JP4715922B2 - 弾性境界波装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば共振子やフィルタとして用いられる弾性境界波装置に関し、より詳細には、第1,第2の媒質間に電極が配置されており、第2の媒質上に、さらに第3及び第4の媒質が積層されている構造を有する弾性境界波装置に関する。
近年、共振子や帯域フィルタとして、パッケージ構造の簡略化を図り得るため、弾性境界波装置が注目されている。
下記の特許文献1には、電気機械結合係数が大きく、伝搬損失及びパワーフロー角が小さく、周波数温度係数TCFが適度な範囲にある弾性境界波装置が開示されている。ここでは、圧電基板からなる第1の媒質と、SiO膜からなる第2の媒質との界面にIDT電極が形成されている。そして、圧電基板として用いる圧電単結晶の方位、IDT電極を構成する材料、膜厚及び電極指ピッチを調整することにより、電気機械結合係数や温度特性を調整し得る旨が記載されている。
他方、下記の特許文献2には、図12に模式的に示す弾性境界波装置101が開示されている。弾性境界波装置101では、YカットX伝搬のLiNbO基板からなる第1の媒質111と、SiO膜からなる第2の媒質112との界面にIDT電極115が配置されている。そして、第2の媒質112上に、多結晶Si層からなる第3の媒質113と、SiO膜からなる第4の媒質114とがこの順序で積層されている。
ここでは、第2の媒質〜第4の媒質112〜114を積層することにより、周波数調整を行うことができるとされている。すなわち、膜厚H1の第1の媒質111と、膜厚H2の第2の媒質112との間に電極115が形成され、さらに膜厚H3の第3の媒質113が積層されて、積層体が得られる。この積層体段階で周波数調整が行われる。そして、第3の媒質113上に、膜厚H4の第4の媒質114が積層される。このようにして得られた弾性境界波装置101では、境界波のエネルギーは、図12の右側に示す通りとなる。すなわち、第4の媒質においては、境界波のエネルギーはごく一部にしか分布しないので、上記積層体段階で周波数調整を行い、周波数ばらつきを著しく小さくすると、第4の媒質114を形成したとしても、周波数ばらつきを小さくすることが可能とされている。
WO2004−070946 WO2005−093949
特許文献1に記載の弾性境界波装置では、圧電基板を構成している圧電単結晶の基板方位、IDT電極の構成が決定されると、周波数温度係数TCFや遅延時間温度係数TCDが自ずと決定されることになる。従って、所望の温度特性を有する弾性境界波装置を得ることは困難であった。
他方、特許文献2に記載の弾性境界波装置では、上記のように、第2〜第4の媒質を積層することにより、製造段階における周波数調整を容易に行うことができ、周波数ばらつきの少ない弾性境界波装置を提供することができる。しかしながら、特許文献2の図10において周波数温度係数TCFが示されているように、上記多結晶Si層からなる第3の媒質層が積層されていることにより、周波数温度係数TCFが劣化するおそれがあった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、複数の媒質を積層してなる弾性境界波装置において、温度による特性変化の小さい弾性境界波装置を提供することにある。
本願の第1の発明によれば、第1の媒質〜第4の媒質がこの順序で積層されており、第1の媒質と第2の媒質との間の界面に電極が配置されている弾性境界波装置において、前記第4の媒質/第2の媒質/電極/第1の媒質を積層してなる構造における弾性境界波または弾性表面波の遅延時間温度係数TCDが正の値であり、前記第4または第2の媒質が正の音速温度係数TCVを有し、前記第1の媒質が負の音速温度係数TCVを有し、前記第3の媒質の横波の音速が、前記第4の媒質及び/または第2の媒質の横波の音速よりも遅くされていることを特徴とする、弾性境界波装置が提供される。
本発明のある特定の局面では、第1の媒質が圧電基板からなり、第2の媒質が酸化ケイ素膜からなり、第3の媒質が酸化タンタル膜または酸化亜鉛膜からなり、第4の媒質が酸化ケイ素膜からなる。この場合、酸化ケイ素膜からなる第2,第4の媒質間に、酸化ケイ素膜よりも横波の音速が遅い酸化タンタル膜または酸化亜鉛膜からなる第3の媒質が配置されることになる。従って、本発明により、横波の音速が第4,第2の媒質の横波の音速よりも遅い第3の媒質が配置されることになるため、遅延時間温度係数TCDの絶対値が小さい、温度特性の良好な弾性境界波装置を確実に提供することができる。
