JP5804594B2 - プリコーディング装置、プリコーディング用プログラムおよび集積回路 - Google Patents

プリコーディング装置、プリコーディング用プログラムおよび集積回路 Download PDF

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Description

本発明は、複数のアンテナを備える無線送信装置から無線受信装置へ送信される送信データに予備的処理を行なうプリコーディング技術に関する。
無線通信システムでは、多様なブロードバンド情報サービスの提供のために、伝送速度の向上が常に望まれている。伝送速度の向上は通信帯域幅の拡大により実現可能だが、利用可能な周波数帯域には限りがあるため、周波数利用効率の改善が必須となる。周波数利用効率を大幅に改善できる技術として、複数の送受信アンテナを用いて無線伝送を行なうMultiple input multiple output(MIMO)技術が注目を集めており、セルラーシステムや無線LANシステムなどで実用化されている。MIMO技術による周波数利用効率改善量は送受信アンテナ数に比例する。しかし、端末装置に配置できる受信アンテナ数には限りがある。そこで、同時接続する複数端末装置を仮想的な大規模アンテナアレーとみなし、基地局装置から各端末装置への送信信号を空間多重させるマルチユーザMIMO(MU-MIMO)が周波数利用効率の改善に有効である。
MU−MIMOでは、各端末装置宛の送信信号同士がユーザ間干渉(IUI)として端末装置に受信されてしまうため、IUIを抑圧する必要がある。例えば、第3.9世代移動無線通信システムの一つとして採用されているLong term evolution(LTE)においては、各端末装置より通知される伝搬路情報に基づき算出される線形フィルタを基地局装置にて予め乗算することでIUIを抑圧する線形プリコーディングが採用されている。しかし、空間多重される端末同士の送信信号の直交性が高くない限り、IUIを効果的に抑圧できないため、線形プリコーディングに基づくMU−MIMOでは周波数利用効率の改善には限界がある。
最近、非線形処理を基地局装置側で行なう非線形プリコーディングを用いるMU−MIMO技術が注目を集めている。端末装置において、剰余(Modulo、モジュロ)演算が可能である場合、送信信号に対して、任意のガウス整数に一定の実数が乗算された複素数(摂動項)を要素とする摂動ベクトルの加算が可能となる。そこで、基地局装置と複数端末装置の間の伝搬路状態に応じて、摂動ベクトルを適切に設定してやれば、たとえ空間多重される端末同士の送信信号の直交性が高くなくとも、摂動ベクトルを加算しない線形プリコーディングと比較して、所要送信電力を大幅に削減することが可能となる。非線形プリコーディングとして、最適な伝送特性を実現できる方式として非特許文献1記載のVector perturbation(VP)がある。しかし、VPは選択可能な全ての摂動ベクトルから最適摂動ベクトルを探査する同時推定技術であり、多重端末数に対して演算量が指数関数的に増加してしまうという問題を有している。
VPの演算量削減技術として、非特許文献1の中ではSphere encoding(SE)に基づくSE−VPが議論されている。無数にある摂動ベクトルを送信信号に加算するVPでは、送信信号候補点が無数に存在することを意味している。SE−VPでは、多次元信号点空間内に描かれた球内に存在する送信信号候補点のみを考慮して探査を行なうことで摂動ベクトルの探査に要する演算量を削減している。SE−VPは伝送特性を劣化させることなく演算量を削減できるが、多重端末数に対する演算量の増加は依然として指数関数的である。
非特許文献2では、QR分解を用いたMアルゴリズムに基づくVPの摂動ベクトル探査技術が議論されている。以下ではこの技術をQRM−VPと呼ぶこととする。QRM−VPは逐次探査技術であり、多重端末数に対する演算量の増加を多項式関数的に抑えることができる。QRM−VPでは、最適摂動ベクトルと無関係な送信信号候補点に対する演算を行なわないようにすることで演算量を削減しており、演算量の削減効果はSE−VPよりも大きい。しかし、最適摂動ベクトルに対して当該送信信号候補点が無関係であるかどうかを判断すること自体に演算が要求されるため、伝送特性を維持しつつ演算量を抑圧するのには限界がある。
ところで、基地局装置と単一端末装置間でのMIMO伝送であるSU−MIMOにおいても、端末装置側における空間分離技術により伝送特性は大幅に変化する。最尤検出(MLD)は最良の伝送特性を実現するものの、VPと同様に膨大な演算量を要する同時探査技術であり、VPと同様にQRMアルゴリズムによる演算量削減技術が検討されているものの、QRM−VPと同様に演算量の抑圧には限界があった。そこで、特許文献1では、MLDを用いるSU−MIMOの演算量削減のための適応生き残りシンボルアルゴリズム(ASESS)が提案されている。ASESSは簡易な信号処理により信号候補点に対してランキングを行なうことで、MLDにおいて尤度を検出すべき候補信号点の数を少なくすることができる。QRM−VPにおいてもASESSのような適応生き残りアルゴリズムを適用することで、演算量の大幅な抑圧が期待できるが、QRM−VPに適した簡易な信号候補点の削減技術については、開示されていないのが実状である。
特許第4640793号
B. M. Hachwald, et. al., "A vector-perturbation technique for near-capacity multiantenna multiuser communication-Part II:Perturbation," IEEE Trans. Commun., Vol. 53, No. 3, March 2005. M. Mohaisen, et. al., "Fixed-complexity vector perturbation with block diagonalization for MU-MIMO systems," Proc. IEEE Malaysia Inter. Conf. on Commun., 2009.
