以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。まず、本実施形態のシステムにおいて入力デバイスとして使用される電子ペンの概要について説明する。
[電子ペン]
図1は電子ペンの使用形態を模式的に示す図であり、図2は電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子ペン10は、ドットパターンが印刷された専用ペーパー20と組み合わせて使用される。電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様に専用ペーパー20上に文字などを書くことになる。
図2に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、データ通信ユニット13、バッテリー14、LED15、カメラ16及び圧力センサ18を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
電子ペン10は、ペン先部17により専用ペーパー20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、専用ペーパー20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。LED15が専用ペーパー20上のペン先部17近傍を照明しつつ、カメラ16が専用ペーパー20に印刷されているドットパターンを読み取り、データ化する。つまり、電子ペン10は専用ペーパー20上で利用者が電子ペン10を移動させることにより生じるストロークを画像データ又はベクトルデータとして取得することができる。
圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により専用ペーパー上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で専用ペーパー20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、LED15及びカメラ16を作動する。
カメラ16は専用ペーパー20上のドットパターンを読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給されたドットパターンから、専用ペーパー20上でのX,Y座標を算出する。
プロセッサ11は、利用者の記述が行われる間に、筆圧の配列データ及びX,Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶していく。よって、メモリ12内には利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されていく。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。
利用者により送信指示がなされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。そして、利用者が送信指示を行うと、データ通信ユニット13により、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。基本的には、一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全てのデータを端末装置25へ送信するため、メモリ12内はクリアされる。よって、送信後にもう一度同じ情報を端末装置25へ送信したい場合には、利用者は専用ペーパー20上に再度記述を行う必要がある。なお、この場合、利用者は専用ペーパー20上にインクペンで書かれた文字などをなぞればよいことになる。
電子ペン10自体は、送信ボタンなどの機能ボタンを備えておらず、送信指示その他の指示は、利用者が専用ペーパー20上の所定位置に設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。専用ボックスの位置座標には、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は専用ボックスの位置座標を受信すると、データ通信ユニット13にメモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。なお、電子ペン10は、データの送信完了を電子ペンの振動により示すことができる。
バッテリー14は電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものであり、例えば電子ペンのキャップ(図示せず)により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うことができる。
このように、電子ペン10は利用者が専用ペーパー20上に記述した文字などに対応する座標データ及び筆圧データを取得して近傍の端末装置25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、専用ペーパー20上に記述した内容はオリジナルの原本として残るという特徴がある。即ち、紙の原本に対して記述するのと同時に、その内容を座標データなどの形態でリアルタイムに電子化することができる。
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はベクトルデータの形態であり、テキストデータではない。但し、電子ペン10は標準機能として、専用ペーパー20上に設けられた専用エリアに記述することにより、英数字に限りテキスト化する機能は備えている。
また、電子ペン10内には、ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)を保持することができ、アプリケーションから参照することができる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどを保持できる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、空きメモリ容量、名称、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などを保持することができる。
なお、上記の例におけるデータ通信ユニット13では、Bluetooth(登録商標)の無線伝送、USBケーブルを使用した有線伝送、端子などの接触によるデータ伝送など、各種の方法によって電子ペン10から端末装置25へのデータ送信を行うことが考えられる。
