JP2007235153A - 高抵抗シリコンウエーハ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゲッタリング能に優れ、酸素サーマルドナーの発生を効果的に抑制でき、しかもCOPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールに伴う抵抗変化を回避できる高抵抗シリコンウエーハを製造する。
【解決手段】抵抗率が100Ωcm以上で、酸素濃度が14×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上であり、且つセコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下である初期シリコンウエーハに、非酸化性ガス雰囲気中で500〜900℃×5時間以上の酸素析出核形成熱処理を施し、更に950〜1050℃×10時間以上の酸素析出物成長熱処理を施す。これらの熱処理により、前記ウエーハ中の残存酸素濃度を12×1017atoms/cm3以下に制御する。
【選択図】図4
【解決手段】抵抗率が100Ωcm以上で、酸素濃度が14×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上であり、且つセコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下である初期シリコンウエーハに、非酸化性ガス雰囲気中で500〜900℃×5時間以上の酸素析出核形成熱処理を施し、更に950〜1050℃×10時間以上の酸素析出物成長熱処理を施す。これらの熱処理により、前記ウエーハ中の残存酸素濃度を12×1017atoms/cm3以下に制御する。
【選択図】図4
Description
本発明は、高周波通信デバイスにおける支持基板等に使用される高抵抗シリコンウエーハ及びその製造方法に関する。
近時、近距離無線LANに使用される高周波通信デバイスの普及に伴い、高抵抗基板の需要が増大している。高抵抗が要求されるRF(Radio Frequency:高周波)回路の支持基板には、従来はGaAsなどの化合物半導体技術が用いられることが多かった。しかしながら、このような化合物半導体基板は非常に高価である。
一方、シリコンCMOSは、消費電力が大きく、RF回路には不適と考えられていたが、近時の著しい微細化や設計の進展によってRF回路にも適用可能となってきた。このため、チョクラルスキー法(CZ法)による高抵抗結晶を使った鏡面シリコンウエーハやSOI(Silicon On Insulater)ウエーハなどの、RF特性に優れ且つ経済性に優れた高抵抗のシリコンウエーハが、GaAsなどの化合物半導体基板に代わって注目を集め始めた。
しかしながら、CZ法によるシリコン単結晶の製造では、石英ルツボを使用して結晶育成を行っているため、その結晶中に酸素が過飽和な状態で含有されることになり、この酸素がデバイスの回路形成プロセスの熱処理過程においてサーマルドナーを形成するため、デバイスメーカーの側でウエーハの抵抗率を不安定に変動させるという大きな問題がある。
図1はサーマルドナーがウエーハの抵抗率に与える影響を示している。ドーパントを添加された通常の低抵抗ウエーハの場合、サーマルドナーがウエーハの抵抗率に与える影響は軽微であり、実操業上は問題にならない。ところが、ドーパントが制限された高抵抗ウエーハの場合は、n型だとサーマルドナーの増加に伴って抵抗率が激減する。p型だとサーマルドナーの増加に伴って当初は抵抗率が激増するが、更にサーマルドナーが増加を続けるとp型がn型に転換して抵抗率が激減するようになる。
このようなサーマルドナーの増加に伴う抵抗率の顕著な変動の問題を解決するために通常は、MCZ法や内面SiCコートにより酸素の溶け込みを抑えた特別なルツボを用いて製造された低酸素のシリコンウエーハを使用して、サーマルドナーの形成を抑制する対策が採られるが、MCZ法や特別なルツボの使用を必要とする低酸素のシリコンウエーハは、通常のCZ法により製造される比較的酸素濃度が高い汎用のシリコンウエーハと比べてコスト高になるのを避け得ない。加えて、その低酸素化にも技術的な限界があり、一般には6×1017atoms/cm3以下は困難であり、300mmウエーハでは8×1017atoms/cm3程度が限界とされている。しかも、低酸素濃度のシリコンウエーハでは、酸素濃度の低減による機械的強度の低下に伴うスリップなどの問題がある。
これらの問題を解決することを目的として、例えば特許文献1には、CZ法により抵抗率が100Ωcm以上で初期格子間酸素濃度が10〜25ppma(JEIDA)(7.9〜19.8×1017atoms/cm3(Old−ASTM))であるシリコン単結晶ロッドを育成し、該単結晶ロッドから切り出したシリコンウエーハに酸素析出熱処理を行って、ウエーハ中の残留格子間酸素濃度を8ppma(JEIDA)(6.4×1017atoms/cm3(Old−ASTM))以下に制限する技術が記載されている。
この技術によると、初期酸素濃度が高い汎用のシリコンウエーハを使用することにより、初期ウエーハの製造コストが安価となる。初期酸素濃度が高い汎用のシリコンウエーハを使用するにもかかわらず、そのシリコンウエーハに酸素析出熱処理を行うことにより、残存酸素濃度は低くなる。このため、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素ドナーの発生が効果的に抑制される。ウエーハ中の酸素濃度を低下させる過程で、多量の酸素析出物(BMD)が生成される。このため、ウエーハのゲッタリング能も向上する。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、高酸素濃度の高抵抗初期基板を使用して多量の酸素析出物(BMD)を生成すること、及びその多量の酸素析出物(BMD)の生成により製品シリコンウエーハの残留酸素濃度を十分に引き下げることが必須となるが、これらに起因して以下の問題が生じる。
すなわち、COP〔Crystal Originated Particle:空孔の集合体で(111)面で囲まれたボイド欠陥〕を除去するための水素アニールやアルゴンアニールに伴う抵抗変化である。一般に、CZシリコンウエーハでは、酸化熱処理を受けたときに、結晶径方向の一部にOSFと呼ばれるリング状の酸素誘起積層欠陥が発生する。そのリング発生位置は結晶引上げ速度によって異なり、且つリングの外側と内側とでは物性の異なることが知られている。
図2は結晶欠陥の一般的な径方向分布を示す横断面図、図3は結晶引上げ速度を変化させたときの結晶欠陥分布の位置変化を示す縦断面図である。通常に育成したCZシリコンウエーハでは、リング状OSF発生領域の内側に無欠陥領域が存在し、その内側がCOP発生領域となる。一方、リング状OSF発生領域の外側には酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域が存在し、その外側が転位クラスター欠陥発生領域となる。このCOPおよび転位クラスター欠陥などは結晶育成過程で結晶内に導入される欠陥であることからgrown−in欠陥とも言われている。そして、リング状OSF発生領域内側の無欠陥領域から転位クラスター欠陥発生領域内側の酸素析出抑制領域までが、COPも転位クラスターも存在しない完全無欠陥領域となる。
ここで、リング状OSF発生領域は引上げ速度が遅くなるほど結晶中心部に移動し、最終的にはその中心部で消滅するが、このときのOSF発生領域の縦断面形状は下方へ凸の方向に湾曲するV形乃至はU形になる。このため、径方向全域が完全無欠陥の結晶を高い歩留りで製造することは困難である。このようなことから、実操業では生産性も考慮して、OSF発生領域をデバイス形成領域外のウエーハ外周縁部に位置させるように育成条件を選択することが多い。その結果、ウエーハ全面に有害なCOPが多数存在することになり、このようなウエーハでは、COPフリー化のために、即ちデバイス領域として使用されるウエーハ表層部からCOPを排除するために、アルゴンアニールや水素アニールを施すのが通例となっている。
しかしながら、アルゴンアニール及び水素アニールは、どちらも基本的にはウエーハを還元性雰囲気(アルゴンも高温では還元作用があり)で、高温長時間熱処理する技術であるため、熱処理炉内からの重金属不純物による汚染が懸念される。そして、高抵抗ウエーハが重金属不純物で汚染された場合には、僅かの汚染であってもウエーハの抵抗率が極端に変わる。このため、アルゴンアニールや水素アニールを採用しがたい現実がある。
これに加え、水素アニールでは、水素還元作用によってウエーハ表層のドーパントが外方拡散し、ウエーハ表層の抵抗率が高くなる傾向があり、所定の抵抗率範囲を有する高抵抗ウエーハを精度よく製造することが難しくなる。一方、アルゴンアニールでは、水素アニールのような強い還元作用はないことから、ウエーハ表層のドーパントが外方拡散し、ウエーハ表層の抵抗率が高くなるという問題はないものの、逆に、熱処理中にウエーハ表面の自然酸化膜が除去され、除去された自然酸化膜中に含まれるドーパント不純物がウエーハ内部に拡散し、ウエーハ表層部の抵抗率が低下するという傾向が見られる。
これらのため、高抵抗ウエーハの製造にあっては、COPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールは採用しがたい技術と言える。
本発明の目的は、ゲッタリング能に優れると共に、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生を効果的に抑制でき、しかもCOPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールに伴う抵抗変化を回避できる高抵抗シリコンウエーハ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは初期基板として汎用の高酸素シリコンウエーハの使用が不可欠であると判断して、その高酸素シリコンウエーハで問題となる酸素サーマルドナーの発生を抑制する方法について検討した。その結果、酸素析出物(BMD)の総析出量、具体的には酸素析出物(BMD)の析出密度と共に、個々の酸素析出物(BMD)のサイズが重要なことが判明した。
