JP4473571B2 - シリコンウェーハの製造方法 - Google Patents

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    • H01L21/3225Thermally inducing defects using oxygen present in the silicon body for intrinsic gettering

Description

【0001】
技術分野
本発明は、表面近傍に無欠陥層(DZ層またはエピタキシャル層)を有し、バルク中にはゲッタリング能力の高い酸素析出物を有するシリコンウェーハを、極めて効率的、かつ、簡便な熱処理により得ることができるシリコンウェーハの製造方法に関する。
【0002】
背景技術
半導体素子の基板として広く用いられているシリコンウェーハの大半は、Czochralski(CZ)法により育成されている。CZ法により育成されたシリコン単結晶中には、およそ1018atoms/cm3の濃度で格子間酸素が不純物として含まれる。この格子間酸素は、結晶育成工程中の固化してから室温まで冷却されるまでの熱履歴(以下、結晶熱履歴と略すことがある。)や半導体素子の作製工程における熱処理工程において過飽和状態となるために析出して、シリコン酸化物の析出物(以下、酸素析出物または単に析出物と呼ぶことがある。)が形成される。
【0003】
その酸素析出物は、デバイスプロセスにおいて混入する重金属不純物を捕獲するサイトとして有効に働く。これをインターナルゲッタリング(Internal Gettering、以下IGまたは単にゲッタリングと呼ぶことがある。)と呼び、デバイス特性や歩留まりを向上させる。このことから、シリコンウェーハの品質の1つとして、IG能力が重要視されている。
【0004】
酸素析出の過程は、析出核形成とその成長の過程から成る。通常は、結晶熱履歴において核形成が進行し、その後のデバイスプロセス等の熱処理により大きく成長し、酸素析出物として検出されるようになる。このことから、結晶熱履歴で形成されたものをGrown−in析出核と呼ぶことにする。もちろん、その後の熱処理においても酸素析出核が形成される場合がある。
【0005】
通常のas−grownウェーハ(一般的な酸素ドナー消滅熱処理以外は未熱処理のウェーハ)の場合、デバイスプロセス前の段階で存在している酸素析出核は極めて小さく、IG能力を持たない。しかし、デバイスプロセスを経ることにより、大きな酸素析出物に成長してIG能力を有するようになる。
【0006】
結晶熱履歴で形成される酸素析出核の密度は、熱履歴の長さに依存するため、引き上げ速度などの結晶製造条件や結晶育成軸方向の位置によって大きくばらつくという問題点がある。たとえば、一本の結晶を製造する工程において後半に育成された部位では、熱履歴が短いことにより酸素析出核の密度が低くなる。このことにより、デバイスプロセスで形成される酸素析出物の密度にばらつきが生じ、IG能力にばらつきが生じてしまう。
【0007】
一方、酸素析出物がウェーハ表面近傍のデバイス作製領域に存在すると、デバイス特性を劣化させる。そのことから、ウェーハ表面近傍の酸素を外方拡散させて酸素析出が進行しないようにするために、1100℃以上で数時間の熱処理が施される場合がある。この場合、Grown−in析出核のほとんどが消滅してしまい、その後のデバイスプロセスにおいて酸素析出物が形成されなくなってしまう。
【0008】
そこで、酸素析出核を再形成させるために、約650℃で3時間〜30時間程度の長時間の熱処理が施される。さらに、再形成された酸素析出核を成長させてIG能力を有する大きな酸素析出物にするために、約1000℃の熱処理が加えられる場合がある。このように、表面近傍の酸素を外方拡散させる熱処理、内部に酸素析出核を形成する熱処理、及び酸素析出物を成長させる熱処理の3つの熱処理を組み合わせた処理を一般的にDZ−IG処理と呼ぶ。
【0009】
このDZ−IG処理では、デバイス作製領域となる表面近傍には酸素析出物が存在せず、内部にはIG能力を有する酸素析出物が形成された理想的な構造(以下、DZ−IG構造と呼ぶことがある。)となるが、全体の熱処理工程が長く、効率的でない。
【0010】
また、一般的なCZウェーハでは、Grown−in析出核の他に原子空孔の凝集により形成されたボイド状の欠陥が存在する。このボイド欠陥が鏡面研磨されたウェーハの表面に露出した場合は、COP(Crystal Originated Particle)と呼ばれる表面ピットとなる。このCOP及びボイドもデバイス作製領域に存在すると、デバイス特性を劣化させる。そのことから、COP及び表面近傍のボイドを消滅させるために、水素あるいはアルゴン雰囲気下で1200℃程度あるいはそれ以上の高温熱処理を施す場合がある。
【0011】
しかしながら、この場合、熱応力によりスリップが発生するという問題がある。スリップの発生を抑制するには、熱処理温度が低い方が望ましいが、熱処理温度を低くするとCOP及びボイドが消滅しにくくなってしまう。
【0012】
また、このような場合もIG能力が付加されることが好ましい。そこで、COP及び表面近傍のボイドを消滅させることと、内部に酸素析出物を形成することを同時に実現する方法として、結晶育成時に窒素を添加する方法がある。
【0013】
窒素が添加されたウェーハでは、ボイドのサイズが小さくなることにより高温熱処理で消滅しやすくなり、また、Grown−in析出核が大きくなることにより高温熱処理においても消滅せずに成長して酸素析出物が形成され、IG能力が付加される。
【0014】
しかし、窒素が添加されたウェーハを用いた場合でも、1200℃程度の高温熱処理が必要であることに変わりはない。ウェーハが大口径化するほどスリップが発生しやすくなるため、特に今後の主流となる300mmウェーハでは、1200℃程度あるいはそれ以上の高温熱処理が必要なことが大きな問題となる。
【0015】
さらに、ボイド欠陥が消滅する深さは表面から数μm程度までの極表層であるために、それよりも深い表層をデバイス作製領域として用いるデバイスにおいては、ボイド欠陥がデバイス特性を劣化させる場合が有り得る。
【0016】
ウェーハ表面近傍のデバイス作製領域を無欠陥化するために、エピタキシャル成長用基板としてのシリコンウェーハ上に気相成長によってシリコン単結晶を堆積させたエピタキシャルウェーハ(以下、エピウェーハと呼ぶことがある。)が使用される場合がある。このエピウェーハにおいても、基板にIG能力を付加させることが重要である。
【0017】
しかし、通常のエピタキシャル工程(以下、エピ工程と略すことがある。)が約1100℃以上の高温であるために結晶熱履歴で形成された基板中の酸素析出核(Grown−in析出核)のほとんどが消滅してしまい、その後のデバイスプロセスにおいて酸素析出物が形成されなくなってしまう。そのために、エピウェーハではIG能力が低下するという問題がある。
【0018】
この問題を解決する方法としては、エピ工程前に800℃程度の熱処理を施すことにより、結晶熱履歴で形成されたGrown−in析出核を高温のエピ工程でも消滅しないようなサイズまで成長させる方法がある。この方法において、エピ成長前の熱処理温度が800℃の場合には、800℃における臨界サイズ(その温度で安定成長が可能な析出核の最小サイズ)以上のサイズのGrown−in析出核が成長してエピ工程で残存し、エピ後のデバイスプロセス等の熱処理により成長して酸素析出物となる。
【0019】
一般的に、小さなサイズのGrown−in析出核の密度は高く、大きなサイズのGrown−in析出核の密度は低くなる。また、熱処理温度が低いほど、臨界サイズは小さくなる。従って、より優れたIG能力を付加するために、より高密度のGrown−in析出核を成長させるには、エピ工程前の熱処理温度を低くすることが望ましい。しかし、熱処理温度を低くすると、析出核の成長速度が遅くなるので、エピ工程でも消滅しないサイズまで成長させるための熱処理時間が長くなってしまい、生産性が低下するため好ましくない。
【0020】
また、仮にエピ工程でも消滅しないサイズの酸素析出物があったとしても、近年の低温化短時間化したデバイスプロセスにおいては、デバイスプロセス中の熱処理において酸素析出物の成長が期待できない。このようなデバイスプロセスにおいてもゲッタリング能力を発揮させるためには、デバイスプロセス前の段階において、ゲッタリング能力を有するサイズの酸素析出物を高密度で形成しておく必要がある。
【0021】
上記のように、近年のデバイスプロセスは使用するウェーハの大口径化に伴い、低温化短時間化が進行しており、例えば、一連のデバイスプロセスが全て1000℃以下で行われたり、数十秒程度の熱処理時間しか必要としないRTP(Rapid Thermal Processing)が頻繁に用いられるようになってきている。このようなデバイスプロセスは、全ての熱処理をトータルしても1000℃、2時間程度の熱処理にしか相当しないため、従来のように、デバイスプロセス中での酸素析出物の成長はあまり期待できない。
【0022】
発明の開示
本発明は、一般的なシリコンウェーハでは、結晶熱履歴の違いにより酸素析出核の密度にばらつきがあり、デバイスプロセスにおけるIG能力にばらつきが生じてしまうこと、ウェーハ表面近傍を無欠陥化し、内部にIG能力を有する酸素析出物を形成するための一般的なDZ−IG処理では、熱処理工程の時間が長く、効率的でないこと、COP及び表面近傍のボイドを消滅させ、さらにIG能力を付加するためには、1200℃程度あるいはそれ以上の高温熱処理が必要となり、金属汚染やスリップが発生しやすいこと及びボイドが消滅する深さが浅いこと、に鑑み為されたものである。
【0023】
さらに本発明は、一般的なエピタキシャルウェーハや1000℃以上の高温熱処理が施されたウェーハでは、エピ工程や高温熱処理工程において酸素析出核が消滅してしまうことから、デバイスプロセスにおいて酸素析出物が形成されなくなりIG能力が劣化すること、IG能力を付加するためにエピ工程や高温熱処理工程前に低温熱処理を施す方法においては、より優れたIG能力を付加するには、熱処理時間が長くなり効率的でないこと、また、仮にエピ工程や高温熱処理でも消滅しないサイズの酸素析出物があったとしても、近年の低温化短時間化したデバイスプロセスにおいては、デバイスプロセス中の熱処理において酸素析出物の成長が期待できないこと、に鑑みなされたものである。
【0024】
本発明の第1の目的は、デバイスプロセス前の段階において、酸素析出物の密度を高くすることとサイズを大きくすることを同時に実現することで、安定に優れたIG能力を付加することができるシリコンウェーハの製造方法を提供することにある。
【0025】
本発明の第2の目的は、ウェーハ内部に存在するGrown−in析出核をゲッタリング能力を有するサイズ以上の酸素析出物に成長させることと、表面近傍のGrown−in析出核を消滅させることを簡便な熱処理により同時に実現することで、効率的にDZ−IG構造を形成すること、そして、形成されたDZ層中の酸素析出物をより完全に消滅させることで、極めて高品質のDZ−IG構造を効率的に形成することができるシリコンウェーハの製造方法を提供することにある。
【0026】
また、結晶熱履歴で形成されたGrown−in析出核をできるだけ消滅させることなく短時間で効率よく成長させ、低温化短時間化されたデバイスプロセス中であっても優れたIG能力を付加することができ、近年の低温化短時間化したデバイスプロセスにおいても十分にゲッタリング能力を発揮することのできるエピタキシャルウェーハを効率的に製造することのできるシリコンエピタキシャルウェーハの製造方法及びシリコンエピタキシャルウェーハを提供することを目的とする
【0027】
上記課題を解決するために、本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様は、シリコンウェーハにゲッタリング能力を付加するため当該シリコンウェーハに熱処理を施すシリコンウェーハの製造方法であって、酸素析出核を形成する昇温工程Aと、前記酸素析出核を成長させる昇温工程Bと、前記成長した酸素析出核をさらに大きな酸素析出物に成長させる等温保持工程Cの少なくとも3つの工程により構成され、前記昇温工程AはT1℃からT2℃までR1℃/分の速度で昇温する工程であって、T1℃が650℃以下、T2℃が700℃以上及びR1℃/分が1.5℃/分以下であり、前記昇温工程BはT2℃からT3℃までR2℃/分の速度で昇温する工程であって、T2℃が700℃以上、T3℃が1000℃以上及びR2℃/分がR1℃/分以上且つ7℃/分以下であることを特徴とする。上記昇温工程Aと昇温工程Bと等温保持工程Cを工程順に連続して行うのが好ましい。
【0028】
前記昇温工程AはT1℃からT2℃までR1℃/分の速度で昇温する工程であって、T1℃が650℃以下、T2℃が700℃以上及びR1℃/分が1.5℃/分以下である。
【0029】
1℃は低いほど析出物密度が高くなるが、析出物を形成するのに必要な工程時間が長くなってしまうので、500℃以上とすることが好ましい。また、650℃を超える温度であると析出物密度が十分に得られない場合がある。同様に、T2℃が700℃未満であっても析出物密度が十分に得られない場合があるので700℃以上とすることが好ましく、その上限温度は熱処理プロセス上、T3℃ということになるが、析出物密度を高くすることと工程時間を短くする観点から、T2℃は750℃以上850℃以下であることがより好ましい。
【0030】
また、R1℃/分が低速であるほど析出物密度が高くなるため、十分な析出物密度を得るためには1.5℃/分以下が好ましいが、あまりに低速すぎると析出物を形成するのに必要な工程時間が長くなってしまうので、0.5℃/分以上とすることが好ましい。
【0031】
この昇温工程Aにより、酸素析出核を高密度で形成することができる。従って、酸素析出核をほとんど含んでいないエピウェーハや約1000℃以上の熱処理があらかじめ施されたシリコンウェーハにおいても、高密度の酸素析出核を形成することができる。また、結晶熱履歴において酸素析出核が十分に形成されなかったウェーハにおいても、高密度の酸素析出核を形成することができる。従って、その後の工程において形成される酸素析出物の密度を高くすることができる。
【0032】
さらに、デバイスプロセスにおける汚染の程度に合わせて酸素析出物の密度を変えたい場合は、たとえばT2℃を約750℃とし、R1℃/分を約1℃/分として、T1℃を変えることにより密度を容易に変えることができる。酸素析出物の密度が高くなるほどIG能力が高くなることはいうまでもないが、密度を高くする場合は工程時間が長くなる。従って、必要な密度を効率的に得るために、密度を容易に変えることができる効果は重要である。