本発明では、好ましくは、電極として、少なくとも1つのIDT電極が形成されている。すなわち、少なくとも1つのIDT電極により、弾性境界波が効率良く励振され、本発明に従って、弾性境界波を利用し、遅延時間温度特性が良好な弾性境界波装置を提供することができる。
(発明の効果)
本発明に係る弾性境界波装置では、第1〜第4の媒質がこの順序で積層されており、第1,第2の媒質間の界面に電極が配置されている構造において、第3の媒質の横波の音速が、第4の媒質及び/または第2の媒質の横波の音速よりも遅くされているので、遅延時間温度特性TCDの絶対値を小さくすることができ、良好な温度特性を有する弾性境界波装置を提供することができる。これは、以下の理由によると考えられる。振動エネルギーは、音速が低い媒質側に集中しやすい傾向がある。従って、第3の媒質における横波の音速が、第4の媒質及び/または第2の媒質の横波の音速よりも遅くされている場合、第3の媒質において、横波の振動エネルギーが強く分布することになるため、それによって、第2,第4の媒質への横波の振動エネルギーの分布も強くなり、弾性境界波の遅延時間温度係数TCDを小さくすることができることによると考えられる
よって、本発明によれば、温度による特性の変化が小さい弾性境界波装置を確実にかつ容易に提供することが可能となる。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置を説明するための略図的正面断面図及び電極構造を示す模式的平面図である。 図2は、実施形態の弾性境界波装置における各媒質層における振動エネルギーの分布状態を説明するための模式図である。 図3は、Taからなる第3の媒質の膜厚を変化させた場合の弾性境界波の音速の変化を示す図である。 図4は、Taからなる第3の媒質の膜厚を変化させた場合の弾性境界波のスプリット反射指標κ12の変化を示す図である。 図5は、Taからなる第3の媒質の膜厚を変化させた場合の弾性境界波の遅延時間温度係数TCDの変化を示す図である。 図6は、Taからなる第3の媒質の膜厚を変化させた場合の弾性境界波の電気機械結合係数Kの変化を示す図である。 図7は、第3の媒質を構成しているTa厚みが0.03λである場合の実施形態の弾性境界波装置の振動エネルギー分布を模式的に示す図である。 図8は、第3の媒質を構成しているTa厚みが0.20λである場合の実施形態の弾性境界波装置の振動エネルギー分布を模式的に示す図である。 図9は、Taからなる第3の媒質の厚みが0.02λ及び0.05λの場合、第3の媒質が積層されていない構造における周波数温度係数TCFを示す図である。 図10は、Taからなる第3の媒質の厚みが0.02λ及び0.05λの場合、第3の媒質が積層されていない構造における共振子の比帯域を示す図である。 図11は、第3の媒質としてのTaの厚みが0.02λ及び0.05λ及び第3の媒質が積層されていない各弾性境界波装置のインピーダンス及び位相周波数特性を示す図である。 図12は、従来の弾性境界波装置の一例を説明するための模式的正面断面図である。
符号の説明
1…弾性境界波装置
11…第1の媒質
12…第2の媒質
13…第3の媒質
14…第4の媒質
15…積層体
16…IDT電極
17,18…反射器
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る弾性境界波装置の模式的正面断面図及び電極構造を示す模式的平面図である。
弾性境界波装置1は、第1の媒質11〜第4の媒質14をこの順序で積層した積層体15を有する。そして、第1の媒質11と第2の媒質12との界面に、図1(b)に示す電極構造が形成されている。すなわち、上記電極構造として、IDT電極16と、IDT電極16の弾性境界波伝搬方向外側に設けられた反射器17,18とを有する。
本実施形態では、第1の媒質11は、15°YカットX伝搬のLiNbO基板からなる。なお、第1の媒質11は、他の結晶方位のLiNbO基板、あるいはLiTaO基板などの他の圧電単結晶基板を用いて構成されてもよい。第1の媒質11は、他の圧電材料、例えば圧電セラミックスにより構成されていてもよく、さらには、絶縁性材料に圧電薄膜を積層した構造により構成されてもよい。
