粒子の粒子成長がさまたげられ
結晶性の度合が非常に小さいものしか得られないのであ
る。
このように、700℃以上という高温で加熱焼成するこ
とは精度の高い設備、高度な技術を必要とし、工業的、
経済的とは言えない。
そこで、本発明者は、上述した事実に鑑み、非還元性雰
囲気中において、700℃以下のできるだけ低い温度で
本発明により用いられる微量のSiを含有している針状
晶へマタイト粒子を加熱焼成して、単一粒子の十分、且
つ、均一な粒子成長をはかることにより結晶性の度合が
高められた針状晶へマタイト粒子とすることについて更
に、検討を重ねた。
その結果、本発明において用いられる微量のSi を含
有している針状晶ゲータイト粒子を加熱脱水して得られ
た平均長軸長さが0.3〜2.0pmであり、且つ、B
ET法による比表面積が50〜300R/?であって針
状晶ゲータイト粒子の長軸長さと軸比とを保持継承した
針状晶へマタイト粒子を、加熱水蒸気と非還元性ガスと
からなる雰囲気下にPs おいて水蒸気分圧 (Psは水蒸気分圧、P s
+P i Piは非還元性ガス分圧)30〜100%、温度350
〜700℃の範囲で加熱焼成することにより平均長軸長
さが0.1〜1.5μmであり、且つ、BET法による
比表面積が10〜30 rrt/?である針状晶へマタ
イト粒子とした場合には、結晶性の度合が高められた実
質的に高密度であり、且つ、針状晶を保持継承した針状
晶へマタイト粒子を得ることができるという知見を得た
これについて更に詳述すれば次の様である。
微量のSiを含有している針状晶ゲータイト粒子が加熱
脱水して針状晶へマタイト粒子となる過程は、ヘマタイ
トの単一粒子の発生と該単一粒子の成長とからなるもの
で、この脱水反応を急激に生起させると生成へマタイト
の単一粒子の均一な粒子成長が生起しがたくなる。
その為に、単一粒子の急激な粒子成長は、粒子及び粒子
相互間の焼結を惹起し、形骸粒子の粒子形状の変形をも
たらすので、針状晶を保持継承することが困難となる。
そこで、本発明者は、結晶性の度合が高められた実質的
に高密度であり、且つ、針状晶を保持継承している微量
のSiを含有している針状晶へマタイト粒子を得るため
には、ヘマタイトの単一粒子の核の発生時期と該単一粒
子の核の成長時期を別々に制御することが必要であると
考えた。
即ち、ますへマタイトの単一粒子の核の発生時期には、
核の成長を部側することが必要である。
ヘマタイトの単一粒子の核の発生時期とは、厳密に言え
ば針状晶ゲータイト粒子の脱水率が100%に達した時
点であるが、工業的規模において、この時点で反応を停
止することは不可能であり、又、その判定は非常に困難
である。
しかし、通常の針状晶へマタイト粒子を得る方法によれ
ば前述した特公昭48−15759号公報に記載の如く
、針状晶を保持継承している範囲のへマタイト形骸粒子
は比表面積が大きく、従って、微細で均斉なヘマタイト
単一粒子群から成るものである。
本発明者は、この現象について詳細な検討を行い、前述
の図4の説明で詳述した如く、脱水速度と本発明におい
て用いられる微量のSiを含有している生成へマタイト
形骸粒子の比表面積の関連性を実験で確め、その結果、
脱水速度を制御することと微量のSiを含有している生
成へマタイト形骸粒子の比表面積(BET法)の値から
、ヘマタイト単一粒子の核の発生時期を判定することが
できることを可能としたのである。
次に、本発明において用いられる微量のSiを含有して
いる微細なヘマタイトの単一粒子の多数の核からなる針
状晶形骸粒子を加熱焼成して形骸粒子の針状晶を保持継
承させながら、単一粒子の多数の核の十分な成長をはか
るには、形骸粒子の大きさを越えない範囲で単一粒子の
粒子成長を制御することが必要である。
