JP2005335336A - 横柄エンボス化粧シート及び横柄エンボス化粧板 - Google Patents

横柄エンボス化粧シート及び横柄エンボス化粧板 Download PDF

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Abstract

【課題】エンボス加工による凹陥模様に横柄が含まれていても、ラミネート時にエンボス化粧シートの伸びによる凹凸意匠低下が起き難い、横柄エンボス化粧シートと、それを基板にラミネートした横柄エンボス化粧板を提供する。
【解決手段】横柄エンボス化粧シート10は、化粧シート幅方向からの角度が−45°〜+45°となる横柄を含んだエンボス加工による凹陥模様1が表面に賦形されたエンボス受容シート2の裏面側に、200℃に於ける引張弾性率Eが10MPa以上の補強基材シート3を積層する。更に、補強基材シートとエンボス受容シートはポリエステル系硬化性樹脂の接着剤層4を介して積層するのが良い。横柄エンボス化粧シートをラミネートローラ等で間に接着剤を介する等として金属板等の基板4に積層して横柄エンボス化粧板とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンボス模様を表面に有する化粧シートとそれを鋼板等の基板にラミネートしたエンボス化粧板に関し、更に詳しくは、エンボス模様に横柄を含む、エンボス化粧シートとエンボス化粧板に関する。
化粧板には各種知られているが、その中の一形態として、樹脂シートを基材シートに用いた化粧シートを鋼板等の基板にラミネートした化粧鋼板等の化粧板が従来から各種知られている。また、前記化粧シートとして表面にエンボス加工で凹陥模様を設けたエンボス化粧シートを用いれば、更に意匠性を高めたエンボス化粧板とすることができる(特許文献1等参照)。また、前記樹脂シートとしては塩化ビニル樹脂シートが一般的で、またエンボス加工も容易である等の種々の利点を有するが、近年は、塩化ビニル樹脂シート中の可塑剤及び燃焼時のダイオキシン発生等の環境面への配慮から、オレフィン樹脂シートやポリエステル樹脂シート等も提案されている(特許文献1等参照)。
特開2000−301662号公報
ところで、基板が鋼板等、高耐熱性である場合には、エンボス化粧シートの基板へのラミネートは、基板上に施した接着剤の接着力が熱で活性状態となっているところに、連続帯状の化粧シートをラミネートローラでラミネートすると同時に冷却し接着固定すると(少なくとも初期の)接着が短時間で完了するため生産性が良い等の観点から、200℃近く或いはそれ以上の高温に基板を加熱して行うのが普通である。その為この様な高熱でラミネートする場合には、テンションを加えて搬送し供給する連続帯状のエンボス化粧シートが長手方向に伸び易いという問題があった。但し幸いなことに一般的な建材用途では、エンボス化粧シートやエンボス化粧板の代表的な意匠が木目意匠で、しかも化粧板施行時は、エンボス加工による凹陥模様で表現する木目導管溝は、それが走る方向を天地方向とするのが常であることから、化粧板長手方向を木目導管溝の走行方向とする縦柄(つまり縦柄の木目意匠)であった為に、長手方向の伸びが極端でなければ目立たず、意匠品質を損なうことはなかった。
しかしながら、化粧板に要求される意匠は、オーソドックスな意匠も普遍的に求められる一方で、従来にはない斬新な意匠も常に求められている。その斬新な意匠の一つとして、木目意匠を例にとれば、横柄の木目意匠がある。木目意匠を横柄とするエンボス化粧板に使用するエンボス化粧シートは、木目導管溝の走行方向は連続帯状の化粧シートの幅方向となり、該溝部分は局所的にシートの厚みが薄く、その薄い部分がシート幅方向に多数走ることになる。この為、横柄の凹陥模様を有する横柄エンボス化粧シートは、基板へのラミネート時のテンションで溝部分だけが特異的に伸ばされて溝幅が広がり間延びした感じとなる等、意匠品質を損ない易かった。更に、極端な場合には横柄エンボス化粧シートが破断する虞もあった。また同様に、横柄エンボス化粧シート自体の製造時でも、熱圧利用のエンボス加工で凹陥模様を賦形する際に、熱とテンションにより横柄のエンボス柄では縦柄に比べて伸び易かった。なお、この様な意匠品質上、問題となり易い横柄としては、木目意匠の導管溝に限らず、横方向に伸びる波状の溝柄等、抽象的な柄等、各種存在した。但し、従来は、化粧シートの伸びの問題がある為に、この様な横柄を凹陥模様に採用した意匠は、エンボス化粧シートをラミネートして製造するエンボス化粧板に於いては避けてきたのが実情である。
すなわち、本発明の課題は、エンボス加工による凹陥模様に横柄が含まれていても、ラミネート時にエンボス化粧シートの伸びによる凹凸意匠低下が起き難い、横柄エンボス化粧シートと、それを基板にラミネートした横柄エンボス化粧板を提供することである。
上記課題を解決すべく、本発明の横柄エンボス化粧シートは、表面にエンボス加工による凹陥模様が賦形されたエンボス受容シートの裏面側に補強基材シートが積層された連続帯状のエンボス化粧シートであって、前記凹陥模様の柄が、化粧シート幅方向からの角度が−45°〜+45°となる横柄を含み、且つ補強基材シートの200℃に於ける引張弾性率Eを10MPa以上とした。