【0033】
上記昇温工程BはT2℃からT3℃までR2℃/分の速度で昇温する工程であって、T2℃が約700℃以上であり、T3℃が約1000℃以上であり、R2℃/分がR1℃/分以上且つ約7℃/分以下である。この昇温工程により、前記昇温工程Aにおいて形成された酸素析出核を効率的に成長させることができる。
【0034】
3℃を1000℃以上とすることにより、析出物を十分な大きさに成長させることができる。また、T3℃が高いほど析出物が大きくなるが、スリップ転位の発生や金属汚染を防ぐため、1230℃以下とすることが好ましく、1150℃以下とすることがより好ましく、1100℃以下とすることがさらに好ましい。
【0035】
2℃/分は十分に低速であれば良いが、過度に低速にすると工程時間が長くなってしまう。そこで、R2℃/分をR1℃/分以上且つ約7℃/分以下にするのが望ましい。約7℃/分以下であれば、その前の工程で形成された酸素析出核のほとんどを消滅させることなく効率的に成長させることができる。また、析出物密度を高めるため、R1℃/分以上5℃/分以下が好ましい。
【0036】
温度が高いほど析出物の成長速度が速くなるので、R2℃/分をR1℃/分以上の高速にすることにより短時間で成長させることができる。
【0037】
前記等温保持工程CはT3℃でt時間保持する工程であって、T3℃が約1000℃以上であり、t時間が約1時間以上であることが好ましい。この等温保持工程Cにより、昇温工程Bにおいて成長した微小な酸素析出物を、IG能力を有する大きな酸素析出物に成長させることができる。従って、酸素析出物の成長が期待できないような低温化短時間化されたデバイスプロセスにおいても、優れたIG能力を発揮できるようになる。尚、t時間が長いほど析出物のサイズが大きくなるが、工程時間が長くなり生産性が低下するので、4時間以下とすることが好ましい。
【0038】
ここで、IG能力を有する酸素析出物のサイズは、実験的に検出可能な酸素析出物のサイズ(直径30nm〜40nm程度)を目安にしている。一般的には、実験的に検出できないサイズの酸素析出物でもIG能力を有すると考えられているので、実験的に検出可能なサイズであれば十分なIG能力を有すると判断できる。
【0039】
さらに、保持温度T3℃や保持時間t時間を変えることにより、酸素析出物のサイズを容易に変えることができる。酸素析出物のサイズを大きくするほどIG能力が高くなると考えられるが、工程時間が長くなる。従って、必要な酸素析出物のサイズを効率的に得るために、サイズを容易に変えることができる効果も重要である。
【0040】
昇温工程Aと昇温工程Bの間、及び昇温工程Bと等温保持工程Cの間においてウェーハを熱処理炉外に取り出すこともできるが、上記3工程を連続して行うことにより全体の工程時間を短縮することができる。
【0041】
この等温保持工程Cの後、ウェーハを熱処理炉外に出す際の熱処理炉内温度やその温度までの降温速度は問わないが、熱応力によるスリップが発生しないように決定することが望ましい。たとえば、熱処理炉内温度をT3℃から800℃まで2℃/分で降温した後、ウェーハを熱処理炉外に取り出すことができる。
【0042】
本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様の効果を十分に得るためには、シリコンウェーハの酸素濃度が約17ppma以上であることが望ましい。酸素濃度が高ければ、核形成速度及び成長速度が速くなるので、全体の工程時間が短くなる。酸素濃度が低くても、例えばT1℃を低温にしたり、R1℃/分やR2℃/分を低速にすることにより、本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様の効果を得ることができる。
【0043】
本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様は、エピタキシャルウェーハや1000℃以上(特に1100℃以上)の熱処理があらかじめ施されたシリコンウェーハに対しても効果的に適用することができる。
【0044】
上述のことから、本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様により、デバイスプロセス前の段階において、酸素析出物の密度を高くすることとサイズを大きくすることを同時に実現できる。従って、酸素析出核をほとんど含んでいないウェーハにおいても、大きな酸素析出物を高密度で形成することができ、酸素析出物の成長が期待できない低温化短時間化されたデバイスプロセスにおいても優れたIG能力を発揮できるようになる。
【0045】
本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様の付加的な効果として、熱応力によるスリップ転位の発生を抑制する効果が挙げられる。スリップを構成している転位は酸素析出物によりピンニングされることが知られている。従って、本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様により大きな酸素析出物が高密度で形成されれば、転位がピンニングされる確率が高くなりスリップ転位の発生が抑制される。
【0046】
本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様は、シリコン単結晶の育成工程で形成されたGrown−in析出核を有するシリコンウェーハに対し、500℃〜700℃の範囲内の温度T4℃で所定時間t1保持し、次いで5℃/分以下の昇温速度R℃/分で1000℃〜1230℃の範囲内の温度T5℃まで昇温し、この温度T5℃で所定時間t2保持することにより、前記Grown−in析出核を、ゲッタリング能力を有するサイズ以上の酸素析出物に成長させるとともに、前記シリコンウェーハ表面近傍の酸素を外方拡散させることを特徴とする。
【0047】
このように、低温(T4℃)から高温(T5℃)まで5℃/分以下の昇温速度でゆっくりと昇温して高温で所定時間保持することにより、バルク中のGrown−in析出核を消滅させることなく効率的にゲッタリング能力を有するサイズ以上に成長させることができる。また、それと同時にウェーハ表面近傍の酸素を外方拡散させることにより、酸素析出核を消滅させることができるので、ウェーハ表面近傍には酸素析出物のないDZ層が形成される。すなわち、本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様によれば、簡便な1ステップの熱処理のみでDZ−IG構造を形成することができる。
【0048】
ここで、IG能力を有する酸素析出物のサイズは、実験的に検出可能な酸素析出物のサイズ(直径30nm〜40nm程度)を目安にしている。一般的には、実験的に検出できないサイズの酸素析出物でもIG能力を有すると考えられているので、実験的に検出可能なサイズであれば十分なIG能力を有すると判断できる。従って、ゲッタリング能力を有するサイズとしては、直径約40nm以上とすることが好ましい。また、酸素析出物サイズの上限は問わないが、大きく成長させるには熱処理時間が長くかかるので直径100nm以下とすることが好ましい。
【0049】
前記温度T5℃が約1000℃よりも低くなると、大きな酸素析出物に成長させるための時間が長くなり、全体の工程時間が長くなってしまう。T5℃が高いほど大きな酸素析出物に成長させるための時間が短くなり、全体の工程時間を短くすることができるが、約1230℃を超える高温では熱処理炉からの金属汚染が顕著になるため、1230℃以下とすることが好ましい。
【0050】
前記温度T4℃は低いほど析出物密度が高くなるが、工程時間が長くなってしまうので、約500℃以上とするのが好ましい。また、約700℃を越える温度であると析出物密度が十分に得られない場合がある。同様に、昇温速度R℃/分が低速であるほど析出物密度が高くなるが、あまり低速すぎると工程時間が長くなってしまうので、約1℃/分以上とするのが好ましい。昇温速度R℃/分が約5℃/分を越える高速になるとGrown−in析出核が成長できず消滅してしまう割合が高くなり、析出物密度が十分に得られない場合がある。
【0051】
前記T4℃からT5℃への昇温速度R℃/分を5℃/分以下とすることにより、Grown−in析出核を極力消滅させることなく効率的に成長させることができる。すなわち、結晶育成工程で形成された既存のGrown−in析出核を成長させるので、酸素析出核を新たに形成するための熱処理工程が無くても析出物密度を十分に高くすることができ、しかも、全体の工程時間を短くすることができる。
【0052】
また、本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様において、前記T4℃からT5℃まで昇温する前に、T4℃における保持時間t1は0分でも構わないが15分以上とすることがより好ましい。これにより、Grown−in析出核がより消滅しにくくなり、さらにGrown−in析出核に加えて新たな酸素析出核を発生させることができ、より高密度の酸素析出核を形成することができる。また、保持時間t1を長くすると工程時間が長くなってしまうことから、約60分以下とするのが好ましい。
【0053】
なお、前記温度T4℃が低いほど、またT4℃での保持時間t1が長いほど、また昇温速度が遅いほど、昇温工程中に新たな析出核が形成され、析出物密度が高くなる。
【0054】
前記温度T5℃での保持時間t2は、Grown−in析出核を、ゲッタリング能力を有するサイズに確実に成長させるため、また、十分な幅をもつDZ層を形成するため約30分以上であることが好ましい。保持時間t2が長いほどバルク中の酸素析出物のサイズが大きくなり、表面近傍のDZ幅を広げることができるが、工程時間が長くなってしまうことから、約4時間以下とするのが好ましく、約2時間以下とするのがより好ましい。一方、保持時間t2が約30分より短くなると、時間の僅かなばらつきにより所望のサイズの
酸素析出物やDZ幅が得られなくなる可能性が生ずることになる。
【0055】
本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様の効果を十分に得るためには、熱処理されるシリコンウェーハの酸素濃度が約16ppma以上であることが望ましい。酸素濃度が高ければ析出物密度が高くなり、より優れたIG能力を付加することができる。また、酸素濃度が高いほど析出物の成長速度が速くなるので、全体の工程時間が短くなる。但し、酸素濃度が低い場合でも、たとえば昇温工程昇温開始温度T4℃を低くしたり、T5℃での保持時間を長くすることにより、本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様の効果が得られる。従って、本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様において酸素濃度の上限は問わないが、シリコン単結晶製造の容易性を考慮すると約23ppma以下が好ましい。
【0056】
また、本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様によれば、デバイスプロセス中の熱応力によるスリップ転位の発生を抑制する効果が得られる。スリップを構成している転位は酸素析出物によりピンニングされることが知られている。従って、本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様により、ある程度の大きなサイズを有する酸素析出物が高密度で形成されれば、転位がピンニングされる確率が高くなりスリップ転位の発生が抑制される。すなわち、本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様は、熱処理によりスリップ転位の発生し易い直径300mm以上の大口径ウェーハに特に好適に用いることができる。スリップ転位の発生を抑制するためには前記温度T5℃を1200℃以下とすることが好ましく、約1150℃以下とするのがより好ましい。
【0057】
さらに、シリコン単結晶の育成の際にボイド欠陥の発生を抑制した条件で引き上げられたシリコン単結晶から作製された、COP及びボイドがほとんど存在しない低欠陥ウェーハに対して本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様を適用することにより、1200℃程度の高温熱処理を施すことなしに、酸素析出物だけでなくCOP及びボイドがほとんど存在しない極めて高品質のDZ−IG構造を形成することができる。これは、スリップの発生を抑制するという観点から、今後の主流となる300mmウェーハにおいて特に有効である。
【0058】
ここで、上記低欠陥ウェーハは、たとえば特開平11−147786号、特開平11−157996号などに記載されているように、結晶の引き上げ速度Vと引き上げ結晶中の固液界面近傍の温度勾配Gとの比V/Gを制御して引き上げる公知技術を用いて得ることができる。
【0059】
本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様は、シリコン単結晶の育成工程で形成されたGrown−in析出核を有するシリコンウェーハにゲッタリング能力を付加するため当該シリコンウェーハに熱処理を施すシリコンウェーハの製造方法であって、前記Grown−in析出核を成長させる昇温工程A1と、より高温の保持温度まで昇温する昇温工程B1と、前記Grown−in析出核をゲッタリング能力を有するサイズ以上の酸素析出物に成長させるとともに、前記シリコンウェーハ表面近傍の酸素を外方拡散させる等温保持工程C1の少なくとも3つの工程により構成され、前記昇温工程A1はT6℃からT7℃までR3℃/分の速度で昇温する工程であって、T6℃が700℃以下、T7℃が800℃〜1000℃、R3℃/分が3℃/分以下であり、前記昇温工程B1はT7℃からT8℃までR4℃/分の速度で昇温する工程であって、T7℃が800℃〜1000℃、T8℃が1050℃〜1230℃、R4℃/分が5℃/分以上であることを特徴とする。上記昇温工程A1と昇温工程B1と等温保持工程C1を工程順に連続して行うことが望ましい。
【0060】
