JP4137566B2 - 電子ペン、帳票処理システム及び単位データ分割処理プログラム - Google Patents
電子ペン、帳票処理システム及び単位データ分割処理プログラム Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ペンを利用して帳票に記入したデータを取得、分割処理する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、官公庁や金融機関その他に提出する申込書、申請書などの各種書類(以下、「各種申請書類」と呼ぶ。)には利用者がボールペンなどを利用して必要事項を記入し、記入済みの書類を提出していた。一方、近年では、従来からの紙の帳票の代わりに、帳票を電子化した電子フォームが利用されてきている。電子フォームは、紙の帳票の記入項目などを複数のフィールドとして含む電子データである。申込書などの書類を作成する利用者は、パーソナルコンピュータなどに電子フォームを読み込んで表示装置上に表示し、キーボードやマウスなどの入力装置を操作して電子フォームに必要事項を入力する。入力された事項は電子データとして取得され、ネットワークなどを通じて当該帳票の提出先機関などに送信することができる。
【0003】
しかし、官公庁や金融機関などに提出する各種書類を作成する場合、パーソナルコンピュータの操作方法に関する知識を十分に有しない利用者や、キーボード入力をあまり得意としない利用者などにとっては、上述の電子フォームを上手に利用することは難しいことが多い。そのような利用者にとっては、むしろ従来から行われているように、紙の帳票に対してペン入力する方法が最も容易である。
【0004】
このような場合に有効な入力デバイスとして、近年、「電子ペン」、「デジタルペン」などと呼ばれるペン型入力デバイスが登場しており(以下、本明細書では「電子ペン」と呼ぶ。)、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙(以下、「専用ペーパー」と呼ぶ。)とペアで使用される。アノトペンは、通常のインクタイプのペン先部に加えて、専用紙上のドットパターンを読み取るための小型カメラと、Bluetooth対応の通信ユニットを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字などを書くと、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙上のドットパターンを検出し、利用者が書き込んだ文字などの入力データが取得される。この入力データが、Bluetooth対応の通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信される。従って、利用者は、このアノトペンを利用したシステムにより専用紙からなる各種申請書類を作成し、それを1枚作成するごとに端末装置に送信し、官公庁や金融機関などに提出するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような電子ペンを利用するにあたっては、各枚同じドットパターンが印刷された同一種類からなる帳票を使用するには、各枚ごと送信指示を与えないと電子ペンはそれぞれ異なる帳票であることを認識することができない。そのため、電子ペンを利用して複数枚の帳票を連続して記入し作成した後に、電子ペンによる1度の送信指示により近くの端末装置に送信すると、各帳票の同じ記入エリアに記入した入力データ同士が混在してしまい、端末装置は、その混在したままの入力データとして処理する事態が生じる。
【0006】
また、同一種類からなる複数の帳票を使用する場合、各帳票毎の記入エリアのドットパターンを全て異なるものとすることにより、電子ペンは、各帳票毎の記入エリアの入力データをそれぞれ別個の入力データと認識することができるため、複数枚の同一種類の帳票がある場合にも一度の送信指示で端末装置に入力データを送信することができる。
【0007】
しかし、このような方法によると、使用する帳票の枚数が、何万・何十万・何百万枚もあると、これらに対応する記入エリアのドットパターンを用意することは実質上困難を極める。
【0008】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、電子ペンを利用して複数枚からなる同一種類の帳票を連続して作成した後に、電子ペンによる一度の送信指示によって各帳票単位毎によるデータ分割処理を可能とする帳票の機能、並びに分割処理システムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの観点では、帳票処理システムは、チェック欄内に記入開始又は記入終了を示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得し、当該利用者記入データを無線通信により端末装置に送信する電子ペンと、前記電子ペンから送信された利用者記入データを受信する前記端末装置とを備え、前記端末装置は、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段を備えることを特徴とする。
【0010】
上記の帳票処理システムによれば、利用者が電子ペン用帳票に電子ペンを利用して必要事項を記入すると、電子ペンは記入内容を利用者記入データとして取得し、端末装置へ送信する。端末装置は、連続的なデータとして電子ペンから送信される利用者記入データを、電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割し、サーバへ送信する。よって、利用者が複数の電子ペン用帳票に対して連続的に必要事項を記入した場合でも、サーバは電子ペン用帳票1枚毎の単位で利用者記入データを取得することができる。また、上記の処理システムによれば、電子ペン用帳票には記入開始又は記入終了を示す情報に対応するドットパターンが印刷されたチェック欄を有し、利用者がそのチェック欄をチェックすることにより対応する情報が利用者記入データ中に含められる。よって、分割手段は、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始又は記入終了を示す情報を利用して利用者記入データを1枚の電子ペン用帳票毎の単位に分割することができる。
【0011】
本発明の他の観点では、帳票処理システムは、チェック欄内に記入開始又は記入終了を示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得し、当該利用者記入データを無線通信により端末装置に送信する電子ペンと、前記電子ペンから送信された利用者記入データを受信し、ネットワークを介してサーバに送信する前記端末装置と、前記端末装置から送信された前記利用者記入データを受信する前記サーバと、を備え、前記サーバは、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段を備えることを特徴とする。
