JP2013123196A - プリコーディング装置、無線送信装置、プリコーディング方法、プログラムおよび集積回路 - Google Patents

プリコーディング装置、無線送信装置、プリコーディング方法、プログラムおよび集積回路 Download PDF

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Abstract

【課題】VPが達成可能な伝送特性を維持しつつ、大幅な演算量の削減を実現する。
【解決手段】複数のアンテナを備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信する無線送信装置に適用されるプリコーディング装置であって、各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解する行列分解部401Aと、部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力する摂動ベクトル探査部303Aと、入力された送信データベクトル、出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成する送信信号生成部305と、を備える。
【選択図】図5

Description

本発明は、無線通信技術に関し、特に、非線形プリコーディングを用いるマルチユーザMIMO伝送技術に関する。
無線通信システムでは、多様なブロードバンド情報サービスの提供のために、伝送速度の向上が常に望まれている。伝送速度の向上は通信帯域幅の拡大により実現可能だが、利用可能な周波数帯域には限りがあるため、周波数利用効率の改善が必須となる。周波数利用効率を大幅に改善できる技術として、複数の送受信アンテナを用いて無線伝送を行なうMultiple input multiple output(MIMO)技術が注目を集めており、セルラーシステムや無線LANシステムなどで実用化されている。MIMO技術による周波数利用効率改善量は送受信アンテナ数に比例する。しかし、端末装置に配置できる受信アンテナ数には限りがある。そこで、同時接続する複数の端末装置を仮想的な大規模アンテナアレーとみなし、基地局装置から各端末装置への送信信号を空間多重させるマルチユーザMIMO(MU-MIMO)が周波数利用効率の改善に有効である。
MU−MIMOでは、各端末装置宛ての送信信号同士がユーザ間干渉(以下、Inter-User-Interference(IUI)と呼ぶ)として端末装置に受信されてしまうため、IUIを抑圧する必要がある。例えば、第3.9世代移動無線通信システムの一つとして採用されているLong term evolution(LTE)においては、各端末装置より通知される伝搬路情報に基づき算出される線形フィルタを基地局装置にて送信信号に予め乗算することでIUIを抑圧する線形プリコーディングが採用されている。しかし、空間多重される端末同士の伝搬路の直交性が高くない限り、IUIを効果的に抑圧できないため、線形プリコーディングに基づくMU−MIMOでは周波数利用効率の改善には限界がある。
最近、非線形処理を基地局装置側で行なう非線形プリコーディングを用いるMU−MIMO技術が注目を集めている。端末装置において、剰余(Modulo、モジュロ)演算が可能である場合、送信信号に対して、任意のガウス整数に一定の実数が乗算された複素数(摂動項)を要素とする摂動ベクトルの加算が可能となる。そこで、基地局装置と複数の端末装置の間の伝搬路状態に応じて、摂動ベクトルを適切に設定してやれば、たとえ空間多重される端末同士の伝搬路の直交性が高くなくとも、摂動ベクトルを加算しない線形プリコーディングと比較して、所要送信電力を大幅に削減することが可能となる。非線形プリコーディングにおいて、最適な伝送特性を実現できる方式として非特許文献1記載のVector perturbation(VP)がある。VPによって達成可能な周波数利用効率は、空間多重端末数に比例するが、VPは選択可能な全ての摂動ベクトルから最適摂動ベクトルを探査する同時推定技術であるため、多重端末数が増加すると演算量が指数関数的に増加してしまうという問題を有している。
VPの演算量削減技術として、非特許文献1の中ではSphere encoding(SE)に基づくSE−VPが議論されている。無数にある摂動ベクトルを送信信号に加算するVPでは、送信信号候補点が無数に存在することを意味している。SE−VPでは、多次元信号点空間内に描かれた球内に存在する送信信号候補点のみを考慮して探査を行なうことで摂動ベクトルの探査に要する演算量を削減している。また、非特許文献2では、QR分解を用いたMアルゴリズムに基づくVPの摂動ベクトル探査技術が議論されている。以下ではこの技術をQRM−VPと呼ぶこととする。QRM−VPは階層型探査技術であり、多重端末数に対する演算量の増加を多項式関数的に抑えることができる。QRM−VPでは、最適摂動ベクトルと無関係な送信信号候補点に対する演算を行なわないようにすることで演算量を削減しており、演算量の削減効果はSE−VPよりも大きいが、送信信号候補点が最適摂動ベクトルと無関係であるか否かを判断するために演算が必要であり、演算量削減効果には限界がある。
B. M. Hachwald, et. al., "A vector-perturbation technique for near-capacity multiantenna multiuser communication-Part II:Perturbation," IEEE Trans. Commun., Vol. 53, No. 3, March 2005. M. Mohaisen, et. al., "Fixed-complexity vector perturbation with block diagonalization for MU-MIMO systems," Proc. IEEE Malaysia Inter. Conf. on Commun., 2009.
VPの伝送特性は、空間多重端末数に比例して増加するが、要求される演算量は空間多重端末数に対して、指数関数的に増加する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、VPが達成可能な伝送特性を維持しつつ、大幅な演算量の削減を実現できるプリコーディング装置、無線送信装置、プリコーディング方法、プログラムおよび集積回路を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のプリコーディング装置は、複数のアンテナを備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信する無線送信装置に適用されるプリコーディング装置であって、前記各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解する行列分解部と、前記部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力する摂動ベクトル探査部と、前記入力された送信データベクトル、前記出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成する送信信号生成部と、を備えることを特徴とする。
このように、各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解し、部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力し、入力された送信データベクトル、出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成するので、伝送特性の劣化を最小限に抑えつつ、演算量の大幅な削減を実現することが可能となる。また、多重する無線受信装置の数が増加したとしても、演算量の増加は指数関数的ではなく、多項式的に留まるため、多重する無線受信装置数を大幅に増加することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(2)また、本発明のプリコーディング装置は、前記各無線受信装置から取得した空間相関の強弱を示す情報に基づいて、空間相関の強い無線受信装置に対応する伝搬路行列を優先的に選択し、選択した伝搬路行列を前記行列分解部、前記摂動ベクトル探査部および前記送信信号生成部に出力する行列選択部を更に備えることを特徴とする。
このように、各無線受信装置から取得した空間相関の強弱を示す情報に基づいて、空間相関の強い無線受信装置に対応する伝搬路行列を優先的に選択し、選択した伝搬路行列を行列分解部、摂動ベクトル探査部および送信信号生成部に出力するので、通信中の複数の無線受信装置で観測される空間相関の強さが異なる環境下においても、摂動ベクトルの探査を高精度に行なうことが可能となる。
(3)また、本発明のプリコーディング装置において、前記摂動ベクトル探査部は、前記空間相関の強弱に応じて、摂動ベクトルの探査範囲を変更することを特徴とする。
このように、空間相関の強弱に応じて、摂動ベクトルの探査範囲を変更するので、空間相関の強い伝搬路で直交性の崩れが大きくなる場合は摂動ベクトルの探索範囲を大きく取ることにより直行性の崩れの影響を小さくすることができる。一方、空間相関の強くない伝搬路では、摂動ベクトルの探索範囲を小さく取ることにより、摂動ベクトルの探索をさらに高精度で行なうことが可能となる。
(4)また、本発明のプリコーディング装置において、前記摂動ベクトル探査部は、所要の電力正規化係数が達成された時点の摂動ベクトルを出力することを特徴とする。
このように、所要の電力正規化係数が達成された時点の摂動ベクトルを出力するので、不必要な摂動ベクトルの探査を打ち切ることができ、効率的なスケジューリングを行なうことが可能となる。
(5)また、本発明のプリコーディング装置は、実質的に伝搬路の時間変動が無い場合、他の無線リソースで算出した線形フィルタを流用してプリコーディングを行なうことを特徴とする。
このように、実質的に伝搬路の時間変動が無い場合、他の無線リソースで算出した線形フィルタを流用してプリコーディングを行なうので、例えば、固定されている中継局のように伝搬路の時間変動が小さい状況では、演算量を大幅に削減することが可能となる。
(6)また、本発明の無線送信装置は、複数のアンテナと、上記(1)から(5)のいずれかに記載のプリコーディング装置と、を備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信することを特徴とする。
