JP4455511B2 - 無線通信方法、無線通信システム及び無線端末局 - Google Patents

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Description

本発明は、同一の周波数チャネルを用い、異なる複数の送信アンテナより独立な信号系列を空間多重して送信し、複数の受信アンテナを用いて信号を受信し、各送受信アンテナ間の伝達関数行列をもとに受信局側でデータの復調を行うMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)通信を実現する高速無線アクセスシステムにおいて、ひとつの無線局と他の複数の無線局が、同時にかつ同一周波数チャネル上で空間多重して通信を行うマルチユーザMIMO通信技術を用いた無線通信方法、無線通信システム及び無線端末局に関する。
近年、2.4GHz帯または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などに対応したシステムの普及が目覚しい。これらのシステムにおいては、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbpsの伝送速度を実現している。ただし、ここでの伝送速度とは物理レイヤ上での伝送速度であり、実際にはMAC(Medium Access Control )レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値は30Mbps程度である。
一方で、有線LAN(Local Area Network)の世界ではEthernet(登録商標)の100Base-Tインタフェースをはじめ、各家庭にも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)の普及から、100Mbpsの高速回線の提供が普及しており、無線LANの世界においても更なる伝送速度の高速化が求められている。
そのための技術としては、MIMO技術が有力である。このMIMO技術とは、送信局側において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を送信し、受信局側において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、各送信アンテナ/受信アンテナ間の伝達関数行列を求め、この行列を用いて送信局側の各アンテナから送信した独立な信号を受信側で推定し、データを再生するものである。
ここで、N本の送信アンテナを用いてN系統の信号を送信し、M本のアンテナを用いて信号を受信する場合を考える。まず、送受信局の各アンテナ間にはM×N個の伝送のパスが存在し、第i送信アンテナから送信され第j受信アンテナで受信される場合の伝達関数をhj,iとし、これを第(j,i)成分とするM行N列の行列をHと表記する。さらに、第i送信アンテナからの送信信号をtiとし(t1,t2,t3,・・・ tN)を成分とする列ベクトルをTx、第j受信アンテナでの受信信号をrjとし(r1,r2,r3,・・・rM)を成分とする列ベクトルをRx、第j受信アンテナの熱雑音をnjとし(n1,n2,n3,・・・nM)を成分とする列ベクトルをnと表記する。
上述した条件の場合、以下(1)式の関係式が成り立つ。
Rx=H・Tx+n …(1)
したがって、受信局側で受信した信号Rxをもとに、送信信号Txを推定する技術が求められている。
このMIMO通信においては、信号の伝搬路の情報を利用して、その伝搬路に対して最適な状況にて信号を送信することにより、最も効率的な通信を行うことができる。
例えば、特許文献1の「無線通信方法、並びに該方法を用いた無線通信システム」等に記載された固有モードSDM(Space Division Multiplexing)方式を用いたMIMO伝送においては、信号の伝送方向のMIMOチャネルの伝達関数行列Hを送信局側で取得できた場合に、この伝達関数行列に対応した送信信号の最適化を行う。具体的には、伝達関数行列Hとそのエルミート共役な行列H(右肩の「H」の記号はエルミート共役を表す)の積を、対角化することが可能なユニタリー行列Uを取得し、このユニタリ行列により送信信号を変換して信号を送信する(各アンテナから発信する)。
このユニタリ変換行列Uと伝達関数行列Hとの間には以下の(2)式の関係式が成り立つ。
H・HH ・H・U=Λ …(2)
上記(2)式において、右辺の行列Λは対角成分のみが値を持ち、その他の成分がゼロである対角行列である。この様な特徴を持つユニタリ行列Uを列ベクトルTxに作用させて信号を送信することにより、(1)式は以下の(3)式の様に変換される。
Rx=H・(U・Tx)+n …(3)
この変換により、送信信号はMIMOチャネル毎に直交化され、受信側での処理において簡易なZF(Zero Forcing)方式を用いた場合であっても、各送信信号をMIMOチャネル毎のSNR特性が良好になるように調整される。また、このユニタリ行列の各列ベクトルは、送信信号である列ベクトルTxを各送信アンテナに分配する際の各アンテナに乗算する係数(以降、「送信ウエイトベクトル」と呼ぶ)を与える。この送信ウエイトベクトルを用いることで、各MIMOチャネル毎に直交したビーム形成を行い、それぞれのビーム(固有ビーム)に相当するチャネルの利得がその固有ベクトルの固有値となる。したがって、全MIMOチャネルのチャネル容量Cの上限は以下の(4)式で与えられる。
Figure 0004455511
上記(4)式において、Bは帯域幅、Piは第i番のMIMOチャネルの総送信電力、λは第i固有値であり、σ2は雑音電力の分散値を意味する。この(4)式から求まるチャネル容量Cから、どの程度の伝送レートの伝送モード(ここではQPSK, 64QAM等の変調方式と誤り訂正の符号化率の組み合わせにより規定されるモードを「伝送モード」と定義する)を適用可能か、またさらにどの程度の数のMIMOチャネルを多重化できるかが推定できる。
ちなみに、上記(4)式の中の送信電力Piは全てのMIMOチャネルに共通の値である必要はなく、また各MIMOチャネル毎に伝送モードを変更しても構わない。
一般に、注水定理と呼ばれる手法を用いることにより、この総送信電力Piの値を最適化することが可能である。このMIMOチャネルの中において、総送信電力Pi=0となるMIMOチャネルが存在した場合、そのMIMOチャネルを実際の伝搬に用いず、このMIMOチャネルの電力を、他のMIMOチャネルに対して配分した方が効率的な伝送が行えることを意味している。つまり、MIMOチャネルの多重数を、元々の多重可能な上限値よりも少なく設定することになる。この様にして、多重化するMIMOチャネルの最適値を判断することも可能である。
以上の固有モードSDM技術は、送信側で指向性を持った送信ビームを形成し、空間上で多重化する信号を受信側において効率的に信号分離できるようにするものである。ここで、通常のMIMO通信、すなわち、ひとつの送信局とひとつの受信局との間で通信を行う通信形態をシングルユーザMIMOと呼ぶ。ここで、無線LANや携帯電話等を例に見れば、基地局はサイズ的に比較的大きく、端末局側はポータブルな端末としてサイズは基地局よりも大幅に小さい。この様な小型で携帯可能な端末の中に、MIMO通信のための複数のアンテナを実装したとしても、実装したアンテナ間の距離が短く、アンテナ相関が非常に大きくなってしまう。この場合、(4)式における固有値λiの値は小さくなる傾向にあり、実際に通信に利用できるMIMOチャネル数はそれほど多くはない。
上述した様なケースにおいて、ひとつひとつの端末(個々の端末)との間においては空間多重するMIMOチャネル数を少なくする一方、複数の異なる端末と同時に同一周波数チャネルで通信するマルチユーザMIMO通信が有効である。図6に、このマルチユーザMIMOシステムの構成例を示す。図6において、101は基地局、102〜104は端末局#1〜#3を示す。実際にひとつの基地局が収容する端末局数は多数であるが、その中の数局(図6においては端末局#1〜#3:102〜104)を選び出して通信を行う。各端末局は基地局と比較して送受信アンテナ数が一般的に少ない。
例えば、基地局から端末局方向への通信(ダウンリンク)を行う場合を考える。基地局101は、多数のアンテナを用いて、複数の指向性ビームを形成する。例えば、各端末102〜104に対して、それぞれ3つのMIMOチャネルを割り当て、全体としては9系統の信号系列を送信する場合を考える。
その際、端末局#1(102)に対して送信する信号は、端末局#2(103)および端末局#3(104)方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。この結果として端末局#2(103)および端末局#3(104)への干渉を抑制することができる。同様に、端末局#2(103)に対して送信する信号は、端末局#1(102)および端末局#3(104)方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。同様の処理を端末局#3(104)にも施す。
この様に指向性制御を行う理由は、例えば端末局#1(102)においては、端末局#2(103)および端末局#3(104)で受信した信号の情報を知る術がないため、端末間での協調的な受信処理ができない。つまり、3本しかアンテナのない端末局#1(102)のみの受信処理において、9系統の全ての信号系列を信号分離することは非常に厳しい。そこで、各端末局に対して他の端末局宛の信号が受信されないように、送信側の基地局において干渉分離を事前に行う。
以上の説明が既存のマルチユーザMIMOシステムの概要に対する説明である。
次に、指向性ビームの形成方法について、以下に説明を加える。例えば、図6において、端末局#1(102)の第1受信アンテナと基地局101の第jアンテナとの間の伝達関数をh1jと表記することにする。基地局101のj=1〜9の全てのアンテナに関する伝達関数を用い、行ベクトルh1を(h11,h12,h13,…,h18,h19)と表記する。同様に端末局#1(102)の第2受信アンテナ、第3受信アンテナと基地局101の伝達関数をh2jおよびh3jとし、対応する行ベクトルh2およびh3を(h21,h22,h23,…,h28,h29)、(h31,h32,h33,…,h38,h39)とする。
端末局#2(103)、端末局#3(104)の受信アンテナにも同様の連番をふり、行ベクトルh4〜h9を(h41,h42,h43,…,h48,h49)〜(h91,h92,h93,…,h98,h99)とする。加えて、基地局101が送信する9系統の信号をt1〜t9と表記し、これを成分とする列ベクトルをTx[all]=(t1,t2,t3,…,t8,t9Tと表記する。ここで、右肩のTの文字はベクトル行列の転置を表す。また、同様に、端末局#1〜#3(102〜104)の9本のアンテナでの受信信号をr1〜r9と表記し、これを成分とする列ベクトルをRx[all]=(r1,r2,r3,…,r8,,r9Tと表記する。最後に、行ベクトルh1〜h9を第1から第9行成分とする行列を、全体伝達関数行列H[all]と表記する。
この様に表記した場合、システム全体としては以下の(5)式の関係式が成り立つ。
Rx[all]=H[all]・Tx[all]+n …(5)
この(5)式はシングルユーザMIMOにおける(1)式に対応する。同様に、(3)式に示すような送信指向性制御を行うため、9行9列の送信ウエイト行列Wを導入し、(3)式を以下の(6)式のように書き換える。
Rx[all]=H[all]・W・Tx[all]+n …(6)
さらに、送信ウエイト行列Wを列ベクトルw1〜w9に分解し、W=(w,w,w,…,w,w)と表記すると、以下の(7)式の様に表せる。
Figure 0004455511