また、十分な総量の酸素析出物(BMD)を析出させたときに問題となる強度低下に対しては炭素ドープが、また、COPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールに伴う抵抗率変化に対しては、結晶育成段階でCOPを排除したCOPフリー結晶の使用がそれぞれ有効であるとの結論に達した。炭素の添加は酸素析出物(BMD)の形成を促進する効果もあり、初期基板における酸素濃度を低減できる作用も奏する。
本発明は、100Ωcm以上の抵抗率を有する高抵抗シリコンウエーハであって、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下であり、ウエーハ内部に0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)が1×104個/cm2以上の密度で形成され、ウエーハ中の酸素濃度が12×1017atoms/cm-3(ASTM F−121,1979)以下であるものである。
そしてウエーハ内部に0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)が1×104個/cm2以上の密度で形成されていることにより、ゲッタリング能に優れる。初期基板として汎用の高酸素シリコンウエーハを使用できるので、製造コストを低減できる。ウエーハ中の酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に制限されていることにより、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生を抑制できる。
ウエーハ内部に存在する酸素析出物(BMD)の密度が1×104個/cm2以上の高密度であっても、サイズが0.2μm未満であると、所期の効果が得られない。サイズが0.2μm以上の大型の酸素析出物(BMD)に着目し、この大型析出物を1×104個/cm2以上の高密度に形成することに本発明の意義がある。この大型析出物の密度が1×104個/cm2未満であると、所期の効果が得られない。特に好ましい密度は1×105個/cm2以上である。この密度の上限については余りに高密度であると、顕著な機械的強度の低下に起因してウエーハが変形し、平坦度が低下する。この観点から1×107個/cm2以下が好ましい。
ウエーハ中の残存酸素濃度については、12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)超であると、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生が十分に抑制されない。有効な酸素濃度は、厳密にはウエーハの抵抗率によってシフトする。抵抗率が100Ωcm以上300Ωcm未満の場合の酸素濃度は12×1017atoms/cm3以下であるが、300Ωcm以上2000Ωcm未満の場合の酸素濃度は7×1017atoms/cm3以下が好ましく、2000Ωcm以上の場合の酸素濃度は5.8×1017atoms/cm3以下が好ましい。酸素濃度の下限については、残留酸素濃度の極端な低下は技術的に難しい上に酸素析出物(BMD)の増加を伴う。この増加は前述したとおりウエーハの変形の原因になる。このため4×1017atoms/cm3以上が好ましい。
また、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度を1×103cm-3以下に制限したCOPフリー結晶が使用されることにより、COPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールが不用になり、これらのアニールに伴う抵抗率変化が回避される。
さらに本発明は、抵抗率が100Ωcm以上で、酸素濃度が14×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上であり、且つセコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下である初期シリコンウエーハを用い、これに酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を施すことにより、前記ウエーハ中の残存酸素濃度を12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に制御するものである。
また本発明は、酸素濃度が14×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上、炭素ドープの場合は12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上の高酸素高抵抗シリコンウエーハが初期基板として使用されることにより、製造コストが低減される。初期酸素濃度が高いことに加え、熱処理後の残存酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,197)以下と低く、且つ酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理の2段熱処理が実施されることにより、大型の酸素析出物(BMD)が高密度に形成される。具体的には、0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)を1×104個/cm2以上の高密度で形成できる。これにより、ゲッタリング能に優れた高抵抗シリコンウエーハが製造される。残存酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に制限されることにより、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生が抑制される。
酸素析出物(BMD)、特にウエーハ表層部に存在する酸素析出物(BMD)は、デバイス形成プロセスにおける有害な欠陥となり、デバイス特性を劣化させる原因になる。この問題に対しては、酸素析出物(BMD)を析出させる前に酸素外方拡散熱処理を行い、酸素析出物(BMD)の析出成長を阻止することにより、ウエーハの表層部にDZ(Denuded Zone)層を形成するのが有効である。
初期基板に対する炭素ドープは、酸素析出物(BMD)の形成を促進する作用も有する。この作用のため、炭素ドープを行う場合は、初期基板における酸素濃度の下限を12×1017atoms/cm3まで下げても、十分な総量の酸素析出物(BMD)が確保される。特に好ましい炭素濃度は1×1016atoms/cm3以上である。炭素濃度の上限については、シリコン中の炭素の固溶度である4×1017atoms/cm3まで可能であるが、余りに多い添加は結晶育成時に有転位化を促進する。このため実操業上は1×1017atoms/cm3以下が好ましい。
デバイス形成プロセスにおいて酸素析出物(BMD)が欠陥部になる事態に対しては、ウエーハ表面から少なくとも5μm以上の深さにわたりDZ(Denuded Zone:無欠陥)層を形成することが好ましい。ここにおけるDZ層は、乾燥酸素雰囲気中において1000℃×16時間の熱処理後、ウエーハを劈開し、選択エッチング液〔HF:HNO3:CrO3:Cu(NO3)2:H2O:CH3COOH=1200cc:600cc:250g:40g:1700cc:1200cc〕でウエーハ劈開面を2μmエッチングし、光学顕微鏡にてウエーハ表面からウエーハ深さ方向に1点目のエッチピットが観察されるまでの距離で規定する。
このようなDZ層をウエーハ表層部に形成する方法としては、酸素析出核形成熱処理の前に、ウエーハに1100〜1250℃の温度範囲で1〜5時間の酸素外方拡散熱処理を施すのが好ましい。この酸素外方拡散熱処理により、ウエーハ表層部が低酸素化し、酸素析出物(BMD)の形成成長が阻止されることにより、DZ層が形成される。
酸素外方拡散熱処理は、窒素含有ガス雰囲気で行うことができる。又、水素ガス雰囲気、又はアルゴンガス雰囲気、若しくはこれらの混合ガス雰囲気で行うことができる。例えばp型ウエーハの場合、水素ガス雰囲気で行うことでウエーハ表層部のボロンが外方拡散して濃度低下がおこり、高抵抗化が推進される。
酸素外方拡散熱処理については、前述した高温長時間の熱処理に代えて急速昇降温熱処理(RTA:Rapid Thermal Anneal)を行うことができる。ランプアニールとも呼ばれるこのRTA処理は、非常に短時間でウエーハ表層部の酸素を外方拡散させることができる。更には、このRTA処理を高温の窒素ガス含有雰囲気で行うことで、ウエーハ内部に過剰の空孔が十分に注入されることから、その後の酸素析出核形成熱処理においてウエーハ内部への酸素析出核形成を促進させる効果がある。しかも、使用するウエーハの初期酸素濃度が非常に高い場合には、このRTA処理を行うだけでウエーハ内部への酸素析出核形成も行われることから、その後の低温の酸素析出核形成熱処理を省略することもできる。
即ち、この結晶のなかには、空孔が優勢な領域と格子間シリコンが優勢な領域とが混在したウエーハ(例えばOSFリングが面内に発生したウエーハなど)もあり、このような結晶領域が混在するウエーハを使用した場合、ウエーハの径方向においてBMDの析出密度にばらつきが生じ、面内で均一なゲッタリング能が発揮されない。しかるに、高温でRTA処理を施すと、ウエーハ表面から空孔が十分に注入されるため、径方向の空孔濃度が均一化し、径方向のBMD析出量が均一化する作用がある。加えて昇降温速度が速いことによるas−grownで存在するサイズの小さな酸素析出核の消滅作用があることから、その後に形成される酸素析出物のサイズが均一化する効果もある。そして、高温RTA処理による酸素外方拡散効果により、ウエーハ表層部にDZ層が確保される。
また、ウエーハ全面が同一結晶領域からなるCOPフリー結晶(例えばOSFリングが閉じた酸素析出促進領域のみからなるウエーハ)を使用する場合には、RTA処理を用いなくても、酸素外方拡散熱処理(窒素ガス含有雰囲気)を実施することによってウエーハ径方向のBMDの均一化を達成することができる。
即ち、COPフリー結晶が結晶領域混在型の場合は、酸素外方拡散熱処理としてRTA処理が好適であり、同一結晶領域型の場合は、RTA処理でも通常の酸素外方拡散熱処理(窒素ガス含有雰囲気)でもよい。
RTA処理の条件は1150〜1300℃×1〜60秒が好ましい。なぜなら1150℃よりも低い温度では、ウエーハ表層部に十分なDZ層厚みを確保することができない。また、ウエーハ内部に十分な空孔が注入されず、酸素析出核の形成促進効果が得られない。一方、1300℃を超える温度では、熱処理時にウエーハにスリップ転位が発生してしまい、デバイス特性に支障をきたすことになる。熱処理時間としては、上記の温度範囲において60秒以下の加熱で、十分なDZ層の確保と、酸素析出核形成に必要な空孔量を十分に注入することができる。熱処理雰囲気は、空孔注入作用の大きい窒素雰囲気を基本とし、窒素ガスあるいはアンモニアガスに少量の酸素ガス或いは不活性ガス(Arガス等)を混合させてもよい。
