JP5114820B2 - 塩化ナトリウムの精製方法及び水酸化ナトリウムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ金属塩化物である塩化ナトリウムを例えば工業用製品として利用できるように精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
塩化ナトリウムは、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを製造するための原料や、融雪剤、ブライン等として使用される。塩化ナトリウムを用いた水酸化ナトリウムの製造方法には、イオン交換膜を隔膜として用いる電気分解(以下、IM電解法という。)、水銀を電極とする電気分解(以下、水銀法という。)、電気透析法等がある。また、塩化ナトリウムを用いた炭酸ナトリウムの製造方法としてはアンモニアソーダ法や塩化アンモニウムソーダ法等がある。塩化ナトリウムは、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムを製造するための原料として使用される場合、不純物が少ないことが要求される。
【0003】
例えば、アンモニアソーダ法等により炭酸ナトリウムを製造する場合は、製品の品質を高め、各工程において設備に付着するスケールを防止するため、カルシウム、マグネシウム、SO4 2−の含有量の少ない高純度の塩化ナトリウムが要求される。
【0004】
また、IM電解法による水酸化ナトリウムの製造においては、イオン交換膜の劣化を防止し、製品の水酸化ナトリウムの品質の保持のために、さらに高純度の塩化ナトリウムが要求される。具体的には、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、アルミニウム、鉄、鉛、水銀、銅、ニッケル、クロム、コバルト、バナジウム、タングステン、マンガン、亜鉛、チタン、モリブデン、スズ、タンタル、バリウム、ハフニウム、銀、カドミウム、ガリウム、ビスマス、セリウム、リチウム、カリウム、シリカ、SO4 2−、HSO3 −、硫黄、ClO2 −、フッ素、ヨウ素、臭素、ホウ素、リン、セレン、ヒ素や、有機物等の含有量のきわめて少ない塩化ナトリウムが必要である。
【0005】
また、塩化ナトリウム水溶液を蒸発させて塩化ナトリウム結晶を得る場合においても、塩化ナトリウムの品質への影響と蒸発装置への付着物の防止のため、塩化ナトリウム水溶液中の不純物の低減が必要である。塩化ナトリウムの高純度化と同様に、炭酸カリウムや水酸化カリウム等を得るための原料である塩化カリウムについても同様に高純度化が必要である。
【0006】
従来、例えば都市ゴミや産業廃棄物等の焼却時に発生する塩化水素、硫黄酸化物等の酸性ガスは、水酸化カルシウムを中和剤として用いて除去されることが多かった。しかしこの場合、生成した塩化カルシウムから水酸化カルシウムを製造してリサイクル使用することは工業的には非常に困難である。水酸化カルシウム以外に、ナトリウム化合物やカリウム化合物も中和剤として使用されている。特にナトリウム化合物は安価で入手しやすく、特に炭酸水素塩及び炭酸塩は一般的に潮解性も低く中和剤として優れる。具体的には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが例示され、これらは合成品も天然品も使用できる。
【0007】
この場合、ガス処理の副生塩として塩化ナトリウムが生成し、塩化ナトリウムはキレート法、硫化物や水酸化物にして沈澱させる沈殿法、限外濾過法、電気透析法、イオン交換膜法等で精製され濃縮固形化されるが、なお不純物として金属硫酸塩、塩化カリウム、ヨウ化物、重金属等、飛灰、ダイオキシンの除去に用いられる活性炭等を含んでいる。そのため、現在は得られた固形塩は再利用できず埋立て処分されているが、一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分場の残容量が減少していることから、その処分方法が近年大きな社会問題となっている。したがって、このような副生塩を原料として、再度アルカリ性化合物を生成し、循環使用することが好ましい。
【0008】