次に、電子ペンにより利用者が記述した内容のX,Y座標データを取得する方法について説明する。前述のように専用ペーパー20には、所定のドットパターンが印刷されている。電子ペン10のカメラ16は、利用者が専用ペーパー20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、専用ペーパー20上のドットパターンを読み取る。実際、図1に示すように、LED15による照明エリア及びカメラ16の撮影エリア(照明エリア内に位置する)は、ペン先部17が専用ペーパー20に接触する位置とはずれている。
ドットパターンはカーボンを含む専用インキなどで印刷されており、カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、専用ペーパー上に罫線や枠などを印刷しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、専用ペーパーを利用して各種申込書などの用紙を作成する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを印刷する。
ドットパターンは、図3に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組合せにより、専用ペーパー上の位置座標が決定される。図4(a)に例示するように、縦横2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、その専用ペーパー上の位置座標と対応付けされている。よって、電子ペン10のカメラ16が図4(a)に示すようなドットパターンを撮影すると、プロセッサ11はカメラ16から入力されるドットパターンのデータに基づいて図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する専用ペーパー上の位置座標(即ち、そのドットパターンがその専用ペーパー上のどの位置にあるのか)をリアルタイムで算出する。なお、ドットパターンを認識する最小単位は2mm×2mmであり、カメラ16は毎秒100回程度の撮影を行う。
次に、専用ペーパーについて説明する。専用ペーパーの構造の一例を図5に示す。図示のように、専用ペーパー20は、台紙30上にドットパターン32が印刷され、その上に罫線などの図案34が印刷されている。台紙30は通常は紙であり、ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより印刷される。また、通常のインキなどにより図案34が印刷される。ドットパターンと図案とは同時に印刷してもよいし、いずれかを先に印刷してもよい。
図案34の例を図6に示す。図6は、ある申込書36の例であり、複数の記入欄38や送信ボックス39が印刷されている。図6には明確に図示されておらず、詳細は後述するが、実際にはドットパターンが申込書36の全面に印刷されており、その上に記入欄38や送信ボックス39が通常のインキにより印刷されている。利用者は、ドットパターンを意識することなく、従来からある申込書と同様に、電子ペン10を使用して必要事項を申込書36の各記入欄38に記入すればよい。
専用ペーパー20上のエリアは大きく2種類のエリアに分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。図6の例では複数の記入欄38がこれに該当する。もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。図6の例における送信ボックス39がこれに該当する。
送信ボックス39は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25へ送信するための指示を行う際に使用される。利用者が送信ボックス39内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス内のドットパターンを読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11はデータ通信ユニット13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発する。
ドットパターンの割り当ては、通常、アプリケーション(用紙の種類)毎に行われる。即ち、ある申込書内のドットパターンは1枚の用紙の中で重複することはないが、同一の申込書には全て同じドットパターンが印刷されている。よって、利用者が電子ペン10で必要事項を入力すると、その入力事項がその申込書のどの項目に対するものであるかを、申込書上の座標データから特定することができる。
このように、ドットパターンを印刷した専用ペーパー上に所定の図案を印刷することにより、専用ペーパーを利用した各種申込書が作成できる。利用者は電子ペン10を使用して通常の要領で必要事項を記入すれば、その電子データが自動的に取得される。
上記の例では、ドットパターンは専用ペーパー上にカーボンを含むインキにより印刷されているが、プリンタ及びカーボンを含むインクを使用してドットパターンを通常の紙上にプリントすることも可能である。さらに、専用ペーパー上の図案も印刷ではなく、プリンタにより形成することも可能である。ドットパターンをプリンタにより紙上に形成する場合には、1枚1枚に異なるドットパターンを形成することが可能である。よって、形成されたドットパターンの違いにより、それらの用紙1枚1枚を識別し、区別することが可能となる。
なお、本明細書においては、「印刷」の語は、通常の印刷のみならず、プリンタによるプリントも含む概念とする。
次に、電子ペンにより取得したデータの送信処理について図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるサービスサーバがどこであるかの情報は含まれていない。その代わりに、その専用ペーパーに関するアプリケーションやサービスを特定する情報が専用ペーパー上のドットパターンに含まれており、利用者の入力作業中に専用ペーパーからその情報が取得されている。よって、電子ペン10から記入データを受け取った端末装置25は、まず、問い合わせサーバ26に対して、その専用ペーパーに対して入力されたデータをどのサービスサーバ27へ送信すべきかの問い合わせを行う。問い合わせサーバ26は、専用ペーパー毎に、対応するサービスサーバの情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該専用ペーパーに関するサービスなどを行うサービスサーバ27の情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。それから、端末装置25は、電子ペンから取得した記入データをそのサービスサーバ27へ送信することになる。