VPの演算量削減技術であるQRM−VPでは演算量の削減に限界がある。しかし、QRM−VPの演算量を更に削減する技術については開示されていないのが実状である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、VPが達成可能な伝送特性を維持しつつ、QRM−VPよりも演算量の削減を実現するプリコーディング装置、プリコーディング用プログラムおよび集積回路を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明のプリコーディング装置は、複数のアンテナを備える無線送信装置から、少なくとも一つの無線受信装置へ送信される送信データに予備的処理を行なうプリコーディング装置であって、前記各アンテナと前記無線受信装置との間の伝搬路情報に基づいて、線形フィルタを生成する線形フィルタ生成部と、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および前記送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開する信号変換部と、前記複素平面上に展開された前記摂動項候補および前記基準信号に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査する摂動ベクトル探査部と、を備え、前記送信データベクトルに前記探査された摂動ベクトルを加算し、前記線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出することを特徴とする。
このように、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開し、複素平面上に展開された摂動項候補および基準信号に基づいて、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査し、送信データベクトルに探査された摂動ベクトルを加算し、線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出するので、伝送特性の劣化を最小限に抑えながら、演算量の大幅な削減を実現できる。また、多重端末装置数が増加しても、演算量の増加は指数関数的な増加ではなく、多項式的な増加に留まるため、多重端末装置数の大幅な増加が実現可能となり、周波数利用効率の改善に寄与できる。
(2)また、本発明のプリコーディング装置において、前記摂動ベクトルは、前記送信データに適用されるデータ変調方式に関連付けられた実数が任意のガウス整数に乗算された複素数である摂動項を要素とすることを特徴とする。
このように、摂動ベクトルは、送信データに適用されるデータ変調方式に関連付けられた実数が任意のガウス整数に乗算された複素数である摂動項を要素とするので、たとえ空間多重される端末同士の送信信号の直交性が高くなくとも、摂動ベクトルを加算しない線形プリコーディングと比較して、所要送信電力を大幅に削減することが可能となる。
(3)また、本発明のプリコーディング装置において、前記基準信号は、他の基準信号に関連付けられた摂動ベクトルの摂動項候補に基づいて算出されることを特徴とする。
このように、基準信号は、他の基準信号に関連付けられた摂動ベクトルの摂動項候補に基づいて算出されるので、別の摂動ベクトルの候補により計算された基準信号点に最も近い摂動ベクトルを探査することができる。
(4)また、本発明のプリコーディング装置において、前記伝搬路情報を示す伝搬路行列を、前記線形フィルタに対するQR分解、QL分解またはコレスキー分解のいずれか一つの行列演算に適合した行列に変換する伝搬路行列変換部を更に備え、前記信号変換部は、前記変換された伝搬路行列を用いて、前記線形フィルタに対し、前記変換された伝搬路行列に対応する行列演算を実行することを特徴とする。
このように、伝搬路情報を示す伝搬路行列を、前記線形フィルタに対するQR分解、QL分解またはコレスキー分解のいずれか一つの行列演算に適合した行列に変換するので、伝送特性を低下させることなく、各項の摂動項の候補数であるMの値を小さくできる。
(5)また、本発明のプリコーディング装置において、前記伝搬路行列変換部は、前記伝搬路行列に対して、格子基底縮小技術またはオーダリング技術に基づいて算出されたユニモジュラー(unimodular)行列を乗算することを特徴とする。
このように、伝搬路行列に対して、格子基底縮小技術またはオーダリング技術に基づいて算出されたユニモジュラー(unimodular)行列を乗算するので、伝送特性を低下させることなく、各項の摂動項の候補数であるMの値を小さくできる。
(6)また、本発明のプリコーディング装置において、前記伝搬路行列変換部は、無線リソースの間で相関が高い場合、前記ユニモジュラー行列に含まれる情報の一部を共用して前記伝搬路行列の変換を行なうことを特徴とする。
このように、無線リソースの間で相関が高い場合、ユニモジュラー行列に含まれる情報の一部を共用して伝搬路行列の変換を行なうので、伝搬路の状況に応じて、変換行列を計算すべき回数を削減することが可能となる。その結果、さらに演算量を削減することが可能となる。
(7)また、本発明のプリコーディング装置において、前記摂動ベクトル探査部は、前記複素平面を複数個の区画に分割し、前記基準信号が含まれる区画を特定し、前記特定した区画に含まれる摂動項候補を、前記送信データに加算する摂動項の候補として選択し、前記選択した摂動項の候補に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探索することを特徴とする。
このように、複素平面を複数個の区画に分割し、基準信号が含まれる区画を特定し、特定した区画に含まれる摂動項候補を、前記送信データに加算する摂動項の候補として選択し、選択した摂動項の候補に基づいて、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探索するので、実質的に選択可能なガウス整数の数であるKの値に制限を与えることがなくなるとともに、各項のメトリック計算を各項の摂動項の候補数であるM回に限定させることが可能となる。
(8)また、本発明のプリコーディング装置において、前記摂動ベクトル探査部は、前記基準信号点に最も近いガウス整数を検出し、前記検出したガウス整数を、大きさで昇順に並んだガウス整数列に加算し、前記加算後のガウス整数列を、前記送信データに加算する摂動項の候補として選択し、前記選択した摂動項の候補に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探索することを特徴とする。
このように、基準信号点に最も近いガウス整数を検出し、前記検出したガウス整数を、大きさで昇順に並んだガウス整数列に加算し、前記加算後のガウス整数列を、前記送信データに加算する摂動項の候補として選択し、前記選択した摂動項の候補として選択し、前記選択した摂動ベクトルの候補に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探索するので、摂動項の順序付けを行なうことが可能となる。
(9)また、本発明のプリコーディング装置において、前記無線受信装置と前記無線送信装置間の伝搬路の空間相関に関連付けられた情報が、前記無線受信装置より前記無線送信装置に通知され、前記空間相関に関連付けられた情報に基づき、前記送信データに加算される摂動項の候補数を決定することを特徴とする。