上記(7)式において、例えば6つの行ベクトルh4〜h9と3つの列ベクトルw1〜w3の乗算(各成分の乗算したものの総和、複素ベクトルの場合は内積とは異なる)が全てゼロになるように、列ベクトルw1〜w3を選択することとする。同様に、行ベクトルh1〜h3および行ベクトルh7〜h9と列ベクトルw4〜w6の積、行ベクトルh1〜h6と列ベクトルw7〜w9の積の全てがゼロになるように選択することとする。すると、(7)式に示す9行9列の行列は、3行3列の9個の部分行列を用いて表記すると以下のように表すことができる。
Figure 0004455511
上記(8)式において、部分行列H[1]、H[2]、H[3] は3行3列の行列であり、他の部分行列Oは成分が全てゼロの3行3列の行列である。この様な条件を満たす変換行列Wを選択することにより、(8)式は以下に示す(9)式〜(11)式により表される3つの関係式に分解することができる。
Rx[1]=H[1]・Tx[1]+n …(9)
Rx[2]=H[2]・Tx[2]+n …(10)
Rx[3]=H[3]・Tx[3]+n …(11)
上記(9)式から(11)式において、Tx[1]=(t,t,t、Tx[2]=(t,t,t、Tx[3]=(t,t,t、Rx[1]=(r,r,r、Rx[2]=(r,r,r、Rx[3]=(r,r,rとした。この様に、全体伝達関数行列H[all]を、部分行列H[1]、H[2]、H[3] に分解することにより、基地局と3つの端末局とにおける各々の通信を、3つのシングルユーザMIMO通信とみなすことができるようになる。
次に、送信ウエイトベクトルw〜wの決定方法の例を以下に説明する。手順としては、端末局#1(102)に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定し、順次、端末局#2(103)に対する送信ウエイトベクトルw〜w、端末局#3(104)に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定する。
そして、まず、第1ステップとして、端末局#2及び#3に対応する6つの行ベクトルh〜hが張る6次元部分空間における6つの基底ベクトルe〜eを求める。この基底ベクトルを求める方法としては、グラムシュミットの直交化法の他、様々な方法があるが、ここでは例としてグラムシュミットの直交化法を例に説明する。
まず、ひとつのベクトル、例えば行ベクトルhに着目し、この方向で絶対値が1のベクトルを基底ベクトルeとする。この基底ベクトルeを下記の(12)式で表す。
=(h・h −1/2・h …(12)
上記(12)式において、(h・h )は同一ベクトルの絶対値の2乗を意味するスカラー量であり、この平方根の逆数の乗算は行ベクトルhを規格化することを意味する。
次に、行ベクトルhに着目し、この行ベクトルhの中から、上記(12)式により求めた基底ベクトルe方向の成分をキャンセルした行ベクトルh’を、下記の(13)式により求めた後、さらに、この行ベクトルh’を、(14)式により規格化する。
’=h−(h・e )・e …(13)
=(h’・h−1/2・h’ …(14)
上記(13)式において、(h・e )はベクトルhの基底ベクトルe方向への射影を意味する。
同様の基底ベクトルの算出処理を、各ベクトルに対して、以下の(15)式及び(16)式を用いて行う。
’=h−Σ(i)(h・e )・e …(15)
=(h’・h−1/2・h’ …(16)
上記(15)式におけるΣ(i)は、4≦i≦j−1(jは4〜9の整数)の整数iに対する総和を意味する。つまり、既に確定した基底ベクトル方向の成分をキャンセルすることを意味している。上述した基底ベクトルの算出処理により、6つの基底ベクトルe〜eを求めることができる。
次に、第2ステップとして、端末局#1(102)に対する送信ウエイトベクトルw〜wを求める。
まず、行ベクトルh〜hから、基底ベクトルe〜eが張る6次元部分空間の成分をキャンセルする。具体的には以下の(17)式により表せる。
’=h−Σ(i)(h・e )・e …(17)
上記(17)式において、jは1〜3の整数であり、Σ(i)は、4≦i≦9の整数iに対する総和を意味する。
この(17)式を用いて求めた行ベクトルh’〜h’に対し、適当な直交化処理を行う。簡単のためにここではグラムシュミットの直交化を例として用いるが、その他の方法を用いても良い。
グラムシュミットの直交化法は、既に(12)〜(16)式において説明しているので詳細な説明は省略するが、3次元空間の3つの基底ベクトルe〜e各々を、下記の(18)式から(22)式により求めることができる。
=(h’・h−1/2・h’ …(18)
”=h’−(h’・e )・e …(19)
=(h”・h−1/2・h” …(20)
”=h’−(h’e )・e−(h’・e )・e …(21)
=(h”・h−1/2・h” …(22)
さらに、上記基底ベクトルe〜e各々に対応する複素共役ベクトルの転置ベクトル、すなわちエルミート共役なベクトルを求めることにより、各基底ベクトルに対応するベクトルw=e 、w=e 、w=e として送信ウエイトベクトル(列ベクトル)が求まる。
上記(12)式から(22)式までの処理により、端末局#1(102)に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定することができる。
次に、第3ステップとして、第2のステップと同様の送信ウエイトベクトルの算出処理を、端末局#2(103)および端末局#3(104)に対しても施し、その結果として全ての送信ウエイトベクトルw〜wが求まる。
上述した第1ステップから第3のステップが従来方式における送信ウエイト行列の求める処理方法である。ここで、図7に、従来技術における送信ウエイト行列Wの算出のフローチャートを示す。以下に、図7のフローチャートを簡単に説明する。
まず、送信ウエイト行列の算出にあたり、全端末への伝達関数行列Hを取得する(S102)。宛先とする端末局に通し番号を付与し、その通し番号をkと表記した場合、まず通し番号kを初期化する(S103)。さらに、通し番号kをカウントアップし(S104)、着目しているk=1に対応した端末局#1(102)に対する部分伝達関数(ここでは便宜上、Hmainと表記)の抽出(S105)と、それ以外の宛先の端末局の部分伝達関数行列(ここでは便宜上、Hsubと表記)とを抽出(S106)する。
さらに、Hsubの各行ベクトルが張る部分空間の直交基底ベクトルを算出し、この基底ベクトルを{e}とおく(S107)。次に、上記(17)式に相当する処理として、着目している端末局#1(102)に対する部分伝達関数Hmainの各行ベクトルから、上記ステップS107で求めた基底ベクトル{e}に関する成分をキャンセルし、これを行列H’mainとする(S108)。さらに、(18)〜(22)式に対応する処理として、上記行列H’mainの行ベクトルが張る部分空間の直交基底ベクトルを算出し、これを{e}とおく(S109)。
次に、直交基底ベクトル{e}の各ベクトルのエルミート共役ベクトル(列ベクトル)として、端末局#1(102)宛の信号に関する送信ウエイトベクトル{w}を決定する。ここで、全ての宛先の端末局の送信ウエイトベクトルを決定済みか否かを判断し(S111)、残りの端末局があれば、ステップS104からステップS110の処理を繰り返す。また、上記ステップS111において、もし全ての宛先の端末局の送信ウエイトベクトルを決定済みであれば、送信ウエイトベクトル{w}を各列ベクトルとする行列として送信ウエイト行列Wを決定し(S112)、処理を完了する(S113)。
なお、ステップS101〜ステップS113における説明は全てシングルキャリアのシステムを仮定し、送信ウエイト行列をひとつだけ求めれば良かった。
現在、MIMO技術は無線LAN等で注目を集めているが、IEEE802.11a、IEEE802.11g等の標準規格の無線LANにおいては、マルチキャリアを用いたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を採用している。このOFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、以上の処理を全てのサブキャリアにおいて個別に実施する必要がある。
以上、説明を行った各種処理を実現するための従来技術における送信局側の構成例(シングルキャリアの場合)を図8に示す。
この図8において、111aはデータ分割回路、112a−1〜112a−Lはプリアンブル付与回路、、113a−1〜113a−Lは変調回路、114aは送信信号変換回路、115a−1〜115a−Mは無線部、116a−1〜116a−Mは送受信アンテナ、117aは伝達関数行列取得回路、118aは送信ウエイト算出回路、119aは空間多重条件判断回路を表す。
なお、ここでは空間多重する信号系列の総数をL(L>2、Lは整数)とし、無線部(115a−1〜115a−M)及び送受信アンテナ(116a−1〜116a−M)の系統数をMとした。さらに、装置として備える変調回路(113a−1〜113a−L)の数も同じくLであるとする。
また、送信局側の構成としたが、一般には基地局及び端末局は送信機能および受信機能の双方を備えており、ここで示した図8はその中の送信に関する機能のみを抜粋したものとなっている。
したがって、受信のための機能はここには明記していない。また、ここではダウンリンクでのマルチユーザMIMOを想定し、送信局側とは基地局を暗に想定しているが、必ずしも基地局である必要はない。
図8における無線部115a−1〜115a−M及び送受信アンテナ116a−1〜116a−Mにおいては、逐次信号の受信を個別に行う。例えば、送受信アンテナ116a−1にて受信された信号は、無線部115a−1にて周波数変換を施され、所定の処理の後、伝達関数行列取得回路117aにおいて各受信局の伝達関数情報を収集する。ここで、伝達関数情報の収集方法については、受信局側から伝達関数情報を制御チャネルを用いてフィードバックする方法、伝搬チャネル推定用のプリアンブル信号を送受双方向で適宜交換する方法など、様々な方法が選択可能であり、如何なる方法を用いても構わない。
この様にして取得した各受信局毎の伝達関数行列の情報は、伝達関数行列取得回路117a内において記録・管理しておく。空間多重条件判断回路119aは、信号を送信する際にどの受信局を同時に空間多重するか、及びその多重度をどの様に設定するかを管理する。ここで、空間多重する受信局と多重度が規定されると、送信ウエイト算出回路118aにおいては、先に示した条件に対応する送信ウエイト列ベクトル(w, w, w,…, wL−1, w)を算出する。また、送信ウエイト算出回路118aは、これらの情報を送信信号変換回路114aに入力する。
一方、データ分割回路111aは、送信すべきデータが入力されると、空間多重条件判断回路119aが判断した空間多重する受信局と多重度(全受信局でL多重とする)との条件に合わせて、データをL系統に分割する。
上記L系統に分割されたそれぞれの信号は、プリアンブル付与回路112a−1〜112a−Lに入力され、所定のチャネル推定用プリアンブルが付与され、変調回路113a−1〜113a−Lに入力される。
変調回路113a−1〜113a−Lにおいては、所定の変調処理が行われ、この変調処理された出力信号が送信信号変換回路114aに入力される。
この送信信号変換回路114aは、送信ウエイト算出回路118aが算出したベクトル群をもとに、変調回路113a−1〜113a−Lからの出力信号を成分とする送信信号ベクトルに対し、変換行列W=(w, w, w,…, wL−1, w)を乗算する。この乗算により変換されたM系統の信号は、無線部115a−1〜115a−Mにて周波数変換され、各々対応する送受信アンテナ116a−1〜116a−Mを介して送信される。
以上がシングルキャリアの無線システムの例である。OFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、図9に示すように、サブキャリア毎に同様の処理を行うことになる。
この図9に示すMIMOシステムと、図8に示す送信局側の構成例との差分として、各信号系列はデータ分割回路111bにてサブキャリア毎に分割され、各サブキャリアで同様の処理が行われる。また、各サブキャリアにおいて、プリアンブル付与回路112a−1〜112a−L、変調回路113a−1〜113a−L、送信信号変換回路114aに相当する処理を並列的に実施する。その後、逆フーリエ変換処理をIFFT回路120a−1〜120a−Mにおいて実施し、無線部115b−1〜115b−M、送受信アンテナ116b−1〜116b−Mを介して送信される。
