JP4471592B2 - 化粧シート及び化粧部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧シート及び化粧部材に関し、更に詳しくは、曲面部を有する被着部材に貼着された場合の成形性とシート表面の鏡面性に優れ、かつ、曲面部における意匠性を向上させることができる化粧シート及びその化粧シートで貼着された化粧部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家具、ドア、ドア枠、腰板、窓枠等の表面材に使用される化粧シート11として、例えば図5に示すように、透明シート12/着色インキ層13/隠蔽着色することのあるベース樹脂層14からなる積層シートが一般的に使用されている。このような化粧シートは、透明シートとベース樹脂層を熱融着により接着して製造されることが一般的である。
【0003】
従来、こうした化粧シートの構成材料としては、塩化ビニル系樹脂が広く用いられていた(例えば特許文献1、特許文献2を参照。)。しかし、塩化ビニル系樹脂は燃焼時に塩化水素を発生することから、非塩化ビニル系樹脂であるポリオレフィン系樹脂が代替材料として検討されている(例えば特許文献3を参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公昭28−5036号公報(第1頁)
【特許文献2】
特公昭58−14312号公報(第4図)
【特許文献3】
特開平10−211675号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
曲面部を有する被着部材に貼着される化粧シートには、貼着後に浮きやしわが生じないような優れた追従性が要求される。しかしながら、曲面部での追従性を満足させる程度まで軟質化させたポリオレフィン系樹脂を構成材料として化粧シートを形成すると、化粧シートを被着部材に貼着する際にシート表面がうねったり、その貼着後に被着部材表面の凹凸面を浮き出したりして、化粧シート表面の鏡面性(平滑性)が低下する問題があった。
【0006】
また、ポリオレフィン系樹脂には、引っ張られると局所部に集中して伸びが発生する所謂ネッキングという性質があるため、この樹脂を材料とし、従来の構成(図5を参照。)を持つ化粧シートを、曲面部を有する被着部材に貼着した場合には、曲面部で化粧シートに顕著な伸びが生じるなどの問題があった。
【0007】
例えば、図6は、曲面部を有する被着部材15に貼着された化粧シート各層の面方向の伸びを示しているが、その曲面部においては、厚さ方向の任意の位置に伸びが生じない中立点Nが存在すると考えられ、その中立点Nから被着部材15側に向かうほど圧縮の程度が増加し、外部空間側に向かうほど化粧シート11の各層内に顕著な伸びx’が生じていた。
【0008】
特に、着色インキ層13に顕著な伸びx’が生ずると、その層の厚さが薄くなり、絵柄や色彩の薄れを引き起こし、更にはこの色彩の薄れにより下層であるベース樹脂層14の色調が透けて見えてしまうという問題があった。また、このような、化粧シートの各層で生ずる伸びx’により、化粧シート全体の曲面部に対する追従性が低下するという問題もあった。なお、図6中、x’は層内の伸びを表し、一点破線で囲まれた範囲は伸びx’が生ずる範囲を、二点破線で囲まれた範囲は縮みが生じる範囲を表している。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、曲面部を有する被着部材に貼着された場合の成形性とシート表面の鏡面性に優れ、かつ、曲面部における意匠性を向上させることができる化粧シートを提供することにある。また、その化粧シートで貼着された化粧部材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係る化粧シートは、着色インキ層が形成された透明シートの着色インキ層側表面と、当該透明シートよりも厚く且つ少なくとも芯層をなす樹脂層に着色剤を含有し隠蔽性を有する3層積層シートとが接着剤層を介して貼り合わされてなる化粧シートであって、前記透明シートが、テレフタル酸、イソフタル酸及びエチレングリコールを主成分とする共重合ポリエステル樹脂で形成され、前記3層積層シートが、ポリエチレンテレフタレートの未延伸樹脂層と、当該未延伸樹脂層の両面に形成される、テレフタル酸、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを主成分とする共重合ポリエステル樹脂層とで形成され、前記接着剤層が、ポリオールとイソシアネートとを主成分とする2液硬化型ウレタン樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0011】
この発明では、3層積層シートに軟質な樹脂を用い、透明シートに比較的硬質ではあるが剛質すぎない樹脂を用いているので、曲面部を有する被着部材への追従性が向上すると同時に、化粧シート表面の鏡面性を向上させることができる。また、この発明では、透明シートの着色インキ層側表面と軟質な樹脂からなる3層積層シートとが、硬くて伸び難い上記の接着剤層で貼り合わされているので、この化粧シートが曲面部を有する被着部材に貼着された場合に、接着剤層近傍の着色インキ層と透明シートには顕著な伸びが生じず、3層積層シートに大きな伸びが生じてその際に生じる伸びの大部分を吸収する。この着色インキ層の伸びの抑制により、着色インキ層の厚さが薄くなることによる絵柄や色彩の薄れ等が起き難く、更には、色彩の薄れによる3層積層シートの色調の透視を防止することができる。また、このような3層積層シートによる伸びの吸収によって、化粧シート全体の曲面部への追従性を向上させることができる。
【0012】
