JP4461225B2 - ステンレス鋼酸洗廃液から有価資源の分離回収方法 - Google Patents

ステンレス鋼酸洗廃液から有価資源の分離回収方法 Download PDF

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Description

本発明は、ステンレス鋼関連産業において大量に発生する酸洗廃液から有価資源を分離回収する方法に関するものであり、さらに詳しくは、酸洗廃液のpHを制御することにより、陰イオンと金属イオンとを分離すること。また、陰イオン含有溶液から硫酸イオンを沈殿除去して、ふっ化物イオン及び硝酸イオンを分離回収して、その再利用をする方法に関する。
ステンレス鋼等の表面処理工程において、大量のふっ化水素酸、硝酸、硫酸が使われている。こうした表面処理の結果、高濃度のふっ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、クロムイオンを含有するいわゆる酸洗廃液が発生する。これらの酸洗廃液の成分は有害であるため、その廃棄に当たっては適切な処理、処分が求められている。
従来は、例えば図4に示すように、酸洗廃液に単に消石灰を添加して廃液を中和することにより処理されている。このとき、ふっ化物イオン及び硫酸イオンはそれぞれの難溶性のカルシウム塩として、また、鉄、ニッケル、クロムイオンはそれぞれの難溶性の水酸化物として沈殿除去される。そして、硝酸イオンは液相から回収される。それらの反応は以下のように示すことができる。
2F+Ca2+ → CaF (1)
SO 2−+Ca2+ → CaSO (2)
Fe2++2OH→ Fe(OH) (3)
Fe3++3OH→ Fe(OH) (4)
Ni2++2OH→ Ni(OH) (5)
Cr3++3OH→ Cr(OH) (6)
こうした消石灰を用いる処理方法では、固相中には各種の難溶性化合物が混合物の状態で存在しており、その再利用は困難であり、これは固形産業廃棄物として、これまで別途処分されてきている。
このような中和処理を経済的に行うために消石灰利用の一部を電気炉スラグに置き換える処理法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、さらに処分の必要な固形廃棄物の量を低減することを目的として、中和剤としてアルカリ金属水酸化物とアルカリ土類金属水酸化物を2段階に分けて併用する方法が公知となっている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
この固形産業廃棄物はもとの酸洗廃液よりも容積が大幅に減少しているとはいえ、ふっ素、ニッケル、クロムなどの有害元素を含んでいるため、有害廃棄物であることに変わりはない。そして、近年の有害廃棄物関連法規の強化及び有害廃棄物処分コストの高騰により、この酸洗廃液の処理から発生する有害固形廃棄物の処分は関連産業の大きな負担となりつつある。
こうしたステンレス鋼酸洗廃液に係る問題を根本的に解決するため、酸洗廃液を単に消石灰等で中和処理した後、沈殿物を固形産業廃棄物として処分するのではなく、廃液中の溶解成分を分離回収して再利用することが重要であり、注目されている。なぜなら、溶解成分は有害であるとともに有価な資源でもあるからである。そうすることにより、ステンレス鋼酸洗廃液からの廃棄物の発生量を最小限に抑制することが可能になる。
例えば、非特許文献1には、ふっ化物イオンと硝酸イオンとの混合溶液はバイポーラ膜を用いる方法により酸洗剤として再生利用が可能であることが示されている。
特開平6−320172号公報 特開2000−325969号公報 特開2004−290860号公報 鉄と鋼、88[9](2002)上杉浩之ほか、p.580〜585「ステンレス鋼酸洗剤のリサイクルプロセスの開発」
