JP4455511B2 - 無線通信方法、無線通信システム及び無線端末局 - Google Patents
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Description
そのための技術としては、MIMO技術が有力である。このMIMO技術とは、送信局側において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を送信し、受信局側において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、各送信アンテナ/受信アンテナ間の伝達関数行列を求め、この行列を用いて送信局側の各アンテナから送信した独立な信号を受信側で推定し、データを再生するものである。
Rx=H・Tx+n …(1)
したがって、受信局側で受信した信号Rxをもとに、送信信号Txを推定する技術が求められている。
このMIMO通信においては、信号の伝搬路の情報を利用して、その伝搬路に対して最適な状況にて信号を送信することにより、最も効率的な通信を行うことができる。
UH・HH ・H・U=Λ …(2)
上記(2)式において、右辺の行列Λは対角成分のみが値を持ち、その他の成分がゼロである対角行列である。この様な特徴を持つユニタリ行列Uを列ベクトルTxに作用させて信号を送信することにより、(1)式は以下の(3)式の様に変換される。
Rx=H・(U・Tx)+n …(3)
ちなみに、上記(4)式の中の送信電力Piは全てのMIMOチャネルに共通の値である必要はなく、また各MIMOチャネル毎に伝送モードを変更しても構わない。
その際、端末局#1(102)に対して送信する信号は、端末局#2(103)および端末局#3(104)方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。この結果として端末局#2(103)および端末局#3(104)への干渉を抑制することができる。同様に、端末局#2(103)に対して送信する信号は、端末局#1(102)および端末局#3(104)方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。同様の処理を端末局#3(104)にも施す。
次に、指向性ビームの形成方法について、以下に説明を加える。例えば、図6において、端末局#1(102)の第1受信アンテナと基地局101の第jアンテナとの間の伝達関数をh1jと表記することにする。基地局101のj=1〜9の全てのアンテナに関する伝達関数を用い、行ベクトルh1を(h11,h12,h13,…,h18,h19)と表記する。同様に端末局#1(102)の第2受信アンテナ、第3受信アンテナと基地局101の伝達関数をh2jおよびh3jとし、対応する行ベクトルh2およびh3を(h21,h22,h23,…,h28,h29)、(h31,h32,h33,…,h38,h39)とする。
Rx[all]=H[all]・Tx[all]+n …(5)
この(5)式はシングルユーザMIMOにおける(1)式に対応する。同様に、(3)式に示すような送信指向性制御を行うため、9行9列の送信ウエイト行列Wを導入し、(3)式を以下の(6)式のように書き換える。
Rx[all]=H[all]・W・Tx[all]+n …(6)
さらに、送信ウエイト行列Wを列ベクトルw1〜w9に分解し、W=(w1,w2,w3,…,w8,w9)と表記すると、以下の(7)式の様に表せる。
Rx[1]=H[1]・Tx[1]+n1 …(9)
Rx[2]=H[2]・Tx[2]+n2 …(10)
Rx[3]=H[3]・Tx[3]+n3 …(11)
上記(9)式から(11)式において、Tx[1]=(t1,t2,t3)T、Tx[2]=(t4,t5,t6)T、Tx[3]=(t7,t8,t9)T、Rx[1]=(r1,r2,r3)T、Rx[2]=(r4,r5,r6)T、Rx[3]=(r7,r8,r9)Tとした。この様に、全体伝達関数行列H[all]を、部分行列H[1]、H[2]、H[3] に分解することにより、基地局と3つの端末局とにおける各々の通信を、3つのシングルユーザMIMO通信とみなすことができるようになる。
そして、まず、第1ステップとして、端末局#2及び#3に対応する6つの行ベクトルh4〜h9が張る6次元部分空間における6つの基底ベクトルe4〜e9を求める。この基底ベクトルを求める方法としては、グラムシュミットの直交化法の他、様々な方法があるが、ここでは例としてグラムシュミットの直交化法を例に説明する。
e4=(h4・h4 H)−1/2・h4 …(12)
上記(12)式において、(h4・h4 H)は同一ベクトルの絶対値の2乗を意味するスカラー量であり、この平方根の逆数の乗算は行ベクトルh4を規格化することを意味する。
次に、行ベクトルh5に着目し、この行ベクトルh5の中から、上記(12)式により求めた基底ベクトルe4方向の成分をキャンセルした行ベクトルh5’を、下記の(13)式により求めた後、さらに、この行ベクトルh5’を、(14)式により規格化する。
h5’=h5−(h5・e4 H)・e4 …(13)
e5=(h5’・h5’H)−1/2・h5’ …(14)
上記(13)式において、(h5・e4 H )はベクトルh5の基底ベクトルe4方向への射影を意味する。
hj’=hj−Σ(i)(hj・ei H)・ei …(15)
ej=(hj’・hj’H )−1/2・hj’ …(16)
上記(15)式におけるΣ(i)は、4≦i≦j−1(jは4〜9の整数)の整数iに対する総和を意味する。つまり、既に確定した基底ベクトル方向の成分をキャンセルすることを意味している。上述した基底ベクトルの算出処理により、6つの基底ベクトルe4〜e9を求めることができる。
まず、行ベクトルh1〜h3から、基底ベクトルe4〜e9が張る6次元部分空間の成分をキャンセルする。具体的には以下の(17)式により表せる。