次に、図10に、従来技術における受信局の構成例を示す。この図10においては端末局が受信局となるダウンリンクを想定し説明を行う。この場合、マルチユーザMIMOシステムの場合においても、送信局側での送信指向性制御により、他の受信局宛の信号が干渉とならないように制御しているため、受信局は通常のシングルユーザMIMOと同様に受信処理を行えばよい。ここではひとつの例として、3つのアンテナを備える場合を例にとり説明する。
図10において、121−1〜121−3は受信アンテナ、122−1〜122−3は無線部、123はチャネル推定回路、124は受信信号管理回路、125は伝達関数行列管理回路、126は行列演算回路#1、127は行列演算回路#2、128は硬判定回路、129はデータ合成回路、130は信号検出部を示す。
まず、第1の受信アンテナ121−1から第3の受信アンテナ121−3は、それぞれ個別に受信信号を受信する。無線部122−1〜122−3を経由して、受信した信号はチャネル推定回路123に入力される。チャネル推定回路123は、送信側で付与された所定のプリアンブル信号の受信状況から、第i送信アンテナと第j受信アンテナとの間の伝達関数を取得する。
この様にして取得された伝達関数行列は、伝達関数行列管理回路125にて伝達関数行列Hとして管理される。行列演算回路#1(126)では、伝達関数行列管理回路125で管理された伝達関数行列Hをもとに、H、H・H、(H・H)−1、(H・H)−1・Hを順次、演算により求める。
一方、プリアンブル信号に後続するデータ信号は、1シンボル分づつ受信信号管理回路124に入力される。受信信号管理回路124においては、各アンテナの受信信号(r, r, r)を成分とした受信信号ベクトルRxが一旦管理される。この受信信号ベクトルRxは、行列演算回路#2(127)において、行列演算回路#1(126)にて求められた(H・H)−1・Hと乗算される。この乗算結果により得られた信号は、送信信号ベクトルTxにノイズが乗った信号であるため、硬判定回路128にて信号判定がされ、各シンボル毎および各系統の信号はデータ合成回路129で合成され、もとのユーザデータが再生され出力される。
なお、上述した説明においては簡単のため、行列演算回路#1(126)および行列演算回路#2(127)における処理は、ZF(Zero Forcing)法と呼ばれる簡単なMIMO信号検出法を仮定して説明したが、MMSE(Minimum Mean Square Error)法や、MLD(Maximum Likelihood Detection)法などを用いても構わない。また、ZF法の説明として正方行列以外の伝達関数行列Hを想定し、擬似逆行列(H・H)−1・Hを用いる場合について説明したが、伝達関数行列Hが正方行列であれば簡易に伝達関数行列Hの逆行列を用いても構わない。
さらに、硬判定回路128においては硬判定を行うことを仮定していたが、誤り訂正を組み合わせ、軟判定を用いることも可能である。
上述した各場合には、図10において点線で囲った信号検出部130の構成の詳細が変更になるのであるが、以降の説明においてはその具体例に依存しないので、ここではその詳細は省略する。また、以上はシングルキャリアを前提とした説明であったが、OFDM変調方式を用いる場合には、サブキャリア毎に同様の処理を行うことになる。
図11に従来方式における受信処理を示すフローチャートを示す。従来技術においては、仮にマルチユーザMIMO通信の場合であっても、基本的に送信側が送信指向性制御を行い干渉除去を行っていることを前提とし、受信側では特にマルチユーザMIMO通信を意識した処理は行わない。つまり、通常のシングルユーザMIMO通信の処理が行われる。
すなわち、受信局においては、信号を受信すると(S201)、自局宛の全信号系列のチャネル推定を行い、これを伝達関数行列H[i]とする(S202)。この伝達関数行列をもとに、後続するデータ信号を受信し、信号検出処理を行う(S203)。後続するシンボルにデータが存在する場合には(S204)、処理S203に戻り受信処理を継続し、全シンボルの信号検出が完了した場合には(S204)、これまでの信号検出済みの信号からデータ合成・再生を行う(S205)。
WO 2005/055484 A1
以上説明した様に、従来技術によりマルチユーザMIMO通信が実現可能であるが、この方法で求めた送信ウエイトベクトルは、他の端末を無視してシングルユーザMIMOとみなした場合に固有モードSDM方式で得られる固有ベクトルとは一般的には異なっている。
この理由としては、ある端末にとっての固有ベクトルは、他の端末の固有ベクトルとは一般には直交しておらず、他の端末の直交ベクトル方向の成分は、その端末への干渉としてはたらくことにある。これを回避するために、このベクトル方向の成分をお互いにキャンセルしあい、その結果として求まる送信ウエイトベクトルWは、当初の固有ベクトル方向の成分が大分小さくなっている。
上述した状況の意図することは、着目する端末局に有効な方向に向けて電波を送信しようとすると、他の端末局に対する干渉となってしまい、また逆に、他の端末局に対して指向性利得が極端に小さくなるようにヌル形成を行うと、着目した端末局に有効な方向とは異なる方向に指向性が向いてしまい、大きな送信電力のロスとなることである。
したがって、送信側において完全な送信指向性制御を行い干渉を完全に除去しようとすることは効率的ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、干渉波をある程度許容しながらも、送受信局双方の回路規模的な負荷が最小となるような無線通信方法、無線通信システム及び無線基地局並びに無線端末局を提供することを目的とする。
上記の問題を解決するために、本発明の無線通信方法は、一つの第1の無線局と複数の第2の無線局により構成され、該第1の無線局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該第2の無線局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記第1の無線局の前記第1のアンテナ群と、前記第2の無線局の全てまたはその一部の無線局の備える前記第2のアンテナ群とにより構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおける無線通信方法であり、前記第1の無線局における送信処理は、前記第1のアンテナ群と前記複数の第2のアンテナ群との間におけるMIMOチャネルの各伝達関数情報を取得する伝達関数行列取得ステップと、前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該各信号系列に乗算する係数、すわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップと、各信号系列と前記第1のアンテナ群の各々のアンテナとの組み合わせ毎の該送信ウエイトを成分として構成される送信ウエイト行列を、空間多重する各信号系列を成分とする送信信号ベクトルに乗算する送信信号変換ステップと、該乗算結果を前記第1のアンテナ群の各アンテナを介して送信する無線ステップと、を有し、前記第2の無線局における受信処理は、前記第1の無線局が送信した信号を受信する受信ステップと、自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数情報取得ステップと、他局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数情報取得ステップと、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てと、一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成ステップと、該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルとをもとに、自局宛の信号系列の全てと、一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出ステップと、該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出ステップと、該抽出した信号から前記第1の無線局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成ステップとを有することを特徴とする。
従来技術とは、自局宛に送信されたデータを再生するにあたり、一つ以上の他局宛の信号系列を含む信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する伝達関数情報を取得するステップと、自局宛の信号系列に関して取得された前記伝達関数情報の全てと、一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成するステップと、該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルをもとに、自局宛の信号系列の全てと少なくともひとつ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行うステップと、該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出するステップとを実施する点で異なる。
これは、従来は他局宛の信号の検出処理を行っていなかったのに対し、他局宛の信号も合わせて信号検出を行い、精度良くかつ効率的に干渉信号を除去するためのひとつの手法を与えるものである。
本発明の無線通信方法は、上記記載の無線通信方法であって、前記第2の無線局における拡張伝達関数行列生成ステップにおいて、他局宛の一つ以上の信号系列に対し、一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出するステップと、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択するステップと、該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出するステップと、該ステップで抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成するステップとを実施することを特徴とする。
これは、空間多重された信号系列の中から、他局宛の信号系列に対して限定的に信号検出を行う際に、選択的に信号検出を行う信号系列を選択するための一つの方法を提供するものである。
本発明の無線通信方法は、上記記載の無線通信方法であって、前記第2の無線局における拡張伝達関数行列生成ステップにおいて、他局宛の一つ以上の信号系列に対して、一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出するステップと、該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択するステップと、該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択するステップと、該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出するステップと、該ステップで抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成するステップと、を有することを特徴とする。
これは、空間多重された信号系列の中から、他局宛の信号系列に対して限定的に信号検出を行う際に、選択的に信号検出を行う信号系列を選択するための別の方法を提供するものである。