本発明の化粧シートにおいて、前記2液硬化型ウレタン樹脂が、3次元架橋した分子構造を有するものであることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、接着剤層が3次元架橋した分子構造を有する2液硬化型ウレタン樹脂により形成されるので、接着剤層は硬くて伸び難いものとなり、その接着剤層近傍の着色インキ層等の伸びを抑制することができ、これらの層での顕著な伸びに起因する弊害を防止することができる。
【0014】
上記課題を解決するための本発明に係る化粧部材は、上述した本発明の化粧シートが、曲面部を有する被着部材に貼着されてなることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、上記特徴を有する化粧シートが被着部材に貼着されるので、化粧シートに浮きやしわが起こり難く曲面部での成形性に優れると同時に、被着部材表面の凹凸の浮き出しが起こり難く化粧シート表面の鏡面性にも優れる化粧部材を得ることができる。また、上記特徴を有する化粧シートが被着部材に貼着されるので、曲面部での絵柄や色彩の薄れ及び絵柄の伸びが起こり難く、更には色彩の薄れによる3層積層シートの色調が透けて見えることのない化粧部材を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化粧シート及び化粧部材について、図面を参照しつつ順次説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0017】
図1は、本発明の化粧シートの一例を示す断面図であり、図2は、曲面部を有する被着部材に貼着された化粧シート各層の面方向の伸びを示す断面図であり、図3は、本発明の化粧部材の一例を示す断面図である。
【0018】
本発明の化粧シート1は、図1に示すように、透明シート2、着色インキ層3、接着剤層4及び3層積層シート5からなる多層構造の化粧シートである。また、3層積層シート5は、接着剤層側から、第1樹脂層51、第2樹脂層52及び第3樹脂層53で構成された多層構造のシートである。この化粧シート1は、着色インキ層3が形成された透明シート2の着色インキ層側表面と、その透明シート2よりも厚い3層積層シート5の第1樹脂層51とが接着剤層を介して貼り合わされて形成される。
【0019】
(透明シート)
透明シート2は、化粧シート1の被着部材に貼着しない側の最表面に位置し、化粧シート1が被着部材に貼着された後において、その表面鏡面性及び耐候性、耐摩耗性等の表面耐久性を保持させる役割を担うものである。
【0020】
透明シート2の構成材料としては、上述の役割を果たすことができ、かつ、耐溶剤性に優れる熱可塑性ポリエステル系樹脂から選定される。耐溶剤性とは、有機溶剤に溶解・粘着しない性質をいい、本発明では透明シート2の上に着色インキ層3を形成させて化粧シート1を製造するために、このような性質が要求される。
【0021】
このような透明シート2の材料には、熱可塑性ポリエステル系樹脂の中でも、特に、エチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とする共重合ポリエチレンテレフタレートは、被着部材への追従性の点から好ましく用いられる。
【0022】
「エチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とするもの」とは、例えばテレフタル酸成分を少なくとも全ジカルボン酸成分の75モル%程度含有し、エチレングリコール成分を少なくとも全ジオール成分の75モル%程度含有するものを例示できる。そのような共重合ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば特開2001−257129の段落番号0011及び0012に例示されるテレフタル酸、イソフタル酸及びエチレングリコールを主成分とする共重合ポリエステルテレフタレートを好ましく挙げることができる。当該公報で挙げられた共重合ポリエステルテレフタレートは、融点が210〜245℃の範囲にあり、面配向係数が0.10〜0.16の範囲にあり、MD方向及びTD方向における100℃での100%伸長時の応力がそれぞれ10〜150MPaの範囲にある樹脂である。ここで、「MD方向」とはフィルムの面に平行で且つ製膜方向に沿った方向をいい、「TD方向」とはフィルムの面に平行で且つ製膜方向に垂直な方向をいう。また、面配向係数とは、フィルム内における分子鎖の配向状態を表すものであり、アッベ法にて測定されたフィルムの各方向成分の屈折率から、一般式(1)によって計算されたものを意味する。
【0023】
【数1】
Figure 0004471592
(式中、Pは面配向係数であり、nMDはフィルムのMD方向の屈折率であり、nTDはフィルムのTD方向の屈折率であり、nはフィルム面に垂直な厚み方向の屈折率である。)
【0024】
上述のような特徴を有する共重合ポリエステルテレフタレートは、耐熱性に優れるので、この共重合ポリエステルテレフタレートを構成材料とした透明シート2は、被着部材への貼着時に加えられる熱によって歪みが生じたりすることがなく、化粧シートの被着部材への貼着を容易にさせる。また、このような共重合ポリエステルテレフタレートは比較的硬質であるので、この樹脂から形成される透明シート2は、被着部材の凹凸、表面の粗さや接着剤層の塗布ムラなどをその表面に浮き上がらせることがない。また、このような共重合ポリエステルテレフタレートは剛直すぎないので、この樹脂から形成される透明シート2は、曲面部に対する化粧シートの追従性を向上させるという利点がある。
【0025】