そこで、本発明者は、非還元性雰囲気中において、70
0℃以下のできるだけ低い温度で微量のSiを含有して
いる微細なヘマタイト単一粒子の多数の核からなる針状
晶形骸粒子を加熱焼成して、単一粒子の十分な、且つ、
均一な粒子成長をはかることにより結晶性の度合が高め
られた針状晶形骸粒子とすることについて検討した。
その結果、微量のSiを含有している微細なヘマタイト
単一粒子の多数の核からなる粒度の均斉な針状晶形骸粒
子を加熱水蒸気と非還元性ガスとs か61雰囲気下に3°゛1水蒸気分圧P8+1.30〜
100%の範囲で加熱焼成した場合には、700℃以下
の温度で微量のSiを含有しているヘマタイト単一粒子
の十分な、且つ、均一な粒子成長をはかることができ、
従って結晶性の度合が高められた実質的に高密度な針状
晶へマタイト粒子を得ることができることを知ったので
ある。
今、本発明者が行った数多くの実験例から、その二部を
抽出して説明すれば次の通りである。
図5は、異なる加熱焼成雰囲気下において本発明におい
て用いられる微量のSiを含有している針状晶へマタイ
ト粒子を加熱焼成して得られた焼成粒子の比表面積と加
熱焼成温度との関係図である。
即ち、平均長軸長さ0.55μ瓶、比表面積・1307
47 ′?の微量のSiを含有(Si/Fe=1.1原
子%)している微細なヘマタイト単一粒子の多数の核か
らなる針状晶形骸粒子粉末300S’を容積31の一端
開放型レトルト容器に投入し、駆動回転させながら各々
異なる加熱焼成雰囲気下において、300〜800℃の
各温度で90分間加熱焼成して得られた針状晶へマタイ
ト粒子粉末の比表面積と加熱焼成温度との関係を示した
ものである。
図中、曲線Aは空気中、曲線Bは非還元性ガスとしてN
2 ガスを用い、且つ、水蒸気分圧Ps 。
Ps+Piか75%0場合・曲線C″′水蒸気分圧Ps
Ps+Piか9°%0場合″″′″杭・ 図かられかるように、加熱焼成雰囲気の水蒸気PS
分圧 か75%、95%の場合には700Ps+
Pi ℃以下の加熱焼成温度で比表面積が30 tri’/
′?J、1下の微量のSiを含有している針状晶へマタ
イト粒子粉末を得ることができる。
即ち、単一粒子の十分な、且つ、均一な粒子成長により
結晶性の度合が高められた実質的に高密度な微量のSi
を含有している針状晶へマタイト粒子粉末を得ることが
できるのである。
このことから、加熱焼成雰囲気中における水蒸気分圧が
微量のSiを含有している針状晶へマタイト粒子の単一
粒子の粒子成長に非常に効果的に働いたものと考えられ
る。
ところで、従来、ヘマタイト粒子の粒子成長に関する技
術として針状晶へマタイト粒子粉末の段階で非還元性ガ
ス中500℃乃至600 ’C以上の温度で加熱焼成す
るものとしては、例えば特公昭39−20939号公報
、特公昭4o−11733号公報、特公昭50−300
37号公報、特公昭52−28120号公報及び米国特
許第 4052326号記載の方法がある。
しかし、これらはいずれも加熱焼成雰囲気中の水蒸気分
圧については全く考慮していない。
また、水蒸気を用いて針状晶へマタイト粒子の粒子成長
を生起させるものとしては、例えば、粉体粉末冶金協会
昭和44年度秋期講演概要集2−1に記載の(1)及び
(2)の方法がある。
(1)の方法は、針状晶ゲータイト粒子を水蒸気中(N
2ガスを25℃、50℃、70 ’C190’C(7)
各温度に保った水中に通す)で350℃30分間加熱し
て針状晶へマタイト粒子を得る方法である。
この方法は、針状晶へマタイト粒子の調整に関スルもの
ではなく、針状晶へマタイト粒子の生成に関するもので
あり、しかも、この方法による場合は、針状晶ゲータイ
ト粒子から針状晶へマタイト粒子の生成にあたって、単