また、第2の媒質12は、本実施形態では酸化ケイ素膜としてのSiO膜により形成されている。本実施形態で、第3の媒質13は、酸化タンタル膜としてのTaからなる。また、第4の媒質14は、酸化ケイ素膜としてのSiO膜からなる。
Taからなる第3の媒質13における横波の音速は1580m/秒である。他方、SiOからなる第2,第4の媒質中の横波の音速は3757m/秒である。すなわち、第3の媒質13における横波の音速は、第2,第4の媒質12,14における横波の音速よりも遅くされている。また、ZnOも横波音速2826m/sであるので、第3の媒質として利用できる。
なお、上記第4の媒質14/第2の媒質12/IDT電極16/第1の媒質11を積層した積層構造では、弾性境界波の遅延時間温度係数TCDは正の値とされている。なお、遅延時間温度係数TCDは、デバイスの性能の指標と直結する弾性波の伝搬性能の指標であり、デバイス性能の指標となる周波数温度係数TCFとの間には、TCF=−TCDの関係がある。
また、本実施形態では、第3の媒質13における横波の音速は、第2の媒質12における横波の音速及び第4の媒質14における横波の音速よりも遅くされていたが、第3の媒質13における横波の音速は、第2の媒質12における横波の音速または第4の媒質14における横波の音速の少なくとも一方よりも遅くされていればよい。
また、SiOからなる第2,第4の媒質においては、音速温度係数TCVは正の値である。音速温度係数TCVとは、線膨張係数の影響を除いた弾性波の伝搬性能の指標であり、線膨張係数の影響を除いた音速の温度による変化傾向を示す。
なお、第1の媒質11を構成しているLiNbO基板は、音速温度係数TCVは負の値である。
本実施形態では、IDT電極16及び反射器17,18は、Au層上に、Al層を積層した積層金属膜からなり、IDT電極のデューティは0.6とされている。
本実施形態の弾性境界波装置1では、第3の媒質13を構成しているTaの横波の音速が、第2,第4の媒質12,14における横波の音速よりも遅いため、横波のエネルギーは第3の媒質に集中することとなる。従って、第1,第2の媒質11,12の界面を伝搬する弾性境界波の遅延時間温度係数TCDの絶対値を小さくすることができ、良好な温度特性を得ることができる。これを、従来の弾性境界波装置と対比しつつ、より具体的に説明する。
第3及び第4の媒質13,14を有しないことを除いては、上記実施形態の弾性境界波装置1と同様に構成された従来の弾性境界波装置について、下記の表1に示す条件でIDT電極、反射器及び第1,第2の媒質を構成した。この従来の弾性境界波装置について、「周期構造圧電性導波路の有限要素法解析」(電子通信学会論文誌Vol.J68−C No1.1985/1,第21頁〜第27頁)に提案されている有限要素法を拡張し、半波長区間に1本のストリップを配置し、電気的に開放したストリップと、短絡したストリップとの阻止域の上端と下端とにおける音速を求めた。境界波の振動エネルギーは、IDT電極の上方1λまでの部分及び下方1λまでの部分に大半のエネルギーが集中している。従って、IDT電極の上下方向に8λの厚みの部分を解析領域とし、解析領域の表面と裏面の境界条件は弾性的に固定した。
次に、「モード結合理論による弾性表面波すだれ状電極の励振特性評価」(電子情報通信学会技術報告、MW90−62,1990,第69頁〜第74頁)に提案されている方法に基づいて、ストリップにおける境界波の反射量を表すκ12/kと電気機械結合係数Kを求めた。なお、「周期構造圧電性導波路の有限要素法解析」で扱った構造に比べると、上記従来例として用意した弾性境界波装置における音速の周波数分散が大きいため、κ12/kは周波数分散の影響を考慮して求めた。
また、遅延時間温度係数TCDは、15℃、25℃及び35℃における短絡ストリップの阻止域下端の位相速度V15℃、V25℃及びV35℃より下記の式(1)により求めた。
TCD=α−(V35℃−V15℃)/V25℃(35−15) …式(1)
なお、式(1)において、αは境界波伝搬方向におけるLiNbO基板の線膨張係数である。
Figure 0004715922
上記計算により求めた従来の弾性境界波装置の特性を下記の表2に示す。
Figure 0004715922
他方、上記実施形態の弾性境界波装置のIDT電極16及び第1〜第4の媒質11〜14の構成を下記の表3にまとめて示す。そして、下記の表3のように設定された上記実施形態の弾性境界波装置について、上記従来の弾性境界波装置と同様にして、伝搬特性を計算した。結果を表4に示す。