この共重合ポリエステルテレフタレートの共重合成分の割合は、共重合ポリエステルテレフタレートの融点が210〜245℃の範囲になるように調整すればよく、例えばポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を共重合する場合は、全ジカルボン酸成分中に占めるイソフタル酸の割合をおよそ5.5〜18モル%の範囲にするのが好ましい。
【0026】
透明シート2は、熱可塑性ポリエステルフィルムの公知の製法、例えば溶融押出し法等によって形成する。
【0027】
透明シート2の厚さは、下層である着色インキ層3を視認でき、かつ、被着部材の凹凸の浮き出しを抑制することができるように調整され、通常20〜100μmの範囲内である。なお、後述する3層積層シート5の厚さよりも薄くなる。
【0028】
こうして形成された透明シート2は、光沢の保持性、保色性、耐キズ性、耐汚染性、耐水性、耐沸騰水性及び耐薬品性に優れるので、耐候性付与層として好ましい。
【0029】
(着色インキ層)
着色インキ層3は、一色以上の色や絵柄を有する層である。この着色インキ層3は、全面ベタ層、部分ベタ層、絵柄層、二色以上の多色層の何れの形態であってもよく、また、絵画、ロゴ、文字、記号、図形などの絵柄が形成されたものであってもよい。こうした着色インキ層3は、3層積層シート5の色調や被着部材の地肌を隠蔽すべく白色顔料及び/又は黒色顔料を含有させたベタ層を有することが好ましく、そして、そのベタ層の透明シート側には各種の絵柄が形成されていてもよい。なお、本発明においては後述の3層積層シート5に隠蔽性をもたせるので、被着部材の色調を隠蔽する目的においてはベタ層を省略することができる。もちろん両者を併用してもよく、その場合には更に被着部材の隠蔽効果を向上させることが可能である。
【0030】
着色インキ層3の構成材料としては、ビヒクルに顔料又は染料の着色剤、可塑剤、安定剤、その他添加剤、溶剤又は希釈剤を混練してなるものを用いる。ビヒクルとしては、2液硬化型ウレタン樹脂が用いられる。2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネートを用いることができる。また、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等を用いることができる。
【0031】
着色顔料としては、通常使用される有機又は無機系の顔料を使用することができる。こうした着色顔料のうち、黄色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン等の有機顔料、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン黄等の無機顔料を使用することができる。また、赤色顔料としては、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、キナクリドン等の有機顔料、弁柄、朱、カドミウムレッド、クロムバーミリオン等の無機顔料を使用することができる。また、青色顔料としては、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、紺青、群青、コバルトブルー等の無機顔料を使用することができる。また、黒色顔料としては、アニリンブラック等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料を使用することができる。また、白色顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、三酸化アンチモン等の無機顔料を使用することができる。
【0032】
着色インキ層3を形成するための着色インキ層用塗工液には、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、光安定剤、着色剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、硬化剤、滑剤等の各種の作用を有する添加剤を含有させることもできる。なお、着色インキ層3の構成材料は、化粧シートが曲面部を有する被着部材に貼り付けられる際に追従できる程度の適度な伸び適性を有する樹脂であることが好ましい。
【0033】
着色インキ層3は、透明シート2の表面に着色インキ層用塗工液を塗工又は印刷等によって設けた後、乾燥させて形成される。なお、本発明の化粧シートを構成する着色インキ層3は、柔軟な弾性樹脂層である3層積層シート5の上ではなく、3層積層シート5に比較して硬い透明シート2上に形成されるので、シートが印刷時の張力で伸びることによる見当ずれの問題や、着色インキ層用塗工液に含まれる有機溶剤によって生ずるブロッキング(印刷後のシートが巻き取られたり積み重ねられたりした際に、印刷されたインキとシートの非印刷面とが接着してしまうこと)の問題も起こらないという利点がある。
【0034】
塗工方法としては、公知の各種方法、例えばロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、マイクログラビアコート等の方法を用いることができる。また、印刷方法としては、クラビア、活版、フレキソ等の凸版印刷、平版オフセット、ダイリソ印刷等の平版印刷、シルクスクリーン等の孔版印刷、静電印刷、インキジェットプリント等の公知の各種方法を用いることができる。着色インキ層3の厚さは特に限定されないが、通常は例えば1〜10μm程度で形成される。
【0035】
(接着剤層)
接着剤層4は、着色インキ層3が形成された透明シート2と3層積層シート5を密着よく貼り合わせ、かつ、曲面部を有する被着部材に貼着した場合の着色インキ層3や透明シート2の伸びを抑制し、それらの伸びによる弊害を防止する役割を有している。
【0036】
