JP4473379B2 - 感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性樹脂組成物に関し、更に詳しくは高い耐サンドブラスト性を有し、更にドライフィルムレジストにした際の保護フィルムの剥離性に優れるため、ラミネート時のハンドリング性に優れた、ドライフィルムレジスト用途にも有用な感光性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルム等の支持フィルム上に感光性樹脂組成物を層状に塗布乾燥成層し、その上からポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレンフィルム等の保護フィルムを積層した3層ラミネートフィルムは、一般にドライフィルムフォトレジスト(以下、DFRと称することがある)と称され、プリント配線板の製造用、金属の精密加工用等に広く利用されている。
【0003】
その使用にあたっては、まずDFRから保護フィルムを剥離除去して感光性樹脂組成物層の側を銅張基板の銅面等のパターンを形成させたい基材表面に貼り付けた後、パターンマスクを支持フィルム上に当接させた状態で露光し(当支持フィルムを剥離除去してから露光する場合もある)、次いで支持フィルムを剥離除去して現像に供する。露光後の現像方式としては、溶剤現像型のものと稀アルカリ現像型のものとがある。
【0004】
DFRのほか、該基材面に直接感光性樹脂組成物を塗布成層し、その上に積層したポリエステルフィルム等のフィルムを介してパターンマスクを密着させ、露光を行う方法も良く知られている。
近年、プラズマディスプレイパネル(以下PDPと略す)の隔壁形成等にDFRを用いたサンドブラスト法が行われるようになってきた。
【0005】
現行、PDPの隔壁形成は、電極を設け更に誘電体層なるガラス質をコートしたガラス板上に50〜200μm程度のリブ層(ガラス粉体、骨材、バインダー樹脂等)を設け、更にその上に、DFR等の感光性樹脂組成物層を設け、露光、現像することによりパターンを形成した後、現像により暴露されたリブ部をサンドブラストにより除去後、レジスト剥離を行い、焼成、焼結させることにより形成している。
【0006】
かかる用途に用いることのできるDFR用の感光性樹脂組成物としては、例えば、▲1▼特定の方法により得られた酸価20〜200mgKOH/gの重合架橋性不飽和アクリルウレタン化合物、該ウレタン化合物と相溶性を有するアルカリ可溶な高分子化合物及び光増感剤からなる固体状光重合性樹脂組成物(特公昭62−924号公報)、▲2▼特定の末端(メタ)アクリレート基含有ウレタン化合物と酸価が50〜250mgKOH/gのアルカリ可溶性高分子化合物と光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物(特開平8−305017号公報)、▲3▼2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有し、酸価50〜250mgKOH/g、硬化後のガラス転移温度が5〜95℃のカルボキシル基変性ウレタン(メタ)アクリレート化合物と酸価が50〜250mgKOH/gのアルカリ可溶性高分子化合物と光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物(特開平8−54734号公報)、▲4▼2個以上の(メタ)アクリロイル基を含有するウレタン(メタ)アクリレート化合物、酸価が50〜250mgKOH/gのアルカリ可溶性高分子化合物、チオシアン酸アルカリ塩とポリアルキレンオキサイドセグメントを有する高分子化合物及び光重合開始剤からなる感光性樹脂組成物(特開平9−152713号公報)、▲5▼カルボキシル基含有アクリルウレタン系樹脂(A)100重量部に対して、酸価が100〜250mgKOH/gのアクリル系樹脂(B)を0〜20重量部、ヘキサアリールビイミダゾール誘導体(C)を0.5〜10重量部、及びロイコ染料を0.1〜3重量部含有する感光性樹脂組成物(特開平10−312057号公報)が挙げられる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PDPの隔壁形成に用いられるサンドブラスト法では、高い耐サンドブラスト性(サンドブラスト時のマスキング性能)が要求されるが、それ以外にもDFR化した際の保護フィルムとの密着性を制御し、基板にラミネートする際のハンドリング性等も要求される。
しかるに、上記の▲1▼〜▲5▼では、比較的耐サンドブラスト性は良好であるものの、DFR化した際に、ポリエチレンフィルム等の保護フィルムとの密着性が高く、ラミネート時のハンドリング性に劣るものであり、更なる改良する必要がある。
【0008】
【問題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、かかる事情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、酸価が10〜150mgKOH/gであるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、光重合開始剤(B)及び炭素数6以上22のヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)を含有してなる感光性樹脂組成物が、耐サンドブラスト性に優れ、更にDFR化した際に、保護フィルムとの密着性を制御しうる組成物であり、ハンドリング性に優れることを見出し、本発明を完成した。
本発明では、更に、酸価を有しないウレタン(メタ)アクリレート系化合物(D)を含有してなるとき、本発明の効果を顕著に発揮する。
【0009】
又、本発明のドライフィルムレジストは、上記感光性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム等の支持フィルム上に塗布乾燥する事により所望の膜厚に形成し、更にポリエチレンフィルム等の保護フィルムを貼合した3層構成で提供されるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明で用いられるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)としては、酸価が10〜150mgKOH/gであれば特に限定されず、カルボキシル基含有ポリオール化合物、カルボキシル基を有さないポリオール、ポリイソシアネート化合物及び(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物から得られるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物であればよい。例えば、下記一般式(1)で例示されるものなどが挙げられる。