したがって本発明は、ステンレス鋼酸洗廃液中の鉄、ニッケル、クロムなどの金属イオンを分離回収し、金属資源として再利用できるようにするのが目的である。それとともに、ふっ化物イオン及び硝酸イオンの再利用の妨げとなる硫酸イオンを分離して、それらを再び酸洗用材料として利用することを可能にし、もってステンレス鋼関連産業における資源のリサイクル使用を図り廃棄物の発生量を抑制することを目的とする。
本発明者等は上記の課題を達成するために、模擬酸洗廃液について、pH変化に伴う溶解陰イオン(ふっ化物、硝酸、硫酸)及び溶解金属イオン(鉄、ニッケル、クロム)の挙動を詳細に調べた。さらに、ふっ化物イオン及び硝酸イオンが共存する系において、硫酸イオンの沈殿挙動を試行錯誤により鋭意検討した。その結果、金属イオンと陰イオンとの分離が可能であり、さらには、ふっ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの混合系から硫酸イオンのみの沈殿分離が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)ステンレス鋼酸洗廃液にアルカリ金属の水酸化物を添加して、pHを10〜11に調節することにより鉄、ニッケル、クロム(III)を水酸化物の沈殿物として分離回収し、ろ液にはその含有する硫酸イオンのモル数の2倍以上のモル数のバリウムイオンを添加して、硫酸イオンを硫酸バリウムの沈殿物として分離回収し、ふっ化物イオン及び硝酸イオンを液相から分離回収することを特徴とする有価資源の分離回収方法、
(2)ステンレス酸洗廃液にアルカリ金属の水酸化物を添加して、pHを5〜6に調節することにより、大部分のふっ化物イオンを含有したほヾ全量の鉄、大部分のクロム(III)と、さらにはニッケルの水酸化物を沈殿物としてろ別し、その後、残留するニッケルイオンを含むろ液にアルカリ金属の水酸化物を添加してpHを7〜8に調節し、再び生成するニッケル水酸化物を主成分とする沈殿物をろ別し、得られたろ液にはその含有する硫酸イオンのモル数の2倍以上のモル数のバリウムイオンを添加して、硫酸イオンを硫酸バリウムの沈殿物として分離回収し、硝酸イオンのみを液相から分離回収することを特徴とする有価資源の分離回収方法、及び、
(3)前記(2)に記載の方法において、さらに前記pHを5〜6に調節して生成した沈殿物とpHを7〜8に調節して生成した沈殿物を水に懸濁させ、アルカリ金属の水酸化物を添加してpHを10〜11に調節して、鉄、ニッケル、クロム(III)を水酸化物の沈殿物として分離回収し、ふっ化物イオンを液相から分離回収することを特徴とする有価資源の分離回収方法、
を提供するものである。
本発明の有価資源の分離回収方法によれば、鉄、ニッケル、クロムなどの金属イオンを高収率で不純物含有量の少ない水酸化物として沈殿分離でき、そこから容易に純度の高い金属として回収することが可能で、それぞれの金属素材等に再利用することができる。
また、硫酸イオンを陰イオン含有液からほヾ全量分離除去できるので、ふっ化物イオン及び硝酸イオンの酸洗用材料としての再利用が可能である。
特に、pH調節を多段工程で行う場合には、これらの分離回収がさらに有効であり、なかでも、ふっ化物イオンと硫酸イオンとの分離回収に極めて有効である。
このように、本発明では、ステンレス鋼関連産業における資源のリサイクル使用ができ、酸洗廃液の廃棄量はもとより、そこからの固形産業廃棄物の発生量を最小限に抑制することできる。
本発明のステンレス鋼酸洗廃液を処理し、有価資源の分離回収方法の好ましい実施の態様について、図面に基づき詳細に説明する。
本発明の処理対象とするステンレス鋼の酸洗で生ずる酸洗廃液は、鉄、ニッケル、クロム(III)等の重金属イオンとふっ化水素酸、硝酸と硫酸の混合物である。
先ず、本発明の第1の態様を図1に基づいて説明する。