この構成により、伝送特性の劣化を最小限に抑えつつ、演算量の大幅な削減を実現することが可能となる。また、多重する無線受信装置の数が増加したとしても、演算量の増加は指数関数的ではなく、多項式的に留まるため、多重する無線受信装置数を大幅に増加することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(7)また、本発明のプリコーディング方法は、複数のアンテナを備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信する無線送信装置に適用されるプリコーディング方法であって、前記各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解するステップと、前記部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力するステップと、前記入力された送信データベクトル、前記出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成するステップと、を少なくとも含むことを特徴とする。
このように、各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解し、部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力し、入力された送信データベクトル、出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成するので、伝送特性の劣化を最小限に抑えつつ、演算量の大幅な削減を実現することが可能となる。また、多重する無線受信装置の数が増加したとしても、演算量の増加は指数関数的ではなく、多項式的に留まるため、多重する無線受信装置数を大幅に増加することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(8)また、本発明のプログラムは、複数のアンテナを備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信する無線送信装置に適用されるプログラムであって、前記各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解する処理と、前記部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力する処理と、前記入力された送信データベクトル、前記出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
このように、各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解し、部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力し、入力された送信データベクトル、出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成するので、伝送特性の劣化を最小限に抑えつつ、演算量の大幅な削減を実現することが可能となる。また、多重する無線受信装置の数が増加したとしても、演算量の増加は指数関数的ではなく、多項式的に留まるため、多重する無線受信装置数を大幅に増加することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
(9)また、本発明の集積回路は、複数のアンテナを備える無線送信装置に実装されることにより、前記無線送信装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、複数の無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解する機能と、前記部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力する機能と、前記入力された送信データベクトル、前記出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成する機能と、の一連の機能を、前記無線送信装置に発揮させることを特徴とする。
このように、各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解し、部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力し、入力された送信データベクトル、出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成するので、伝送特性の劣化を最小限に抑えつつ、演算量の大幅な削減を実現することが可能となる。また、多重する無線受信装置の数が増加したとしても、演算量の増加は指数関数的ではなく、多項式的に留まるため、多重する無線受信装置数を大幅に増加することが可能となる。その結果、周波数利用効率を向上させることが可能となる。
本発明によれば、VPと同等の伝送特性を維持しつつ、大幅に演算量が削減された非線形プリコーディングが実現できる。多重端末数に比例して周波数利用効率が改善する下りリンクMU−MIMOに本発明の非線形プリコーディングを用いることで、多重端末数の増加に伴う演算量の増加を気にすることなく、周波数利用効率の大幅な改善を実現できる。
本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの概略を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る基地局装置1の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るアンテナ部109の装置構成を示すブロック図である。 従来方式によるプリコーディング部107Aの装置構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部107Aの装置構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部107Aの信号処理について説明するフローチャートである。 本発明の第1の実施形態における、ステージ数と行列分解の様子を表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る端末装置3の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るプリコーディング部107Bの装置構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係るプリコーディング部107Cの装置構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係る無線通信システムの概略を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る中継局装置701の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係るアンテナ部R801の構成を示すブロック図である。 各端末装置3宛ての送信データを完全に復調することを前提とした場合における、本発明の第4の実施形態に係る中継局装置701の構成を示すブロック図である。 完全復号の適用の有無を適応的に切り替える場合における、本発明の第4の実施形態に係る中継局装置701の構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の無線通信システムを適用した場合における実施形態について説明する。なお、本実施形態において説明した事項は、発明を理解するための一態様であり、実施形態に限定して発明の内容が解釈されるものではない。
[1.第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信システムの概略を示す図である。第1の実施形態においては、N本の送信アンテナを有し、非線形プリコーディングが可能な基地局装置(無線送信装置とも呼ぶ)1に対して、1本の受信アンテナを有する端末装置(無線受信装置とも呼ぶ)3(端末装置3-1,3-1A,3-1B,3-1C, 3-2,3-2A,3-2B,3-2C, 3-3,3-3A,3-3B,3-3C, 3-4を含む)がU個接続しているMU−MIMO伝送(図1参照)を対象とし、N=Uであるものとするが、NとUは異なっていても構わない。なお、伝送方式としてはN個の副搬送波(サブキャリア)を有する直交周波数分割多重(Orthogonal frequency division multiplexing(OFDM))を仮定する。基地局装置1は各端末装置3より通知される制御情報により各端末装置3までの伝搬路情報を取得し、その伝搬路情報に基づき、送信データに対してサブキャリア毎にプリコーディングを行なうものとする。なお、端末装置3の受信アンテナ数は1に限定されるものではない。また、本実施形態においては、各端末装置3に送信されるデータストリーム数(ランク数とも呼ぶ)は1としているが、ランク数が2より大きい場合も本実施形態には含まれる。
はじめに基地局装置1と端末装置3間の伝搬路情報(以下では、Channel state information(CSI)とも呼ぶ)について定義する。本実施形態においては、準静的周波数選択性フェージングチャネルを仮定する。第n送信アンテナ(n=1〜N)と第u端末装置3−u間(u=1〜U)の第kサブキャリアの複素チャネル利得をhu,n(k)としたとき、伝搬路行列H(k)を、次のように定義する。なお、h(k)=[hu,1,…,hu,Nt]は第u端末装置3−uで観測される複素チャネル利得により構成される伝搬路行ベクトルを表す。
Figure 2013123196
[1.1 基地局装置1]
