JP4466655B2 - 弾性境界波装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば共振子や帯域フィルタなどに用いられる弾性境界波装置に関し、より詳細には、異なる材料からなる第1,第2の媒質間にIDTが配置されている弾性境界波装置に関する。
弾性境界波装置は、異なる媒質間の界面にIDT(インターデジタル電極)を配置した構造を有する。弾性境界波装置では、上記異なる媒質を積層してなる積層体内を弾性境界波が伝搬する。従って、弾性境界波装置では、複雑なパッケージ構造を省略することができ、弾性表面波装置と比べて、構造の簡略化及び低背化を進めることができる。
弾性境界波装置において、動作周波数を高くした場合には、IDTの周期が小さくなる。そのため、IDTや反射器を構成する電極指の幅が小さくなり、電極指の導体抵抗が増大し、損失が増すことになる。
他方、弾性境界波装置では、上記界面の上下の媒質を伝搬する横波の音速よりも、弾性境界波の音速を低くすることにより、弾性境界波を上下の媒質間に閉じ込め、伝搬損失を低減することができる。
このような閉じ込め効果を高めるには、密度の高い金属によりIDTを形成することが有効である。従来、下記の特許文献1に記載のように、弾性境界波装置のIDTは、Alにより形成されていることが多かった。これに対して、下記の特許文献2に記載の弾性境界波装置では、IDT材料としてAlの他AuやAgが示されている。
特開昭58−30217号公報 DE4132309A1
弾性境界波装置において弾性境界波を励振するIDTの動作周波数Fiは弾性境界波の音速をV、IDTの周期をλiとした場合、Fi=V/λi…(式〔a〕)で表わされる。式(a)から明らかなように、弾性境界波装置の動作周波数Fiが高くなると、IDTの周期λiを短くする必要がある。従って、IDTや反射器を構成している電極指の幅が細くなり、導体抵抗が大きくなり、損失が増大するという問題があった。特に、密度が大きい導体により電極指を構成した場合、電極指の厚みが薄い条件下では伝搬損失を0に近づけることはできるものの、電極指の厚みが薄くなるので、導体抵抗がさらに大きくなるという問題があった。
また、従来、弾性境界波装置のIDTをAuにより形成した場合には、十分大きな電気機械結合係数K2が得られず、かつ遅延時間温度係数(TCD)を十分に小さくすることができなかった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、動作周波数を高めた場合であっても、弾性境界波を効果的に閉じ込めることができ、かつ遅延時間温度係数TCDが十分小さくされている弾性境界波装置を提供することにある。
第1の発明によれば、弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数が正である第1の媒質と、弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数が負である第2の媒質と、前記第1,第2の媒質間に配置されており、複数の導体層を積層してなるIDTとを備える弾性境界波装置であって、前記第1,第2の媒質が積層されている方向が前記IDTの厚み方向であり、該IDTを厚み方向に2等分した面を境界面とし、該境界面から第1の媒質側に存在する弾性境界波のエネルギーをE1、前記境界面から第2の媒質側に存在するエネルギーをE2とし、前記IDTを構成したときの弾性境界波の音速と、前記IDTを構成する最も密度の大きな導体のみを用いてIDTを構成したときの弾性境界波の音速とが同一となるように、前記最も密度の大きな導体層のみでIDTを構成した条件において弾性境界波のエネルギーが前記境界面から第1の媒質側に存在する弾性境界波のエネルギーをE1′、前記境界面から第2の媒質側に存在するエネルギーをE2′としたときに、E1/E2<E1′/E2′とされていることを特徴とする、弾性境界波装置が提供される。
第1の発明のある特定の局面では、前記IDTが、密度が7000〜22000kg/m3の範囲にある金属からなる第1の導体層と、密度が1740kg/m3以上、11000kg/m3より小さい金属からなる第2の導体層とを含む積層構造を有し、第1の導体層の密度をρ1、第2の導体層の密度をρ2としたときに、ρ1/ρ2>1.8とされており、前記IDTの前記第2の媒質側に配置される導体層が、前記第1の導体層により構成されている。
第1の発明の他の特定の局面では、前記第の導体層の厚みをH、前記IDTの電極指周期をλとしたときに、0.034λ<H<0.5λとされている。
第1の発明のさらに他の特定の局面では、前記IDTが前記第1の媒質に接する部分及び/または第2の媒質に接する部分に密着層が設けられている。
第2の発明によれば、弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数が正である第1の媒質と、弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数が負である第2の媒質と、前記第1,第2の媒質間に配置されたIDTとを備える弾性境界波装置であって、前記IDTが、密度が7000〜22000kg/mの範囲にある金属からなる第1の導体層と、密度が1740kg/m以上、11000kg/mより小さい金属からなる第2の導体層とを含む積層構造を有し、第1の導体層の密度をρ1、第2の導体層の密度をρ2としたときに、ρ1/ρ2>1.8とされており、前記IDTの前記第2の媒質側に配置される導体層が、前記第1の導体層であり、前記第の導体層の厚みをH、IDTの電極指ピッチをλとしたときに、0.034λ<H<0.5λとされていることを特徴とする、弾性境界波装置が提供される。