hj’=hj −Σ(i)(hj・ei H )・ei …(17)
上記(17)式において、jは1〜3の整数であり、Σ(i)は、4≦i≦9の整数iに対する総和を意味する。
この(17)式を用いて求めた行ベクトルh1’〜h3’に対し、適当な直交化処理を行う。簡単のためにここではグラムシュミットの直交化を例として用いるが、その他の方法を用いても良い。
e1=(h1’・h1’H)−1/2・h1’ …(18)
h2”=h2’−(h2’・e1 H)・e1 …(19)
e2=(h2”・h2”H)−1/2・h2” …(20)
h3”=h3’−(h3’e1 H)・e1−(h3’・e2 H)・e2 …(21)
e3=(h3”・h3”H)−1/2・h3” …(22)
上記(12)式から(22)式までの処理により、端末局#1(102)に対する送信ウエイトベクトルw1〜w3を決定することができる。
上述した第1ステップから第3のステップが従来方式における送信ウエイト行列の求める処理方法である。ここで、図7に、従来技術における送信ウエイト行列Wの算出のフローチャートを示す。以下に、図7のフローチャートを簡単に説明する。
現在、MIMO技術は無線LAN等で注目を集めているが、IEEE802.11a、IEEE802.11g等の標準規格の無線LANにおいては、マルチキャリアを用いたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を採用している。このOFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、以上の処理を全てのサブキャリアにおいて個別に実施する必要がある。
この図8において、111aはデータ分割回路、112a−1〜112a−Lはプリアンブル付与回路、、113a−1〜113a−Lは変調回路、114aは送信信号変換回路、115a−1〜115a−MTは無線部、116a−1〜116a−MTは送受信アンテナ、117aは伝達関数行列取得回路、118aは送信ウエイト算出回路、119aは空間多重条件判断回路を表す。
また、送信局側の構成としたが、一般には基地局及び端末局は送信機能および受信機能の双方を備えており、ここで示した図8はその中の送信に関する機能のみを抜粋したものとなっている。
したがって、受信のための機能はここには明記していない。また、ここではダウンリンクでのマルチユーザMIMOを想定し、送信局側とは基地局を暗に想定しているが、必ずしも基地局である必要はない。
上記L系統に分割されたそれぞれの信号は、プリアンブル付与回路112a−1〜112a−Lに入力され、所定のチャネル推定用プリアンブルが付与され、変調回路113a−1〜113a−Lに入力される。
変調回路113a−1〜113a−Lにおいては、所定の変調処理が行われ、この変調処理された出力信号が送信信号変換回路114aに入力される。
以上がシングルキャリアの無線システムの例である。OFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、図9に示すように、サブキャリア毎に同様の処理を行うことになる。
まず、第1の受信アンテナ121−1から第3の受信アンテナ121−3は、それぞれ個別に受信信号を受信する。無線部122−1〜122−3を経由して、受信した信号はチャネル推定回路123に入力される。チャネル推定回路123は、送信側で付与された所定のプリアンブル信号の受信状況から、第i送信アンテナと第j受信アンテナとの間の伝達関数を取得する。
一方、プリアンブル信号に後続するデータ信号は、1シンボル分づつ受信信号管理回路124に入力される。受信信号管理回路124においては、各アンテナの受信信号(r1, r2, r3)を成分とした受信信号ベクトルRxが一旦管理される。この受信信号ベクトルRxは、行列演算回路#2(127)において、行列演算回路#1(126)にて求められた(HH・H)−1・HHと乗算される。この乗算結果により得られた信号は、送信信号ベクトルTxにノイズが乗った信号であるため、硬判定回路128にて信号判定がされ、各シンボル毎および各系統の信号はデータ合成回路129で合成され、もとのユーザデータが再生され出力される。
上述した各場合には、図10において点線で囲った信号検出部130の構成の詳細が変更になるのであるが、以降の説明においてはその具体例に依存しないので、ここではその詳細は省略する。また、以上はシングルキャリアを前提とした説明であったが、OFDM変調方式を用いる場合には、サブキャリア毎に同様の処理を行うことになる。
すなわち、受信局においては、信号を受信すると(S201)、自局宛の全信号系列のチャネル推定を行い、これを伝達関数行列H[i]とする(S202)。この伝達関数行列をもとに、後続するデータ信号を受信し、信号検出処理を行う(S203)。後続するシンボルにデータが存在する場合には(S204)、処理S203に戻り受信処理を継続し、全シンボルの信号検出が完了した場合には(S204)、これまでの信号検出済みの信号からデータ合成・再生を行う(S205)。
この理由としては、ある端末にとっての固有ベクトルは、他の端末の固有ベクトルとは一般には直交しておらず、他の端末の直交ベクトル方向の成分は、その端末への干渉としてはたらくことにある。これを回避するために、このベクトル方向の成分をお互いにキャンセルしあい、その結果として求まる送信ウエイトベクトルWは、当初の固有ベクトル方向の成分が大分小さくなっている。
したがって、送信側において完全な送信指向性制御を行い干渉を完全に除去しようとすることは効率的ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、干渉波をある程度許容しながらも、送受信局双方の回路規模的な負荷が最小となるような無線通信方法、無線通信システム及び無線基地局並びに無線端末局を提供することを目的とする。