【0012】
上記の帳票処理システムによれば、利用者が電子ペン用帳票に電子ペンを利用して必要事項を記入すると、電子ペンは記入内容を利用者記入データとして取得し、端末装置へ送信する。端末装置は、利用者記入データをネットワークを介してサーバへ送信する。サーバは、連続的なデータとして端末装置から送信される利用者記入データを、電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する。よって、利用者が複数の電子ペン用帳票に対して連続的に必要事項を記入した場合でも、サーバは電子ペン用帳票1枚毎の単位で利用者記入データを取得することができる。また、上記の処理システムによれば、電子ペン用帳票には記入開始又は記入終了を示す情報に対応するドットパターンが印刷されたチェック欄を有し、利用者がそのチェック欄をチェックすることにより対応する情報が利用者記入データ中に含められる。よって、分割手段は、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始又は記入終了を示す情報を利用して利用者記入データを1枚の電子ペン用帳票毎の単位に分割することができる。
【0015】
本発明の他の観点では、単位データ分割処理プログラムは、コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、記入開始又は記入終了を示す情報に対応するドットパターンが印刷されたチェック欄を有する電子ペン用帳票に対して電子ペンにより入力することにより得られる利用者記入データを取得する取得手段、前記記入開始又は記入終了を示す情報を検出する手段、連続的に検出された一対の情報の間に存在する記入データを、1枚の電子ペン用帳票に対する利用者記入データとして分割し、出力する分割手段、として機能させる。
【0016】
上記の単位データ分割処理プログラムは、電子ペン用帳票に対して利用者が電子ペンを使用して記入して得られる利用者記入データから、記入開始又は記入終了を示す情報を検出し、それらに挟まれるデータを1枚の電子ペン用帳票に対応する利用者記入データとする。
【0017】
本発明の他の観点では、単位データ分割処理プログラムは、コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、記入開始を示す第1の情報に対応するドットパターンが印刷された第1のチェック欄及び記入終了を示す第2の情報に対応するドットパターンが印刷された第2のチェック欄を有する電子ペン用帳票に対して電子ペンにより入力することにより得られる利用者記入データを取得する取得手段、前記利用者記入データから、前記第1の情報及び前記第2の情報を検出する手段、連続的に検出された前記第1の情報及び前記第2の情報の間に存在するデータを、1枚の電子ペン用帳票に対する利用者記入データとして分割し、出力する分割手段として機能させる。
【0018】
上記の単位データ分割処理プログラムによれば、電子ペン用帳票に対して利用者が電子ペンを使用して記入して得られる利用者記入データから、記入開始を示す第1の情報及び記入終了を示す第2の情報を検出し、それらに挟まれるデータを1枚の電子ペン用帳票に対応する利用者記入データとする。
【0019】
本発明の他の観点では、電子ペンは、チェック欄内に記入開始又は記入終了を示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得する手段と、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段と、を備える。これによれば、電子ペン用帳票には記入開始又は記入終了を示す情報に対応するドットパターンが印刷されたチェック欄を有し、利用者がそのチェック欄をチェックすることにより対応する情報が利用者記入データ中に含められる。よって、分割手段は、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始又は記入終了を示す情報を利用して利用者記入データを1枚の電子ペン用帳票毎の単位に分割することができる。
【0020】
本発明の他の観点では、帳票処理システムは、複数のチェック欄内に、記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得し、当該利用者記入データを無線通信により端末装置に送信する電子ペンと、前記電子ペンから送信された利用者記入データを受信する前記端末装置とを備え、前記端末装置は、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段と、前記記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視するよう処理する処理手段とを備えることを特徴とする。このような処理システムによれば、電子ペン用帳票には記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示す情報に対応するドットパターンが印刷されたチェック欄を有し、利用者がそのチェック欄をチェックすることにより対応する情報が利用者記入データ中に含められる。よって、端末装置は、分割手段により、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始又は記入終了を示す情報を利用して利用者記入データを1枚の電子ペン用帳票毎の単位に分割することができる。また、端末装置は、処理手段により、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視することができる。
【0021】
本発明の他の観点では、帳票処理システムは、複数のチェック欄内に、記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得し、当該利用者記入データを無線通信により端末装置に送信する電子ペンと、前記電子ペンから送信された利用者記入データを受信し、ネットワークを介してサーバに送信する前記端末装置と、前記端末装置から送信された前記利用者記入データを受信する前記サーバと、を備え、前記サーバは、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段と、前記記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視するよう処理する処理手段とを備えることを特徴とする。このような処理システムによれば、電子ペン用帳票には記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示す情報に対応するドットパターンが印刷されたチェック欄を有し、利用者がそのチェック欄をチェックすることにより対応する情報が利用者記入データ中に含められる。よって、サーバは、分割手段により、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始又は記入終了を示す情報を利用して利用者記入データを1枚の電子ペン用帳票毎の単位に分割することができる。また、サーバは、処理手段により、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視することができる。