塩化ナトリウム中の不純物の除去に関し、従来は、例えばSO4 2−の除去には塩化カルシウムを添加して硫酸カルシウムとして固液分離する方法、バリウムを添加して硫酸バリウムとして固液分離する方法が使用されている。また、重金属やヨウ素等の除去については液中のpHを高め水酸化物として沈殿させる方法、イオン交換樹脂を用いて除去する方法等が使用されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法のみでは、例えばゴミ焼却場からの副生塩中に多量に含まれる塩化カリウムをはじめヨウ素などは除去できないため、アンモニアソーダ法による炭酸ナトリウム製造には使用できても、塩化アンモニウムソーダ法による炭酸ナトリウムの製造や水銀法による水酸化ナトリウムの製造、IM電解法による水酸化ナトリウムの製造、電気透析法による水酸化ナトリウムの製造等には使用できない。また、通常これらの製造工程では、製品を取り出す以外、廃液は原料に戻されて循環されるので、製造工程の系外から新たに別途に水が入ると系内の液量が増加し、増加分の液を排出する必要が生じる。そのため、固形の塩化ナトリウムが必要である。よって上記の従来の方法では塩化ナトリウムを水溶液として処理しているためそのままでは使用できず、大量のエネルギを消費して水分を蒸発させ固形化しなければならない。
【0010】
すなわち、副生塩は固形で搬入されるが、上記方法の場合、副生塩を一度水に溶解して水溶液として処理しなければならず、さらに固体塩化ナトリウムを原料とするプロセスに適用する場合は、精製後に再度蒸発乾固させ固形化しなければならない。また、SO4 2−の除去を塩化カルシウムやバリウムで行う操作では、固形の硫酸カルシウムや硫酸バリウムという固形廃棄物が新たに発生する問題もある。
【0011】
そこで本発明は、例えば塩化ナトリウムと塩化カリウムの組み合わせのようなアルカリ金属塩化物どうしの分離が可能であり、硫酸ナトリウム等の水溶性金属硫酸塩を新たな固形廃棄物を発生させずに除去でき、さらにヨウ化物のように許容濃度がきわめて低い物質の除去が可能な塩化ナトリウムの精製方法を提供すること、特に工業的にIM電解法の原料とできるまでに高純度に精製できる方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、塩化ナトリウムと、他の水溶性無機塩との混合物から、前記他の水溶性無機塩を分離することにより塩化ナトリウムを精製する方法であって、前記混合物が、ゴミ焼却又はボイラにおける燃焼により生成した塩化水素を含有するガスを、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はセスキ炭酸ナトリウムで中和処理することにより得られたものであって、前記混合物に対し、前記他の水溶性無機塩の1種以上を実質的に全量溶解しうる量でかつ塩化ナトリウムを全量溶解しない量の、水又は塩化ナトリウムの水溶液を添加して、前記他の水溶性無機塩の1種以上を実質的に全量溶解させ、得られたスラリを固液分離して固体成分を回収することを特徴とする塩化ナトリウムの精製方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、上記の精製方法により精製して得られた塩化ナトリウムの水溶液を、イオン交換膜を用いて電気分解することを特徴とする水酸化ナトリウムの製造方法を提供する。
【0014】
本発明では、回収するアルカリ金属塩化物(塩化ナトリウム)と他の水溶性無機塩との相互溶解度を利用し、除去すべき1種以上の他の水溶性無機塩が実質的に全量水溶液中に溶解し、アルカリ金属塩化物は一部が水溶液中に溶解しており大部分は溶解できずに固体として存在するスラリの状態をつくる操作を行う。ここで除去すべき他の1種以上の水溶性無機塩を実質的に全量溶解させるとは、回収するアルカリ金属塩化物に必要とされる目標の純度に達する程度まで上記水溶性無機塩を溶解させることをいう。次いで当該スラリを濾過等により固液分離し、好ましくは上記他の水溶性無機塩を実質的に含まない液(水等)で洗浄すると、固体成分は上記他の水溶性無機塩を実質的に含まないアルカリ金属塩化物となる。
【0015】
ここで、回収するアルカリ金属塩化物は、2種以上のアルカリ金属塩化物の混合物ではなく1種のアルカリ金属と塩素とからなる塩化物であるから、除去すべき他の水溶性無機塩として、当該アルカリ金属塩化物以外のアルカリ金属塩化物も対象となる。すなわち、本発明の方法により、従来は困難であった異なるアルカリ金属塩化物どうしの分離を容易に行ってアルカリ金属塩化物を精製できる。
【0016】
また、本発明において、スラリを形成するための水又はアルカリ金属塩化物の水溶液の添加は、分割して行うこともできる。すなわち、スラリ形成及び固体成分の回収の操作を繰り返し実施すると、精製効果を高めることができる。特に、もともとの混合物中の濃度が低くかつ精製後の目標の許容濃度がきわめて低い水溶性無機塩の除去については繰り返しの実施が有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、塩化ナトリウムを主成分とし、除去すべき不純物として硫酸ナトリウムと塩化カリウムと水に不溶の成分とが含まれる固形塩の場合を例にとって説明する。塩化カリウムの除去は、塩化ナトリウムをIM電解法で使用した場合に得られる水酸化ナトリウム中のカリウムの濃度上昇を抑制するために必要である。通常、イオン交換膜に対する微量のカリウムの混入により運転性能が低下することはないが、得られる水酸化ナトリウム中のカリウム濃度は、電解槽に供給される原料中のカリウムの濃度が上昇すれば相関して高くなる。