【0011】
【化1】
ここで、R1はエチレン性不飽和基を1個以上有し、かつヒドロキシル基を1個有する化合物のウレタン結合残基、R2はポリイソシアネート化合物の両端ウレタン結合残基、R3はカルボキシル基含有ポリオール化合物の両端ウレタン結合残基、Xは下記一般式(2)で示される構造、Yは下記一般式(3)で示される構造、Zは下記一般式(4)で示される構造、lは0又は1、mは1〜20の整数、nは0又は1である。
【0012】
【化2】
ここで、R4は平均分子量500以上のポリオール化合物の両端ウレタン結合残基であり、R2は上記と同様である。
【0013】
【化3】
ここで、R2、R3、R4は上記と同様である。
【0014】
【化4】
ここで、R2、R4は上記と同様である。
【0015】
一般式(1)で示されるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基含有ポリオール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)を1:2のモル比(理論値)で反応させた後、得られる反応生成物(a3)に、分子量500以上の高分子ポリオール(a4)を反応させ、更に(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(a5)を反応させる方法が挙げられる。
【0016】
かかるカルボキシル基含有ポリオール化合物(a1)としては、特に限定されないが、分子量500以下のカルボキシル基含有ポリオール化合物が好ましく、具体例としては2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、酒石酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ジヒドロキシメチル酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、ホモゲンチジン酸等が挙げられ、好適には2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸が用いられる。該カルボキシル基含有ポリオール化合物(a1)の分子量が500を越えると反応溶媒への溶解性が低下してイソシアネートとの反応性が低下し好ましくない。
【0017】
ポリイソシアネート化合物(a2)としては、特に限定されないが、分子量500以下、好ましくは分子量300以下のポリイソシアネート化合物が好ましく、具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、2,5−ジメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ウンデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリデカメチレンジイソシアネート、ペンタデカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2−ブチニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート等が挙げられ、好適にはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートが用いられる。該ポリイソシアネート化合物(a2)の分子量が500を越えるとジオールとの反応性が低下して好ましくない。
【0018】
上記カルボキシル基含有ポリオール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)を反応させるに当たっては、公知の反応手段を用いることができ、例えば、ポリイソシアネートに安定な溶媒(酢酸エチル等)中で該溶媒の沸点以下の温度で反応させればよい。但し、本発明においては、上記の如くカルボキシル基含有ポリオール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)の反応モル比を理論値として1:2にすること(実際の仕込みに当たっては数%程度の誤差は許容される)が好ましく、かかる条件を逸脱すると両末端にイソシアネートを付加することができず、後述するエチレン性不飽和基の導入が困難となり好ましくない。
【0019】
次いで、上記の如くカルボキシル基含有ポリオール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)を反応させて得られる化合物(a3)に、更に分子量500以上、好ましくは500〜10,000、更に好ましくは500〜4,000の高分子ポリオール(a4)を反応させるのであるが、かかる高分子ポリオール(a4)としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール等が挙げられる。又、予め、1,6−ヘキサンジオール等の分子量500未満の低分子ジオールとイソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートをα:α−1のモル比で反応させて得られた分子量500以上のウレタン系ジオールを用いても良い。かかる分子量が500未満では硬化レジストの柔軟性が低下して好ましくない。
【0020】
上記反応においては、公知の方法を採用することができ、例えば、上記の如きカルボキシル基含有ポリオール化合物(a1)とポリイソシアネート化合物(a2)の反応生成物(a3)溶液中に分子量500以上の高分子ポリオール(a4)を添加し、還流以下の温度で反応させればよい。又、反応を促進するためにジブチルチンラウレート等の公知の触媒を添加することもできる。
更に、上記で得られる反応生成物に(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(a5)を反応させることにより、本発明のカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)が得られる。
【0021】