第2の発明のさらに他の特定の局面では、前記IDTが第1の媒質に接する部分及び/または第2の媒質に接する部分に密着層が設けられている。
第1,第2の発明(本発明と総称する)のある特定の局面では、前記第1の媒質が、LiTaO3、LiNbO3、水晶、PZT、LBO、ランガサイト、ランガナイト、及びガラスからなる群から選択された1種により構成されている。
本発明に係る弾性境界波装置の他の特定の局面では、前記第2の媒質が、SiO2、水晶、LBO、ランガサイト、ランガナイト、及びガラスからなる群から選択された少なくとも1種により構成されており、かつ第1の媒質の材質とは異なる材料からなる。
本発明のさらに他の特定の局面では、前記第1の導体層を構成している金属が、Pt、Au、Cu、Ag、Ni、Fe、W、Ta、Cr並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択された1種であり、前記第2の導体層を構成している金属が、Mg、Al、Ti並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属である。
本発明に係る弾性境界波装置のさらに別の特定の局面では、前記第1の導体層を構成している金属がAuであり、前記第2の導体層を構成している金属がAl、Mg、Ti、Cr、Ni、Cu、Ag並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属である。
また、本発明に係る弾性境界波装置のさらに他の特定の局面では、前記第1の導体層を構成している金属がCuであり、前記第2の導体層を構成している金属がAl、Mg、Ti並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属である。
また、上記第1の導体層及び第2の導体層を構成している金属が、上記のような1種の金属からなる場合、好ましくは、IDTの膜厚は0.3λ以下とされる。
本発明に係る弾性境界波装置のさらに別の特定の局面では、前記IDTと同じ電極材料で構成されており、かつ前記第1,第2の媒質間に配置されている反射器がさらに備えられている。
(発明の効果)
本願の第1の発明では、弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数TCDが正である第1の媒質と、TCDが負である第2の媒質との間に、複数の導体層を用いて形成されたIDTが配置されており、E1/E2<E1′/E2′とされているので、弾性境界波のエネルギーが第1の媒質側に比べて第2の媒質側において相対的に高いものの、第2の媒質における遅延時間温度係数TCDが負であるため、例えば密度の大きな導体層を第2の媒質側に配置することにより、TCDを十分に小さくすることができる。
すなわち、IDTが第1,第2の導体層を含む積層構造を有する場合、相対的に密度が大きな金属からなる第1の金属層を第2の媒質側に配置することにより、十分にTCDが小さくされている弾性境界波装置を容易に提供することができる。
第1の発明において、IDTが、密度が7000〜22000kg/m3の範囲にある金属からなる第1の導体層と、密度が1740kg/m3以上、11000kg/m3より小さい金属からなる第2の導体層とを含む積層構造を有し、第1の導体層の密度をρ1、第2の導体層の密度をρ2としたときに、ρ1/ρ2>1.8とされており、IDTにおいて、第2の媒質側に配置される導体層が第1の導体層により構成されている場合には、密度の大きな導体層が第2の媒質側に配置される。従って、TCDを効果的に小さくすることができる。
第1の発明において、第2の導体層の厚みHが0.034λ<H<0.5λの場合には、TCDをより一層小さくすることができる。
上記IDTは、第1の媒質に接する部分及び/または第2の媒質に接する部分に密着層が設けられている場合には、IDTと第1及び/または第2の媒質との密着性を効果的に高めることができる。
第2の発明では、TCDが正である第1の媒質と、負である第2の媒質との間にIDTが配置されており、IDTが上記第1,第2の導体層を含む積層構造を有し、第1の導体層が第2の媒質側に配置されているため、TCDを十分に小さくすることが可能となる。しかも、第2の導体層の厚みHが0.034λ<H<0.5λとされているため、TCDをより一層小さくすることができる。
上記IDTは、第1の媒質に接する部分及び/または第2の媒質に接する部分に密着層が設けられている場合には、IDTと第1及び/または第2の媒質との密着性を効果的に高めることができる。
第1の媒質が、LiTaO3、LiNbO3、水晶、PZT、LBO、ランガサイト、ランガナイト、及びガラスからなる群から選択された1種により構成されている場合には、いずれもTCDが正となる条件が存在し、TCDが負となる媒質を第2の媒質に適用することにより、弾性境界波装置全体のTCDを小さくすることができる。