本発明の無線通信方法は、上記記載の無線通信方法であって、前記第1の無線局による送信処理において、前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該信号系列に乗算する係数、すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップにおいて、複数のグループに分類された複数の前記第2の無線局に対し、着目する一つのグループに属する第2の無線局に対する送信ウエイトベクトルを求めるために、当該グループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第1の伝達関数行ベクトル群を抽出するステップと、当該グループ以外のグループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第2の伝達関数行ベクトル群を抽出するステップと、前記第1の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルから前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルするステップと、該ステップにより前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルした第1の伝達関数行ベクトル群が張る部分空間を構成する基底ベクトルを算出するステップと、該基底ベクトルのエルミート共役であるベクトルまたは該ベクトルに係数を乗算したものの全てないしはその一部を各送信ウエイトベクトルとして設定するステップとを有することを特徴とする。
これは、空間多重された信号系列の中から、他局宛の信号系列に対して限定的に信号検出を行うことを前提として、送信局側の送信ウエイト決定方法を提供するものである。
本発明の無線通信システムは、一つの第1の無線局と複数の第2の無線局とにより構成され、該第1の無線局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該第2の無線局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記第1の無線局の前記第1のアンテナ群および前記第2の無線局の全てないしはその一部の無線局の備える前記第2のアンテナ群により構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおいて、前記第1の無線局は、前記第1のアンテナ群と前記複数の第2のアンテナ群の間のMIMOチャネルの各伝達関数情報を取得する伝達関数情報取得手段と、前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該各信号系列に対して乗算する係数すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段と、各信号系列と前記第1のアンテナ群の各々のアンテナとの組み合わせ毎の該送信ウエイトを成分として構成される送信ウエイト行列を、空間多重する各信号系列を成分とする送信信号ベクトルに乗算する送信信号変換手段と、該乗算結果を前記第1のアンテナ群の各アンテナを介して送信する無線手段と、を備え、前記第2の無線局は、前記第1の無線局が送信した信号を受信する手段と、自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数取得手段と、他局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数取得手段と、自局宛の信号系列に関して取得された前記伝達関数情報の全てと、少なくともひとつ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成手段と、該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルとをもとに、自局宛の信号系列の全てと一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出手段と、該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出手段と、該抽出された信号から前記第1の無線局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成手段とを備えることを特徴とする。
本発明の無線通信システムは、上記記載の無線通信システムであって、前記第2の無線局は、一つ以上の他局宛の信号系列を含む信号系列を受信し、前記拡張伝達関数行列生成手段が、一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の無線通信システムは、上記記載の無線通信システムであって、前記第2の無線局は、一つ以上の他局宛の信号系列を含む信号系列を受信し、前記拡張伝達関数行列生成手段が、一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択する手段と、該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合には、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、を備えることを特徴とする。
本発明の無線通信システムは、上記記載の無線通信システムであって、前記第1の無線局は、前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に乗算する係数すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段において、複数のグループに分類された複数の前記第2の無線局に対し、着目するひとつのグループに属する第2の無線局に対する送信ウエイトベクトルを求めるため、当該グループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第1の伝達関数行ベクトル群を抽出する手段と、当該グループ以外のグループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第2の伝達関数行ベクトル群を抽出する手段と、前記第1の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルから前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルする手段と、該手段により前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルした第1の伝達関数行ベクトル群が張る部分空間を構成する基底ベクトルを算出する手段と、該基底ベクトルのエルミート共役であるベクトルないしは該ベクトルに係数を乗算したものの全てないしはその一部を各送信ウエイトベクトルとして設定する手段とを備えることを特徴とする。
本発明の無線端末局は、一つの無線基地局と複数の無線端末局とにより構成され、該基地局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該無線端末局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記無線基地局の前記第1のアンテナ群および前記無線端末局の全てないしはその一部の備える前記第2のアンテナ群により構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおける無線端末局であって、前記無線基地局が送信した信号を受信する受信手段と、自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数行列取得手段と、他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数行列取得手段と、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てと、少なくともひとつ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成手段と、該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルをもとに、自局宛の信号系列の全てと一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出手段と、該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出手段と、該抽出した信号から前記無線基地局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成手段とを備えることを特徴とする。
本発明の無線端末局は、上記記載の無線端末局であって、拡張伝達関数行列生成手段が、他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、を備えることを特徴とする無線端末局。
本発明の無線端末局は、上記記載の無線端末局であって、拡張伝達関数行列生成手段が、他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択する手段と、該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合には、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、を備えることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、マルチユーザMIMO通信を行う際の各端末局への送信指向性制御において、各端末局に関する部分伝達関数行列から行う干渉成分除去処理を、必要最低限の干渉除去の範囲にて限定的に行い、ある程度の干渉波を許容することにより、部分伝達関数行列の各行ベクトルが縮小するのを防ぎ、着目した端末に対して異なる方向に指向性が向くことを防止することができ、すなわちその結果として効率的に伝送を行うことが可能となる効果が得られる。
本発明の無線通信システムの構成を説明する前に、本発明におけるデータの送受信処理における動作原理を説明する。
本発明において、送信側、例えば基地局における無線装置は送信ウエイトベクトルの完全な直交化は図らず、ある信号系列に着目した場合、所定の信号系列間では干渉を許容するように信号を送信する。ただし、この場合においても、その他の信号系列とは直交するように送信指向性を制御する。
一方、受信側、例えば無線端末側においては、自局宛の信号系列と、その他の他局宛の信号系列の中で干渉成分を含むものを選択し、空間多重された全体の信号系列の中から、これらの信号系列の信号のみを選択的に信号分離・信号検出を行う。なお、送信側においては、受信側における自局宛の信号系列のそれぞれの受信信号強度(SNR:Signal-to-Noise Ratio)が、干渉成分のSNRよりも大きくなるように送信指向性を制御する。
上述した受信側における選択された信号系列に対し信号分離・信号検出の方法としては、従来のシングルユーザMIMO通信における任意の方式を用いることが可能であるが、この信号分離・信号検出の結果として、信号検出した信号系列の中で、自局宛以外の信号系列については廃棄して、データの出力は行わない。なお、MIMO通信における受信の方法として、特に、QR分解を用いた簡易型のMLD(Maximum Liklihood Detection)方式におけるパラメータ設定を最適化する手法の組み合わせを用いることにより、信号処理における演算量の低減化を図ることが効果的である。
QR分解を用いる簡易型のMLD(Maximum Liklihood Detection)方式の場合、ユニタリ行列を送信信号に乗算して得られた上三角行列の上側の信号系列ほどダイバーシチ利得が高いことが知られている。一方、MLD方式では、送信信号候補に対する受信レプリカ信号と実際の受信信号との幾何学的距離を算出し、これが最小となる候補を送信信号ベクトルとして推定・検出する。また、簡易化処理の中では、送信信号ベクトルの候補の絞込みを行う際に、各信号系列の候補を絞り込み、絞り込んだ組み合わせの中で受信レプリカ信号と実際の受信信号との幾何学的距離を算出する。