これは、従来は他局宛の信号の検出処理を行っていなかったのに対し、他局宛の信号も合わせて信号検出を行い、精度良くかつ効率的に干渉信号を除去するためのひとつの手法を与えるものである。
これは、空間多重された信号系列の中から、他局宛の信号系列に対して限定的に信号検出を行う際に、選択的に信号検出を行う信号系列を選択するための一つの方法を提供するものである。
これは、空間多重された信号系列の中から、他局宛の信号系列に対して限定的に信号検出を行う際に、選択的に信号検出を行う信号系列を選択するための別の方法を提供するものである。
これは、空間多重された信号系列の中から、他局宛の信号系列に対して限定的に信号検出を行うことを前提として、送信局側の送信ウエイト決定方法を提供するものである。
本発明において、送信側、例えば基地局における無線装置は送信ウエイトベクトルの完全な直交化は図らず、ある信号系列に着目した場合、所定の信号系列間では干渉を許容するように信号を送信する。ただし、この場合においても、その他の信号系列とは直交するように送信指向性を制御する。
一方、受信側、例えば無線端末側においては、自局宛の信号系列と、その他の他局宛の信号系列の中で干渉成分を含むものを選択し、空間多重された全体の信号系列の中から、これらの信号系列の信号のみを選択的に信号分離・信号検出を行う。なお、送信側においては、受信側における自局宛の信号系列のそれぞれの受信信号強度(SNR:Signal-to-Noise Ratio)が、干渉成分のSNRよりも大きくなるように送信指向性を制御する。
上記参照文献に記載の簡易型MLD法では、シングルユーザMIMO環境において、空間多重された信号に対しQR分解を用い、各ステージ(各信号系列の信号推定処理)毎に送信信号の候補数を有限に絞り、最終的には絞り込まれた範囲の信号系列の候補の組み合わせに対しMLD処理を実施することで、最も確からしい送信信号ベクトルを推定する。以下に手順を説明する。
まず、伝達関数行列Hがn行m列であるとする。この伝達関数行列Hを、以下の(23)式に示すようにQR分解する。この(23)式において、H=Q・Rと表記した際、Qはユニタリ行列、Rは上三角行列となっている。
以下の(24)式に示すように、(1)式の両辺左からQHを作用させる。ここで、QHにおける右肩の「H」の記号はエルミート共役を表している。この演算の結果、(24)式は、m個の連立1次方程式に帰着される。
上記(24)式におけるn個の連立1次方程式を順番に下から解いていく。すなわち、行列で表される連立1次方程式の最下行の方程式y’nから順にy’1の方向に解いていく。ただし、この際、雑音項nj(1≦i≦m)は不定であり、絶対値の小さい方から所定の数だけ順番に解の候補を選択する。一旦選択した解の候補は、さらに上の行の方程式を解く際に既知であるものとして処理を行う。j行目の処理をStep-jとした際に、各Stepにおける処理を以下に説明する。
・Step−2: xm−1の候補をy’m−1= rm−1m−1x’m−1 +rm−1mxm [km]を満たすx’m−1からkm−1番目(km−1=1〜Nm−1)に距離が近い信号点xm−1 [km−1,km]を{xm−1 [km−1,km],xm [km]}の組み合わせとして合計Nm−1×Nm個選択
・・・
・Step−m:x1の候補をy’1=r11x’1+…+r1mxm [k2 ,k3,…,km]を満たすx’1からk1番目(k1=1〜N1)に距離が近い信号点x1 [k1,k2 ,k3,…,km]を{x1 [k1 ,k2,…,km],x2 [k2 ,k3,…,km],…,xm [km]}の組み合わせとして合計N1×N2×…×Nm個選択
・Final Step:{x1 [k1 ,k2,…,km],x2 [k2 ,k3,…,km],…,xm [km]}の合計N1×N2×…×Nm個の候補に対し、差分の絶対置‖QH・y−R・x‖を最小にする候補をMLD処理により選択することで{x1,x2,…,xm}を最尤推定する
さらに、送信局側では、6系統の信号系列を9本の送信アンテナを用いて送信するため、9行6列の送信ウエイトベクトルを、空間多重する信号系列に対して乗算して送信を行う。つまり、(7)式における送信ウエイト行列Wは列ベクトルw1〜w6に分解され、W=(w1, w2, w3,…, w6)と置き換えられたものとなる。ここで、(7)式のH[all]×Wの上側3行を抜き出すと、下記の(25)式に示す3行6列の部分伝達関数行列H’[1]になる。
例えば、これらの4列の列ベクトルについて、同一ベクトルの内積h’j H ・h’jの絶対値(またはその近似値)を計算し、h’3〜h’6の中から絶対値の大きいベクトルを選択する。
Rx[1]=Hex [1]・Txex [1]+n1 …(26)
Hex [1]=[h’3,h’1,h’2] …(27)
なお、ここでは他局宛の伝達関数列ベクトルを左側の行に、他局宛の信号系列を拡張部分送信信号ベクトルTxex [1]の上側に配置している。この様な拡張部分伝達関数行列Hex [1]に対し、先に説明したQR分解を用いた簡易MLD方式を適用する。他局宛の信号系列t3は、自局宛の信号系列t1、t2よりも後に候補の絞込みを行う。なお、(26)式に対する簡易MLD方式の適用した結果、各信号系列に対する推定値t1、t2、t3が得られるが、推定値t3は他端末局宛の信号であるため、これを廃棄する。自局宛の推定値t1、t2のみを残し、最終的にこれらの信号を合成してデータを再生する。
さらにここでは、簡易MLD方式を適用した場合について説明したが、MIMO通信におけるその他のいかなる信号検出方式(例えば、ZF方式やMMSE法など)にも適用可能である。またさらに、簡易MLD方式において、他局宛の信号系列を部分送信信号ベクトルの上側に配置する様に設定したが、その他の場合においても本発明は適用可能である。