なお、補強基材シートとエンボス受容シートとは接着剤層を介して積層するのが好ましい。また、該接着剤層にはポリエステル系硬化性樹脂を用いるのが好ましい。
この様な構成とすることで、エンボス加工による凹陥模様に横柄が含まれていても、エンボス受容シートの裏面側にラミネート時の熱で伸び難い補強基材シートが積層されているので、高温(例えば200℃)でのラミネート時でも横柄エンボス化粧シートの伸びによる凹凸意匠低下が起き難くい。しかも、凹陥模様のエンボス加工による賦形はエンボス受容シートが主体的に受け持つと共に化粧シート全体としては伸び難い耐熱性も有するので、高意匠な横柄の凹陥模様を表現できる。
なお、補強基材シートとエンボス受容シートとを接着剤層を介して積層すれば、溶融押出塗工法等による積層では密着し難いシート同士の組合せも容易である上、エンボス加工で凹陥模様を賦形済みのエンボス受容シートであっても、凹陥模様の意匠低下になる様な高温を避けて補強基材シートと積層できる。
また、その接着剤層にポリエステル系硬化性樹脂を用いれば、補強基材シートとして好適なポリエステル樹脂シート等に対して良好な密着性が得られる。
また、本発明の横柄エンボス化粧板は、上記横柄エンボス化粧シートが、その補強基材シート側の面で基板に積層した構成とする。なお、基板が金属板である構成が好ましい。
この様な構成とすることで、上述した横柄エンボス化粧シートによる効果が得られる。すなわち、化粧板にエンボス加工で賦形された凹陥模様に横柄が含まれていても、基板にラミネートしてある横柄エンボス化粧シート部分に於いて、そのエンボス受容シートの裏面側にはラミネート時の熱で伸び難い補強基材シートが積層され、高温(例えば200℃)でのラミネート時でも横柄エンボス化粧シートの伸びによる凹凸意匠低下が起き難くなっており、更に、凹陥模様のエンボス加工による賦形はエンボス受容シートが主体的に受け持つ共に、化粧シート全体としては伸び難い耐熱性も有するので、高意匠な横柄の凹陥模様を表現できる。
また、横柄エンボス化粧シート部分に於ける補強基材シートとエンボス受容シートとが接着剤層を介して積層されていれば、溶融押出塗工法等による積層では密着し難いシート同士の組合せも容易で、エンボス加工で凹陥模様を賦形済みのエンボス受容シートでも凹陥模様が意匠低下する様な高温を避けて補強基材シートと積層できる、高意匠な横柄の凹陥模様を表現できる。
また、上記接着剤層にポリエステル系硬化性樹脂を用いれば、補強基材シートとして好適なポリエステル樹脂シート等に対して良好な密着性が得られる。
(1)本発明の横柄エンボス化粧シート及び横柄エンボス化粧板によれば、エンボス加工による凹陥模様に横柄が含まれていても、高温(例えば200℃)でのラミネート時でも横柄エンボス化粧シートの伸びによる凹凸意匠低下が起き難く、高意匠の横柄の凹陥模様を表現できる。
(2)また、補強基材シートとエンボス受容シートとを接着剤層を介して積層した構成では、密着し難いシート同士の組合せも容易で、凹陥模様を賦形済みのエンボス受容シートを凹陥模様の意匠低下を避けて補強基材シートと積層した構成も容易となる。また、接着剤層にポリエステル系硬化性樹脂を用いれば、ポリエステル樹脂シート等の補強基材シートを密着性良好にして採用できる。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、図1(A)及び(B)は、各々、本発明による横柄エンボス化粧シート10と横柄エンボス化粧板20について、一形態を例示する斜視図である。また、図2(A)及び(B)は、各々、本発明による横柄エンボス化粧シート10と横柄エンボス化粧板20について、一形態を例示する断面図である。図2は接着剤層5及び7を明示的に示した図である。また、図3は本発明による横柄エンボス化粧シート10の別の一形態(多層構成のエンボス受容シート例)を例示する断面図である。また、図4は、横柄の定義を示す説明図であり、図5は横柄に該当する各種模様を例示する平面図である。なお、これら図中の符号は、1は凹陥模様、2はエンボス受容シート、3は補強基材シート、4は基板、5及び7は接着剤層、6は装飾層、θは凹陥模様の化粧シート幅方向からの角度〔°〕である。以下、凹陥模様から順に説明する。
〔凹陥模様〕
本発明による凹陥模様1は横柄を含む模様であり、該横柄とはその凹陥模様の溝の走る方向が、連続帯状の横柄エンボス化粧シートの状態に於いて該化粧シート幅方向の柄である。但し、該溝の走る方向は化粧シート幅方向に完全に一致している必要はないが、ラミネート時のシート伸びを防ぐという本発明の効果は、該溝の走る方向に化粧シート幅方向成分を有するものであれば相応の効果を有する。しかし、溝の走る方向が殆ど化粧シート流れ方向(縦方向)では、効果も薄い。従って、本発明で横柄の定義として、凹陥模様の溝の伸びる方向ついて、それを、化粧シート流れ方向成分と、化粧シート幅方向成分の直交する2つのベクトル成分に分解した場合に於いて、化粧シート幅方向成分の量が化粧シート流れ方向成分の量以上となる柄とする。すなわち、最低でも化粧シート幅方向成分量は化粧シート流れ方向成分量と同じであり、これ以外に於いては、化粧シート幅方向成分量が化粧シート流れ方向成分量を上回り化粧シート幅方向成分主体となる様な、柄である。すなわち、図4の平面図による説明図において、凹陥模様1を構成する溝が走る方向が、化粧シート幅方向TDからの角度θが−45°〜+45°となる柄を横柄として定義する。なお、図4の角度θは+の値となる場合である。