接着剤層4に用いる接着剤としては、2液硬化型ウレタン樹脂が好ましく用いられる。
【0037】
2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤としイソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールは分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール又はポリウレタンポリオール等が用いられる。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、あるいは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート又は水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環式)イソシアネートが用いられる。また、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等を用いてもよい。
【0038】
本発明において、接着剤層4は、化粧シート1が曲面部を有する被着部材に貼着された場合に、近傍の層の伸びを抑制しうる程度の硬さを有する。すなわち、接着剤層4は、室温(20〜25℃程度)以上の温度のもとで熱可塑性樹脂からなる透明シート2よりも高い弾性率を有することが必要である。そのためには、接着剤層4の材料である2液硬化型ウレタン樹脂に3次元架橋した分子構造を持たせることが好ましい。そのような2液硬化型ウレタン樹脂としては、上記のポリオール及びイソシアネートの平均官能基数が2より大きくなる(2超過)ような組み合わせを選択することが好ましい。なお、接着剤としては、2液硬化型ウレタン樹脂以外の他の硬化性樹脂、例えば、多官能アクリレートプレポリマーや多官能単量体からなる電子線硬化性樹脂、エポキシ樹脂及び湿気湿硬化型1液ウレタン樹脂等も使用することができる。
【0039】
このような2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤層4は、室温(20〜25℃程度)以上の温度のもとで透明シート2よりも高弾性となり、硬くて伸び難い層となるから、化粧シート1が曲面部を有する被着部材に貼着された場合に、接着剤層近傍に位置する層の伸びを抑制することができる。特に、着色インキ層3の伸びが抑制されると、着色インキ層3の層厚が薄くなることによる絵柄や色彩の薄れ及び絵柄の伸びを防止することができる。更に、着色インキ層3の色彩の薄れによって3層積層シート5の色調が透けて見えるのを防止することもできる。また、2液硬化型ウレタン樹脂からなる接着剤は、高い熱を加えなくとも硬化するので、熱による化粧シート1の歪みを防止することもできる。
【0040】
以下、このような効果が生ずるメカニズムについて考察する。本発明の化粧シート1は、硬くて伸び難い接着剤層4が着色インキ層3に隣接して形成されているので、化粧シート1が曲面部を有する被着部材6に貼着された際に、この着色インキ層3は、接着剤層4によって収縮する方向に引っ張られ、図2に示すように面方向の伸びxは小さいものとなる。なお、図2中、xは層内の伸びを示し、一点破線で示す範囲は層内の伸びが生じる範囲を示す。その結果、着色インキ層3の層厚が薄くならず、絵柄や色彩の薄れ及び絵柄の伸びが生じ難くなり、図6に示した従来の化粧シート11とは異なる結果を奏する。
【0041】
接着剤層4は、通常、透明シート2に形成された着色インキ層3の表面に接着剤を塗布し、次いで3層積層シート5を貼り合わせ、その後硬化させることにより形成され、その結果、本発明の化粧シートが形成される。また、3層積層シート5の表面に接着剤を塗布し、次いで着色インキ層3が形成された透明シート2をその着色インキ層3側が3層積層シート5に対向するように貼り合わせ、その後硬化させることにより形成してもよい。
【0042】
接着剤の塗工方法としては、ロールコート、グラビアコート、コンマコート等の公知の塗工方法を用いることができ、その厚さは通常5〜20μm程度であることが好ましい。
【0043】
(3層積層シート)
3層積層シート5は、第1樹脂層51、第2樹脂層52及び第3樹脂層53からなる多層シートである。3層積層シート5は、化粧シートを構成する他の各層よりも柔らかく(弾性率が低く)、被着部材への追従性を向上させる役割を有するものであり、この3層積層シート5を構成する各層は、柔軟な樹脂で構成されている。
【0044】
3層のうち芯層をなす第2樹脂層52の構成材料としては、被着部材の曲面部、特に直方体隅角部のような3次元曲面部への追従性を担保しうる程度の柔軟性を有する非晶質又は低結晶性の熱可塑性ポリエステル系エラストマーであることが好ましい。例えば、安価で広く用いられる未延伸樹脂層用のポリエチレンテレフタレート樹脂を挙げることができ、これにポリブチレンテレフタレートを添加することが更に好ましい。
【0045】
3層のうち表裏層をなす第1樹脂層51及び第3樹脂層53の構成材料としては、被着部材の曲面部、特に直方体隅角部のような3次元曲面部への追従性を担保しうる程度の柔軟性を持つポリエステル系エラストマーのうち、加熱しても結晶化しない非晶性のポリエステル系エラストマーが好ましく用いられる。非晶性のポリエステル系エラストマーとしては、例えば特開2002−103544の段落番号0005に示すテレフタル酸、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールとから重合されてなる共重合ポリエステルエラストマ−を好ましく挙げることができる。この共重合ポリエステル系エラストマーは、グリコール成分がエチレングリコール50〜90モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール10〜50モル%であることが好ましく、エチレングリコール60〜80モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜40モル%であることがより好ましい。このような非晶性ポリエステル系エラストマーとしては、イーストマン・ケミカル社よりKODAR PETG(商品名)として市販されているものを例示することができる。