以上説明した動作原理を実現するための実施の形態を、以下に図を用いて説明する。
図1に、本発明の第1の実施形態における端末局の受信部の構成例を示す。図1において、1−1〜1−3は受信アンテナ、2−1〜2−3は無線部、3はチャネル推定回路、4は受信信号管理回路、5は伝達関数行列H[all]管理回路、6は検出信号系列選択回路、7は拡張伝達関数行列生成回路、8は信号検出回路、9は希望信号抽出回路、10はデータ合成回路を示す。
チャネル推定回路3は、送信側にて付与した所定のプリアンブル信号の受信状況から、各信号系列と受信アンテナ間の伝達関数とをここで取得する。チャネル推定回路3は、上述のように取得した伝達関数行列を、伝達関数行列H[all]管理回路5へ出力する。伝達関数行列H[all]管理回路5は、入力される伝達関数行列を、伝達関数行列H[all]として管理する(信号系列と)。ここで、チャネル推定回路3は、自局宛の信号系列以外、すなわち他局宛の信号系列のプリアンブル信号に対しても相関をとり、伝達関数情報を取得する。
検出信号系列選択回路6は、入力される伝達関数行列H[all]の列ベクトルのそれぞれの絶対値(またはその近似値)を求め、絶対値(またはその近似値)が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択し、拡張伝達関数行列生成回路7へ出力する。また、拡張伝達関数行列生成回路7には、この検出信号系列選択回路6から、選択結果である信号系列が入力されるとともに、伝達関数行列管理回路5から、伝達関数行列H[all]の情報も入力される。拡張伝達関数行列生成回路7は、検出信号系列選択回路6にて選択された信号系列及び自局宛の信号系列に関する伝達関数情報(つまり伝達関数列ベクトル)を、伝達関数行列H[all]管理回路5から抽出し、拡張伝達関数行列Hex [j]を生成する。拡張伝達関数行列生成回路7は、この拡張伝達関数行列Hex [j]を信号検出部18へ出力する。
信号検出部8は、受信信号管理部4から入力される、シンボル毎の受信信号ベクトルRxに対し、拡張伝達関数行列Hex [j]により、各信号系列の信号推定(信号検出)を行う。この信号検出部8は、従来例における信号検出部130と同様の構成及び処理機能を有し、伝達関数行列Hを拡張伝達関数行列Hex [j]に置き換え、信号検出部130と同様の信号検出の処理を行い、検出された信号系列を希望信号抽出回路9に出力する。
データ合成回路10においては、自局宛の信号系列のシンボル毎の検出信号を合成して無線基地局が送信したデータを再生し、図示しない外部機器に対して出力する。
従来技術においては、仮にマルチユーザMIMO通信の場合であっても、基本的に送信側が送信指向性制御を行い干渉除去を行っていることを前提とし、受信側では特にマルチユーザMIMO通信を意識した処理は行わなかったが、本発明ではすでに第1の実施形態で述べたように、他局宛の信号が送信されていることを意識した処理が行われる。
次に、チャネル推定回路3は、他局宛の信号系列も含め、取得可能な全信号系列のチャネル推定を行い、送信側の複数のアンテナ及びアンテナ1−1〜1−3間の伝達関数を取得し、これを伝達関数列ベクトル{hj}とする(S2)。
次に、検出信号系列選択回路6は、他局宛の伝達関数列ベクトル{hj}を抽出し(S3)、この他局宛の伝達関数列ベクトル{hj}の大きさを算出する(S4)。この算出処理は、すでに述べたように、ベクトルの絶対値ないしはその近似値の大きさの取得を意味し、伝達関数列ベクトル(他局に対する信号系列に対応)の各成分の絶対値またはその近似値、ないしはいずれかのべき乗値を加算した累積値(積算値)を大きさ(絶対値)としている。
次に、拡張伝達関数行列生成回路7は、自局宛の伝達関数列ベクトル{hj}に、他局宛の信号系列の上記伝達関数列ベクトル{hj}を加え、拡張伝達関数行列Hex[i]を生成する(S6)。
次に、信号検出部8は、拡張伝達関数生成回路7から入力される拡張伝達関数行列Hex[i]をもとに、後続するデータ信号を受信し、信号検出処理を行う(S7)。
次に、データ合成回路10は、後続するシンボルにデータが存在するか否かを検出し、後続するシンボルにデータが存在することを検出した場合、処理をステップS7へ戻し受信処理を継続し、一方、後続するシンボルにデータが存在しないことを検出した場合、全シンボルの信号検出が完了したと判定し、これまでの処理をステップS10へ進める(S9)。
次に、データ合成回路10は、これまでの信号検出済みの検出信号からデータ合成・再生を行い(S10)、処理を終了する(S11)。
したがって、上述したように、受信用のアンテナ及び無線部が4系統である受信装置とすると、自局宛の信号系列が2系統(2本の空間多重が行われている)の場合には、他局宛の信号系列としては1系統ないしは2系統選ぶことが可能である。また、全体の系統数が大きくなると回路規模が非常に大きくなる傾向があるため、必ずしもアンテナの本数分全ての信号系列を処理するとは限らない。
この図3のフローチャートと図2のフローチャートとにおける受信処理の差分は、ステップS5を、ステップS12及びステップS13に置き換えた点である。
このステップS12において、検出信号系列選択回路6は、伝達関数列ベクトルの大きさに関する閾値を予め定めて設定し、算出された伝達関数列ベクトルの絶対値または近似値が閾値を超えている伝達関数列ベクトルを選択し、この所定の閾値以下の伝達関数列ベクトルに対応する信号系列を雑音レベルとみなして信号検出処理から除外する。このとき、検出信号系列選択回路6は、閾値を超えた伝達関数列ベクトルの数が設定された値を超えた場合、その絶対値または近似値の大きい方から設定された数の伝達関数ベクトルを選択する。