第2の媒質が、SiO2、水晶、LBO、ランガサイト、ランガナイト、及びガラスからなる群から選択された少なくとも1種により構成されており、かつ媒質の材質とは異なっている材料からなる場合には、いずれもTCDが負となる条件が存在し、TCDが正となる媒質を第1の媒質に適用することにより、弾性境界波装置全体のTCDを小さくすることができる。本発明により第2の媒質に分布する弾性境界波の振動エネルギーを大きくすることでTCDをより小さくすることができる。
本発明において、第1,第2の導体層を構成する金属は特に限定されないが、例えば、第1の導体層を構成している金属が、Pt、Au、Cu、Ag、Ni、Fe、W、Ta及びCr並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択された1種であり、第2の導体層を構成している金属が、Mg、Al、Ti、Cr、Ni、Cu及びAg並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属である場合には、汎用されているこれらの金属を用いて第1,第2の導体層を容易に形成することができる。
なお、第1の導体層を構成している金属がAuである場合には、第2の導体層を構成している金属がAl、Mg、Ti、Cr、Ni、Cu及びAg並びにこれらを主体とする合金からなる群からなる1種の金属である場合、周波数温度係数TCDの絶対値が10ppm/℃以下のように小さい、良好な特性を容易に実現することができる。
他方、第1の導体層を構成している金属がCuである場合には、第2の導体層を構成している金属として、Al、Mg及びTi並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属を用いることにより、ρ1/ρ2>1.8とすることができ、それによって、TCDの絶対値を小さくすることができ、好ましい。
第1の導体層が上記のようにAuやCuで構成されている場合、好ましくは、IDTの膜厚は0.3λ以下とされ、その場合には、TCDの絶対値を10ppm/℃以下とすることが容易となる。
本発明において、IDTと同じ電極材料で構成されており、かつ第1,第2の媒質間に配置されている反射器がさらに備えられている場合には、本発明に従って、反射器を有する弾性境界波共振子や弾性境界波共振子フィルタなどを容易に形成することができる。
本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置を模式的に示す平面断面図。 本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置を模式的に示す正面断面図。 本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置の電極構造を示す模式的部分拡大正面断面図及び他の実施形態に係る弾性境界波装置の電極構造の模式的部分拡大正面断面図。 図1に示した弾性境界波装置において、Auからなる第1の導体層16第2の媒質側に配置し、その厚みを固定し、第1の媒質側に配置されたAl圧を変化させた場合の弾性境界波の音速Vmの変化を示す図。 図1に示した弾性境界波装置において、Auからなる第1の導体層16第2の媒質側に配置し、その厚みを固定し、第1の媒質側に配置されたAl圧を変化させた場合の弾性境界波の電気機械結合係数K2の変化を示す図。 図1に示した弾性境界波装置において、Auからなる第1の導体層16第2の媒質側に配置し、その厚みを固定し、第1の媒質側に配置されたAl圧を変化させた場合の弾性境界波の遅延時間温度係数TCDの変化を示す図。 図1に示した弾性境界波装置において、Alからなる第1の導体層16第2の媒質側に配置し、その厚みを固定し、第1の媒質側に配置されたAu圧を変化させた場合の弾性境界波の音速Vmの変化を示す図。 図1に示した弾性境界波装置において、Alからなる第1の導体層16第2の媒質側に配置し、その厚みを固定し、第1の媒質側に配置されたAu圧を変化させた場合の弾性境界波の電気機械結合係数K2の変化を示す図。 図1に示した弾性境界波装置において、Alからなる第1の導体層16第2の媒質側に配置し、その厚みを固定し、第1の媒質側に配置されたAu圧を変化させた場合の弾性境界波の遅延時間温度係数TCDの変化を示す図。 IDTがAuのみからなる場合比較のための弾性境界波装置における弾性境界波の変位分布を模式的に示す図。 Alからなる第1の導体層が第1の媒質であるLiNbO3側に、第2の導体層AuがSiO2側に配置された実施形態の弾性境界波装置における弾性境界波の変位分布を示す図。 第1の導体層がAl、第2の導体層が0.05λの厚みのAuからなる場合に、Alの膜厚を変化させた場合のTCDの変化を示す図。 第1の導体層がCu、第2の導体層が0.05λの厚みのCuからなる場合に、Cuの膜厚を変化させた場合のTCDの変化を示す図。 第1の導体層がAg、第2の導体層が0.05λの厚みのAgかさなる場合に、Agの膜厚を変化させた場合のTCDの変化を示す図。 第1の導体層がAlからなり、第2の導体層が厚み0.1λのCuからなる場合に、Alの規格化膜厚を変化させた場合のTCDの変化を示す図。 第1の導体層がTiからなり、第2の導体層が厚み0.1λのCuからなる場合に、Tiの規格化膜厚を変化させた場合のTCDの変化を示す図。