このように、無線受信装置と無線送信装置間の伝搬路の空間相関に関連付けられた情報が、無線受信装置より無線送信装置に通知され、空間相関に関連付けられた情報に基づき、送信データに加算される摂動項の候補数を決定するので、空間相関値が時々刻々と大きく変化するような環境の場合でも、摂動項の候補数を最適化することができ、伝送特性を向上させることができる。
(10)また、本発明のプリコーディング装置において、前記摂動ベクトル探査部は、前記摂動ベクトルの優先度の順位を決定することを特徴とする。
このように、摂動ベクトルの優先度の順位を決定するので、実質的に選択可能なガウス整数の数であるKの値に制限を与えることがなくなるとともに、各項のメトリック計算を各項の摂動項の候補数であるM回に限定させることが可能となる。
(11)また、本発明のプリコーディング装置において、前記摂動ベクトル探査部は、所要送信電力が最小となる摂動ベクトルを探索することを特徴とする。
このように、所要送信電力が最小となる摂動ベクトルを探索するので、実質的に選択可能なガウス整数の数であるKの値に制限を与えることがなくなるとともに、各項のメトリック計算を各項の摂動項の候補数であるM回に限定させることが可能となる。
(12)また、本発明のプリコーディング装置において、前記所要送信電力は、他の基準信号に関連付けられた摂動ベクトルについて算出された送信電力に基づいて算出されることを特徴とする。
このように、所要送信電力は、他の基準信号に関連付けられた摂動ベクトルについて算出された送信電力に基づいて算出されるので、実質的に選択可能なガウス整数の数であるKの値に制限を与えることがなくなるとともに、各項のメトリック計算を各項の摂動項の候補数であるM回に限定させることが可能となる。
(13)また、本発明のプリコーディング用プログラムは、複数のアンテナを備える無線送信装置から、少なくとも一つの無線受信装置へ送信される送信データに予備的処理を行なうプリコーディング用プログラムであって、前記各アンテナと前記無線受信装置との間の伝搬路情報に基づいて、線形フィルタを生成する処理と、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および前記送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開する処理と、前記複素平面上に展開された前記摂動項候補および前記基準信号に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査する処理と、前記送信データベクトルに前記探査された摂動ベクトルを加算し、前記線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
このように、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開し、複素平面上に展開された摂動項候補および基準信号に基づいて、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査し、送信データベクトルに探査された摂動ベクトルを加算し、線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出するので、伝送特性の劣化を最小限に抑えながら、演算量の大幅な削減を実現できる。また、多重端末装置数が増加しても、演算量の増加は指数関数的な増加ではなく、多項式的な増加に留まるため、多重端末装置数の大幅な増加が実現可能となり、周波数利用効率の改善に寄与できる。
(14)また、本発明の集積回路は、複数のアンテナを備える無線送信装置に実装されることによって、前記無線送信装置に対し、少なくとも一つの無線受信装置へ送信する送信データに予備的処理を行なうプリコーディング機能を発揮させる集積回路であって、前記各アンテナと前記無線受信装置との間の伝搬路情報に基づいて、線形フィルタを生成する機能と、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および前記送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開する機能と、前記複素平面上に展開された前記摂動項候補および前記基準信号に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査する機能と、前記送信データベクトルに前記探査された摂動ベクトルを加算し、前記線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出する機能と、の一連の機能を、前記無線送信装置に発揮させることを特徴とする。
このように、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開し、複素平面上に展開された摂動項候補および基準信号に基づいて、送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査し、送信データベクトルに探査された摂動ベクトルを加算し、線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出するので、伝送特性の劣化を最小限に抑えながら、演算量の大幅な削減を実現できる。また、多重端末装置数が増加しても、演算量の増加は指数関数的な増加ではなく、多項式的な増加に留まるため、多重端末装置数の大幅な増加が実現可能となり、周波数利用効率の改善に寄与できる。
本発明によれば、VPと同等の伝送特性を維持しつつ、大幅に演算量が削減された非線形プリコーディングが実現できる。多重端末数に比例して周波数利用効率が改善する下りリンクMU−MIMOに本発明の非線形プリコーディングを用いることで、多重端末数の増加に伴う演算量の増加を気にすることなく、周波数利用効率の大幅な改善を実現できる。
本発明の第1の実施形態に係る基地局装置構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るアンテナ部111の装置構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部109の装置構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−2δzu,k)の関係を複素平面上に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−2δzu,k)の関係を複素平面上に表した図である(左上より順序付けを行なっている様子を示す)。 本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−2δzu,k)の関係を複素平面上に表した図である(各象限を分割する直線を引いた様子を示す)。 本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−2δzu,k)の関係を複素平面上に表した図である(上述の象限分割を繰り返し行なった様子を示す)。 本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−zu,k)の関係の一例を複素平面上に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る式(11)におけるSu,kとS^u,kと(−zu,k)の関係を複素平面上に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る式(12)におけるSu,kと(−zu,1)の関係を複素平面上に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る、Su,kと{zu,1〜zu,5}の関係を複素平面上に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る、Su,kと{zu,1〜zu,9}の関係を複素平面上に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る、Su,kと{zu,1〜zu,13}の関係を複素平面上に表した図である。 本発明の第1の実施形態に係る第uステージの摂動項候補探査方法について説明するフローチャートである。 本発明の第1の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るプリコーディング部501の装置構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態に係るプリコーディング部601の装置構成を示すブロック図である。