酸素析出核形成熱処理としては、500〜900℃の温度で5時間以上の低温熱処理が好ましく、雰囲気は窒素、酸素、水素、アルゴン、或いはこれらの混合ガス雰囲気のいずれであってもよく、特に限定するものではない。熱処理温度が500℃未満の場合は、酸素の過飽和度が高いものの酸素の拡散速度が遅く、酸素析出核形成を起こさせるには長時間を要し、工業生産性を考えると対応が困難となる。900℃超の場合は、酸素の拡散速度は増すが、過飽和度が低く、十分な酸素析出核密度を実現することが困難となる。また、熱処理時間は熱処理温度、基板酸素と関係し、酸素濃度が17×1017atoms/cm3以上と非常に高い場合であっても、5時間未満の場合は十分な酸素析出核密度を実現することが困難である。特に好ましい酸素析出核形成熱処理温度は700〜900℃である。これは650℃で30分のサーマルドナー消去熱処理を行っても、再度650℃近傍の温度域に長時間滞在すると、ニュードナーが形成され、抵抗率の変化を生じることが本発明者らによる調査から判明したことによる。このニュードナーの形成は抵抗率が500Ωcm以上のウエーハで顕著である。従って、700〜900℃の酸素析出核形成熱処理は、500Ωcm以上のウエーハに特に有効である。
酸素析出核形成熱処理に続く酸素析出物成長熱処理としては、950〜1050℃の温度で10時間以上の中温熱処理が好ましい。熱処理温度が950℃未満の場合は、500〜900℃の温度範囲の酸素析出核形成熱処理で形成した酸素析出核サイズと、950℃未満で成長する核サイズとの差が小さく、基板酸素濃度の低減、及びゲッタリングに必要な大きさの酸素析出物として成長することが困難になる。1050℃超の場合は、500〜900℃の温度範囲の酸素析出核形成熱処理で形成した酸素析出核サイズと、950℃未満で成長する核サイズとの差が大きく、作り込んだ酸素析出核が消滅し、密度が低下する。熱処理時間が10時間未満の場合は、基板酸素濃度の低減、及びゲッタリングに必要な大きさの酸素析出物まで成長することが困難になる。
本発明の高抵抗シリコンウエーハは、ウエーハ内部に0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)が1×104個/cm2以上の密度で形成されていることにより、ゲッタリング能に優れる。初期基板として汎用の高酸素シリコンウエーハを使用できるので、製造コストを低減できる。ウエーハ中の酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に制限されていることにより、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生を抑制できる。
また、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下であるCOPフリーの結晶を使用することにより、COPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールに伴う抵抗変化を回避できる。
本発明の高抵抗シリコンウエーハの製造方法は、酸素濃度が14×1017atoms/cm3(ASTM F−12 1,1979)以上の高酸素高抵抗シリコンウエーハを初期基板として使用することにより、製造コストを低減できる。初期酸素濃度が高いことに加え、熱処理後の残存酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下と低く、且つ酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理の2段熱処理が実施されることにより、大型の酸素析出物(BMD)を高密度に形成できる。具体的には、0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)を1×104個/cm2以上の高密度で形成できる。これにより、ゲッタリング能に優れた高抵抗シリコンウエーハを製造できる。そして、残存酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に制限されることにより、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生を抑制できる。
また、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下であるCOPフリー結晶を使用することにより、COPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールに伴う抵抗変化を回避できる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図4は本発明の実施形態における処理手順を示すフローである。図5は同実施形態における熱処理のヒートパターンを示すグラフである。
(実施形態)
本実施形態では、ホットゾーンなどに工夫を講じたCZ引上げ装置により、図3中にA−Bで示すCOPフリー結晶を引上げ軸方向に長く成長させ、その結晶部分から全面完全無欠陥のシリコンウエーハを採取する(S1,2)。具体的には、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下である完全無欠陥ウエーハを採取する。この初期基板は高酸素〔酸素濃度14×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上〕で、且つ高抵抗(100Ωcm以上)である。
本実施形態では、ホットゾーンなどに工夫を講じたCZ引上げ装置により、図3中にA−Bで示すCOPフリー結晶を引上げ軸方向に長く成長させ、その結晶部分から全面完全無欠陥のシリコンウエーハを採取する(S1,2)。具体的には、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下である完全無欠陥ウエーハを採取する。この初期基板は高酸素〔酸素濃度14×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上〕で、且つ高抵抗(100Ωcm以上)である。
機械強度の向上を目的として、炭素ドープ(0.5×1016atoms/cm3以上)を行うことができる(S3)。この場合、後の熱処理でウエーハ表層部の酸素析出物(BMD)の成長が促進されるため、初期基板中の酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上まで許容される。
初期基板には、必要に応じ、1100〜1250℃×1〜5時間の酸素外方拡散熱処理を施す(S4)。この酸素外方拡散熱処理により、後の熱処理での酸素析出物(BMD)の形成を阻止する。これにより、製品ウエーハの表面から少なくとも5μm以上の深さにわたってDZ(Denuded Zone)層を形成する。この酸素外方拡散熱処理は、窒素ガスと酸素ガスの混合ガス雰囲気で行い、水素アニールやアルゴンアニールは避ける。
以上のごとき初期基板に対して、まず酸素析出核形成熱処理として、500〜900℃×5時間以上の低温熱処理を行う(S5)。好ましくは700℃以上で行う。次いで、酸素析出物成長熱処理として、950〜1050℃×10時間以上の高温熱処理を行う(S6)。
前記外方拡散熱処理に代えて、窒素ガス雰囲気中で1150〜1300℃×1〜60秒のRTA処理を行うこともできる。結晶領域混在型の結晶の場合はRTA処理が推奨されるが、同一結晶領域型の結晶の場合は何れを実施してもよい。なお、前述したように、酸素濃度の高い初期基板、例えば酸素濃度が15×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上の初期基板を使用する場合には、酸素析出核形成熱処理は不要である。
これらの熱処理により、100Ωcm以上の高抵抗シリコンウエーハの内部に0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)を1×104個/cm2以上の密度で形成し、且つウエーハ中の酸素濃度を12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に低減する(S7)。
具体的なウエーハ中の酸素濃度(ASTM F−121,1979)は、サーマルドナーのより効果的な抑制のために、ウエーハの抵抗率が100Ωcm以上300Ωcm未満の場合は12×1017atoms/cm3以下、300Ωcm以上2000Ωcm未満の場合は7×1017atoms/cm3以下、2000Ωcm以上の場合は5.8×1017atoms/cm3以下とする。
こうして製造されたシリコンウエーハ製品の特徴は以下のとおりである。
第1に、酸素濃度が比較的高い汎用のシリコンウエーハを初期基板とするので経済性に優れる。第2に、大型の酸素析出物(BMD)が高密度に形成されることによりゲッタリング能に優れる。第3に、最終酸素濃度が低く、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生が抑制される。第4に、COPフリーの結晶を使用していることにより、酸素外方拡散熱処理を行う場合も、窒素ガス含有雰囲気で行うことができ、水素アニールやアルゴンアニールを回避できる。したがって、これらのアニールによる抵抗変化も回避される。それにもかかわらず、grown−in欠陥がなく、ウエーハ表面上で観察される0.12μmサイズ以上のLPD(Light Point Defect)の密度を0.2個/cm2以下に低減することができる。
結晶育成段階で炭素ドープを行った場合は、機械的強度が高い。初期基板に対して酸素外方拡散熱処理やRTA処理を実施し、表層部にDZ(Denuded Zone)層を形成した製品は、デバイス特性に特に優れる。
次に、本発明の実施例を示し、比較例と対比することより、本発明の効果を明らかにする。
(比較例1)
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約1300Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約13×1017atoms/cm3の8インチn型供試ウエーハを複数枚用意し、ウエーハ中に存在するgrown−in欠陥の密度及び0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定した。測定は以下の要領で行った。ウエーハ中に存在するgrown−in欠陥の密度は3.05×105個/cm3であり、酸素析出物は1×103個/cm2以下であった。