この様な状態においては、無理に他局宛の受信信号の信号検出は行わず、所定の系統数以下という条件で選択された他局宛の信号系列のみを用い、また、全ての信号系列の伝達関数列ベクトルが閾値以下で、他局宛の信号系列が全く選択されない場合、自局宛の信号系列のみから得られた伝達関数列ベクトルからなる伝達関数行列のみで検出処理を行うように構成し、他局宛の信号系列の伝達関数を用いるか否かを、伝達関数列ベクトルの大きさにより柔軟に運用するのが好ましい。
QR分解を用いた簡易MLD方式においては、信号系列の順序替え処理を行う場合もあるが、他局宛のベクトル成分を上述したような行列における配置を取ることにより、信号系列の順序替え処理は不要になる。
また、OFDM変調方式を適用する場合には、図2及び図3のフローチャートに示す処理は、サブキャリア毎に実施されることになり、ステップS10におけるデータ合成回路10によるデータ合成処理において、全サブキャリアの信号が合成される。
次に、OFDM変調方式を適用したシステムに本発明を適用した場合の実施形態として、図4に本発明の第2の実施形態における端末局の受信部の構成例を示す。
図2において、1−1〜1−3は受信アンテナであり、2−1〜2−3は無線部であり、13はチャネル推定回路であり、14は受信信号管理回路であり、15は伝達関数行列管理回路であり、16は検出信号系列選択回路であり、17は拡張伝達関数行列生成回路であり、18は信号検出回路であり、19は希望信号抽出回路であり、20はデータ合成回路であり、21−1〜21−3はFFT回路であり、22−1〜22−Kはサブキャリア処理回路である。
FFT回路21−1〜21−3においては、各無線部2−1〜2−3から入力される受信信号に対し、それぞれ高速フーリエ変換処理を施し、各サブキャリアの周波数帯域毎に受信信号を信号分離する。
次に、図5を参照して、本発明の第1の実施形態における送信局側における送信ウエイトベクトルの算出について説明する。図5は、本発明の一実施形態における送信ウエイト行列の算出処理の動作を示すフローチャートを示している。送信部の構成としては、従来例の図8(シングルキャリア)及び図9(サブキャリア)に示す送信局側の構成と同様であり、送信ウエイト行列の算出処理が異なっている。
すなわち、図7のフローチャート示した従来方式における送信ウエイト行列の算出フローにおいては、着目する端末局宛の信号系列を束ねて部分伝達関数行列Hmainとその他の信号系列を束ねて部分伝達関数行列Hsubを設定し、各種基底ベクトルを求め直交化による送信ウエイトベクトルを算出していた。
この様に、他局宛の信号系列が干渉成分として含まれるような送信ウエイトベクトルを生成する場合には、図7のフローチャートが示す従来方式における処理を一部変更すれば、そのまま本実施形態に対応させることができる。
この場合、送信局では部分伝達関数行列HmainとHsubとを、端末局#1及び端末局#2に関する部分伝達関数と、端末局#3に関する部分伝達関数により構成すればよい。
次に、送信ウエイト算出回路118aは、端末局#1宛てと端末局#2宛ての伝達関数情報で構成される部分伝達関数Hmainを抽出し(S23)、それ以外の端末局#2宛ての部分伝達関数行列Hsubを抽出(S24)する。
そして、送信ウエイト算出回路118aは、部分伝達関数Hsubの各行ベクトルが張る部分空間の直交基底ベクトルを算出し、これを{ej}とする(S25)。
次に、送信ウエイト算出回路118aは、従来例における(17)式に相当する処理として、部分伝達関数Hmainから、ステップS25で求めた基底ベクトル{ej}に関する成分をキャンセルし、これを行列H’mainとする(S26)。
そして、送信ウエイト算出回路118aは、基底ベクトル{ei}の各ベクトルのエルミート共役ベクトル(列ベクトル)として、端末局#1及び端末局#2宛の信号系列に関する送信ウエイトベクトル{wi}を算出して決定する(S28)。なお、実際の送信ウエイトベクトルは、ここで求めた送信ウエイトベクトルに対して係数を乗算したものであっても構わない。また、求めた基底ベクトルの数が該当する信号系列の数よりも多い場合には、求めた基底ベクトルの一部を選択して割り当てを行う。
以上で端末局#1および端末局#2に関連した送信ウエイトベクトルは決定済みとなったが、送信ウエイト算出回路18aは、残りの端末局に関する送信ウエイトベクトルも合わせて算出して決定し(S29)、送信ウエイトベクトル{wi}を各列ベクトルとする行列として送信ウエイト行列Wを決定し(S29)、処理を完了する(S31)。
またさらに、例えば各端末局が3系統のアンテナ及び無線部を備え、かつ空間多重する信号数が各端末局において2系統ずつである場合、端末局#1と端末局#2とをグループ化すると合計で4系統の信号を空間多重していることになり、受信端末側の信号検出処理能力を超えることとなる。この様な場合には、同一グループの端末局において、他局宛の信号系列の一部の系統のみが干渉となるように送信ウエイトベクトルを設定することで対処可能である。
上述したように求めた送信ウエイト行列Wを用い、全体としては(6)式に示すように、送信すべき信号系列により構成される送信信号の列ベクトルに対し、送信ウエイト行列Wが乗算され、その結果となる信号を送信することになる(従来例の処理と同様)。
すなわち、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであり、実施形態の構成が本発明を限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することが出来る。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
3…チャネル推定回路 4…受信信号管理回路
5…伝達関数行列管理回路 6…検出信号系列選択回路
7…拡張伝達関数行列生成回路 8…信号検出回路
9…希望信号抽出回路 10…データ合成回路
13…チャネル推定回路 14…受信信号管理回路
15…伝達関数行列管理回路 16…検出信号系列選択回路