Figure 0004715922
Figure 0004715922
表2と表4とを比較すれば明らかなように、本実施形態の弾性境界波装置によれば、遅延時間温度係数は18.7ppm/℃と良化していることがわかる。すなわち、音速、電気機械結合係数K、及びκ12/kは若干変化したものの、これらの変化は実用上十分許容され得る範囲内の変化であり、他方、遅延時間温度係数TCDは上記のように大幅に良化していることがわかる。
本実施形態において、遅延時間温度係数TCDの絶対値が小さくなり、良化する理由は、以下の通りであると考えられる。
弾性境界波の遅延時間温度係数TCDは、境界を形成する複数の媒質全体における線膨張係数αと、個々の媒質における音速温度係数TCVとのバランスにより決定されることになる。例えば、弾性境界波の遅延時間温度係数TCDが正の値である場合、横波の音速温度係数TCVが正の材料における境界波の振動エネルギー分布を強くすると、境界波の遅延時間温度係数TCDは小さくなる。弾性境界波の振動エネルギーは、低音速である媒質に集中しやすい。従って、2つの層の一方の層に弾性境界波の振動エネルギーを集中させたい場合には、一方の層として、低音速の材料を用いればよい。また、1つの媒質を2つの層に分離し、分離された2つの層の間に、相対的に低い音速の媒質を挿入すれば、該低い音速の媒質に振動エネルギーを集中し、それにより、前記分離された2つの層への振動エネルギー分布が強まる。
表1に示した従来の弾性境界波装置では、遅延時間温度係数TCDが正の値となる。従って、音速温度係数TCVが正であるSiO層側の振動エネルギーを高めることができれば、遅延時間温度係数TCDを改善し得ると考えられる。そこで、上記実施形態では、表3に示したように、第2,第4の媒質を構成しているSiO膜間に、第3の媒質として、相対的に横波の音速が低速であるTaが配置されている。従って、音速温度係数TCVが正であるSiOからなる第2の媒質12と第4の媒質14における境界波の振動エネルギーを高めることができる。
図2は、上記実施形態の場合と、上記実施形態とは異なり、Taからなる第3の媒質が配置されていない従来の場合の弾性境界波の変位分布を示す模式図である。実線が上記実施形態の場合を、破線が従来の場合を示している。図2から明らかなように、Taからなる第3の媒質13を配置することにより、第2の媒質12と第4の媒質14における弾性境界波の振動エネルギーが大幅に高められることがわかる。
図3〜図6は、第3の媒質13の厚みと、弾性境界波伝搬特性との関係を示す図である。具体的には、図3は、第3の媒質13の膜厚を変化させた場合の音速の変化を示す図であり、図4は、ストリップ反射指標の変化を示す図であり、図5は、遅延時間温度係数TCDの変化を示す図であり、図6は、電気機械結合係数K(%)の変化を示す図である。
また、図7は、厚みが0.03λのTaからなる第3の媒質における振動エネルギーの分布を示す模式図であり、図8は、厚みが0.20λのTaからなる第3の媒質における振動エネルギーの分布を示す模式図である。
図3から明らかなように、第3の媒質(Ta)の厚みを厚くすることにより、音速が遅い第3の媒質の影響が高くなるため、弾性境界波の音速が低下していることがわかる。例えば、第3の媒質を設けない場合の音速が3394m/sであるのに対し、第3の媒質の厚みが0.03λの場合の音速が3332m/sとなる。また、第3の媒質(Ta)の厚みが厚くなると、遅延時間温度係数TCDは上記の原理に従って、図5に示すように負の側に移動していくことになる。例えば、第3の媒質を設けない場合のTCDが27ppm/℃であるのに対し、第3の媒質の厚みが0.03λの場合のTCDが18ppm/℃となる。さらに、図7及び図8に示したように、Taの膜厚が0.20λと厚くなるに従って、LiNbO基板に分布する振動エネルギーが減少し、電気機械結合係数Kが低くなる。すなわち、Taの厚みが0.3λの場合、図6から明らかなように、電気機械結合係数Kは2.4%と小さくなり、実用性が低下する。
また、図4から明らかなように、Taからなる第3の媒質13の厚みが厚くなっていくと、ストリップの反射係数を示すκ12は低くなっていく。特に、Taの厚みが0.2λでκ12は0.026と小さくなる。従って、κ12が0.026より小さくなると、IDT電極16の左右にストリップ型反射器17,18を配置した上記実施形態の1ポート型弾性境界波共振子や、あるいは縦結合型の共振子フィルタを構成した場合、すなわち共振子構造を利用した弾性境界波装置では、反射器の本数を多くしなければならなくなる。そのため、弾性境界波装置の大型化を招き、好ましくない。よって、好ましくは、Taからなる第3の媒質13の厚みは、0.30λ以下、より好ましくは0.20λ以下とすることが望ましい。