符号の説明
10…弾性境界波装置
11…第1の媒質
12…第2の媒質
13…IDT
13a,13b…電極指
14,15…反射器
16…第1の導体層
17…第2の導体層
なお、本明細書において媒質や電極材料として用いられる材料の密度、結晶のオイラー角及び結晶軸の詳細は以下の通りである。
密度
SiO2の密度は2210kg/m3、横波の音響特性インピーダンスは8.3×106kg・s/m2であり、Alの密度は2699kg/m3、横波の音響特性インピーダンスは8.4×106kg・s/m2であり、Cuの密度は8939kg/m3、横波の音響特性インピーダンスは21.4×106kg・s/m2であり、Agの密度は10500kg/m3、横波の音響特性インピーダンスは18.6×106kg・s/m2であり、Auの密度は19300kg/m3、横波の音響特性インピーダンスは24.0×106kg・s/m2である。
オイラー角
本明細書において、基板の切断面と、境界波の鉄板方向を表現するオイラー角(φ,θ,ψ)は、文献「弾性波素子技術ハンドブック」(日本学術振興会弾性波素子技術第150委員会、第1版第1刷、平成3年11月30日発行、549頁)記載の右手系オイラー角を用いた。すなわち、LNの結晶軸としてX、Y、Zに対し、Z軸を軸としてX軸を反時計廻りにφ回転しXa軸を得る。次に、Xa軸を軸としてZ軸を反時計廻りにθ回転しZ´軸を得る。Xa軸を含み、Z´軸を法線とする面を基板の切断面とした。そして、Z´軸を軸としてXa軸を反時計廻りにψ回転した軸X´方向を境界波の伝搬方向とした。
結晶軸
また、オイラー角の初期値として与えるLiNbO3の結晶軸X、Y、Zは、Z軸をc軸と平行とし、X軸を等価な3方向のa軸のうち任意の一つと平行とし、Y軸はX軸とZ軸を含む面の法線方向とする。
等価なオイラー角
なお、本発明におけるLiNbO3のオイラー角(φ,θ,ψ)は結晶学的に等価であればよい。例えば、文献(日本音響学会誌36巻3号、1980年、140〜145頁)によれば、LiNbO3は三方晶系3m点群に属する結晶であるので、〔4〕式が成り立つ。
F(φ,θ,ψ)=F(60°−φ,−θ,ψ)
=F(60°+φ,−θ,180°−ψ)
=F(φ,180°+θ,180°−ψ)
=F(φ,θ,180°+ψ) 〔4〕
ここで、Fは、電気機械結合係数ks 2、伝搬損失、TCF、PFA、ナチュラル一方向性などの任意の境界波特性である。PFAのナチュラル一方向性は、例えば伝搬方向を正負反転してみた場合、符号は変わるものの絶対量は等しいので実用上等価であると考える。なお、この文献は表面波に関するものであるが、境界波に関しても結晶の対称性は同様に扱える。
例えば、オイラー角(30°,θ,ψ)の境界波伝搬特性は、オイラー角(90°,180°−θ,180°−ψ)の境界波伝搬特性と等価である。また、例えば、オイラー角(30°,90°,45°)の境界波伝搬特性は、表に示すオイラー角の境界波伝搬特性と等価である。
また、本発明において計算に用いた導体の材料定数は多結晶体の値であるが、エピタキシャル膜などの結晶体においても、膜自体の結晶方位依存性より基板の結晶方位依存性が境界波特性に対して支配的であるので、〔4〕式により、実用上問題ない程度に同等の境界波伝搬特性が得られる。
Figure 0004466655
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置を模式的に示す平面断面図及び正面断面図である。
弾性境界波装置10は、第1の媒質11と、第2の媒質12とを積層した積層体を用いて構成されている。第1の媒質11は、本実施形態では、圧電体としての15°YカットX伝搬(オイラー角で(0°,105°,0°))のLiNbO3板により構成されている。
第2の媒質12は、本実施形態では、非導電物質としてのSiO2により構成されている。
第1,第2の媒質11,12間の界面に、IDT13及び反射器14,15が配置されている。IDT13は、複数本の電極指13aと複数本の電極指13bとが互いに間挿し合うように配置されている構造を有する。複数本の電極指13aが、一方のバスバーに、複数本の電極指13bが他方のバスバーに電気的に接続されている。
IDT13及び反射器14,15は、本実施形態では、密度が相対的に大きいAuからなる第1の導体層と、密度が相対的に低いAlからなる第2の導体層とを含む積層構造を有する。
図3は、上記電極指13a,13bの横断面構造を説明するための模式的拡大断面図である。電極指13a,13bは、第1,第2の導体層16,17を積層した構造を有する。第1の導体層16がAuからなり、非導電物質からなる第2の媒質12側に配置されており、第2の導体層17が、Alからなり、圧電体としての第1の媒質11側に配置されている。
なお、反射器14,15も、IDT13と同じ電極構造を有する。すなわち、反射器14,15もまた、第1,第2の導体層16,17を積層した構造を有する。