【0018】
まず、上記固形塩を水又は塩化ナトリウム水溶液(以下、まとめて水等という。)と混合する。ここで塩化ナトリウム水溶液は海水であってもよく、IM電解法において陽極側より流出する希薄な塩水(以下、淡塩水という。)であってもよい。塩化ナトリウム水溶液を用いる場合、水溶液中には上記不純物はできるだけ含まれない方が、精製の効率を高めるために好ましい。
【0019】
このとき、水(又は上記水溶液中の水)の量は、固形塩が全量溶解できる量ではなく、塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムと塩化カリウムの相互溶解度を考慮して、硫酸ナトリウムと塩化カリウムのほぼ全量が溶解できるぎりぎりの量又はそれより多少多い量とすることが好ましい。水の量をこのように調整すると、塩化ナトリウムの回収ロスを最低限におさえられる。次いでこれを固液分離すると、スラリの固体成分には過飽和となって溶解しない塩化ナトリウムが含まれており、硫酸ナトリウムと塩化カリウムを実質的に含まない塩化ナトリウム(固形物)が得られる。液体中には硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムと塩化カリウムが存在している。
【0020】
固液分離の方法としては、遠心分離、減圧濾過、加圧濾過、沈降分離等が採用できる。また、固液分離により得られた固体成分には母液が付着しているので、水等で洗浄して付着する母液を除去すると、塩化カリウムや硫酸ナトリウムを含まない固体の塩化ナトリウムを得られるので好ましい。ここで、他の水溶性無機塩が共存する場合の塩化ナトリウムの相互溶解度は、通常、塩化ナトリウムと水のみが存在する場合の塩化ナトリウムの溶解度より低い。この点は、塩化ナトリウムを固体で回収することに関しては有利に働く。
【0021】
次に得られた固体成分を水に溶解すると、固液分離することにより、水に不溶の不純物を除去した塩化ナトリウム水溶液が得られる。得られた塩化ナトリウム水溶液は、溶媒を蒸発させて高純度の塩化ナトリウム結晶を製造したり、アンモニアソーダ法や塩化アンモニウムソーダ法により炭酸ナトリウムを製造したりするための原料に利用できる。
【0022】
特に、本発明の方法は、水酸化ナトリウムの主要な製造方法であり高純度な製品を生産できるIM電解法には好適に使用できる。IM電解法では、電気分解後に陽極から流出する淡塩水は再び塩化ナトリウムを溶解するための液として循環再利用され、廃液を生じない。そのため、プロセス系内に別途水を持ち込むと、系内の水が不必要に増加し系内の水が増加し塩水を系外に廃棄しなくてはならなってしまうので、原料として固体の塩化ナトリウムを使用する。本発明の方法により他の水溶性無機塩が除去されて固形物として得られる塩化ナトリウムは、淡塩水と混合して溶解した後固液分離し、次いで既存の方法で精製することによりIM電解法に用いることができる。
【0023】
上記の出発物質である固形塩の水や淡塩水等(以下、単に水等という。)への溶解の操作において、硫酸ナトリウムは水溶液中における濃度が、水に対してSO4 2−換算で12質量%以下、特に9質量%以下となるように水等を加えると、そのほぼ全量が溶解するので好ましい。また、塩化カリウムは、水溶液中の塩化カリウム濃度が、水に対して35質量%以下、特に15質量%以下となるように水等を加えると、そのほぼ全量が溶解するので好ましい。また、また、精製の速度と効果を高めるため、あらかじめ固形塩を粉砕してから精製処理してもよい。
【0024】
本発明の方法で塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムを含む固形塩から硫酸ナトリウムの除去を効果的に行うには、固形塩中の塩化ナトリウムに対する硫酸ナトリウムのモル比、硫酸ナトリウム/塩化ナトリウムが0.15以下、特に0.10以下であることが好ましい。上記モル比が0.15を超えると、硫酸ナトリウムの除去を充分に行うには塩化ナトリウムの量が少なすぎ、塩化ナトリウムの大部分が溶液中に溶解するため、塩化ナトリウムの回収率が低くなる。一方、上記モル比が0.001未満の場合は、硫酸ナトリウムを除去しなくてもこのままでもIM電解法に使用できるため、本発明の方法による精製はあまり必要とされない。
【0025】
また同様に、塩化ナトリウムと塩化カリウムとを含む固形塩から塩化カリウムの除去を効果的に行うには、固形塩中の塩化ナトリウムに対する塩化カリウムのモル比、塩化カリウム/塩化ナトリウムは1.0以下、特に0.7以下であることが好ましい。上記モル比が1.0を超えると、塩化カリウムの除去を充分に行うには塩化ナトリウムの量が少なすぎ、塩化ナトリウムの大部分が溶液中に溶解するため、塩化ナトリウムの回収率が低くなる。固形塩中の塩化カリウム濃度はできるだけ低い方が好ましいので、固形塩に塩化カリウムが少しでも含まれている(上記モル比が0超)場合は、本発明の精製方法を行うことは有効である。