なお、横柄を含む凹陥模様とは、凹陥模様の全ての部分に於いて横柄でなくても良いことを意味する。本発明は、全てが横柄の凹陥模様に対してより効果的であるが、凹陥模様の一部に横柄があれば、その部分に於いて効果が得られるからであり、また意匠は全体的に観察評価されるものであり、一部でも横柄の部分が損なわれれば、それにより全体的な意匠低下に繋がることがあるからである。
ここで、本発明が対象とする横柄を含む凹陥模様の各種例を、図5の平面図で例示する。なお、図5中、図面上下方向が化粧シート流れ方向MD、図面左右方向が化粧シート幅方向TDである。そして、図5(A)の凹陥模様1は木目の導管柄であり、図5(B)の凹陥模様1は波模様(抽象柄)であり、図5(C)の凹陥模様1は格子柄(抽象柄)である。なお、もちろんだか、本発明に該当する横柄を含む凹陥模様は、図5で例示した模様に限定されるものではない。例えば、図5以外の凹陥模様の例を更に挙げれば、木目模様(年輪、髄線等)、ヘアライン、布目模様、タイル貼り模様(目地溝を含む)、煉瓦積模様(目地溝を含む)、光線彫模様、文字、或いは、その他の、幾何学模様、図形、規則的模様、抽象柄模様等が挙げられる。
そして、この様な横柄を含む凹陥模様1は、例えば、加熱されたエンボス受容シートの表面に対してエンボス版を押圧する公知のエンボス加工によって設けることができる。
この際、エンボス版としてはロール状のエンボスロールが、連続帯状のシートに対する加工、連続生産性、及び広い面積にわたって連続した凹陥模様を賦形できる点で好ましい。エンボス加工は、エンボス受容シートがエンボス版の押圧で変形し得る程度の温度まで加熱し行う。或いはまた、凹陥模様1は、エンボス受容シートをTダイで溶融押出ししてシート成膜時に、その冷却ロールに表面に凹凸を有するエンボスロールを用いて、成膜同時エンボスを行って賦形しても良い。成膜同時エンボスでは、シート化後のシート加熱が不要となる。
なお、凹陥模様1の溝の深さは、表現する凹凸意匠に応じたものとすれば良く特に制限はない。例えば、深さは5〜200μm程度である。
〔エンボス受容シート〕
エンボス受容シート2は、熱圧利用のエンボス加工による凹陥模様1を賦形し得る様にする為のシートであり、また化粧板となったときは、その表面側の層として艶や表面耐性等の表面適性を担い得る層でもある。従って、このエンボス受容シートとしては、前記エンボス加工適性を有する樹脂シートが使用される。この様な樹脂シートの代表例は、熱圧エンボスが可能となる熱可塑性樹脂シートであり、更にそのうち代表的な樹脂シートの樹脂としては、塩化ビニル樹脂(半硬質塩化ビニル樹脂等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系、ポリプロピレン系、オレフィン系熱可塑性エラストマー系等)、成形性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。また、エンボス受容シートは、単層構成の他、多層構成でも良い。多層構成の場合、そのシート間に後述する装飾層があっても良い。シート間に装飾層を有する多層構成のエンボス受容シート、或いは単層構成だがシート表面(例えば補強基材シート側とする裏面、或いは表面)に後述装飾層を有するエンボス受容シートは、所謂化粧シートと捉えることもできるし、またこの様な装飾層は無いが凹陥模様のみを有するシートでも所謂化粧シートと捉えることもできる。なお、エンボス受容シートを多層構成とするには、接着剤を介して積層するドライラミネーション法、溶融押出塗工法等の、公知の積層法によれば良い。この様なエンボス受容シートは、基材シートが熱可塑性樹脂シートで、該シート或いはその他の層として熱可塑性樹脂層に熱圧利用のエンボス加工で凹陥模様が賦形されている、従来公知の化粧シート(通常更に装飾層等を有する)を適宜用いることができる。
エンボス受容シートの厚みは、凹陥模様の溝の深さ以上の厚みが凹陥模様を十分に表現する為に好ましく、従って、表現する凹陥模様の深さに応じた厚みとすれば良い。但し、薄すぎるとシート化してあるエンボス受容シートと、補強基材シートとの積層作業が難しくなるので、通常は50〜500μm程度となる。
また、本発明では基板とのラミネート時高温でのシート伸びに対する耐性は、補強基材シートが受け持つので、こちらのエンボス受容シートは該耐性は考慮せずに、もっぱらエンボス加工適性等を主体的に考慮して選定できる設計の自由度が得られる。
〔補強基材シート〕
補強基材シート3は、エンボス受容シートだけではラミネート時の熱で伸び易い横柄エンボス化粧シートを、伸び難くする為に機械的強度を補強する為のシートである。この為、補強基材シートとしては、200℃に於ける引張弾性率Eが10MPa以上となるシートを用いる。
上記引張弾性率Eの温度条件200℃であるが、これは、エンボス受容シート成膜後、各種の化粧板を製造するに至る全工程に亙って該シートに加わる最大温度は、連続帯状の横柄エンボス化粧シートを鋼板等の金属板にラミネートしてラミネート鋼板等として横柄エンボス化粧板を製造する際の温度(最大200℃)が、実用上最大の温度であり、この最も過酷な温度条件に耐え得れば、その以下の温度でのラミネート等の工程では問題なく適合できる温度であるからである。