以下、図面を参照して本発明の無線通信システムを適用した場合における実施形態について説明する。なお、本実施形態において説明した事項は、発明を理解するための一態様であり、実施形態に限定して発明の内容が解釈されるものではない。
[1.第1の実施形態]
第1の実施形態においては、N本の送信アンテナを有し、非線形プリコーディングが可能な基地局装置(無線送信装置とも呼ぶ)に対して、1本の受信アンテナを有する端末装置(無線受信装置とも呼ぶ)がU個接続しているMU−MIMO伝送を対象とし、N=Uであるものとする。基地局装置は各端末装置より通知される制御情報により各端末装置までの伝搬路情報を取得し、その伝搬路情報に基づき、送信データに対してサブキャリア毎にプリコーディングを行なうものとする。なお、端末装置の受信アンテナ数は1に限定されるものではない。また、本実施形態においては、各端末装置に送信されるデータストリーム数(ランク数とも呼ぶ)は1としているが、ランク数が2より大きい場合も本実施形態には含まれる。
はじめに基地局装置と端末装置間の伝搬路情報について定義する。本実施形態においては、準静的周波数選択性フェージングチャネルを仮定する。第n送信アンテナ(n=1〜N)と第u端末装置間(u=1〜U)の第kサブキャリアの複素チャネル利得をhu,n(k)としたとき、伝搬路行列H(k)を
Figure 0005804594
と定義する。
[1.1 基地局装置]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る基地局装置構成を示すブロック図である。図1に示すように、基地局装置は、チャネル符号化部101と、データ変調部103と、参照信号多重部105と、S/P変換部107とプリコーディング部109と、アンテナ部111と、制御情報取得部113と、CSI取得部115とを含んで構成されている。プリコーディング部109はサブキャリア数N、アンテナ部111は送信アンテナ数Nだけそれぞれ存在する。各端末装置宛の送信データ系列はチャネル符号化部101において、チャネル符号化が行なわれたのち、データ変調部103において、QPSK、16QAM等にデータ変調される。データ変調部103からの出力は参照信号多重部105に入力され、各端末装置において伝搬路推定を行なうための既知参照信号系列が参照信号多重部105において多重される。
各端末装置宛の参照信号については、受信した端末装置において分離可能なように、それぞれが直交するように多重されるものとする。また、参照信号には、伝搬路推定用の参照信号であるCRSと復調用の参照信号であるDM−RSの二つの参照信号が多重される。CRSは、式(1)で表されている伝搬路行列を推定するためのものであり、DM−RSは後述するプリコーディングに関する情報を推定するためのものである。CRSとDM−RSの多重方法については、特に限定されない。しかし、CRSは各送信アンテナ間で直交するように配置され、DM−RSは接続している端末装置間で直交するように配置される。直交させる方法としては、時間直交、周波数直交、空間直交、符号直交、および疑似符号直交のいずれか、もしくは複数の直交技術の組み合わせが考えられる。以下、本実施形態においては、データ信号と参照信号とは周波数直交されるものとし、端末装置ではそれぞれ所望の情報が理想的に推定可能なものとして説明を行なう。
参照信号多重部105の出力は、S/P変換部107に入力され、Nサンプル毎に、N個の並列信号系列に直列並列変換される。S/P変換部107出力は、サブキャリア数であるN個だけ出力され、それぞれ対応するサブキャリアのプリコーディング部109に入力される。プリコーディング部109における信号処理の説明は後述するものとし、以下では、プリコーディング部109出力に対する信号処理について先に説明する。各サブキャリアのプリコーディング部109出力は、それぞれ対応する送信アンテナのアンテナ部111に入力される。
図2は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ部111の装置構成を示すブロック図である。図2に示すように、アンテナ部111は、IFFT部201と、GI挿入部203と、無線送信部205と、無線受信部207と、アンテナ209とを含んで構成されている。各アンテナ部111では、対応するプリコーディング部109出力がIFFT部201に入力され、Nポイントの逆高速フーリエ変換(IFFT)、もしくは逆離散フーリエ変換(IDFT)が適用されて、Nサブキャリアを有するOFDM信号が生成され、IFFT部201より出力される.ここでは、サブキャリア数と逆離散フーリエ変換のポイント数は同じものとして説明しているが、周波数領域にガードバンドを設定する場合、ポイント数はサブキャリア数よりも大きくなる。IFFT部201出力はGI挿入部203に入力され、ガードインターバルが付与されたのち、無線送信部205に入力される。無線送信部205において、ベースバンド帯の送信信号が無線周波数(RF)帯の送信信号に変換される。無線送信部205の出力信号は、アンテナ209よりそれぞれ送信される。なお、無線受信部207には、端末装置にて推定される伝搬路情報に関連付けられた情報が受信され、制御情報取得部113に向けて出力される事になる。
[1.2 プリコーディング装置]
プリコーディング部109において行なわれる信号処理について説明する。以下では、第kサブキャリアのプリコーディング部109について説明するものとし、はじめに参照信号多重部105出力のうち、データ信号成分が入力された場合について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るプリコーディング部109の装置構成を示すブロック図である。図3に示すように、プリコーディング部109は、線形フィルタ生成部301と、信号変換部303と、摂動ベクトル探査部305と、送信信号生成部307とを含んで構成されている。プリコーディング部109には、各端末装置宛の送信データに関するS/P変換部107出力の第kサブキャリア成分{d(k);u=1〜U}と、CSI取得部115出力の第kサブキャリアの伝搬路行列H(k)が入力される。H(k)は上述したCRSに基づき、端末装置にて推定され、基地局装置に通知される。以下の説明では、H(k)は理想的にCSI取得部115にて取得されるものとし、簡単のため、インデックスkは省略して記述する。