図2は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置1の構成を示すブロック図である。図2に示すように、基地局装置1は、チャネル符号化部101と、データ変調部103と、マッピング部105とプリコーディング部107A(以下、プリコーディング部107A、107B、107Cを合わせてプリコーディング部107とも表す)と、アンテナ部109と、制御情報取得部111と、CSI取得部113とを含んで構成されている。プリコーディング部107Aはサブキャリア数N、アンテナ部109は送信アンテナ数Nだけそれぞれ存在する。各端末装置3宛ての送信データ系列はチャネル符号化部101において、チャネル符号化が行なわれたのち、データ変調部103において、QPSK、16QAM等のディジタルデータ変調が施される。データ変調部103からの出力はマッピング部105に入力される。
マッピング部105では、各データを指定された無線リソースに配置するマッピング(スケジューリング)が行なわれる。ここでの無線リソースとは、周波数、時間および空間を主に指す。使用される無線リソースは、端末装置3で観測される受信品質や、空間多重される端末同士の伝搬路の直交性等に基づいて決定される。本実施形態においては、使用される無線リソースは予め定められているものとし、基地局装置1と各端末装置3の双方で把握できているものとする。なお、マッピング部105では、各端末装置3において伝搬路推定を行なうための既知参照信号系列も多重される。
各端末装置3宛ての参照信号については、受信した端末装置3において分離可能なように、それぞれが直交するように多重されるものとする。また、参照信号には、伝搬路推定用の参照信号であるCell−specific reference signal(CRS)と復調用の参照信号であるDemodulation reference signal(DMRS)の二つの参照信号が多重されるものとするが、別の参照信号を更に多重するようにしても良い。CRSは、式(1)で表されている伝搬路行列を推定するためのものでありDMRSは後述するプリコーディングに関する情報を推定するためのものである。CRSとDMRSの多重方法については、特に限定されない。しかし、CRSは各送信アンテナ間で直交するように配置されDMRSは接続している端末装置3間で直交するように配置される。直交させる方法としては、時間直交、周波数直交、空間直交、符号直交のいずれか、もしくは複数の直交技術の組み合わせが考えられる。以下、本実施形態においては、データ信号と参照信号とは周波数直交されるものとし、端末装置3ではそれぞれ所望の情報が理想的に推定可能なものとして説明を行なう。
マッピング部105の出力は、それぞれ対応するサブキャリアのプリコーディング部107Aに入力される。プリコーディング部107Aにおける信号処理の説明は後述するものとし、以下では、プリコーディング部107Aの出力に対する信号処理について先に説明する。各サブキャリアのプリコーディング部107Aの出力は、それぞれ対応する送信アンテナのアンテナ部109に入力される。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ部109の装置構成を示すブロック図である。図3に示すように、アンテナ部109は、IFFT部201と、GI挿入部203と、無線送信部205と、無線受信部207と、アンテナ209とを含んで構成されている。各アンテナ部109では、対応するプリコーディング部107Aの出力がIFFT部201に入力され、Nポイントの逆高速フーリエ変換(IFFT)、もしくは逆離散フーリエ変換(IDFT)が適用されて、Nサブキャリアを有するOFDM信号が生成され、IFFT部201より出力される。ここでは、サブキャリア数と逆離散フーリエ変換のポイント数は同じものとして説明しているが、周波数領域にガードバンドを設定する場合、ポイント数はサブキャリア数よりも大きくなる。IFFT部201の出力はGI挿入部203に入力され、ガードインターバルが付与されたのち、無線送信部205に入力される。無線送信部205において、ベースバンド帯の送信信号が無線周波数(RF)帯の送信信号に変換される。無線送信部205の出力信号は、アンテナ209よりそれぞれ送信される。なお、無線受信部207には、端末装置3にて推定される伝搬路情報に関連付けられた情報が受信され、制御情報取得部111に向けて出力される事になる。
[1.2 プリコーディング装置]
プリコーディング部107Aにおいて行なわれる信号処理について説明する。以下では、第kサブキャリアのプリコーディング部107Aについて説明するものとし、はじめにマッピング部105の出力のうち、データ信号成分が入力された場合について説明する。
本実施形態に係る信号処理について説明する前に、従来方式における信号処理について説明する。
図4は、従来方式によるプリコーディング部301の装置構成を示すブロック図である。図4に示すように、プリコーディング部301は、摂動ベクトル探査部303Aと、送信信号生成部305とを含んで構成されている。プリコーディング部301には、マッピング後の各端末装置3宛ての送信データにおける第kサブキャリア成分{d(k);u=1〜U}と、CSI取得部113の出力の第kサブキャリアの伝搬路行列H(k)が入力される。H(k)は上述したCRSに基づき、端末装置3にて推定され、基地局装置1に通知される。以下の説明では、H(k)は理想的にCSI取得部113にて取得されるものとし、簡単のため、インデックスkは省略して記述する。
摂動ベクトル探査部303Aでは、はじめに線形フィルタWが生成される。線形フィルタとして、IUIを完全に抑圧するZero forcing(ZF)規範に基づくもの(W=H(HH−1)や送信信号と受信信号との平均二乗誤差を最小とするMinimum mean square error(MMSE)規範に基づくもの(W=H(HH+αI)−1)が生成される。なおA−1は行列Aの逆行列、Aは行列Aの随伴行列(エルミート転置行列)をそれぞれ表す。αは干渉項であり、送信電力等に応じて決定されるが、例えば1台の端末装置3当たりの送信電力対受信雑音電力比の逆数に設定すれば良い。以下では、ZF規範に基づく線形フィルタが生成された場合を中心に説明を行なっていく。生成された線形フィルタWと、マッピング後の送信データベクトルd=[d,・・・,d(Aは行列Aの転置行列を表す)を用いて、摂動ベクトルの探査が行なわれる。
ある摂動ベクトルが探査されたものとした場合、プリコーディング後の送信信号ベクトルs=[s,・・・,sNtは式(2)で与えられる。
Figure 2013123196
ここで、2δZ=2δ[z,・・・,zは摂動ベクトルである。{z;u=1〜U}は第u端末装置3−u宛ての送信データ{d}に加算される摂動項を表し、任意のガウス整数で与えられる。ここでガウス整数とは、実部と虚部がそれぞれ整数となる複素数を意味する。定数δはデータ変調部103で適用されるデータ変調方式に依存して決定され、例えばQPSKであれば、2δ=2×21/2、16QAMであれば、2δ=8/101/2である。βは送信電力を一定とする電力正規化項である。シンボル単位で電力正規化を行なった場合、βは式(3)で与えられる。
Figure 2013123196
なお、電力の正規化はシンボル単位では無く、所定数の無線リソース単位で行なう方法もある。例えば、12サブキャリアで送信電力を一定とするように制御しても良い。
式(2)で与えられる送信信号が基地局より送信された場合、端末装置3における受信信号の復調後の受信信号電力対雑音電力比(以下、Signal-to-noise power ratio(SNR)と呼ぶ)は電力正規化項βに比例する。よって、電力正規化項βを最も大きくできる摂動ベクトル、すなわち、式(4)で与えられる最小化問題を解くことにより算出される摂動ベクトルZを用いれば、最も優れた伝送特性を実現できることになる。
Figure 2013123196
ここで、Zはガウス整数ベクトル全体の集合を表すものとする。なお、MMSE規範に基づく線形フィルタが用いられた場合の最小化問題は、式(4)中の||W(d+2δZ)||を(d+2δZ)(HH+αI)−1(d+2δZ)に置き換えることで与えられる。本発明においては、式(2)で示されているように、送信データベクトルに摂動ベクトルを加算するプリコーディングを総じて非線形プリコーディングと呼ぶこととする。
非線形プリコーディングは、式(4)に示された最小化問題の解き方の違いにより、様々な方法が提案されている。例えば、式(4)を直接解く方式はVPと呼ばれる方法である。実現可能なVP方式として、Sphere encoding(SE)に基づくSE−VPがこれまで広く検討されている。SE−VPによれば、最適な摂動ベクトルを探査することができるが、空間多重数Uに対して演算量が指数関数的に増加してしまうという問題を有している。例えば、摂動項の候補数をKとしたとき、演算量のオーダはO(K)となる。また、現実的な演算量によって準最適な摂動ベクトルを探査する方法として、Tomlinson−Harashima precoding(THP)を用いた方法が提案されている。THPでは、摂動ベクトルを逐次的に探査していくことにより、演算量の大幅な削減を実現している一方で、VPに対して、伝送特性は大幅に劣化してしまう。なお、THPの演算量も空間多重数が増加すれば、増加してしまう。THPの伝送特性を改善させる方法として、格子基底縮小やオーダリングを併せて用いた方法なども検討されている。しかし、いずれの方法も、多重端末数に比例して、演算量は増加してしまう。そこで、本実施形態では、見掛け上の空間多重端末数を限定させることで、低演算化を実現する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部107Aの装置構成を示すブロック図である。図5に示すように、プリコーディング部107Aは、行列分解部401Aと、摂動ベクトル探査部303Aと、送信信号生成部305とを含んで構成されている。プリコーディング部107Aには、マッピング後の各端末装置3宛ての送信データにおける第kサブキャリア成分{d(k);u=1〜U}と、CSI取得部113の出力である第kサブキャリアの伝搬路行列H(k)が入力される。H(k)は上述したCRSに基づき、端末装置3にて推定され、基地局装置1に通知される。以下の説明では、H(k)は理想的にCSI取得部113にて取得されるものとし、簡単のため、インデックスkは省略して記述する。
図6は、本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部107Aの信号処理について説明するフローチャートである。まず、H=H、i=0として、条件を初期化する(ステップS101)。続いて、行列分解部401Aにおいて、入力された伝搬路行列Hを複数の伝搬路部分行列に分解する行列分解が施される。行列分解の方法については、何かに限定されるものではないが、以下の説明では、ブロック対角化と呼ばれる技術に基づいて分解を行なう(ステップS102〜S104)。なお、説明を簡単にするため、ユーザ数Uは任意の整数iを用いて、U=2で表現できるものとしているが、本実施形態が対象とするユーザ数はこの限りでは無い。