一粒子の核の発生時期と該単一粒子の該の成長時期が同
時に生起する為、単一粒子の多数の核の均一な成長が生
起しにく八その制御が困難であり、この為、針状晶を保
持継承することが難しい。
(2)の方法は、針状晶ゲータイト粒子を空気中で35
0℃、30分間加熱して得られた針状晶へマタイト粒子
をオートクレーブを用いて水蒸気圧の高い状態で加熱す
るものであり、密閉容器中における加熱温度の変化に対
応する水蒸気圧の変化が針状晶へマタイト粒子の粒子成
長に及ぼす影響を観察したものである。
この方法について詳述すれば、オートクレーブ中150
〜350℃の温度で針状晶へマタイト粒子を加熱する方
法であり、周知の水の状態図からも明らかなように、水
と水蒸気の存在下で針状晶へマタイト粒子を処理する所
謂「水熱処理法」であって、この為へマタイト単一粒子
の核の発生時期を制御する工程を含まないので、針状晶
を保持継承することが難しい。
また、同文献によれば、この方法に於て、被処理物とし
て針状晶ゲータイト粒子を用いた場合には、生成へマタ
イト粒子は粒状粒子となると記載されている。
この現象は、オートクレーブ中の高温、高圧下で針状晶
ゲータイト粒子からヘマタイト粒子の生成に於て、ヘマ
タイト単一粒子の核の発生時期と単一粒子の核の成長時
期が同時でしがも、急激に生起する為、針状晶の保持継
承が困難となり、針状晶形骸粒子の大きさを越える粒子
成長の結果、生成へマタイトは粒状粒子となるものと考
えられる。
次に、従来法における加熱還元過程においては、還元性
ガスとして水素を使用する場合、酸化鉄粒子と水素ガス
とが反応して水蒸気が発生する。
このように水蒸気を含む還元性雰囲気は、単一粒子の粒
子成長への影響が著しく、従って、単一粒子は過度に粒
子成長し、粒子および粒子相互間の焼結と変形を引き起
す原因となっている。
その為、従来は、酸化鉄粒子と水素ガスとの反応によっ
て発生した水蒸気をできるだけ少なくするような努力を
しているのである。
例えば、水蒸気を発生しない一酸化炭素を還元ガスとし
て使用する例もある、即ち、特公昭39−5009号公
報に次のように記載されている。
「針状粒子相互間のシンターを防ぐためには水蒸気分圧
が極めて重要であって、還元気圏中の水素の分圧および
流速が重要である事実が判明した。
」 「水蒸気分圧は低く保つことが望ましい。
」従って「水蒸気分圧を低(する為に水素使用の場合そ
の流量を増大する必要がある。
」 「還元気圏の水蒸気分圧が1時間以上0.05気圧
(水蒸気分圧5%)を越えると著しい粒子の凝集が起っ
て来ることが傾向的に認められた。
」「水蒸気分圧によって粒子相互の凝集を防ぐには還元
ガスとして一酸化炭素ガスを使用するのが良い。
一酸化炭素と酸化鉄との反応により生ずる二酸化炭素ガ
スには粒子を凝集させる効果が認められないからである
」次に、本発明方法実施にあたっての諸条件について述
べる。
本発明において用いられるSiを微量に含有(Si/F
e が0.1〜1.7原子%)している針状晶ゲータイ
ト粒子を加熱脱水して得られた針状晶へマタイト粒子は
、平均長軸長さが0.3〜2.0μm1比表面積が50
〜300 rrr’/f?であり、針状晶ゲータイト粒
子の長軸長さと軸比とを保持継承したものである。
平均長軸長さが0.3μm以下、2.0μm以上の粒子
は、磁気記録用磁性粉用原料として好ましくない。
通常、比表面積が50771″/1以下の微量のSiを
含有しているヘマタイト粒子を得ることはむずかしい。
何故ならば形骸粒子の針状晶を保持させる為には緩慢な
脱水速度で行う必要があり、その為長時間の脱水処理工
程となり、工業的に好ましくない。
一方、過激な脱水条件下では比表面積が50 m/ ?