はじめに線形フィルタ生成部301において、線形フィルタWが生成される。線形フィルタとして、ZF規範に基づくもの(W=H−1)やMMSE規範に基づくもの(W=H(HH+αI)−1)が生成される。なおA−1は行列Aの逆行列、Aは行列Aの随伴行列(エルミート転置行列)をそれぞれ表す。αは干渉項であり、送信電力等に応じて決定されるが、例えば1端末装置当たりの送信電力対受信雑音電力比の逆数に設定すれば良い。以下では、ZF規範に基づく線形フィルタが生成された場合を中心に説明を行なっていく。生成された線形フィルタWは信号変換部303に入力される。信号変換部303には、送信データベクトルd=[d,・・・,d(Aは行列Aの転置行列を表す)と線形フィルタWが入力され、摂動ベクトル探査のための信号変換処理が施される。以下では、信号変換について説明する。VPを適用した場合の、プリコーディング後の送信信号ベクトルs=[s,・・・,sNtは式(2)で与えられる。
Figure 0005804594
ここで、2δZ=2δ[z,・・・,zは摂動ベクトルである。{z;u=1〜U}は第u端末装置宛の送信データ{d}に加算される摂動項を表し、任意のガウス整数で与えられる。ここでガウス整数とは、実部と虚部がそれぞれ整数となる複素数を意味する。定数δはデータ変調部103で適用されるデータ変調方式に依存して決定され、例えばQPSKであれば、2δ=2×21/2、16QAMであれば、2δ=8/101/2である。βは送信電力を一定とする電力正規化項であり、ベクトルW(d+2δZ)のノルムの逆数で与えられる。なお、電力の正規化はシンボル単位では無く、所定数の無線リソース単位で行なう方法もある。例えば、12サブキャリアで送信電力を一定とするように制御しても良い。Zの構成要素である摂動項にはあらゆるガウス整数が設定可能である。VPでは所要送信電力が最小となるZを探査する。すなわち、Zは
Figure 0005804594
という最小化問題を解くことにより算出される。ここで、Zはガウス整数ベクトル全体の集合を表すものとする。なお、MMSE規範に基づく線形フィルタが用いられた場合の最小化問題は、式(3)中の||W(d+2δZ)||を(d+2δZ)(HH+αI)−1(d+2δZ)に置き換えることで与えられる。しかし、この最小化問題は2U次元の整数格子最小二乗問題であり、次元数すなわち空間多重数Uに対して演算量が指数関数的に増加してしまうという問題を有している。そこで、本実施形態においては、QR分解を用いたMアルゴリズムに基づく演算量削減技術を基にした簡易な摂動ベクトル探索アルゴリズムを開示する。
式(3)で表される最小化問題は式(4)のように書き直すことが可能である。
Figure 0005804594
ここで、LL=WWであり、Lは下三角行列を表す。このような下三角行列Lはコレスキー分解により求めることが可能である。下三角行列はQL分解に基づいて生成しても良い。また、QR分解に基づいて、上三角行列Rを用いて式(4)と同様の最小化問題に帰着させても良い。なお、MMSE規範に基づく線形フィルタが用いられた場合も、(HH+αI)−1=LLを満たす下三角行列を求めることで最小化問題の式を式(4)のように表現することが可能となる。式(4)の数式部分を展開すると式(5)を得る。
Figure 0005804594
ここで、Lm,nは行列Lの第m行n列成分を表す。{Lm,n}および{d}は既に与えられているから、式(5)の右辺の第1項は摂動項zのみに依存する。よって、第1項を最小化するzは容易に求められる。ここで、第1項を最小化するzをz1,1とする。zが求められると、式(5)の右辺の第2項はzのみに依存することになる。このようにして第1項から順に摂動項を検出していくことで、摂動ベクトルZを容易に検出することが可能となる。つまり式(5)のように変形することで、同時推定問題を逐次推定問題に変換することができる。しかしながら、第1項を最小化するz1,1は必ずしも第2項以降を最小化するzの候補ではないため、このように検出された摂動ベクトルZは最適なものではない。そこで、Mアルゴリズムに基づく方法では各項の摂動項の候補をM個生き残らせることを考える。以降では、説明のため、「項」を「ステージ」とも呼ぶこととする。また、各ステージの値、すなわち、
Figure 0005804594
を第uステージのステージメトリックと呼ぶこととする。基本的に、第uステージのステージメトリック算出時には第(u−1)ステージまでの摂動項候補は決定済みであり、ステージメトリックは第uステージの第k摂動項候補zu,kのみに依存する状態となる。また、簡単のため、生き残り数Mについては、全ステージにおいて同一であるものとして説明をしていくが、ステージ毎に異なる生き残り数を用いても良い。
第1項に関する摂動項zの候補として{z1,1〜z1,K}を抽出し、それぞれのステージメトリック{P1,1〜P1,K}を計算する。摂動項zには任意のガウス整数が適用可能であるが、ここでは、選択可能なガウス整数はK個に制限されているものとする。その後、ステージメトリックの小さい順にM個の摂動項候補{z1,1〜z1,M}を生き残らせる。次いで、第2ステージでは摂動項zの候補{z2,1〜z2,K}について、第2ステージのステージメトリックを計算する。このとき、摂動項zの候補がM個あるから、全部で(K×M)個のステージメトリックを計算することになる。そして、算出されたステージメトリックを用いて、パスメトリック(各ステージのステージメトリックの合計を表す)を算出する。ここで、例えば、zの候補としてz1,jが選択され、zの候補としてz2,iが選択された場合の、第2ステージのパスメトリックV2,(i,j)は式(7)で与えられることになる。
Figure 0005804594
つまり、これまでに選択されてきた摂動項に基づき算出されたパスメトリック(第1ステージについてはパスメトリック=ステージメトリックである)に、今考慮しているステージメトリックを加算することで、トータルのパスメトリックは算出される。そして、合計で(K×M)個算出されたパスメトリックの中から、小さい順にM個生き残らせる。つまり、第2ステージのパスメトリックは(V2,1〜V2,M)だけ抽出され、それぞれのパスメトリックを与える摂動項候補を要素とする摂動ベクトル候補Z2,1〜Z2,Mもまた生き残らせることになる。例えば、V2,mを与える摂動項候補がz1,jとz2,iであるとき、Z2,m=[z1,j,z2,iとなる。以降、第U項まで同様の計算を行なっていき、最終的に最もパスメトリックの小さい摂動項の候補から構成される摂動ベクトルが最適な摂動ベクトルとなる。
以上がMアルゴリズムに基づく摂動ベクトル探査方法である。上記の方法では、各ステージにおけるメトリックの計算量が(M×K)個に限定されるため、式(3)を直接解く場合と比較して演算量を大幅に抑圧することが可能となる。しかし、VPの摂動ベクトル探査にMアルゴリズムを用いることにはいくつかの問題がある。ひとつは各項における摂動項の候補数Kである。摂動項は本来任意のガウス整数であるから摂動項の候補は無数に存在するが、現実的には一定数K個の候補の中から選択することになる。しかし、Kの値は、伝搬路環境等により最適な値が異なる。あらゆる環境下で最適な伝送を実現するためには、大きなKを設定する必要があるが、演算量はKの値に比例して増加してしまう。
ふたつめに各ステージにおけるパスメトリックの計算回数(M×K)が挙げられる。(M×K)個のパスメトリックを計算した後にM個の候補を生き残らせるMアルゴリズムであるから(M×(K−1))回のステージメトリック計算は無駄な計算ということになる。各ステージの計算で許容される演算量がある一定値に制限されている場合を考えると、前述したようにKの値は大きくなりがちであるから、生き残り数Mを小さくする必要が出てくる。しかし、生き残り数Mを小さくすることは伝送特性の低下を招いてしまう。
そこで、本実施形態において、Mアルゴリズムに基づくQR分解による摂動ベクトル探査方法が有する上記2つの問題を解決する方法を開示する。本実施形態の方法によれば、実質的にKの値に制限を与えることがなくなるとともに、各項のメトリック計算をM回に限定させることが可能となる。
