JP4455723B2 - 扉用安全装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、扉を開いた状態時は扉と戸当たり枠との間に挟まれて扉の全閉を妨げる突出位置を保持し、かつ所定の操作で扉の全閉を妨げない没入位置へ移動可能なストッパ部材を備える扉用安全装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
日常生活の中で、勢いよく扉を閉めることがある。このような慣性力を扉に加える閉め方を不用意に行うと、ともすれば扉と戸当たり枠との間に指を挟んだりする事故に繋がるおそれがある。このような事故を誘発させないために、引き戸の縦框と戸当たり枠との間に出没自在なストッパ部材を設けることにより、不用意に引き戸を閉めてもストッパに突き当たって縦框と戸当たり枠との間に隙間が開くようにした引戸用安全装置を、特願平6−158269号(特開平8−4409号公報)で本出願人は提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、この先行技術によると、引き戸を開ける際に縦框と戸当たり枠との間に自動的にストッパが突出し、閉める時には必ずストッパが突き当たることになる。従って、引き戸を全閉するには、その都度ストッパを解除位置へ戻さねばならなかった。これは安全性を確保し得る反面、意識して引き戸を閉める習慣のある者には煩わしさを感じさせる懸念があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、第1に、使用者の意思によって任意に機能を無効化することが可能なように扉用安全装置を改良することにある。また第2に、不用意に閉めた時の保安性を損なわずに、意識的に閉める時には煩わしさを感じさせることが無いように扉用安全装置を改良することにある。
【0005】
このような目的を果たすために、本発明の請求項1においては、扉を開いた状態時は扉と戸当たり枠との間に挟まれて扉の全閉を妨げる突出位置を保持し、かつ所定の操作で扉の全閉を妨げない没入位置へ移動可能なストッパ部材を備える扉用安全装置であって、扉用安全ストッパを、ストッパ部材の没入方向移動を阻止する干渉部材と、干渉部材をストッパ部材と干渉しない位置へ移動させる干渉部材移動手段と、干渉部材がストッパ部材と干渉しない位置に干渉部材移動手段を保持させることによってストッパ部材の全閉阻止機能を人為的に無効化するための選択手段とを有するものとした。このようにすれば、干渉部材移動手段の位置設定によってストッパの機能を任意に無効化することができる。
【0007】
請求項の発明においては、干渉部材と干渉部材移動手段とを、共通のばね部材をもって共に初期位置へ向けて付勢するようにした。これにより、構造の簡略化と部品点数の削減を企図し得る。
【0008】
請求項の発明においては、当該扉用安全ストッパを引き戸に設け、干渉部材移動手段を引き戸の取っ手と一体に設けるものとした。このようにすれば、ストッパ部材の突出位置を保持する干渉部材が、取っ手を持って意識的に引き戸を閉める時には、ストッパ部材と干渉しない位置へ自動的に移動することとなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に示された具体例を参照して本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明が適用された住宅用アルミサッシュの一例を示している。このサッシュは、固定枠1の内側に2枚の引き違い式ガラス障子2・3を摺動自在に組み込んでなり、アルミニウム合金材で中空に形成された縦框4に本発明の安全装置5が組み込まれている。
【0011】
安全装置5は、図2〜5に示したように、縦框4の側壁に形成された切欠孔6から縦框4の内側に収納されており、そのケース7の側壁に一体形成されたフランジ8をもって、縦框4の側壁にビス止めされている。
【0012】
矩形の箱形をなすケース7内には、水平方向に摺動してケース7の一側面から出没自在であり、かつ横向きコイルばね9で突出方向へ常時弾発付勢されたストッパ部材10と、垂直方向に摺動自在であり、かつ縦向きコイルばね11で上向きに常時弾発付勢された干渉部材12と、干渉部材12の前面(室内側の面)に形成された突起13と斜めのカム溝14をもって係合し、かつ水平方向に移動することで干渉部材12を下向きに移動させるための移動部材15と、干渉部材12の下側位置を保持する位置に移動部材15を保持するための選択部材16とが収容されている。
【0013】
なお、ストッパ部材10、干渉部材12、並びに移動部材15は、ケース内面の溝Gに係合する突部Rにより、各々の移動軌跡が規制されている。
【0014】
また選択部材16は、ケース7の前後壁に軸支された偏心カムからなっており、その支軸17の端部に形成されたマイナス溝18をマイナスドライバなどで90度回動させることにより、移動部材15の移動を妨げない状態と、移動部材15を一側に強制的に保持する状態とを、その回動位置によって選択できるようになっている。
【0015】