【0046】
本発明の化粧シート1は、3層積層シート5が上記のような材料からなる3層構造を持つことにより、曲面部への追従性に優れる化粧シートとなる。
【0047】
すなわち、本発明において第2樹脂層52を構成する層であるポリエチレンテレフタレートの未延伸樹脂層は、加熱処理を行うと結晶化し易いため、3層構造とせずにこの材料だけでベース樹脂層(3層積層シート5に対応する。)を形成すると、化粧シート製造時の熱や被着部材への貼着時の熱で、接着剤層4との界面の接着力が低下し、また、化粧シートの曲面部に対する追従性が悪くなるという不具合が生じる。しかし、本発明の化粧シートのように3層構造とした3層積層シート5は、加熱されても表裏面の第1樹脂層51及び第3樹脂層53が結晶化しない樹脂で構成されているため、接着剤層4との界面の接着力が低下せず、また、曲面部への追従性が向上し、被着部材へ貼着された際においても浮きやしわが生じない。
【0048】
ところで、3層構造とせずに、上記の第1樹脂層51又は第3樹脂層53を形成する樹脂(加熱しても結晶化しない非晶性のポリエステル系エラストマー)だけでベース樹脂層を形成した場合には、成形時の加熱による伸びが大きくなり過ぎてしまうので、化粧シートが曲面部に貼着された際に、ベース樹脂層が伸び過ぎて後述の隠蔽効果が低下し、被着部材の地肌が透けて見えてしまうこととなる。しかし、本発明の化粧シート1のように3層構造とした3層積層シート5においては、芯層となる第2樹脂層52が、化粧シートを貼着させる成形時の加熱によっても伸び過ぎないので3層積層シート5自体の過度の伸びを抑制することができ、被着部材の地肌の透視を防止できる。なお、本発明の化粧シート1は、第1樹脂層51を形成する樹脂だけでベース樹脂層が形成された化粧シートに比べてコストを抑えることができるという利点もある。
【0049】
3層積層シート5を構成する層のうち少なくとも1つの層には、隠蔽効果を持たせるための着色剤が含有される。3層積層シート5に着色剤を含有させると、化粧シート1が曲面部に貼着された場合に、外側表面近くに位置する着色インキ層3(ベタ層)が面方向に伸びることにより低下する着色インキ層3(ベタ層)の隠蔽力を補って、被着部材の地肌が透けるのを防止することができる。また、3層積層シート5に隠蔽効果を持たせずにベタ層だけで隠蔽効果を持たせた場合には、色別れが起こる可能性があり隠蔽効果が不十分になることがあるが、3層積層シート5に隠蔽効果を持たせると、色分かれの問題を生じさせることなく、上述した着色インキ層3をより際立たせることができる。この着色剤としては、公知の着色剤を使用でき、例えば、チタン白、カーボンブラック等の無機顔料やアルミニウム粉末等の金属顔料を用いることができる。
【0050】
3層総ての層に着色剤を添加しなくても十分な隠蔽姓が得られる場合には、芯層である第2樹脂層52に着色剤を添加することが好ましい。表裏両面(第1樹脂層51及び第2樹脂層52)に着色剤を添加しないことによって、3層を共押出しして形成する際の着色剤に起因する製膜不良を低減できる。なお、より高い隠蔽効果を要する場合には、3層積層シート5を構成する3層総てに着色剤を含有してもよい。
【0051】
3層積層シート各層の構成材料には、必要に応じて、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽剤、光安定剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、硬化剤、滑剤等の各種の作用を有する添加剤を含有させることもできる。
【0052】
3層積層シート5は、上記の各層の構成材料を、第2樹脂層52の両面に第1樹脂層51及び第3樹脂層53が形成されるように共押出しすることによって形成される。3層積層シート5の層厚は、50〜300μmの範囲内であって且つ透明シート2よりも厚く形成することが好ましい。第2樹脂層52は、主に着色剤の添加により化粧シート全体の隠蔽性を確保する必要があるから、3層中で最も多くの厚みが配分される必要がある。具体的には、3層積層シート全体の厚さの30〜95%の厚さを確保することが好ましい。なお、第1樹脂層51及び第2樹脂層52の厚さは特に限定されず、これら両層は同じ厚さであってもよい。
【0053】
共押出しで形成された3層積層シート5は、予め透明シート2上に着色インキ層3を形成し、更にその上に接着剤を塗布した上に貼着され、化粧シート1の構成層として形成される。また、共押出しで形成された3層積層シート5の上に接着剤を塗布し、その上に、着色インキ層3が形成された透明シート2を貼着させ、化粧シート1の構成層として形成してもよい。このとき、より強固な接着性を得るために必要に応じて、3層積層シート5の接着剤層4が形成される側の表面又は両面に、コロナ放電処理やプライマー剤塗工等の等の公知の易接着処理を施してもよい。なお、3層積層シート5は柔軟性の高い樹脂で構成されるため、この層の上に着色インキ層を形成すると、着色インキ層用塗工液に含まれる有機溶剤によってブロッキングを起こしてしまうという不具合があるが、本発明においては透明シート2側に着色インキ層3を形成するので、このような不具合は回避される。