なお、上記の例では端末装置25、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27が別個に構成されているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成することも可能である。本実施形態において、後述するサーバは、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27を兼ねているものとする。
[申込処理システム]
次に、本実施形態の申込処理システムについて説明する。図7に申込処理システム100の概略構成を示す。図7に示す申込処理システムは、利用者が電子ペン用用紙において記入した情報に基づいて自動的に申込書を作成することができるものである。電子ペン用用紙とは、利用者が電子ペン10を使用して記入を行う電子ペン用帳票、商品やプランを紹介するために写真等が掲載されており、利用者が電子ペン10を使用して記入を行う電子ペン用パンフレットなどを含むものとする。
図7に示すように、申込処理システム100は、端末装置25及びサーバ5がネットワーク2を通じて接続されることにより構成される。ここで、ネットワーク2の1つの好適な例はインターネットである。また、端末装置25とは、利用者が使用するPCや携帯電話といったネットワーク2を介してデータの授受が可能な端末である。なお、サーバ5は、必要項目データベース(以下、「DB」と呼ぶ。)51、座標情報DB52、申込情報DB53、選択情報DB54及び共通情報DB55に接続されている。ここで、本実施形態の申込処理システム100で利用する電子ペン用用紙は、詳細は後述するが、パンフレット3であるものとする。
まず、本システムにおける申込処理方法の概要を述べておく。なお、本実施形態では、利用者が旅行の申込を行う場合について説明する。
図8は、パンフレット3の例を示す図である。パンフレット3は、上述の専用ペーパーとして作成されたものであり、利用者が当該パンフレット3を使用して行った申込を識別する情報である申込番号を記入するための申込番号項目61が設定されている。また、パンフレット3は、図8に示すように、左側がホテルや交通機関を予約するプランを申し込むための旅行申込に関する部分、右側が旅行で使用するクレジットカードを申し込むためのクレジットカード申込に関する部分となっている。なお、パンフレット3は、上述の送信ボックスが設定されているが、便宜上図8では省略されているものとする。
図9は、記入後のパンフレット3を示す。利用者は、パンフレット3において、電子ペン10を使用して、図9に示すような記入を行う。まず、利用者は、申込番号項目61に、当該パンフレット3を使用した申込を識別する情報である申込番号「1234」を記入する。そして、利用者は、詳細は後述するが、記入情報に基づいて旅行会社及びカード会社と正式な契約をすることを望む場合、確定項目にチェックマークを記入した後、ホテル項目やオプショナルツアー項目への記入を行う。なお、本実施形態では、利用者が申込番号を記入することにより申込を識別することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、申込サーバが自動採版することにより申込を識別する方法、パンフレット3に印刷されたドットパターンに基づいて申込を識別する方法など種々の方法を適用することができる。即ち、利用者がパンフレット3に申込番号を記入するか否かは任意に設定することが可能である。
このとき、電子ペン10は、パンフレット3に記入された内容に対応するストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に一時的に記憶した後、当該ストロークデータを端末装置25へ送信する。端末装置25は、電子ペン10からストロークデータを受信し、ネットワーク2を通じてサーバ5へ送信する。このようにして、サーバ5は、ストロークデータを、利用者がパンフレット3に対して記入した内容を示す記入情報として取得する。
次に、サーバ5は、パンフレットにおいて各項目が設定されたドットパターン上の位置座標に基づいて、記入情報から各項目に記入された情報を抽出する。サーバ5は、抽出した情報に基づいて、申込番号、申込種別、チェックマークが記入された項目及びボックスの特定を行う。また、サーバ5は、抽出した情報から、イメージデータやストロークデータを抽出し、文字認識を行う。そして、サーバ5は、確定項目65にチェックマークが記入されていることを特定した場合、申込番号をキーとして、種別ID、申込種別、項目名、項目ID及び確定内容を申込情報DB53に記憶する。ここで、詳細は後述するが、種別IDとは、申込種別を識別する情報であり、項目IDとは項目を識別する情報である。
さらに、サーバ5は、旅行申込及びクレジットカード申込に必要な項目と、申込情報DB53に記憶された情報とに基づいて、それぞれ図10及び図11に示すような旅行契約申込書及びクレジットカード契約申込書を作成する。また、サーバ5は、申込情報DB53に記憶された情報に基づいて、図12に示すような旅行の日程表といった付属書類を作成することができる。サーバ5が作成した各申込書及び付属書類は、端末装置25へ送信され、紙媒体にプリントアウトされる。利用者は、プリントアウトした申込書の内容を確認し、押印をした後、それぞれの申込主体、ここでは旅行会社及びカード会社に当該申込書を提出することで、正式な旅行契約及びカード契約を締結し、申込処理を完了することができる。
これによれば、パンフレット3を閲覧し、プランや商品を選択する行為を、直接電子ペン10を利用した申込処理システム100へ連動させることで、利用者がパンフレットを閲覧しながら、当該パンフレットとは異なる所定の申込書に記入する手間を生じさせることなく、自動的に申込書を作成することができる。
[パンフレット]
次に、パンフレット3について図8を参照して説明する。パンフレット3は、上述の専用ペーパーとして作成されたものであり、利用者が当該パンフレット3を使用して行った申込を識別する申込番号を記入するための申込番号項目61が設定されている。また、パンフレット3は、図8に示すように、左側がホテルや交通機関を予約するプランの申込をするために行う旅行会社との旅行申込に関する部分、右側が旅行で使用するクレジットカードの申込をするために行うカード会社とのクレジットカード申込に関する部分となっている。なお、予約番号項目62については、後述する。
旅行会社との旅行申込に関する部分は、選択項目63、保留項目64、確定項目65、ホテル項目、航空便:往路項目、航空便:復路項目及びオプショナルツアー項目が設定されている。なお、ホテル項目、航空便項目及びオプショナルツアー項目は複数のボックスから構成されており、利用者は最終的に各項目につき1つのボックスを確定することになる。