また、上記引張弾性率Eの値であるが、こちらは、最大温度200℃がかかる横柄エンボス化粧シートの基板へのラミネート時に、該シートに加わるテンションと、許容し得る凹陥模様の伸びを想定した場合に、想定し得る最大のテンションでも柄の伸びが許容限度内に収まる値として導かれたものである。すなわち、最大のテンションはせいぜい100N/m(約10kgf/m幅)であり、これを受ける横柄エンボス化粧シートの厚みが最小のとき、横柄エンボス化粧シートに加わる応力は最大になる。横柄エンボス化粧シートの厚みを最小でも0.1mmとすると、最大テンション時に横柄エンボス化粧シート(補強基材シート)に加わる最大引張応力σmaxは、1MPa(約0.1kgf/mm2)となる。
一方、許容し得る凹陥模様の伸びは、なるべく少ないのに越したことは無いが、10%〔(伸びた分の長さΔL/伸びる前の長さL)の100分率〕に収まればなんとかなる。
そこで、伸び10%を許容最大伸びLmaxとして、最大引張応力σmaxで伸びが丁度、許容最大伸びLmaxに到達する引張弾性率Eは、10MPa(約1kgf/mm2)となる。すなわち、200℃に於ける引張弾性率Eが10MPa以上であれば、伸びは10%以下に抑えるられることになる。但し、伸び10%を許容最大伸Lmaxとしたが、伸び10%は品質的に最低限確保すべき値であり、より好ましくはより少ない伸びに抑えるのが望ましい。従って、より好ましくは許容最大伸び5%であり、その場合は、200℃に於ける引張弾性率Eは20MPa以上、更に好ましくは許容最大伸び1%であり、その場合は、200℃に於ける引張弾性率Eは100MPa以上、であれば良い。
ところで、本来ならば、横柄エンボス化粧シートに用いる基材シートとして、140〜200℃程度の温度領域に於いて、高弾性率と高エンボス賦形性とが両立する材料を入手するか、或いは高弾性率で低エンボス賦形性の基材シートに、機械切削等の熱プレス以外の方法で凹陥模様を賦形するかの何れかによれば、単層の基材シートにて化粧シートを構成することも可能である。但し、現実の話としては、いずれも困難である。2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートを始めとして、通常の材料では、この様な温度領域で高弾性率の樹脂シートは極めてエンボス賦形性が低く、又塩化ビニル樹脂を始めとしてエンボス賦形性が高い材料は、逆に弾性率が低いか往々にしてラミネート温度まで固体を保ち得無い。又、機械切削等の凹陥模様賦形法は、賦形形状の制約、切削屑の処理、製造速度(効率)等の点から工業製品として実用は困難である。
故に、本発明では、横柄エンボス化粧シートの構成を、〔エンボス受容シート/補強基材シート〕との積層構成とし、補強基材シートの方に賦形適性は欠乏しても良いから高温時高弾性率の材料を選定し、ここで高温時伸び抑制機能を担わせ、一方、エンボス受容シートの方には、高温時低弾性で伸び易いものでも良いから高賦形性の材料を選定し、ここで賦形性の方を担わせ、これらをもって横柄エンボス化粧シート全体としては、高温ラミネート時の伸び防止と熱圧でのエンボス加工よる賦形性とを両立させる設計としたものである。
この様な引張弾性率Eを備えた補強基材シートの具体例としては、例えば、2軸延伸ポリエステル樹脂シート、代表的には2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシート(引張弾性率E=120MPa(伸び5%時)、80MPa(伸び10%時)、35MPa(伸び100%時),於200℃)が挙げられる。また、これ以外にも、2軸延伸ポリエステル樹脂シートとしては、ポリエチレンナフタレートシート等も挙げられる。なかでも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートはコスト、特性等の観点から好ましい補強基材シートである。
上記以外の補強基材シートとしては、不織布が挙げられ、不織布としては、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、アラミド繊維等の合成樹脂繊維からなるものを適宜使用することができる。また、セルロース繊維等の天然繊維等からなる不織布、つまり紙等でも良い。
なお、補強基材シートの厚みは、厚い程、補強効果が強いが、取り扱い適性、コスト等の観点から適宜厚さとすれば良い。通常10μm〜100μm程度とすれば十分である。例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートの場合、25μmで伸び防止の満足する性能が得られる。
また、補強基材シートは、着色シートとしても良い。着色は着色透明、着色隠蔽性等である。補強基材シートを着色シートとするには、補強基材シート中に着色剤を添加すれば良い。着色剤としては、公知の着色剤、例えば、後述装飾層で列記する様な着色剤を適宜使用すれば良い。