以下のへマタイト粒子を得ることができるが最早や、針
状晶の粒子形状を保持継承したものとはいえない。
比表面積が300 m”/ 9以上であっても本発明方
法を実施することは可能であるが、脱水速度を早めたと
しても得られるヘマタイト粒子の比表面積は高々300
rrt/11位である。
針状晶ゲータイト粒子の長軸長さと軸比とを保持継承し
た針状晶へマタイト粒子は微細なヘマタイト単一粒子の
多数の核からなる形骸粒子であり、これは針状晶の保持
継承を配慮したものである。
Ps 。
本発明における水蒸気分圧 か30%以P s
+P i 下である場合には、比表面積が30m/f以下の微量の
Siを含有している針状晶へマタイト粒子を得るために
高温を必要とし、また、管理中がせまくなるので制御が
むずかしい。
比表面積が30m/?以下の微量のSiを含有している
針状晶へマタイト粒子を安定して短時間に効果的に得よ
うPs 。
とすれば水蒸気分圧 か50〜100%でp s
+P i あることが好ましい。
水蒸気分圧の制御は、水蒸気流量計を用いて加熱水蒸気
の流量を制御することにより行うことができる。
本発明における非還元性ガスとは、空気、窒素ガス等を
用いることができる。
本発明における加熱焼成温度が350℃以下である場合
は、比表面積が30 rn’/ t?以下の微量のSi
を含有している針状晶へマタイト粒子を得るのに長時間
を要し効果的ではない。
700℃以上である場合は、精度の高い設備、高度な技
術を必要とし工業的、経済的ではない。
工業資材の材質および設備構造面から経済性を考慮した
場合、450〜650℃の温度範囲が好ましい。
本発明における加熱焼成して得られた微量のSiを含有
している針状晶へマタイト粒子粉末の平均長軸長さは0
.1〜1.5μmであり、且つ比表面積は10〜30
m/ ?である。
ヘマタイト粒子の針状性と高密度化を考慮すれば平均長
軸長さは0.1〜1.5μmであることが好ましい。
比表面積が10 rrl/ ?以下のものは針状晶粒子
の粒子形状が(ずれた粒子であり、該粒子を用いて得た
金属磁性粒子粉末もまた、針状晶が不良な為磁気記録用
磁性材料として好ましくない。
比表面積が30rn:/?以上である場合は、針状晶へ
マタイト粒子の単一粒子の粒子成長が十分であるとは言
いがたく、従って、結晶性の度合が高められたものとは
言い得ない。
本発明において、還元性ガス中加熱還元する温度が35
0℃以下である場合、還元反応の進行が遅く長時間を要
す。
また、600℃以上である場合には、還元反応が急激に
進行して針状晶粒子の変形と粒子および粒子相互間の焼
結を引き起してしまう′。
しかも、還元性ガス中600℃以上という高温で加熱還
元するということは、精度の高い設備、高度な技術を必
要とし、工業的、経済的とは言えない。
還元反応の速度、粒子の形状と粒子および粒子相互間の
焼結、更に工業資材および設備構造面などを考慮した場
合、450℃以上550℃以下が好ましい。
次に、本発明の効果に一ついて述べる。
上述した通りの本発明によれば、出発原料粒子の針状晶
と粒度を保持継承しており、また、樹枝状粒子が混在し
ておらず、単一粒子の十分な、且つ、均一な粒子成長に
起因して粒子表面並びに粒子内部の結晶性の度合が高め
られた実質的に高密度な針状晶金属鉄磁性粒子粉末を得