次に、上記実施形態に従って、1ポート型弾性境界波装置を具体的に作製し、共振周波数の温度係数TCFと、比帯域幅を測定した。
すなわち、下記の表5に示すように、IDT電極16の周期λ、IDT電極16の構成及び膜厚、第1〜第4の媒質11〜14の膜厚及び材料を設定した。
さらに、IDT電極16における設計パラメータは以下の通りとした。
電極指の対数:60対
交差幅:30λ
開口幅:30.4λ
アポタイズ:有、IDT中央が交差幅30λ、IDT両端が交差幅15λ
反射器の電極指の本数:51本
IDTと反射器の周期λ:3.42μm(電極指配置ピッチ0.8μm)
電極指のライン幅:0.855μm
電極指間のスペース幅:0.855μm
Figure 0004715922
なお、第3の媒質13の厚みについては、上記のように170nm、すなわち0.05λとしたが、別に、第3の媒質13の厚みを0.02λ(68nm)とした変形例の弾性境界波装置を作製した。さらに、比較のために、第3の媒質の厚みを0λ、すなわち第3の媒質13を設けなかったことを除いては、上記試作例と同様にして弾性境界波装置を作製した。これらの弾性境界波装置について、共振周波数の周波数温度係数TCFと比帯域幅を求めた。結果を図9及び図10に示す。ここで、比帯域幅は(反共振周波数−共振周波数)/共振周波数として求める。
図9及び図10から明らかなように、具体的に試作された上記実施形態及び変形例の弾性境界波装置によれば、第3の媒質を有しない弾性境界波装置に比べて、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができ、かつ比帯域幅については、さほど変化しないことがわかる。従って、比帯域幅を狭めることなく、周波数温度特性を改善し得ることがわかる。
図11は、上記のようにして作製された3種類の弾性境界波装置のインピーダンス及び位相特性を示す図である。図11から明らかなように、第3の媒質を有しない比較例に比べ、第3の媒質13を用いた実施形態及び変形例の弾性境界波装置では、反共振周波数におけるインピーダンスの共振周波数におけるインピーダンスに対する比であるインピーダンス比すなわち山谷比が大きくなり、特性が改善されていることがわかる。
多くの圧電材料は負の音速温度係数TCVを有し、そのデバイスは負の周波数温度係数TCFを有する。従って、第2の媒質12及び第4の媒質14として、正の音速温度係数TCVをもつ材料を用いることにより、デバイスの周波数温度係数TCFをプラス側に補正することができる。正の音速温度係数TCVを有するSiOを第2の媒質12及び第4の媒質14として用いることにより、実用性を高めることができる。すなわち、周波数温度係数TCFの絶対値を小さくすることができる。他方、Taは低音速であり、かつ重く、硬い誘電体材料である。従って、第3の媒質13として、Taを、SiOからなる第2の媒質12と第4の媒質14との間に薄く配置することにより、エネルギーを効率的に第1の媒質11から第2の媒質12側に移動させることができる。また、SiO及びTaは耐熱性に優れており、化学的に安定である。従って、上記実施形態の弾性境界波装置1は、温度による特性の変化が小さいだけでなく、耐熱性及び安定性に優れており、信頼性の点においても優れている。また、第2の媒質12と第4の媒質14は別の材料で構成してもよい。
なお、上記実施形態では、第4の媒質/第2の媒質/電極/第1の媒質を積層してなる構造における弾性境界波の遅延時間温度係数TCDが正の値であり、第4または第2の媒質が正の音速温度係数TCVを有し、第1の媒質が負の音速温度係数TCVを有する構造とされていたが、本発明においては、このような構造に限定されるものではなく、第3の媒質の横波の音速が、第4の媒質及び/または第2の媒質の横波の音速よりも遅くされている下記の第2の構造においても、また、第3の媒質の横波の音速を逆に速くしている第3,第4の構造においても、遅延時間温度特性を改善することができる。