また、エンボス受容シートと補強基材シートとの積層は、これら両シートを接着剤を介して積層するドライラミネーション法、溶融押出塗工法等、公知の積層法を適宜採用すれば良い。但し、溶融押出塗工法の場合、補強基材シートは通常2軸延伸樹脂シートや不織布等となる為、溶融押出塗工する側には適用できないので、エンボス受容シートを溶融押出塗工する形態となる。また、エンボス受容シートが、多層構成で該エンボス受容シートの層内部に装飾層を設ける場合では適用できないので、例えばこの様な装飾層無しで凹陥模様のみの構成等と、これらの制約がない場合に、採用すると良い。この様な観点から、また、エンボス受容シートに高熱をかけずに済む観点から、エンボス受容シートと補強基材シートとの積層は、これら両シートを接着剤を介して積層する方法、例えば具体的には、ドライラミネーション法が好ましい。
なお、横柄の凹陥模様をエンボス受容シートに熱圧利用のエンボス加工で賦形するのに、エンボス受容シートを補強基材シートと積層して補強積層シートとしてから、そのエンボス受容シートに賦形すれば、該エンボス加工時の熱とテンションによるシートの伸びを、補強基材シート積層前に賦形する場合に比べて少なくできる。従って、シートの伸びの許容限度がより小さい場合は、この様にすると良い。
〔接着剤層〕
エンボス受容シートと補強基材シートとの積層に好ましくは使用する接着剤層5としては、これらに対する密着性が良く、また熱で伸び易いエンボス受容シートに接着剤硬化時等で過度の高熱が加わらない接着剤であれば、特に制限は無く、従来公知のものを適宜採用することができる。なかでも、ポリエステル系硬化性樹脂は接着剤として好ましい樹脂である。それは、補強基材シートとして好適なポリエステル樹脂シート等に対して良好な密着性が得られる。なお、接着剤層5無しの構成は、エンボス受容シートを溶融押出塗工等で形成することで得られる。
なお、ポリエステル系硬化性樹脂としては、例えば、主剤がポリエステル系樹脂で、硬化剤にポリイソシアネートを使用した樹脂等が挙げられる。上記ポリエステル系樹脂としては、例えば、無水フタル酸やアジピン酸等の二塩基酸とプロピレングリコールやエチレングリコール等の二価アルコールとから得られる様な縮重合物等であり、具体的には例えば、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等が挙げられる。
また、ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有するイソシアネートであり、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート、或いはトリレンジイソシアネートの付加体等のイソシアネート付加体、トリレンジイソシアネート3量体等のイソシアネート多量体が挙げられる。
〔装飾層〕
装飾層は凹陥模様以外の装飾処理の代表例であり、凹陥模様以外にも適宜な装飾処理を採用出来、より一層意匠性を高めることが出来る。なお、凹陥模様、装飾層以外の装飾処理としては、エンボス受容シートや補強基材シートに対する着色剤使用による着色処理、或いはエンボス受容シートに対する艶消し剤添加等による表面の艶調整(艶消し等)処理等がある。ここでは、これらのなかでも代表的な装飾層について更に説明するが、この装飾層としては、化粧シート等に於いて従来公知のものを適宜採用すれば良い。
装飾層は、エンボス受容シートと補強基材シート間、エンボス受容シートの層内、等に設ける。前者の場合では、エンボス受容シート側の裏面(補強基材シート側の面)、補強基材シートの表面(エンボス受容シート側の面)、或いはこれら両面に、印刷法等で設ける。また、後者の場合、つまりエンボス受容シートの層内の場合は、エンボス受容シートが多層構成の場合であり、例えばエンボス受容シートが表側の表面シートと裏側の裏面シートとの2層構成の場合では、表面シートの裏面、裏面シートの表面、或いはこれら両面に、印刷法等で設ける。なお、装飾層は補強基材シートの裏面に設けることもできる。
装飾層の模様は、例えば、木目模様(導管溝、年輪、髄線等)、布目模様、タイル貼り模様(目地溝を含む)、煉瓦積模様(目地溝を含む)、光線彫模様、文字、或いは、その他の、幾何学模様、図形、規則的模様、抽象柄模様、ベタ柄模様等である。横柄の模様としては、例えば、図5に図示した凹陥模様に対応した模様が挙げられる。これを図5を引用して説明すると、図5(A)は木目導管溝模様、図5(B)は波状模様、図5(C)は格子模様である。図5(B)及び(C)は規則的模様の幾何学模様でもあり、図5(C)は図形でもある。
なお、もちろんのことだが、装飾層の模様は、要求意匠に応じたものとすれば良く、凹陥模様と位置同調させても、させなくても、どらでも良いが、位置同調させた方が、凹陥模様による凹凸意匠をより引き立てることができる。また、凹陥模様と装飾層の模様は別の模様(例えば凹陥模様が木目導管溝で、装飾層の模様が幾何学模様等)の組合せでも良い。
装飾層の形成方法、材料等は特に制限は無く、用途に応じたものとすれば良い。すなわち、装飾層は、インキ或いは塗液を用いて、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビアオフセット印刷、インキジェット印刷等の従来公知の印刷法で形成すれば良く、また、ベタ柄模様は、グラビアコート、ロールコート等の従来公知の塗工法等で形成しても良い。