【0022】
本発明の他の観点では、単位データ分割処理プログラムは、コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、複数のチェック欄内に、記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に対して電子ペンにより入力することにより得られる利用者記入データを取得する取得手段、前記記入開始、前記記入終了、及び前記取り消しを示す情報を検出する手段、連続的に検出された一対の情報の間に存在する記入データを、1枚の電子ペン用帳票に対する利用者記入データとして分割する分割手段、前記記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視するよう処理する処理手段として機能させる。このような単位データ分割処理プログラムは、分割手段により、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始又は記入終了を示す情報を利用して利用者記入データを1枚の電子ペン用帳票毎の単位に分割することができる。また、処理手段により、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視することができる。
【0023】
本発明の他の観点では、電子ペンは、複数のチェック欄内に、記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得する手段と、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段と、前記記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視するよう処理する処理手段とを備える。これによれば、分割手段により、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始又は記入終了を示す情報を利用して利用者記入データを1枚の電子ペン用帳票毎の単位に分割することができる。また、処理手段により、利用者記入データ中に含まれる、当該記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。本実施形態は、入力デバイスとして電子ペンを利用することにより、複数枚の帳票を一括してデータ処理することができ、尚且つ各帳票単位毎のデータに分割処理するシステムを可能とするものである。まず始めに、本実施形態のシステムにおいて入力デバイスとして使用される電子ペンの概要について説明する。
【0025】
[電子ペン]
図1は電子ペンの使用形態を模式的に示す図であり、図2は電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。図1に示すように、電子ペン10は、ドットパターンがプリントされた専用ペーパー20と組み合わせて使用される。電子ペン10は、通常のインクペンと同様のペン先部17を備えており、利用者は通常のインクペンと同様に専用ペーパー20上に文字などを書くことになる。
【0026】
図2に示すように、電子ペン10は、その内部にプロセッサ11、メモリ12、Bluetoothトランシーバ13、バッテリー14、赤外線LED15、カメラ16及び圧力センサ18を備える。また、電子ペン10は通常のインクペンと同様の構成要素としてインクカートリッジ(図示せず)などを有する。
【0027】
電子ペン10は、ペン先部17により専用ペーパー20上に描かれたインクの軌跡をデータ化するのではなく、専用ペーパー20上で電子ペン10が移動した軌跡座標をデータ化する。赤外線LED15が専用ぺーパー20上のペン先部17近傍を照明しつつ、カメラ16が専用ペーパー20にプリントされているドットパターンを読み取り、データ化する。つまり、電子ペン10は専用ペーパー20上で利用者が電子ペン10を移動させることにより生じるストロークを画像データ又はベクトルデータとして取得することができる。
【0028】
圧力センサ18は、利用者が電子ペン10により専用ペーパー上に文字などを書く際にペン先部17に与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、プロセッサ11へ供給する。プロセッサ11は、圧力センサ18から与えられる筆圧データに基づいて、赤外線LED15及びカメラ16のスイッチオン/オフの切換を行う。即ち、利用者が電子ペン10で専用ペーパー20上に文字などを書くと、ペン先部17には筆圧がかかる。よって、所定値以上の筆圧が検出されたときに、利用者が記述を開始したと判定して、赤外線LED15及びカメラ16を作動する。
【0029】
カメラ16は専用ペーパー20上のドットパターンを読み取り、そのパターンデータをプロセッサ11に供給する。プロセッサ11は、供給されたドットパターンから、専用ペーパー20上でのX,Y座標を算出する。
【0030】
プロセッサ11は、利用者の記述が行われる間に、筆圧の配列データ及びX,Y座標データを取得し、タイムスタンプ(時間情報)と関連付けてメモリ12に記憶していく。よって、メモリ12内には利用者の記述内容に対応するデータが時系列で記憶されていく。メモリ12の容量は例えば1Mバイト程度とすることができる。
【0031】
利用者により送信指示がなされるまでは、取得された全てのデータはメモリ12内に保持される。そして、利用者が送信指示を行うと、Bluetoothトランシーバ13により、電子ペン10と所定距離内にある端末装置25へメモリ12内のデータが送信される。基本的には、一度送信指示がなされると、電子ペン10はメモリ12内に記憶していた全てのデータを端末装置25へ送信するため、メモリ12内はクリアされる。よって、送信後にもう一度同じ情報を端末装置25へ送信したい場合には、利用者は専用ペーパー20上に再度記述を行う必要がある。なお、この場合、利用者は専用ペーパー20上にインクペンで書かれた文字などをなぞればよいことになる。
【0032】
電子ペン10自体は、送信ボタンなどの機能ボタンを備えておらず、送信指示その他の指示は、利用者が専用ペーパー20上の所定位置に設けられた専用ボックスを電子ペン10でチェックすることにより実行される。専用ボックスのドットパターンには、予め送信指示が対応付けられており、プロセッサ11は専用ボックスの位置座標を受信すると、Bluetoothトランシーバ13にメモリ12内のデータを供給し、端末装置25への送信を行わせる。なお、電子ペン10はディスプレイやボタンなどを持たないが、データの送信完了を電子ペンの振動により示すことができる。
【0033】