ることができる。
このようにして得られた針状晶金属鉄磁性粒子粉末は、
磁気特性においては大きな飽和磁束密度σSと高い保磁
力Hcを有し、粉体特性においては、高分散性、高配向
性、高充填性を有するので現在量も要求されている高出
力、高感度、高記録密度用磁性粒子粉末として好適なも
のである。
また、磁性塗料の製造に際して、上記の針状晶金属鉄磁
性粒子粉末を用いた場合にはビークルへの分散性が良好
であり、塗膜中での配向性及び充填性が極めてすぐれ、
好ましい電磁気変換特性を有する磁気記録媒体を得るこ
とができるのである。
更に、本発明方法を実施することにより、常法による加
熱還元過程に先立って単一粒子の粒子成長という物理的
変化を十分生起させることができるので、加熱還元過程
においては還元反応という化学的変化を主体に行えばよ
い為、加熱還元時間が短縮でき、また、還元ガスの使用
効率も大巾に向上させることができ、生成粒子について
言えば粒子および粒子相互間の焼結や変形といった粒子
形態への悪影響もない。
次に、実施例並びに比較例により、本発明を説明する。
尚、実験例、実施例および比較例における比表面積はい
ずれもBET法により、Bi量は、JIS G−12
12のSi分析法により測定した。
く針状晶ゲータイト粒子粉末の製造〉 実施例1〜4、比較例1; 実施例 1 球※
Fe 2+1.15 mol を含む硫酸第一鉄水溶
液604?をあらかじめ、反応器中に準備された801
−NのNaOH水溶液401に加え、PH13,4、温
度35℃において水酸化第一鉄粒子の生成を行った。
上記水酸化第一鉄粒子を含む水溶液に、3号ケイ酸ナト
リウム(SiO228゜55wt%)147? (Fe
に対し、S1換算で1.1原子%)を添加して攪拌混合
した後温度45°Cにおいて毎分201ンの空気を10
時間通気して針状晶ゲータイト粒子を生成した。
酸化反応終点は、反応液の一部を抜き取り塩酸酸性に調
整した後、赤血塩溶液を用いてFe2+の青色呈色反応
の有無で判定した。
生成粒子は常法により、水洗、沢別、乾燥、粉1砕した
得られた針状晶ゲータイト粒子は、電子顕微鏡観察の結
果、平均長軸長さ0.55μm、軸比(長軸二短軸)9
:1であり、且つ、粒度が均斉で樹枝状粒子が混在しな
いものであった。
また、Feに対しSiを1.16原千%含有しており、
比表面積は28゜5rri’/fであった。
実施例 2〜4 第一鉄塩水溶液の種類、Fe2+濃度、NaOH水溶液
の濃度、水可溶性ケイ酸塩の添加量を種々変化させた以
外は、実施例1と全く同様にして針状晶ゲータイト粒子
を生成した。
この時の主要製造条件及び特性を表1に示す。
実施例2〜4で得られた針状晶ゲータイト粒子粉末は、
いずれも、電子顕微鏡観察の結果、粒度が均斉で樹枝状
粒子が混在しないものであった。
比較例 1 水可溶性ケイ酸塩を添加しないで、他の諸条件は実施例
2と全く同様にして針状晶ゲータイト粒子粉末を生成し
た。
この時の主要製造条件及び特性を表1に示す。
得られた針状晶ゲータイト粒子粉末は、電子顕微鏡観察
の結果、粒度が不均斉であり樹枝状粒子が混在していた
〈原料針状晶へマタイト粒子粉末の生成〉実施例5〜8
、比較例2: 実施例 5 実施例1で得られた針状晶ゲータイト粒子粉末**50
01’を空気中350 ’Cで加熱脱水(脱水速度2.