なお、装飾層の形成に用いるインキ(或いは塗液)は、バインダー等からなるビヒクル、顔料や染料等の着色剤、これに適宜加える体質顔料、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等の各種添加剤からなるが、要求される物性、印刷適性等に応じて、従来公知のものを適宜選択使用すれば良い。
例えば、バインダーの樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を使用し、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体等のアクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等の単体又はこれらを含む混合物が挙げられる。
また、着色剤としては、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、黄鉛、群青等の無機顔料、アニリンブラック、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料、メタリック顔料、パール顔料等が挙げられる。
〔基板〕
基板4としては、横柄エンボス化粧シートをラミネートし得るものであれば基本的には特に制限は無く、例えば従来公知の化粧板に於ける各種材料を、用途に応じて適宜採用すれば良い。従って、例えば、基板の材料としては、金属系、無機非金属系(セラミック系、非セラミックス窯業系等)が代表的であるが、この他、木質系、樹脂系等でも良い。また、基板はこれらの混合系、積層物等の複合系等でも良い。なお、基板の形状は、板状が代表的であるが、この他、立体物等でもよい。
基板の材料について具体例を更に挙げれば、金属系では、鉄、銅、アルミニウム等の各種金属が挙げられ、また、無機非金属系の材料としては、例えば、押し出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、ケイ酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非セラミックス窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス系材料等が挙げられる。なお、木質系の材料としては、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる、単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等の木質材料が挙げられる。また、樹脂系としては、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂でも良いが、高温ラミネートも可能であるという本発明の特徴を活かす意味では、耐熱性を有する樹脂が好ましく、この点では硬化性樹脂が好ましい。該硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、或いは、硝子繊維等の各種繊維との複合物である繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
これら基板のなかで、高温ラミネートが可能でこれによるラミネートの生産性も上げられる等の本発明の特徴を活かして各種利点が得られる点では、金属板等は好ましい基板の一例である。該金属板としては、例えば、軟鋼板、電鋳鉄箔、ステンレス鋼板、アルミニウム板、ジュラルミン板、銅板等の板材、或いはこれらに亜鉛、錫、鉛、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル等の一種又は二種以上をめっきしたもの等が挙げられる。二種以上のめっきは、例えば、鉄と亜鉛の合金めっき、アルミニウムと亜鉛の合金めっき等がある。この様な金属板の具体例としては、例えば、電気亜鉛めっき鋼板、合金溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、アルミ合金溶融亜鉛めっき鋼板、合金電気めっき鋼板等が挙げられる。これら金属板はの厚みは用途によるが、例えば0.3〜2.0mm程度で、具体例を挙げれば、0.4mm、0.5mm、0.6mm等である。
〔接着剤層〕
横柄エンボス化粧シートを基板に積層することで横柄エンボス化粧板が得られるが、該横柄エンボス化粧シートを基板に積層するには、連続帯状の横柄エンボス化粧シートをラミネートローラで基板に連続的に押し付けながら積層するのが生産性の点で好ましい。この際、基板自体、或いは化粧シート自体の接着性が期待できれば、間に接着剤層を介さずに積層する事も可能であるが、通常は金属板等の基板では接着性は期待できないので、間に接着剤層7を介して積層する〔図2(B)参照〕。また、接着剤層7に用いる接着剤としては、生産性の点で化粧シートの固着が速やかに完了するものが好ましい。この為、高耐熱性の基板への横柄エンボス化粧シートのラミネートは、加熱された基板上に施した接着剤の接着力が基板の熱で活性状態となっているところに、連続帯状の横柄エンボス化粧シートをラミネートローラでラミネートすると同時に冷却し接着固定すると良い。この点で、本発明では、基板の加熱は例えば200℃近く或いはそれ以上が可能である。