バッテリー14は電子ペン10内の各要素に電源供給するためのものであり、例えば電子ペンのキャップ(図示せず)により電子ペン10自体の電源のオン/オフを行うことができる。
【0034】
このように、電子ペン10は利用者が専用ペーパー20上に記述した文字などに対応する座標データ及び筆圧データを取得して近傍の端末装置25へ送信する機能を有するが、電子ペン10のペン先部17は通常のインクペンとなっているため、専用ペーパー20上に記述した内容はオリジナルの原本として残るという特徴がある。即ち、紙の原本に対して記述するのと同時に、その内容を座標データなどの形態でリアルタイムに電子化することができる。
【0035】
なお、電子ペン10の標準機能によれば、電子ペン10により得られるデータは、原則として座標データ又はベクトルデータの形態であり、テキストデータではない。但し、電子ペン10は標準機能として、専用ペーパー20上に設けられた専用エリアに記述することにより、英数字に限りテキスト化する機能は備えている。なお、端末装置25などにおいて、電子ペン10から送信された座標データやベクトルデータから、文字認識アプリケーションを利用してテキストデータを得ることはもちろん可能である。
【0036】
また、電子ペン10内には、ペン自体及びその所有者に関するプロパティ情報(ペン情報及びペン所有者情報)を保持することができ、アプリケーションから参照することができる。ペン情報としては、バッテリーレベル、ペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン、サブスクリプションプロバイダのIDなどを保持できる。また、ペン所有者情報としては、国籍、言語、タイムゾーン、emailアドレス、空きメモリ容量、名前、住所、ファックス/電話番号、携帯電話番号などを保持することができる。
【0037】
次に、電子ペン10により利用者が記述した内容のX,Yデータを取得する方法について説明する。前述のように専用ペーパー20には、所定のドットパターンが印刷されている。電子ペン10のカメラ16は、利用者が専用ペーパー20上に記述したインクの軌跡を読み取るのではなく、専用ペーパー20上のドットパターンを読み取る。実際、図1に示すように、赤外線LED15による照明領域及びカメラ16の撮影領域(照明領域内に位置する)は、ペン先部17が専用ペーパー20に接触する位置とはずれている。
【0038】
ドットパターンはカーボンを含む専用インキなどで印刷されており、カメラ16はその専用インキによるパターンのみを認識することができる。専用インキ以外のインキ(カーボンを含まない)により、専用ペーパー上に罫線や枠などを印刷しても、電子ペンはそれらを認識することはない。よって、専用ペーパーを利用して各種申請書などの帳票を作成する際は、専用インキ以外のインキで入力枠や罫線、注意書きなどを印刷する。
【0039】
ドットパターン32は、図3に例示するように、各ドットの位置がデータに対応付けされている。図3の例では、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右にシフトすることにより、0〜3の2ビット情報を表示した例である。このようにして表現された情報の組み合わせにより、専用ペーパー上の位置座標が決定される。図4(a)に例示するように、縦横2mmの範囲内に36個のドットが格子状に配置され、これらのドットにより示されるデータの配列(図4(b))が、その専用ペーパー20上の位置座標と対応付けされている。よって、電子ペン10のカメラ16が図4(a)に示すようなドットパターン32を撮影すると、プロセッサ11はカメラ16から入力されるドットパターンのデータに基づいて図4(b)に示すデータ配列を取得し、それに対応する専用ペーパー20上の位置座標(即ち、そのドットパターン32がその専用ペーパー20上のどの位置にあるのか)をリアルタイムで算出する。なお、ドットパターン32を認識する最小単位は2mm×2mmであり、カメラ16は毎秒100回程度の撮影を行う。
【0040】
次に、専用ペーパー20について説明する。専用ペーパー20の構造の一例を図5に示す。図示のように、専用ペーパー20は、台紙30上にドットパターン32が印刷され、その上に罫線などの図案34が印刷されている。台紙30は通常は紙であり、ドットパターン32は前述のようにカーボンを含んだ専用インキにより印刷される。また、通常のインキなどにより図案34が印刷される。ドットパターン32と図案とは同時に印刷してもよいし、いずれかを先に印刷してもよい。
【0041】
図案34の例を図6に示す。図6は、ある申込書36の例であり、複数の記入欄41や送信ボックス欄43が印刷されている。図6には明確に図示されていないが、実際にはドットパターン32が申込書36の全面に印刷されており、その上に記入欄41や送信ボックス欄43が通常のインキにより印刷されている。利用者は、ドットパターン32を意識することなく、従来からある申込書と同様に、電子ペン10を使用して必要事項を申込書36の各記入欄41に記入すればよい。
【0042】
専用ペーパー20上の領域は大きく2種類の領域に分けることができる。1つは記入エリアであり、電子ペン10による記述内容をそのまま情報として取り扱うエリアである。図6の例では複数の記入欄41がこれに該当する。もう1つは機能エレメントであり、対応するエリア内を電子ペン10でチェックした際に、予めそのエリアに対して定義されているアクション、指示などを実行するようになっている。図6の例における送信ボックス欄43がこれに該当する。
【0043】
送信ボックス欄43は前述したように電子ペン10内に記憶されているデータを近傍の端末装置25へ送信するための指示を行う際に使用される。利用者が送信ボックス欄43内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス欄43内のドットパターン32を読み取る。当該パターンは送信指示に対応付けられており、電子ペン10内のプロセッサ11はBluetoothトランシーバ13にメモリ12内の記憶データの送信命令を発する。
【0044】
ドットパターン32の割り当ては、通常、アプリケーション(用紙の種類)毎に行われる。即ち、ある申込書内のドットパターン32は1枚の用紙の中で重複することはないが、同一の申込書には全て同じドットパターン32が印刷されている。よって、利用者が電子ペン10で必要事項を入力すると、その入力事項がその申込書のどの項目に対するものであるかを、申込書上の座標データから特定することができる。
【0045】
このように、ドットパターン32を印刷した専用ペーパー20上に所定の図案を印刷することにより、専用ペーパー20を利用した各種申請書が作成できる。利用者は電子ペン10を使用して通常の要領で必要事項を記入すれば、その電子データが自動的に取得される。
【0046】