本実施形態で対象とするブロック対角化では、初めに入力された行列Hを次式に示すように部分行列を用いて表現する。
Figure 2013123196
ここで、H0,1はHの第1〜第U/2行、H0,2はHの第(U/2+1)〜第U行により構成されている。つまり、与えられた伝搬路情報を、(U/2)行毎に棲み分けている。続いて、H0,1より算出されるエルミート行列H0,1 0,1に対して、固有値分解を行ない、H0,1 0,1=U0,1Λ0,1 0,1のように、3個の行列に分解する。ここで、U0,1はN行N列のユニタリ行列であり、Λ0,1は対角成分にH0,1 0,1の固有値が並ぶN行N列の対角行列である。ただし、H0,1 0,1の行列のランクはU/2であるから、Λ0,1の第(U/2+1)行第(U/2+1)列要素からの対角成分には0が並ぶ。ここで、U0,1を[Ueigen,0,1,UNull,0,1]という二つの部分行列を用いて表現することを考える。ここで、Ueigen,0,1およびUNull,0,1は、それぞれU0,1の第1〜第U/2列および第(U/2+1)〜第U列より構成されている。UNull,0,1はH0,1に乗算することで、零行列を返すフィルタとなる。同様の信号処理をH0,2に対しても行ない、得られたUNull,0,1およびUNull,0,2から、線形フィルタW=[UNull,0,2,UNull,0,1]を算出する。WはHを、次式で示されるようなブロック対角行列とする線形フィルタとなる(ステップS102)。
Figure 2013123196
ここで、0は全ての構成要素が0であるm行m列の零行列を表す。なお、零行列を返す線形フィルタはH0,1およびH0,2に特異値分解を施すことで求めても良い。
続いて、iにi+1を代入する(ステップS103)。さらに、iがlogU−1と等しいどうかを判定し(ステップS104)、logU−1と異なる場合(ステップS104:No)、ステップS102に戻る。以降、得られた部分行列に対して、説明してきたブロック対角化処理を繰り返していく(ステップS102〜S104)。以下では、説明を簡単にするため、元々与えられていた伝搬路行列を第0ステージの伝搬路行列、第0ステージの伝搬路行列へのブロック対角化処理により得られる部分行列を第1ステージの部分伝搬路行列、その部分伝搬路行列を対角成分にもつ行列を第1ステージの伝搬路行列と呼ぶこととする。一般に、第nステージの伝搬路行列へのブロック対角化処理により得られる部分行列を第(n+1)ステージの部分伝搬路行列と呼ぶこととする。
図7は、本発明の第1の実施形態における、ステージ数と行列分解の様子を表した図である。なお、ユーザ数Uが2のべき乗で表現できない値の場合、各ステージの伝搬路行列が有する部分伝搬路行列の行列サイズは全て同一とはならなくなる。
本実施形態では、最終的に得られる部分伝搬路行列が2行2列の行列となるまで、ブロック対角化処理を繰り返していく。例えば、ユーザ数Uが2のべき乗で表現できる場合(すなわち、U=2)、第(i−1)ステージの部分伝搬路行列が2行2列の行列となる。なお、本実施形態における行列分解部401Aの信号処理については、第0ステージの伝搬路行列を用いて、直接、第(i−1)ステージの伝搬路行列を求めるようにしても良い。
図6に戻り、iがlogU−1と等しい場合(ステップS104:Yes)、u=1に設定する(ステップS105)。第(i−1)ステージまでの伝搬路行列が行列分解部401Aで得られた後、その計算結果は摂動ベクトル探査部303Aに入力される事になる。摂動ベクトル探査部303Aには、行列分解部401Aより入力される伝搬路情報と、マッピング後の送信データが入力され、それらの情報に基づき、送信データに加算される摂動ベクトルが探査される(ステップS106)。
本実施形態における摂動ベクトル探査部303Aについて説明する。摂動ベクトル探査部303Aには、行列分解部401Aより、第(i−1)ステージの伝搬路行列と、各ステージの伝搬路行列をブロック対角行列に変換する線形フィルタが入力される。第(i−1)ステージの伝搬路行列は2行2列の行列が対角にU/2個並ぶブロック対角行列であるから、見掛け上、2送信アンテナを有する基地局装置1に2台の端末装置3が接続しているMU−MIMOシステムが、並列にU/2個並んでいるものと見なすことができる。そこで、本実施形態では、第(i−1)ステージの部分伝搬路行列それぞれに対して、摂動ベクトルの探査を行なうことで、摂動ベクトル探査に係る演算量の削減を実現する(ステップS106〜S108)。
摂動ベクトル探査部303Aでは、はじめに、入力されたU/2個の部分伝搬路行列{Hi−1,u;u=1〜U/2}に対して、それぞれZF規範もしくはMMSE規範に基づく線形フィルタ{Wi−1,u;u=1〜U/2}を計算する。そして、各線形フィルタについて、次式で示す最小化問題を解くことで、各部分伝搬路行列に対応する大きさ2の摂動ベクトル{Zi−1,u;u=1〜U/2}を探査する。
Figure 2013123196
ここで、di−1,uは各部分伝搬路行列{Hi−1,u;u=1〜U/2}に対応する部分送信データベクトルであり、送信データベクトルdの第(2u−1)および(2u)成分から構成される大きさ2の列ベクトルである。なお、Z は2次元のガウス整数ベクトル全体の集合を表すものとする。u=1の場合の摂動ベクトルを探索したら、uにu+1を代入し(ステップS107)、uがU/2より大きいかどうかを判定する(ステップS108)。uがU/2より小さい場合(ステップS108:No)、ステップS106に戻る。一方、uがU/2より大きい場合(ステップS108:Yes)、処理を終了する。
本実施形態において、式(7)で与えられる最小化問題を解く方法は何かに限定されるものではない。しかし、たとえSEを用いたとしても、その演算量のオーダはO(K)であり、全ての部分伝搬路行列に対して、SEを用いて摂動ベクトルを求めてもオーダはO((U/2)K)となる。よって、式(6)で与えられる最小化問題を直接解く場合と比較して、大幅な演算量の削減を実現できる。
摂動ベクトル探査部303Aでは、求めた{Zi−1,u;u=1〜U/2}を行方向へ結合することで、摂動ベクトルZを計算する。そして、摂動ベクトルZとともに、IUI抑圧のための線形フィルタWを送信信号生成部305に出力する。なお、線形フィルタWについては、{Wi−1,u;u=1〜U/2}を対角成分にもつブロック対角行列Wに行列分解部401Aで用いた行列分解用の線形フィルタを乗算することで算出することができるが、従来方式と同様に、伝搬路行列Hから直接求めても良い。
送信信号生成部305では、入力された送信データベクトルと摂動ベクトルおよび線形フィルタを用いて、式(2)で表される送信信号ベクトルsを算出する。算出された送信信号ベクトルsは、アンテナ部109に向けて出力される事になる。
[1.3 端末装置3]
図8は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置3の構成を示すブロック図である。図8に示すように、端末装置3はアンテナ501と、無線受信部503と、GI除去部505と、FFT部507と、参照信号分離部509と、伝搬路推定部511と、フィードバック情報生成部513と、無線送信部515と、伝搬路補償部517と、デマッピング部519とデータ復調部521と、チャネル復号部523とを含んで構成されている。以下では第u端末装置3−uにおける信号処理について説明する。
端末装置3においては、アンテナ501で受信された信号が、無線受信部503に入力され、ベースバンド帯の信号に変換される。ベースバンド帯に変換された信号は、GI除去部505に入力され、ガードインターバルが取り除かれた後、FFT部507に入力される。FFT部507では、入力された信号に対して、Nポイントの高速フーリエ変換(FFT)もしくは離散フーリエ変換(DFT)が適用され、N個のサブキャリア成分に変換される。FFT部507の出力は参照信号分離部509に入力される。参照信号分離部509では入力された信号を、データ信号成分とCRS成分と、DMRS成分とに分離する。そして、データ信号成分については、伝搬路補償部517に向けて出力され、CRSとDMRSについては、伝搬路推定部511に向けて出力される。
伝搬路推定部511では、入力された既知参照信号であるCRSおよびDMRSに基づいて伝搬路推定が行なわれる。各端末装置3宛ての既知参照信号系列はそれぞれが分離可能なように多重されて基地局装置1より送信されている。はじめにCRSを用いた伝搬路推定について説明する。CRSは、プリコーディングを適用されずに送信されているため、式(1)で表されている伝搬路行列H(k)のうち、各端末装置3に対応する成分(例えば第u端末装置3−uであればH(k)のうちの第u行成分)を推定することが可能である。通常、CRSは無線リソースに対して周期的に多重されるため、全てのサブキャリアの伝搬路情報を直接推定することは出来ないが、標本化定理を満たすような時間間隔、および周波数間隔でCRSを送信することで、適切な補間による全サブキャリアの伝搬路情報の推定が可能となる。具体的な伝搬路推定方法については、特に限定しないが、例えば二次元MMSE伝搬路推定を用いることが考えられる。
CRSにより推定された伝搬路情報はフィードバック情報生成部513に入力される。フィードバック情報生成部513では、各端末装置3がフィードバックする伝搬路情報形式に応じて、基地局装置1にフィードバックする情報を生成する。本発明においては、伝搬路情報形式については何かに限定されるものではない。例えば、推定された伝搬路情報について、有限ビット数にて量子化を行ない、その量子化情報をフィードバックする方法が考えられる。また、基地局装置1との間で予め取り決めておいたコードブックに基づいてフィードバックを行なっても良い。フィードバック情報生成部513で生成された情報は、無線送信部515に入力され、基地局装置1に向けて通知される。以下では、この伝搬路情報を第一の伝搬路情報とも呼び、第一の伝搬路情報に関連付けられた制御情報を第一の制御情報とも呼ぶこととする。