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約1300Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約13×1017atoms/cm3の8インチn型供試ウエーハを複数枚用意し、ウエーハ中に存在するgrown−in欠陥の密度及び0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定した。測定は以下の要領で行った。ウエーハ中に存在するgrown−in欠陥の密度は3.05×105個/cm3であり、酸素析出物は1×103個/cm2以下であった。
(grown−in欠陥密度の測定法)
1.ウエーハ表面のgrown−in欠陥を顕在化させるため、ウエーハをエッチング液に浸漬する。エッチング液の配合比は、HF:K2Cr2O7(0.15mol)=2:1であり、浸漬時間は30分間である。
2.エッチング後に光学顕微鏡にてウエーハ表面におけるエッチピット(grown−in欠陥)密度を測定する。
1.ウエーハ表面のgrown−in欠陥を顕在化させるため、ウエーハをエッチング液に浸漬する。エッチング液の配合比は、HF:K2Cr2O7(0.15mol)=2:1であり、浸漬時間は30分間である。
2.エッチング後に光学顕微鏡にてウエーハ表面におけるエッチピット(grown−in欠陥)密度を測定する。
(BMD密度の測定法)
1.乾燥酸素雰囲気中において1000℃×16時間の評価熱処理を実施する。
2.評価熱処理で形成された熱酸化膜をHF:H2O=1:1のエッチング液で除去する。
3.ウエーハを劈開した後、酸素析出物を顕在化させるための選択エッチングを行う。選択エッチング液の配合比はHF:HNO3:CrO3:Cu(NO3)2:H2O:CH3COOH=1200cc:600cc:250g:40g:1700cc:1200cc。エッチング量はウエーハ劈開面で2μmである。
4.選択エッチング後に光学顕微鏡にてウエーハ劈開面におけるエッチピット密度を測定する。
1.乾燥酸素雰囲気中において1000℃×16時間の評価熱処理を実施する。
2.評価熱処理で形成された熱酸化膜をHF:H2O=1:1のエッチング液で除去する。
3.ウエーハを劈開した後、酸素析出物を顕在化させるための選択エッチングを行う。選択エッチング液の配合比はHF:HNO3:CrO3:Cu(NO3)2:H2O:CH3COOH=1200cc:600cc:250g:40g:1700cc:1200cc。エッチング量はウエーハ劈開面で2μmである。
4.選択エッチング後に光学顕微鏡にてウエーハ劈開面におけるエッチピット密度を測定する。
また、供試ウエーハに対して350〜500℃×1時間のサーマルドナー形成熱処理を行った後、抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
残存酸素濃度が高く、サーマルドナーの形成による抵抗率の低下が顕著である。0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)が観察されなかったため、ゲッタリング能は非常に乏しく、無いに等しい。
(比較例2)
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約750Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハを複数枚用意し、比較例1と同様にgrown−in欠陥密度の測定及び0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度の測定を行うと共に、サーマルドナー形成熱処理後の抵抗率の測定を行った。供試ウエーハ中に存在するgrown−in欠陥の密度は2.77×105個/cm3、0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度は1×103個/cm2以下であった。
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約750Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハを複数枚用意し、比較例1と同様にgrown−in欠陥密度の測定及び0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度の測定を行うと共に、サーマルドナー形成熱処理後の抵抗率の測定を行った。供試ウエーハ中に存在するgrown−in欠陥の密度は2.77×105個/cm3、0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度は1×103個/cm2以下であった。
サーマルドナー形成熱処理後の抵抗率を測定した結果を表2に示す。
残存酸素濃度が高く、サーマルドナーの形成による抵抗率の変化が顕著であり、熱処理温度が450℃及び500℃の場合はp型からn型への反転が見られた。加えて、0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度が1×103個/cm2以下であるため、ゲッタリング能は非常に乏しい。
(比較例3)
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約175Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約7×1017atoms/cm3である8インチp型供試ウエーハに対して、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約175Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約7×1017atoms/cm3である8インチp型供試ウエーハに対して、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。
酸素析出核形成熱処理では、温度550℃に保持された反応炉内にウエーハを挿入した後、反応炉内を850℃まで昇温して850℃の温度で1時間保持した後、ウエーハを炉外へ取り出した。昇温速度等はランピング昇温開始から850℃×1時間の熱処理が終了するまでの延べ滞在時間が5〜26時間になるように調整した。炉内雰囲気は窒素・酸素混合ガス雰囲気(窒素ガス100、酸素ガス3の流量比)とした。また酸素析出物成長熱処理では、ウエーハを乾燥酸素雰囲気中で1000℃×16時間加熱した。
熱処理後、比較例1と同様にウエーハ中に存在するgrown−in欠陥の密度及び0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定すると共に、サーマルドナー形成熱処理後の抵抗率を測定した。また、酸素析出核形成熱処理前の供試ウエーハについて比較例1と同様のgrown−in欠陥密度の測定を行った。結果を表3に示す。
初期酸素濃度の低いウエーハを使用したことから、サーマルドナーの形成による抵抗率の変化は軽微であるが、0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)が観察されなかったため、ゲッタリング能は全く期待できない。grown−in欠陥の密度は3.15×105個/cm3であった。
(比較例4)
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約750Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、前記と同様の酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約750Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、前記と同様の酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。
熱処理後、赤外吸光分析法によりウエーハ中の残存酸素濃度を測定し、比較例1と同様にウエーハ中に存在する0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定すると共に、350〜500℃×1時間のサーマルドナー形成熱処理後の抵抗率を測定した。また、酸素析出核形成熱処理前の供試ウエーハについて比較例1と同様のgrown−in欠陥密度の測定を行った。結果を表4に示す。
残存酸素濃度が低く、サーマルドナーの形成による抵抗率の低下が軽微であることに加え、0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度が3.9〜7.1×106個/cm2と多く、十分なゲッタリング能が確保される。また、grown−in欠陥の密度は2.77×105個/cm3であった。しかし、熱処理後の各供試ウエーハに対して、RTA装置を用いて1150℃×30秒で降温レート70℃/secの熱処理を施した後、ADE9600(日本ADE社製)によりウエーハの反り量を測定したところ、平均約50μm程度の反りが発生し、機械的強度が弱いことが確認された。
(比較例5)
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約100〜1500Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約14〜17×1017atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、酸素外方拡散熱処理を行った後、前記と同様に酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約100〜1500Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約14〜17×1017atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、酸素外方拡散熱処理を行った後、前記と同様に酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。