上記の例では、ドットパターン32は専用ペーパー20上にカーボンを含むインキにより印刷されているが、プリンタ及びカーボンを含むインクを使用してドットパターン32を通常の紙上にプリントすることも可能である。さらに、専用ペーパー20上の図案34も印刷ではなく、プリンタにより形成することも可能である。ドットパターン32をプリンタにより紙上に形成する場合には、1枚1枚に異なるドットパターン32を形成することが可能である。よって、形成されたドットパターン32の違いにより、それらの用紙1枚1枚を識別し、区別することが可能となる。
【0047】
なお、本明細書においては、「印刷」の語は、通常の印刷のみならず、プリンタによるプリントも含む概念とする。
【0048】
次に、電子ペン10により取得したデータの送信処理について説明する。前述のように、電子ペン10の通信機能はBluetoothによるものであり、専用ペーパー20に入力したデータを取り扱うサービスサーバ(特定の申込書であれば、その申込先のサーバということになる)に対して電子ペン10から直接的にデータを送信することはできない。よって、電子ペン10により取得したデータは、端末装置25からサービスサーバへ送信される。
【0049】
その際の処理を図2を参照して説明する。電子ペン10が取得したデータは、主として利用者が入力した事項のデータであるが、通常はそのデータの送信先であるサービスサーバ27がどこであるかの情報は含まれていない。その代わりに、その専用ペーパー20に関するアプリケーションやサービスを特定する情報が専用ペーパー20上のドットパターンに含まれており、利用者の入力作業中に専用ペーパー20からその情報が取得されている。よって、電子ペン10から入力データを受け取った端末装置25は、まず、問い合わせサーバ26に対して、その専用ペーパー20に対して入力されたデータをどのサービスサーバ27へ送信すべきかの問い合わせを行う。問い合わせサーバ26は、専用ペーパー20毎に、対応するサービスサーバ27の情報を有しており、端末装置25からの問い合わせに応じて、当該専用ペーパー20に関するサービスなどを行うサービスサーバ27の情報(URLなど)を端末装置25へ回答する。それから、端末装置25は、電子ペンから取得した入力データをそのサービスサーバ27へ送信することになる。なお、上記の例では端末装置25、問い合わせサーバ26及びサービスサーバ27が別個に構成されているが、これらの幾つか又は全てを1つの装置として構成することも可能である。
[申込処理システム]
次に、本実施形態に係る申込処理システム1について説明する。図7に、申込処理システム1の概略構成を示す。図7に示す申込処理システム1は、ユーザが電子ペン10を利用して申込書に記入したデータを、端末装置25を介して受付サーバ3で受信し、申込みの受付処理をするものである。尚、本実施例では、前記申込書の態様として、図8に示すように旅行申込書4を使用する場合を一例として説明する。
【0050】
図7に示すように、申込処理システム1は、端末装置25と、受付サーバ3と、オペレータ端末装置6とがネットワーク2を通じて接続されて構成される。ネットワーク2は、社内LANやインターネットなど、各種のネットワークとすることができる。
【0051】
まず、本システムによる旅行申込受付方法の概要を述べておく。ユーザは、最初に旅行申込書4の作成にあたってオペレータ端末装置6により、申込予約状況などの情報提供を受ける。そして、ユーザは、その情報提供に基づき、電子ペン10を使用して旅行申込書4の必要事項を記入する。ユーザが旅行申込書4に記入したデータは、電子ペン10から端末装置25へ送信され、端末装置25によって所定のデータ処理が行われた後に受付サーバ3へと送信される。さらに、受付サーバ3が受信した加工処理後のデータは、データベース8に登録されると共に、オペレータ端末装置6へ受付確認の返信をすることによって、受付処理が終了する。
【0052】
次に各要素について個別に説明する。まず、端末装置25について説明する。
【0053】
端末装置25は、好適には旅行会社の営業窓口など旅行申込み受付け場所に設置され、ユーザからの旅行申込書4の受付けを行う。また、端末装置25は、図7に示すように、電子ペン10から送信されるデータを受信する機能を有すると共に、そのデータの処理を行うためのアプリケーションソフトウェア(以下、「単位データ分割プログラム5」と呼ぶ。)がインストールされている。そして、端末装置25は、ユーザが電子ペン10を用いて複数の旅行申込書4に連続して記入を行うと、そのデータを1枚の旅行申込書毎の単位データに分割する。さらに、端末装置25は、その分割された複数の単位データをネットワーク2を通じて受付サーバ3へ送信する。
【0054】
次に、受付サーバ3について説明する。
【0055】
受付サーバ3は、好適には旅行会社の情報管理部門などに設置され、端末装置25から送信される単位データを受信し、受付処理を行う。受付サーバ3による受付処理としては、受付サーバ3が、オペレータ端末装置6に受付確認を返信すると共に、その単位データをデータベース8に登録する処理を行う。そして、受付サーバ3は、オペレータ端末装置6から申込予約状況などのデータ照会があると、要求のあったデータをデータベース8にアクセスして読出し、オペレータ端末装置6に回答する機能を有する。
【0056】
次に、オペレータ端末装置6について説明する。
【0057】
オペレータ端末装置6は、好適には前記した端末装置25と同じ構内に設置される。そして、オペレータ端末装置6は、ユーザに対して旅行申込みする際の申込予約状況などの必要な情報を提供したり、旅行申込みの受付けがされた場合に、受付サーバ3から返信された受付確認に基づいて旅行チケットの発行を行う。具体的には、オペレータが、オペレータ端末装置6を操作して、受付サーバ3に接続されたデータベース8にアクセスし、そこに登録されている申込予約状況などの必要なデータを画面上に表示させたり、プリンタで印刷するなどして、データ照会や旅行チケットの発行ができるようになっている。
[申込書の機能]
次に、上記申込処理システム1において使用する申込書の機能について説明する。図8は、本実施形態で使用する旅行申込書4の一例を示したものである。
【0058】
旅行申込書4は、例えば、申込者の氏名・住所及び行先など複数の文字や記入欄などの図案が印刷された紙媒体である。ここで、本実施形態では、旅行申込書4は上述した専用ペーパ20として作成されている。即ち、図5に例示するように、台紙30上に所定のドットパターン32が印刷されており、その上に申込者の氏名・住所及び行先など複数の文字や記入欄などの図案34が印刷されている。
先に述べたように、ドットパターン32は電子ペン10が認識できるように、カーボンを含んだインキにより印刷されている。一方、申込者の氏名・住所及び行先など複数の文字や記入欄などからなる図案34は、通常の(カーボンを含まない)インキにより印刷されているため、電子ペン10がそれを認識することはない。
【0059】