次いで、DMRSを用いた伝搬路推定について説明する。DMRSはCRSとは異なり、プリコーディングが施されて送信されているため、プリコーディングされたデータ信号を復調するための伝搬路情報を得ることができる。具体的には、第u端末装置3−uの場合、伝搬路行列H(k)に線形フィルタW(k)が乗算され、さらに電力正規化係数β(k)が乗算された行列β(k)H(k)W(k)の第u行u列成分を推定することが可能である。ただし、DMRSには摂動項の加算は行なわれないことが望ましく、翻ってDMRSについては空間多重を行なわないことが望ましい。なお、CRSと同様にDMRSも無線リソースに対して間引かれて多重される場合があるが、適切な補間により全てのサブキャリア成分に関して復調用の情報を得ることが可能である。DMRSによって得られた情報は伝搬路補償部517に入力されることになる。
参照信号分離部509の出力のうち、データ信号成分と、伝搬路推定部511の出力のうち、DMRSによって得られた伝搬路情報は伝搬路補償部517に入力される。伝搬路補償部517ではデータ信号成分に対してチャネル等化処理が行なわれる。データ信号成分{R(k);k=1〜N(ただし、参照信号成分は除く)}は式(8)で与えられる。
Figure 2013123196
ここで、h(k)はH(k)の第u行成分、w(k)はW(k)の第u列成分を表す。G(k)は残留IUIを表す。なお、線形フィルタがZF規範であれば残留IUIは0となる。N(k)は雑音である。以降では、簡単のため、G(k)およびN(k)は省略して記述する。
伝搬路補償部517では初めに、R(k)を等価伝搬路利得H^(k)で除算する。すなわち、R(k)/H^(k)=(d+2δz)である。等価伝搬路利得H^(k)は伝搬路推定部511においてDMRSによって推定される情報である。その後、{R(k)/H^(k)}に対して、式(9)で示すmodulo幅2δのmodulo演算が施され、軟判定値系列{S(k)}が出力される。
Figure 2013123196
ここで、floor(c)は複素数cの実部と虚部をそれぞれ超えない最大のガウス整数を返す床関数を表す。modulo演算は入力に対して、出力の実部と虚部の大きさをそれぞれ−δより大きく、δより小さくするものであるから、残留IUIおよび雑音の電力が十分に小さい場合、z(k)+zr,u(k)≒0となるため、摂動項の影響を取り除くことができる。
伝搬路補償部517の出力はその後デマッピング部519に入力され、各端末装置3は、自装置宛ての送信データの送信に使われている無線リソースより、自装置宛ての送信データを抽出する。なお、参照信号分離部509の出力を、先にデマッピング部519に入力し、自装置に該当する無線リソース成分のみを伝搬路補償部517に入力するような構成としても良い。デマッピング部519の出力は、その後、データ復調部521およびチャネル復号部523に入力され、データ復調とチャネル復号が行なわれる。
ところで、R(k)/H^(k)=(d+2δz)の信号候補点は、元々の変調信号の信号候補点が、信号点空間において周期的に繰り返されている信号点のうちのいずれかとなる。式(9)で示されているmodulo演算は、その中で、R(k)/H^(k)に最も近い信号点を検出していることになる。modulo演算を行なわずに、周期的に繰り返されている信号点と、R(k)/H^(k)との距離(尤度)に基づいて、対数尤度比を算出することができる。この対数尤度比に基づいて、データ復調や、チャネル復号を行なう場合、伝搬路補償部517ではmodulo演算を行なわなくても良い。
本実施形態においては、OFDM信号伝送を仮定し、プリコーディングはサブキャリア毎に行なうことを仮定したが、伝送方式(もしくはアクセス方式)やプリコーディングの適用単位に制限は無い。例えば、複数サブキャリアを一纏めとしたリソースブロック毎にプリコーディングが行なわれた場合も本実施形態は適用可能であり、同様に、シングルキャリアベースのアクセス方式(例えばシングルキャリア周波数分割多重アクセス方式など)にも適用することが可能である。
以上、説明してきた方法により、非線形プリコーディングを用いる下りリンクMU−MIMO伝送において、伝送特性の劣化を最小限に抑えながら、演算量の大幅な削減を実現できる。多重端末装置数が増加しても、演算量の増加は指数関数的な増加ではなく、多項式的な増加に留まるため、多重端末装置数の大幅な増加が実現可能となり、周波数利用効率の改善に寄与できる。
[2. 第2の実施形態]
第1の実施形態においては、非線形プリコーディングに係る演算量を大幅に抑圧するために、伝搬路行列を複数の部分伝搬路行列に分解したのち、摂動ベクトルの探査を行なう方式を対象とした。しかし、第1の実施形態で求めた摂動ベクトルは、各部分伝搬路行列のみに基づいて算出されているため、真に最適な摂動ベクトルになるとは限らず、例えば、従来のSE−VP等と比較すると、伝送特性は大きく劣化してしまう。そこで、第2の実施形態では、伝送特性の劣化を最小限に抑える方法を開示する。基地局装置1の構成、アンテナ部109の構成および端末装置3の構成は第1の実施形態と同様であり、異なるのは、プリコーディング部107の信号処理となる。以下では、第2の実施形態に係るプリコーディング部107Bの信号処理についてのみ説明することとする。
[2.1 プリコーディング装置]
図9は、本発明の第2の実施形態に係るプリコーディング部107Bの装置構成を示すブロック図である。図9に示すように、プリコーディング部107Bは、行列分解部401Bと、摂動ベクトル探査部303Bと、送信信号生成部305とを含んで構成されている。
行列分解部401Bでは、行列分解部401Aと同様に、入力された伝搬路行列Hに対して行列分解を行ない、第(i−1)ステージの部分伝搬路行列を得る。ただし、行列分解部401Aでは、伝搬路行列Hから直接第(i−1)ステージの部分伝搬路行列を算出するような信号処理も可能であったのに対して、行列分解部401Bでは、第1から第(i−1)ステージまで、逐次的に伝搬路行列に対する行列分解を行なっていき、全ての部分伝搬路行列が得られるような信号処理が要求される。全ての部分伝搬路行列は、摂動ベクトル探査部303Bに向けて出力される事になる。
摂動ベクトル探査部303Bでは、はじめに摂動ベクトル探査部303Aと同様に、第(i−1)ステージの部分伝搬路行列を用いて、大きさが2の列ベクトルとなる摂動ベクトル{Zi−1,u;u=1〜U/2}を算出する。摂動ベクトル探査部303Aでは、{Zi−1,u;u=1〜U/2}を行方向に結合することで得られる摂動ベクトルを最適な摂動ベクトルとして出力していた。摂動ベクトル探査部303Bでは、第(i−1)ステージの部分伝搬路行列から求められた摂動ベクトル{Zi−1,u;u=1〜U/2}に基づいて、さらに第(i−2)ステージの部分伝搬路行列に基づいて、摂動ベクトルを探査することを考える。
第(i−2)ステージの部分伝搬路行列{Hi−2,u;u=1〜U/4}は全部で(U/4)個存在し、それぞれ4行4列の行列である。摂動ベクトル探査部303Bでは、各部分伝搬路行列よりZF規範もしくはMMSE規範に基づいた線形フィルタ{Wi−2,u;u=1〜U/4}を算出し、各線形フィルタに基づいて、式(10)で示す最小化問題を解くことで、各部分伝搬路行列に対応する大きさ4の摂動ベクトル{Zi−2,u;u=1〜U/4}を探査する。
Figure 2013123196
ここで、di−2,uは各部分伝搬路行列{Hi−2,u;u=1〜U/4}に対応する部分送信データベクトルであり、送信データベクトルdの第(4(u−1)+1)から(4u)成分までの要素で構成される大きさ4の列ベクトルである。なお、Z は4次元のガウス整数ベクトル全体の集合を表すものとする。
式(10)で与えられる最小化問題について、例えばSEを用いて解いた場合、演算量のオーダはO(K)である。しかし、第(i−1)ステージにおいて、既に摂動ベクトルの探査については一度行なっているため、従来のSEよりも摂動ベクトルの探査範囲を限定できる。具体的には、SEにおいて、探査範囲を決定する球の半径を、従来のSEよりも小さくすることが可能である。また、QRM−VPに基づいて摂動ベクトルの探査を行なう場合、生き残りベクトル数を、従来のQRM−VPよりも小さくすることができる。
摂動ベクトル探査部303Bでは、摂動ベクトルの探査を第(i−1)ステージから第0ステージまで、逐次的に行なっていく。第0ステージにおいては、従来のSE−VP等と同様に、U行U列の伝搬路行列に基づいて、摂動ベクトルの探査を行なうことになるが、第1ステージまでに逐次的に探査された摂動ベクトルの結果を用いることで、摂動ベクトルの探査範囲(SEにおける球の初期半径や、QRM-VPにおける生き残りベクトル数)を小さくすることができる。
第0ステージまでの探査ベクトルの探査が終了したのち、摂動ベクトル探査部303Bより、選択された摂動ベクトルと、ユーザ間干渉抑圧のための線形フィルタが送信信号生成部305に向けて出力される。なお、ユーザ間干渉抑圧のための線形フィルタは、摂動ベクトル探査部303Aにおける生成方法と同様に算出すれば良い。送信信号生成部305にて送信信号ベクトルが算出された後、アンテナ部109に向けて出力される事になる。
なお、前述してきた説明によれば、摂動ベクトルの探査は第0ステージの伝搬路行列まで行なうことになる。第0ステージまで摂動ベクトルの探査を行なうことで、所要送信電力を最小化できる最適な摂動ベクトルを選択することができる。ところで,無線通信システムにおいては、予め所望の伝送品質(所望の受信SNRなど)が設定されている場合がある。非線形プリコーディングに基づくMU−MIMO伝送において、端末装置3で観測される受信SNRは、電力正規化係数βに依存することは既に述べた。つまり、所望の伝送品質に対して、電力正規化係数に求められる値は一意に定まることになる。このことは、摂動ベクトル探査部303で探査される摂動ベクトルは、所要送信電力を最小化するものではなく、望ましい値より大きな電力正規化係数を実現できるものでも良いことを示唆している。この場合、摂動ベクトル探査部303Bでは、第(i−1)ステージの部分伝搬路行列より摂動ベクトルの探査を始めるにあたって、必ずしも第0ステージまで摂動ベクトルの探査をする必要はなく、所要の電力正規化係数が達成された時点で、摂動ベクトルの探査を打ち切ってしまっても良い。