図1に示すように、酸洗廃液に中和剤としてアルカリ金属の水酸化物である水酸化カリウム水溶液を加えてそのpHを10〜11に調節して鉄、ニッケル、クロム(III)の全量をそれぞれの水酸化物の沈殿の固相として分離回収する。添加する中和剤は、一般にアルカリ土類金属水酸化物あるいはアルカリ金属水酸化物が用いられるが、アルカリ土類金属水酸化物は、比較的水に溶けにくく、中和剤そのものがスラッジとなる場合があるため固形産業廃棄物の減少につながらない。そこで、本発明においては、アルカリ金属水酸化物を使用するものである。
pHを10〜11に調節するのは、後で記載するようにpHを約10以上に調節することにより、陰イオンであるふっ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンのほとんどを液相へ、そして、陽イオン(鉄、ニッケル、クロム)のほヾ全量を沈殿物とすることが可能である。また、pH10以上であればいくら高くても良いが、前記の効果は変わらないことから、さらに中和剤添加量の節約や液相の再利用の点からも、pHは11までで充分である。
得られた沈殿物は、液相と公知の手段でろ別し、分離回収する。分離回収した水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化クロムの混合固体(固相)には、前記陰イオン物質は含まれておらず、例えば、公知の湿式精錬法や乾式精錬法により処理して、それぞれ高純度の金属鉄、ニッケル、クロムが得られる。それらはそれぞれの金属素材として再利用することができる。
ろ別して得られた陰イオンを含むろ液(液相)には、後述するそれぞれの酸に転換し再利用する際の転換効率の低下やふっ化カルシウムとして再利用する場合の妨げとなる硫酸イオンが含まれているので、これを分離する必要がある。
陰イオンを含むろ液には、塩化バリウム、臭化バリウム、硝酸バリウム等の水溶液であるバリウムイオンを含む水溶液を添加して、硫酸イオンのできるだけ全量を硫酸バリウムの沈殿物(固相)として生成させる。添加する水溶液量は、ろ液中に含まれる硫酸イオンのモル数の2倍以上、好ましくは2.2倍以上のバリウムイオンを含む量とする。このバリウムイオンの添加量が少なすぎると、硫酸イオンとバリウムイオンとの反応が充分に行われず、硫酸バリウム沈殿物をろ別した後のろ液中に硫酸イオンが残留することとなる。また、バリウムイオンの添加量が多くてなっても、その作用効果には格別の変化は認められないので、硫酸イオンに対するバリウムイオンの添加量は、多くても3倍程度で充分である。
生成した硫酸バリウム沈殿物は、沈降分離法、清澄ろ過法など公知の固・液分離手段により分離され、回収される。回収された硫酸バリウムは、水洗処理により精製した後、アート紙、ペイント、プラスチックなどの充てん剤としての再利用が可能である。
ろ別により回収されたふっ化物イオン及び硝酸イオンを含む混合液体(液相)は、例えば、バイポーラ膜を用いた電気透析法でそれぞれふっ化水素酸及び硝酸に転換され、酸洗剤として再生利用が可能である(非特許文献1参照)。あるいは、回収されたふっ化物イオン及び硝酸イオンを含む混合液体(液相)には硫酸イオンを含まないので、カルシウム塩溶液を添加することによりふっ化物イオンのみをふっ化カルシウムの沈殿として回収することができる。得られたふっ化カルシウムは従来のように硫酸カルシウムを含まないので、精錬工程において不純物の除去や製鉄業におけるスラグの流動性増加の融剤として利用できる。さらに、このふっ化カルシウムは最高速、高機能を発揮する光学レンズの製造材料として利用できる。
なお、ステンレス鋼の酸洗工程から排出される廃液が、Cr(VI)を含有している場合には、まず亜硫酸ナトリウム等により還元処理を行い、含有されているCr(VI)をCr(III)に還元した後、本発明の処理法に付するのが好ましい。
次に、本発明の第2の態様について、図2に基づき説明する。これは、3段階の工程でpH調節を行い、ふっ化物イオンと硝酸イオンとを分離し、別々に回収することを目的とした方法である。