また、旅行申込書4は、図8に示すように、新規の旅行申込書4であることをチェックするための新規レコードボックス欄40と、申込者の氏名・住所、行先、日程及び列車名などユーザが記入するための複数の記入欄41と、団体申込客による申込みなど複数の旅行申込書4を続けて使用する場合にチェックするための追加レコードボックス欄42と、旅行申込書4の記入が終了した段階で、その旅行申込書4に記載された内容を旅行会社の端末装置25に送信するためにチェックする送信ボックス欄43とから構成される。
【0060】
新規レコードボックス欄40は、ユーザが旅行申込書4の記入欄41に記入する前段階として、まず最初に電子ペン10によりチェックするための枠である。ユーザが電子ペン10を用いて新規レコードボックス欄40の枠にチェックを入れると、電子ペン10は、新規レコードボックス欄40の枠内のドットパターンを読み取る。そして、電子ペン10内のプロセッサ11が、当該新規レコードボックス欄40の枠内にチェックされたX,Y座標のストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に新規レコードコードとして記憶するようになっている。
【0061】
記入欄41は、ユーザが、申込者の氏名・住所、行先、日程及び列車名など複数に亘る記入項目にしたがって電子ペン10で記入するための枠である。記入欄41の枠内は、図示するように予め各記入項目ごとに異なるドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eが印刷されている。尚、図示するドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eは、実際に旅行申込書4に形成されるドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eとは異なるが、本実施例においては、説明の便宜上斜線など異なる種類のドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eとして示している。また、旅行申込書4の帳票が同一であれば、複数の旅行申込書4における各記入項目に対応した記入欄41の枠内のドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eは、いずれも同一のドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eで印刷されている。すなわち、図8に示すように1枚目の旅行申込書4の各記入項目に対応した記入欄41の枠内のドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eは、複数枚目にあたるN枚目の旅行申込書4の各記入項目に対応した記入欄41の枠内のドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eとそれぞれ同一のドットパターンとなっている。ユーザが、電子ペン10を用いて記入欄41の枠内に必要事項を記入すると、電子ペン10が記入欄41の枠内のドットパターン41a、41b、41c、41d及び41eを読み取る。そして、電子ペン10内のプロセッサ11が、当該記入欄41の枠内に記入されたX,Y座標のストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に入力データとして記憶するようになっている。
【0062】
追加レコードボックス欄42は、ユーザが1枚の旅行申込書4の記入欄41を全て記入した後、更に追加の旅行申込書4が必要な場合に電子ペン10によりチェックするための枠である。ユーザが追加レコードボックス欄42の枠内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が追加レコードボックス欄42の枠内のドットパターンを読み取る。そして、電子ペン10内のプロセッサ11が、当該追加レコードボックス欄42の枠内にチェックされたX,Y座標のストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に追加レコードコードとして記憶するようになっている。
【0063】
送信ボックス欄43は、ユーザが複数の旅行申込書4を記入した後で、それらのデータを端末装置25に送信するために、電子ペン10を用いてチェックするための枠である。ユーザが、送信ボックス欄43の枠内に電子ペン10でチェックを入れると、電子ペン10が送信ボックス欄43の枠内のドットパターンを読み取る。そして、電子ペン10内のプロセッサ11が、当該送信ボックス欄43の枠内にチェックされたX,Y座標のストロークデータを取得し、電子ペン10内のメモリ12に送信コマンドコードとして記憶すると共に、その時点で電子ペン10内のメモリ12に記憶している全データを端末装置25へ送信するようになっている。
【0064】
尚、ユーザが使用する旅行申込書4が1枚で足りるときは、前述した追加レコードボックス欄42の枠内にチェックを入れる必要はなく、そのまま送信ボックス欄43の枠内にチェックを入れればよい。一方、ユーザが旅行申込書4を複数枚使用する場合には、それら全ての旅行申込書4を記入し終えた後に、複数枚の旅行申込書4のうち、いずれか1枚の旅行申込書4(通常は最後に記入した旅行申込書4)の送信ボックス欄43の枠内にチェックを入れればよい。
[電子ペン内に記憶されたデータ構造]
次に、上記旅行申込書4の各ストロークデータが電子ペン10内に取り込まれた状態におけるデータ構造について説明する。図9(a)は、電子ペン10内のメモリ12に記憶された状態のデータ構造を概略的に表したものである。
【0065】
図9(a)に示すように、電子ペン10内のメモリ12に記憶されているデータ構造は、時系列的に整列した複数の単位データ51と、1つの送信コマンドコード52から構成される(以下、「データ列群53」と呼ぶ)。
【0066】
単位データ51は、1枚の旅行申込書4に対応する各ストロークデータを時系列的に整列した構造をしており、新規レコードコード51aと、複数の連続する入力データ51bと、追加レコードコード51cとから構成される。
【0067】
送信コマンドコード52は、時系列的に整列した複数の単位データ51の最後尾に有するデータで、データ列群53の終端であることを示している。
【0068】
そして、新規レコードコード51a、入力データ51b、追加レコードコード51c及び送信コマンドコード52の実際のデータは、前述したように旅行申込書4作成時に電子ペン10から取得されたX,Y座標のストロークデータとなっている。
[単位データ分割プログラム]
次に、電子ペン10内に記憶されたデータ列群53を受信した端末装置25が、それを各旅行申込書4に対応した単位データ51に分割する方法について説明する。
【0069】
まず、図10に、単位データ分割プログラム5のフローチャートを概略的に示す。図10に示すように、単位データ分割処理をするには、端末装置25にインストールされている単位データ分割プログラム5を起動させる(ステップS1)。そして、電子ペン10内のメモリ12に記憶されているデータ列群53を電子ペン10に搭載されたBluetoothトランシーバ13を介して受信し、そのデータ列群53を取得する(ステップS2)。このデータ列群53は、前述のように、図9(a)に示すデータ構造を有している。