なお、第(i−1)ステージの途中で、摂動ベクトルの探査を打ち切る場合、接続している端末装置3の中に、自装置宛ての送信データに摂動項が加算されている端末装置3と、加算されていない端末装置3とが、混在することになる。この場合、端末装置3は、摂動項の加算の有無に依らず、常に、摂動項が加算されたものとして、信号処理を行なっても良いし、基地局装置1が、摂動項の加算の有無を示す制御情報を別に通知することで、端末装置3が摂動項の加算の有無によって受信信号に対する信号処理を切り替えても良い。摂動項が加算されていない場合、端末装置3は、従来の線形プリコーディングが施された受信信号に対する信号処理と同じ処理を行なうことで、信号を復調することが可能である。
また、基地局装置1に配置されたアンテナ数よりも、端末装置3の数が多いような場合、全ての端末装置3の中から空間多重させる端末装置3を適宜選択する空間スケジューリングが必要となる。このときに、例えば適当な組み合わせの端末装置3の群に対して、前述してきた摂動ベクトルの探査を行ない、第(i−2)ステージまでの摂動ベクトルの探査では、所望の伝送品質が達成できないことが判明した段階で、現在の組み合わせを破棄し、別の組み合わせを選択するように制御しても良い。
第2の実施形態では、各ステージで探査された摂動ベクトルの情報を別ステージの摂動ベクトルの探査に活用することで、演算量を削減しつつ、伝送特性の改善を実現する方法を対象とした。また、摂動ベクトルの探査を逐次的に行なう本実施形態の方法によれば、所望の伝送品質に対して、摂動ベクトルの探査を適切に打ち切ることができ、また効率的なスケジューリングの実現にも寄与できる。
[3. 第3の実施形態]
実空間伝搬路においては、各アンテナで観測される複素チャネル利得は、お互いに相関を有している。基地局装置1の送信アンテナ間のチャネル利得の相関(以下、これを送信アンテナ相関、もしくは空間相関と呼ぶ)の強さは、接続している端末装置3毎に異なった値となり、一般に基地局装置1との距離が離れるほど強くなる。第3の実施形態では、端末装置3毎に観測される空間相関の値が異なる環境を対象とする。なお、基地局装置1の送信アンテナ数や、接続する端末装置3などは、特に断りが無い限り、第1の実施形態と同様であるものとする。
[3.1 端末装置3のフィードバック処理]
端末装置3の装置構成は、第1の実施形態と同様であるが、フィードバック情報生成部513において生成される制御情報が異なる。第3の実施形態においては、第1の実施形態と同様にCRSにより得られる第一の伝搬路情報に加えて、伝搬路の空間相関に関する情報(これを第二の伝搬路情報とも呼ぶ)を生成し、この二つの情報を基地局装置1に対して通知する。
第二の伝搬路情報として、CRSによって推定された伝搬路情報から算出される空間相関行列Rt,u(k)=E[H (k)×H(k)]/Cを通知する方法が考えられる。なおE[x]はxの時間平均を表し、Cは正規化係数である。空間相関行列は更に周波数方向に平均したものでも良い。なお、平均する時間長および周波数帯域は適宜決定すれば良く、例えば、周波数方向に12サブキャリア、時間方向に7OFDMシンボルの2次元方向に渡って平均化を行なっても良い。第二の伝搬路情報としては、他に、隣接する送信アンテナ間の相関値(相関係数)や、基地局装置1との距離を表す情報でも良く、基地局装置1が、接続している複数の端末装置3間の空間相関の強弱を判断できる情報であれば良い。
第二の伝搬路情報の通知方法については、何かに限定されるものではなく、第一の伝搬路情報と同様に、直接量子化した値を用いても良いし、コードブックによるフィードバックでも良い。第二の伝搬路情報に関連付けられた制御情報を第二の制御情報とも呼ぶ。
[3.2 プリコーディング装置]
基地局装置1の構成は、第1の実施形態とほぼ同様である。ただし、CSI取得部601では、第一の伝搬路行列に加えて、端末装置3で観測される空間相関の強弱に関連付けられた第二の伝搬路情報が取得されるものとする。また、プリコーディング部107Bにおける信号処理も異なるため、以下では第3の実施形態におけるプリコーディング部107Cの信号処理について説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態に係るプリコーディング部107Cの装置構成を示すブロック図である。図10に示すように、プリコーディング部107Cは、行列分解部401Bと、摂動ベクトル探査部303Cと、送信信号生成部305と、行列選択部603とを含んで構成されている。
行列分解部401B、および送信信号生成部305における信号処理については、第2の実施形態に係るプリコーディング部107Bにおける信号処理と同じであるため、説明は省略する。
行列選択部603では、CSI取得部601より入力される伝搬路行列Hに対して、第二の伝搬路情報である空間相関の強弱に応じて、空間相関の強い端末装置3に関連付けられた伝搬路情報から上に並ぶように行列変換を行なう。例えば、第u端末装置3−uで観測される空間相関の強さが最も強い場合、伝搬路行列Hの第u行を一番上にする。以降、空間相関が強い順番に行を入れ替えた伝搬路行列をHと定義する。HはCSI取得部601に入力された伝搬路行列Hと順列行列Πを用いて、H=ΠHと表現できる。順列行列Πは前述した空間相関の強弱に基づく行列の入れ替え方に応じて決定される。行列選択部603からは、算出された順列行列Πが行列分解部401B、摂動ベクトル探査部303Cおよび送信信号生成部305に入力される。
行列分解部401B、摂動ベクトル探査部303Cおよび送信信号生成部305では、H=ΠHを伝搬路行列、d=Πdを送信データベクトルと見なして、第2の実施形態と同様の信号処理が行なわれる。摂動ベクトル探査部303Cにおいて行なわれる信号処理は、摂動ベクトル探査部303Bにおいて行なわれる信号処理とほぼ同様である。ここで、摂動ベクトル探査部303Bでは、摂動ベクトルを探査する各ステージにおいて、摂動ベクトルの探査範囲を変更可能であることを既に述べた。第3の実施形態に係る摂動ベクトル探査部303Cでは、入力された伝搬路行列に対して、空間相関に基づいた入れ替えが行なわれているため、この情報に基づき、摂動ベクトルの探査範囲を変更する。
具体的には図7で示される各ステージの伝搬路行列の第1行より第U/2行までに含まれる部分伝搬路行列に係る摂動ベクトルの探査は、他の部分伝搬路行列に係る摂動ベクトルの探査範囲より大きくする。行列選択部603によって行なわれた信号処理により、第1行より第U/2行までに含まれる部分伝搬路行列は、空間相関の強い伝搬路に基づいて構成されるため、他の部分伝搬路行列と比較して、直交性の崩れが大きくなる。よって、直交性の崩れが比較的大きくなる第1行より第U/2行までに含まれる部分伝搬路行列については、摂動ベクトルの探査範囲を大きくとり、それ以外の部分伝搬路行列については、摂動ベクトルの探査範囲を小さくとることで、摂動ベクトルの探査をさらに高精度に行なうことが可能となる。他の装置における信号処理については、第2の実施形態と同様であるから説明は省略する。
以上、説明してきた方法により、基地局装置1に接続されている複数の端末装置3で観測される空間相関の強さが異なる環境下において、基地局装置1における摂動ベクトルの探査を、高精度に行なうことが可能となる。
[4. 第4の実施形態]
第1から第3の実施形態では、基地局装置1と端末装置3が直接接続する下りリンクMU−MIMO伝送を対象としていた。第4の実施形態では、基地局装置1と端末装置3との間に中継局装置701(中継局装置701−1〜701−3を含む)が存在する場合(図11参照)を対象とする。以下では、N本の送信アンテナを有する基地局装置1に、M本のアンテナを有する中継局装置701がM個直接接続し、各中継局装置701にU個の端末装置3が接続しているものとする。なお、N≧(M×M)かつ、M≧Uが満たされているものとする。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る無線通信システムの概略を示す図である。図11ではM=U=3を仮定している。基地局装置1から各中継局装置701への通信を中継リンクと呼び、各中継局装置701から接続しているU個の端末装置3への通信を端末リンクと呼ぶこととする。
はじめに第4の実施形態における伝搬路情報について定義する。基地局装置1の第nアンテナと、第m中継局装置701−mの第mアンテナ間の複素チャネル利得をhm,mt,n(k)とし、次式を、基地局装置1と第m中継局装置701−mの間の伝搬路行列Hrelay,m(k)と定義する。
Figure 2013123196
そして、Hrelay(k)=[Hrelay,1 (k),…,Hrelay,M (k)]を中継伝搬路行列と呼ぶこととする。
また、第m中継局装置701−mの第mアンテナと第u端末装置3−u間の複素チャネル利得をhu,m,mt(k)とし、次式を、端末伝搬路行列と呼ぶこととする。
Figure 2013123196
各端末装置3には、接続している中継局装置701から送信される信号のみが受信されるものとする。これは、中継局装置701同士が十分に離れている場合や、端末リンク間では互いに異なる無線リソースによって通信が行なわれている場合を想定している。
各中継局装置701および端末装置3は、自装置が推定可能な伝搬路情報をそれぞれが接続している送信装置にフィードバックする。つまり、各中継局装置701は伝搬路行列Hrelay,m(k)のみを基地局装置1にフィードバックし、第u端末装置3−uであれば、端末伝搬路行列HUE,m(k)の第u行成分を接続している中継局装置701にフィードバックする。推定方法については、第1の実施形態で説明したようにCRSに基づいて行なえば良く、通知方法についても第1の実施形態同様に、推定された伝搬路情報を直接量子化して通知しても良いし、装置間で共用しているコードブックを用いて通知しても良い。
[4.1 基地局装置1]
基地局装置1の構成は、第1の実施形態と同様であり、各構成装置で行なわれる信号処理についても、第1の実施形態と同様である。ただし、CSI取得部113で取得される伝搬路情報は、中継伝搬路行列Hrelay(k)となる。よって、プリコーディング部107では、中継伝搬路行列Hrelay(k)を伝搬路行列と見なして、プリコーディングが行なわれる事になる。なお、プリコーディングは、第1から第3の実施形態で述べたいずれの方法に基づいて行なっても良い。ただし、第m中継局装置701−mには、第m中継局装置701−mに接続されている端末装置3に送信される送信データ{dm,1〜dm,U}が少なくとも受信されるようにプリコーディングを施す必要がある。例えば、第m中継局装置701−mの第m受信アンテナを、第m中継局装置701−mに接続されている第m端末装置3−mとみなしてプリコーディングを行なえば良い。このようにプリコーディングを行なう場合、プリコーディング部107から出力される送信信号ベクトルは次式で与えられることになる。