本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様において、上記昇温工程A1はT6℃からT7℃までR3℃/分の速度で昇温する工程であって、T6℃が700℃以下であり、T7℃が800℃〜1000℃であり、R3℃/分が3℃/分以下である。
【0061】
6℃は低いほど成長可能なGrown−in析出核の密度が高くなることにより析出物密度が高くなるが、Grown−in析出核を成長させるのに必要な工程時間が長くなってしまうので、500℃以上とすることが好ましい。また、700℃を越える温度であると析出物密度が十分に得られない場合がある。
【0062】
7℃が800℃未満であると前記昇温工程A1においてGrown−in析出核が十分に成長できず、その後の昇温工程B1で消滅する割合が高くなり、析出物密度が十分に得られない場合がある。T7℃が1000℃を越える温度であると、表面近傍のGrown−in析出核も大きく成長してしまい、その後の昇温工程B1及び等温保持工程C1を経ても表面近傍に残存して、DZ層中の析出物密度が増加してしまう場合がある。
【0063】
また、R3℃/分が低速であるほどGrown−in析出核が消滅せずに成長する割合が高くなることにより析出物密度が高くなるため、十分な析出物密度を得るためには3℃/分以下が好ましいが、あまり低速すぎると工程時間が長くなってしまい効率的でなくなるので、0.5℃/分以上とすることが好ましい。
【0064】
この昇温工程A1により、Grown−in析出核を極力消滅させることなく効率的に成長させることができる。すなわち、結晶育成工程で形成された既存のGrown−in析出核を成長させるので、酸素析出核を新たに形成するための熱処理工程が無くても析出物密度を十分に高くすることができ、しかも、全体の工程時間を短くすることができる。
【0065】
また、前記昇温工程A1のT6℃からT7℃まで昇温する前に、T6℃における保持時間t3は0分でも構わないが、30分以上とすることがより好ましい。これにより、Grown−in析出核がより消滅しにくくなり、さらにGrown−in析出核に加えて新たな酸素析出核を発生させることができ、より高密度の酸素析出核を形成することができる。また、保持時間t1を長くすると工程時間が長くなってしまうことから、約4時間以下とするのが好ましい。
【0066】
上記昇温工程BはT℃からT℃までR℃/分の速度で昇温する工程であって、T℃が800℃〜1000℃であり、T℃が1050℃〜1230℃であり、R℃/分が5℃/分以上である。この昇温工程Bにおいて、時間で高温まで昇温することにより表面近傍における酸素析出物の成長を抑えることができ、その後の等温保持工程Cにおいて表面近傍の酸素析出物を消滅しやすくすることができる。
【0067】
8℃を1050℃以上とすることにより、効率的にバルク中の酸素析出物を十分な大きさに成長させるとともに、表面近傍の酸素を外方拡散させることにより、表面近傍の酸素析出物を消滅させることができる。また、T8℃が高いほどバルク中の析出物が大きくなり、またDZ幅が広くなるが、約1230℃を超える高温では熱処理炉からの金属汚染が顕著になるので1230℃以下とすることが好ましい。
【0068】
4℃/分が5℃/分未満であると表面近傍の酸素析出物が大きく成長してしまい、その後の等温保持工程C1において消滅しにくくなる。しかし、R4℃/分が高速すぎるとバルク中の酸素析出物も消滅する割合が高くなり析出物密度が低下してしまうので、10℃/分以下であることが望ましい。
【0069】
前記等温保持工程C1はT8℃でt4時間保持する工程であって、T8℃が1050℃〜1230℃であり、t4時間が30分以上であることが好ましい。この等温保持工程C1により、その前の昇温工程A1及び昇温工程B1において成長した微小な酸素析出物を、バルク中ではIG能力を有する大きな酸素析出物に成長させることができ、表面近傍では消滅させることができる。従って、無欠陥のDZ層と優れたIG能力を有するIG層を兼ね備えた高品質のDZ−IG構造を形成することができる。
【0070】
ここで、IG能力を有する酸素析出物のサイズは、実験的に検出可能な酸素析出物のサイズ(直径30nm〜40nm程度)を目安にしている。一般的には、実験的に検出できないサイズの酸素析出物でもIG能力を有すると考えられているので、実験的に検出可能なサイズであれば十分なIG能力を有すると判断できる。従って、ゲッタリング能力を有するサイズとしては、直径40nm以上とすることが好ましい。また、酸素析出物サイズの上限は問わないが、大きく成長させるには熱処理時間が長くかかるので直径100nm以下とすることが好ましい。
【0071】
前記T8℃での保持時間t4が長いほどバルク中の酸素析出物のサイズが大きくなり、またDZ幅が広くなるが、工程時間が長くなってしまうことから、約4時間以下とするのが好ましい。一方、保持時間t4が約30分より短くなると、時間の僅かなばらつきにより所望のサイズの酸素析出物やDZ幅が得られなくなる可能性が生ずることになる。
【0072】
さらに、保持温度T8℃や保持時間t4を変えることにより、酸素析出物のサイズやDZ幅を容易に変えることができる。酸素析出物のサイズを大きくするほどIG能力が高くなると考えられるが、工程時間が長くなる。従って、必要な酸素析出物のサイズやDZ幅を効率的に得るために、酸素析出物のサイズやDZ幅を容易に変えることができる効果も重要である。
【0073】
昇温工程A1と昇温工程B1の間、及び昇温工程B1と等温保持工程C1の間においてウェーハを炉外に取り出すこともできるが、上記3工程を連続して行うことにより全体の工程時間を短縮することができる。
【0074】
前記等温保持工程C1の後、ウェーハを熱処理炉外に出す際の熱処理炉内温度やその温度までの降温速度は問わないが、熱応力によるスリップが発生しないように決定することが望ましい。たとえば、熱処理炉内温度をT8℃から700℃まで3℃/分で降温した後、ウェーハを熱処理炉外に取り出すことができる。
【0075】
本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様の効果を十分に得るためには、熱処理されるシリコンウェーハの酸素濃度が約14ppma〜17ppmaであることが望ましい。酸素濃度が高ければ析出物密度が高くなり、より優れたIG能力を付加することができるが、酸素濃度が高すぎると表面近傍の析出物が消滅しにくくなってしまう。また、酸素濃度が低くなるとシリコン単結晶の育成工程で形成されるGrown−in析出核の密度が低くなり、析出物密度が低くなってしまう。但し、酸素濃度が低い場合でも、たとえば昇温工程A1の昇温開始温度T6℃を低くしたり、R3℃/分を低速にすることにより、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様の効果が得られる。
【0076】
また、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様によれば、デバイスプロセス中の熱応力によるスリップ転位の発生を抑制する効果が得られる。スリップを構成している転位は酸素析出物によりピンニングされることが知られている。従って、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様により、大きなサイズを有する酸素析出物が高密度で形成されれば、転位がピンニングされる確率が高くなりスリップ転位の発生が抑制される。すなわち、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様は、熱処理によりスリップ転位の発生し易い直径300mm以上の大口径ウェーハに特に好適に用いることができる。
【0077】
スリップ転位の発生を抑制するためには前記温度T8℃を1200℃以下とすることが好ましく、約1150℃以下とするのがより好ましい。
【0078】
さらに、シリコン単結晶の育成の際にボイド欠陥の発生を抑制した条件で引き上げられたシリコン単結晶から作製された、COP及びボイドがほとんど存在しない低欠陥ウェーハに対して本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様を適用することにより、酸素析出物だけでなくCOP及びボイドがほとんど存在しない極めて高品質のDZ−IG構造を形成することができる。これは、スリップの発生を抑制するという観点から、今後の主流となる300mmウェーハにおいて特に有効である。
【0079】
ここで、上記低欠陥ウェーハは、たとえば特開平11−147786号、特開平11−157996号などに記載されているように、結晶の引き上げ速度Vと引き上げ結晶中の固液界面近傍の温度勾配Gとの比V/Gを制御して引き上げる公知技術を用いて得ることができる。
【0080】
本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様は、シリコン単結晶の育成工程で形成されたGrown−in析出核を有するシリコンウェーハに対し、500℃〜700℃の範囲内の温度T9℃で所定時間t5保持し、ついで1℃/分以上5℃/分以下の昇温速度R5℃/分で800℃〜900℃の範囲内の温度T10℃まで昇温し、この温度T10℃で所定時間t6保持することにより、前記Grown−in析出核を、その後のエピタキシャル成長工程において消滅しないサイズ以上に成長させた後、前記シリコンウェーハの表面にエピタキシャル成長を行うことを特徴とする。
【0081】
このように、Grown−in析出核をエピタキシャル成長工程において消滅しないサイズに成長させた後にエピタキシャル成長を行えば、エピ工程直後の酸素析出物は十分なIG能力を有するほど大きくないが、エピ工程後のデバイスプロセスによりIG能力を有するサイズに成長することで、優れたIG能力が付加されることになる。
【0082】
前記温度T10℃が約900℃より高くても良いが、昇温の時間とT10℃での保持工程後の降温工程の時間が長くなってしまう。また、T10℃が約800℃よりも低くなると酸素析出物の成長速度が遅くなるので、エピタキシャル成長工程において消滅しないサイズに成長させるための時間が長くなり、全体の工程時間が長くなってしまう。
【0083】
前記温度T9℃は低いほど析出物密度が高くなるが、工程時間が長くなってしまうので、約500℃以上とするのが好ましい。また、約700℃を越える温度であると析出物密度が十分に得られない場合がある。同様に、昇温速度R5℃/分が低速であるほど析出物密度が高くなるが、あまり低速すぎると工程時間が長くなってしまうので、約1℃/分以上とするのが好ましい。昇温速度R5℃/分が約5℃/分を越える高速になるとGrown−in析出核が成長できず消滅してしまう割合が高くなり、析出物密度が十分に得られない場合がある。
【0084】
前記T9℃からT10℃への昇温を昇温速度1℃/分以上5℃/分以下とすることにより、Grown−in析出核を極力消滅させることなく効率的に成長させることができる。すなわち、結晶育成工程で形成された既存のGrown−in析出核を成長させるので、酸素析出核を新たに形成するための熱処理工程が無くても析出物密度を十分に高くすることができ、しかも、全体の工程時間を短くすることができる。
【0085】
また、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様において、前記T9℃からT10℃まで昇温する前に、T9℃における保持時間t5は0分でも構わないが15分以上とすることがより好ましい。これにより、Grown−in析出核が昇温工程中でより消滅しにくくなり、さらにGrown−in析出核に加えて新たな酸素析出核を発生させることができ、より高密度の酸素析出核を形成することができる。また、保持時間t5を長くすると工程時間が長くなってしまうことから、約60分以下とするのが好ましい。
【0086】
なお、前記温度T9℃が低いほど、またT9℃での保持時間t5が長いほど、またR5℃/分が遅いほど、昇温工程中に新たな析出核が形成され、析出物密度が高くなる。
【0087】
前記T10℃での保持時間t6は、Grown−in析出核を、その後に1050℃〜1200℃程度の高温で行われるエピタキシャル成長工程において消滅しないサイズ(3nm〜4nm程度)以上に確実に成長させるため、約30分以上であることが好ましい。サイズ3nm〜4nmは、古典論により計算された、エピ工程温度1150℃における臨界サイズ(直径)である。保持時間t6が長いほど酸素析出物のサイズが大きくなるが、工程時間が長くなってしまうことから、約4時間以下とするのが好ましく、約2時間以下とすることがより好ましい。一方、保持時間t6が約30分より短くなると、時間の僅かなばらつきにより所望のサイズの酸素析出物が得られなくなる可能性が生ずることになる。また、保持時間t6が0分であるとGrown−in析出核の成長が不十分であるため、エピ工程で消滅してしまう割合が多くなり、デバイスプロセス後に検出可能な酸素析出物密度が低下してしまう。
【0088】
本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の効果を十分に得るためには、熱処理されるシリコンウェーハの酸素濃度が約16ppma以上であることが望ましい。酸素濃度が高ければ析出物密度が高くなり、より優れたIG能力を付加することができる。また、酸素濃度が高いほど析出物の成長速度が速くなるので、全体の工程時間が短くなる。但し、酸素濃度が低い場合でも、たとえば昇温工程昇温開始温度T9℃を低くしたり、T10℃での保持時間を長くすることにより、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の効果が得られる。従って、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様において酸素濃度の上限は問わないが、シリコン単結晶製造の容易性を考慮すると約23ppma以下が好ましい。
【0089】
上述のことから、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様により、優れたゲッタリング能力を有するシリコンエピタキシャルウェーハを、効率的に得ることができる。
【0090】
本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様は、シリコン単結晶の育成工程で形成されたGrown−in析出核を有するシリコンウェーハに対し、500℃〜700℃の範囲内の温度T11℃で所定時間t7保持し、ついで5℃/分以下の昇温速度R6℃/分で1000℃〜1100℃の範囲内の温度T12℃まで昇温し、この温度T12℃で所定時間t8保持することにより、前記Grown−in析出核を、ゲッタリング能力を有するサイズ以上の酸素析出物に成長させた後、前記シリコンウェーハの表面にエピタキシャル成長を行うことを特徴とする。