2モル/分)して針状晶へマタイト粒子粉末を得た。
得られた針状晶へマタイト粒子粉末は、平均長軸長さ0
.55μm、軸比(長軸:短軸)10:1で針状晶ゲー
タイト粒子の長軸長さと軸比とを保持継承した微細なヘ
マタイト単一粒子群から成る針状晶形骸粒子であり、且
つ、比表面積は130rri’/7であった。
実施例6〜8、比較例2 針状晶ゲータイト粒子粉末の種類、加熱脱水速度及び加
熱温度を種々変化させた以外は実施例5と全く同様にし
て針状晶へマタイト粒子粉末を得た。
得られた針状晶へマタイト粒子粉末の主要製造条件及び
緒特性を表2に示す。
〈針状晶へマタイト粒子粉末の調整 実施例9〜21.比較例3〜6; 実施例 9 実施例50針状晶へマタイト粒子粉末500Pを容積7
1の一端開放型レトルト容器に投入し、駆動回転させな
がら空気と水蒸気をレトルト内にs 通気し、レトルト内の水蒸気分圧()を P s +P i 85%に併持しつL370℃の温度で200分間加熱焼
成した。
得られた針状晶へマタイト粒子粉木は、平均長軸長さ0
.55μm、軸比(長軸:短軸)15:1であり、且つ
、比表面積が28 m”/ ?であった。
実施例10〜21.比較例4〜5 原料の種類、非還元性ガスの種類、水蒸気分圧、焼成温
度及び焼成時間を種々変化させた以外は実施例9と全く
同様にして針状晶へマタイト粒子粉末を得た。
得られた針状晶へマタイト粒子粉末の主要製造条件及び
諸条件を表3に示す。
比較例 3 水蒸気の吹込みをしないで気温30℃、湿度80%の空
気を用いた以外は実施例11と全く同様にして針状晶へ
マタイト粒子粉末を得た。
得られた針状晶へマタイト粒子の緒特性を表3に示す。
比較例 6 比較例1で得られた針状晶ゲータイト粒子粉末をそのま
〜使用した以外は、実施例11と全く同様にして針状晶
へマタイト粒子粉末を得た。
得られた針状晶へマタイト粒子粉末は、平均長軸長さ1
.25μm、軸比(長軸:短軸)3:1で粒子形状の変
形と粒子および粒子相互間の焼結を引き起したものであ
り、また、比表面積は1zm/?であった。
〈針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造〉 実施例22〜37、比較例7〜13; 実施例 22 実施例9で得られた針状晶へマタイト粒子粉末320グ
を容i71の一端開放型レトルト容器に投入し、駆動回
転させながら、H2ガスを毎分2.21の割合で通気し
還元温度450℃で還元して針状晶金属鉄粒子粉末を得
た。
還元して得られた針状晶金属鉄粒子粉末は、空気中に取
り出したとき急激な酸化を起さないように、一旦、トル
エン中に浸漬してこれを蒸発させる安定化処理を施した
このようにして得た針状晶金属鉄粒子粉末は、電子顕微
鏡観察の結果、針状晶を保持しており平均長軸長さ0.
55μm、軸比(長軸:短軸)12:1であった。
また、保磁※※力Heは16200e、飽和磁束密度σ
Sは170emu/?であった。
実施例23〜37、比較例8〜12 針状晶へマタイト粒子粉末の種類及び還元温度を種々変
化させた以外は、実施例22と全く同様にして金属鉄粒
子粉末を得た。
得られた金属鉄粒子粉末の緒特性を表4に示す。
尚、電子顕微鏡観察の結果、実施例23〜37で得られ
た金属鉄粒子粉末は針状晶を保持継承し粒度が均斉であ
り、また、樹枝状粒子が混在していないものであったが
、比較例8〜12で得られた金属鉄粒子粉末は、粒子の
変形と粒子及び粒子相互間の焼結をひき起したものであ
った。
比較例 7 比較例1で得られた針状晶ゲータイト粒子粉末をそのま
ま使用した以外は、実施例22と全く同様にして針状晶
金属鉄粒子粉末を得た。
得られた金属鉄粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、粒
子の変形と粒子及び粒子相互間の焼結をひき起したもの
であり、平均長軸長さ1.35μm、軸比(長軸:短軸
)3:1であった。
また、保磁力Heは3800e、飽和磁束密度σsは1
52 emu/Pであった。
比較例 13 比較例1で得られた針状晶ゲータイト粒子粉末35M’
を容積71の一端開放型レトルト容器に投入し、駆動回
転させながら水素カス2.217分と水蒸気を通気しな
がら、レトルト内の水煮気分に保持しつ八 450℃で
加熱還元して金属鉄粒子粉末を得た。
得られた金属鉄粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、粒