本実施形態の弾性境界波装置10では、第1,第2の媒質11,12が上記のように形成されており、IDT13及び反射器14,15が上記電極構造を有し、IDT13を厚み方向に2等分した面を境界面としたとき、該境界面から第1の媒質11側に存在する弾性境界波のエネルギーをE1、境界面から第2の媒質側に存在する弾性境界波のエネルギーをE2とし、上記IDT13を構成したときの弾性境界波の音速と、IDT13を構成する最も密度の大きな導体層である第1の導体層を構成するAuのみを用いてIDT13を構成したときの弾性境界波の音速とが同一となるように、単一の導体としてのAuでIDTを構成した条件において、弾性境界波のエネルギーが上記境界面から第1の媒質側に存在する弾性境界波のエネルギーをE1′、境界面から第2の媒質12側に存在するエネルギーをE2′としたときに、E1/E2<E1′/E2′とされている。それによって、弾性境界波装置10では、装置全体のTCDを小さくすることができる。これを、具体的に説明する。
図3に模式的に示すように、Alからなる第2の導体層17を圧電体である第1の媒質11側に、Auからなる第1の導体層16を、第2の媒質であるSiO2側に配置し、導体層の厚みと、弾性境界波の音速、電気機械結合係数K2及び遅延時間温度係数TCDとの関係を求めた。なお、条件は、以下の通りである。
積層構造:SiO2/IDT/LiNbO3
LiNbO3については、15°YカットX伝搬のLiNbO3基板を用いた。
IDT:第1の導体層16を構成しているAuの厚みは0.05λまたは可変とした。Alからなる第2の導体層17の厚みは0.1λまたは可変とした。
第1,第2の媒質11,12の厚みは無限大とした。
なお、これらを求めるにあたっては、文献「A method for estimating optimal cuts and propagation directions for
excitation and propagation directions for excitation of piezoelectric surface
waves 」(J.J.Campbell and W.R.Jones,IEEE Trans. Sonics and Ultrason.,
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2=2×│Vf−V│/Vf …式(1)
遅延時間温度係数TCDは、20℃、25℃及び30℃における位相速度Vに基づき、下記の式(2)により求めた。
TCD=(V〔20℃〕−V〔30℃〕)/V〔25℃〕/10+αs
…式(2)
但し、式(2)において、αsは境界波伝搬方向における第1の媒質11の線膨張係数である。
図4〜図6は、第1の導体層16、すなわち、Auの厚みを0.05λに固定し、第2の導体層17を構成しているAlの厚みを変化させた場合のAl厚(λ)と、音速、電気機械結合係数K2及び遅延時間温度係数TCDとの関係を示し、図7〜図9は、第2の導体層17を構成しているAlの厚みを0.1λに固定し、第1の導体層16を構成しているAu厚を変化させた場合のAu厚(λ)と、弾性境界波の音速、電気機械結合係数K2及び遅延時間温度係数TCDとの関係を示す。
図4〜図6において、Al厚=0が、Auのみからなる電極を用いた場合の特性に相当する。図6から明らかなように、Alからなる第2の導体層17を、LiNbO3からなる第1の媒質11と、Auからなる第1の導体層16との間に配置することにより、すなわち、Alの厚みを0よりも大きくすることにより、遅延時間温度係数TCDを調整し得ることがわかる。
言い換えれば、IDT13の厚み方向を2等分した面を境界面としたときに、第1の媒質11側に存在する弾性境界波のエネルギーをE1、第2の媒質12側に存在するエネルギーをE2とし、上記IDT13を構成したときの弾性境界波の音速と、IDT13を構成する最も密度の大きな導体層である第1の導体層を構成するAuのみを用いてIDT13を構成したときの弾性境界波の音速とが同一となるように、単一の導体としてのAuでIDTを構成した条件において、弾性境界波のエネルギーが上記境界面から第1の媒質側に存在する弾性境界波のエネルギーをE1′、境界面から第2の媒質12側に存在するエネルギーをE2′としたときに、E1/E2<E1′/E2′とされており、それによって、遅延時間温度係数TCDを小さくすることができることがわかる。
より具体的には、Alからなる第2の導体層17の厚みをHとしたときに、0.034λ<Hでは、TCDが±20ppm/℃の範囲となり好ましいことがわかる。より好ましくは、0.064λ<H<0.2λとすることにより、TCDを±10ppm/℃範囲にでき、さらに好ましくは、0.083λ<H<0.144λとすることにより、±5ppm/℃の範囲内とすることができ、特に、0.118λ付近とすることにより、TCDをほぼ0とすることができる。
なお、Al厚の上限は、フォトリソグラフィー法による場合、アスペクト比を考慮した限界値から0.5λ程度である。
また、図9から明らかなように、Auからなる第1の導体層16の厚みを変化させたとしても、TCDはさほど変化しないことがわかる。
図10は、Au厚=0.05λ、Al厚=0の場合の弾性境界波(U1=縦波成分、U2=SH波成分、U3=SV波成分、なおU1〜U3は弾性境界波を構成する部分波成分である。)の変位分布を模式的に示す図であり、図11は、Au厚=0.05λ、Al厚=0.1λとした場合の弾性境界波装置の弾性境界波(U1=縦波成分、U2=SH波成分、U3=SV波成分、なおU1〜U3は弾性境界波を構成する部分波成分である。)の変位分布を示す図である。図10において、第1の媒質11の密度は4640kg/m3、第2の媒質12の密度は2210kg/m3である。図10では、IDTは複数の導体を積層した構造を有せず、単一の導体により構成されている。ここで、弾性境界波のエネルギーは、振幅をU、IDTの密度をρとしたときに、ρU2に比例する。従って、E1