【0091】
このように、Grown−in析出核を、ゲッタリング能力を有するサイズ以上の酸素析出物に成長させた後にエピタキシャル成長を行えば、エピタキシャル成長工程中における酸素析出物の再溶解は起こらず、デバイスプロセスに投入する前にゲッタリング能力を有するサイズの酸素析出物が形成されたシリコンエピタキシャルウェーハを得ることができる。
【0092】
ここで、IG能力を有する酸素析出物のサイズは、実験的に検出可能な酸素析出物のサイズ(直径30nm〜40nm程度)を目安にしている。一般的には、実験的に検出できないサイズの酸素析出物でもIG能力を有すると考えられているので、実験的に検出可能なサイズであれば十分なIG能力を有すると判断できる。従って、ゲッタリング能力を有するサイズとしては、直径約40nm以上とすることが好ましい。このサイズ以上であれば、エピタキシャル工程において消滅せず、十分にIG能力を維持できる。また、酸素析出物サイズの上限は問わないが、大きく成長させるには熱処理時間が長くかかるので直径100nm以下とすることが好ましい。
【0093】
前記温度T12℃が約1000℃よりも低くなると、大きな酸素析出物に成長させるための時間が長くなり、全体の工程時間が長くなってしまう。T12℃が高いほど大きな酸素析出物に成長させるための時間が短くなり、全体の工程時間を短くすることができるが、当該熱処理中や、後のエピ工程におけるスリップ転位の発生を十分に抑制するためには、約1100℃以下とするのが好ましい。
【0094】
前記温度T11℃は低いほど析出物密度が高くなるが、工程時間が長くなってしまうので、約500℃以上とするのが好ましい。また、約700℃を越える温度であると析出物密度が十分に得られない場合がある。同様に、昇温速度R6℃/分が低速であるほど析出物密度が高くなるが、あまり低速すぎると工程時間が長くなってしまうので、約1℃/分以上とするのが好ましい。昇温速度R6℃/分が約5℃/分を越える高速になるとGrown−in析出核が成長できず消滅してしまう割合が高くなり、析出物密度が十分に得られない場合がある。
【0095】
前記T11℃からT12℃への昇温速度 ℃/分を5℃/分以下とすることにより、Grown−in析出核を極力消滅させることなく効率的に成長させることができる。すなわち、結晶育成工程で形成された既存のGrown−in析出核を成長させるので、酸素析出核を新たに形成するための熱処理工程が無くても析出物密度を十分に高くすることができ、しかも、全体の工程時間を短くすることができる。
【0096】
また、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様において、前記T11℃からT12℃まで昇温する前に、T11℃における保持時間t7は0分でも構わないが、15分以上とすることがより好ましい。これにより、Grown−in析出核が昇温工程中でより消滅しにくくなり、さらにGrown−in析出核に加えて新たな酸素析出核を発生させることができ、より高密度の酸素析出核を形成することができる。また、保持時間t7を長くすると工程時間が長くなってしまうことから、約60分以下とすることが好ましい。
【0097】
なお、前記温度T11℃が低いほど、またT11℃での保持時間t7が長いほど、また昇温速度が遅いほど、昇温工程中に新たな析出核が形成され、析出物密度が高くなる。
【0098】
前記温度T12℃での保持時間t8は、Grown−in析出核を、ゲッタリング能力を有するサイズに確実に成長させるため、約30分以上であることが好ましい。保持時間t8が長いほど酸素析出物のサイズが大きくなるが、工程時間が長くなってしまうことから、約4時間以下とするのが好ましく、約2時間以下とすることがより好ましい。一方、保持時間t8が約30分に達しないと、時間の僅かなばらつきにより所望のサイズの酸素析出物が得られなくなる可能性が生ずることになる。
【0099】
本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の効果を十分に得るためには、熱処理されるシリコンウェーハの酸素濃度が約16ppma以上であることが望ましい。酸素濃度が高ければ析出物密度が高くなり、より優れたIG能力を付加することができる。また、酸素濃度が高いほど析出物の成長速度が速くなるので、全体の工程時間が短くなる。但し、酸素濃度が低い場合でも、たとえば昇温工程昇温開始温度T11℃を低くしたり、T12℃での保持時間を長くすることにより、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の効果が得られることは容易に想像される。従って、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様において酸素濃度の上限は問わないが、シリコン単結晶製造の容易性を考慮すると約23ppma以下が好まし
い。
【0100】
上述のことから、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様により、優れたゲッタリング能力を有するシリコンエピタキシャルウェーハを、効率的に得ることができる。
【0101】
本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の付加的な効果として、デバイスプロセス中の熱応力によるスリップ転位の発生を抑制する効果が挙げられる。スリップを構成している転位は酸素析出物によりピンニングされることが知られている。従って、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様により、デバイスプロセス投入前にある程度の大きなサイズを有する酸素析出物が高密度で形成されれば、転位がピンニングされる確率が高くなりスリップ転位の発生が抑制される。従って、今後の主流となる300mmウェーハ(エピタキシャルウェーハ)において特に有効である。
【0102】
本シリコンエピタキシャルウェーハの第1の態様は、1000℃、2時間の熱処理前にバルク中に検出される酸素析出物密度が1×109/cm3未満であり、1000℃、2時間の熱処理後にバルク中に検出される酸素析出物密度が1×109/cm3以上であることを特徴とする。
【0103】
このように、本シリコンエピタキシャルウェーハの第1の態様は、低温化短時間化されたデバイスプロセスを模擬した1000℃、2時間程度の熱処理においても、確実にゲッタリング能力を有するサイズ(光学的測定装置で検出可能な直径約40nm以上)の酸素析出物密度が1×109/cm3以上得られるので、低温化短時間化されたデバイスプロセスにおいても十分にゲッタリング能力を有するものである。尚、酸素析出物密度が高いほど優れたIG能力を有することになるが、固溶酸素濃度の減少によるウェーハ強度の低下が生ずる場合があるので、1000℃、2時間の熱処理後の酸素析出物密度は1×1012/cm3以下とすることが好ましい。
【0104】
また、本シリコンエピタキシャルウェーハの第2の態様は、エピタキシャル層形成後の未熱処理の状態でバルク中に検出される酸素析出物密度が1×109/cm3以上であることを特徴とする。
【0105】
このように、本シリコンエピタキシャルウェーハの第2の態様は、低温化短時間化されたデバイスプロセスに投入する前の未熱処理(エピタキシャル成長後に熱処理が行われていないことを意味する。)の状態で、確実にゲッタリング能力を有するサイズ(光学的測定装置で検出可能な直径約40nm以上で、好ましくは直径100nm以下)の酸素析出物密度が1×109/cm3以上得られるので、低温化短時間化されたデバイスプロセスにおいてもプロセスの初期段階から十分にゲッタリング能力を有するものである。尚、酸素析出物密度が高いほど優れたIG能力を有することになるが、固溶酸素濃度の減少によるウェーハ強度の低下が生ずる場合があるので、前記酸素析出物密度は1×1012/cm3以下とすることが好ましい。
【0106】
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術思想から逸脱しない限り図示例以外に種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0107】
図1は本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様の工程順の一例を示すフローチャート及び図2は図1の工程順の要部を模式的に示す説明図である。本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様は、図1及び図2に示したように、酸素析出核を形成する昇温工程A(ステップ104)と、酸素析出核を成長させる昇温工程B(ステップ106)と、さらに大きな酸素析出物に成長させる等温保持工程C(ステップ108)の3つの工程を必須の工程とするものである。なお、図1及び図2には好ましい例として、昇温工程A(104)と昇温工程B(106)と等温保持工程C(108)を連続して行う場合が示されている。
【0108】
図1に示したように、まず熱処理を施す対象となるウェーハを準備する(ステップ100)。そのウェーハをT1℃に保持されている熱処理炉内に挿入する(ステップ102)。ここで、T1℃を約650℃以下とするのが好ましい。次に、図2によく示されているように、炉内温度をT1℃からT2℃までR1℃/分の速度で昇温する(昇温工程A:ステップ104)。ここで、T2℃を約700℃以上とし、R1℃/分を約1.5℃/分以下とするのが好ましい。この昇温工程A(ステップ104)において、酸素析出核を高密度で形成することができる。このことにより、熱処理前の段階で酸素析出核をほとんど含んでいないウェーハにおいても、酸素析出核を高密度で形成することができる。あらかじめ酸素析出核を含んでいるウェーハにおいては、より高密度の酸素析出核が形成されることになる。
【0109】
デバイスプロセスにおける汚染の程度に合わせて酸素析出物の密度を変えたい場合は、たとえばT2℃を約750℃とし、R1℃/分を約1℃/分として、T1℃を変えることにより密度を容易に変えることができる。
【0110】
次に、熱処理炉内温度をT2℃からT3℃までR2℃/分の速度で昇温する(昇温工程B:ステップ106)。ここで、T3℃を約1000℃以上とし、R2℃/分をR1℃/分以上且つ約7℃/分以下とするのが好ましい。この昇温工程B(ステップ106)において、その前の工程で形成された酸素析出核を効率的に成長させることができる。
【0111】
尚、昇温工程A、Bの昇温速度R1℃/分、R2℃/分をそれぞれ一定の昇温速度とすれば、昇温工程が複雑にならないので好適であるが、それぞれの工程の途中で昇温速度を切り替えることもできる。例えば昇温工程Bにおいて、一旦R2℃/分で昇温を開始し、T3℃に到達する前の温度においてR2℃/分より高速の昇温速度に切り替えれば、工程時間を若干短縮することができる。
【0112】
次に、T3℃においてt時間保持する(等温保持工程C:ステップ108)。ここで、T3℃を約1000℃以上とし、t時間を約1時間以上とするのが好適である。この等温保持工程C(ステップ108)において、その前の昇温工程A及びBで形成された微小な酸素析出物をIG能力を有する大きな酸素析出物に成長させることができる。この様に等温保持工程Cは前工程で形成(成長)した析出物をさらに成長させることを目的としている。従って、その目的が達成できるのであれば、文字通り一定温度に保持することだけに限定されず、若干の温度変化(昇温、降温等)を伴う工程に変形することも可能である。
【0113】
さらに、等温保持工程C(ステップ108)におけるT3℃及びt時間を変えることにより、酸素析出物のサイズを容易に変えることができる。酸素析出物のサイズを大きくするほどIG能力が高くなると考えられるが、工程時間が長くなる。従って、必要な酸素析出物のサイズを効率的に得るために、サイズを容易に変えることができる効果は重要である。
【0114】
ここで、酸素析出物の成長が期待できないようなデバイスプロセスに投入されるシリコンウェーハを作製する場合には、等温保持工程CのT3℃を1000℃以上とすることが好適であるが、酸素析出物の成長が期待できるようなデバイスプロセスの場合であって、熱処理後に酸素析出物が実験的に検出されなくても良い場合に本発明を適用する際には、等温保持工程のT3℃を1000℃以下の温度、たとえば800℃とすることができる。
【0115】
上記熱処理後、たとえば熱処理炉内温度をT3℃から800℃まで2℃/分で降温した(降温工程D:ステップ110)後、ウェーハを熱処理炉外に取り出す(ステップ112)。
【0116】
本熱処理方法の効果を十分に得るためには、シリコンウェーハの酸素濃度が約17ppma以上であることが望ましい。酸素濃度が高ければ、核形成速度及び成長速度が速くなるので、全体の工程時間が短時間になる。
【0117】
図3は本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様の工程順の一例を示すフローチャート及び図4は図3の工程順の要部を模式的に示す説明図である。
【0118】
図3に示したように、まず熱処理を施す対象となるGrwon−in析出核を有するウェーハを準備する(ステップ200)。このウェーハは通常のCZ法により育成されたシリコン単結晶をウェーハに加工して得ることができる。そのウェーハを熱処理炉に挿入する(ステップ202)。この熱処理炉はT4℃(500℃〜700℃)に維持されており、次の昇温工程を行う前に、挿入されたウェーハはT4℃において所定時間(t1時間)、好ましくは15分以上保持される(昇温前保持工程:ステップ204)。次に、図4によく示されているように、炉内温度をT4℃から1000℃〜1230℃の間に設定されたT5℃まで5℃/分以下の昇温速度R℃/分で昇温する(昇温工程:ステップ206)。この昇温工程(ステップ206)において、高密度のGrown−in析出核を消滅させずに効率的に成長させることができる。
【0119】
デバイスプロセスの汚染の程度に合わせて酸素析出物の密度を変えたい場合は、たとえば、T5℃を約1100℃とし、昇温速度R℃/分を約3℃/分に固定して、T4℃を変えることにより密度を容易に変えることができる。