ここで、選択項目63は、利用者がパンフレット3を閲覧してホテルや航空便を選択する段階で使用される項目である。そのため、選択項目63にチェックマークを記入した後に、利用者が電子ペン10を使用してパンフレット3に記入した情報は、顧客の心理状況を知るためのマーケティングデータとして記憶・管理される。保留項目64は、利用者がパンフレット3を閲覧してホテルや航空便を選択する行為を一時中断する際に使用されるボックスである。確定項目65は、利用者がパンフレット3を閲覧してホテルや航空便を確定して申込書を作成する段階で使用されるボックスである。そのため、確定項目65にチェックマークを記入した後に、利用者が電子ペン10を使用してパンフレット3に記入した情報は、正式な契約を締結するために必要な申込書を作成するデータとして記憶・管理される。
また、ホテル項目は、申込可能なホテルに関するボックスから構成されており、利用者は宿泊したいホテルにチェックマークを記入する。航空便項目、オプショナルツアー項目も同様なため、便宜上説明は省略する。なお、パンフレット3には、オプショナルツアーを説明するためのイメージ画像67が印刷されている。
カード会社とのクレジットカード申込に関する部分は、氏名項目、住所項目、電話番号項目など複数が設定されており、利用者は電子ペン10を使用して各項目に必要な情報を記入する。
なお、パンフレット3に設定された項目は、複数のボックスから構成されておりチェックマークを記入する項目、及び、ボックスを構成要素として含んでおらず文字や記号を記入する項目の2種類が存在する。各項目には、それぞれを識別するための項目IDが設定されているが、図8に示すように、複数のボックスから構成される項目の場合、各ボックスを識別するためにそれぞれ項目IDが設定される。具体的に、ホテル選択項目を構成する3つのボックスには、それぞれ項目ID「B01」、「B02」、「B03」が設定されている。このように、複数のボックスから構成される項目の場合、詳細は後述するが、サーバ5は、どのボックスにチェックマークが記入されたかで、利用者が選択・確定した内容を認識する。一方、図8に示すように、ボックスを構成要素として含まない項目の場合、各項目に1つの項目IDが設定される。具体的に、氏名項目には、項目ID「I21」が設定されている。このように、ボックスを構成要素として含まない項目の場合、詳細は後述するが、サーバ5は、項目に記入された情報をストロークデータやイメージデータとして抽出し、必要に応じて文字認識を行うことで、利用者が選択・確定した内容を認識する。
[サーバ]
次に、サーバ5について詳しく説明する。図13は、申込処理システム100における、特にサーバ5の内部構成を示す。図示のように、サーバ5は、申込処理プログラム500、記入情報取得機能501、記入情報特定機能502、申込情報記憶機能503、選択情報記憶機能504、共通情報記憶機能505及び申込書作成機能506から構成されている。なお、各機能は、サーバ5が有するCPUが予め用意されたプログラムを実行することにより実現される。
申込処理プログラム500は、電子ペン10から取得した記入情報から、座標情報DB52に基づいてパンフレット3の各項目に記入された情報を抽出し、申込情報DB53又は選択情報DB54で記憶・管理する機能である。また、申込処理プログラム500は、電子ペン10から取得した記入情報から、複数の申込書を作成する際に必要となる共通項目に関する共通情報を抽出し、共通情報DB55に記憶する機能である。さらに、申込処理プログラム500は、必要項目DB51に記憶された特定の契約に係る申込書作成に必要な項目と、申込情報DB53及び共通情報DB55に記憶された情報とに基づいて申込書を作成する機能である。
記入情報取得機能501は、申込処理プログラム500を実行することにより、利用者が電子ペン10を使用してパンフレット3に記入した記入情報を取得する機能である。
記入情報特定機能502は、記入情報取得機能501が取得した記入情報から、座標情報DB52に記憶された座標データに基づいて、申込番号、申込種別、選択内容及び確定内容を特定する機能である。
ここで、座標情報DB52について説明する。座標情報DB52は、図15に示すように、種別ID、申込種別、項目名、項目ID、内容及び座標データから構成されている。申込種別は、パンフレット3に対応する申込の種別を表しており、種別IDは、申込種別を識別する情報である。項目名は、パンフレット3の各契約に係る部分を構成する項目の名称を表しており、項目IDは、各項目を識別する情報である。内容は、各項目の内容を示す情報である。座標データは、各項目のドットパターン上の位置座標を示す情報であり、各項目の左上の座標及び右下の座標により表されている。
なお、記入情報特定機能502は、内容種類特定機能、申込番号特定機能、申込種別特定機能、ボックス特定機能及びデータ抽出機能から構成されている。
ここで、内容種類特定機能とは、図9に示すような、パンフレット3において、選択項目63、保留項目64、確定項目65のいずれのボックスにチェックマークが記入されたかを特定する機能である。選択項目63及び保留項目64にチェックマークが記入されたと特定した場合、後述する選択情報記憶機能504は、記入情報を選択情報DB54に記憶する。一方、確定項目65にチェックマークが記入されたと特定した場合、後述する申込情報記憶機能503は、記入情報を申込情報DB53に記憶する。
申込番号特定機能とは、図9に示すような、パンフレット3の申込番号項目61に記入された情報をイメージデータやストロークデータとして記入情報から抽出し、文字認識することで、当該パンフレット3を使用して行われた申込を識別する情報である申込番号を特定する機能である。
申込種別特定機能とは、利用者が電子ペン10を使用して記入したパンフレット3に対応する申込の種別を特定する機能である。具体的に、図9に示すようなパンフレット3は、旅行会社との旅行申込と、カード会社とのクレジットカード申込とに対応している。よって、申込種別特定機能は、記入情報及び座標情報DB52に基づいて、パンフレット3の左側の記入情報の申込種別は旅行申込であり、右側の記入情報の申込種別はカード申込であると特定する。
ボックス特定機能とは、記入情報及び座標情報DB52に基づいて、各項目を構成するボックスの中でチェックマークが記入されたものを特定する。具体的に、図9に示すようなパンフレット3は、ホテル項目では「オーシャンホテル」、航空便:往路項目では「DN456」、航空便:復路項目では「NK145」、オプショナルツアー項目では「スキューバダイビング体験ツアー」にチェックマークが記入されたものと特定する。