酸素外方拡散熱処理では、窒素・酸素混合ガス雰囲気(窒素ガス100:酸素ガス3の流量比)に保持され、且つ900℃に保持された反応炉内にウエーハを挿入し、速度5℃/分で1150℃まで炉内温度を高め、炉内を100%窒素ガス雰囲気に切り替え、1150℃で2.5時間保持した。その後、900℃まで4℃/分の速度で降温して、ウエーハを取り出した。
熱処理後、赤外吸光分析法によりウエーハ中の残存酸素濃度を測定した。また比較例1と同様にウエーハ中に存在する0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定すると共に、酸素析出物(BMD)の密度測定における選択エッチング後、ウエーハ劈開面を光学顕微鏡にて観察し、ウエーハ表面からウエーハ深さ方向に1点目のエッチピットが観察されるまでの距離をDZ層の層厚として測定した。また、酸素析出核形成熱処理前の供試ウエーハについて比較例1と同様のgrown−in欠陥密度の測定を行った。結果を表5に示す。
残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約7〜12×1017atoms/cm3と低く、サーマルドナーの形成による抵抗率の低下が軽微である。0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度が1.9〜7.1×106個/cm2と多く、ゲッタリング能に優れる。加えて、ウエーハの表層に7μm厚以上のDZ層が形成されており、且つ酸素析出物(BMD)がウエーハ表面に突き抜けていなかったことから、評価エッチング量を加味すると、DZ層の層厚は9μm程度は確保されていたと推定される。但し、酸素外方拡散熱処理後の供試ウエーハへのスリップ転位の発生状況についてX線トポグラフ法により確認したところ、酸素外方拡散熱処理時に支持部材によってウエーハが支持される位置に対応する箇所において、長さ約20mm程度のスリップ転位の発生が観察され、機械的強度が非常に弱いものであった。grown−in欠陥の密度は約3×105個/cm3であった。
(比較例6)
シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約100〜1300Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約13〜17×1017atoms/cm3の範囲にある7水準(A〜G)の8インチp型供試ウエーハを用意した。各ウエーハに対して、酸素外方拡散熱処理を行った後、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。酸素外方拡散熱処理は、比較例5において、炉内ガス雰囲気を窒素・酸素混合ガス雰囲気(窒素ガス100:酸素ガス3の流量比)から、水素ガス雰囲気又はアルゴンガス雰囲気に変更したものとした。
シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約100〜1300Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約13〜17×1017atoms/cm3の範囲にある7水準(A〜G)の8インチp型供試ウエーハを用意した。各ウエーハに対して、酸素外方拡散熱処理を行った後、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。酸素外方拡散熱処理は、比較例5において、炉内ガス雰囲気を窒素・酸素混合ガス雰囲気(窒素ガス100:酸素ガス3の流量比)から、水素ガス雰囲気又はアルゴンガス雰囲気に変更したものとした。
熱処理後、赤外吸光分析法によりウエーハ中の残存酸素濃度を測定し、450℃×1時間のサーマルドナー形成熱処理後のウエーハの抵抗率を測定して、酸素濃度による抵抗率の変化を調査した。また、比較例1と同様に熱処理後の各サンプルウエーハ中に存在する0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定すると共に、酸素析出物(BMD)の密度測定における選択エッチング後、ウエーハ劈開面を光学顕微鏡にて観察し、ウエーハ表面からウエーハ深さ方向に1点目のエッチピットが観察されるまでの距離をDZ層の層厚として測定した。結果を表6に示す。
水素ガス雰囲気中で酸素外方拡散熱処理を行った供試ウエーハはA,C,Eであり、アルゴンガス雰囲気中で酸素外方拡散熱処理を行った供試ウエーハはB,D,F,Gである。0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度は1×106個/cm2以上と多く、ゲッタリング能に優れる。ウエーハの表層に5μm厚以上のDZ層が形成されており、且つ酸素析出物(BMD)がウエーハ表面に突き抜けていなかったことから、評価エッチング量を加味すると、DZ層の層厚は7μm程度は確保されていたと推定される。但し、酸素外方拡散熱処理後の供試ウエーハへのスリップ転位の発生状況についてX線トポグラフ法により確認したところ、酸素外方拡散熱処理時に支持部材によってウエーハが支持される位置に対応する箇所において、長さ約20mm程度のスリップ転位の発生が観察され、機械的強度が非常に弱いものであった。
また、酸素濃度による抵抗率の変化を調査した結果によると、n型−p型の反転がなく、且つ抵抗率の変化が初期値の10倍を超えない酸素濃度は、初期抵抗率が100Ω以上300Ωcm未満の場合は12×1017atoms/cm3以下、300Ω以上2000Ωcm未満の場合は7×1017atoms/cm3以下、2000Ωcm以上の場合は5.8×1017atoms/cm3以下である。すなわち、酸素析出核熱処理によって、初期の抵抗率に対する残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)が上記の適正範囲に低下されている供試ウエーハA〜Fでは、サーマルドナーの形成による抵抗率の変化は軽微であるものの、供試ウエーハGでは、酸素析出核熱処理時間が短いことから、初期抵抗率に対する残存酸素濃度が高く、サーマルドナー熱処理後にn型への反転が見られた。
更に、サンプルA,C,Fの各3枚に対して酸素外方拡散熱処理前後でレーザーパーティクルカウンターによりウエーハ表面上の0.12μmサイズ以上のLPD(Light Point Defect)の個数を調査した。結果を表7に示す。熱処理後は最大個数が3個/ウエーハ(0.01個/cm2)であった。
(実施例1)
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約750Ωcm、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約11×1017atoms/cm3、炭素濃度が約1×1016atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、比較例3と同様の酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行い、残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)を約4.5×1017atoms/cm3とした。
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約750Ωcm、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約11×1017atoms/cm3、炭素濃度が約1×1016atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、比較例3と同様の酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行い、残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)を約4.5×1017atoms/cm3とした。
ウエーハ中に存在する0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定したところ、初期酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3で、残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)を約4.5×1017atoms/cm3まで下げた比較例4とほぼ同じ4.3〜6.2×106個/cm2が確保された。酸素析出核形成熱処理前の供試ウエーハについて比較例1と同様のgrown−in欠陥密度の測定を行ったところ、grown−in欠陥の密度は3.2×105個/cm3であった。また、熱処理後の各供試ウエーハに対して、RTA装置を用いて1150℃×30秒で降温レート70℃/secの熱処理を施した後、ADE9600(日本ADE社製)によりウエーハの反り量を測定したところ、反り量は平均約5μm以下であり機械的強度に優れていた。
(実施例2)
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約750Ωcm、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3、炭素濃度が約1×1016atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、比較例3と同様の酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行い、残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)を約4.5×1017atoms/cm3とした。
通常育成シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約750Ωcm、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3、炭素濃度が約1×1016atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、比較例3と同様の酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行い、残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)を約4.5×1017atoms/cm3とした。