簡易化による特性の劣化は、各信号系列の候補を絞り込む際に、実際には幾何学的距離を最小にする候補を早期に除外してしまう場合に問題となる。ここで、信号系列毎に受信信号のSNRに差がある場合、SNRが小さい信号系列ほど、信号点の候補が幾何学的距離に与える影響は小さいという傾向がある。そこで、この傾向を利用し、送信指向性制御において、ある無線局に着目した際に受信される信号における自局宛の信号系列のSNRが他局宛のSNRに対して大きくなるように調整し、受信局側では先に自局宛の信号系列の候補を検索する。また、このとき、他局宛の信号系列は、上三角行列の上側に配置され、その結果としてダイバーシチ利得が高い状態で受信処理される。また、一方で他局宛のSNRが低いため、絞り込み候補の数を小さく設定しても幾何学的距離を最小にする候補を除外してしまうリスクは小さい。そこで、他局宛の信号系列の候補の数は、十分に小さな値に設定することが可能である。
また、受信側において信号検出する信号系列の選択であるが、送信側にて送信指向性制御を行う上で、端末間における干渉の漏れこみを許容する信号系列を意図的に設定する場合には、送信側から選択すべき信号系列を指定することが可能である。また、送信側から指定されない場合においても、受信側では複数の既知のプリアンブル信号パターンを用いて各プリアンブル信号の伝達関数を取得し、この伝達関数の情報から信号検出すべき信号系列を選択することも可能である。この選択の方法としては、自局宛の信号系列に対する伝達関数行列の他に、他の信号系列に対する伝達関数ベクトルを取得し、他の信号系列に対する伝達関数ベクトルの絶対値が大きい方から順番に所定の数だけ信号系列を選択するという方法がある。送信局は図8または図9と同様の構成をしているため、説明を省略する。
上述した説明が動作原理の概要であるが、以下に順次、各処理における詳細な説明を行う。また、最初に、参照文献(姜,鬼沢,淺井,太田,相河, “A Novel QR-Decomposition-Aided Near Maximum Likelihood Detector in OFDM-SDM Systems”, 電子情報通信学会2005年総合大会, B-5-196, 2005年3月)に示された、シングルユーザMIMOにおけるQR分解を用いた簡易型のMLD(Maximum Liklihood Detection)方式の概要を説明する。
上記参照文献に記載の簡易型MLD法では、シングルユーザMIMO環境において、空間多重された信号に対しQR分解を用い、各ステージ(各信号系列の信号推定処理)毎に送信信号の候補数を有限に絞り、最終的には絞り込まれた範囲の信号系列の候補の組み合わせに対しMLD処理を実施することで、最も確からしい送信信号ベクトルを推定する。以下に手順を説明する。
(1)伝達関数行列HをQR分解する
まず、伝達関数行列Hがn行m列であるとする。この伝達関数行列Hを、以下の(23)式に示すようにQR分解する。この(23)式において、H=Q・Rと表記した際、Qはユニタリ行列、Rは上三角行列となっている。
Figure 0004455511
(2)受信信号ベクトルにQを作用させる
以下の(24)式に示すように、(1)式の両辺左からQを作用させる。ここで、Qにおける右肩の「H」の記号はエルミート共役を表している。この演算の結果、(24)式は、m個の連立1次方程式に帰着される。
Figure 0004455511
(3) 下の方程式から順番に解(信号点候補)を検索
上記(24)式におけるn個の連立1次方程式を順番に下から解いていく。すなわち、行列で表される連立1次方程式の最下行の方程式y’から順にy’の方向に解いていく。ただし、この際、雑音項nj(1≦i≦m)は不定であり、絶対値の小さい方から所定の数だけ順番に解の候補を選択する。一旦選択した解の候補は、さらに上の行の方程式を解く際に既知であるものとして処理を行う。j行目の処理をStep-jとした際に、各Stepにおける処理を以下に説明する。
・Step−1:xの候補をy’=rmmx’を満たすx’からk番目(k=1〜N)に距離が近い信号点x [km]を計N個選択
・Step−2: xm−1の候補をy’m−1= rm−1m−1x’m−1 +rm−1m [km]を満たすx’m−1からkm−1番目(km−1=1〜Nm−1)に距離が近い信号点xm−1 [km−1,km]を{xm−1 [km−1,km],x [km]}の組み合わせとして合計Nm−1×N個選択
・・・
・Step−m:xの候補をy’=r11x’+…+r1m [k2 ,k3,,km]を満たすx’からk番目(k=1〜N)に距離が近い信号点x [k1,k2 ,k3,,km]を{x [k1 ,k2,,km],x [k2 ,k3,,km],…,x [km]}の組み合わせとして合計N×N×…×N個選択
・Final Step:{x [k1 ,k2,,km],x [k2 ,k3,,km],…,x [km]}の合計N×N×…×N個の候補に対し、差分の絶対置‖Q・y−R・x‖を最小にする候補をMLD処理により選択することで{x,x,…,x}を最尤推定する
上述した説明が上記参照文献に記載の簡易型MLD法の概略である。ここで、「距離が近い信号点」とは、二つの信号点の差分の幾何学的距離が小さいことを意味する。具体的には、上述した説明における送信信号ベクトルの各成分は複素数であり、各成分のべき乗和ないしは絶対値の和の平方根(またはそのべき乗値)などが用いられる。
次に、図1に示したシステムを想定して説明を続ける。ここで、送信局側は従来の図8または図9と同様であり、後に述べるように、送信ウエイト算出回路における行列送信ウエイト行列の算出のみが異なっている。図1においては、1端末局あたり3本の受信アンテナ(複数の受信アンテナ)を備えている。従来方式の説明では3系統の信号系列を空間多重する場合を例にとったが、ここでは各端末局に対して2系統ずつの信号系列を空間多重し、合計で6系統の信号系列が送信される場合を例にとり説明する。
また、伝達関数行列は、システム全体としては9行9列の伝達関数行列が存在するのであるが、端末局側には3つのアンテナしか存在しないため、9行中の3行のみを抜き出した部分行列のみがひとつの端末局が認識できる情報である。
さらに、送信局側では、6系統の信号系列を9本の送信アンテナを用いて送信するため、9行6列の送信ウエイトベクトルを、空間多重する信号系列に対して乗算して送信を行う。つまり、(7)式における送信ウエイト行列Wは列ベクトルw〜wに分解され、W=(w, w, w,…, w)と置き換えられたものとなる。ここで、(7)式のH[all]×Wの上側3行を抜き出すと、下記の(25)式に示す3行6列の部分伝達関数行列H’[1]になる。
Figure 0004455511
上記(25)式において、同一信号系列の伝達関数は、3行6列の部分伝達関数行列H’[1]の同一列ベクトル内に存在する。この(25)式においては、行列の成分における列ベクトルをh’と表記している。第1の端末局に着目すると、自局宛の信号系列に関する伝達関数列ベクトルは2列分(h’およびh’)、その他の信号系列に関するものが4列分(h’〜h’)存在する。
例えば、これらの4列の列ベクトルについて、同一ベクトルの内積h’ ・h’の絶対値(またはその近似値)を計算し、h’〜h’の中から絶対値の大きいベクトルを選択する。
例えば、ベクトルh’が選択された場合、残りのh’〜h’を無視することにより、第1の端末局に関する送受信信号間の関係は以下の(26)式〜(28)式により表される。
Rx[1]=Hex [1]・Txex [1]+n …(26)
ex [1]=[h’,h’,h’] …(27)
Figure 0004455511
つまり、自局宛に空間多重された信号系列t1、t2に、他局宛の信号系列t3を加えた拡張部分送信信号ベクトルTxex [1]と拡張部分伝達関数行列Hex [1]の間の関係式である(26)式が得られる。
なお、ここでは他局宛の伝達関数列ベクトルを左側の行に、他局宛の信号系列を拡張部分送信信号ベクトルTxex [1]の上側に配置している。この様な拡張部分伝達関数行列Hex [1]に対し、先に説明したQR分解を用いた簡易MLD方式を適用する。他局宛の信号系列t3は、自局宛の信号系列t1、t2よりも後に候補の絞込みを行う。なお、(26)式に対する簡易MLD方式の適用した結果、各信号系列に対する推定値t1、t2、t3が得られるが、推定値t3は他端末局宛の信号であるため、これを廃棄する。自局宛の推定値t1、t2のみを残し、最終的にこれらの信号を合成してデータを再生する。
以上が本発明の動作概要である。ここで、説明では自局宛以外の信号系列を1つだけ選んだが、自局宛の信号系列の総数と他端末局宛で信号検出を行う信号系列の総数の和が、自局の受信アンテナの総数以下であれば、他端末局宛の複数の信号系列に対して信号検出処理を行うことも可能である。また、以上の説明はシングルキャリアのシステムに対する説明であったが、OFDM変調方式を適用する場合には、各サブキャリアにおいて同様の処理を施す。
さらにここでは、簡易MLD方式を適用した場合について説明したが、MIMO通信におけるその他のいかなる信号検出方式(例えば、ZF方式やMMSE法など)にも適用可能である。またさらに、簡易MLD方式において、他局宛の信号系列を部分送信信号ベクトルの上側に配置する様に設定したが、その他の場合においても本発明は適用可能である。
以上説明した動作原理を実現するための実施の形態を、以下に図を用いて説明する。
<第1の実施形態>
図1に、本発明の第1の実施形態における端末局の受信部の構成例を示す。図1において、1−1〜1−3は受信アンテナ、2−1〜2−3は無線部、3はチャネル推定回路、4は受信信号管理回路、5は伝達関数行列H[all]管理回路、6は検出信号系列選択回路、7は拡張伝達関数行列生成回路、8は信号検出回路、9は希望信号抽出回路、10はデータ合成回路を示す。
受信アンテナ1−1〜1−3各々は、それぞれ個別に受信信号を受信する。無線部2−1〜2−3は、対応する受信アンテナから入力される受信信号を、増幅処理等を行い、チャネル推定回路3へ出力する。
チャネル推定回路3は、送信側にて付与した所定のプリアンブル信号の受信状況から、各信号系列と受信アンテナ間の伝達関数とをここで取得する。チャネル推定回路3は、上述のように取得した伝達関数行列を、伝達関数行列H[all]管理回路5へ出力する。伝達関数行列H[all]管理回路5は、入力される伝達関数行列を、伝達関数行列H[all]として管理する(信号系列と)。ここで、チャネル推定回路3は、自局宛の信号系列以外、すなわち他局宛の信号系列のプリアンブル信号に対しても相関をとり、伝達関数情報を取得する。
チャネル推定回路3は、上述の様にして得られた全体の伝達関数行列H[all]を、検出信号系列選択回路6へ出力する。
検出信号系列選択回路6は、入力される伝達関数行列H[all]の列ベクトルのそれぞれの絶対値(またはその近似値)を求め、絶対値(またはその近似値)が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択し、拡張伝達関数行列生成回路7へ出力する。また、拡張伝達関数行列生成回路7には、この検出信号系列選択回路6から、選択結果である信号系列が入力されるとともに、伝達関数行列管理回路5から、伝達関数行列H[all]の情報も入力される。拡張伝達関数行列生成回路7は、検出信号系列選択回路6にて選択された信号系列及び自局宛の信号系列に関する伝達関数情報(つまり伝達関数列ベクトル)を、伝達関数行列H[all]管理回路5から抽出し、拡張伝達関数行列Hex [j]を生成する。拡張伝達関数行列生成回路7は、この拡張伝達関数行列Hex [j]を信号検出部18へ出力する。
一方、プリアンブル信号に後続するデータ信号は、1シンボル分づつ受信信号管理回路4に入力される。受信信号管理回路4においては、各アンテナの受信信号(r1 ,r2,r3)を成分とした列ベクトルを受信信号ベクトルRxとして管理する。