図2に示すように先ず第1の工程で、酸洗廃液に中和剤であるアルカリ金属の水酸化物を添加して、そのpHを5〜6に調節し、全量の鉄と大部分のクロム(III)を沈殿物(固相)とする。後記するように(特に図3参照)、pH5〜6でほとんどの鉄イオンと大部分のクロム(III)イオン及びふっ化物イオンは固相中に移行し、液相中に残留しなくなるが、かなりの量のニッケルイオン及びふっ化物イオン以外のその他の陰イオンのほとんどはこのpH範囲では沈殿物を生成しない。pHをこの範囲とするのは、ふっ化物イオンを固相中に捕捉するためである。生成した沈殿物(固相)はろ別され回収される。
先に記載した第1の態様では、ふっ化物イオンは硫酸イオン及び硝酸イオンと共に液相で同時に塩化バリウムで処理をしたが、ふっ化物イオンと硫酸イオンとの分離は硝酸イオンと硫酸イオンの分離に比べ分離率が低い(特に、後記する実施例2参照)ので、予めこの工程で分離するのが好ましいのである。
ついで、第2工程で、得られたろ液(液相)にさらにアルカリ金属の水酸化物水溶液を添加して、pHを7〜8に調節する。このpH範囲においては、残存するほヾ全量のクロム(III)及びニッケルを沈殿物(固相)とするとことができる。pHがこの範囲を越えてもクロムとニッケルの沈殿生成及び硫酸イオンと硝酸イオンの液中の残存濃度にはほとんど変わりはないのでこの範囲が好ましい。
生成した沈殿物はろ別され、沈殿物である固相及びろ液である液相はそれぞれ次の処理に付される。
第1工程及び第2工程で得られた沈殿物(固相)には、再度その1〜10倍量(質量)の水を加えて懸濁させ、第3工程でさらにアルカリ金属の水酸化物を添加して、pHを10〜11に調節して鉄、ニッケル、クロムの全量を水酸化物として沈殿物(固相)とさせ、ふっ化物はイオンとして液相に残す。pHをこれより低くすると、ふっ化物(イオン)の沈殿物側に含有する量が多くなり、また、pHがこの範囲を越えても、ふっ化物(イオン)の溶存度合はほとんど変わらない。
一方、第2工程でろ別されて得られたろ液(液相)に塩化バリウム等のバリウムイオン含有水溶液を添加して全量の硫酸イオンを硫酸バリウムの沈殿(固相)として分離し、硝酸イオンのみを液相中に分離回収する。硫酸イオンの液中への残留を少なくするには、添加するバリウムイオン量は液中の硫酸イオンのモル数の2倍以上のモル数が好ましい。
沈殿物として回収された鉄、ニッケル、クロムの水酸化物は、前述の第1の態様に記載したように金属鉄、ニッケル、クロムとして有効に再利用することができる。また、硫酸バリウムも先に記載したようにアート紙、ペイント、プラスチック等の充てん剤として再利用される。
さらに、ろ別・回収されたふっ化物イオン含有液及び硝酸イオン含有液は、それぞれ単独で又は混合して前記したようにバイポーラ膜を用いた電気透析法によりふっ化水素酸、硝酸に転換して酸洗剤として再利用することができる。
なお、上記のpH調節時のpHの検出には、例えば、アンチモン電極を用いたもの、LiO含有のpH感応珪酸塩ガラス薄膜を使用したガラス電極を用いたもの、中性子キャリア有機感応物質を使用した液体膜型電極を用いたもの、MOSFETの金属ゲート部に無機絶縁膜をつけたpH用FETセンサ等公知のpHセンサを使用することができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
[実施例1] (pH変化による溶解陰イオン及び溶解金属イオンの挙動)
ステンレス鋼の酸洗廃液を中和剤で処理する場合、pH変化による廃液中の溶解陰イオン及び溶解金属イオンの挙動について検討した。
所定量のふっ化水素酸及び硝酸の混合溶液に鉄粉を溶解した。このものに、硫酸第一鉄(FeSO・7HO)、塩化クロム(III)(CrCl・6HO)、硝酸ニッケル[Ni(NO)・6HO]の混合水溶液を加えて模擬酸洗廃液を調製した。その組成(単位mM=mmol/L)は次表1に示すとおりである。
Figure 0004461225