【0026】
上記では、水溶性無機塩が塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの2成分系又は塩化ナトリウムと塩化カリウムの2成分系の場合に、塩化ナトリウムを精製するための他の水溶性無機塩とのモル比の好ましい範囲について記載したが、例えば塩化ナトリウムと塩化カリウムと硫酸ナトリウムの3成分系で塩化ナトリウムを生成する場合は、3成分の相互溶解度を勘案して決定する。
【0027】
また、固形塩を水又は塩化ナトリウム水溶液に溶解させるときの温度は、硫酸ナトリウムが含まれている場合は、0℃〜50℃、特に15〜35℃が、硫酸ナトリウムの析出が少なく、塩化ナトリウムの回収率が高いので好ましい。この温度範囲は、精製する塩と不純物との相互溶解度の温度依存性を考慮して決定されるものであり、精製する塩と不純物の組み合わせにより最適な温度範囲は異なる。塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの場合、上記温度範囲において硫酸ナトリウムの水への溶解度が高い。
【0028】
塩化ナトリウムを主体とする固形塩から塩化カリウムと硫酸ナトリウムとを除去し精製する場合において、本発明の方法により塩化カリウムを完全に除去するように水等の量を調整し、硫酸ナトリウムは全量を除去せずに従来の脱硫技術を用いて除去することもできる。すなわち、塩化ナトリウムの回収コスト等を勘案して、塩化カリウムは本発明の方法により除去し、硫酸ナトリウムは本発明の方法では固形塩全質量の1.0質量%以下とするにとどめ、従来のSO4 2−を除去する技術を併用してもよい。
【0029】
すなわち、塩化カリウムを除去した後の固形塩を水に溶解した水溶液に水酸化カルシウム、塩化バリウム、塩化カルシウム、重金属やカルシウムやマグネシウム等の、硫酸塩と反応して水に対する溶解度の低い化合物を生成する物質を1種以上添加し、固液分離することにより、SO4 2−は除去され、高純度の塩化ナトリウム水溶液が得られる。
【0030】
また、処理すべき塩化ナトリウム水溶液をキレート樹脂と接触させることにより、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、水銀等を低減させることができるので、さらに高純度の塩化ナトリウム水溶液が得られる。
【0031】
上記では、塩化ナトリウムから硫酸ナトリウムと塩化カリウムを除去する方法について具体的に説明したが、本発明の方法はこれらに限定されず、本発明の方法によれば少量ずつ混入している種々の水溶性無機成分を同時に除去できる。すなわち、従来の塩化カルシウム添加法やイオン交換樹脂法では除去が困難であった、重金属塩素化合物や臭化ナトリウムのような臭素化合物、ヨウ素化合物、フッ素化合物、塩素酸ナトリウムのようなナトリウム化合物等の水溶性無機成分の除去ができる。
【0032】
特に、塩化ナトリウムをIM電解法に適用する場合、塩化ナトリウム中のヨウ素の許容濃度はきわめて低いので、本発明の方法を使用すれば、水溶性金属ヨウ化物をきわめて低い濃度まで除去することができ好ましい。
【0033】
以下、水溶性金属ヨウ化物がヨウ化ナトリウムである場合について具体的に説明する。塩化ナトリウムを含む固形塩からヨウ化ナトリウムを除去する場合、固形塩と水等を混合し、塩化ナトリウムを部分的に溶解させ他の水溶性無機塩を実質的に全量溶解させる操作では、ヨウ化ナトリウムがヨウ素換算で水に対して5質量%以下、特に2質量%以下となるように水等を加えることが好ましい。水等の量をこのように調整することにより、ヨウ化ナトリウムはほぼ全量が溶解する。
【0034】
また、固形塩中の塩化ナトリウムに対するヨウ化ナトリウムのモル比、ヨウ化ナトリウム/塩化ナトリウムは、0.01以下、特に0.005以下であることが好ましい。塩化ナトリウムをIM電解法における原料として使用するには、一般的にヨウ素が1質量ppm以下であることが必要とされている。したがって、固形塩中のヨウ素の含有量が多い場合、本発明の方法は複数回繰り返す必要が生じ、特に上記モル比が0.01を超える場合5回以上の繰り返しが必要となり、工程に時間がかかる。固形塩中の水溶性金属ヨウ化物の含有量や他の成分の含有量によっては、水溶性金属ヨウ化物をこの方法では一部除去し、キレート樹脂等で除去するなど、従来のヨウ素を除去する技術と併用してもよい。固形塩中のヨウ化ナトリウム濃度はできるだけ低い方が好ましいので、固形塩にヨウ化ナトリウムが少しでも含まれている(上記モル比が0超)場合は、本発明の精製方法を行うことは有効である。
【0035】