17…拡張伝達関数行列生成回路 18…信号検出部
19…希望信号抽出回路 20…データ合成回路
21−1,21−2,21−3…FFT回路
22−1,22−1,22−K…サブキャリア処理回路
101…基地局 102〜104…端末局#1〜#3
111a,111b…データ分割回路
112a−1,112a−2,112a−L…プリアンブル付与回路
112b−1,112b−2,112b−L…プリアンブル付与回路
113a−1,113a−2,113a−L…変調回路
113b−1,113b−2,113b−L…変調回路
114a,114b…送信信号変換回路
115a−1,115a−2,115a−MT…無線部
115b−1,115b−2,115b−MT…無線部
116a−1,116a−2,116a−MT…送受信アンテナ
116b−1,116b−2,116b−MT…送受信アンテナ
117a,117b…伝達関数行列取得回路
118a,118b…送信ウエイト算出回路
119a,119b…空間多重条件判断回路
120a−1,120a−2,120a−L…IFFT回路
120b−1,120b−2,120b−L…IFFT回路
121−1,121−2,121−3…受信アンテナ
122−1,122−2,122−3…無線部
123…チャネル推定回路 124…受信信号管理回路
125…伝達関数行列管理回路 126…行列演算回路#1
127…行列演算回路#2 128…硬判定回路
129…データ合成回路 130…信号検出部
Claims (11)
- 一つの第1の無線局と複数の第2の無線局により構成され、該第1の無線局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該第2の無線局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記第1の無線局の前記第1のアンテナ群と、前記第2の無線局の全てまたはその一部の無線局の備える前記第2のアンテナ群とにより構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおける無線通信方法であり、
前記第1の無線局における送信処理は、
前記第1のアンテナ群と前記複数の第2のアンテナ群との間におけるMIMOチャネルの各伝達関数情報を取得する伝達関数行列取得ステップと、
前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該各信号系列に乗算する係数、すわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップと、
各信号系列と前記第1のアンテナ群の各々のアンテナとの組み合わせ毎の該送信ウエイトを成分として構成される送信ウエイト行列を、空間多重する各信号系列を成分とする送信信号ベクトルに乗算する送信信号変換ステップと、
該乗算結果を前記第1のアンテナ群の各アンテナを介して送信する無線ステップと、
を有し、
前記第2の無線局における受信処理は、
前記第1の無線局が送信した信号を受信する受信ステップと、
自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数情報取得ステップと、
他局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数情報取得ステップと、
自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てと、一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成ステップと、
該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルとをもとに、自局宛の信号系列の全てと、一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出ステップと、
該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出ステップと、
該抽出した信号から前記第1の無線局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成ステップと
を有することを特徴とする無線通信方法。 - 請求項1記載の無線通信方法であって、
前記第2の無線局における拡張伝達関数行列生成ステップにおいて、他局宛の一つ以上の信号系列に対し、
一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出するステップと、
該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択するステップと、
該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出するステップと、
該ステップで抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成するステップと、
を実施することを特徴とする無線通信方法。 - 請求項1記載の無線通信方法であって、
前記第2の無線局における拡張伝達関数行列生成ステップにおいて、他局宛の一つ以上の信号系列に対して、
一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出するステップと、
該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択するステップと、
該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択するステップと、
該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出するステップと、