【0120】
次に、T5℃において所定時間(t2時間)保持する(昇温後保持工程:ステップ208)。ここで、保持時間を約30分以上とするのが好適である。この昇温後保持工程(ステップ208)において、その前の昇温工程(ステップ206)で成長したバルク中の微小な酸素析出物を所望のサイズである直径30nm〜40nm程度、好ましくは約50nm以上のサイズを有する酸素析出物に成長させると同時に、表面近傍の酸素を外方拡散させることにより酸素析出核を消滅させ、酸素析出物のないDZ層を形成することができる。
【0121】
このようにT5℃での昇温後保持工程(ステップ208)は昇温工程(ステップ206)で成長したバルク中の酸素析出物をさらに成長させること、および表面近傍の酸素の外方拡散を目的としている。従って、その目的が達成できるのであれば、一定温度に保持することだけに限らず、若干の温度変化(昇温、降温等)を伴う工程に変形することも可能である。さらに、昇温後保持工程(ステップ208)におけるT5℃及び保持時間t2を変えることにより、酸素析出物のサイズを容易に変えることができる。
【0122】
なお、熱処理されるウェーハに関して、不純物添加の有無や不純物濃度は問わない。たとえば、窒素添加ウェーハでも窒素無添加ウェーハとほぼ同様な効果が得られる。
【0123】
上記熱処理後、例えば、熱処理炉内温度をT5℃から700℃まで2℃/分で降温した(降温工程:ステップ210)後、ウェーハを熱処理炉外に取り出す(ステップ212)。なお、上記降温速度及び降温後到達温度については特別の限定はない。
【0124】
上記熱処理の雰囲気は問わない。例えば、酸素雰囲気、酸素と窒素の混合雰囲気、アルゴン雰囲気、水素雰囲気などがある。アルゴンや水素の非酸化性雰囲気の場合は、ウェーハ表面に酸化膜が形成されないので、酸化性雰囲気の場合と比べると酸素の外方拡散が促進され、より好ましい場合がある。
【0125】
本熱処理方法の効果を十分に得るためには、熱処理されるシリコンウェーハの酸素濃度が約16ppma以上であることが望ましい。酸素濃度が高ければ析出物密度が高くなり、より優れたIG能力を付加することができる。また、酸素濃度が高いほど析出物の成長速度が速くなるので、全体の工程時間が短くなる。
【0126】
図5は本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様の工程順の一例を示すフローチャート及び図6は図5の工程順の要部を模式的に示す説明図である。本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様は、図5及び図6に示したように、シリコン単結晶の育成工程で形成されたGrown−in析出核を成長させる昇温工程A1(ステップ304)と、より高温の保持温度まで効率的に昇温する昇温工程B1(ステップ306)と、前記Grown−in析出核をゲッタリング能力を有するサイズ以上の酸素析出物に成長させるとともに、前記シリコンウェーハ表面近傍の酸素を外方拡散させる等温保持工程C1(ステップ308)の3つの工程を必須の工程とするものである。なお、図5及び図6には好ましい例として、昇温工程A1(ステップ304)と昇温工程B1(ステップ306)と等温保持工程C1(ステップ308)を連続して行う場合が示されている。
【0127】
図5に示したように、まず熱処理を施す対象となるGrown−in析出核を有するウェーハを準備する(ステップ300)。このウェーハは通常のCZ法により育成されたシリコン単結晶をウェーハに加工して得ることができる。そのウェーハをT6℃に保持されている熱処理炉内に挿入する(ステップ302)。ここで、T6℃を700℃以下とするのが好ましい。次に、図6に良く示されているように、炉内温度をT6℃からT7℃までR3℃/分の速度で昇温する(昇温工程A1:ステップ304)。ここで、T7℃を800℃〜1000℃とし、R3℃/分を3℃/分以下とするのが好ましい。また、昇温工程A1(ステップ304)のT6℃からT7℃まで昇温する前に、T6℃における保持時間t3は0分でも構わないが、30分以上とすることがより好ましい。この昇温工程A1(ステップ304)において、高密度のGrown−in析出核を消滅させずに効率的に成長させることができる。
【0128】
次に、熱処理炉内温度をT7℃からT8℃までR4℃/分の速度で昇温する(昇温工程B1:ステップ306)。ここで、T8℃を1050℃〜1230℃とし、R4℃/分を5℃/分以上とするのが好ましい。この昇温工程B1(ステップ306)において、より高温の保持温度まで短時間で昇温させることにより、必要以上に析出物が成長することを避けて表面近傍の析出物を消滅しやすくさせることができる。
【0129】
次に、T8℃においてt4時間保持する(等温保持工程C1:ステップ308)。ここで、T8℃を1050℃〜1230℃とし、t4時間を約30分以上とするのが好適である。この等温保持工程C1(ステップ308)において、その前の昇温工程(ステップ304及び306)で成長したバルク中の微小な酸素析出物を所望のサイズである直径約40nm以上、好ましくは約50nm以上のサイズを有する酸素析出物に成長させると同時に、表面近傍の酸素を外方拡散させることにより酸素析出物を消滅させ、酸素析出物のないDZ層を形成することができる。
【0130】
この場合、第2の実施形態で形成されたDZ層と比較すると、表面近傍の酸素析出物をより完全に消滅させることができるので、極めて高品質のDZ層を効率的に得ることができる。
【0131】
このようにT8℃での等温保持工程C1(ステップ308)は昇温工程(ステップ304及び306)で成長したバルク中の酸素析出物をさらに成長させること、及び表面近傍の酸素の外方拡散を目的としている。従って、その目的が達成できるのであれば、一定温度に保持することだけに限らず、若干の温度変化(昇温、降温等)を伴う工程に変形することも可能である。さらに、等温保持工程C1(ステップ308)におけるT8℃及び保持時間t4を変えることにより、酸素析出物のサイズやDZ幅を容易に変えることができる。
【0132】
尚、熱処理されるウェーハに関して、不純物添加の有無や不純物濃度は問わない。たとえば、窒素添加ウェーハでも窒素無添加ウェーハとほぼ同様な効果が得られる。
【0133】
上記熱処理後、例えば、熱処理炉内温度をT8から700℃まで3℃/分で降温した(降温工程D1:ステップ310)後、ウェーハを熱処理炉外に取り出す(ステップ312)。なお、上記降温速度及び降温後到達温度については特別の限定はない。
【0134】
上記熱処理の雰囲気は問わない。例えば、酸素雰囲気、酸素と窒素の混合雰囲気、アルゴン雰囲気、水素雰囲気などがある。アルゴンや水素の非酸化性雰囲気の場合は、ウェーハ表面に酸化膜が形成されないので、酸化性雰囲気の場合と比べると酸素の外方拡散が促進され、より好ましい場合がある。
【0135】
本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様の効果を十分に得るためには、熱処理されるシリコンウェーハの酸素濃度が約14ppma〜17ppmaであることが望ましい。酸素濃度が高ければ析出物密度が高くなり、より優れたIG能力を付加することができるが、酸素濃度が高すぎると表面近傍の析出物が消滅しにくくなってしまう。また、酸素濃度が低くなるとシリコン単結晶の育成工程で形成されるGrown−in析出核の密度が低くなり、析出物の密度が低くなってしまう。但し、酸素濃度が低い場合でも、たとえば昇温工程A1の昇温開始温度T6℃を低くしたり、R3℃/分を低速にすることにより、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様の効果が得られる。
【0136】
図7は本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の工程順の一例を示すフローチャート及び図8は図7の工程順の要部を模式的に示す説明図である。
【0137】
図7に示したように、まず熱処理を施す対象となるGrown−in析出核を有するウェーハを準備する(ステップ400)。このウェーハは通常のCZ法により育成されたシリコン単結晶をウェーハに加工して得ることができる。そのウェーハを熱処理炉に挿入する(ステップ402)。この熱処理炉はT9℃(500℃〜700℃)に維持されており、次の昇温工程を行う前に、挿入されたウェーハはT9℃において所定時間(t5時間)、好ましくは15分以上保持される(昇温前保持工程:ステップ404)。次に、図8によく示されているように、炉内温度をT9℃から800℃〜900℃の間に設定されたT10℃まで5℃/分以下の昇温速度R5℃/分で昇温する(昇温工程:ステップ406)。この昇温工程(ステップ406)において、高密度のGrown−in析出核を消滅させずに効率的に成長させることができる。
【0138】
デバイスプロセスの汚染の程度に合わせて酸素析出物の密度を変えたい場合は、たとえば、T10℃を約800℃とし、昇温速度R5℃/分を約3℃/分に固定して、T9℃を変えることにより密度を容易に変えることができる。
【0139】
次に、T10℃において所定時間(t6時間)保持する(昇温後保持工程:ステップ408)。ここで、保持時間を約30分以上とするのが好適である。この昇温後保持工程(ステップ408)において、その前の昇温工程(ステップ406)で成長した微小な酸素析出物を所望のサイズである3nm〜4nm、好ましくは5nm以上のサイズを有する酸素析出物に成長させることができる。このようにT10での昇温後保持工程(ステップ408)は昇温工程(ステップ406)で成長した酸素析出物をさらに成長させることを目的としている。従って、その目的が達成できるのであれば、一定温度に保持することだけに限らず、若干の温度変化(昇温、降温等)を伴う工程に変形することも可能である。
【0140】
さらに、昇温後保持工程(ステップ408)におけるT10℃及び保持時間t6を変えることにより、酸素析出物のサイズを容易に変えることができる。
【0141】
なお、熱処理されるウェーハに関して、不純物添加の有無や不純物濃度は問わない。たとえば、窒素添加ウェーハでも窒素無添加ウェーハとほぼ同様な効果が得られる。
【0142】
上記熱処理後、例えば、熱処理炉内温度をT10℃から700℃まで2℃/分で降温した(降温工程:ステップ410)後、ウェーハを熱処理炉外に取り出す(ステップ412)。なお、上記降温速度及び降温後到達速度については特別の限定はない。
【0143】
そして、必要に応じてウェーハを洗浄、酸化膜除去等を行ったのち、エピタキシャル成長を行う(ステップ414)。この場合、エピ工程直後の酸素析出物は十分なIG能力を有するほど大きくないが、エピ工程後に投入されるデバイス製造プロセス中の熱処理によりIG能力を有するサイズに成長することで、優れたIG能力が付加されることになる。
【0144】
上記本熱処理は、熱処理されるウェーハの鏡面研磨(機械的化学的研磨と呼ばれる場合がある。)加工の前あるいは後のどちらの段階で行っても構わない。鏡面研磨加工前に行う場合は、熱処理後に鏡面加工を行い、次にエピタキシャル成長を行うことになる。
【0145】
本熱処理方法の効果を十分に得るためには、熱処理されるシリコンウェーハの酸素濃度が約16ppma以上であることが望ましい。酸素濃度が高ければ析出物密度が高くなり、より優れたIG能力を付加することができる。また、酸素濃度が高いほど析出物の成長速度が速くなるので、全体の工程時間が短くなる。
【0146】
図9は本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の工程順の一例を示すフローチャート及び図10は図9の工程順の要部を模式的に示す説明図である。
【0147】
図9に示したように、まず熱処理を施す対象となるGrown−in析出核を有するウェーハを準備する(ステップ500)。このウェーハは通常のCZ法により育成されたシリコン単結晶をウェーハに加工して得ることができる。そのウェーハを熱処理炉に挿入する(ステップ502)。この熱処理炉はT11℃(500℃〜700℃)に維持されており、次の昇温工程を行う前に、挿入されたウェーハはT11℃において所定時間(t7時間)、好ましくは15分以上保持される(昇温前保持工程:ステップ504)。次に、図10によく示されているように、炉内温度をT11℃から1000℃〜1100℃の間に設定されたT12℃まで5℃/分以下の昇温速度R6℃/分で昇温する(昇温工程:ステップ506)。この昇温工程(ステップ506)において、高密度のGrown−in析出核を消滅させずに効率的に成長させることができる。
【0148】
デバイスプロセスの汚染の程度に合わせて酸素析出物の密度を変えたい場合は、たとえば、T12℃を約1000℃とし、昇温速度R6℃/分を約3℃/分に固定して、T11℃を変えることにより密度を容易に変えることができる。
【0149】
次に、T12℃において所定時間(t8時間)保持する(昇温後保持工程:ステップ508)。ここで、保持時間を約30分以上とするのが好適である。この昇温後保持工程(ステップ508)において、その前の昇温工程(ステップ506)で成長した微小な酸素析出物を所望のサイズである直径30nm〜40nm程度、好ましくは50nm以上のサイズを有する酸素析出物に成長させることができる。このようにT12℃での昇温後保持工程(ステップ508)は昇温工程(ステップ506)で成長した酸素析出物をさらに成長させることを目的としている。従って、その目的が達成できるのであれば、一定温度に保持することだけに限らず、若干の温度変化(昇温、降温等)を伴う工程に変形することも可能である。
【0150】
さらに、昇温後保持工程(ステップ508)におけるT12℃及び保持時間t8を変えることにより、酸素析出物のサイズを容易に変えることができる。
なお、熱処理されるウェーハに関して、不純物添加の有無や不純物濃度は問わない。たとえば、窒素添加ウェーハでも窒素無添加ウェーハとほぼ同様な効果が得られる。
【0151】
上記熱処理後、たとえば熱処理炉内温度をT12℃から700℃まで2℃/分で降温した(降温工程:ステップ510)後、ウェーハを熱処理炉外に取り出す(ステップ512)。なお、上記降温速度及び降温後到達温度については特別の限定はない。
【0152】
そして、必要に応じてウェーハを洗浄、酸化膜除去等を行ったのち、エピタキシャル成長を行う(ステップ514)。この場合、エピタキシャル成長工程中における酸素析出物の再溶解は起こらず、デバイスプロセスに投入する前にIG能力を有するサイズの酸素析出物が形成されたシリコンエピタキシャルウェーハを得ることができる。