データ抽出機能とは、座標情報DB52に基づいて記入情報から、ボックスを構成要素としない項目に記入されたストロークデータやイメージデータを抽出する機能である。具体的に、図9に示すようなパンフレット3は、データ抽出機能が抽出したデータに基づいて、氏名項目において「田中太郎」、住所項目において「東京都新宿区1-2-3」が文字認識される。
申込情報記憶機能503は、確定項目65にチェックマークが記入されている場合に、記入情報特定機能502が特定した情報を、申込情報テーブルとして申込情報DB53に記憶する機能である。ここで、申込情報DB53について説明する。申込情報DB53は、図16に示すように、申込番号、種別ID、申込種別、項目名、項目ID及び確定内容から構成されている。申込番号は、記入情報特定機能502の申込番号特定機能が特定した申込番号である。申込種別は、申込種別特定機能が特定した種別であり、種別IDは、当該種別を識別する情報である。項目名は、利用者が電子ペン10を使用して記入した項目の名称であり、確定内容は、各項目において利用者が確定する情報として記入した内容を示す情報である。申込情報記憶機能503は、記入情報取得機能501が取得した記入情報を、記入情報特定機能502が特定した情報に基づいて、図16に示すような申込情報DB53において記憶・管理している。
選択情報記憶機能504は、内容種別が「選択」又は「保留」である場合に、記入情報特定機能502が特定した情報を、選択情報テーブルとして選択情報DB54に記憶する機能である。ここで、選択情報DB54について説明する。選択情報DB54は、図17に示すように、申込番号、種別ID、申込種別、項目名、項目ID及び選択内容から構成されている。申込番号は、記入情報特定機能502の申込番号特定機能が特定した申込番号である。申込種別は、申込種別特定機能が特定した種別であり、種別IDは、当該種別を識別する情報である。項目名は、利用者が電子ペン10を使用して記入した項目の名称であり、選択内容は、各項目において利用者が選択した内容を示す情報である。選択内容は、申込書を作成するために必要なデータではなく、利用者が確定に至るまでの経緯を辿り、パンフレット3上で商品やプランを選択する心理状況を知るためのデータであるため、上述の確定内容と異なり、複数であっても構わない。選択情報記憶機能504は、記入情報取得機能501が取得した記入情報を、記入情報特定機能502が特定した情報に基づいて、図17に示すような選択情報DB54において記憶・管理している。このような選択情報DB54によれば、未確定の申込手続きがどこまで進行しているのかを容易に把握することができる。また、選択情報DB54に記憶された情報を考慮して、後述する付属書類を作成することで、利用者の嗜好に合致した書類を作成することが可能となる。
共通情報記憶機能505は、記入情報取得機能501が取得した記入情報から、複数の申込書を作成する際に必要となる共通項目に関する共通情報を抽出し、共通情報DB55に記憶する機能である。具体的に、複数の申込種別の申込書を作成する場合に、それぞれ氏名、住所、電話番号、生年月日などに関する情報が必要であれば、これらの項目に関する情報を共通情報として、申込情報DB53又は選択情報DB54のいずか1つ以上から抽出し、共通情報DB55に記憶する。ここで、共通情報DB55について説明する。共通情報DB55は、図18に示すように、利用者ID、申込番号、氏名、住所、電話番号などから構成されている。利用者IDは、利用者を個別に識別するための情報であり、共通情報記憶機能505が発行する。申込番号は、記入情報特定機能502の申込番号特定機能が特定した申込番号である。氏名、住所、電話番号などは、申込情報DB53又は選択情報DB54から抽出した共通情報である。共通情報記憶機能505は、記入情報取得機能501が取得した記入情報から抽出した共通情報を、図18に示すような共通情報DB55において記憶・管理している。このような、共通情報DB55によれば、利用者に1度記入してもらった氏名や住所といった共通情報は再度利用することができるため、利用者が何度も同じ情報を記入するといった煩雑な作業を回避することができる。
申込書作成機能506は、必要項目DB51に記憶された特定の申込種別に対応する申込書を作成する際に必要な項目と、申込情報DB53及び共通情報DB55に記憶された情報とに基づいて申込書を作成する機能である。ここで、必要項目DB51について説明する。必要項目DB51は、図14に示すように、種別ID、申込種別、項目名及び関連申込種別から構成されている。必要項目DB51は、種別IDが示す申込種別に対応する申込書を作成する際に必要な項目を記憶している。つまり、図14によれば、種別ID「K001」、申込種別「旅行申込」に係る申込書は、氏名項目、住所項目、電話番号項目、生年月日項目、ホテル項目、航空便項目及びオプショナルツアー項目から構成されることになる。よって、旅行申込に対応する旅行契約申込書は、図10に示すようになる。なお、関連申込種別については後述の第2変形例において説明する。申込書作成機能506は、記入情報特定機能502が特定した種別IDをキーとして必要項目DB51から抽出した必要項目と、申込情報DB53及び共通情報DB55に記憶された情報とに基づいて、図10及び図11に示すような、旅行契約申込書及びクレジットカード契約申込書を作成する。
また、申込書作成機能506は、申込情報DB53、選択情報DB54及び共通情報DB55に記憶された情報に基づいて、付属書類を作成することができる。ここで、付属書類とは、所定の契約において参考となる書類のことであり、具体的に旅行契約であれば、図12に示すような日程表が挙げられる。申込書作成機能506は、図示のように、パンフレット3に使用しているオプショナルツアーのイメージ画像67などを利用して日程表を作成することができる。さらに、選択情報DB54に、利用者がオプショナルツアー項目でスキューバダイビング体験ツアーとパラセイリング体験ツアーを選択していることが記憶されている場合、日程表に、利用者が申し込んだスキューバダイビング体験ツアーのイメージ画像のみならず、パラセイリング体験ツアーのイメージ画像を組み込むことができる。このように、申込情報DB53のみならず、選択情報DB54に記憶された情報に基づくことにより、利用者の嗜好に合った付属書類を作成し、所定の商品やプランの販売促進を図ることもできる。
[申込処理]
次に、申込処理システム100により実行される申込処理について説明する。図19は、申込処理のフローチャートである。
利用者は、まず、電子ペン10を使用してパンフレット3への記入を行う。パンフレット3への記入が終了すると、利用者は、送信ボックスにチェックマークを記入することにより、端末装置25を介して記入情報をサーバ5へ送信する。