さらに本発明において、処理すべき固形塩中に水に不溶の不純物が含まれている場合は、上記処理により得られた固形の塩化ナトリウムを水に溶解し、再度固液分離すれば、水に不溶性の不純物が除去された塩化ナトリウム水溶液を得られる。例えばゴミ焼却場の排ガスのナトリウム化合物による処理により生じた副生塩の場合は、通常、電気集塵機からリークした飛灰の成分である重金属の酸化物、活性炭、シリカ、アルミノシリケート等が混入しているが、上記操作により非水溶性成分は固液分離して除去できる。
【0036】
以上によって、例えば塩化ナトリウムにおいては、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、アルミニウム、鉄、鉛、水銀、銅、ニッケル、クロム、コバルト、バナジウム、タングステン、マンガン、亜鉛、チタン、モリブデン、スズ、タンタル、バリウム、ハフニウム、銀、カドミウム、ガリウム、ビスマス、セリウム、リチウム、カリウム等の金属類や、シリカ、SO4 2−、HSO3 −、ClO2 −、フッ素、ヨウ素、臭素、ホウ素、リン、セレン、ヒ素、有機物等を除去できる。
【0037】
上記では、塩化ナトリウムを例示し説明したが、本発明は全く同様の原理によって、塩化カリウムや塩化リチウム等のアルカリ金属塩化物において、他のアルカリ金属塩化物、SO4 2−、重金属、その他の不純物の除去に適用できる。例えば塩化カリウムをIM電解法による水酸化カリウムの製造に使用できるように、塩化カリウム中のナトリウムの混入を低減できる。
【0038】
本発明により得られる固形の塩化ナトリウムは、IM電解法や水銀電解法や電気透析法での電気分解による水酸化ナトリウムの製造、塩化ナトリウム水溶液の蒸発による塩化ナトリウム結晶の製造、又はアンモニアソーダ法や塩化アンモニウムソーダ法による炭酸ナトリウムの製造に用いることができる。また、ヨウ素濃度に制約がある水酸化ナトリウム水溶液のIM電解法での製造に使用する場合でも、脱ヨウ素イオン交換樹脂等を用いる設備が不要又はその設備の規模を小さくできる。すなわち、従来の方法に比較し設備コストやランニングコストを小さくできる。
【0039】
本発明で精製する塩としては、都市ゴミ焼却場や産業廃棄物焼却場からの燃焼ガス中の塩化水素を含む酸性ガスをナトリウム化合物等により中和した副生塩が例示される。ここでナトリウム化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、これらは合成品及び天然品ともに使用できる。これらのナトリウム化合物は、湿式又は乾式のガス処理設備によってガス中の酸性ガスと反応して塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等が混合した副生塩が生成される。この副生塩には、通常塩化カリウムや金属ヨウ化物が不純物として含まれる。
【0040】
ナトリウム化合物の種類によりこの副生塩の生成工程に差はあるが、副生塩(副生塩が溶解した水溶液で得られる場合は該水溶液中の溶解成分)は、酸性ガスと未反応のアルカリ残量が異なる程度で基本的には同様な組成となりいずれも本発明の精製方法を適用できる。
【0041】
また、最終処分場等の埋め立て地等から雨水等により浸出した塩分を含む浸出水にも本発明の精製方法は上記と同様にして適用できる。浸出水は回収後、キレート法や、硫化物や水酸化物にする沈殿法や、限外濾過法や、電気透析法や、イオン交換膜法等で精製し濃縮固形化される。浸出水の主要成分は、都市ゴミの焼却物由来であるため、都市ゴミ焼却場からの副生塩と類似したものである。よって本発明の精製方法を使用すれば純度の高い塩化ナトリウムを回収できる。
【0042】
その他、工業プロセスの中間工程での精製や廃棄ガスの除害等によって発生した副生塩においても、アルカリ金属塩化物と他の水溶性無機塩が含まれていて前述の相互溶解度の差による分離が利用できれば本発明の方法を適用できる。
【0043】
本発明によれば、従来はゴミ焼却場等から発生する塩化水素の処理では技術的に回収することが難しかった、硫酸ナトリウムや塩化カリウムやヨウ素等を含まない塩化ナトリウム含有固形塩が得られる。
【0044】
次に、図面を参照しながら本発明の具体的態様を説明する。
図1は、例えば都市ゴミ焼却場で発生する排ガスを湿式で中和処理し、副生塩を得る、従来の排ガスの湿式中和処理工程を示す図である。ストーカー式ゴミ焼却炉11より発生した塩化水素、硫黄酸化物を含む排ガスG1は、廃熱ボイラ12、エコノマイザ13を通して熱回収された後、電気集塵機14へ導入され、ここで飛灰S1が除去される。次いで排ガスG1はガスエア熱交換器15、誘引通風機16を経て排ガス洗浄塔17に送られ、ここで水酸化ナトリウム水溶液と反応させ、排ガスG1中の塩化水素、硫黄酸化物等の酸性ガス成分を中和除去する。中和処理された排ガスG2は次いで蒸気式ガス加熱器18、消音器19を通って煙突20より排出される。