【0153】
上記熱処理は、熱処理されるウェーハの鏡面研磨(機械的化学的研磨と呼ばれる場合がある。)加工の前あるいは後のどちらの段階で行っても構わない。鏡面研磨加工前に行う場合は、熱処理後に鏡面加工を行い、次にエピタキシャル成長を行うことになる。
【0154】
本発明の熱処理方法の効果を十分に得るためには、熱処理されるシリコンウェーハの酸素濃度が約16ppma以上であることが望ましい。酸素濃度が高ければ析出物密度が高くなり、より優れたIG能力を付加することができる。また、酸素濃度が高いほど析出物の成長速度が速くなるので、全体の工程時間が短くなる。
【0155】
実施例
以下に本発明について実験例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0156】
(実験例1〜5)
直径8インチ、面方位<100>、抵抗率約10Ω・cmのCZ法で育成されたボロン添加シリコンウェーハを準備した。ウェーハの酸素濃度は16.0、17.0、18.5、19.5ppma(JEIDAスケール)である。これらのウェーハに対して、1050℃で1時間の熱処理を施した。この熱処理により、結晶熱履歴で形成された酸素析出核のほとんどが消滅する。このことにより、たとえば酸素析出核をほとんど含んでいないエピウェーハや1000℃以上の熱処理があらかじめ施されたウェーハの状態を模擬できる。なお、JEIDAは日本電子工業振興協会(現在は、JEITA:日本電子情報技術産業協会に改称された。)の略称である。
【0157】
次に、図1及び図2に示した熱処理を施した。すなわち、T1℃からT2℃までR1℃/分の速度で昇温し、T2℃からT3℃までR2℃/分の速度で昇温し、T3℃においてt時間保持した。保持後は、炉内温度を800℃まで2℃/分で降温してウェーハを炉外に取り出した。
【0158】
熱処理後のバルク中の酸素析出物の密度は、赤外散乱法の1つである赤外散乱トモグラフ法(以下、LSTと呼ぶことがある。)により測定した。尚、実験例1〜5の中には熱処理条件が同一のものも含まれているが、それらはそれぞれ別のウェーハを用いて独立した実験として行っているので、測定された酸素析出物密度には若干の相違が見られるが、本質的な差異ではない。
【0159】
図11は、T1℃を550℃、600℃、650℃とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例1)。この場合、T2=750℃、R1=1℃/分、T3=1050℃、R2=3℃/分、t=2時間とした。T1℃が低いほど酸素析出物密度が高くなっている。これは、低温ほど析出核形成の速度が速くなることと、昇温時間が長くなることにより析出核形成の時間が長くなることによる。また、酸素濃度が高いほど酸素析出物密度が高くなっている。これは、酸素濃度が高いほど析出核形成の速度が速くなるためである。IG能力を得るためには、酸素析出物の密度が108/cm3オーダー以上であることが望ましい。このことから、T1℃は約650℃以下であれば良いことがわかる。また、高い酸素析出物密度を得るには、酸素濃度が約17ppma以上であれば良いことがわかる。さらに、図11に示されたように、T1℃を変えることにより酸素析出物密度を容易に変えることができる。このことは、デバイスプロセス中の汚染の程度に合わせて所望の酸素析出物密度を得たい場合に有効である。
【0160】
図12は、T2℃を700℃、750℃、800℃、850℃とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例2)。この場合、T1=600℃、R1=1℃/分、T3=1050℃、R2=3℃/分、t=2時間とした。酸素濃度が約17ppma以上の場合、T2℃が750℃以上において酸素析出物密度はほとんど変化していない。これは、750℃以上の昇温工程では析出核形成が進行しにくいために、酸素析出核の密度がほとんど変化しないことによる。700℃の場合に酸素析出物密度が低くなっているのは、昇温工程Aの時間が短いために形成された酸素析出核の密度が低かったことによる。このことから、T2℃を約700℃以上、好ましくは約750℃以上にすれば、酸素析出物密度を高くできることがわかる。
【0161】
図13は、R1℃/分を1℃/分、1.5℃/分、2℃/分、2.5℃/分、4℃/分とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例3)。この場合、T1=600℃、T2=750℃、T3=1050℃、R2=3℃/分、t=2時間とした。R1℃/分が低速になるほど酸素析出物密度が高くなっている。これは、低速になるほど析出核形成の時間が長くなるためである。図13から、高い酸素析出物密度を得るためには、R1℃/分を約1.5℃/分以下にすれば良いことがわかる。
【0162】
図14は、R2℃/分を1℃/分、3℃/分、5℃/分、7℃/分とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例4)。この場合、T1=600℃、T2=750℃、R1=1℃/分、T3=1050℃/分、t=2時間とした。R2℃/分が低速になるほど酸素析出物密度が高くなっている。これは、低速になるほどその前の段階で形成された酸素析出核が消滅せずに酸素析出物として成長できるためである。逆に高速になると、消滅する酸素析出核の割合が高くなり、酸素析出物密度が低下する。図14から、高い酸素析出物密度を得るためには、R2℃/分を約7℃/分以下、好ましくは約5℃/分以下にすれば良いことがわかる。
【0163】
図15は、T3℃を950℃、1000℃、1050℃、1100℃とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例5)。この場合、T1=600℃、T2=750℃、R1=1℃/分、R2=3℃/分、t=1時間とした。T3℃が1000℃以上において酸素析出物密度はほとんど変化していない。これは、1000℃以上であれば、酸素析出物が検出できるサイズまで十分に成長しているためである。950℃の場合に酸素析出物の密度が低いのは、保持時間が1時間では検出できるサイズまで成長していない酸素析出物の割合が高いためである。この場合、保持時間を長くすれば検出される酸素析出物の密度は1000℃以上の場合と同じになるが、工程時間が長くなってしまう。このことから、T3℃は約1000℃以上が好ましいことがわかる。
【0164】
以上のように、T1を約650℃以下とし、T2℃を約700℃以上とし、R1℃/分を約1.5℃/分以下とし、R2℃/分を約7℃/分以下とし、T3℃を約1000℃以上とし、t時間を約1時間以上とすることにより、酸素析出核をほとんど含んでいないウェーハにおいても、効率的に大きな酸素析出物を高密度で形成することができる。つまり、デバイスプロセス前の段階で安定に優れたIG能力を有するウェーハを提供することができる。また、結晶熱履歴の違いにより酸素析出核の密度にばらつきがあるウェーハでも本実験例のようにその酸素析出核を消滅させる熱処理を行った後、本発明のシリコンウェーハの製造方法における熱処理を行うことにより、IG能力のばらつきを低減できる。
【0165】
(実験例6〜10)
直径8インチ、面方位<100>、抵抗率約10Ω・cmのCZ法で育成されたボロン添加シリコン単結晶の異なる2箇所(結晶育成工程の前半及び後半に成長した位置で、以下、それぞれ結晶位置A及び結晶位置Bと呼ぶことがある。)から作製された鏡面研磨シリコンウェーハを準備した。ウェーハの酸素濃度は16ppma〜20ppma(JEIDAスケール)である。
【0166】
次に、酸素と窒素を混合した雰囲気下で図3及び図4に示した手順に従って熱処理を施した。すなわち、T4℃でt1時間保持した後、T4℃からT5℃までR℃/分の速度で昇温し、T5℃においてt2時間保持した。保持後は、熱処理炉内温度を700℃まで2℃/分の速度で降温してウェーハを熱処理炉外に取り出した。そのウェーハに如何なる熱処理も施さずに、バルク中の酸素析出物の密度をLSTにより測定した。LSTによれば、直径40nm程度以上のサイズの酸素析出物を検出することができる。
【0167】
図16は、T4℃を600℃、700℃、800℃とした場合の析出物密度を示す(実験例6)。この場合、t1=30分、R=3℃/分、T5=1050℃、t2=2時間とした。酸素濃度は16ppma〜18ppmaである。T4℃が低いほど析出物密度が高くなっている。これは、低温ほど消滅せずに成長するGrown−in析出核の密度が高くなることによる。優れたIG能力を得るためには、析出物密度が109/cm3オーダー以上であることが望ましい。このことから、T1℃は約700℃以下であれば良いことがわかる。さらに、図16に示されたように、T4℃を変えることにより析出物密度を容易に変えることができる。このことは、デバイスプロセス中の汚染の程度に合わせて所望の析出物密度を得たい場合に有効である。
【0168】
図17は、T4=700℃、t1=30分、R=3℃/分、T5=1050℃、t2=2時間とした場合の析出物密度の酸素濃度依存性を示す(実験例7)。この結果から、いずれの結晶位置においても酸素濃度が増加すると共に酸素析出物密度も増加する傾向があることがわかる。また、酸素密度が約16ppma以上であれば、確実に109/cm3オーダー以上の高い析出物密度が得られることがわかる。これは、酸素濃度が高いほどGrown−in析出核の密度が高くなることと、酸素析出物のサイズが大きくなるので検出される割合が高くなることによる。
【0169】
図18は、t1時間を0分、5分、15分、30分、45分とした場合の析出物密度を示す(実験例8)。この場合、T4=700℃、R=3℃/分、T5=1050℃、t2=2時間とした。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。t1時間が約15分以上の場合に、時間と共に析出物密度が増加している。これは、t1時間が長いほどGrown−in析出核が消滅せずに成長する割合が高くなることと、t1時間の保持の間に新たな析出核が形成されることによる。この結果から、t1時間が15分未満でも高い析出物密度が得られるが、t1時間が15分以上であれば析出物密度がさらに増加するので、より好ましいことがわかる。
【0170】
図19は、R℃/分を1℃/分、3℃/分、5℃/分とした場合の析出物密度を示す(実験例9)。この場合、T4=700℃、t1=30分、T5=1050℃、t2=2時間とした。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。R℃/分が低速なほど析出物密度が高くなっている。R℃/分が高速な場合に析出物密度が低くなるのは、昇温工程で析出核が成長できずに消滅する割合が高くなることによる。この結果から、109/cm3オーダー以上の高い析出物密度を得るには、R℃/分が約5℃/分以下であれば良く、約3℃/分以下がさらに好ましいことがわかる。
【0171】
図20は、t2時間を30分、60分、120分とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例10)。この場合、T4=700℃、t5=30分、R=3℃/分、T5=1100℃とした。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。析出物密度はt2時間にほとんど依存せず高くなっている。この結果から、高い析出物密度は、t2時間が約30分以上であれば確実に得られることがわかる。
【0172】
(実験例11)
実験例6〜10で使用したウェーハと同様な鏡面研磨ウェーハを準備した。次に、図3及び図4に示した熱処理手順において、T4=700℃、t1=30分、R=3℃/分、t2=2時間とし、T5℃を950℃、1000℃、1050℃、1100℃と変化させた4種類の熱処理を施した。T5℃の保持後は、熱処理炉内温度を700℃まで2℃/分で降温してウェーハを熱処理炉外に取り出した。そのウェーハに如何なる熱処理も施さずに、バルク中の酸素析出物の密度をLSTにより測定した。
【0173】
図21は、本実験例における析出物密度とT5℃との関係を示す。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。T5℃が1000℃以上であれば析出物密度が高くなっている。950℃の場合に酸素析出物の密度が低くなるのは、1000℃以上の場合よりも析出物の成長速度が遅いために析出物のサイズが小さく、LSTで検出できないことによる。この結果から、デバイスプロセス前の段階で高密度の大きな析出物を形成するには、T5℃が約1000℃以上であれば良いことがわかる。
【0174】
(実験例12)
実験例6〜11で使用したウェーハと同様な鏡面研磨ウェーハを準備した。次に、図3及び図4に示した熱処理手順において、T4=700℃、t1=30分、R=3℃/分、t2=2時間とし、T5℃を1000℃、1050℃、1100℃と変化させた3種類の熱処理を施した。T5℃の保持後は、熱処理炉内温度を700℃まで2℃/分で降温してウェーハを熱処理炉外に取り出した。
【0175】
熱処理後のウェーハを劈開した後、化学的選択エッチングを行った。その後、劈開面を光学顕微鏡で観察することにより、酸素析出物に起因したエッチピットが観察されない領域の表面からの深さ(以下、DZ幅と呼ぶことがある。)を測定した。
【0176】
上記測定により得られたDZ幅とT5℃との関係を図22に示す。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。T5℃が高いほどDZ幅が広くなっている。これは、温度が高いほど酸素の拡散速度が速くなり、ウェーハ表面近傍の酸素が外方拡散するために、表面近傍の酸素析出核が消滅することによる。
【0177】
以上のように、T4℃を約700℃以下とし、R℃/分を約5℃/分以下とし、T5℃を約1000℃以上とし、t2時間を約30分以上とすることにより、表面近傍に無欠陥層(DZ層)を有し、バルク中にはゲッタリング能力の高い酸素析出物を有するシリコンウェーハを、極めて効率的、かつ、簡便な熱処理により得ることができる。
【0178】
(実験例13)