かかるアクリロイル基含有ヒドロキシ化合物(a5)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好適には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0022】
かくして得られるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、特に、反応生成物(a3)のカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)中に占める重量割合が15〜65重量%であることが好ましく、かかる含有量が15重量%未満では硬化レジストの充分な強度が得られず、逆に、65重量%を越えると硬化レジストの柔軟性が低下して好ましくない。該反応生成物(a3)の重量割合をコントロールするには上記反応で、(a3)〜(a5)の割合をコントロールすればよい。
【0023】
かくして得られるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)は、その酸価が上記の如く10〜150mgKOH/gであることが必要で、好ましくは15〜120mgKOH/g、更に好ましくは20〜90mgKOH/gである。かかる酸価が10mgKOH/g未満では現像不良や細線密着性の不良を招き、150mgKOH/gを越えると耐サンドブラスト性が低下することとなる。
【0024】
光重合開始剤(B)としては、特に限定されず、公知の光重合開始剤を用いることができるが、例えば、P,P′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、P,P′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、P,P′−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、ベンジルジフェニルジスルフィド、ベンジルジメチルケタール、ジベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、ジクロロアセトフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、フェニルグリオキシレート、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベンゾスパロン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン、更には2,4,6−[トリス(トリクロロメチル)]−1,3,5−トリアジン、2,4−[ビス(トリクロロメチル)]−6−(4’−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−[ビス(トリクロロメチル)]−6−(4’−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−[ビス(トリクロロメチル)]−6−(ピペロニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−[ビス(トリクロロメチル)]−6−(4’−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体、アクリジン及び9−フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−フルオロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メトキシフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(p−メトキシフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,4,2’,4’−ビス[ビ(p−メトキシフェニル)]−5,5’−ジフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5,4’,5’−ジフェニル−1,1’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(p−メチルチオフェニル)−4,5,4’,5’−ジフェニル−1,1’−ビイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)−1,1’−ビイミダゾール等や特公昭45−37377号公報に開示される1,2’−、1,4’−、2,4’−で共有結合している互変異性体等のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、トリフェニルフォスフィン、そのほかにも2−ベンゾイル−2−ジメチルアミノ−1−[4−モルフォリノフェニル]−ブタン等を挙げることができるが、好適には2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等のヘキサアリールビイミダゾール誘導体、P,P′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、9−フェニルアクリジン等のアクリジン誘導体、2,4−[ビス(トリクロロメチル)]−6−(4’−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体が用いられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
又、光重合開始剤(B)の含有量としては、上記のカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜15重量部、特に好ましくは1〜12重量部である。かかる含有量が0.1重量部未満では感度が著しく低下して良好な作業性が得られず、逆に20重量部を越えるとDFR化したときの保存安定性が低下して好ましくない。
【0026】
ヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)としては、炭素数6以上22以下のヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)が用いられる。該ヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)としては、2−ヒドロキシ−2−メチルペンタン酸、2−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸、3−ヒドロキシ−2−メチルペンタン酸、8−ヒドロキシテトラデカン酸、11−ヒドロキシテトラデカン酸、10−ヒドロキシヘキサデカン酸、11−ヒドロキシヘキサデカン酸、14−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシドデカン酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、9−ヒドロキシオクタデカン酸、22−ヒドロキシドコサン酸及びこれらのアルカリ塩、エステル化物等が挙げられる。中でも8−ヒドロキシテトラデカン酸、10−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸が好ましく、特に12−ヒドロキシオクタデカン酸が実用的である。炭素数5以下のヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物では保護フィルムとの密着性を充分に低下させることができず、本発明の効果を顕著に得ることはできない。
【0027】
かかるヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)の含有量は、上記のカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.5〜25重量部であることが好ましく、更に好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜15重量部である。かかる含有量が0.5重量部未満では保護フィルムとの密着性を低下させるという効果が充分に得られず、逆に25重量部を越えるとDFR化したときの保存安定性が低下して好ましくない。
【0028】
更に本発明においては、上記の(A)〜(C)以外に、下記一般式(5)式で示されるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(D)を含有させることにより、本発明の効果を顕著に得られる点で好ましい。
【化5】
ここで、R5はエチレン性不飽和基を1個以上有し、かつヒドロキシル基を1個有する化合物のウレタン結合残基、R6はポリイソシアネート化合物の両端ウレタン結合残基、R7は平均分子量500〜10,000のポリオールの両端ウレタン結合残基、mは1〜20の整数である。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D)の含有量は、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、特に好ましくは5〜75重量部、より好ましくは10〜50重量部である。かかる含有量が5重量部未満では耐サンドブラスト性向上の顕著な効果が得られず、100重量部を越えると現像不良や解像力の低下につながり好ましくない。
【0030】
上記のウレタン(メタ)アクリレート化合物(D)を得る方法としては、特に限定されないが、例えば、分子量500〜10,000、好ましくは500〜4,000のポリオール(nモル)に、ポリイソシアネート化合物(n+1モル)(理論値)を反応させた後、更に(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物を反応させて得られる。(nは1以上の整数である。)
かかる分子量500〜10,000のポリオールやポリイソシアネート化合物、(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物としては上記のものと同様のものが挙げられる。反応方法についても上記と同様、公知の方法を採用することができる。
【0031】
更に本発明においては、上記の(A)〜(C)、好ましくは(A)〜(C)及び(D)以外に、更に酸価50〜250mgKOH/g、好ましくは95〜180mgKOH/gのカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)を現像時間の調整のために含有しても良い。
酸価が50mgKOH/g未満では期待する効果が乏しく、逆に250mgKOH/gを越えると耐現像液性や耐サンドブラスト性が低下し好ましくない。
【0032】
更に、該カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)の重量平均分子量は3,000〜300,000が好ましく、特に10,000〜200,000が好ましく、より30,000〜130,000が好ましく、重量平均分子量が3,000未満ではDFR化した際にコールドフロー現像が生じ、エッジフュージョンの原因となり、逆に300,000を越えると現像度が低下して好ましくない。
【0033】
該カルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)の含有量は、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0〜20重量部であることが好ましく、特に好ましくは0〜15重量部である。かかる含有量が20重量部を越えると硬化レジストが硬くなり過ぎて耐サンドブラスト性の低下を招くこととなり好ましくない。
【0034】
かかるカルボキシル基含有アクリル系ポリマー(E)としては、(メタ)アクリレートを主成分とするもので、必要に応じてエチレン性不飽和カルボン酸や他の共重合可能なモノマーを共重合したアクリル系共重合体である。
【0035】
ここで(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0036】
エチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好適に用いられ、その他、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のジカルボン酸、あるいはそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましい。
エチレン性不飽和カルボン酸は7〜38重量%、好ましくは15〜27重量%程度共重合されることが望まれる。
【0037】
又、他の共重合可能モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル等が例示できる。