16本の35mL容ポリカーボネート製遠沈管のそれぞれに、上記の模擬酸洗廃液10mLを入れ、3Nまたは5N水酸化カリウム水溶液の添加量を変えて加え、pHを調節した各試料を得た。さらに、各試料に水を加えて最終液量を20mLとした。その遠沈管を20℃に保持した恒温槽中で振とう器にて横方向(振幅10cm)に16時間振とうした。各試料を孔径0.45μmのメンブレンフィルタでろ過した。ろ液について、残留陰イオン濃度及び残留金属イオン濃度を測定した。ふっ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンはイオンクロマトグラフ法により、また、鉄イオン、クロムイオン、ニッケルイオンは電気加熱原子吸光光度法により測定した。
得られた結果を図3に示す。もともとの模擬酸洗廃液は強酸性であり、すべての成分は溶解状態で存在した。ふっ化物イオン濃度はpHの上昇とともに顕著に低下し、pH約5付近ではじめの濃度の約6%まで低下した。これはpHの上昇に伴って生成する金属水酸化物に吸着されたためと考えられる。pHが5からさらに上昇するとともにふっ化物イオン濃度は増加し、pH約10以上ではほヾもとの濃度になった。
一方、硝酸イオン及び硫酸イオン濃度は、pHの変化にかかわらずほヾ一定であった。鉄、ニッケル、クロムなどの陽イオンの濃度はいずれもpHの増加と共に低下し、それぞれpH約6, 8 ,6で0mMの値を示した[反応(3),(4),(5),(6)参照]。
この実験結果から、次のことが明らかになった。i)pHを約10以上に調節することにより陰イオン(ふっ化物+硝酸+硫酸)の全量を液相から、また陽イオン(鉄、ニッケル、クロム)の全量を固相から回収することが可能である。ii)また、pHを5〜6に調節することによりふっ化物+鉄+クロムの大部分を固相から、iii)またそのときの液相のみをさらにpH7〜8に調節することにより残りの陽イオンの全量を固相から回収し、硝酸イオン+硫酸イオンの全量を液相から回収することができる。
[実施例2] (硫酸イオンの分離除去におけるバリウムイオン含有水溶液添加量の影響)
ふっ化物イオン、硝酸イオン及び硫酸イオンの陰イオン含有液から硫酸イオンを分離除去する場合について、バリウムイオンの添加量の適量を求めた。
所定量のふっ化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムを水に溶解して、それぞれ1280,369,113mM含有の混合水溶液を調製した。この試料水溶液各10mLに1.0M塩化バリウム水溶液0.25〜3.5mLを添加し、さらに水を加えて容量を20mLとした。20℃に保持した恒温槽中で振とう器にて横方向(振幅10cm)に16時間振とうした。ついで、各試料を孔径0.45μmのメンブレンフィルタでろ過した。得られたろ液について、残留ふっ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの各濃度を実施例1と同様にイオンクロマトグラフ法により測定し、その各残留割合を求めた。得られた結果を表2に示す。
Figure 0004461225
塩化バリウム溶液の添加により、硫酸イオン残留率は顕著に低下した。その反応は、以下のように示すことができる。
SO 2− +Ba2+ → BaSO (7)
硫酸イオンの初期モル数が1.13mmolであることから、その全てをBaSOにするためには等モル数、即ち、1.13mmolのバリウムイオンが必要である。しかし、表2の結果から、反応(7)を完結させるためには過剰のバリウムイオンを添加しなければならないことが分かる。2.5mmol以上のバリウムイオンを添加したときに硫酸イオン残留率が0になることから、反応(7)を完結させるためには硫酸イオンのモル数の2倍以上、好ましくは約2.2倍以上のバリウムイオンの添加が必要であることが認められた。