【0054】
本発明では、柔軟性の高い樹脂により形成された3層積層シート5が接着剤層4に隣接して形成されているので、化粧シートを曲面部を有する被着基材に貼着した場合に生ずる伸びに起因した問題を軽減することができる。以下、このことについて、そのメカニズムを考察すると共に詳細に説明する。本発明の化粧シート1は、図2に示すように、3層積層シート5が硬くて伸び難い接着剤層4に隣接して形成されているので、化粧シート1が曲面部を有する被着部材6に貼着された際に、この3層積層シート5の外側の面では接着剤層4によって収縮する方向に引っ張られ、また、内側の面でも被着基材との接着力によって収縮する方向に引っ張られる。そのため、3層積層シート5の層厚方向の中間付近では、接着剤層4の近傍で抑制された伸びを分担し、面方向の大きな伸びが生じていると考えられる。したがって、化粧シート1全体における曲面部追従のために必要な伸びがこの部位で確保されるので、その他の構成層(着色インキ層3や透明シート2)での顕著な伸びが抑制され、化粧シート1全体の曲面部への追従性を向上させることができる。また、着色インキ層3の伸びが抑制されることによって、この層の伸びに起因する問題を軽減させることができる。なお、本発明では、3層積層シート5が接着剤層4に隣接して形成されているので、化粧シート1が曲面部を有する被着部材に貼着された際において、3層積層シート5の外側表面付近(図2のaの範囲)での過剰な伸びが抑制され、白化(結晶化)が防止されるという効果もある。
【0055】
(化粧部材)
本発明の化粧部材10は、図3に示すように、上記の構成を有する化粧シート1が被着部材6に貼着されてなるものである。被着部材6としては、木質材、金属、樹脂、窯業系材料等、各種のものが用いられるが、代表的なものとしては、平板形状や曲面部などを持つ木質繊維板が使用される。木質繊維板とは、ラワン、ゴムの木、松、杉等の樹木の粉体乃至は小片を尿素樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の接着剤で結合接着し、熱プレスによって板状に貼着したものである。代表的なものとしては、中密度繊維板(Medium Density Fiberboard、略称MDF)、パーティクルボード等がある。
【0056】
化粧部材10は、例えば、被着部材6の表面と化粧シート1の3層積層シート5側表面とを、接着剤を介して対向させ、その後、被着部材6側からの真空吸引による圧力差により化粧シート1を被着部材6に貼着する真空成形積層方法により成形される。なお、より強固な接着性を得るために必要に応じて、化粧シート1の3層積層シート5側表面に、コロナ放電処理又はプライマー剤塗工等の等の公知の易接着処理を施してもよい。
【0057】
接着剤としてはウレタン樹脂が好ましく、2液硬化型ウレタン樹脂、1液(湿気)硬化型ウレタン樹脂、又は水分散エマルジョンを使用でき、好ましくは水分散エマルジョンの乾燥固形物が使用される。この場合、通常は被着部材側に接着剤をスプレー(吹付)塗布、刷毛塗り等で塗工し、その上に化粧シート1を重ねて、後述の真空成形積層法で成形する。接着剤は、化粧シート側又は化粧シート側と被着部材側の両方に塗工してもよい。接着剤の塗工量は、50〜100g/m程度である。なお、ウレタン樹脂以外の接着剤も使用可能である。
【0058】
本発明の化粧部材10の形成には、真空成形積層法を利用したラミネート法の中でも真空プレス法が好ましく用いられる。真空プレス法は真空ラミネート法と似ているが、化粧シートの被着部材への成形時に、空気圧以外にゴム状弾性膜の圧縮圧も利用する点、化粧シートの加熱をヒーターにより加熱されたゴム状弾性膜を通して行う点等が若干異なり、化粧シートの均一加熱とより強い圧接力とに特徴がある。
【0059】
図4は、真空プレス装置の一例を示す概略構成図である。真空プレス装置40は、上方には流体圧シリンダー等の上下動作手段41により上下に移動可能な上室42があり、上室42に対面して下方に下室43がある。上室42の内部には赤外線輻射型のヒーター44が配置されている。また、上室42の下部開口部はゴム状弾性膜45にて全面が覆われている。ゴム状弾性膜45には通常シリコンゴム等が用いられる。下室43はその上面が置台46となっている。上室42及び下室43には、それぞれ給排気ポート47,48があり、それぞれの内部圧を独立に調整できる。
【0060】
真空プレス法では、先ず、上室42が上方に移動して下室43と分離した状態で、被着部材6を置台46上に配置し、更に化粧シート1をその3層積層シート側が対向するように被着部材6の上から配置する。接着剤を化粧シート1や被着部材6の表面に施しておく場合には、この段階でスプレー塗布等により塗工しておく。また、接着剤が溶剤を含む場合は、この段階で乾燥させておく。
【0061】
次いで、上室42を下方に移動して下室43に圧接し、上室42及び下室43を密閉する。図4はこの状態を示している。次に、下室43内を減圧し、上室42内を加圧する。更に、ヒーター44を用いてゴム状弾性膜45を通して化粧シート1を加熱軟化させ貼着が可能な状態とする。この結果、化粧シート1は被着部材6の表面に沿った状態で、上室42と下室43との圧力差及びゴム状弾性膜45の収縮圧により変形圧接され、化粧シート1が被着部材6へ密着していく。最後に、下室43の減圧を解除するとともに上室42の加圧を解除して両室を大気圧にした後、上室42を上方に移動して上室42と下室43を分離し、化粧シート1が貼着した被着部材6を取り出して化粧部材10を得るものである。
【0062】