本発明の方法の基本はメトリック計算を行なう前に、メトリック計算を行なうべき摂動項の候補を限定させることにある。以下では、象限探査を応用した方法を用いる場合について説明する。第uステージの摂動項候補{zu,1〜zu,K}に関するステージメトリックPu,kは式(8)で計算される。ここで第(u−1)ステージまでの摂動項候補{z〜zu−1}はM個の候補のパスメトリックのうちの一つに対応するものとする。
Figure 0005804594
信号変換部303では、式(8)を式(9)のように変形する信号処理が行なわれることになる。
Figure 0005804594
摂動項候補zu,kは式(9)を最小化するものである。つまり、式(10)で与えられる基準信号
Figure 0005804594
に最も近い信号(−zu,k)を探査することに他ならない。
図4Aは、本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−zu,k)の関係を複素平面上に表した図である。通常、複素平面は無限に広がっているが、ここでは便宜上、ある一定の幅で打ち切るものとしている。図4A中の黒丸がSu,kを表し、白丸が(−zu,k)の候補を示す。第uステージで行なう計算は、黒丸に近い白丸をM個検出することであり、Mアルゴリズムに基づく方法では、黒丸と全ての白丸との2乗ユークリッド距離をそれぞれ計算し、その計算結果に基づき白丸をM個検出している。しかし、図4Aの様子に着目すれば、2乗ユークリッド距離を計算せずともある程度の精度で黒丸と白丸との距離を測ることができる。
まず、今黒丸は複素平面上の第1象限に存在するから、第1象限に存在する白丸が第2および第4象限に存在する白丸よりも黒丸に近く、第3象限に存在する白丸は黒丸に最も遠いことになる。そこで、第1象限、第2象限、第4象限、第3象限の順番で白丸に対して順番に重みづけを行なっていく。同一象限に存在する白丸の間の順序付けは適当に行なえば良い。
図4Bは、本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−zu,k)の関係を複素平面上に表した図である(左上より順序付けを行なっている様子を示す)。
図4Cは、本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−zu,k)の関係を複素平面上に表した図である(各象限を分割する直線を引いた様子を示す)。そして、黒丸が存在する象限に対して、近い象限に存在する白丸に対して順番に重みを割り振っていく。
図4Dは、本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−zu,k)の関係を複素平面上に表した図である(上述の象限分割を繰り返し行なった様子を示す)。十分な回数を繰り返すことで、(−zu,k)の候補白丸に対して、1からMまでの順序付け(ランキング)を行なうことができる。このようにすれば、2乗ユークリッド距離を計算せずとも、黒丸に近い白丸をM個検出することが可能となる。
象限探査においては、複素乗算などの複雑な演算は一切必要ない。以上の説明では便宜上摂動項の候補は49個に限定したが、摂動項の候補を49個より増加させたとしても演算量の増加は殆どない。よって、QRM−VPと異なり、摂動項の候補に対して、特別な制限を加える必要はないが、現実的には、これまでの説明で例にとった方法のように、ある一定の制限を与えることになる。しかし、空間相関が極端に強い場合等においては、基準信号をしめす黒丸が摂動項の候補点に対して、極端に異なる値をとる可能性がある。
図4Eは、本発明の第1の実施形態に係る式(10)におけるSu,kと(−zu,k)の関係の一例を複素平面上に表した図である。このような場合、たとえ象限探査を用いても、正しい順序付けが行なえない可能性がある。そこで、前述してきた順序付けの処理の前に、Su,kに対して、modulo幅2Δのmodulo演算を施すことを考える。すなわち、
Figure 0005804594
を満たす、新たな基準信号S^u,kを算出する。ここで、floor(c)は実部と虚部それぞれが、複素数cの実部と虚部を超えない最大の整数となる複素数を返す関数であり、床関数とも呼ばれる。また2Δの値は摂動項候補に与えた制限によって決まり、摂動項候補の実部と虚部それぞれに対して、2Δの整数倍を加算していくことで、摂動項候補点が複素平面上に等間隔に並ぶように設定される。例えば図4Eのように制限を与えていた場合、2Δ=7となる。
図4Fは、本発明の第1の実施形態に係る式(11)におけるSu,kとS^u,kと(−zu,k)の関係を複素平面上に表した図である。S^u,kを算出したのち、S^u,kを基準信号と見なして、前述してきた順序付けを行なっていく。そして、順序付けされた摂動項候補それぞれに対して、Bu,kを加算することで、基準信号を示す黒丸が摂動項の候補点に対して、極端に異なる値を取った場合における順序付けの精度を向上させることができる。
なお、ここでは白丸の順序付けに対して象限探査を用いたが、簡易な計算で順序付けが可能であれば、別の方法により順序付けを行なっても良い。以下では、象限探査ではない順序付けの方法について説明する。第uステージの摂動項候補に関するランキング方法について説明する。再び図4Aを用いて説明すると、摂動項候補zu,kに対するランキングは黒丸で表される基準信号Su,kに最も近い候補点である白丸から順番にランキングがされていく。ここで、Su,kに最も近い候補点zu,1は式(12)で与えられるものとする。
Figure 0005804594
ここで、round(c)はcの実部と虚部のそれぞれに最も近い整数を実部と虚部にもつ複素数を返す関数である。
図4Gは、本発明の第1の実施形態に係る式(12)におけるSu,kと(−zu,1)の関係を複素平面上に表した図である。ここでは、(−zu,1)を“1”と記述している。次いで、既に選択されたzu,1に大きさ1(=(1+01/2)のガウス整数を加算することを考える。大きさ1のガウス整数は{1,−1,j,−j}の4つ存在する。{1,−1,j,−j}をそれぞれzu,1に加算することで得られる4つのガウス整数をそれぞれ{zu,2〜zu,5}とする。
図4Hは、本発明の第1の実施形態に係る、Su,kと{zu,1〜zu,5}の関係を複素平面上に表した図である。次いで、大きさ21/2(=(1+11/2)のガウス整数をzu,1に加算することを考える。大きさが21/2のガウス整数は{1+j,1−j,−1+j,−1−j}の4つ存在するから、先ほどと同様にそれぞれをzu,1に加算することで得られる4つのガウス整数をそれぞれ{zu,6〜zu,9}とする。
図4Iは、本発明の第1の実施形態に係る、Su,kと{zu,1〜zu,9}の関係を複素平面上に表した図である。次いで、大きさが2(=(2+01/2)のガウス整数である{2,−2,2j,−2j}をzu,1に加算することで得られる4つのガウス整数を{zu,10〜zu,13}とする。
図4Jは、本発明の第1の実施形態に係る、Su,kと{zu,1〜zu,13}の関係を複素平面上に表した図である。以降、大きさが小さいガウス整数から順番にzu,1に加算していくことで、2乗ユークリッド距離を計算せずとも、候補点に対するランキングを行なうことができる。なお、予め、ガウス整数を小さい順から並べたリストを準備しておき、そのリスト記載のガウス整数全てに、zu,1を加算することで、順序付けを行なうようにしても良い。