サーバ5は、ネットワークを介して端末装置25から記入情報を取得する(ステップS1)。そして、サーバ5は、取得した記入情報から、座標DB52を参照することにより、記入情報の特定を行う(ステップS2)。サーバ5は、記入情報が確定された内容ではなく、記入者により選択された内容であると判定した場合(ステップS3;No)、ステップS2において特定した情報を選択情報DB54に記憶する(ステップS4)。さらに、サーバ5は、選択情報DB54に記憶した情報に共通情報が含まれているか否かを判定する(ステップS5)。共通情報が含まれていないと判定した場合(ステップS5;No)、サーバ5は、申込処理を終了する。一方、共通情報が含まれていると判定した場合(ステップS5;Yes)、サーバ5は、共通情報を共通情報DB55に記憶した後、申込処理を終了する(ステップS6)。
一方、記入情報が利用者により確定された内容であると判定した場合(ステップS3;Yes)、ステップS2において特定した情報を申込情報DB53に記憶する(ステップS7)。さらに、サーバ5は、申込情報DB53に記憶した情報に共通情報が含まれているか否かを判定する(ステップS8)。共通情報が含まれていないと判定した場合(ステップS8;No)、サーバ5は、ステップS10に進む。一方、共通情報が含まれていると判定した場合(ステップS8;Yes)、サーバ5は、共通情報を共通情報DB55に記憶する(ステップS9)。そして、サーバ5は、必要項目DBから、ステップS2において特定した種別IDに基づいて必要項目を抽出する(ステップS10)。さらに、サーバ5は、申込情報DB53及び共通情報DB55から、ステップS10において抽出した必要項目に対応する情報を抽出する(ステップS11)。
次に、サーバ5は、ステップS11において必要項目を全て抽出したか否かを判定する(ステップS12)。必要項目を全て抽出しなかったと判定した場合(ステップS12;No)、利用者に記入に不備がある等の問題が考えられるため、サーバ5は、申込書を作成することなく、申込処理を終了する。一方、必要項目を全て抽出したと判定した場合(ステップS12;Yes)、サーバ5は、抽出した情報に基づいて図10及び図11に示すような申込書を作成する(ステップS13)。そして、サーバ5は、付属書類作成の有無を判定し(ステップS14)、付属書類を作成しないと判定した場合(ステップS14;No)、申込処理を終了する。一方、付属書類を作成すると判定した場合(ステップS14;Yes)、サーバ5は、図12に示すような付属書類を作成した後、申込処理を完了する(ステップS15)。
サーバ5は、申込処理を完了すると、作成した申込書及び付属書類を、ネットワーク2を介して端末装置25へ送信する。端末装置25において、申込書及び付属書類は紙媒体にプリントアウトされる。利用者は、プリントアウトされた申込書を確認した後、必要であれば押印をして各申込主体へ提出することにより正式な契約を締結することができる。
なお、本実施形態では、サーバ5が作成した申込書をプリントアウトすることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、押印などの必要がない申込の場合にはオンデマンド処理により利用者と各申込主体間での正式な契約が締結されることとしてもよい。また、サーバ5が作成した申込書と、利用者の電子署名により正式な契約が締結されることとしてもよい。
また、本実施形態では、記入情報から抽出可能な共通情報を共通情報DB55に記憶し、申込書を作成する際に共通情報DB55から抽出した情報を利用することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、記入情報から直接抽出した共通情報を、申込書を作成する際に利用することとしてもよい。即ち、共通情報DB55は、申込処理システム100において共通情報DB55は必須構成要件ではなく、任意で設置可能な構成要件である。
また、本実施形態では、サーバ5が、電子ペン10により記入された記入情報に対応する電子データを取得し、申込処理処理を行うこととしている。これによれば、サーバ5は、申込処理を適用しながら、複数の利用者の記入情報を一括管理することができる。また、サーバ5が申込処理を行うため、端末装置25の負荷を軽減することが可能である。
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図13に示すような、サーバ5が保有する申込処理プログラム500と、各機能501乃至506とを端末装置25が保有し、端末装置25が申込処理を行うこととしてもよい。これによれば、記入情報に対応する電子データは、ネットワーク2を介してサーバ5へ送信されることなく、電子ペン10から直接端末装置25により取得される。よって、ネットワーク2などの通信設備を備えていない端末装置25上で容易に申込処理を行い申込書や付属書類を作成することができる。
このように本実施形態によれば、パンフレット3を閲覧し、プランや商品を選択する行為を、直接電子ペン10を利用した申込処理システム100へ連動させることができるため、利用者による複数の申込書への記入の手間を省くことができる。また、共通情報を他の申込書を作成する際に利用することができるため、利用者が何度も同じ情報を記入するといった煩雑な行為を回避することができる。また、パンフレットを閲覧し、プランや商品を選択する段階は、利用者の選択の迷いが生じる段階である。そのため、選択情報DB54に記憶された情報に基づいて、価値の高いマーケティングデータを各申込主体に提供することが可能となる。また、選択情報DB54に記憶された情報に基づいて付属書類を作成することで、申込書とは別に嗜好に合った情報を利用者に提供することが可能となる。
[第1変形例]
上記実施形態では、利用者がパンフレット3に記入した記入情報に基づいて申込処理を行うこととしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、予めネットワーク2を介して利用者端末から入力した予約情報に基づいて申込処理を行うことも可能である。このような予約情報に基づく申込処理について以下に説明する。
利用者は、所定の申込主体と契約を締結したいと考えた場合、利用者端末を使用して予め当該契約に対応する申込書に必要な項目を入力し、予約情報としてサーバ5へ送信する。具体的に、利用者が旅行申込及びクレジットカード申込に関する契約を締結したいと考えた場合、予約情報として氏名、住所、電話番号などに関する情報をサーバ5へ送信する。サーバ5は、予約情報を識別するための予約番号を発行し、図20に示すように、当該予約番号をキーとして予約情報を予約情報DBに記憶する。具体的に、予約番号「2222」が発行されたものとする。この予約番号は、利用者に提示される。