以上の様な接着剤層7としては、横柄エンボス化粧シート及び基板に対する密着性が良いものであれば特に制限は無く、生産性等も勘案しながら従来公知の接着剤を適宜採用すれば良い。この様な接着剤のなかでも、ポリエステル系硬化性樹脂は接着剤として好ましい樹脂である。それは、補強基材シートとして好適なポリエステル樹脂シート等に対して良好な密着性が得られる。
なお、ポリエステル系硬化性樹脂としては、例えば、主剤がポリエステル系樹脂で、硬化性にポリイソシアネートを使用した樹脂等が挙げられる。上記ポリエステル系樹脂、及びポリイソシアネートとしては、前述接着剤層5で列記した様な化合物等が挙げられる。
〔その他〕
本発明では、上記した層以外に、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、適宜その他の層等の構成要素を追加しても良い。これらは化粧シートとして従来公知のものを適宜採用すれば良い。例えば、化粧材乃至は化粧シートの最表面層としての表面保護層、層間密着性強化の為のプライマー層、或いは易接着表面処理、凹陥模様の溝内部を着色する所謂ワイピング処理、等である。
例えば、表面保護層は、横柄エンボス化粧シートの段階に於いて設けたり、或いは横柄エンボス化粧シートを基板に積層後に設けたりすることができる。また、横柄エンボス化粧シートに於いては、表面保護層のエンボス加工適性を吟味すれば、エンボス加工による凹陥模様賦形前に設けることもできる。なお、表面保護層としては、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂、電子線硬化性アクリル樹脂等の電離放射線硬化性樹脂等が挙げられる。
〔用途〕
本発明による横柄エンボス化粧シート、ひいては横柄エンボス化粧板の用途は、特に制限されるものではない。例えば、壁面、間仕切り、床、天井等の建築物の内外装材、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装材、扉、手摺、敷居、鴨居等の建具、電気製品等のキャビネット等である。
以下、実施例により本発明を更に詳述する。
〔実施例1〕
先ず、図3の断面図に示す様な連続帯状の横柄エンボス化粧シート10を次の様にして作製した。エンボス受容シート2はシートが2層からなる多層構成である。すなわち、裏側の裏面シート2Aとする着色剤添加で着色不透明化した厚み80μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシート(溶融温度165℃であり、200℃に於ける引張弾性率Eは測定(定義)不能)の表側とする面に、バインダー樹脂がアクリル樹脂系で着色剤を含むインキをグラビア印刷して化粧シート幅方向が木目方向となる横柄の木目模様を装飾層6として印刷して印刷シートを作製した。
一方、表側の表面シート2Bとする無色透明で厚み80μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシートの裏側とする面に、ポリエステルポリオール100質量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤10質量部を用いた2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を固形分塗布量10g/m2塗工した後、この接着剤面と前記印刷シートの装飾層面が接する様な向きで該印刷シートとドライラミネートして積層して、両シート2A、2B間に接着剤層8を有する積層シートを得た。
次いで、補強基材シート3として、厚み25μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートシートの片面に、主剤ポリエステルポリオール100質量部に対し硬化剤ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤10質量部を配合したポリエステル系硬化性樹脂からなる接着剤を固形分塗布量10g/m2で塗工し、これによる接着剤層5の面に、上記積層シートの裏面側(裏面シート2A側)が向く様に、ドライラミネートして積層した後、40℃で3日間養生して接着剤の硬化を進めて、補強積層シートを得た。
次いで、この補強積層シートの表面シート2Bの面に、熱圧利用のエンボス加工で、横柄の木目導管溝(溝方向は化粧シート幅方向からの角度θが実質的に0°)を表現した図5(A)の如き平面視の凹陥模様1を賦形して、装飾層で装飾処理されたエンボス受容シート2を有する、所望の連続帯状の横柄エンボス化粧シート10を作製した。
なお、上記凹陥模様は、実質的に全ての柄の部分に於いて、溝の走る方向が化粧シート幅方向からの角度θが0°乃至は略0°の横柄となる木目導管溝であり、その溝の深さは70μm、溝の幅は150μm、一本の溝の長さは平均して10mmの凹陥模様である。
また、エンボス加工条件は、シート加熱用のドラム加熱温度130℃。予熱ロール120℃、エンボスロール温度65℃、エンボス圧2.5MPa〔25kgf/cm2〕、処理速度20m/minとした。
次に、上記の連続帯状の横柄エンボス化粧シート10を、厚み0.6mmの電気亜鉛めっき系鋼板からなる基板4に表面ゴム製のラミネートローラで積層した後、枚葉の基板に合せて流れ方向前後で切断して、図1(B)の様な横柄エンボス化粧板20を作製した。横柄エンボス化粧シートの積層は、基板3上に、主剤ポリエステルポリオール100質量部に対し硬化剤ヘキサメチレンジイソシアネート系硬化剤10質量部を配合したポリエステル系硬化性樹脂からなる接着剤を固形分塗布量10g/m2となる様に塗工し、これによる接着剤層7を間に介する形で積層した。