′/E2′は約1.1となる。他方、図11から、E1/E2を求めると、E1/E2は約0.5となる。すなわち、上記実施形態では、E1/E2<E1′/E2′とされていることがわかる。
図11から明らかなように、第2の媒質12側に、Auからなる密度の大きな第1の導体層16が配置されているので、振動エネルギーの分布中心は、第2の媒質12側に存在することがわかる。そのため、圧電体からなる第1の媒質11が、正のTCDを有し、SiO2は、負のTCDにより強く打ち消すことができ、弾性境界波装置全体のTCDを効果的に小さくし得ることがわかる。
なお、本発明は、上述した弾性境界波共振子としての弾性境界波装置10に限定されず、様々な構造の共振子やフィルタにも適用することができる。すなわち、例えばラダー型フィルタ、縦結合共振器型フィルタ、横結合共振器型フィルタ、トランスバーサル型フィルタ、弾性境界波光スイッチまたは弾性境界波光フィルタなどの様々な弾性境界波を用いたフィルタやスイッチ等にも広く用いることができる。
また、電極材料については、AuやAlに限らず、Pt、Ag、Cu、Ni、Ti、Fe、W、Taなどの他の導電性材料を用いてもよく、またこれらの導電性材料を主体とする合金を用いてもよい。
もっとも、IDTを第1の導体層と第2の導体層とを含む積層構造を有するように構成する場合、第1の導体層の密度は、Auのように7000〜22000kg/m3の範囲にある相対的に密度が高い金属を用いて構成され、第2の導体層は、Alのように、密度が1740kg/m3以上、11000kg/m3より小さい、相対的に低密度の金属により構成される。このような第1,第2の導体層を構成している金属の密度の要件、並びに第1,第2の導体層の密度比ρ1/ρ2>1.8の要件を満たす限り、第1,第2の導体層を有する積層構造における各導体層を構成する金属は限定されるものではない。
このような第1,第2の導体層を構成している金属としては、例えば第1の導体層を構成している金属として、Pt、Au、Cu、Ag、Ni、Fe、W、Ta及びCr並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択された1種と、第2の導体層を構成している金属として、Mg、Al、Ti、Cr、Ni、Cu及びAg並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属を用いた組み合わせが挙げられる。
また、上記のような条件を満たす組み合わせとして、第1の導体層を構成している金属がAuからなる場合には、第2の導体層を構成している金属として、Al、Mg、Ti、Cr、Ni、Cu及びAg並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属を用いる組み合わせが挙げられる。さらに、第1の導体層を構成している金属がCuである場合には、第2の導体層を構成している金属として、Al、Mg及びTi並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属を用いる組み合わせが挙げられる。第1の導体層を構成している金属がAuである上記の組み合わせの場合、及び第1の導体層を構成している金属がCuである場合の上記の組み合わせにおいては、好ましくは、IDTの膜厚が0.3λ以下とされ、それによって、TCDの絶対値を10ppm/℃以下と小さくすることができる。
図12〜図14は、第1,第2の導体層の構成が以下のように設定されていることを除いては、図4〜図6に示した結果を得た場合の弾性境界波装置と同様にして弾性境界波装置を作製した場合のIDTを構成している第2の導体層の膜厚によるTCDの変化を示す図である。
すなわち、図12〜図14では、第1の導体層が膜厚0.05λのAuからなり、第2の導体層がAlからなり、該Alの規格化膜厚を変化させた場合のTCDの変化を示す。
他方、図13及び図14は、それぞれ、上層の第2の導体層をCu及びAgにより形成した場合に、Cu膜及びAg膜の膜厚を変化させた場合のTCDの変化を示す図である。図13及び図14においても、Auからなる第1の導体層の膜厚は0.05λである。
また、図12〜図14において、縦方向に延びる一点鎖線は、第2の導体層を構成しているAl膜、Cu膜及びAg膜がそれぞれ0.25λの厚みの位置を示し、この場合、第1,第2の導体層の合計膜厚は0.3λとなる。
図12〜図14から明らかなように、IDTの膜厚が0.3λ以下の場合には、第2の導体層を構成している金属が、Alから、Cu、Agと順に密度が大きくなるに従って、TCDの絶対値が10ppm/℃以下の範囲となる領域、すなわち第2の導体層の膜厚範囲が減少していることがわかる。この現象が生じるのは、第1,第2の導体層の密度比によるものであり、Au/Agの密度比は1.83である。
なお、TCDの絶対値が10ppm/℃よりも小さい範囲は、一般にTCDが非常に良好な範囲ということができる。従って、10ppm/℃よりもTCDの絶対値が大きいものは必ずしも使用できないわけではなく、要求仕様によっては、上記範囲から外れた特性のものも使用することができる。すなわち、TCDの絶対値が10ppm/℃以下とは、好ましい数値範囲を示すものである。