【0045】
一方、排ガス洗浄塔17における排ガスG1と水酸化ナトリウム水溶液との反応生成物(液体)は洗煙廃水L1として、凝集沈殿設備21に送られる。洗煙廃水L1には、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等が含まれている。凝集沈殿設備21では、キレート液及び凝集剤が添加され、固液分離することによって反応により生成した沈澱は図示されていない汚泥処理設備を通して処分される。ここで、キレート液としては、ミヨシ油脂社製のエポフロックL−1(商品名)、旭硝子エンジニアリング社製のアクリーンM(商品名)等が使用され、凝集剤としては高分子凝集剤、例えば栗田工業社製のアクアリックFHG(商品名)やクリフロック(商品名)、クリフィックスCP−933(商品名)、旭硝子エンジニアリング社製のアクリーンF(商品名)等が使用される。
【0046】
凝集沈殿設備21で処理されて得られた清澄液L2は、次いで砂濾過機22を経由して、中和槽23、キレート樹脂塔24、活性炭塔25にて精製後、乾燥機26により媒体が除去されて固形化され、副生塩S2が得られる。この副生塩S2は、重金属や不溶解成分はほぼ除去されているが、塩化ナトリウムのほかに硫酸ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ素化合物等を含んでいるため、単にカルシウムやマグネシウムを除去するのみではIM電解法等には使用できない。
【0047】
図2は、例えば都市ゴミ焼却場で発生する排ガスを乾式で中和処理し、副生塩を得る、従来の排ガスの乾式中和処理工程を示す図である。図1の工程同様にストーカー式ゴミ焼却炉11より発生した排ガスG1は、廃熱ボイラ12、エコノマイザ13を通して熱回収した後、排ガス冷却塔31に送られる。排ガス冷却塔31で排ガスG1はダイオキシンの合成温度以下に冷却された後、活性炭と粉末中和剤を吹き込んでこれと反応させる。ここで活性炭により排ガスからダイオキシン類が除去される。また、粉末中和剤としては炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はセスキ炭酸ナトリウム等が使用され、排ガスG1中の塩化水素、硫黄酸化物等が粉末中和剤と反応して副生塩が生成される。粉末中和剤には水酸化カルシウム等を併用してもよい。ただし、水酸化カルシウムは、排ガス中の塩化水素に対し大過剰に必要であり、水に溶解しても固形廃棄物を発生する等の問題がある。
【0048】
次に、粉末中和剤との反応により生成した、飛灰を含む副生塩S2’がバグフィルタ32で除去され、中和処理された排ガスG2は誘引通風機33を経て、煙突20より排出される。ここでバグフィルタ32で補集された副生塩S2’は、図1の工程で得られる副生塩S2と比較すると、重金属や飛灰や活性炭等の不溶解成分を含有していてさらに純度が低く、このままではIM電解法等には使用できない。
【0049】
図3は、例えば図1や図2の工程により処理されて生成された副生塩S2(S2’)を、水酸化ナトリウム水溶液のIM電解法による製造プロセスへ適用できる程度まで精製する工程を示しており、本発明の一態様であり、副生塩の精製プロセスを示す図である。まず、副生塩S2(S2’)は、混合槽41に送られ、ここに水又は淡塩水等の塩化ナトリウムを含む水溶液が投入され、副生塩S2(S2’)が部分的に溶解したスラリSL1を得る。スラリSL1では、水溶性無機塩のうち、ほぼ塩化ナトリウムのみが固体成分として存在しており、他の水溶性無機塩はほぼ液中に溶解している。
【0050】
次いでスラリSL1は濾過機42で固液分離され、さらに必要に応じて洗浄される。この固液分離操作を工業的に行うには、濾過機42としては水平ベルトフィルタ(真空濾過機)、円筒型真空濾過機、フィルタプレス、バスケット型遠心分離機等、洗浄機能を有しうる分離装置が好ましい。ここでの固液分離によってSO4 2−やカリウム等は液状物L3に含まれて除去される。ここまでのスラリ化と固液分離のプロセスは、図3に破線で示したように、繰り返し行うことができる。
【0051】
一方、固体として分離された粗精製塩S3は溶解槽43へ送られ、溶解槽43に供給される水又は淡塩水等の塩化ナトリウムを含む水溶液に溶解された後、濾過設備44にて水に不溶解な固形物S4を分離除去する。濾過設備44の濾液はさらに、反応槽45にて水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、キレート液、高分子凝集剤が添加され、カルシウム、マグネシウム、重金属等の水酸化物等の沈殿S5を形成する。次いで清澄槽46へ送られ、ここで沈殿S5は除去される。
【0052】