【0038】
更に本発明においては、上記の(A)〜(C)、好ましくは(A)〜(C)及び(D)以外に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の単官能モノマー、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等の3官能以上のモノマー等のエチレン性不飽和化合物を配合することもでき、かかるエチレン性不飽和化合物の配合量は、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して、0〜20重量部が好ましく、更には0〜10重量部で、かかる配合量が20重量部を越えると硬化レジストが硬くなり過ぎて、耐サンドブラスト性の低下を招いて好ましくない。
【0039】
又、本発明ではその他、ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−o−トリル)メチレンチオフェニルメタン、ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−o−トリル)ベンジルチオフェニルメタン、ロイコクリスタルバイオレット、ロイコマラカイトグリーン、ロイコダイアモンドグリーン等のロイコ染料や、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン、ブリリアントグリーン、パテントブルー、メチルバイオレット、ビクトリアブルー、ローズアニリン、パラフクシン、エチレンバイオレット等の着色染料、密着性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤、溶剤、表面張力改質材、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤、難燃剤等の添加剤を適宜添加することができる。
【0040】
次いで、本発明の感光性樹脂組成物を用いたDFRの製造及びそれを用いたサンドブラスト法(プラズマディスプレイ隔壁形成)について説明する。
(成層方法)
上記の感光性樹脂組成物は、これをポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム等の支持体フィルム面に塗工した後、その塗工面の上からポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレンフィルム等の保護フィルムを被覆してDFRとする。
【0041】
DFR以外の用途としては、本発明の感光性樹脂組成物を、ディップコート法、フローコート法、スクリーン印刷法等の常法により、被処理体上に直接塗工し、厚さ1〜150μmの感光層を容易に形成することもできる。塗工時に、メチルエチルケトン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、シクロヘキサン、メチルセルソルブ、塩化メチレン、1,1,1−トリクロルエタン等の溶剤を添加することもできる。
【0042】
(露光)
DFRによって画像を形成させるには、保護フィルムを剥離してから感光性樹脂組成物層の側をガラス板上に均一に形成されたリブ層(ガラス粉体、バインダー及び高沸点溶剤からなるリブペーストをスクリーン印刷して乾燥させた層)に貼り付けた後、支持フィルム上にパターンマスクを密着させて露光する。
感光性樹脂組成物が粘着性を有しないときは、支持フィルムを剥離してからパターンマスクを感光性樹脂組成物層に直接接触させて露光することもできる。
上記のガラス面上に直接塗工した場合は、その塗工面に直接またはポリエステルフィルム等を介してパターンマスクを接触させ、露光に供する。
【0043】
露光は通常紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプなどが用いられる。紫外線照射後は、必要に応じ加熱を行って、硬化の完全を図ることもできる。
【0044】
(現像)
露光後は、レジスト上の支持フィルムを剥離除去してから現像を行う。
本発明の感光性樹脂組成物は稀アルカリ現像型であるので、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウム等のアルカリ0.01〜2重量%程度の稀薄水溶液を用いて行う。
【0045】
(サンドブラスト)
上記の如く硬化レジストのパターンが形成された後、粒子径が0.1〜100μm程度のSiC、SiO2、Al2O3等を用いて、ブラスト圧0.05〜1MPaで吹き付けて、現像により露出したリブ層のサンドブラストを行う。
【0046】
(硬化レジスト剥離)
サンドブラスト後、残っている硬化レジストのパターンの剥離を行う。
硬化レジストのパターンの剥離除去は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の0.1〜5重量%程度の濃度のアルカリ水溶液からなるアルカリ剥離液を用いて行う。また、アルカリ水溶液で剥離させる代わりに、硬化レジストのパターンを焼失させることも可能である。
【0047】
上記は、プラズマディスプレイ隔壁形成について説明したが、シリコーンウエハーのダイシングやPZT(圧電素子)の加工、ガラスの食刻やセラミック加工等のサンドブラスト法にも有用で、更にはガラス製のメタルマスクの作製や墓標の食刻等にも用いることができる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
なお、実施例中「%」、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0049】
実施例1
・カルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A1)の合成
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸84.42g(0.63モル)とヘキサメチレンジイソシアネート213.66g(1.27モル)、酢酸エチル450.23gを仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させ、残存イソシアネート基が7.6%となった時点で、平均分子量600のポリエチレングリコール569.75g(0.95モル)を加え、ジブチルスズラウリレート0.15gを加えて更に約5時間反応させ、残存イソシアネート基が0.5%となった時点で、ヘキサメチレンジイソシアネート107.40g(0.64モル)を新たに加えて反応を続け、残存イソシアネート基が2.3%となったところで反応温度を60℃に下げ、2−ヒドロキシエチルアクリレート74.39g(0.64モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、カルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A1)溶液を得た。