Figure 2013123196
ここで、dBS=[d1,1,...,d1,U,d2,1,...,dM,Uであり、ZBSはdBSの各要素に加算される摂動項から構成される長さM×Uの摂動ベクトルである。摂動ベクトルの探査方法は、先にも説明したが、第1から第3の実施形態で述べたいずれかの方法に基づいて行なえば良い。線形フィルタWについては、中継伝搬路行列Hrelay(k)を伝搬路行列と見なして、第1の実施形態と同様に、ZF規範やMMSE規範に基づいて算出すれば良い。
通常、中継局装置701は固定されているから、基地局装置1と中継局装置701の間の伝搬路の時間変動は周辺環境にのみ依存するため極めて小さい。よって、中継伝搬路行列の行列分解に必要となる線形フィルタおよび、IUIを抑圧するための線形フィルタについては、別の無線リソースで算出されたものをそのまま用いることができるため、演算量を大幅に抑圧することが可能となる。例えば、複数のOFDM信号からなるパケットを送信する場合に、パケット先頭のOFDM信号に対するプリコーディングを行なう場合のみ、各線形フィルタの計算を行ない、以降のOFDM信号については、既に計算済みの各線形フィルタを用いてプリコーディングを行なえば良い。
なお、これまでの説明においては、基地局装置1に直接接続するのは、中継局装置701のみであるものとして説明しているが、基地局装置1に端末装置3が直接接続しても構わない。この場合、基地局装置1は、端末装置3も中継局装置701とみなしてプリコーディング等の信号処理を行なえば良い。
[4.2 中継局装置701]
図12は、本発明の第4の実施形態に係る中継局装置701の構成を示すブロック図である。図12に示すように、中継局装置701はアンテナ部R801と、参照信号分離部803と、伝搬路推定部805と、フィードバック情報生成部807と、伝搬路補償部808と、デマッピング部809と、マッピング部811と、プリコーディング部813と、CSI取得部815と、制御情報取得部817とを含んで構成されている。なお、参照信号分離部803、伝搬路補償部808およびプリコーディング部813は、それぞれサブキャリア数Nだけ配置されており、アンテナ部R801は中継局装置701が有するアンテナ数Mだけ配置されている。
図13は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ部R801の構成を示すブロック図である。図13に示すように、アンテナ部R801は、アンテナ901と、無線受信部903と、GI除去部905と、FFT部907と、IFFT部909と、GI挿入部911と、無線送信部913とを含んで構成されている。以下では第m中継局装置701−mにおける信号処理について説明する。
第m中継局装置701−mでは、はじめに基地局装置1より送信される信号に対する受信信号処理が行なわれる。各アンテナ部R801のアンテナ901で受信された信号が、無線受信部903に入力され、ベースバンド帯の信号に変換される。ベースバンド帯に変換された信号は、GI除去部905に入力され、ガードインターバルが取り除かれた後、FFT部907に入力される。FFT部907では、入力された信号に対して、NポイントのFFTもしくはDFTが適用され、N個のサブキャリア成分に変換される。FFT部907の出力は各サブキャリアに対応する参照信号分離部803に入力される。参照信号分離部803では入力された信号を、データ信号成分とCRS成分と、DMRS成分とに分離する。そして、データ信号成分については、伝搬路補償部808に向けて出力し、CRSとDMRSについては、伝搬路推定部805に向けて出力される。
なお、アンテナ901には、基地局装置1から送信されるデータ信号を含む信号に加えて、接続されている端末装置3より通知される制御情報も受信される。制御情報についても、無線受信部903において、ベースバンド帯の信号に変換された後、こちらは、制御情報取得部817に向けて出力されることになる。
伝搬路推定部805では、入力された既知参照信号であるCRSおよびDMRSに基づいて伝搬路推定が行なわれる。各既知参照信号系列はそれぞれが分離可能なように多重されて基地局装置1より送信されている。CRSおよびDMRSを用いた伝搬路推定は、いずれも、第1の実施形態における端末装置3の伝搬路推定部511で説明したように行なえば良く、各受信アンテナを端末装置3と見なして信号処理を行なえば良い。なお、CRSによって推定されるのは、中継伝搬路行列の一部となる。
CRSにより推定された中継伝搬路行列に関する情報はフィードバック情報生成部807に入力される。フィードバック情報生成部807では、中継局装置701がフィードバックする伝搬路情報形式に応じて、基地局装置1にフィードバックする情報を生成する。本発明においては、伝搬路情報形式については何かに限定されるものではない。例えば、推定された伝搬路情報について、有限ビット数にて量子化を行ない、その量子化情報をフィードバックする方法が考えられる。フィードバック情報生成部807で生成された情報は、アンテナ部R801の無線送信部913に入力され、基地局装置1に向けて通知される。
なお、通常、中継局装置701は固定されているため、基地局装置1との間の伝搬路の時間選択性は極めて小さい。そのため、中継局装置701の基地局装置1への伝搬路情報の通知は、後述する端末装置3からの伝搬路情報の通知より、頻度を少なくしたり、情報量を小さくしても良い。
次いで、DMRSを用いた伝搬路推定について説明する。DMRSはCRSとは異なり、一部のプリコーディングが施されて送信されているため、DMRSを用いることで、プリコーディングされたデータ信号を復調するために伝搬路情報を得ることができる。ここで、式(13)で与えられる送信信号が第m中継局装置701−mで受信されたときの受信信号ベクトルr(k)は次式で与えられる。
Figure 2013123196
ここで、d(k)はdBS(k)のうち、第m中継局装置701−mに接続されている端末装置3宛ての送信データ部分を表す列ベクトルである。Z(k)はZBS(k)のうち、第m中継局装置701−mに接続されている端末装置3宛ての送信データ部分に加算される摂動項を要素とする列ベクトルである。また、W(k)=[W(k),...,W(k)]であるものとし、W(k)は線形フィルタW(k)のうち、d(k)およびZ(k)に乗算される要素が抽出された行列である。
DMRSは他の中継局装置701宛てのDMRSとは直交されて多重されており、また摂動項の加算は行なわれない。よって第m中継装置宛てのDMRSとしてp(k)が送信された時の受信信号は式(15)で与えられることになる。
Figure 2013123196
式(15)で与えられる受信信号に基づいてβ(k)Hrelay,m(k)W(k)を推定することができる。
伝搬路補償部808には、式(14)で与えられる受信信号ベクトルが入力される事になる。このとき、線形フィルタW(k)は、他中継局装置701宛ての信号による干渉を抑圧するように算出されているから、式(14)の右辺第二項は零ベクトルとなる。伝搬路補償部808では、伝搬路推定部805において推定された伝搬路情報を用いて、β(k)Hrelay,m(k)W(k)の影響を取り除くチャネル等化が行なわれる。チャネル等化が行なわれた伝搬路補償部808の出力は、その後デマッピング部809に入力され、各端末装置3宛ての送信データが送信されていた無線リソースより、送信データを抽出する。この時点で、各サブキャリアにおける各端末装置3宛ての送信データの仮復調値d^=[d^m,1,...,d^m,Uを得ることができる。
第4の実施形態では、この仮復調された各端末装置3宛ての送信データd^を、再度マッピング部811に入力する。そして、スケジューリングおよび既知参照信号系列の多重を施したのち、プリコーディングを施して、各端末装置3宛てに同一無線リソースにおいて、空間多重を施したのち送信する。
マッピング部811における信号処理は、各端末装置3宛ての送信データの仮復調値d^=[d^m,1,...,d^m,U]を送信データと見なすこと以外は第1の実施形態における基地局装置1のマッピング部811と同様であるため、説明は省略する。プリコーディング部813における信号処理も、各端末装置3宛ての送信データの仮復調値d^を送信データと見なすことと、端末伝搬路行列HUE,m(k)を伝搬路行列とみなすこと以外は第1の実施形態におけるプリコーディング部107Aと同様であるから説明は省略する。ただし、通常、端末伝搬路行列は、中継伝搬路行列よりも行列サイズは小さいため、摂動ベクトルの探査の負担は基地局装置1のプリコーディング部107よりも小さい。よって、第1から第3の実施形態で述べたような行列分解を行なわずに摂動ベクトルの探査を行なっても良い。
また、接続されている端末装置3に向けて送信される送信データが全て同一である場合、中継局装置701のプリコーディング部813では、データ信号に対して、プリコーディングを施すことなく送信しても構わない。この場合、DMRSについても、端末装置3の間の直交性を必ずしも確保しなくても構わない。
なお、プリコーディングに必要となる端末伝搬路行列については、接続されている端末装置3より通知されることになる。端末伝搬路行列に関連付けられた制御情報が制御情報取得部817において取得され、その情報に基づいて、CSI取得部815において端末伝搬路行列が取得される事になる。
プリコーディング部813の出力は、対応するアンテナ部R801のIFFT部909に入力され、OFDM信号に変換されたのち、無線送信部913に入力され、RF帯の信号に変換されたのち、接続している端末装置3に向けて送信される事になる。
なお、これまで説明してきた方法では、各端末装置3宛ての送信データの仮復調値d^を送信データと見なしてプリコーディングを行なうことになる。これとは異なり、中継局装置701において、各端末装置3宛ての送信データを完全に復調したのち、その復調されたデータに対してプリコーディングを行なう方法も考えられる。
図14は、各端末装置3宛ての送信データを完全に復調することを前提とした場合における、本発明の第4の実施形態に係る中継局装置701の構成を示すブロック図である。図12と比較して、データ復調部1001と、チャネル復号部1003と、チャネル符号化部1005と、データ変調部1007とを、更に含んで構成されている。なお、これら装置は、端末装置3の数U個だけ配置される。