直径8インチ、面方位<100>、抵抗率約10Ω・cmのCZ法で育成されたボロン添加シリコンウェーハを準備した。このウェーハは、シリコン単結晶の育成の際にボイド欠陥の発生を抑制した条件で引き上げられたシリコン単結晶から作製された、COP及びボイドがほとんど存在しない低欠陥ウェーハである。ウェーハの酸素濃度は14.5、15.4、17.0ppma(JEIDAスケール)である。
【0179】
次に、酸素と窒素を混合した雰囲気下で図3及び図4に示した手順に従って熱処理を施した。すなわち、700℃で1時間保持し、ついで1150℃まで3℃/分の速度で昇温し、1150℃において4時間保持した。保持後は、熱処理炉内温度を700℃まで3℃/分の速度で降温してウェーハを熱処理炉外に取り出した。そのウェーハに如何なる熱処理も施さずに、ウェーハ表面近傍からバルク中までの酸素析出物密度の深さ分布をLSTにより測定した。
【0180】
酸素析出物密度の深さ分布測定におけるLSTの測定配置を図23に示す。劈開したウェーハWの劈開面10から赤外線12を入射させ、ウェーハ表面14から出射する析出物からの散乱光16を検出する。ここでは、入射点18の表面からの距離(表面からの深さ)を5μm〜35μmまで5μm間隔で変えることにより、析出物密度の深さ方向分布を測定した。この場合の深さ分解能は±5μm程度である。従って、例えば深さ10μmの位置における析出物密度は、実際には深さ5μm〜15μm程度の領域における平均値を示すことになる。
【0181】
図24は析出物密度の深さ方向分布の測定結果を示す。この場合、何れの酸素濃度のウェーハでも、深さ5μmの位置における析出物密度は、10 /cm 〜10 /cm オーダー程度であった。この結果から、深さ0μm〜10μm程度の領域はDZ層として有効ではあるが、低密度の析出物が残存していることがわかる。
【0182】
また、酸素濃度が18ppmaである以外は前記と同様のウェーハを別途準備した。このウェーハに対し、700℃で1時間保持し、ついで1200℃まで3℃/分の速度で昇温し、1200℃において1時間保持する熱処理を施した。
【0183】
そして、熱処理後のウェーハの酸素析出物密度を観察したところ、表面から深さ約10μmまでの領域においては、10 /cm オーダー以下の低密度の析出物が残存するDZ層が形成されており、それより深いバルク部においては約5×10/cmの酸素析出物密度が得られた。
【0184】
(実験例14)
実験例13で使用したウェーハと同様なウェーハを準備した。次に、酸素と窒素を混合した雰囲気下で図5及び図6に示した手順に従って熱処理を施した。すなわち、700℃で1時間保持し、ついで900℃まで3℃/分の速度で昇温し、900℃から1150℃まで5℃/分の速度で昇温し、1150℃において4時間保持した。保持後は、熱処理炉内温度を700℃まで3℃/分の速度で降温してウェーハを熱処理炉外に取り出した。すなわち、実験例13(第2の実施形態)の場合とは異なり、昇温工程の途中から昇温速度を速くする熱処理を施した(第3の実施形態に対応)。そのウェーハに如何なる熱処理も施さずに、実験例13と同様な方法により析出物密度の深さ方向分布をLSTで測定した。
【0185】
図25は析出物密度の深さ方向分布の測定結果を示す。何れの酸素濃度のウェーハでも、深さ5μmの位置における析出物密度は、検出下限値(約1×10/cm)以下であった。この結果は、深さ0μm〜μm程度の領域に検出可能な析出物は存在しないことを示している。すなわち、極めて高品質のDZ層が形成されていることがわかる。また、酸素濃度が低い場合には、DZ層が広くなっていることがわかる。これは、熱処理前の酸素濃度が低いほど熱処理後の表面近傍の酸素濃度が低くなることにより、表面近傍の析出物が消滅しやすくなるためである。一方、内部における析出物密度は1×10/cm以上であり、優れたIG能力が期待できることがわかる。
【0186】
また、酸素濃度が16ppmaである以外は実験例13と同様のウェーハを別途準備した。このウェーハに対し、700℃で1時間保持し、ついで900℃まで3℃/分の速度で昇温し、900℃から1200℃まで5℃/分の速度で昇温し、1200℃において1時間保持する熱処理を施した。
【0187】
そして、熱処理後のウェーハの酸素析出物密度を観察したところ、表面から深さ約10μmまでの領域においては、酸素析出物密度が1×106/cm3以下のDZ層が形成されており、それより深いバルク部においては約3×109/cm3の酸素析出物密度が得られた。
【0188】
以上のように、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様によれば、析出物がほとんど存在しないDZ層と優れたIG能力を有するIG層を兼ね備えた高品質のDZ−IG構造を形成することができる。
【0189】
(実験例15〜20)
直径8インチ、面方位<100>、抵抗率約10Ω・cmのCZ法で育成されたボロン添加シリコン単結晶の異なる2箇所(結晶育成工程の前半及び後半に成長した位置で、以下、それぞれ結晶位置A及び結晶位置Bと呼ぶことがある。)から切断されたシリコンウェーハを準備した。ここで準備したウェーハは化学的エッチング後のウェーハであり、鏡面研磨加工は施されていない。ウェーハの酸素濃度は16ppma〜20ppma(JEIDAスケール)である。
【0190】
次に、図7及び図8に示した手順に従って熱処理を施した。すなわち、T9℃でt5時間保持した後、T9℃からT10℃までR5℃/分の速度で昇温し、T10℃においてt6時間保持した。保持後は、熱処理炉内温度を700℃まで2℃/分の速度で降温してウェーハを熱処理炉外に取り出した。
【0191】
熱処理後のウェーハに対して鏡面研磨加工を施した後、約1100℃のエピタキシャル成長により約3μmの厚みのシリコン単結晶層を堆積させてエピウェーハとした。
【0192】
そのエピウェーハに低温短時間のデバイスプロセスを模擬した1000℃/2時間の熱処理を施した後、エピタキシャル層下部のウェーハバルク中の酸素析出物の密度をLSTにより測定した。LSTによれば、直径40nm程度以上のサイズの酸素析出物を検出することができる。
【0193】
図26は、T9℃を600℃、700℃、800℃とした場合の析出物密度を示す(実験例15)。この場合、t5=30分、R5=3℃/分、T10=850℃、t6=1時間とした。酸素濃度は16ppma〜18ppmaである。T9℃が低いほど析出物密度が高くなっている。これは、低温ほど消滅せずに成長するGrown−in析出核の密度が高くなることによる。優れたIG能力を得るためには、析出物密度が109/cm3オーダー以上であることが望ましい。このことから、T9℃は約700℃以下が好ましいことがわかる。さらに、図26に示されたように、T9℃を変えることにより析出物密度を容易に変えることができる。このことは、デバイスプロセス中の汚染の程度に合わせて所望の析出物密度を得たい場合に有効である。
【0194】
図27は、T9=700℃、t5=30分、R5=3℃/分、T10=850℃、t6=1時間とした場合の析出物密度の酸素濃度依存性を示す(実験例16)。この結果から、いずれの結晶位置においても、酸素濃度が増加すると共に酸素析出物密度が増加する傾向があることがわかる。また、酸素濃度が約16ppma以上であれば確実に109/cm3オーダー以上の高い析出物密度が得られる。これは、酸素濃度が高いほどGrown−in析出核の密度が高くなることと、酸素析出物のサイズが大きくなるので1000℃/2時間後に検出される割合が高くなることによる。
【0195】
図28は、t5時間を0分、5分、15分、30分、45分とした場合の析出物密度を示す(実験例17)。この場合、T9=700℃、R5=3℃/分、T10=850℃、t6=1時間とした。酸素濃度は16ppma〜18ppmaである。t5時間が15分以上の場合に、時間と共に析出物密度が増加する傾向がみられる。これは、t5時間が長いほどGrown−in析出核が消滅せずに成長する割合が高くなることと、t5時間の保持の間に新たな析出核が形成されることによる。この結果から、t5時間が15分未満でも高い析出物密度が得られるが、t5時間が15分以上であれば析出物密度がさらに増加するので、より好ましいことがわかる。
【0196】
図29は、R5℃/分を1℃/分、3℃/分、5℃/分とした場合の析出物密度を示す(実験例18)。この場合、T9=700℃、t5=30分、T10=850℃、t6=1時間とした。酸素濃度は16ppma〜18ppmaである。R5℃/分が低速なほど析出物密度が高くなっている。R5℃/分が高速な場合に析出物密度が低くなるのは、昇温工程で析出核が成長できずに消滅する割合が高くなることによる。この結果から、109/cm3オーダー以上の高い析出物密度は、R5℃/分が約5℃/分以下であれば確実に得られることがわかる。
【0197】
図30は、T10℃を750℃、800℃、850℃、900℃とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例19)。この場合、T9=700℃、t5=30分、R5=3℃/分、t6=2時間とした。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。T10℃が800℃以上であればその温度に依存せず析出物密度が高くなっている。750℃の場合に析出物密度が低くなるのは、析出物の成長速度が遅いために、エピ工程で残存可能なサイズまで成長できずエピ工程で消滅することによる。この結果から、高い析出物密度を得るには、T10℃が約800℃以上であれば良いことがわかる。
【0198】
図31は、t6時間を30分、60分、120分とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例20)。この場合、T9=700℃、t5=30分、R5=3℃/分、T10=850℃とした。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。酸素析出物密度はT10時間にほとんど依存せず高くなっている。この結果から、高い酸素析出物密度は、t6時間が約30分以上であれば確実に得られることがわかる。また、実験例20においてt6時間を0分にした場合、LSTにより検出された酸素析出物密度は1×109/cm3を下回る結果となった。
【0199】
以上のように、T9℃を約700℃以下とし、R5℃/分を約5℃/分以下とし、T10℃を約800℃以上とし、t6時間を約30分以上とすることにより、エピウェーハにおいてデバイスプロセスで形成される酸素析出物の密度を高くすることができる。つまり、優れたIG能力を有するエピウェーハを提供することができる。尚、実験例15〜20で作製したエピタキシャルウェーハを1000℃、2時間の熱処理を行う前にLSTにより酸素析出物密度を測定したところ、いずれのウェーハも1×107/cm3以下であることが確認された。
【0200】
(比較例1)
上記実験例15〜20で準備したウェーハと同様のウェーハを用意し、熱処理を施さずに鏡面研磨加工を行った後、エピウェーハを作製した。そのエピウェーハにデバイスプロセスを模擬した1000℃/2時間の熱処理を施した後、析出物密度をLSTにより測定した。
【0201】
その結果、酸素濃度が約19ppmaの場合でも、析出物密度は約1×107/cm3以下となった。このことから、本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法による熱処理を施さない場合は、IG能力がないことがわかった。
【0202】
(実験例21〜25)
直径8インチ、面方位<100>、抵抗率約10Ω・cmのCZ法で育成されたボロン添加シリコン単結晶の異なる2箇所(結晶育成工程の前半及び後半に成長した位置で、以下、それぞれ結晶位置A及び結晶位置Bと呼ぶことがある。)から切断されたシリコンウェーハを準備した。ここで準備したウェーハは化学的エッチング後のウェーハであり、鏡面研磨加工は施されていない。ウェーハの酸素濃度は16ppma〜20ppma(JEIDAスケール)である。
【0203】
次に、図9及び図10に示した手順に従って熱処理を施した。すなわち、T11℃でt7時間保持した後、T11℃からT12℃までR6℃/分の速度で昇温し、T12℃においてt8時間保持した。保持後は、熱処理炉内温度を700℃まで2℃/分の速度で降温してウェーハを熱処理炉外に取り出した。
【0204】
熱処理後のウェーハに対して鏡面研磨加工を施した後、約1100℃のエピタキシャル成長により約3μmの厚みのシリコン単結晶層を堆積させてエピウェーハとした。
【0205】
そのエピウェーハに如何なる熱処理も施さずに、エピタキシャル層下部のウェーハバルク中の酸素析出物の密度をLSTにより測定した。LSTによれば、直径40nm程度以上のサイズの酸素析出物を検出することができる。
【0206】
図32は、T11℃を600℃、700℃、800℃とした場合の析出物密度を示す(実験例21)。この場合、t7=30分、R6=3℃/分、T12=1000℃、t8=2時間とした。酸素濃度は16ppma〜18ppmaである。T11℃が低いほど析出物密度が高くなっている。これは、低温ほど消滅せずに成長するGrown−in析出核の密度が高くなることによる。優れたIG能力を得るためには、析出物密度が109/cm3オーダー以上であることが望ましい。このことから、T11℃は約700℃以下が好ましいことがわかる。さらに、図32に示されたように、T11℃を変えることにより析出物密度を容易に変えることができる。このことは、デバイスプロセス中の汚染の程度に合わせて所望の析出物密度を得たい場合に有効である。
【0207】
図33は、T11=700℃、t7=30分、R6=3℃/分、T12=1000℃、t8=2時間とした場合の析出物密度の酸素濃度依存性を示す(実験例22)。この結果から、いずれの結晶位置においても、酸素濃度が増加すると共に酸素析出物密度が増加する傾向があることがわかる。また、酸素濃度が約16ppma以上であれば確実に109/cm3オーダー以上の高い析出物密度が得られることがわかる。これは、酸素濃度が高いほどGrown−in析出核の密度が高くなることと、酸素析出物のサイズが大きくなるので検出される割合が高くなることによる。
【0208】
図34は、t7時間を0分、5分、15分、30分、45分とした場合の析出物密度を示す(実験例23)。この場合、T11=700℃、R6=3℃/分、T12=1050℃、t8=1時間とした。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。t7時間が約15分以上の場合に、時間と共に析出物密度が増加している。これは、t7時間が長いほどGrown−in析出核が消滅せずに成長する割合が高くなることと、t7時間の保持の間に新たな析出核が形成されることによる。この結果から、t7時間が15分未満でも高い析出物密度が得られるが、t7時間が15分以上であれば析出物密度がさらに増加するので、より好ましいことがわかる。