信号検出部8は、受信信号管理部4から入力される、シンボル毎の受信信号ベクトルRxに対し、拡張伝達関数行列Hex [j]により、各信号系列の信号推定(信号検出)を行う。この信号検出部8は、従来例における信号検出部130と同様の構成及び処理機能を有し、伝達関数行列Hを拡張伝達関数行列Hex [j]に置き換え、信号検出部130と同様の信号検出の処理を行い、検出された信号系列を希望信号抽出回路9に出力する。
希望信号抽出回路9は、信号検出部8から入力される検出された信号系列の検出信号に対し、自局宛の信号系列の抽出を行う。すなわち、希望信号抽出回路9は、別途、検出信号系列選択回路6から自局宛以外の信号系列として、幾つの信号系列が含まれている(いずれが他端末局宛の信号系列である)かの識別情報が入力され、この識別情報に基づいて、信号検出回路8から入力される信号系列の検出信号から、他端末局宛の信号を廃棄し、自局宛のみの信号系列の検出信号をデータ合成回路10に対して出力する。
データ合成回路10においては、自局宛の信号系列のシンボル毎の検出信号を合成して無線基地局が送信したデータを再生し、図示しない外部機器に対して出力する。
次に、図に本発明の第1の実施形態における受信部の受信処理動作例のフローチャートを示す。
従来技術においては、仮にマルチユーザMIMO通信の場合であっても、基本的に送信側が送信指向性制御を行い干渉除去を行っていることを前提とし、受信側では特にマルチユーザMIMO通信を意識した処理は行わなかったが、本発明ではすでに第1の実施形態で述べたように、他局宛の信号が送信されていることを意識した処理が行われる。
受信局においては、無線部2−1〜2−3各々が、それぞれアンテナ1−1〜1−3を介して受信信号を受信する(S1)。
次に、チャネル推定回路3、他局宛の信号系列も含め、取得可能な全信号系列のチャネル推定を行い、送信側の複数のアンテナ及びアンテナ1−1〜1−3間の伝達関数を取得し、これを伝達関数列ベクトル{hj}とする(S2)。
次に、検出信号系列選択回路6は、他局宛の伝達関数列ベクトル{hj}を抽出し(S3)、この他局宛の伝達関数列ベクトル{hj}の大きさを算出する(S4)。この算出処理は、すでに述べたように、ベクトルの絶対値ないしはその近似値の大きさの取得を意味し、伝達関数列ベクトル(他局に対する信号系列に対応)の各成分の絶対値またはその近似値、ないしはいずれかのべき乗値を加算した累積値(積算値)を大きさ(絶対値)としている。
そして、検出信号系列選択回路6は、算出された伝達関数列ベクトル{hj}の絶対値ないしはその近似値の値の大きい方から所定の数(伝達関数行列が予め設定された列数となる数)だけ伝達関数列ベクトル{hj}、すなわち他局宛の信号系列を選択する。(S5)。
次に、拡張伝達関数行列生成回路7は、自局宛の伝達関数列ベクトル{hj}に、他局宛の信号系列の上記伝達関数列ベクトル{hj}を加え、拡張伝達関数行列Hex[i]を生成する(S6)。
次に、信号検出部8は、拡張伝達関数生成回路7から入力される拡張伝達関数行列Hex[i]をもとに、後続するデータ信号を受信し、信号検出処理を行う(S7)。
この信号検出処理結果に対して、希望信号抽出回路9は、検出処理において他局宛の信号系列も合わせて信号検出され、検出信号として信号検出部8から入力されるため、検出信号系列選択回路6から入力される識別信号により、他局宛か否かの検出を行い、他局宛の信号をここで破棄する(S8)。
に、データ合成回路10は、後続するシンボルにデータが存在するか否かを検出し、後続するシンボルにデータが存在することを検出した場合、処理をステップS7へ戻し受信処理を継続し、一方、後続するシンボルにデータが存在しないことを検出した場合、全シンボルの信号検出が完了したと判定し、これまでの処理をステップS10へ進める(S9)。
次に、データ合成回路10、これまでの信号検出済みの検出信号からデータ合成・再生を行い(S10)、処理を終了する(S11)。
上述したフローチャートにおいて、ステップS5においては、所定のルールで他局宛の信号検出を行う系統数を、受信用のアンテナ及び無線部の系統数と、自局宛の信号系列の系統数とにより決定しており、受信用のアンテナ及び無線部の系統数に対し、自局宛の系統数と他局宛の系統数とを加えた受信系統数が小さい数となるように設定される。例えば、受信用のアンテナ及び無線部が4系統の場合、自局宛の信号系列の数と他局宛の信号系列の数の和が4以下である必要がある。
したがって、上述したように、受信用のアンテナ及び無線部が4系統である受信装置とすると、自局宛の信号系列が2系統(2本の空間多重が行われている)の場合には、他局宛の信号系列としては1系統ないしは2系統選ぶことが可能である。また、全体の系統数が大きくなると回路規模が非常に大きくなる傾向があるため、必ずしもアンテナの本数分全ての信号系列を処理するとは限らない。
次に、第1の実施形態による受信部における別の受信処理動作例を、図のフローチャートに示す。
この図3のフローチャートと図2のフローチャートとにおける受信処理の差分は、ステップS5を、ステップS12及びステップS13に置き換えた点である。
このステップS12において、検出信号系列選択回路6は、伝達関数列ベクトルの大きさに関する閾値を予め定めて設定し、算出された伝達関数列ベクトルの絶対値または近似値が閾値を超えている伝達関数列ベクトルを選択し、この所定の閾値以下の伝達関数列ベクトルに対応する信号系列を雑音レベルとみなして信号検出処理から除外する。このとき、検出信号系列選択回路6は、閾値を超えた伝達関数列ベクトルの数が設定された値を超えた場合、その絶対値または近似値の大きい方から設定された数の伝達関数ベクトルを選択する。
次に、ステップS13において、図のフローチャートにおけるステップS5と同様の処理を行うが、ステップS12の閾値による選択処理により、信号検出の対象となる信号系列の数が少ない場合が想定される。
この様な状態においては、無理に他局宛の受信信号の信号検出は行わず、所定の系統数以下という条件で選択された他局宛の信号系列のみを用い、また、全ての信号系列の伝達関数列ベクトルが閾値以下で、他局宛の信号系列が全く選択されない場合、自局宛の信号系列のみから得られた伝達関数列ベクトルからなる伝達関数行列のみで検出処理を行うように構成し、他局宛の信号系列の伝達関数を用いるか否かを、伝達関数列ベクトルの大きさにより柔軟に運用するのが好ましい。
なお、図2および図3のフローチャートの双方共に、ステップS6において行う拡張伝達関数行列Hex[i]の生成処理において、拡張伝達関数行列生成回路7は、先に説明したQR分解を用いた簡易MLD方式と組み合わせる場合、他局宛の伝達関数列ベクトルを拡張伝達関数行列の左側の行に配置し、(26)式における拡張部分送信信号ベクトルTxex[1]の中の他局宛の信号が上側の成分として配置する。
QR分解を用いた簡易MLD方式においては、信号系列の順序替え処理を行う場合もあるが、他局宛のベクトル成分を上述したような行列における配置を取ることにより、信号系列の順序替え処理は不要になる。
また、OFDM変調方式を適用する場合には、図2及び図3のフローチャートに示す処理は、サブキャリア毎に実施されることになり、ステップS10におけるデータ合成回路10によるデータ合成処理において、全サブキャリアの信号が合成される。
<第2の実施形態>
次に、OFDM変調方式を適用したシステムに本発明を適用した場合の実施形態として、図4に本発明の第2の実施形態における端末局の受信部の構成例を示す。
図2において、1−1〜1−3は受信アンテナであり、2−1〜2−3は無線部であり、13はチャネル推定回路であり、14は受信信号管理回路であり、15は伝達関数行列管理回路であり、16は検出信号系列選択回路であり、17は拡張伝達関数行列生成回路であり、18は信号検出回路であり、19は希望信号抽出回路であり、20はデータ合成回路であり、21−1〜21−3はFFT回路であり、22−1〜22−Kはサブキャリア処理回路である。
受信アンテナ1−1〜1−3、無線部2−1〜2−3は、図1の構成と同一の符号を付しており、第1の実施形態の構成と同様の処理を行う。また、チャネル推定回路13、受信信号管理回路14、伝達関数行列管理回路15、検出信号系列選択回路16、拡張伝達関数行列生成回路17、信号検出回路18、希望信号抽出回路19各々は、第1の実施形態の構成を示す図1におけるチャネル推定回路3、受信信号管理回路4、伝達関数行列管理回路5、検出信号系列選択回路6、拡張伝達関数行列生成回路7、信号検出回路8、希望信号抽出回路9とそれぞれ同様の処理を行う。
FFT回路21−1〜21−3においては、各無線部2−1〜2−3から入力される受信信号に対し、それぞれ高速フーリエ変換処理を施し、各サブキャリアの周波数帯域毎に受信信号を信号分離する。
したがって、チャネル推定回路13、受信信号管理回路14、伝達関数行列管理回路15、検出信号系列選択回路16、拡張伝達関数行列生成回路17、信号検出回路18、希望信号抽出回路19は、サブキャリア処理回路22−1〜22−Kとして、変調に用いたサブキャリア数の面(K面)を備え、おのおのの面が対応するサブキャリアにおける受信信号の検出処理を行うことになる。データ合成回路20は、各サブキャリア処理回路22−1〜22−Kから入力される全サブキャリアの検出信号をさらに合成し、データを生成する。
<送信ウエイトベクトルの生成>
次に、図5を参照して、本発明の第1の実施形態における送信局側における送信ウエイトベクトルの算出について説明する。図5は、本発明の一実施形態における送信ウエイト行列の算出処理の動作を示すフローチャートを示している。送信部の構成としては、従来例の図8(シングルキャリア)及び図9(サブキャリア)に示す送信局側の構成と同様であり、送信ウエイト行列の算出処理が異なっている。
すなわち、図7のフローチャート示した従来方式における送信ウエイト行列の算出フローにおいては、着目する端末局宛の信号系列を束ねて部分伝達関数行列Hmainとその他の信号系列を束ねて部分伝達関数行列Hsubを設定し、各種基底ベクトルを求め直交化による送信ウエイトベクトルを算出していた。
しかしながら、送信局側にて必ずしも同一端末局宛の信号のみを部分伝達関数行列Hmainに留めておく必要はない。すでに示した(28)式等の説明においては、端末局#1では、端末局#1宛て、すなわち自局宛の2つの信号系列と、端末局#2宛て(他局宛)の第3の信号系列が受信されるように設定されていた。
この様に、他局宛の信号系列が干渉成分として含まれるような送信ウエイトベクトルを生成する場合には、図7のフローチャートが示す従来方式における処理を一部変更すれば、そのまま本実施形態に対応させることができる。
そこで、送信ウエイト算出回路118a,118bにおける送信ウエイトベクトルの算出方法の一例として、端末局#1(自端末局)と端末局#2(他端末局)と間においては干渉をお互いに及ぼしあうが、端末局#3(他端末局)からの干渉を、端末局#1および端末局#2に対して与えないようにするための、送信ウエイトの決定方法を図5のフローチャートに従って説明する。
この場合、送信局では部分伝達関数行列HmainとHsubとを、端末局#1及び端末局#2に関する部分伝達関数と、端末局#3に関する部分伝達関数により構成すればよい。
すなわち、具体的な動作として、送信ウエイト行列の算出にあたり、伝達関数行列取得回路117aは、全端末局への伝達関数行列Hを取得する(S22)。
次に、送信ウエイト算出回路118aは、端末局#1宛てと端末局#2宛ての伝達関数情報で構成される部分伝達関数Hmainを抽出し(S23)、それ以外の端末局#2宛ての部分伝達関数行列Hsubを抽出(S24)する。
そして、送信ウエイト算出回路118aは、部分伝達関数Hsubの各行ベクトルが張る部分空間の直交基底ベクトルを算出し、これを{e}とする(S25)。
次に、送信ウエイト算出回路118aは、従来例における(17)式に相当する処理として、部分伝達関数Hmainから、ステップS25で求めた基底ベクトル{e}に関する成分をキャンセルし、これを行列H’mainとする(S26)。