該ステップで抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成するステップと、
を有することを特徴とする無線通信方法。 - 請求項1記載の無線通信方法であって、
前記第1の無線局による送信処理において、
前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該信号系列に乗算する係数、すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップにおいて、複数のグループに分類された複数の前記第2の無線局に対し、着目する一つのグループに属する第2の無線局に対する送信ウエイトベクトルを求めるために、
当該グループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第1の伝達関数行ベクトル群を抽出するステップと、
当該グループ以外のグループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第2の伝達関数行ベクトル群を抽出するステップと、
前記第1の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルから前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルするステップと、
該ステップにより前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルした第1の伝達関数行ベクトル群が張る部分空間を構成する基底ベクトルを算出するステップと、
該基底ベクトルのエルミート共役であるベクトルまたは該ベクトルに係数を乗算したものの全てないしはその一部を各送信ウエイトベクトルとして設定するステップと
を有することを特徴とする無線通信方法。 - 一つの第1の無線局と複数の第2の無線局とにより構成され、該第1の無線局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該第2の無線局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記第1の無線局の前記第1のアンテナ群および前記第2の無線局の全てないしはその一部の無線局の備える前記第2のアンテナ群により構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおいて、
前記第1の無線局は、
前記第1のアンテナ群と前記複数の第2のアンテナ群の間のMIMOチャネルの各伝達関数情報を取得する伝達関数情報取得手段と、
前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該各信号系列に対して乗算する係数すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段と、
各信号系列と前記第1のアンテナ群の各々のアンテナとの組み合わせ毎の該送信ウエイトを成分として構成される送信ウエイト行列を、空間多重する各信号系列を成分とする送信信号ベクトルに乗算する送信信号変換手段と、
該乗算結果を前記第1のアンテナ群の各アンテナを介して送信する無線手段と、
を備え、
前記第2の無線局は、
前記第1の無線局が送信した信号を受信する手段と、
自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数取得手段と、
他局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数取得手段と、
自局宛の信号系列に関して取得された前記伝達関数情報の全てと、少なくともひとつ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成手段と、
該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルとをもとに、自局宛の信号系列の全てと一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出手段と、
該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出手段と、
該抽出された信号から前記第1の無線局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成手段と
を備えることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項5記載の無線通信システムであって、
前記第2の無線局は、一つ以上の他局宛の信号系列を含む信号系列を受信し、前記拡張伝達関数行列生成手段が、
一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、
該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、
該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、
該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項5記載の無線通信システムであって、
前記第2の無線局は、一つ以上の他局宛の信号系列を含む信号系列を受信し、前記拡張伝達関数行列生成手段が、
一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、
該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択する手段と、
該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合には、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、