次に、利用者は、図8に示すようなパンフレット3において予約情報として予めサーバ5に送信した情報以外の項目への記入を行う。このとき、利用者は、予約番号項目62に、予約情報を送信した際に提示された予約番号「2222」を記入する。そして、利用者は、送信ボックスへチェックマークを記入することにより記入情報をサーバ5へ送信する。サーバ5は、受信した記入情報から、座標情報DB52に基づいて予約番号を抽出する。さらに、サーバ5は、抽出した予約番号をキーとして、図20に示すような予約情報DBから予約情報を抽出する。そして、サーバ5は、記入情報及び予約情報から特定した情報と、必要項目DB51から抽出した必要項目とに基づいて、所定の申込書を作成する。
これによれば、利用者が予め自宅の端末などから予約情報を送信することで、パンフレット3において電子ペン10により多くの情報を記入することなく、容易に申込書を作成し、所定の契約を締結することができる。
[第2変形例]
上記実施形態では、図8に示すように、申込主体の異なる2つの契約、具体的に旅行会社との旅行申込及びカード会社とのクレジットカード申込に関する契約を締結するために1つのパンフレット3を利用することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、図21に示すように、申込主体毎に異なるパンフレットを利用することも可能である。このように、申込主体毎に異なるパンフレット3を利用する申込処理について以下に説明する。
旅行の申込を行うため、利用者が、旅行会社と旅行申込に関する契約を、カード会社とクレジットカード申込に関する契約を、保険会社と保険申込に関する契約を締結したいと考えた場合、まず、図21(a)に示すような旅行申込パンフレットへの記入を行う。ここで、旅行申込パンフレットは、申込番号項目61、予約番号項目62、申込種別項目、選択項目63などから構成されている。なお、旅行申込パンフレットには、旅行申込に係る申込書を作成するための必要な航空便項目やオプショナルツアー項目なども構成要素として含まれているが、便宜上、図21(a)には図示されていないものとする。
申込番号項目61は、利用者による旅行の申込を識別する情報であり、今回の旅行の申込において契約が締結される旅行申込、クレジットカード申込及び保険申込に共通する番号である。具体的に、申込番号を「1234」であるとする。予約番号項目62は、予約情報を識別する情報であるが、本第2変形例では予約情報を予めサーバ5に送信していないものとする。なお、選択項目63、保留項目64、確定項目65及びホテル項目については、上記実施形態と同様であるため、便宜上、詳細は省略する。申込種別項目は、クレジットカード申込ボックス81及び保険申込ボックス82から構成されている。
ここで、申込種別項目について詳細に説明する。申込種別とは、旅行申込に関連した申込種別であり、本第2変形例では、旅行申込と、クレジットカード申込及び保険申込とが旅行の申込をする上で関連した申込であるものとする。そのため、旅行申込パンフレット上の申込種別項目には、クレジットカード申込ボックス81及び保険申込ボックス82が設定されている。利用者は、旅行の申込のため、旅行申込をする際に、関連するクレジットカード申込も同時に行う場合、旅行申込パンフレット上の所定の項目への記入を終了した後、クレジットカード申込ボックス81にチェックマークを記入する。なお、関連する申込の申込種別については、図14に示すような必要項目DB51の関連申込種別項目として記憶されている。
次に、利用者は、図21(b)に示すようなクレジットカード申込パンフレットへの記入を行う。ここで、クレジットカード申込パンフレットは、申込種別項目などから構成されている。申込種別項目は、旅行申込ボックス83aから構成されている。なお、クレジットカード申込パンフレットには、クレジットカード申込に係る申込書を作成するための必要な氏名項目や住所項目なども構成要素として含まれているが、便宜上、図21(b)には図示されていないものとする。
利用者は、旅行申込をする際に、関連するクレジットカード申込を同時に行う場合、旅行申込パンフレット上の所定の項目への記入を終了した後、クレジットカード申込ボックス81にチェックマークを記入する。次に、利用者は、クレジットカード申込パンフレット上の旅行申込ボックス83aにチェックマークを記入した後、所定の項目への記入を行う。そして、利用者は、送信ボックスにチェックマークを記入することにより、サーバ5へ記入情報を送信する。なお、旅行申込パンフレット及びクレジットカード申込パンフレット上の各ボックスの位置は、座標情報DB52において、項目IDに対応付けた座標データとして記憶されているものとする。
サーバ5は、記入情報から、座標情報DB52を参照することにより、申込種別項目への記入情報を抽出し、どのボックスにストロークが記入されたかを特定する。そして、サーバ5は、特定した申込種別項目のボックスに基づいて、複数の申込を関連付ける。具体的に、記入情報から、旅行申込パンフレットのクレジットカード申込ボックス81にチェックマークが記入された後、クレジットカード申込パンフレットの旅行申込ボックス83aにチェックマークが記入されたことを特定した場合、サーバ5は、旅行申込とクレジットカード申込とを関連付けて申込処理を行う。即ち、同一の申込番号「1234」に基づいて、申込情報DB53や選択情報DB54への記憶を行う。
次に、旅行申込、クレジットカード申込及び保険申込を行う場合に行われる、利用者の記入を時系列に説明する。図22(a)は、旅行申込パンフレット、クレジットカード申込パンフレット及び保険申込パンフレットを模式的に示す図である。また、図23は、各パンフレットへの記入を時系列に説明した図である。
図22(a)及び(b)に示すように、利用者は、まず、旅行申込パンフレット上における所定の項目への記入をした後、クレジットカード申込ボックス81へチェックマークを記入する。そして、利用者は、クレジットカード申込パンフレット上における旅行申込ボックス83aへチェックマークを記入し、申込書作成に必要な項目への記入を行う。次に、利用者は、旅行申込パンフレット上における保険申込ボックス52へチェックマークを記入する。そして、利用者は、保険申込パンフレット上における保険申込ボックス83bへチェックマークを記入し、所定の項目への記入を行う。最後に、利用者は、送信ボックスへチェックマークを記入することにより、記入情報をサーバ5へ送信する。サーバ5は、記入情報及び座標情報DB52に基づいて、関連項目においてストロークが記入されたボックスを特定することにより、旅行申込、クレジットカード申込及び保険申込を関連付け、1つの申込番号で申込処理を行う。