硝酸イオン濃度はバリウムイオンの添加によりほとんど減少せず、そのほヾ全量が液相に残留することが認められた。一方、ふっ化物イオン濃度はバリウムイオン添加量の増加に伴って残留量が減少する傾向があったが、反応(7)の完結時、即ち硫酸イオンのモル数の約2.2倍以上のバリウムイオンを添加してもはなお89.3%が液相に残留した。このように、塩化バリウム溶液の所定量の添加によりふっ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオン混合溶液から硫酸イオンを効率的に分離除去できることが認められた。
[実施例3] (硫酸イオンのバリウムイオンによる分離除去におけるpHの影響)
陰イオン含有液からバリウムイオンにより硫酸イオンを分離除去する場合において、溶液のpHの影響を調べた。
実施例2で調製したふっ化物イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの混合溶液各10mLに1.0M塩化バリウム水溶液2.0mL(2.0mmol)を添加し、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを1〜13の範囲に調節した。さらに水を加えて容量を20mLとした。その後、実施例2と同様に操作し、同様にイオン残留割合をもとめた。得られた結果を表3に示す。
Figure 0004461225
ここでは、塩化バリウムの添加量は硫酸イオン初期モル数に対して1.77倍である2mmolを添加したが、それは2倍以上の添加では硫酸残留率が0%あるいは0%に近いのでpHの影響が検討できないからである。上記表3から、いずれのpHにおいても硫酸イオン残留率は7.6%以下であり、pHの影響は認められなかった。また、ふっ化物イオン及び硝酸イオンの濃度(残留割合)もほヾ一定であり、pHの影響は認められなかった。このことから、ふっ化物イオン、硝酸イオン及び硫酸イオンを含有する酸洗廃液中からバリウムイオンを用いて硫酸イオンを分離除去するためには、特にpHの調節は不要であるといえる。
本発明の好ましい実施態様の工程図である。 本発明の他の実施態様の工程図である。 実施例におけるpH変化とイオンの挙動を示すグラフである。 従来例の工程図である。

Claims (3)

  1. ステンレス鋼酸洗廃液にアルカリ金属の水酸化物を添加して、pHを10〜11に調節することにより鉄、ニッケル、クロム(III)を水酸化物の沈殿物として分離回収し、ろ液にはその含有する硫酸イオンのモル数の2倍以上のモル数のバリウムイオンを添加して、硫酸イオンを硫酸バリウムの沈殿物として分離回収し、ふっ化物イオン及び硝酸イオンを液相から分離回収することを特徴とする有価資源の分離回収方法。
  2. ステンレス酸洗廃液にアルカリ金属の水酸化物を添加して、pHを5〜6に調節することにより、大部分のふっ化物イオンを含有したほヾ全量の鉄、大部分のクロム(III)と、さらにはニッケルの水酸化物を沈殿物としてろ別し、その後、残留するニッケルイオンを含むろ液にアルカリ金属の水酸化物を添加してpHを7〜8に調節し、再び生成するニッケル水酸化物を主成分とする沈殿物をろ別し、得られたろ液にはその含有する硫酸イオンのモル数の2倍以上のモル数のバリウムイオンを添加して、硫酸イオンを硫酸バリウムの沈殿物として分離回収し、硝酸イオンのみを液相から分離回収することを特徴とする有価資源の分離回収方法。
  3. 請求項2に記載の方法において、さらに前記pHを5〜6に調節して生成した沈殿物とpHを7〜8に調節して生成した沈殿物を水に懸濁させ、アルカリ金属の水酸化物を添加してpHを10〜11に調節して、鉄、ニッケル、クロム(III)を水酸化物の沈殿物として分離回収し、ふっ化物イオンを液相から分離回収することを特徴とする有価資源の分離回収方法。
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