【0050】
得られたカルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A1)の樹脂分は70.5%、イソシアネート含有率は0.3%、酸価は23.9mgKOH/gであった。
上記カルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A1)溶液を用いて、以下を行った。
【0051】
を配合してよく混合し、感光性樹脂組成物のドープを調製した。
【0052】
(DFRの作製)
次に上記ドープをギャップ8ミルのアプリケーターを用いて厚さ20μmのポリエステルフィルム上に塗工し、室温で1分30秒放置した後、60℃、90℃、110℃のオーブンでそれぞれ3分間乾燥して、更に保護フィルム(厚さ26μmのポリエチレンフィルム)を積層し、レジスト厚40μmのDFRを作製した。
【0053】
(ガラス基板へのラミネート)
上記DFRの保護フィルムを剥離した後、感光性樹脂組成物側面を、オーブンで60℃に予熱したリブ形成用ガラス基板(日本電気硝子社製のリブ形成用組成物「白リブDLS−3551」が200μm厚コーティングされたガラス基板)上に、ラミネートロール温度85℃、同ロール圧3kg/cm2、ラミネート速度1m/minにてラミネートした。
【0054】
(露光)
ラミネート後、室温に10分間放置することにより除熱し、オーク製作所製平行露光機:EXM−1201にて露光を行った。
【0055】
▲1▼最小現像時間
上記露光後、0.3%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、スプレー圧1.2kg/cm2で現像し、未露光の40μm厚のレジストが溶解し、基板表面が露出するまでの時間(秒)を求めた。
【0056】
▲2▼感度
上記露光において、ストーファー21段ステップタブレットを用い、50mj/cm2から1000mj/cm2まで、50mj/cm2毎に露光を行い、0.3%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)を用いて、スプレー圧1.2kg/cm2で最小現像時間の1.5倍で現像した際に、7段ステップタブレットが残る露光量(mj/cm2)を求めた。
【0057】
▲3▼耐サンドブラスト性
ライン/スペース=100/200のパターンマスクを介して7段ステップタブレットを与える露光量にて露光後、0.3%炭酸ナトリウム水溶液(30℃)にて最小現像時間の1.3倍の現像時間によって現像することにより、レジストパターンを形成した後、不二製作所製の「PNEUMA BLASTER」(ハイパーノズル、エアー圧:0.3MPa、切削材:SiC#600、粉体供給量:200g/min)を用いて、切削深さが150μmになるようサンドブラストを行い、レジスト状態を顕微鏡にて目視観察して、以下の基準で評価した。
【0058】
a−b=c
a:現像後のラインボトム幅
b:サンドブラスト後のラインボトム幅
において
◎・・・0≦c<15(μm)
○・・・15≦c<30(μm)
△・・・レジストの一部又は先端が欠損し、暴露したガラストップが切削されている。
×・・・レジストの一部又は全部が消失。150μm深さの凹部の形成が不可
【0059】
▲4▼ポリエチレン剥離強度測定
上記感光性樹脂組成物を軽剥離な離型処理を施したポリエステルフィルム(藤森工業製フィルムバイナ:No.23)の離型処理面上に、乾燥膜厚が40μmとなるよう塗工乾燥した。次いで、ポリエチレンフィルムを室温にて貼合し、離型処理ポリエステルフィルム/感光性樹脂組成物層/ポリエチレンフィルムの3層構成のDFRとした。
【0060】
かかるDFRにおいて、ポリエチレンフィルムと感光性樹脂組成物層の界面に空気が入らないように離型処理したポリエステルフィルムを剥離した。その後、長さ125mm、幅50.8mm、厚さ2.8mmのガラス基板に、室温、圧力:2kg/cm2、速度、0.5m/minにて低張力でラミネートし、未露光のまま、島津製作所製オートグラフAG−100を用い、長さ方向への180度剥離を行い、ポリエチレンフィルムの温度20℃、湿度40%RH環境下での剥離強度を測定し、以下の基準で評価した。
【0061】
○・・・12g/2inch未満
×・・・12g/2inch以上
尚、剥離強度が低い程、ポリエチレンフィルムを剥離しやすく、ハンドリング性に優れるものである。
【0062】
実施例2
・カルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A2)の合成
実施例1と同様に、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸119.5g(0.89モル)とイソホロンジイソシアネート396.2g(1.78モル)、酢酸エチル435gを仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させ、残存イソシアネート基が8.3%となった時点で、平均分子量1000のポリエチレングリコール600g(0.60モル)を加え、ジブチルスズラウリレート0.15gを加えて更に約5時間反応させ、残存イソシアネート基が2.0%となった時点で、反応温度を60℃に下げ、2−ヒドロキシエチルアクリレート69.6g(0.6モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、カルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A2)溶液を得た。
【0063】
得られたカルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A2)の樹脂分は73.5%、イソシアネート含有率は0.3%、酸価は30.7mgKOH/gであった。
上記カルボキシル基含有カルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A2)溶液を用いて、以下を行った。