【0209】
図35は、R6℃/分を1℃/分、3℃/分、5℃/分とした場合の析出物密度を示す(実験例24)。この場合、T11=700℃、t7=30分、T12=1050℃、t8=1時間とした。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。R6℃/分が低速なほど析出物密度が高くなっている。R6℃/分が高速な場合に析出物密度が低くなるのは、昇温工程で析出核が成長できずに消滅する割合が高くなることによる。この結果から、109/cm3オーダー以上の高い析出物密度を得るには、R6℃/分が約5℃/分以下であれば良く、約3℃/分以下がさらに好ましいことがわかる。
【0210】
図36は、t8時間を30分、60分、120分とした場合の酸素析出物密度を示す(実験例25)。この場合、T11=700℃、t7=30分、R6=3℃/分、T12=1050℃とした。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。酸素析出物密度はt8時間にほとんど依存せず高くなっている。この結果から、高い酸素析出物密度は、t8時間が約30分以上であれば確実に得られることがわかる。
【0211】
(実験例26)
実験例21〜25で使用したウェーハと同様なウェーハを準備した。そのウェーハに対して鏡面研磨加工を施した。
【0212】
次に、図9及び図10に示した熱処理手順において、T11=700℃、t7=30分、R6=3℃/分、t8=2時間とし、T12℃を950℃、1000℃、1050℃、1100℃と変化させた4種類の熱処理を施した。T12℃の保持後は、熱処理炉内温度を700℃まで2℃/分で降温してウェーハを熱処理炉外に取り出した。
【0213】
熱処理後のウェーハにおいて、約1100℃のエピタキシャル成長により約3μmの厚みのシリコン単結晶層を堆積させエピウェーハとした。そのエピウェーハに如何なる熱処理も施さずに、酸素析出物の密度をLSTにより測定した。
【0214】
図37は、本実験例における析出物密度とT12℃との関係を示す。酸素濃度は18ppma〜20ppmaである。T12℃が1000℃以上であれば析出物密度が高くなっている。950℃の場合に酸素析出物の密度が低くなるのは、1000℃以上の場合よりも析出物の成長速度が遅いために析出物のサイズが小さく、LSTで検出できないことによる。この結果から、デバイスプロセス前の段階で高密度の大きな析出物を形成するには、T12℃が約1000℃以上であれば良いことがわかる。
【0215】
以上のように、T11℃を約700℃以下とし、R6℃/分を約5℃/分以下とし、T12℃を約1000℃以上とし、t8時間を約30分以上とすることにより、エピウェーハにおいてデバイスプロセス投入前にゲッタリング能力を有するサイズの酸素析出物の密度を高くすることができる。つまり、優れたIG能力を有するエピウェーハを提供することができる。
【0216】
(比較例2)
上記実験例21〜25で準備したウェーハと同様のウェーハを用意し、熱処理を施さずに鏡面研磨加工を行った後、エピウェーハを作製した。そのエピウェーハにデバイスプロセスを模擬した1000℃/2時間の熱処理を施した後、析出物密度をLSTにより測定した。
【0217】
その結果、酸素濃度が約19ppmaと比較的高く、かつ、デバイスプロセスを模擬した熱処理を行った後でも、析出物密度は約1×107/cm3以下となった。このことから、本発明の熱処理方法により熱処理を施さない場合は、IG能力がないことがわかった。
【0218】
産業上の利用可能性
以上述べたごとく、本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様によれば、酸素析出核をほとんど含んでいないウェーハにおいても、大きな酸素析出物を高密度で形成することができるので、たとえ低温化短時間化されたデバイスプロセスに用いられるウェーハであってもデバイスプロセス前の段階で安定に優れたIG能力を付加することができる。
【0219】
本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様によれば、簡便な熱処理により、ウェーハ内部で酸素析出物を成長させることと、酸素の外方拡散により表面近傍の酸素析出核を消滅させることを同時に実現することができ、効率的にDZ−IG構造を形成することができる上、COP及びボイドがほとんど存在しないウェーハを適用することにより、酸素析出物だけでなくCOP及びボイドがほとんど存在しないDZ−IG構造を形成することができる。
【0220】
本発明のシリコンウェーハの製造方法の第の態様によれば、簡便な熱処理により、ウェーハ内部で酸素析出物を成長させることと、酸素の外方拡散により表面近傍の酸素析出物をより完全に消滅させることを同時に実現することができ、効率的に高品質のDZ−IG構造を形成することができる。さらに、COP及びボイドがほとんど存在しないウェーハを適用することにより、酸素析出物だけでなくCOP及びボイドがほとんど存在しないDZ−IG構造を形成することができる。
【0221】
本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様によれば、Grown−in析出核をできるだけ消滅させることなく有効に活用し、かつ、そのサイズを短時間で効率よく成長させ、低温化短時間化されたデバイスプロセスであっても、デバイスプロセス中において優れたIG能力を付加することができるエピウェーハを提供することができる。
【0222】
本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様によれば、エピタキシャル成長前に、簡単かつ短時間の熱処理を加えることにより、デバイスプロセスに投入する前にゲッタリング能力を有するサイズの酸素析出物が形成されたシリコンエピタキシャルウェーハを得ることができ、従って、たとえ近年の低温化短時間化したデバイスプロセスであっても、十分にゲッタリング能力を発揮することのできるエピタキシャルウェーハを効率的に提供することができる。
【0223】
本シリコンエピタキシャルウェーハの第1の態様は、低温化短時間化されたデバイスプロセスにおいても十分にゲッタリング能力を有するものである。
本シリコンエピタキシャルウェーハの第2の態様は、低温化短時間化されたデバイスプロセスにおいてもプロセスの初期段階から十分にゲッタリング能力を有するものである。
【0224】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本シリコンウェーハの製造方法の第1の態様の工程順の一例を示すフローチャートである。
【図2】 図1の工程順の要部を模式的に示す説明図である。
【図3】 本シリコンウェーハの製造方法の第2の態様の工程順の一例を示すフローチャートである。
【図4】 図3の工程順の要部を模式的に示す説明図である。
【図5】 本発明のシリコンウェーハの製造方法の第1の態様の工程順の一例を示すフローチャートである。
【図6】 図5の工程順の要部を模式的に示す説明図である。
【図7】 本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の工程順の一例を示すフローチャートである。
【図8】 図7の工程順の要部を模式的に示す説明図である。
【図9】 本シリコンエピタキシャルウェーハの製造方法の第1の態様の工程順の一例を示すフローチャートである。
【図10】 図9の工程順の要部を模式的に示す説明図である。
【図11】 実験例1におけるT1と酸素析出物密度の関係を示すグラフである。
【図12】 実験例2におけるT2と酸素析出物密度の関係を示すグラフである。
【図13】 実験例3におけるR1と酸素析出物密度の関係を示すグラフである。
【図14】 実験例4におけるR2と酸素析出物密度の関係を示すグラフである。
【図15】 実験例5におけるT3と酸素析出物密度の関係を示すグラフである。
【図16】 実験例6における温度T4と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図17】 実験例7における酸素濃度と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図18】 実験例8における保持時間t1と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図19】 実験例9における昇温速度Rと酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図20】 実験例10における保持時間t2と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図21】 実験例11における温度T5と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図22】 実験例12における温度T5とDZ幅と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図23】 赤外散乱トモグラフ法における測定配置を示す説明図である。
【図24】 実験例13における酸素析出物密度のウェーハ深さ方向分布を示すグラフである。
【図25】 実験例14における酸素析出物密度のウェーハ深さ方向分布を示すグラフである。
【図26】 実験例15における温度T9と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図27】 実験例16における酸素濃度と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図28】 実験例17における保持時間t5と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図29】 実験例18における昇温速度R5と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図30】 実験例19における温度T10と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図31】 実験例20における保持時間t6と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図32】 実験例21における温度T11と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図33】 実験例22における酸素濃度と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図34】 実験例23における保持時間t7と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図35】 実験例24における昇温速度R6と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図36】 実験例25における保持時間t8と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。
【図37】 実験例26における温度T12と酸素析出物密度との関係を示すグラフである。

Claims (8)

  1. シリコン単結晶の育成工程で形成されたGrown−in析出核を有するシリコンウェーハにゲッタリング能力を付加するため当該シリコンウェーハに熱処理を施すシリコンウェーハの製造方法であって、前記Grown−in析出核を成長させる昇温工程Aと、より高温の保持温度まで昇温する昇温工程Bと、前記Grown−in析出核をゲッタリング能力を有するサイズ以上の酸素析出物に成長させるとともに、前記シリコンウェーハ表面近傍の酸素を外方拡散させる等温保持工程Cの少なくとも3つの工程により構成され、前記昇温工程AはT℃からT℃までR℃/分の速度で昇温する工程であって、T℃が700℃以下、T℃が800℃〜1000℃、R℃/分が3℃/分以下であり、前記昇温工程BはT℃からT℃までR℃/分の速度で昇温する工程であって、T℃が800℃〜1000℃、T℃が1050℃〜1230℃、R℃/分が5℃/分以上であることを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
  2. 前記昇温工程Aと昇温工程Bと等温保持工程Cを連続して行うことを特徴とする請求項1記載のシリコンウェーハの製造方法。
  3. 前記昇温工程AのT℃からT℃まで昇温する前に、T℃において30分以上保持することを特徴とする請求項1又は2に記載されたシリコンウェーハの製造方法。
  4. 前記等温保持工程CはT℃でt時間保持する工程であって、T℃が1050℃〜1230℃であり、t時間が30分以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載されたシリコンウェーハの製造方法。
  5. 前記熱処理が施されるシリコンウェーハの酸素濃度が14ppma〜17ppmaであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載されたシリコンウェーハの製造方法。
  6. 前記Grown−in析出核を有するシリコンウェーハは、前記シリコン単結晶の育成の際にボイド欠陥の発生を抑制した条件で引き上げられたシリコン単結晶から作製された低欠陥ウェーハであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載されたシリコンウェーハの製造方法。
  7. 前記酸素析出物のサイズが、直径40nm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載されたシリコンウェーハの製造方法。
  8. 前記シリコンウェーハの直径が300mm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載されたシリコンウェーハの製造方法。
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