さらに、送信ウエイト算出回路118aは、従来例の(18)式〜(22)式に対応する処理として、行列H’mainの行ベクトルが張る部分空間の直交基底ベクトルを算出し、これを{e}とする(S27)。
そして、送信ウエイト算出回路118aは、基底ベクトル{e}の各ベクトルのエルミート共役ベクトル(列ベクトル)として、端末局#1及び端末局#2宛の信号系列に関する送信ウエイトベクトル{w}を算出して決定する(S28)。なお、実際の送信ウエイトベクトルは、ここで求めた送信ウエイトベクトルに対して係数を乗算したものであっても構わない。また、求めた基底ベクトルの数が該当する信号系列の数よりも多い場合には、求めた基底ベクトルの一部を選択して割り当てを行う。
以上で端末局#1および端末局#2に関連した送信ウエイトベクトルは決定済みとなったが、送信ウエイト算出回路18aは、残りの端末局に関する送信ウエイトベクトルも合わせて算出して決定し(S29)、送信ウエイトベクトル{w}を各列ベクトルとする行列として送信ウエイト行列Wを決定し(S29)、処理を完了する(S31)。
以上の説明では、部分伝達関数行列Hmainの設定を、着目した端末局#1宛てと端末局#2宛の信号としていたが、様々な組み合わせが可能である。一例としては、例えば複数の端末局宛の信号をグループ化することも可能である。例えば端末局#1〜端末局#5に対して空間多重を行う場合、端末局#1と端末局#2、端末局#3と端末局#4、端末局#5の様にグループ化を行い、それぞれに対して伝達関数Hmainとその他のHsubを設定することにより送信ウエイト行列Wを求める。
この様に信号系列毎にグループ化することで、端末局#1においては、端末局#2宛ての干渉信号のみが、端末局#2では端末局#1宛ての干渉信号のみが受信されるように、干渉の与える範囲を効率的に限定することが出来る。
またさらに、例えば各端末局が3系統のアンテナ及び無線部を備え、かつ空間多重する信号数が各端末局において2系統ずつである場合、端末局#1と端末局#2とをグループ化すると合計で4系統の信号を空間多重していることになり、受信端末側の信号検出処理能力を超えることとなる。この様な場合には、同一グループの端末局において、他局宛の信号系列の一部の系統のみが干渉となるように送信ウエイトベクトルを設定することで対処可能である。
上述したように求めた送信ウエイト行列Wを用い、全体としては(6)式に示すように、送信すべき信号系列により構成される送信信号の列ベクトルに対し、送信ウエイト行列Wが乗算され、その結果となる信号を送信することになる(従来例の処理と同様)。
以上の実施形態を説明するための図8,9及び図1,2においては、アンテナの本数など、各種パラメータを特定の条件に仮定して説明を行ったが、当然ながらその他の一般的なパラメータによって実施可能である。また、複数の端末局の中で、同時に空間多重を行う端末局が固定的な場合であっても、ないしは時間と共に適応的に一部のユーザを選択してマルチユーザMIMO通信を行う場合であっても、本発明は適用可能である。また、OFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、送信ウエイト算出回路108bが以上の処理を全てのサブキャリアに対して個別に行えば良い。
すなわち、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであり、実施形態の構成が本発明を限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することが出来る。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
なお、図8における送信局側の伝達関数行列取得回路及び送信ウエイト算出回路(本実施形態に対応する処理)と、受信局側の受信処理(アンテナ及び無線部を除く)の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより送信処理または受信処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
本発明の第1の実施形態における端末局の受信部の構成例を示すブロック図である。 本発明第1の実施形態における端末局における受信処理の他の動作例を示すフローチャートである。 本発明第1の実施形態における端末局における受信処理の動作例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態における端末局の受信部の構成例を示すブロック図である。 本発明の実施形態における送信ウエイト行列の算出処理の動作例を示すフローチャートである。 マルチユーザMIMOシステムの構成例を示す概念図である。 従来技術における送信ウエイト行列Wの算出処理の動作を示すフローチャートである。 従来技術における送信局側の構成例(シングルキャリアの場合)を示すブロック図である。 従来技術における送信局側の構成例(OFDM変調方式の場合)を示すブロック図である。 従来技術における受信局側の構成例(シングルキャリアの場合)を示すブロック図である。 従来技術における受信部の信号受信処理の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1−1,1−2,1−3…受信アンテナ 2−1,2−2,2−3…無線部
3…チャネル推定回路 4…受信信号管理回路
5…伝達関数行列管理回路 6…検出信号系列選択回路
7…拡張伝達関数行列生成回路 8…信号検出回路
9…希望信号抽出回路 10…データ合成回路
13…チャネル推定回路 14…受信信号管理回路
15…伝達関数行列管理回路 16…検出信号系列選択回路
17…拡張伝達関数行列生成回路 18…信号検出部
19…希望信号抽出回路 20…データ合成回路
21−1,21−2,21−3…FFT回路
22−1,22−1,22−K…サブキャリア処理回路
101…基地局 102〜104…端末局#1〜#3
111a,111b…データ分割回路
112a−1,112a−2,112a−L…プリアンブル付与回路
112b−1,112b−2,112b−L…プリアンブル付与回路
113a−1,113a−2,113a−L…変調回路
113b−1,113b−2,113b−L…変調回路
114a,114b…送信信号変換回路
115a−1,115a−2,115a−M…無線部
115b−1,115b−2,115b−M…無線部
116a−1,116a−2,116a−M…送受信アンテナ
116b−1,116b−2,116b−M…送受信アンテナ
117a,117b…伝達関数行列取得回路
118a,118b…送信ウエイト算出回路
119a,119b…空間多重条件判断回路
120a−1,120a−2,120a−L…IFFT回路
120b−1,120b−2,120b−L…IFFT回路
121−1,121−2,121−3…受信アンテナ
122−1,122−2,122−3…無線部
123…チャネル推定回路 124…受信信号管理回路
125…伝達関数行列管理回路 126…行列演算回路#1
127…行列演算回路#2 128…硬判定回路
129…データ合成回路 130…信号検出部

Claims (11)

  1. 一つの第1の無線局と複数の第2の無線局により構成され、該第1の無線局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該第2の無線局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記第1の無線局の前記第1のアンテナ群と、前記第2の無線局の全てまたはその一部の無線局の備える前記第2のアンテナ群とにより構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおける無線通信方法であり、
    前記第1の無線局における送信処理は、
    前記第1のアンテナ群と前記複数の第2のアンテナ群との間におけるMIMOチャネルの各伝達関数情報を取得する伝達関数行列取得ステップと、
    前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該各信号系列に乗算する係数、すわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップと、
    各信号系列と前記第1のアンテナ群の各々のアンテナとの組み合わせ毎の該送信ウエイトを成分として構成される送信ウエイト行列を、空間多重する各信号系列を成分とする送信信号ベクトルに乗算する送信信号変換ステップと、
    該乗算結果を前記第1のアンテナ群の各アンテナを介して送信する無線ステップと、
    を有し、
    前記第2の無線局における受信処理は、
    前記第1の無線局が送信した信号を受信する受信ステップと、
    自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数情報取得ステップと、
    他局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数情報取得ステップと、
    自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てと、一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成ステップと、
    該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルとをもとに、自局宛の信号系列の全てと、一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出ステップと、
    該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出ステップと、
    該抽出した信号から前記第1の無線局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成ステップと
    を有することを特徴とする無線通信方法。
  2. 請求項1記載の無線通信方法であって、
    前記第2の無線局における拡張伝達関数行列生成ステップにおいて、他局宛の一つ以上の信号系列に対し、
    一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出するステップと、
    該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択するステップと、
    該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出するステップと、
    該ステップで抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成するステップと、
    を実施することを特徴とする無線通信方法。
  3. 請求項1記載の無線通信方法であって、
    前記第2の無線局における拡張伝達関数行列生成ステップにおいて、他局宛の一つ以上の信号系列に対して、
    一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出するステップと、
    該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択するステップと、
    該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択するステップと、
    該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出するステップと、
    該ステップで抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成するステップと、
    を有することを特徴とする無線通信方法。