【0064】
を配合してよく混合し、感光性樹脂組成物のドープを調製した。
【0065】
その後、実施例1と同様にDFRを作製し、リブ形成用ガラス基板へのラミネートを行い、露光、現像を行って、実施例1と同様の評価を行った。
【0066】
実施例3
実施例1において、感光性樹脂組成物のドープに、更に下記に示すウレタンアクリレート化合物(D)溶液を12.6部(該ウレタンアクリレレート化合物(D)10部)を配合した感光性樹脂組成物のドープを用いた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
【0067】
・ウレタンアクリレート化合物(D)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート66.6g(0.3モル)、平均分子量1000のポリオール(ジエチレングリコール/アジピン酸=1.12/1(モル比)の縮合体)200g(0.2モル)、酢酸エチル74.3gを仕込み、窒素雰囲気下、75℃で反応させ、残存イソシアネート基が2.5%となった時点で、温度を60℃に下げ、2−ヒドロキシエチルアクリレート23.2g(0.2モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート化合物(D1)溶液を得た。
得られたウレタンアクリレート化合物(D1)の樹脂分は79.6%、イソシアネート含有率は0.3%であった。
【0068】
比較例1
実施例1において、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸の代わりにネオペンチルグリコールを用い、ネオペンチルグリコール65.79g(0.63モル)とヘキサメチレンジイソシアネート213.66g(1.27モル)、酢酸エチル450.23gを仕込み、窒素雰囲気下、80℃で反応させ、残存イソシアネート基が7.7%となった時点で、平均分子量600のポリエチレングリコール569.75g(0.95モル)を加え、ジブチルスズラウリレート0.15gを加えて更に約5時間反応させ、残存イソシアネート基が0.5%となった時点で、ヘキサメチレンジイソシアネート107.40g(0.64モル)を新たに加え反応を続け、残存イソシアネート基が2.3%となったところで2−ヒドロキシエチルアクリレート73.67g(0.64モル)を加え反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート化合物(A′)溶液を得た。
【0069】
得られたウレタンアクリレート化合物(A′)の樹脂分は70.3%、イソシアネート含有率は0.3%、酸価はほぼ0mgKOH/gであった。
次に、実施例1において、カルボキシル基含有ウレタンアクリレート化合物(A1)を上記ウレタンアクリレート化合物(A′)に変えた以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
【0070】
比較例2
実施例1において、12−ヒドロキシオクタデカン酸10.0部を配合しなかった以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
【0071】
比較例3
実施例3において、12−ヒドロキシオクタデカン酸10.0部を配合しなかった以外は同様に行い、実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は、カルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、光重合開始剤(B)及びヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)、好ましくは更に酸価を有しないウレタン(メタ)アクリレート系化合物(D)を含有してなるため、耐サンドブラスト性に優れ、更に保護フィルムの剥離強度低下によるハンドリング性に優れた効果を示し、各種のサンドブラスト用途に有用で、特にプラズマディスプレイの隔壁形成向けのサンドブラスト用途に有用である。
Claims (6)
- 酸価が10〜150mgKOH/gであるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)、光重合開始剤(B)及び、炭素数6以上22のヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)を含有してなることを特徴とする感光性樹脂組成物。
- 炭素数6以上22のヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)を、酸価が10〜150mgKOH/gであるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して0.5〜25重量部含有してなることを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂組成物。
- 炭素数6以上22のヒドロキシ脂肪酸又はそのアルカリ塩、エステル化物(C)が、8−ヒドロキシテトラデカン酸、10−ヒドロキシヘキサデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸のいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の感光性樹脂組成物。
- 更に、酸価を有しないウレタン(メタ)アクリレート系化合物(D)を、酸価が10〜150mgKOH/gであるカルボキシル基含有ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(A)100重量部に対して5〜100重量部含有してなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の感光性樹脂組成物。
- ドライフィルムレジストに用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の感光性樹脂組成物。
- プラズマディスプレイパネルの隔壁形成に用いることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の感光性樹脂組成物。
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