該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、
該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、
を備えることを特徴とする無線通信システム。 - 請求項5記載の無線通信システムであって、
前記第1の無線局は、前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に乗算する係数すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段において、複数のグループに分類された複数の前記第2の無線局に対し、着目するひとつのグループに属する第2の無線局に対する送信ウエイトベクトルを求めるため、
当該グループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第1の伝達関数行ベクトル群を抽出する手段と、
当該グループ以外のグループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第2の伝達関数行ベクトル群を抽出する手段と、
前記第1の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルから前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルする手段と、
該手段により前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルした第1の伝達関数行ベクトル群が張る部分空間を構成する基底ベクトルを算出する手段と、
該基底ベクトルのエルミート共役であるベクトルないしは該ベクトルに係数を乗算したものの全てないしはその一部を各送信ウエイトベクトルとして設定する手段と
を備えることを特徴とする無線通信システム。 - 一つの無線基地局と複数の無線端末局とにより構成され、該基地局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該無線端末局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記無線基地局の前記第1のアンテナ群および前記無線端末局の全てないしはその一部の備える前記第2のアンテナ群により構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおける無線端末局であって、
前記無線基地局が送信した信号を受信する受信手段と、
自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数行列取得手段と、
他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数行列取得手段と、
自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てと、少なくともひとつ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成手段と、
該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルをもとに、自局宛の信号系列の全てと一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出手段と、
該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出手段と、
該抽出した信号から前記無線基地局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成手段と
を備えることを特徴とする無線端末局。 - 請求項9記載の無線端末局における拡張伝達関数行列生成手段であって、
他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、
他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、
該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、
該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、
該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、
を備えることを特徴とする無線端末局。 - 前記請求項9記載の無線端末局における拡張伝達関数行列生成手段であって、
他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、
他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、
該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択する手段と、
該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合には、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、
該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、
該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、
を備えることを特徴とする無線端末局。
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