子の変形と粒子及び粒子相互間の焼結をひき起したもの
であり、平均長軸長さ1.35μm、軸比(長軸:短軸
)3:1であった。
また、保磁力Hcは4200e 、飽和磁束密度σSは
140emu/?であった。
【図面の簡単な説明】
図1は、Fe (OH)2を含む水溶液への水可溶性ケ
イ酸塩の添加量と針状晶ゲータイト粒子の生成反応時間
との関係図である。 図中、曲線A、B。Cはそれぞれ反応鉄濃度が0.3m
ol/l、 0.4mol / 73 、0.7 mo
l / 73 の場合である。 図2は、Fe (OH)2を含む水溶液への水可溶性ケ
イ酸塩の添加量と針状晶ゲータイト粒子の比表面積との
関係を示したものである。 図中、曲線A、B、Cはそれぞれ反応鉄濃度0.3mo
l/l、0、4 mol / L O,7mol /
l の場合である。 図3は、Siを含有(Si/Fe=1.1原子%)して
いる針状晶ゲータイト粒子を加熱脱水して得た微細なヘ
マタイト単一粒子群からなる比表面積力130 m/
?の針状晶形骸粒子粉末を水素気流中400℃で加熱還
元して針状晶金属鉄粒子粉末とする加熱還元過程におけ
る加熱還元生成粒子の還元度と比表面積との関係図であ
る。 図4は、Siを含有(si /Fe = 1.1原子%
)シテイル針状晶ゲータイト粒子を加熱脱水して針状晶
へマタイト粒子とする過程において、脱水速度の異なる
条件下において生成された粒子の脱水率と比表面積の関
係図である。 図中、曲線A、B、Cはそれぞれ脱水速度が7.2モル
/分、2.0モル/分、0.25モル/分の場合である
。 図5は、異なる加熱焼成雰囲気下においてSiを含有(
si /Fe = i、1原子%)している針状晶へマ
タイト粒子粉末を加熱焼成して得られた焼成粒子の比表
面積と加熱焼成温度との関係図である。 図中、Aは空気中、Bは非還元性ガスとじての場合であ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 第一鉄塩水溶液とアルカリ水溶液とを反応させて得
    られるFe (OH)2を含むPH11以上の水溶液に
    あらかじめ水可溶性ケイ酸塩を添加し、しかる後酸化し
    て針状晶ゲータイト粒子を生成させ、次いで、該生成ゲ
    ータイト粒子をp別、水洗、乾燥後、加熱脱水すること
    により得られた平均長軸長さが0.3〜2.0μmであ
    り、且つ、BE’l’法による比表面積が50〜300
    771/?であって針状晶ゲータイト粒子の長軸長さと
    軸比とを保持継承した針状晶へマタイト粒子を、加熱水
    蒸気と非還元性ガスとからなる雰囲気下において水煮気
    分s 圧 (Psは水蒸気分圧、Piは非還元性p s
    +P i ガス分圧)30〜100%、温度350〜700℃の範
    囲で加M成することにより、平均長軸長さが0.1〜1
    .5μ汎であり、且つ、BET法による比表面積が10
    〜30 rtl/?である針状晶を継承している実質的
    に高密度な針状晶へマタイト粒子とした後、該針状晶へ
    マタイト粒子を還元性ガス中350〜600℃の温度範
    囲で加熱還元することにより針状晶金属鉄磁性粒子を得
    ることを特徴とする針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造法
    。 2 水可溶性ケイ酸塩の添加量がFeに対し、Si換算
    で0.1〜1.7原子%である特許請求の範囲第1項記
    載の針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造法。 3 加熱水蒸気と非還元性ガスとからなる雰囲気s 下において水蒸気分圧 (Psは水煮気分Ps+
    Pi 圧、Piは非還元性ガス分圧)が50〜100%である
    特許請求の範囲第1項又は第2項記載の針状晶金属鉄磁
    性粒子粉末の製造法。 4 加熱焼成温度が450〜650℃の範囲である特許
    請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに記載の針状晶
    金属鉄磁性粒子粉末の製造法。 5 還元性ガス中の加熱還元温度が450〜550℃の
    温度範囲である特許請求の範囲第1項乃至第4項のいず
    れかに記載の針状晶金属鉄磁性粒子粉末の製造法。
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