各部における信号処理は第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。チャネル復号部1003においては、データ信号に加算されている摂動項の影響を加味したLLRの算出を行なうことができるものとする。中継局装置701において各端末装置3宛ての送信データを完全に復調することで、端末装置3宛ての送信データに施すプリコーディングの精度を高めることができる。またパケット伝送においては、チャネル符号化された受信信号に誤りが検出された場合、同じ信号を再送する、もしくはチャネル符号化部1005でパンクチャされていたパリティビットを追加して送信するハイブリッド自動再送要求(以下、Hybrid automatic repeat request(HARQ)と呼ぶ)が必須の技術と考えられている。中継局装置701において各端末装置3宛ての送信データを完全に復調することで、誤り検出が中継局装置701においても可能となるため、HARQの再送を中継リンクと端末リンクとで独立に行なえるという利点がある。ただし、データ復号と再符号化を中継局装置701で行なうことは、複雑性と処理遅延を増加させてしまう。
そこで、受信品質や、システムの所要品質に応じて、完全復号を行なうか否かを適応的に切り替えても良い。
図15は、完全復号の適用の有無を適応的に切り替える場合における、本発明の第4の実施形態に係る中継局装置701の構成を示すブロック図である。図15に示すように、中継局装置701には、図14記載の中継局装置701の装置構成に加えて、更に復号方法切替部1101が備えられることとなり、伝搬路推定部805でCRSやDMRSによって推定される中継リンクの受信品質や、端末装置3より通知される端末リンクの受信品質に応じて、完全復号を行なうか、仮復調のみに留めるかを切り替える。例えば、中継リンクと端末リンクのいずれかの受信品質が低下している場合、復号方法切替部1101は、デマッピング部809の出力をデータ復調部1001に渡すことで、完全復調を行なう。そして、いずれのリンクの受信品質も低下していない場合、復号方法切替部1101は、デマッピング部809の出力を直接マッピング部811に渡せば良い。
[4.3 端末装置3]
端末装置3の構成は第1の実施形態と同様である。また信号処理についても、中継局装置701を基地局装置1と見なし、伝搬路行列を端末伝搬路行列に置き換えて行なうことを除けば、第1の実施形態と同様であるから説明は省略する。
なお、端末装置3が直接基地局装置1に接続することを許容する場合、端末装置3が、基地局装置1に接続するか、中継局装置701に接続するかを予め決定しておく必要がある。この場合、端末装置3は、最も受信品質が良好となる装置に対して、接続要求を発信すれば良い。端末装置3からの接続要求が中継局装置701に受信された場合、該当中継局装置701は、該当端末装置3が中継局装置701に接続されたことを、改めて基地局装置1に通知すれば良い。受信品質の測定は、これまで説明してきたCSRやDMRSに基づいて行なっても良く、また、基地局装置1と複数の中継局装置701から、一斉に受信品質測定用のSounding reference signal(SRS)を送信しても良い。
また、基地局装置1に直接接続するか、中継局装置701に直接接続するかを、適応的に変更する場合、端末装置3が接続している装置に応じて、伝搬路情報を通知するための制御情報の通知間隔や、通知に係る情報量を変更しても良い。
第4の実施形態では、中継局装置701が存在する環境を対象とした。中継伝搬路行列の時間選択性は極めて小さいことに着目することで、プリコーディングに係る演算量を大幅に削減することが可能となる。
[5.全実施形態共通]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
本発明に関わる移動局装置および基地局装置1で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置および基地局装置1の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置および基地局装置1の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
1 基地局装置
3、3−1、3−1A、3−1B、3−1C、3−2、3−2A、3−2B、3−2C、3−3、3−3A、3−3B、3−3C、3−4 端末装置
101 チャネル符号化部
103 データ変調部
105 マッピング部
107、107A、107B、107C プリコーディング部
109 アンテナ部
111 制御情報取得部
113 CSI取得部
201 IFFT部
203 GI挿入部
205 無線送信部
207 無線受信部
209 アンテナ
301 プリコーディング部
303、303A、303B、303C 摂動ベクトル探査部
305 送信信号生成部
401A、401B 行列分解部
501 アンテナ
503 無線受信部
505 GI除去部
507 FFT部
509 参照信号分離部
511 伝搬路推定部
513 フィードバック情報生成部
515 無線送信部
517 伝搬路補償部
519 デマッピング部
521 データ復調部
523 チャネル復号部
601 CSI取得部
603 行列選択部
701、701−1、701−2、701−3 中継局装置
803 参照信号分離部
805 伝搬路推定部
807 フィードバック情報生成部
808 伝搬路補償部
809 デマッピング部
811 マッピング部
813 プリコーディング部
815 CSI取得部
817 制御情報取得部
901 アンテナ
903 無線受信部
905 GI除去部
907 FFT部
909 IFFT部
911 GI挿入部
913 無線送信部
1001 データ復調部
1003 チャネル復号部
1005 チャネル符号化部
1007 データ変調部
1101 復号方法切替部

Claims (9)

  1. 複数のアンテナを備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信する無線送信装置に適用されるプリコーディング装置であって、
    前記各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解する行列分解部と、
    前記部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力する摂動ベクトル探査部と、
    前記入力された送信データベクトル、前記出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成する送信信号生成部と、を備えることを特徴とするプリコーディング装置。
  2. 前記各無線受信装置から取得した空間相関の強弱を示す情報に基づいて、空間相関の強い無線受信装置に対応する伝搬路行列を優先的に選択し、選択した伝搬路行列を前記行列分解部、前記摂動ベクトル探査部および前記送信信号生成部に出力する行列選択部を更に備えることを特徴とする請求項1記載のプリコーディング装置。
  3. 前記摂動ベクトル探査部は、前記空間相関の強弱に応じて、摂動ベクトルの探査範囲を変更することを特徴とする請求項2記載のプリコーディング装置。
  4. 前記摂動ベクトル探査部は、所要の電力正規化係数が達成された時点の摂動ベクトルを出力することを特徴とする請求項1または請求項2記載のプリコーディング装置。
  5. 実質的に伝搬路の時間変動が無い場合、他の無線リソースで算出した線形フィルタを流用してプリコーディングを行なうことを特徴とする請求項1または請求項2記載のプリコーディング装置。
  6. 複数のアンテナと、
    請求項1から請求項5のいずれかに記載のプリコーディング装置と、を備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信することを特徴とする無線送信装置。
  7. 複数のアンテナを備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信する無線送信装置に適用されるプリコーディング方法であって、
    前記各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解するステップと、
    前記部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力するステップと、
    前記入力された送信データベクトル、前記出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成するステップと、を少なくとも含むことを特徴とするプリコーディング方法。
  8. 複数のアンテナを備え、複数の無線受信装置宛てのデータ信号を空間多重して送信する無線送信装置に適用されるプログラムであって、
    前記各無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解する処理と、
    前記部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力する処理と、
    前記入力された送信データベクトル、前記出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  9. 複数のアンテナを備える無線送信装置に実装されることにより、前記無線送信装置に複数の機能を発揮させる集積回路であって、
    複数の無線受信装置から取得した伝搬路情報を構成する伝搬路行列を、部分伝搬路行列に分解する機能と、
    前記部分伝搬路行列で示される伝搬路情報および入力された送信データベクトルに基づいて摂動ベクトルを探査し、探査した摂動ベクトルおよび線形フィルタを出力する機能と、
    前記入力された送信データベクトル、前記出力された摂動ベクトルおよび線形フィルタに基づいて、送信信号ベクトルを生成する機能と、の一連の機能を、前記無線送信装置に発揮させることを特徴とする集積回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114039634A (zh) * 2020-12-24 2022-02-11 电子科技大学 一种修正的矢量扰动软解调方法
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