前述してきたランキングは基本的に各ステージで計算される基準信号に基づいて順序付けが行なわれる。各ステージで上記の演算を行なっても良いが、いくつかの基準信号の値に対して、摂動ベクトルの候補に対して順序付けが行なわれたものをテーブル化しておき、そのテーブルと基準信号の値を参照することで、順序付けを行なうように制御しても良い。信号変換部303からは各項における摂動項の順序付けに関連付けられた情報が出力され、摂動ベクトル探査部305に入力される事になる。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る第uステージの摂動項候補探査方法について説明するフローチャートである。図5では、上述した順序付けを行なうものとして、摂動ベクトル探査部305において行なわれる、本実施形態における第uステージの摂動項候補探査方法について示す。以下の説明では、第(u−1)ステージまでの計算が終了しており、第(u−1)ステージ時点におけるM個のパスメトリック(Vu−1,1〜Vu−1,M)および、それぞれのパスメトリックを与えるM個の摂動ベクトル候補(Zu−1,1〜Zu−1,M)が算出されているものとする。まず、信号変換部303は、第m摂動ベクトル候補Zu−1,mの選択規範値として{Q;m=1〜M}を定義し、Q=Vu−1,mとする(ステップS101)。なお、第1ステージにおいては、検出済みの摂動ベクトル候補は存在しないため、Q=0とする。
次に、信号変換部303は、各選択規範値{Q;m=1〜M}に対応する摂動ベクトル候補(Zu−1,1〜Zu−1,M)に基づき、基準信号{Su,m;m=1〜M}を計算する(ステップS103)。続いて、信号変換部303は、基準信号Su,mに基づき、第uステージの摂動項候補に対して、上述の方法により順序付けを行なう。第m基準信号Su,mに対してc番目にランキングされた摂動項候補を{zmc;m=1〜M,c=1〜M}で表す(ステップS105)。
摂動ベクトル探査部305は、インデックスの初期設定をする(k=1、c=1)(ステップS107)。次に、摂動ベクトル探査部305は、選択規範値{Q;m=1〜M}の中で、最も小さい選択規範値を探索し、そのインデックスをxとする(ステップS109)。また、摂動ベクトル探査部305は、第uステージで算出される第k摂動ベクトル候補Zu,kを計算し、Zu,k=[Zu−1,x ,zxcとする(ステップS111)。ここで、[a,b]は長さaの行ベクトルaと長さbの行ベクトルbが行方向に結合された、長さ(a+b)の行ベクトルを表す。続いて、摂動ベクトル探査部305は、第uステージで算出される第k摂動ベクトル候補Zu,kに対する、第uステージまでのパスメトリックVu,kを算出する。すなわち、Vu,k=Pu,k+Vu−1,xである(ステップS113)。
続いて、摂動ベクトル探査部305は、データを更新する(Q←Vu,k,k←k+1、x←xc+1)(ステップS115)。摂動ベクトル探査部305は、kがMを超えたら(ステップS117:Yes)処理を終了する。摂動ベクトル探査部305は、kがMを超えていなければ(ステップS117:No)ステップS109に戻る。
実際には、上記信号処理のうち、ステップS101からステップS105の信号処理は信号変換部303で行なわれる事になるが、ここでは便宜上纏めて記述してある。なお、信号変換部303を別に持たずに、摂動ベクトル探査部305において全ての信号処理を行なうような構成としてもよい。あるステージの摂動項候補は信号変換部303に再度入力され、信号変換部303における信号処理が再度行なわれる。以上の処理を第1ステージから第Uステージまで行なったのち、最もパスメトリックの小さい候補ベクトルが最適な摂動ベクトルZとなる。
なお、本実施形態における伝送特性は生き残り数Mに大きく依存する。伝送特性はMの大きさに比例して改善するが、一方で、演算量も増加する。そのため、所要の伝送品質を満たす上で、なるべく小さいMを用いることが望ましい。伝送品質とMの関係は、事前に計算機シミュレーション等によりビット誤り率(BER)測定を行なうことにより求めることができるが、通常、空間多重端末数Uと、送信アンテナ間の伝搬路の空間相関値に大きく依存する。そのため、プリコーディング部109では、予め空間多重端末数Uに応じた最適な生き残り数Mをテーブル化しておき、そのテーブルに応じて、生き残り数Mを決定するように制御すれば良い。一般的には、空間多重数が多くなるほど、大きなMを要求される。また、空間相関値が時々刻々と大きく変化するような環境の場合、後述する端末装置より、端末装置で観測される空間相関値を基地局装置に通知し、通知された空間相関値に基づき、適応的に生き残り数を制御しても良い。例えば、空間相関値が小さい場合には、前述のテーブル化された生き残り数を用いて、空間相関値が大きい場合には、テーブル化された生き残り数よりも大きい値を用いるように制御する方法が考えられる。空間相関値に対して、生き残り数をどのくらい大きくすれば良いかは、事前に計算機シミュレーション等により最適な値を把握しておけば良い。
また、VPは式(3)から分かるように、与えられた送信方式(本実施形態においては、IUIを0とするような送信方式)において、最も所要送信電力を小さくするように制御するプリコーディング方式と言える。しかし、このことは、伝搬路の状況に応じて、受信品質が大幅に変化することを意味しており、受信品質に応じて最適な変調方式および符号化率を用いる適応変調伝送適用時に問題となる場合がある。そこで、式(3)で与えられる最小化問題について、ある任意の受信品質になるような摂動項を探査するように最小化問題を変形しても良く、また単純に、所要送信電力を最小にする摂動ベクトルに対して、任意の摂動項を加算することで、任意の受信品質になるように制御しても良い。ここで、任意の受信品質は、適応変調伝送時に用いられる受信品質と変調方式と符号化率が関連付けられたModulationand Coding Scheme(MCS)セット、に関連付けられていることが望ましい。
図3に戻り、摂動ベクトル探査部305より、上述の方法により摂動ベクトルが出力され送信信号生成部307に入力される。送信信号生成部307では、入力された情報と、式(2)に基づき、送信信号ベクトルsが生成され、プリコーディング部109出力として、出力される。次いで、プリコーディング部109に参照信号(CRSおよびDM-RS)が入力された場合について説明する。CRSについては、プリコーディングに関する信号処理が行なわれず、そのまま出力される。DM−RSについては、送信データと同様のプリコーディングが行なわれるものの、摂動ベクトルの付与は行なわれない。
[1.3 端末装置]
図6は、本発明の第1の実施形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。図6に示すように、端末装置はアンテナ401と、無線受信部403と、GI除去部405と、FFT部407と、参照信号分離部409と、伝搬路推定部411と、フィードバック情報生成部413と、無線送信部415と、伝搬路補償部417と、P/S変換部419とデータ復調部421と、チャネル復号部423とを含んで構成されている。以下では第u端末装置における信号処理について説明する。
端末装置においては、アンテナ401で受信された信号が、無線受信部403に入力され、ベースバンド帯の信号に変換される。ベースバンド帯に変換された信号は、GI除去部405に入力され、ガードインターバルが取り除かれた後、FFT部407に入力される。FFT部407では、入力された信号に対して、Nポイントの高速フーリエ変換(FFT)もしくは離散フーリエ変換(DFT)が適用され、N個のサブキャリア成分に変換される。FFT部407出力は参照信号分離部409に入力される。参照信号分離部409では入力された信号を、データ信号成分とCRS成分と、DM−RS成分とに分離する。そして、データ信号成分については、伝搬路補償部417に向けて出力し、CRSとDM−RSについては、伝搬路推定部411に向けて出力される。