ウエーハ中に存在する0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定したところ、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3で、残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)を約4.5×1017atoms/cm3まで下げた比較例4より格段に多い6.4〜7.7×106個/cm2が確認された。酸素析出核形成熱処理前の供試ウエーハについて比較例1と同様のgrown−in欠陥密度の測定を行ったところ、grown−in欠陥の密度は3.4×105個/cm3であった。また、熱処理後の各供試ウエーハに対して、RTA装置を用いて1150℃×30秒で降温レート70℃/secの熱処理を施した後、ADE9600(日本ADE社製)によりウエーハの反り量を測定したところ、反り量は平均約5μm以下であり機械的強度に優れていた。
(実施例3)
シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が110〜2500Ωcm、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が14〜16.5×1017atoms/cm3、炭素濃度が0.5〜20×106atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、比較例5と同様の酸素外方拡散熱処理、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行い、残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)を4.5〜6×1017atoms/cm3まで下げた。
シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が110〜2500Ωcm、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が14〜16.5×1017atoms/cm3、炭素濃度が0.5〜20×106atoms/cm3の8インチp型供試ウエーハに対して、比較例5と同様の酸素外方拡散熱処理、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行い、残存酸素濃度(ASTM F−121,1979)を4.5〜6×1017atoms/cm3まで下げた。
熱処理後の供試ウエーハに室温でビッカース圧痕を導入した後、900℃×30分の熱処理を行い、熱処理後に圧痕跡から発生した転位の移動距離を前記選択エッチング後に光学顕微鏡で測定した。測定した転位の移動距離とウエーハ中の炭素濃度との関係を図6に示す。ウエーハ中に大型の酸素析出物(BMD)が高密度に存在するにもかかわらず、炭素濃度の増大に伴ってウエーハの機械的強度が効果的に向上する。
(実施例4)
シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約500〜2500Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3、炭素濃度が約1〜2×1016atoms/cm3の範囲にある3水準の8インチp型ウエーハ(Z1〜Z3)に対して、酸素外方拡散熱処理を行った後、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。酸素外方拡散熱処理は、実施例3において、炉内ガス雰囲気を窒素・酸素混合ガス雰囲気(窒素ガス100:酸素ガス3の流量比)から、水素ガス雰囲気又はアルゴンガス雰囲気に変更した。
シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約500〜2500Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約15×1017atoms/cm3、炭素濃度が約1〜2×1016atoms/cm3の範囲にある3水準の8インチp型ウエーハ(Z1〜Z3)に対して、酸素外方拡散熱処理を行った後、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。酸素外方拡散熱処理は、実施例3において、炉内ガス雰囲気を窒素・酸素混合ガス雰囲気(窒素ガス100:酸素ガス3の流量比)から、水素ガス雰囲気又はアルゴンガス雰囲気に変更した。
熱処理後、赤外吸光分析法によりウエーハ中の残存酸素濃度を測定し、450℃×1時間のサーマルドナー形成熱処理を行った後、抵抗率を測定し、酸素濃度による抵抗率の変化を調査した。また、ウエーハ中に存在する0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度を測定すると共に、酸素析出物(BMD)の密度測定における選択エッチング後、ウエーハ劈開面を光学顕微鏡にて観察し、ウエーハ表面からウエーハ深さ方向に1点目のエッチピットが観察されるまでの距離をDZ層の層厚として測定した。結果を表8に示す。
水素ガス雰囲気中で酸素外方拡散熱処理を行った供試ウエーハはZ1とZ2であり、アルゴンガス雰囲気中で酸素外方拡散熱処理を行った供試ウエーハはZ3である。何れのウエーハも残存酸素濃度が十分に低減されていることから、サーマルドナーの形成による抵抗率の低下は軽微である。0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)の密度が5×106個/cm2以上と多く、ゲッタリング能に優れる。ウエーハの表層に8μm厚以上のDZ層が形成されており、且つ酸素析出物(BMD)がウエーハ表面に突き抜けていなかったことから、評価エッチング量を加味すると、少なくともDZ層の層厚は10μm程度は確保されていたと推定される。
また、酸素外方拡散熱処理後の供試ウエーハにおけるスリップ転位の発生状況についてX線トポグラフ法により確認したところ、酸素外方拡散熱処理時に支持部材によってウエーハが支持される位置に対応する箇所において、長さ2〜3mm程度のスリップ転位の発生が僅かに観察されるだけで、その後に1150℃の温度で1時間の追加熱処理を施してもスリップ転位の長さに変化は見られず、非常に機械的強度に優れていた。
更に、全サンプルZ1〜Z3に対して酸素外方拡散熱処理前後でレーザーパーティクルカウンターによりウエーハ表面上の0.12μmサイズ以上のLPD(Light Point Defect)の個数を調査した。結果を表9に示す。熱処理後は最大個数が3個/ウエーハ(0.01個/cm2)であった。
(実施例5)
シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約100〜1000Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約13〜17×1017atoms/cm3、炭素濃度が約1〜2×1016atoms/cm3の範囲にある6水準(H〜M)の8インチp型ウエーハに対して、実施例4と同様の酸素外方拡散熱処理を行った後、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。但し、酸素外方拡散熱処理は、処理温度・時間を、実施例4で実施した1150℃×2.5時間のときと酸素拡散距離がほぼ等しくなるように、1100℃では5時間保持、1200℃では1時間保持とした。
シリコン単結晶インゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約100〜1000Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約13〜17×1017atoms/cm3、炭素濃度が約1〜2×1016atoms/cm3の範囲にある6水準(H〜M)の8インチp型ウエーハに対して、実施例4と同様の酸素外方拡散熱処理を行った後、酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を行った。但し、酸素外方拡散熱処理は、処理温度・時間を、実施例4で実施した1150℃×2.5時間のときと酸素拡散距離がほぼ等しくなるように、1100℃では5時間保持、1200℃では1時間保持とした。
熱処理後、供試ウエーハを2分割し、一方のサンプルについて赤外吸光分析法によりウエーハ中の残存酸素濃度を測定した。また、450℃×1時間のサーマルドナー形成熱処理を行った後、抵抗率を測定し、酸素濃度による抵抗率の変化を調査した。他方のサンプルではウエーハを劈開して選択エッチング後、劈開断面を光学顕微鏡にて観察し、ウエーハ表面からウエーハ深さ方向に1点目のエッチピットが観察されるまでの距離をDZ層の層厚として測定した。結果を表10に示す。
水素ガス雰囲気中で酸素外方拡散熱処理を行った供試ウエーハはH,I,L,Mであり、アルゴンガス雰囲気中で酸素外方拡散熱処理を行った供試ウエーハはJ,Kである。1100℃×5時間から1200℃×1時間まで酸素拡散条件を変更しても、DZ層の層厚は実施例4と同等に確保され、残存酸素濃度もほぼ同じ程度に制御され、抵抗率の変化も同じ程度に抑えることが可能である。
また、実施例4と同様に供試ウエーハにおけるスリップ転位の発生状況についてX線トポグラフ法により確認したところ、1時間の酸素外方拡散熱処理した供試ウエーハI,K,Mではスリップ転位の発生は観察されず、5時間の酸素外方拡散熱処理した供試ウエーハH,J,Lでは実施例4と同じ程度のスリップ転位が観察されるだけであった。
サンプルH,J,K,Mの各4枚に対して酸素外方拡散熱処理前後でレーザーパーティクルカウンターによりウエーハ表面上の0.12μmサイズ以上のLPD(Light Point Defect)の個数を調査した。結果を表11に示す。熱処理後は最大個数が4個/ウエーハ(0.01個/cm2)であった。
(実施例6)