本発明の化粧部材は、上述した化粧シート1が曲面部を有する被着部材6に貼着されてなるので、その曲面部でも化粧シート1に浮きやしわがなく成形性に優れると同時に、化粧シート1の表面の鏡面性にも優れている。また、本発明の化粧部材10は、曲面部において化粧シートの絵柄や色彩の薄れや絵柄の伸び等が起こることがなく、また、その色彩の薄れによる3層積層シートの透視を防止することができるため、曲面部で優れた意匠性を示す。
【0063】
【実施例】
以下、本発明を実施例と比較例に基づいて更に詳しく説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
ロール状に巻き取られた長尺帯状の下記成分からなる透明シートを供給し、その一方の表面上にコロナ放電処理をした後、下記成分からなる着色インキ層用塗工液を、層厚が6g/mとなるようにグラビア輪転印刷により全面ベタ印刷し乾燥させ、これを巻き取った。その後40℃雰囲気中で3日間養生して着色インキ層を形成した。この時点で、着色インキ層が形成された透明シートの印刷適性評価を行った。
【0065】
透明シート;テレフタル酸イソフタル酸及びエチレングリコールの共重合ポリエステルテレフタレート樹脂シート(厚さ25μm、帝人デュポン株式会社製、製品名;テフレックス、重合比;テレフタル酸88モル%、イソフタル酸12モル%)
【0066】
着色インキ層用塗工液;バインダーとしてポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートの混合系(重量比100:10)、顔料として30wt%チタン白
【0067】
次に、第1樹脂層及び第3樹脂層の構成材料としてテレフタル酸、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの共重合ポリエステルエラストマー(イーストマンケミカル社製、製品名;KODER PETG、重合比;エチレングリコール67モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール33モル%)を用い、第2樹脂層である未延伸樹脂層の構成材料として、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、副成分としてポリブチレンテレフタレートを添加した樹脂を用いた。このとき、各層の構成材料に着色剤として5wt%チタン白を含有させた。これらの各構成材料を、芯層となる第2樹脂層の両面に、表面層としての第1樹脂層及び裏面層としての第3樹脂層が形成されるように3層共押出しし、層厚200μmの3層積層シートを形成した。このとき、第2樹脂層の層厚は170μm、第1樹脂層及び第3樹脂層の層厚は各々15μmであった。その後、この3層積層シートの表裏両面にコロナ処理を施した。
【0068】
次に、透明シート上に形成された着色インキ層の上にポリエステルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートの混合系(重量比100:10)からなる接着剤をグラビアロールコート法で15g/m(乾燥時の塗布量)塗布した。その後、その接着剤が硬化する前に、接着剤の上に上記の3層積層シートをドライラミネートして貼り合わせ、40°雰囲気で3日間養生させて実施例1の化粧シートを形成した。
【0069】
次に、表面の周囲端部を曲率半径3mmで面取り加工してなる厚さ15mmの直方体のMDF基板(住友林業株式会社製、「ネルソンパイン」)を被着部材とし、その表面に水分散型ウレタンエマルジョン接着剤を70g/mでスプレー塗布した。そのMDF基板に、実施例1の化粧シートを、その3層積層シート側が対向するように重ね合わせ、図4に示したような真空プレス装置によりラミネートして化粧部材を製造した。真空成形は、化粧シートの予熱:120℃・120秒間、真空圧空加熱時間:120℃・120秒間の条件で行った。このようにして得た実施例1の化粧部材について以下の評価を行った。
【0070】
(比較例1)
実施例1の化粧シートの形成方法において、透明シートとして厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートの2軸延伸フィルム(東レ社製、製品名;ルミラー)を用い、ベース樹脂シート(実施例1の3層積層シートに対応する。)として、5wt%チタン白を着色剤として含有した厚さ200μmの同ポリエチレンテレフタレートの2軸延伸フィルムを用いた。それ以外は、実施例1と同様の手順で比較例1の化粧シートを形成した。なお、透明シートに着色インキ層を形成し養生処理をした時点で、着色インキ層が形成された透明シートの印刷適性評価を行った。
【0071】
次に、実施例1の化粧部材の形成方法と同様の方法で、比較例1の化粧部材を得た。このようにして得た比較例1の化粧部材について以下の評価を行った。
【0072】
(比較例2)
実施例1の化粧シートの形成方法において、透明シートとして、実施例1で用いた第2樹脂層の構成材料と同じポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ25μmの未延伸フィルムを用い、ベース樹脂シートとして5wt%チタン白を着色剤として含有した厚さ200μmの同ポリエチレンテレフタレートの未延伸フィルムを用いた。これらの透明シートとベース樹脂シートの貼り合わせを、接着剤層を介さずに熱融着により行った。それ以外は、実施例1と同様の手順で比較例2の化粧シートを形成した。なお、透明シートに着色インキ層を形成し養生処理をした時点で、着色インキ層が形成された透明シートの印刷適性評価を行った。
【0073】
次に、実施例1の化粧部材の形成方法と同様の方法で、比較例2の化粧部材を得た。このようにして得た比較例2の化粧部材について以下の評価を行った。
【0074】
(比較例3)