移動部材15には、縦框4の前壁に設けられた切欠孔19を介して取っ手20が結合されている。
【0016】
選択部材16の支軸17の軸端は、通常時は取っ手20の蔭に隠れる位置にあり、取っ手20の操作で移動部材15を一側に寄せないと、軸端のマイナス溝18が露出しないようになっている。
【0017】
次に本発明装置の使用要領について説明する。
【0018】
選択部材16が図3に示す通常位置にある状態では、移動部材15は自由に左右移動を行える。この状態で障子3を開くと、横向きコイルばね9の弾発力でストッパ部材10が突出する。これと同時に、縦向きコイルばね11の弾発力で干渉部材12は上側へ移動する。そして干渉部材12の突起13とカム溝14で係合した移動部材15は、干渉部材12の上側移動に伴って図3における左方(他側)へ移動する。
【0019】
この状態のまま、取っ手20に手を添えずに障子3を閉めると、その後方に干渉部材12が位置しているために没入方向への移動を阻止されたストッパ部材10の先端が戸当たり枠21に突き当たる。これにより、縦框4と戸当たり枠21との間に隙間が開き、指詰めが防止される。
【0020】
この状態から、取っ手20に手を添えて障子3を閉めようとすると、取っ手20が戸当たり枠21に近づく方向へ移動し、これに伴って取っ手20と一体をなす移動部材15が図3における右方へと移動する。すると、カム溝14の傾斜に沿って干渉部材12が下向きに移動させられる。ストッパ部材10の後端面から干渉部材12が外れると、ストッパ部材10は没入方向移動を妨げられなくなるので、戸当たり枠21に押されてケース7内に没入し、障子3は全閉状態となる。
【0021】
当初から取っ手20に手を添えて障子3を閉めれば、取っ手20の動きに応じて干渉部材12が下動するので、ストッパ部材10は戸当たり枠21に衝当すると同時にケース7内に没入し、なんら抵抗無く全閉することができる。
【0022】
ストッパ部材10の機能を無効化したい場合は、取っ手20を戸当たり枠21に近づける向きに移動させて選択部材16の支軸17の端部を露出させ、これをマイナスドライバなどで90度回動させる。すると、図4に示したように、偏心カムからなる選択部材16が、移動部材15を一側へ押し付けて戻らなくする。これにより、移動部材15と連動する干渉部材12が下方位置から戻れなくなり、ストッパ部材10の没入移動を阻止し得なくなるので、ストッパ部材10は出没運動が自由となり、戸当たり枠21に衝当すると抵抗無くケース7内に没入することとなる。
【0023】
【発明の効果】
このように本発明によれば、不用意な閉め方をした場合に指を挟むことを防止するためのストッパ機能を任意に無効化し得るので、安全装置を必要としない使用者に対して閉める度にストッパの解除を強いるという不都合を払拭することができる。また、ストッパ機能を有効にした状態にあっても、戸を閉める操作の中でストッパの解除が自動的に行われるので、使用者に煩わしさを感じさせない上、当初から取っ手に手を添えて閉めさえすれば抵抗感無く全閉するので、事故を誘発させるような乱雑な閉め方をしないように習慣づけることができる。これに加えて、サッシュにビルトインすることができるので、サッシュの付加価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された引き違い式ガラス障子の全体斜視図
【図2】本発明装置の縦框への取付状態を示す室内側から見た正面図
【図3】本発明装置の機能有効状態時の一部切除して示す背面図
【図4】本発明装置の機能無効状態時の一部切除して示す背面図
【図5】本発明装置の一部切除して示す上面図
【符号の説明】
1 固定枠
2・3 ガラス障子
4 縦框
5 安全装置
6 切欠孔(側面)
7 ケース
8 フランジ
9 横向きコイルばね
10 ストッパ部材
11 縦向きコイルばね
12 干渉部材
13 突起
14 カム溝
15 移動部材
16 選択部材
17 支軸
18 マイナス溝
19 切欠孔(前面)
20 取っ手
21戸当たり枠

Claims (3)

  1. 扉を開いた状態時は扉と戸当たり枠との間に挟まれて扉の全閉を妨げる突出位置を保持し、かつ所定の操作で扉の全閉を妨げない没入位置へ移動可能なストッパ部材を備える扉用安全装置であって、
    前記ストッパ部材の没入方向移動を阻止する干渉部材と、
    前記干渉部材を前記ストッパ部材と干渉しない位置へ移動させる干渉部材移動手段と、
    前記干渉部材が前記ストッパ部材と干渉しない位置に前記干渉部材移動手段を保持させることによって前記ストッパ部材の全閉阻止機能を人為的に無効化するための選択手段とを有することを特徴とする扉用安全装置。
  2. 前記干渉部材と前記干渉部材移動手段とが、共通のばね部材をもって共に初期位置へ向けて付勢されることを特徴とする請求項に記載の扉用安全装置。
  3. 当該扉用安全装置が引き戸に設けられ、前記干渉部材移動手段が前記引き戸の取っ手と一体に設けられることを特徴とする請求項またはに記載の扉用安全装置。
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