grown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域のみからなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットと、同じくgrown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域の2種類からなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットを用意した。これらのインゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約100〜900Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約14〜17×1017atoms/cm3の範囲にある7水準(N〜T)の6インチp型ウエーハに対して、1150℃で2.5時間の酸素外方拡散熱処理を行った後、550〜850℃の温度範囲で5〜26時間の酸素析出核形成熱処理を行い、更に1000℃で16時間の酸素析出物成長熱処理を行った。熱処理条件について更に詳細に述べると、以下のとおりである。
grown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域のみからなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットと、同じくgrown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域の2種類からなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットを用意した。これらのインゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約100〜900Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約14〜17×1017atoms/cm3の範囲にある7水準(N〜T)の6インチp型ウエーハに対して、1150℃で2.5時間の酸素外方拡散熱処理を行った後、550〜850℃の温度範囲で5〜26時間の酸素析出核形成熱処理を行い、更に1000℃で16時間の酸素析出物成長熱処理を行った。熱処理条件について更に詳細に述べると、以下のとおりである。
酸素外方拡散処理では、温度900℃に保持された反応炉内にウエーハを挿入した後、昇温速度5℃/分で1150℃まで炉内温度を上昇した。この間のガス雰囲気は、窒素・酸素混合ガス雰囲気(窒素ガス100:酸素ガス3の流量比)とした。そして1150℃まで昇温後、ガス雰囲気を100%窒素ガス雰囲気に切替え、2.5時間保持した後、900℃まで4℃/分の冷却速度で降温し、900℃でウエーハを炉内から取り出した。酸素外方拡散処理に続く酸素析出核形成熱処理も100%窒素ガス雰囲気で行った。
酸素析出促進領域は、酸素ガス雰囲気で高温長時間の熱処理を行うと、OSFが発生する性質を有する領域である。また、100%窒素ガス雰囲気で熱処理を行うと、ウエーハ表面に窒化物が形成され、表面粗れの問題が懸念される領域でもある。これらの問題が生じないようにガス雰囲気の検討を行い、上記のように決定した。
熱処理後、供試ウエーハを2分割し、一方のサンプルについて赤外吸光分析法によりウエーハ中の残存酸素濃度を測定した後、ウエーハを劈開して選択エッチングにより劈開断面を2μmエッチングし、その後、光学顕微鏡を用いた前述の方法によりDZ層の層厚を測定した。また0.2μmサイズ以上の酸素析出物の密度を測定した。他方のサンプルについては、450℃×1時間のサーマルドナー形成熱処理を行った後、抵抗率を測定し、酸素濃度による抵抗率の変化を調査した。結果を表12に示す。
サンプルN〜Sは酸素析出促進領域のみからなるCOPフリーのウエーハである。サンプルTは酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域の2種類からなるCOPフリーのウエーハであり、そのウエーハ中心部は酸素析出促進領域、外周から20mmの周辺部が酸素析出抑制領域である。サンプルS及びTについては、残存酸素濃度、酸素析出物密度、DZ層厚及び抵抗率の各測定を、ウエーハ中心部と外周から20mmの周辺部で行った。他のサンプルではウエーハの中心部のみで測定を行った。
いずれのサンプル、測定箇所でも、ウエーハの表層に5μm厚以上のDZ層が形成されており、且つ酸素析出物(BMD)がウエーハ表面に突き抜けていなかったことから、評価エッチング量を加味すると、少なくともDZ層の層厚は7μm程度は確保されていたと推定される。残存酸素濃度も7〜12×1017atoms/cm3程度まで低減させることが可能である。
また、タイプが反転せず、抵抗率の変化が初期値の10倍を超さない基板酸素濃度(酸素析出処理後の残存酸素濃度も含む)は、初期抵抗率が300Ωcm以下では約12×1017atoms/cm3以下、初期抵抗率が2000Ωcm未満では約8×1017atoms/cm3以下、初期抵抗率が2000Ωcm以上では5.8×1017atoms/cm3以下である。
ウエーハ全面が酸素析出促進領域からなるサンプルN〜Sについては、ウエーハ面内で均一に酸素析出物が形成されており、抵抗率のばらつきも少ないが、酸素析出促進領域と酸素析出抑制領域とが混在するサンプルTについては、ウエーハ面内で酸素析出物の密度に差が生じ、低密度である酸素析出抑制領域(ウエーハ周辺部)でのサーマルドナー形成による抵抗率の変化が大きく、ウエーハ面内で均一な抵抗率が得られなかった。
前述した実施例5においてアルゴン雰囲気で酸素外方拡散処理のみを行ったサンプルKと、本実施例において酸素外方拡散処理のみを行ったサンプルNについて、ウエーハ表層におけるgrown−in欠陥密度を三井金属鉱業製MO601欠陥評価装置を用いて測定した。この欠陥評価装置はウエーハ表面から数μm内部に存在する欠陥を検出することができる。結果は以下のとおりである。
アルゴン雰囲気で酸素外方拡散処理のみを行ったサンプルKおいては、ウエーハ表面の欠陥密度は0.006cm-2であるのに対し、前記欠陥評価装置で測定した数μm内部における欠陥密度は3.4cm-2である。これに対し、本実施例において酸素外方拡散処理のみを行ったサンプルN(COPフリー)においては、前記欠陥評価装置で測定した数μm内部における欠陥密度も0.02cm-2と低位であった。
これから分かるように、アルゴン雰囲気での熱処理では、ウエーハ表層のごく表面に近い部分に存在するgrown−in欠陥しか消滅・縮小させることができない。また、水素ガス・アルゴンガス雰囲気で高温熱処理を行うと、熱処理前のウエーハ洗浄によって表面に形成されている自然酸化膜が除去され、活性なシリコン表面が露出するため、熱処理時の環境から混入する鉄などの重金属や、ボロン・リンなどのウエーハ抵抗率を変化させるドーパント不純物がウエーハ内部に混入することが懸念される。したがって、より高品質化を実現するには、結晶育成時からgrown−in欠陥を低減させたCOPフリー結晶の使用が好ましい。
(実施例7)
grown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域のみからなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットと、同じくgrown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域の2種類からなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットとを用意した。これらのインゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約300〜900Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約13〜15×1017atoms/cm3の範囲にある5水準(U〜Y)の6インチp型ウエーハに対して下記の高速昇降温熱処理(RTA処理)を行った。
grown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域のみからなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットと、同じくgrown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域の2種類からなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットとを用意した。これらのインゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約300〜900Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が約13〜15×1017atoms/cm3の範囲にある5水準(U〜Y)の6インチp型ウエーハに対して下記の高速昇降温熱処理(RTA処理)を行った。
600℃に保持された炉内にウエーハを投入した後、50℃/秒の昇温速度で所定温度まで加熱し、所定時間保持の後、33℃/秒の降温速度で600℃まで冷却し、炉内からウエーハを取り出した。各ウエーハに対する加熱温度、保持時間及び雰囲気は以下のとおりである。
ウエーハU:1280℃で1秒処理(窒素ガス雰囲気)
ウエーハV:1220℃で30秒処理(窒素ガス雰囲気)
ウエーハW:1220℃で30秒処理(窒素ガス雰囲気)
ウエーハX:1280℃で1秒処理(窒素ガス雰囲気)
ウエーハY:1150℃で60秒処理(アンモニア+アルゴン混合雰囲気)
ウエーハV:1220℃で30秒処理(窒素ガス雰囲気)
ウエーハW:1220℃で30秒処理(窒素ガス雰囲気)
ウエーハX:1280℃で1秒処理(窒素ガス雰囲気)
ウエーハY:1150℃で60秒処理(アンモニア+アルゴン混合雰囲気)
熱処理後、供試ウエーハを2分割し、一方のサンプルについて赤外吸光分析法によりウエーハ中の残存酸素濃度を測定した後、ウエーハを劈開して選択エッチングにより劈開面を2μmエッチングし、その後、光学顕微鏡を用いた前述の方法によりDZ層の層厚を測定した。また0.2μmサイズ以上の酸素析出物の密度を測定した。他方のサンプルについては、450℃×1時間のサーマルドナー形成熱処理を行った後、抵抗率を測定し、酸素濃度による抵抗率の変化を調査した。結果を表13に示す。