【0070】
次に、端末装置25は、ユーザにより各旅行申込書毎にチェックされストロークデータ化された新規レコードコード51aを検出し(ステップS3)、その次に当該新規レコードコード51aに対応する追加レコードコード51cを検出する(ステップS4)。図9(a)からわかるように一対の前記新規レコードコード51aと前記追加レコードコード51cとの間には、複数の入力データ51bが存在するので、端末装置25は、データ列群53から複数の単位データ51を分割する(ステップS5)。この単位データ51は、1枚の旅行申込書4に対する入力データ51bとなっている。
【0071】
そして、端末装置25は、データ列群53の終端を示す送信コマンドコード52を検出するまでステップS3〜S5までの処理を繰り返し(ステップS6:NO)、送信コマンドコード52が検出された時点で(ステップS6:YES)、単位データ分割処理を終了する。こうして、単位データ分割処理により、端末装置25が電子ペン10より当初取得したデータ列群53は、図9(b)に示すように単位データ1、単位データ2、...、単位データNというように、各旅行申込書単位毎に対応した複数の単位データ51に分割される。その後、単位データ51は、受付サーバ3へ送信され、旅行の受付処理に使用される。
【0072】
尚、上記実施例においては、データ列群53から複数の単位データ51を分割するために、新規レコードコード51a及びそれに対応する追加レコードコード51cを検出するようにしているが、これに限らず、新規レコードコード51a、あるいはそれに対応する追加レコードコード51cのいずれか一方を検出することにより、データ列群53から複数の単位データ51を分割するような単位データ分割処理プログラム5であってもよい。
【0073】
即ち、旅行申込書4上には、図8に示した新規レコードボックス欄40又は追加レコードボックス欄42のいずれか一方のみが設けられる。旅行申込書4に新規レコードボックス欄40のみが設けられている場合は、利用者は旅行申込書4への記入開始時に電子ペン10で新規レコードボックス欄40にチェックを行い、記入欄41の枠内に必要事項を記入する。そして、2枚目以降の旅行申込書4に連続記入を行う場合は、2枚目の旅行申込書4の新規レコードボックス欄40にまず電子ペン10でチェックを行い、続いて記入欄41の枠内に必要事項を記入する。こうして電子ペン10から得られたデータ列群53は、新規レコードボックス欄41に対応する新規レコードコード51aにより、1枚の旅行申込書4に対する入力データ51bが区切られたデータ構造を有する。よって、単位データ分割プログラム5は、新規レコードコード51aを検出し、連続する新規レコードコード51aに挟まれる入力データ51bを1枚の旅行申込書4に対する単位データ51として分割することができる。
【0074】
一方、旅行申込書4に追加レコードボックス欄42のみが設けられている場合は、利用者は電子ペン10で1枚の旅行申込書4の記入欄41の枠内に必要事項を記入した後に追加レコードボックス欄42にチェックを行い、次の旅行申込書4の記入欄41の枠内に必要事項の記入を行う。こうして電子ペン10から得られたデータ列群53は、追加レコードボックス欄42に対応する追加レコードコード51cにより、1枚の旅行申込書4に対する入力データ51bが区切られたデータ構造を有する。よって、単位データ分割プログラム5は、追加レコードコード51cを検出し、連続する追加レコードコード51cに挟まれる入力データ51bを1枚の旅行申込書4に対する単位データ51として分割することができる。
[変形例]
上記の実施形態においては、単位データ分割プログラム5を端末装置25にインストールすることによって、電子ペン10内のメモリ12に記憶されているデータ列群53を複数の単位データ51に分割する場合について説明したが、これに限らず、単位データ分割プログラム5が果たす機能を電子ペン10のアプリケーション機能により実現するような構成であってもよい。
【0075】
これにより端末装置25は、電子ペン10からデータ列群53を受信する度に端末装置25で処理をしていた単位データ51の分割処理をする必要がなくなり、直接電子ペン10から各旅行申込書単位毎に対応した単位データ51として受信することが可能となる。従って、端末装置25は、その単位データ51を直接受付サーバ3にそのまま送信することができるので、人が介在し行っていた単位データ51の分割処理作業を省くことができる。
【0076】
また、変形例のように単位データ分割プログラム5が果たす機能を電子ペン10において実現する実施形態の他に、当該単位データ分割プログラム5を受付サーバ3にインストールし、受付サーバ3が、単位データ51を分割処理するような構成であってもよい。
【0077】
これにより電子ペン10は、各旅行申込書4から取得したデータ列群53を直接端末装置25に送信することで、電子ペン10のスループット向上が図れる。また、端末装置25においても電子ペン10から受信したデータ列群53をそのまま受付サーバ3に送信することで、各地に点在する複数の端末装置25に各々単位データ分割プログラム5をインストールする作業が省け、さらには当該単位データ分割プログラム5を各端末装置25の数量分用意する必要がなくなるので、大幅なコスト削減をも図ることができる。
【0078】
また、図8に示すように、旅行申込書4上に取り消しボックス欄44を設けることもできる。取り消しボックス欄44はそれまでに入力された事項の取り消し指示に対応する。よって、利用者が取り消しボックス欄44にチェックを行った場合には、電子ペン10から得られるデータのうち、新規レコードボックス40に対応する新規レコードコードと取り消しボックス欄44に対応するコードとの間に挟まれた記入データを無視するように処理すればよい。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各帳票単位毎のデータとして扱うことにより、電子ペンから端末装置などに複数枚有する帳票のデータを一度にまとめて送信しても、各帳票に記入されたデータ同士を混在することなく扱えるので、端末装置などにおいて容易にデータ処理を行うことができる。
【0080】
また、利用者は、電子ペンで複数枚の同一種類からなる帳票を連続して作成した後に、電子ペンから一度の送信指示を与えるだけでよいため、帳票作成作業の負担軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電子ペンの使用形態を模式的に示す図である。
【図2】 電子ペンの構造を示す機能ブロック図である。
【図3】 専用ペーパーにプリントされたドットパターンによる情報の表現方法を説明する図である。
【図4】 ドットパターン及びそれに対応する情報の例を示す。