なお、上記第2変形例では、申込種別毎にパンフレットに印刷されるドットパターンが異なることを想定している。換言すると、同一の申込種別、即ち同一の申込に対応するパンフレットは同一のドットパターンが印刷されていることを想定している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、同一の申込種別、即ち同一の申込に対応するパンフレットであっても印刷されるドットパターンが全て異なるようにすることも可能である。また、同一の申込に対応するパンフレットであっても、申込種別項目の各ボックスに印刷されるドットパターンが全て異なるようにすることも可能である。
この場合、図23(a)及び(b)に示すように、利用者が旅行申込パンフレット上のクレジットカード申込ボックス81にチェックマークを記入した後、クレジットカード申込パンフレット上の旅行申込ボックス83aにチェックマークを記入することで、サーバ5は、旅行申込とクレジットカード申込を関連付けて処理することができる。このように申込種別項目を利用して予め複数の申込を関連付けておけば、申込書の作成に必要な項目への記入はどのタイミングで行っても構わない。同様に、利用者が旅行申込パンフレット上の保険申込ボックス82にチェックマークを記入した後、保険申込パンフレット上の旅行申込ボックス83bにチェックマークを記入することで、サーバ5は、旅行申込と保険申込を容易に関連付けて処理することができる。
これによれば、申込主体毎に異なるパンフレットであっても、サーバ5は、利用者が記入した情報を関連付けて申込情報DB53及び関連情報DB54に記憶する。そのため、各申込に対応する申込書を作成する際にサーバ5は共通情報を容易に利用することができる。よって、利用者が何度も同じ情報を記入するといった煩雑な行為を回避することができる。
なお、上記第2変形例では、申込主体毎に異なるパンフレットとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、同一申込主体であっても、項目毎など所定の群毎に異なるパンフレットを作成し、申込種別項目に基づいて関連付けすることとしてもよい。
また、上記第2変形例では、申込種別項目へのチェックマークの記入により関連付けをする場合について説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、申込種別項目を使用せずに関連付けする場合にも適用することができる。具体的に、申込種別項目を使用せずに関連付けする方法としては、全てのパンフレット上に申込番号を記入する方法、所定の申込番号を記入してから次の申込番号を記入するまでの記入情報を時系列に基づいて全て関連付ける方法などが考えられる。
[記入情報の分析]
選択情報DB54に記憶されている記入情報は、利用者が確定に至るまでの経緯を辿り、パンフレット3上で商品やプランを選択する心理状況を知るためのデータである。ここで、選択情報DB54に記憶された記入情報を分析することにより、利用者の心理状況や嗜好を把握することについて、図24(a)乃至(c)を参照し、詳しく説明する。
図24(a)は、パンフレット3上のホテル項目にチェックマーク(○)が記入された例である。利用者は、パンフレット3上の選択項目63にチェックマークを記入した後、ホテル項目においてグランドホテル、オーシャンホテル、グランドホテルの順番でチェックマークを記入したものとする。
図24(b)は、サーバ5が、電子ペン10から取得した記入情報に含まれる時間情報に基づいて、項目毎に利用者が記入を開始した記入開始時刻、記入を終了した記入終了時刻を特定し、記憶している記入時刻テーブルである。サーバ5は、特定の項目における記入開始時刻及び記入終了時刻に基づいて、1つの項目における滞留時間を算出し、記入時刻テーブルに記憶する。具体的に、利用者が項目ID「B02」のオーシャンホテルにおいて、チェックマークの記入を開始した時刻が「13:36:14」であり、チェックマークの記入を終了した時刻が「13:36:18」である場合、滞留時間は「4秒」となる。また、サーバ5は、特定の項目における記入終了時刻及び当該特定の項目の次の項目における記入開始時刻に基づいて、1つの項目から次の項目への移行時間を算出し、記入時刻テーブルに記憶する。具体的に、利用者が項目ID「B01」のグランドホテルにおいてチェックマークの記入を終了した時刻が「13:36:12」であり、項目ID「B02」のオーシャンホテルにおいてチェックマークの記入を開始した時刻が「13:36:14」である場合、項目ID「B02」の移行時刻は2秒となる。このように、記入時刻テーブルは、図24(b)に示すように、項目IDに対応付けて、開始時刻、終了時刻、滞留時間及び移行時間を記憶している。
図24(c)は、項目毎の総滞留時間を記憶している総滞留時間テーブルである。サーバ5は、記入時刻テーブルに基づいて、特定の項目への総滞留時間を算出する。具体的に、利用者は電子ペン10を使用して項目ID「B01」のグランドホテルへ2回チェックマークを記入しているため、項目ID「B01」の総滞留時間は、1回目の滞留時間「2秒」と2回目の滞留時間「1秒」の総和である「3秒」となる。
サーバ5は、図24(b)に示す記入時刻テーブル及び図24(c)に示す総滞留時間テーブルに基づいて、利用者の心理状況や嗜好を把握することができる。具体的に、総滞留時間テーブルに基づいて、項目ID「B03」のエメラルドホテルは全く選択されなかったことが分かる。例えば、項目ID「B01」のグランドホテル及び項目ID「B02」のエメラルドホテルが外資系ホテルであった場合、外資系ホテルに興味があるという利用者の嗜好を把握することができる。また、記入時刻テーブルに基づいて、項目ID「B02」のオーシャンホテルにチェックマークを記入する際に4秒も費やしていることから、利用者が悩みながら記入していることを推測することができる。一方、2回目に項目ID「B01」のグランドホテルにチェックマークを記入する際は1秒であることから、利用者が決断した上で記入していることを推測することができる。よって、グランドホテルとオーシャンホテルで迷った末、グランドホテルを決断したという利用者の心理状況を辿ることができる。
また、記入時刻テーブル及び総滞留時間テーブルのみならず、電子ペン10から取得可能な筆圧データなどを考慮して利用者の心理状況や嗜好を把握することも考えられる。
このように、選択情報DB54に記憶された記入情報を分析することにより、時間情報や筆圧データなどに基づいて利用者の心理状況や嗜好を把握することが可能である。