図15及び図16は、第1の導体層を膜厚0.1λのCuとし、第2の導体層をAlまたはTiとし、Al膜またはTi膜の膜厚を変化させた場合のTCDの変化を示す図である。
なお、図15及び図16の縦方向に延びる一点鎖線は、第2の導体層の膜厚が0.2λの位置を示し、この場合第1,第2の導体層の膜厚の合計は0.3λとなる。
なお、第1の導体層がCuである場合に、その厚みを0.1λとしたのは、Cuの密度は8.93であり、Auの密度=19.3の約1/2であることによる。すなわち、弾性境界波では、電極の重さにより、エネルギー集中度の分布が決定されるので、第1の導体層へのエネルギー集中度を、図12〜図14の場合と同等とするために、図15及び図16では、Cuの規格化膜厚を0.1λとした。
図15及び図16から明らかなように、IDTの膜厚が0.5λ以下や0.3λ以下の場合、第1の導体層がCuからなる場合においても、第2の導体層を構成している金属の密度が大きくなるにつれ、TCDの良好な範囲の得られる領域が減少していることがわかる。この現象が生じるのは、第1の導体層の密度と第2の導体層との密度比ρ1/ρ2によるものであり、Cu/Tiの密度比は、1.98であり、ρ1/ρ2>1.8の条件を満たしている。
さらに、密着性や耐電力性を高めるために、Ti、Cr、NiCr、Ni、ZnOなどの薄層を第1,第2の導体層に積層してもよい。この場合、上記薄層は、第1または第2の導体層と第1または第2の媒質層の間、あるいは第1,第2の導体層間のいずれに配置してもよい。特に、IDTが、第1の媒質に接している部分及び/または第2の媒質に接している部分に上記薄層が密着層として設けられている場合には、IDTの第1及び/または第2の媒質への密着性を効果的に高めることができる。上記薄層は、密着性や拡散防止効果があればよいので、薄層の膜厚は1〜30nmとされる。
また、本発明において、第1,第2の導体層以外に第3の導体層を含む1以上の導体層をさらに積層してもよい。この場合、第3の導体層は、第1,第2の導体層のいずれかと同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。従って、例えば、Al/Au/Alからなる電極構造を用いてもよく、その場合には、電気機械結合係数K2をAuの存在により中程度に大きくでき、遅延時間温度係数TCDをある程度小さくでき、かつ電極指の導体抵抗が小さい弾性境界波装置を得ることができる。
また、第1,第2の媒質11,12が積層されていたが、さらに1以上の他の媒質が積層されていてもよい。また、第1,第2の媒質11,12に他の媒質を積層する場合、第1,第2の媒質間に第3の媒質を配置してもよく、その場合には、相対的に密度も重い電極材料からなる第1の導体層をSiO2などからなるTCDが負の媒質側に配置すれば装置全体のTCDを小さくすることができる。
また、本発明においては、上記第2の媒質の形成に先立ち、逆スパッタ、イオンビームミリング、反応性イオンエッチング、ウェットエッチングなどの様々な方法でIDTを調整して周波数調整を行うことができる。さらに、第2の媒質/第3の媒質/IDT/第1の媒質の積層構造を利用する場合には、第3の媒質の厚みを、上記イオンビームミリングやエッチングなどにより調整することにより、あるいはスパッタリングもしくは蒸着などの堆積法により追加成膜することにより、周波数調整を行うことも可能である。
なお、第1,第2の媒質は様々な材料で構成され得る。このような材料としては、Si、ガラス、SiO2、SiC、ZnO、Ta25、PZT、AlN、Al23、LiTaO3、LiNbO3、KN(ニオブ酸カリウム)などが挙げられる。特に、第1の媒質11として、圧電体を用いる場合には、上記LiNb23以外に、上記のようなZnO、Ta25、PZT、LiTaO3などの様々な圧電材料を用いることができる。
また、第2の媒質12として、誘電体を用いる場合そのような誘電体としては、SiO2に限らず、ガラス、SiC、AlN、Al23などを用いることができる。好ましくは、前述したように、圧電体は通常、正のTCDを示すため、TCDを小さくするには、負のTCDを有する誘電体を第2の媒質12の材料として用いることが望ましい。このような負のTCDを有する誘電体としては、SiO2の他、水晶、LBO(四ホウ酸リチウム)、ランガサイト、ランガナイト、ガラスなどを挙げることができる。
本発明においては、第1,第2の媒質を積層した積層体あるいはさらに第3の媒質を含む積層体の外側に強度を高めるため、あるいは腐食性ガスの侵入を防止するために保護層を形成してもよい。保護層としては、特に限定されず、ポリイミド、エポキシ樹脂、酸化チタン、窒化アルミもしくは酸化アルミなどの無機絶縁材料、Au、AlもしくはWなどの金属など様々な材料からなるものを用いることができる。また、上記保護層を形成した上で、あるいは保護層を形成せずに、弾性境界波装置をパッケージに封入してもよい。

Claims (13)

  1. 弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数が正である第1の媒質と、弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数が負である第2の媒質と、前記第1,第2の媒質間に配置されており、複数の導体層を積層してなるIDTとを備える弾性境界波装置であって、