【図5】 専用ペーパーにより構成される帳票の構造を示す。
【図6】 帳票の例を示す。
【図7】 電子ペン及び専用ペーパーを利用した申込処理システムの概略構成を示す図である。
【図8】 本実施形態の申込処理システムにおいて使用する申込書の機能を示す図である。
【図9】 電子ペンのメモリ内に記憶されたデータ構造、及びそのデータ構造から単位データに分割したこと示す図である。
【図10】 本実施形態の単位データ分割プログラムの概略を示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 ネットワーク
3 受付サーバ
4 旅行申込書
5 単位データ分割プログラム
6 オペレータ端末装置
8 データベース
10 電子ペン
11 プロセッサ
12 メモリ
13 トランシーバ
14 バッテリー
15 LED
16 カメラ
17 ペン先部
20 専用ペーパー
25 端末装置
Claims (9)
- チェック欄内に記入開始又は記入終了を示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得し、当該利用者記入データを無線通信により端末装置に送信する電子ペンと、
前記電子ペンから送信された利用者記入データを受信する前記端末装置とを備え、
前記端末装置は、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段を備えることを特徴とする帳票処理システム。 - チェック欄内に記入開始又は記入終了を示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得し、当該利用者記入データを無線通信により端末装置に送信する電子ペンと、
前記電子ペンから送信された利用者記入データを受信し、ネットワークを介してサーバに送信する前記端末装置と、
前記端末装置から送信された前記利用者記入データを受信する前記サーバと、を備え、
前記サーバは、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段を備えることを特徴とする帳票処理システム。 - コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、
記入開始又は記入終了を示す情報に対応するドットパターンが印刷されたチェック欄を有する電子ペン用帳票に対して電子ペンにより入力することにより得られる利用者記入データを取得する取得手段、
前記記入開始又は記入終了を示す情報を検出する手段、
連続的に検出された一対の情報の間に存在する記入データを、1枚の電子ペン用帳票に対する利用者記入データとして分割し、出力する分割手段、
として機能させることを特徴とする単位データ分割処理プログラム。 - コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、
記入開始を示す第1の情報に対応するドットパターンが印刷された第1のチェック欄及び記入終了を示す第2の情報に対応するドットパターンが印刷された第2のチェック欄を有する電子ペン用帳票に対して電子ペンにより入力することにより得られる利用者記入データを取得する取得手段、
前記利用者記入データから、前記第1の情報及び前記第2の情報を検出する手段、
連続的に検出された前記第1の情報及び前記第2の情報の間に存在するデータを、1枚の電子ペン用帳票に対する利用者記入データとして分割し、出力する分割手段、
として機能させることを特徴とする単位データ分割処理プログラム。 - チェック欄内に記入開始又は記入終了を示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得する手段と、
前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段と、
を備えることを特徴とする電子ペン。 - 複数のチェック欄内に、記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得し、当該利用者記入データを無線 通信により端末装置に送信する電子ペンと、
前記電子ペンから送信された利用者記入データを受信する前記端末装置とを備え、
前記端末装置は、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段と、前記記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視するよう処理する処理手段とを備えることを特徴とする帳票処理システム。 - 複数のチェック欄内に、記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得し、当該利用者記入データを無線通信により端末装置に送信する電子ペンと、
前記電子ペンから送信された利用者記入データを受信し、ネットワークを介してサーバに送信する前記端末装置と、
前記端末装置から送信された前記利用者記入データを受信する前記サーバと、を備え、
前記サーバは、前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段と、前記記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視するよう処理する処理手段とを備えることを特徴とする帳票処理システム。 - コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、
複数のチェック欄内に、記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票に対して電子ペンにより入力することにより得られる利用者記入データを取得する取得手段、
前記記入開始、前記記入終了、及び前記取り消しを示す情報を検出する手段、
連続的に検出された一対の情報の間に存在する記入データを、1枚の電子ペン用帳票に対する利用者記入データとして分割する分割手段、
前記記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視するよう処理する処理手段
として機能させることを特徴とする単位データ分割処理プログラム。 - 複数のチェック欄内に、記入開始又は記入終了、及び取り消しをそれぞれ示すよう対応付けられたドットパターンを含む所定のドットパターンが印刷された電子ペン用帳票から光学的に前記ドットパターンを読み取ることによって当該電子ペン用帳票に記入された内容に対応する利用者記入データを取得する手段と、
前記利用者記入データ中に含まれる前記記入開始又は前記記入終了を示す情報に基づいて、前記利用者記入データを前記電子ペン用帳票1枚毎の単位に分割する分割手段と、
前記記入開始を示す情報と取り消しを示す情報との間に挟まれた記入データを取り消し扱いとして無視するよう処理する処理手段と
を備えることを特徴とする電子ペン。
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