なお、ラミネートは、基板予熱温度200℃で、横柄エンボス化粧シートのテンションは98N/m(10kgf/m)、ラミネート速度は50m/minとした。
〔実施例2〕
実施例1に於いて、補強基材シートをポリエチレンテレフタレート繊維からなる坪量100g/m2の不織布に代えた他は、実施例1と同様にして、横柄エンボス化粧シート、及び横柄エンボス化粧板を作製した。
〔実施例3〕
実施例1に於いて、エンボス受容シートを次の塩化ビニル樹脂系シートに代えた他は、実施例1と同様にして、横柄エンボス化粧シート、及び横柄エンボス化粧板を作製した。すなわち、該塩化ビニル樹脂系シート(溶融温度160℃であり、200℃に於ける引張弾性率Eは測定(定義)不能)は、裏面シート2Aとして可塑剤(ジオクチルフタレート)30phr含有で着色隠蔽性の厚み80μmの塩化ビニル樹脂シートを用い、表面シート2Bとして可塑剤(ジオクチルフタレート)30phr含有で無着色透明の厚み80μmの塩化ビニル樹脂シートを用い、装飾層6のインキはバインダー樹脂が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1:1質量比混合樹脂で着色剤を含むインキを用いた。
〔実施例4〕
実施例3に於いて、補強基材シートをポリエチレンテレフタレート繊維からなる坪量100g/m2の不織布に代えた他は、実施例3と同様にして、横柄エンボス化粧シート、及び横柄エンボス化粧板を作製した。
〔比較例1〕
実施例1に於いて、補強基材シートの積層を省略し、エンボス受容シートのみのシートを横柄エンボス化粧シートとし、この化粧シートで横柄エンボス化粧板の作製を試みた。
〔比較例2〕
実施例3に於いて、補強基材シートの積層を省略し、エンボス受容シートのみのシートを横柄エンボス化粧シートとし、この化粧シートで横柄エンボス化粧板の作製を試みた。
〔比較例3〕
実施例1に於いて、その補強基材シートの代わりに、エンボス受容シートの裏面シートと同じ材質の厚み100μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシートを用いた他は、実施例1と同様にして横柄エンボス化粧シートを作製し、この化粧シートで横柄エンボス化粧板の作製を試みた。
〔比較例4〕
実施例3に於いて、その補強基材シートの代わりに、実施例1のエンボス受容シートの裏面シートと同じ材質の厚み100μmのポリプロピレン系熱可塑性エラストマーシート(溶融温度165℃であり、200℃に於ける引張弾性率Eは測定(定義)不能)を用いた他は、実施例1と同様にして横柄エンボス化粧シートを作製し、この化粧シートで横柄エンボス化粧板の作製を試みた。
〔性能評価〕
各実施例及び比較例に於いて、横柄エンボス化粧シートを基板にラミネートして横柄エンボス化粧板作製時の、該化粧シートの伸びによる不具合発生有無で評価した(表1参照)。その結果、各実施例は、化粧シートの破断、目視で判別出来る歪みも無くラミネートでき良好であったが、各比較例は化粧シートの破断、歪みが発生し綺麗にラミネートできず不良であった。その為、各比較例では、凹陥模様の伸び、変形も不良となった。これに対して、各実施例では、凹陥模様の伸び、変形は意匠品質を損なう程にはならず良好となった。
Figure 2005335336
本発明の横柄エンボス化粧シートと横柄エンボス化粧板の一形態を例示する斜視図。 本発明の横柄エンボス化粧シートと横柄エンボス化粧板の一形態を例示する断面図。 本発明の横柄エンボス化粧シートの一形態を例示する断面図。 横柄の定義を説明する説明図。 横柄に該当する各種模様を例示する平面図。
符号の説明
1 凹陥模様
2 エンボス受容シート
3 補強基材シート
4 基板
5 接着剤層
6 装飾層
7 接着剤層
8 接着剤層
10 横柄エンボス化粧シート
20 横柄エンボス化粧板
MD 化粧シート流れ方向
TD 化粧シート幅方向
θ 凹陥模様の化粧シート幅方向からの角度〔°〕

Claims (5)

  1. 表面にエンボス加工による凹陥模様が賦形されたエンボス受容シートの裏面側に補強基材シートが積層された連続帯状のエンボス化粧シートであって、
    前記凹陥模様の柄が、化粧シート幅方向からの角度が−45°〜+45°となる横柄を含み、且つ補強基材シートの200℃に於ける引張弾性率Eを10MPa以上とした、横柄エンボス化粧シート。
  2. 補強基材シートとエンボス受容シートとが、接着剤層を介して積層されている、請求項1記載の横柄エンボス化粧シート。
  3. 接着剤層がポリエステル系硬化性樹脂からなる請求項2記載の横柄エンボス化粧シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の横柄エンボス化粧シートが、その補強基材シート側の面で基板に積層した横柄エンボス化粧板。
  5. 基板が金属板である請求項4記載の横柄エンボス化粧板。
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