  4. 請求項1記載の無線通信方法であって、
    前記第1の無線局による送信処理において、
    前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該信号系列に乗算する係数、すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出ステップにおいて、複数のグループに分類された複数の前記第2の無線局に対し、着目する一つのグループに属する第2の無線局に対する送信ウエイトベクトルを求めるために、
    当該グループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第1の伝達関数行ベクトル群を抽出するステップと、
    当該グループ以外のグループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第2の伝達関数行ベクトル群を抽出するステップと、
    前記第1の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルから前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルするステップと、
    該ステップにより前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルした第1の伝達関数行ベクトル群が張る部分空間を構成する基底ベクトルを算出するステップと、
    該基底ベクトルのエルミート共役であるベクトルまたは該ベクトルに係数を乗算したものの全てないしはその一部を各送信ウエイトベクトルとして設定するステップと
    を有することを特徴とする無線通信方法。
  5. 一つの第1の無線局と複数の第2の無線局とにより構成され、該第1の無線局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該第2の無線局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記第1の無線局の前記第1のアンテナ群および前記第2の無線局の全てないしはその一部の無線局の備える前記第2のアンテナ群により構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおいて、
    前記第1の無線局は、
    前記第1のアンテナ群と前記複数の第2のアンテナ群の間のMIMOチャネルの各伝達関数情報を取得する伝達関数情報取得手段と、
    前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に、該各信号系列に対して乗算する係数すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段と、
    各信号系列と前記第1のアンテナ群の各々のアンテナとの組み合わせ毎の該送信ウエイトを成分として構成される送信ウエイト行列を、空間多重する各信号系列を成分とする送信信号ベクトルに乗算する送信信号変換手段と、
    該乗算結果を前記第1のアンテナ群の各アンテナを介して送信する無線手段と、
    を備え、
    前記第2の無線局は、
    前記第1の無線局が送信した信号を受信する手段と、
    自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数取得手段と、
    他局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数取得手段と、
    自局宛の信号系列に関して取得された前記伝達関数情報の全てと、少なくともひとつ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成手段と、
    該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルとをもとに、自局宛の信号系列の全てと一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出手段と、
    該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出手段と、
    該抽出された信号から前記第1の無線局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成手段と
    を備えることを特徴とする無線通信システム。
  6. 請求項5記載の無線通信システムであって、
    前記第2の無線局は、一つ以上の他局宛の信号系列を含む信号系列を受信し、前記拡張伝達関数行列生成手段が、
    一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、
    該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、
    該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、
    該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、
    を備えることを特徴とする無線通信システム
  7. 請求項5記載の無線通信システムであって、
    前記第2の無線局は、一つ以上の他局宛の信号系列を含む信号系列を受信し、前記拡張伝達関数行列生成手段が、
    一つ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、
    該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択する手段と、
    該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合には、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、
    該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、
    該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、
    を備えることを特徴とする無線通信システム。
  8. 請求項5記載の無線通信システムであって、
    前記第1の無線局は、前記第1のアンテナ群と複数の前記第2の無線局の各第2のアンテナ群との間の伝達関数情報をもとに、空間多重する各信号系列を前記第1のアンテナ群の各々のアンテナから送信する際に乗算する係数すなわち送信ウエイトを算出する送信ウエイト算出手段において、複数のグループに分類された複数の前記第2の無線局に対し、着目するひとつのグループに属する第2の無線局に対する送信ウエイトベクトルを求めるため、
    当該グループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第1の伝達関数行ベクトル群を抽出する手段と、
    当該グループ以外のグループに属する第2の無線局に関する伝達関数情報により構成される第2の伝達関数行ベクトル群を抽出する手段と、
    前記第1の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルから前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルする手段と、
    該手段により前記第2の伝達関数行ベクトル群を構成する各行ベクトルの成分をキャンセルした第1の伝達関数行ベクトル群が張る部分空間を構成する基底ベクトルを算出する手段と、
    該基底ベクトルのエルミート共役であるベクトルないしは該ベクトルに係数を乗算したものの全てないしはその一部を各送信ウエイトベクトルとして設定する手段と
    を備えることを特徴とする無線通信システム。
  9. 一つの無線基地局と複数の無線端末局とにより構成され、該基地局は複数本のアンテナで構成される第1のアンテナ群を備え、該無線端末局は複数本のアンテナで構成される第2のアンテナ群を備え、前記無線基地局の前記第1のアンテナ群および前記無線端末局の全てないしはその一部の備える前記第2のアンテナ群により構成されるMIMOチャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおける無線端末局であって、
    前記無線基地局が送信した信号を受信する受信手段と、
    自局宛の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第1の伝達関数情報を取得する第1の伝達関数行列取得手段と、
    他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、自局における前記第2のアンテナ群に関する第2の伝達関数情報を取得する第2の伝達関数行列取得手段と、
    自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てと、少なくともひとつ以上の他局宛の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報の全てまたは一部により構成される拡張伝達関数行列を生成する拡張伝達関数行列生成手段と、
    該拡張伝達関数行列と前記第2のアンテナ群にて受信された信号により構成される受信信号ベクトルをもとに、自局宛の信号系列の全てと一つ以上の他局宛の信号系列に対する信号検出処理を行う信号検出手段と、
    該信号検出処理の出力信号に対し、他局宛の信号を廃棄し自局宛の信号のみを抽出する希望信号抽出手段と、
    該抽出した信号から前記無線基地局が自局宛に送信したデータを再生するデータ合成手段と
    を備えることを特徴とする無線端末局。
  10. 請求項記載の無線端末局における拡張伝達関数行列生成手段であって、
    他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、
    他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、
    該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、
    該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、
    該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、
    を備えることを特徴とする無線端末局。
  11. 前記請求項記載の無線端末局における拡張伝達関数行列生成手段であって、
    他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に対して、
    他無線端末局宛の一つ以上の信号系列に関して取得された前記第2の伝達関数情報において、前記第2のアンテナ群の各アンテナに関する各成分の絶対値またはその近似値、あるいはいずれかのべき乗値を信号系列毎に加算した累積値を算出する手段と、
    該信号系列毎の累積値と所定の閾値を比較し、その累積値が所定の閾値を越えている信号系列を選択する手段と、
    該閾値を越えている信号系列の数が所定の数より多い場合には、該信号系列毎の累積値の大小関係を比較し、その累積値が大きい方から所定の数だけ信号系列を選択する手段と、
    該選択された信号系列に関連した伝達関数情報を抽出する手段と、
    該手段で抽出された伝達関数情報に加え、自局宛の信号系列に関して取得された前記第1の伝達関数情報の全てにより構成される拡張伝達関数行列を生成する手段と、
    を備えることを特徴とする無線端末局。
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