サンプルU〜Xは酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域の2種類からなるCOPフリーのウエーハであり、そのウエーハ中心部は酸素析出促進領域、外周から20mmの周辺部が酸素析出抑制領域である。またサンプルYは酸素析出促進領域のみからなるCOPフリーのウエーハである。残存酸素濃度、酸素析出物密度、DZ層厚及び抵抗率の各測定は、全サンプルでウエーハの中心部と外周から20mmの周辺部で行った。何れのサンプルにおいても、ウエーハ面内で均一な酸素析出物が形成されており、しかも抵抗率がウエーハ面内で均一である。即ち、RTA処理によると、酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域が混在するCOPフリーウエーハにおいても抵抗率がウエーハ面内で均一化されるのである。
(実施例8)
grown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域の2種類からなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットを用意した。このインゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約300〜900Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が14×1017atoms/cm3、炭素濃度が0.8×1016atoms/cm3である6インチのp型ウエーハに対して1220℃で30秒(窒素ガス雰囲気)の高速昇降温熱処理(RTA処理)を行った。
grown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下である酸素析出促進領域及び酸素析出抑制領域の2種類からなるCOPフリーのシリコン単結晶インゴットを用意した。このインゴットから切り出し、650℃×30分の酸素ドナー消去熱処理を行った、抵抗率が約300〜900Ωcmで、酸素濃度(ASTM F−121,1979)が14×1017atoms/cm3、炭素濃度が0.8×1016atoms/cm3である6インチのp型ウエーハに対して1220℃で30秒(窒素ガス雰囲気)の高速昇降温熱処理(RTA処理)を行った。
熱処理後、実施例6及び7と同様に残存酸素濃度、酸素析出物の密度、DZ層の層厚及び抵抗率を測定した。各測定はウエーハの中心部と外周から20mmの周辺部で行った。ウエーハの中心部は酸素析出促進領域、外周から20mmの周辺部は酸素析出抑制領域である。測定結果を表14に示す。ウエーハ面内で均一な酸素析出物が形成されており、しかも抵抗率がウエーハ面内で均一である。
また、酸素外方拡散熱処理後の供試ウエーハにおけるスリップ転位の発生状況についてX線トポグラフ法により確認したところ、酸素外方拡散熱処理時に支持部材によってウエーハが支持される位置に対応する箇所において、0.5mm程度の支持跡が僅かに観察される程度であった。このことから、grown−in欠陥の密度が1×103個/cm3以下であるCOPフリーのウエーハにおいても炭素ドープが機械的強度の改善に有効であることが分かる。
以上に説明したとおり、本発明の高抵抗シリコンウエーハは、ウエーハ内部に0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)が1×104個/cm2以上の密度で形成されていることにより、ゲッタリング能に優れる。初期基板として汎用の高酸素シリコンウエーハを使用できるので、製造コストを低減できる。ウエーハ中の酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に制限されていることにより、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生を抑制できる。
これに加え、ウエーハ中の炭素濃度を0.5×1016atoms/cm3以上に管理することにより、酸素析出物(BMD)の多量形成に伴うウエーハ強度の低下を抑制できる。酸素析出物(BMD)の形成を促進できることにより、初期基板中の酸素濃度の下限を12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,197)まで引下げできる。
また、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下であるCOPフリーの結晶を使用することにより、COPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールに伴う抵抗変化を回避できる。
本発明の高抵抗シリコンウエーハの製造方法は、酸素濃度が14×1017atoms/cm3(ASTM F−12 1,1979)以上の高酸素高抵抗シリコンウエーハを初期基板として使用することにより、製造コストを低減できる。初期酸素濃度が高いことに加え、熱処理後の残存酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下と低く、且つ酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理の2段熱処理が実施されることにより、大型の酸素析出物(BMD)を高密度に形成できる。具体的には、0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)を1×104個/cm2以上の高密度で形成できる。これにより、ゲッタリング能に優れた高抵抗シリコンウエーハを製造できる。そして、残存酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に制限されることにより、デバイスメーカーの側で実施される回路形成用熱処理での酸素サーマルドナーの発生を抑制できる。
これに加え、ウエーハ中の炭素濃度を0.5×1016atoms/cm3以上に管理することにより、酸素析出物(BMD)の多量形成に伴うウエーハ強度の低下を抑制できる。また、酸素析出物(BMD)の形成を促進できることにより、初期基板中の酸素濃度の下限を12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)まで引下げできる。
また、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下であるCOPフリー結晶を使用することにより、COPフリー化のためのアルゴンアニールや水素アニールに伴う抵抗変化を回避できる。
Claims (14)
- 100Ωcm以上の抵抗率を有するインゴットから切り出された高抵抗シリコンウエーハであって、セコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下であり、ウエーハ内部に0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)が1×104個/cm2以上の密度で形成され、ウエーハ中の酸素濃度が12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下である高抵抗シリコンウエーハ。
- 前記ウエーハ中の炭素濃度が0.5×1016atoms/cm3以上である請求項1に記載の高抵抗シリコンウエーハ。
- 前記ウエーハ表面から少なくとも5μm以上の深さにわたってDZ(Denuded Zone)層が形成された請求項1に記載の高抵抗シリコンウエーハ。
- 前記抵抗率が100Ωcm以上300Ωcm未満、300Ωcm以上2000Ωcm未満、2000Ωcm以上の各範囲にあるウエーハ中の酸素濃度(ASTM F−121,1979)の値が、それぞれ12×1017atoms/cm3以下、7×1017atoms/cm3以下、5.8×1017atoms/cm3以下の範囲に制御された請求項1に記載の高抵抗シリコンウエーハ。
- 抵抗率が100Ωcm以上で、酸素濃度が14×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以上であり、且つセコエッチングによって検出されるgrown−in欠陥の密度が1×103cm-3以下であるインゴットから切り出された初期シリコンウエーハを用い、これに酸素析出核形成熱処理及び酸素析出物成長熱処理を施すことにより、前記ウエーハ内部に0.2μmサイズ以上の酸素析出物(BMD)を1×104個/cm2以上の密度で形成するとともに、前記ウエーハ中の残存酸素濃度を12×1017atoms/cm3(ASTM F−121,1979)以下に制御することを特徴とする高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記酸素析出核形成熱処理が500〜900℃の温度で5時間以上の低温熱処理である請求項5に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記低温熱処理の条件が700〜900℃×5時間以上である請求項6に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記酸素析出物成長熱処理が950〜1050℃の温度で10時間以上の高温熱処理である請求項5に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記酸素析出核形成熱処理の前に、前記ウエーハに1100〜1250℃の温度範囲で1〜5時間の酸素外方拡散熱処理を施すことを特徴とする請求項5に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記酸素外方拡散熱処理を窒素含有ガス雰囲気で行うことを特徴とする請求項9に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記酸素外方拡散熱処理を水素ガス又はアルゴンガス若しくはこれらの混合ガス雰囲気で行うことを特徴とする請求項9に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記酸素析出核形成熱処理の前に、前記ウエーハに急速昇降温熱処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記急速昇降温熱処理の条件が窒素含有雰囲気中で1150〜1300℃×1〜60秒である請求項12に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
- 前記初期シリコンウエーハ中の炭素濃度が0.5×1016atoms/cm3以上である請求項5に記載の高抵抗シリコンウエーハの製造方法。
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