実施例1の化粧シートの形成方法において、透明シートとして、実施例1で用いた第1樹脂層及び第3樹脂層の構成材料(ただし、着色料は無添加)と同じポリエチレンテレフタレート樹脂からなる厚さ25μmのフィルムを用いた。また、ベース樹脂シートとして、実施例1で用いた第1樹脂層及び第3樹脂層の構成材料に5wt%チタン白を着色剤として含有した厚さ200μmのフィルムを用いた。これら透明シートとベース樹脂シートとの貼り合わせを、接着剤層を介さずに熱融着により行った。それ以外は、実施例1と同様の手順で比較例3の化粧シートを形成した。なお、透明シートに着色インキ層を形成し養生処理をした時点で、着色インキ層が形成された透明シートの印刷適性評価を行った。
【0075】
次に、実施例1の化粧部材の形成方法と同様の方法で、比較例3の化粧部材を得た。このようにして得た比較例2の化粧部材について以下の評価を行った。
【0076】
(コーナー部貼着性評価)
化粧部材の曲面部における化粧シートの貼着の状態を目視により観察した。浮きやしわが観察されなかった場合は○、浮きやしわが観察された場合は×で示した。その結果を表1に示す。
【0077】
(コーナー部隠蔽性評価)
化粧部材の曲面部における化粧シートの隠蔽の状態を目視により確認した。着色インキ層の色彩の薄れがなく3層積層シートの色調が観察されなかった場合は○、着色インキ層の色彩の薄れがあり3層積層シートの色調が観察された場合は×で示した。その結果を表1に示す。
【0078】
(耐溶剤性評価)
化粧部材に貼着された化粧シートにラッカーシンナーをラビングにより塗布した後、化粧シートの貼着の状態を目視により観察した。化粧シートの表面に変化が生じなかった場合は○、化粧シートの表面が溶けたり白くなったりするなどの変化が生じた場合は×で示した。その結果を表1に示す。
【0079】
(界面密着性評価)
化粧部材に貼着された化粧シートの一部をめくり、めくった部分の化粧シートを手で引っ張ることにより、化粧シートとMDF基板の界面密着性を評価した。化粧シートが被着部材から剥離しなかった場合は○、化粧シートが被着部材から剥離した場合は×で示した。その結果を表1に示す。
【0080】
(印刷適性評価)
着色インキ層を形成し養生処理した後のロール状に巻き取った透明シートを巻き出して、印刷面と非印刷面の状態を目視により観察した。透明シートの非印刷面にインキの転写(ブロッキング)が認められなかった場合は○、透明シートの非印刷面にインキの転写が認められた場合は×で示した。その結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0004471592
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の化粧シートによれば、曲面部を有する被着部材に貼着された化粧シートの成形性を向上させるとともに、シート表面の鏡面性をも向上させることができる。また、本発明の化粧シートによれば、曲面部を有する被着部材に形成された化粧シートの絵柄や色彩の薄れ及び絵柄の伸び等を抑制し、更には色彩の薄れによる3層積層シートの色調の透視を防止することができ、化粧部材の意匠性を向上させることができる。
【0083】
本発明の化粧部材によれば、化粧シートに浮きやしわが見られず曲面部での成形性を向上させることができると同時に、被着部材の凹凸による浮き出しが見られずシート表面の鏡面性をも向上させることができる。また、曲面部でも化粧シートの絵柄や色彩の薄れや絵柄の伸びがなく、更に、3層積層シートの色調が透けて見えず、意匠性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧シートの一例を示す断面図である。
【図2】曲面部を有する被着部材に形成された本発明の化粧シートを構成する各層の面方向の伸びを示す断面図である。
【図3】本発明の化粧部材の一例を示す断面図である。
【図4】真空プレス装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】従来の化粧シートの一例を示す断面図である。
【図6】曲面部を有する被着部材に形成された従来の化粧シートを構成する各層の面方向の伸びを示す断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 透明シート
3 着色インキ層
4 接着剤層
5 3層積層シート
51 第1樹脂層
52 第2樹脂層
53 第3樹脂層

Claims (3)

  1. 着色インキ層が形成された透明シートの着色インキ層側表面と、当該透明シートよりも厚く且つ少なくとも芯層をなす樹脂層に着色剤を含有し隠蔽性を有する3層積層シートとが接着剤層を介して貼り合わされてなる化粧シートであって、
    前記透明シートが、テレフタル酸、イソフタル酸及びエチレングリコールを主成分とする共重合ポリエステル樹脂で形成され、
    前記3層積層シートが、ポリエチレンテレフタレートの未延伸樹脂層と、当該未延伸樹脂層の両面に形成される、テレフタル酸、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールを主成分とする共重合ポリエステル樹脂層とで形成され、
    前記接着剤層が、ポリオールとイソシアネートとを主成分とする2液硬化型ウレタン樹脂で形成されていることを特徴とする化粧シート。
  2. 前記2液硬化型ウレタン樹脂が、3次元架橋した分子構造を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の化粧シートが曲面部を有する被着部材に貼着されてなることを特徴とする化粧部材。
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