第2の構造例:第4の媒質/第2の媒質/電極/第1の媒質を積層してなる構造における弾性境界波の遅延時間温度係数TCDが負の値であり、第4または第2の媒質が負の音速温度係数TCVを有し、第1の媒質が正の音速温度係数TCVを有する構造。
第3の構造例:第4の媒質/第2の媒質/電極/第1の媒質を積層してなる構造における弾性境界波の遅延時間温度係数TCDが正の値であり、第4または第2の媒質が負の音速温度係数TCVを有し、第1の媒質が正の音速温度係数TCVを有する構造。
第4の構造例:第4の媒質/第2の媒質/電極/第1の媒質を積層してなる構造における弾性境界波の遅延時間温度係数TCDが負の値であり、第4または第2の媒質が正の音速温度係数TCVを有し、第1の媒質が負の音速温度係数TCVを有する構造。
なお、上記実施例では、1ポート型の弾性境界波共振子につき説明したが、本発明に係る弾性境界波装置は、様々な電極構造を有するように構成され得る。すなわち、2個以上のIDTを用いた縦結合型もしくは横結合型の弾性境界波共振子フィルタや、複数個の弾性境界波共振子をラダー型に接続してなるラダー型フィルタであってもよい。また、本発明の弾性波装置は、弾性境界波光スイッチや弾性境界波光フィルタなどの光デバイスにも用いることができ、弾性境界波を利用した装置一般に広く用いることができる。
なお、本発明の弾性境界波装置の製造に際しては、第2の媒質12〜第4の媒質14を形成するに先立ち、逆スパッタ、イオンビームミリング、反応性イオンエッチング、ウェットエッチングまたは研磨などにより、IDT電極や第2もしくは第3の媒質12,13を薄くしたり、スパッタリングもしくは蒸着などの堆積法により追加成膜して厚くすることにより、IDT電極16、第2の媒質12及び/または第3の媒質13の厚みを調整することができる。そして、これらの厚み調整により、周波数調整を行うことができる。
また、本発明においては、表5に示したように、電極構造は、複数の金属からなる積層膜により構成されてもよい。
さらに、本発明における第1〜第4の媒質を構成する材料についても特に限定されない。すなわち、様々な誘電体を媒質として用いることができる。このような媒質としては、例えば、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム、四ほう酸リチウム、ランガサイトやランガナイト、水晶、PZT、ZnO、AlN、酸化珪素、ガラス、シリコン、サファイア、窒化シリコン及び窒化炭素からなる群から選択される1種などが挙げられる。
また、媒質は、単一材料で構成されている必要は必ずしもなく、複数の媒質層を積層してなる積層構造を有していてもよい。すなわち、第1〜第4の媒質のうち少なくとも1つの媒質が、複数の材料層を積層した積層構造を有するものであってもよい。
加えて、本発明に係る弾性境界波装置では、外側に、強度を高めたり、腐食性ガスなどの浸入を防止するための保護層を形成してもよい。また、弾性境界波装置は、部品サイズが大きくなることを厭わないのであれば、パッケージに封入された構造を有していてもよい。
なお、上記保護層としては、酸化チタン、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなどの絶縁性材料により構成されていてもよく、Au、AlまたはWなどの金属膜により構成されていてもよく、エポキシ樹脂などの樹脂膜により構成されていてもよい。

Claims (3)

  1. 第1の媒質〜第4の媒質がこの順序で積層されており、第1の媒質と第2の媒質との間の界面に電極が配置されている弾性境界波装置において、
    前記第4の媒質/第2の媒質/電極/第1の媒質を積層してなる構造における弾性境界波または弾性表面波の遅延時間温度係数TCDが正の値であり、
    前記第4または第2の媒質が正の音速温度係数TCVを有し、前記第1の媒質が負の音速温度係数TCVを有し、
    前記第3の媒質の横波の音速が、前記第4の媒質及び/または第2の媒質の横波の音速よりも遅くされていることを特徴とする、弾性境界波装置。
  2. 前記第1の媒質が圧電基板からなり、前記第2の媒質が酸化ケイ素膜からなり、前記第3の媒質が酸化タンタル膜または酸化亜鉛膜からなり、前記第4の媒質が酸化ケイ素膜からなる、請求項1に記載の弾性境界波装置。
  3. 前記電極として、少なくとも1つのIDT電極を有する、請求項1または2に記載の弾性境界波装置。
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