ここで、清澄槽46のかわりに、フィルタプレスや真空濾過機等の濾過設備を設置してもよい。清澄槽46からの清澄液L4は濾過設備47へ送られ、微量含まれている固形物を除去する。次いで、キレート樹脂塔48にて、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等をより高度に除去し、高度精製塩水L5を得る。濾過設備44及び47としては、サンドフィルタ、プレコートフィルタ、カートリッジフィルタ、フィルタプレス等が使用できる。
【0053】
この高度精製塩水L5は、IM電解法に適用できる純度を有するので、イオン交換膜式電解槽に供給されて、IM電解法により高純度の水酸化ナトリウム水溶液を得ることができる。
【0054】
【実施例】
[例1]
図1のプロセスにより得た副生塩30kgを、純水30kgと混合し、副生塩が部分的に溶解したスラリを得た。このときの水に対する硫酸ナトリウム、塩化カリウム及びヨウ化ナトリウムの濃度は、質量比でそれぞれ3.8%(SO4換算)、0.3%及び0.02%(ヨウ素換算)であった。このスラリを5Aの濾紙を使用してヌッチェで濾過し、濾過層に対し、試薬特級の塩化ナトリウムを水に溶解した25質量%の飽和水溶液を3kgスプレーして付着している母液を洗浄し除去した。固形物を濾紙より回収し15kgの塩(以下、粗精製塩という。)を回収した。
【0055】
この粗精製塩15kgを、純水42kgに溶解し、液中のSO4 2−の濃度0.2質量%程度となるように固形の硫酸ナトリウムを添加した。この操作は、実際にIM電解法のプロセスで淡塩水を循環して使用することを想定し、通常淡塩水に含まれるSO4 2−の濃度を考慮して行った。これに水酸化ナトリウム60g、炭酸ナトリウム25g及び高分子凝集剤(商品名:アクアリックFHG、栗田工業社製)を添加し、30分間撹拌した後、5Cの濾紙を使用してヌッチェで濾過した。ここで濾過された溶液を以下、一次精製塩水という。次いでこの一次精製塩水を52kg分取して、アミノリン酸型のイオン交換樹脂(商品名:DUOLITE C467、住友化学社製)140gを充填した第1の小型カラムを、通液空塔速度が20m/hとなるように通液した。なお、ここで通液空塔速度は、液流量(m3/h)をカラムの断面積(m2)で除した値である。
【0056】
第1の小型カラムを通過した液は、次いでヨウ素を除去するためにスチレン系マクロポーラス型のイオン交換樹脂(商品名:DUOLITE A161TRSO4、住友化学工業社製)140gを充填した第2の小型カラムに通液し、精製塩水(以下、二次精製塩水という。)を得た。副生塩、粗精製塩、一次精製塩水、二次精製塩水それぞれの分析値を表1に示す。なお、本例においてIM電解法に適用するための塩化ナトリウム水溶液の純度の目標値は表1のとおりとした。
【0057】
【表1】
【0058】
表1より、二次精製塩水はIM電解法に充分に使用できる純度を有することが確認された。またアンモニアソーダ法及び塩化アンモニウムソーダ法による炭酸ナトリウムの製造には一次精製塩水で充分に使用できることがわかった。
【0059】
次に、上記二次精製塩水を用いてIM電解法に適用した。すなわち、電解面積が縦5cm、横5cmの単極式電解槽にイオン交換膜(商品名:フレミオンF−795、旭硝子社製)を設置して、電流密度3kA/m2、温度85℃、陰極室の水酸化ナトリウム濃度32質量%、陽極室の塩化ナトリウムとして、上記二次精製塩水を使用し、塩化ナトリウム濃度を210g/Lとして、90日間連続運転した。経過日数と電流効率との関係を表2に示す。電流効率は、90日経過後でも低下していなかった。
【0060】
【表2】
【0061】
[例2]
図2のプロセスにて粉末中和剤として炭酸水素ナトリウムを脱塩剤として使用して得た副生塩21kgを、純水15kgと混合し、副性塩が部分的に溶解したスラリを得た。この時の水に対する硫酸ナトリウムのSO4換算濃度は3.8%、塩化カリウムの濃度は1.6%、水溶性金属ヨウ化物のヨウ素換算濃度は0.004%であった。このスラリを5Aの濾紙を使用してヌッチェで濾過し、濾過層に対し、試薬特級の塩化ナトリウムを水に溶解した25質量%の飽和水溶液を6kgスプレーして付着している母液を洗浄し除去した。固形物を濾紙より回収し16kgの塩(以下、粗精製塩という。)を回収した。この粗精製塩16kgを、純水26kgに溶解し、液中のSO4 2−の濃度が0.2質量%程度となるように固形の硫酸ナトリウムを添加した(以下、粗精製塩水という。)。
【0062】
次に粗精製塩水43kgを5Aの濾紙を使用してヌッチェで濾過し固形物を分離後、濾液にキレート液(商品名:エポフロック、ミヨシ油脂社製)を4.3g、塩化鉄15gを添加し30分間撹拌した。これにカチオン系の高分子凝集剤(商品名:クリフィックスCP−933、栗田工業社製)を添加して清澄分離し、5Aの濾紙を使用してヌッチェで濾過し精製塩水(以下、一次精製塩水という。)を得た。
【0063】