    前記第1,第2の媒質が積層されている方向が前記IDTの厚み方向であり、該IDTを厚み方向に2等分した面を境界面とし、該境界面から第1の媒質側に存在する弾性境界波のエネルギーをE1、前記境界面から第2の媒質側に存在するエネルギーをE2とし、
    前記IDTを構成したときの弾性境界波の音速と、前記IDTを構成する最も密度の大きな導体のみを用いてIDTを構成したときの弾性境界波の音速とが同一となるように、前記最も密度の大きな導体層のみで単一の金属でIDTを構成した条件において弾性境界波のエネルギーが前記境界面から第1の媒質側に存在する弾性境界波のエネルギーをE1′、前記境界面から第2の媒質側に存在するエネルギーをE2′としたときに、E1/E2<E1′/E2′とされていることを特徴とする、弾性境界波装置。
  2. 前記IDTが、密度が7000〜22000kg/m3の範囲にある金属からなる第1の導体層と、密度が1740kg/m3以上、11000kg/m3より小さい金属からなる第2の導体層とを含む積層構造を有し、
    第1の導体層の密度をρ1、第2の導体層の密度をρ2としたときに、ρ1/ρ2>1.8とされており、
    前記IDTの前記第2の媒質側に配置される導体層が、前記第1の導体層により構成されている、請求項1に記載の弾性境界波装置。
  3. 前記第の導体層の厚みをH、前記IDTの電極指周期をλとしたときに、0.034λ<H<0.5λとされている、請求項2に記載の弾性境界波装置。
  4. 前記IDTが前記第1の媒質に接する部分及び/または第2の媒質に接する部分に密着層が設けられていることを特徴とする、請求項2または3に記載の弾性境界波装置。
  5. 弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数が正である第1の媒質と、弾性境界波伝搬方向における遅延時間温度係数が負である第2の媒質と、前記第1,第2の媒質間に配置されたIDTとを備える弾性境界波装置であって、
    前記IDTが、密度が7000〜22000kg/mの範囲にある金属からなる第1の導体層と、密度が1740kg/m以上、11000kg/mより小さい金属からなる第2の導体層とを含む積層構造を有し、
    第1の導体層の密度をρ1、第2の導体層の密度をρ2としたときに、ρ1/ρ2>1.8とされており、
    前記IDTの前記第2の媒質側に配置される導体層が、前記第1の導体層であり、
    前記第の導体層の厚みをH、IDTの電極指周期をλとしたときに、0.034λ<H<0.5λとされていることを特徴とする、弾性境界波装置。
  6. 前記IDTが前記第1の媒質に接する部分及び/または第2の媒質に接する部分に密着層が設けられていることを特徴とする、請求項5に記載の弾性境界波装置。
  7. 前記第1の媒質が、LiTaO3、LiNbO3、水晶、PZT、LBO、ランガサイト、ランガナイト、及びガラスからなる群から選択された1種により構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の弾性境界波装置。
  8. 前記第2の媒質が、SiO2、水晶、LBO、ランガサイト、ランガナイト、及びガラスからなる群から選択された少なくとも1種により構成されており、かつ第1の媒質の材質とは異なる材料からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の弾性境界波装置。
  9. 前記第1の導体層を構成している金属が、Pt、Au、Cu、Ag、Ni、Fe、W、Ta、Cr並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択された1種であり、
    前記第2の導体層を構成している金属が、Mg、Al、Ti、Cr、Ni、Cu及びAg並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属である、請求項2〜6のいずれか1項に記載の弾性境界波装置。
  10. 前記第1の導体層を構成している金属がAuであり、前記第2の導体層を構成している金属がAl、Mg、Ti、Cr、Ni、Cu及びAg並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属である、請求項2〜9のいずれか1項に記載の弾性境界波装置。
  11. 前記第1の導体層を構成している金属がCuであり、前記第2の導体層を構成している金属がAl、Mg及びTi並びにこれらを主体とする合金からなる群から選択した1種の金属である、請求項2〜9のいずれか1項に記載の弾性境界波装置。
  12. 前記IDTの膜厚が0.3λ以下とされていること特徴とする請求項10もしくは請求項11に記載の弾性境界波装置。
  13. 前記IDTと同じ電極材料で構成されており、かつ前記第1,第2の媒質間に配置されている反射器をさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の弾性境界波装置。
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