次いで一次精製塩水を40kg分取し、これに水酸化ナトリウム700g、炭酸ナトリウム26g、高分子凝集剤(商品名:アクアリック、日本触媒社製)を添加し、次いで5Cの濾紙を使用してヌッチェで濾過して二次精製塩水を得た。この二次精製塩水を、例1における一次精製塩水と同様に第1のカラム及び第2のカラムに通し、三次精製塩水を得た。副性塩、粗精製塩、一次精製塩水、二次精製塩水、三次精製塩水それぞれの分析値を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】
表3より、三次精製塩水はIM電解法に充分に使用できる純度を有することが確認された。またアンモニアソーダ法及び塩化アンモニウムソーダ法による炭酸ナトリウムの製造には一次精製塩水で充分に使用できることがわかった。
【0066】
陽極室の塩化ナトリウムとして、上記三次精製塩水を使用した以外は例1と同様にして、例1と同様の条件でIM電解法に適用して運転した。経過日数と電流効率との関係を表4に示す。電流効率は、90日経過後でも低下していなかった。
【0067】
【表4】
【0068】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、塩化ナトリウムと塩化カリウムの組み合わせのようなアルカリ金属塩化物どうしの分離が可能であり、例えば塩化カリウムと塩化ナトリウムの混合物から塩化カリウムを除去して塩化ナトリウムを回収できる。また、硫酸ナトリウム等の水溶性金属硫酸塩を不純物として含む場合も、新たな固形廃棄物を発生させずに水溶性金属硫酸塩を除去してアルカリ金属塩化物を精製できる。
【0069】
また、IM電解法においては許容濃度の低いヨウ素なども、本発明の方法によればきわめて低い濃度まで除去できる。本発明によれば、特に工業的にIM電解法の原料とできるまでに、アルカリ金属塩化物を高純度に精製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の排ガスの湿式中和処理工程を示す図。
【図2】従来の排ガスの乾式中和処理工程を示す図。
【図3】副生塩の精製プロセスを示す図。
【符号の説明】
11:ストーカー式ゴミ焼却炉
12:廃熱ボイラ
14:電気集塵機
17:排ガス洗浄塔
20:煙突
21:凝集沈殿設備
26:乾燥機
31:排気ガス冷却塔
32:バグフィルタ
41:混合槽
42:濾過機
43:溶解槽
45:反応槽
46:清澄槽
47:濾過設備
48:キレート樹脂塔
Claims (6)
- 塩化ナトリウムと、他の水溶性無機塩との混合物から、前記他の水溶性無機塩を分離することにより塩化ナトリウムを精製する方法であって、
前記混合物が、ゴミ焼却又はボイラにおける燃焼により生成した塩化水素を含有するガスを、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はセスキ炭酸ナトリウムで中和処理することにより得られたものであって、
前記混合物に対し、前記他の水溶性無機塩の1種以上を実質的に全量溶解しうる量でかつ塩化ナトリウムを全量溶解しない量の、水又は塩化ナトリウムの水溶液を添加して、前記他の水溶性無機塩の1種以上を実質的に全量溶解させ、得られたスラリを固液分離して固体成分を回収することを特徴とする塩化ナトリウムの精製方法。 - 前記他の水溶性無機塩の1種以上が、水溶性金属硫酸塩、水溶性金属ヨウ化物及びナトリウムとは異なるアルカリ金属の塩化物からなる群から選ばれる1種以上である請求項1に記載の精製方法。
- 水又は塩化ナトリウムの水溶液を、水に対して硫酸ナトリウムがSO4換算で12質量%以下の濃度となるように、又は塩化カリウム濃度が35質量%以下となるように、又はヨウ化ナトリウムがヨウ素換算で5質量%以下となるように、前記混合物に混合する請求項1または2に記載の精製方法。
- 前記混合物は、他の水溶性無機塩として硫酸ナトリウムを塩化ナトリウムに対して0.15倍モル以下含むか、又は他の水溶性無機塩として塩化カリウムを塩化ナトリウムに対して1.0倍モル以下含むか、又は他の水溶性無機塩としてヨウ化ナトリウムを塩化ナトリウムに対して0.01倍モル以下含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の精製方法。
- 前記スラリを固液分離して得られた固体成分を再び水に溶解した後、再び固液分離して水に溶解しない不純物を除去して塩化ナトリウムを水溶液として回収する請求項1〜4のいずれか一項に記載の精製方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の精製方法により精製して得られた塩化ナトリウムの水溶液を、イオン交換膜を用いて電気分解することを特徴とする水酸化ナトリウムの製造方法。
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