伝搬路推定部411では、入力された既知参照信号であるCRSおよびDM−RSに基づいて伝搬路推定が行なわれる。各端末装置宛の既知参照信号系列はそれぞれ直交するように基地局装置より送信されている。はじめにCRSを用いた伝搬路推定について説明する。CRSは、プリコーディングを適用されずに送信されているため、式(1)で表されている伝搬路行列H(k)のうち、各端末装置に対応する成分(例えば第u端末装置であればH(k)のうちの第u行成分)を推定することが可能である。CRSが無線リソースに対して間引かれて多重されている場合、全てのサブキャリアの伝搬路情報を推定することは出来ないが、標本化定理を満たすように時間方向、および周波数方向に適切にCRSを多重することで、適切な補間により全てのサブキャリアの伝搬路情報を推定することが可能である。具体的な伝搬路推定方法については、特に限定しないが、例えば二次元MMSE伝搬路推定を用いることが考えられる。
CRSにより推定された伝搬路情報はフィードバック情報生成部413に入力される。フィードバック情報生成部413では、各端末装置がフィードバックする伝搬路情報形式に応じて、基地局装置にフィードバックする情報を生成する。本発明においては、伝搬路情報形式については何かに限定されるものではない。例えば、推定された伝搬路情報について、有限ビット数にて量子化を行ない、その量子化情報をフィードバックする方法が考えられる。フィードバック情報生成部413で生成された情報は、無線送信部415に入力され、基地局装置に向けて通知される。なお、本実施形態においては、式(1)で与えられる伝搬路行列を基地局装置が把握できるようなフィードバックを行なうことを想定しているが、各端末装置で推定された伝搬路行列の相関行列をフィードバックするように制御しても良い。また、伝搬路情報に加えて、受信品質に関連付けられた制御情報(例えば、LTEにおけるChannel quality indicator(CQI))や、送信アンテナ間の伝搬路の空間相関に関連付けられた制御情報(例えば、送信アンテナ間の空間相関係数)を併せて通知するように制御しても良い。この場合、通知された情報は、プリコーディング部109における生き残り数Mの決定の際にも用いることが可能である。
次いで、DM−RSを用いた伝搬路推定について説明する。DM−RSはCRSとは異なり、一部のプリコーディングが施されて送信されているため、DM−RSを用いることで、プリコーディングされたデータ信号を復調するために伝搬路情報を得ることができる。具体的には、第u端末装置の場合、伝搬路行列H(k)に線形フィルタW(k)が乗算され、さらに電力正規化係数β(k)が乗算された行列β(k)H(k)W(k)の第u行u列成分を推定することが可能である。なお、CRSと同様にDM−RSも無線リソースに対して間引かれて多重される場合があるが、適切な補間により全てのサブキャリア成分に関して復調用の情報を得ることが可能である。なお、DM−RSによって得られた情報は伝搬路補償部417に入力されることになる。
参照信号分離部409出力のうち、データ信号成分と、伝搬路推定部411出力のうち、DM−RSによって得られた伝搬路情報は伝搬路補償部417に入力される。伝搬路補償部417ではデータ信号成分に対してチャネル等化処理が行なわれる。データ信号成分{R(k);k=1〜N(ただし、参照信号成分は除く)}は式(13)で与えられる。
Figure 0005804594
ここで、h(k)はH(k)の第u行成分、w(k)はW(k)の第u列成分を表す。G(k)は残留IUIを表す。残留IUIは例えば線形フィルタがZF規範に基づく場合は0となる。N(k)は雑音である。以降では、簡単のため、G(k)およびN(k)は省略して記述する。
伝搬路補償部417では初めに、R(k)を等価伝搬路利得H^(k)で除算する。すなわち、R(k)/H^(k)=(d+2δz)である。等価伝搬路利得H^(k)は伝搬路推定部411においてDM−RSによって推定される情報であり、伝搬路推定部411より伝搬路補償部417に入力される。その後、{R(k)/H^(k)}に対して、式(14)で示すmodulo幅2δのmodulo演算が施され、軟判定値系列{S(k)}が出力される。
Figure 0005804594
modulo演算は入力に対して、出力の実部と虚部の大きさをそれぞれ−δより大きく、δより小さくするものであるから、残留IUIおよび雑音の電力が十分に小さい場合、z(k)+zr,u(k)≒0となるため、摂動項の影響を取り除くことができる。
伝搬路補償部417出力はその後P/S変換部419に入力され、並列直列変換が施される。P/S変換部419出力は、その後、データ復調部421およびチャネル復号部423に入力され、データ復調とチャネル復号が行なわれる。なお、チャネル復号部423において行なわれる対数尤度比(LLR)の算出方法によっては、伝搬路補償部417で行なわれるmodulo演算は行なわなくても良い。
本実施形態においては、OFDM信号伝送を仮定し、プリコーディングはサブキャリア毎に行なうことを仮定したが、伝送方式(もしくはアクセス方式)やプリコーディングの適用単位に制限は無い。例えば、複数サブキャリアを一纏めとしたリソースブロック毎にプリコーディングが行なわれた場合も本実施形態は適用可能であり、同様に、シングルキャリアベースのアクセス方式(例えばシングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC-FDMA)方式など)にも適用することも可能である。
以上、説明してきた方法により、VPを用いる下りリンクMU−MIMO伝送において、伝送特性の劣化を最小限に抑えながら、演算量の大幅な削減を実現できる。多重端末装置数が増加しても、演算量の増加は指数関数的な増加ではなく、多項式的な増加に留まるため、多重端末装置数の大幅な増加が実現可能となり、周波数利用効率の改善に寄与できる。
[2.第2の実施形態]
第1の実施形態においては、VPの演算量削減を実現する摂動ベクトル探査方法について明らかにした。第1の実施形態における伝送特性は、各ステージの摂動項候補の生き残り数Mに大きく依存する。良好な伝送特性を得るためにはMの値を大きくすれば良いが、演算量はMの値に比例して増加してしまう。第2の実施形態においては、伝送特性を低下させることなく、Mの値を小さくできる方法を開示する。基地局装置構成、アンテナ部111構成および端末装置構成は第1の実施形態と同様であり、異なるのは、プリコーディング部501の構成と信号処理となる。以下では、第2の実施形態に係るプリコーディング部501の構成と信号処理についてのみ説明することとする。
[2.1 プリコーディング装置]
図7は、本発明の第2の実施形態に係るプリコーディング部501の装置構成を示すブロック図である。図7に示すように、プリコーディング部501は、線形フィルタ生成部301と、信号変換部303と、摂動ベクトル探査部305と、送信信号生成部307と、伝搬路行列変換部503とを含んで構成されている。プリコーディング部501には、各端末装置宛の送信データに関するS/P変換部107出力の第kサブキャリア成分{d(k);u=1〜U}と、CSI取得部115出力の第kサブキャリアの伝搬路行列H(k)が入力される。H(k)は上述したCRSに基づき、端末装置にて推定され、基地局装置に通知される。以下の説明では、H(k)は理想的にCSI取得部115にて取得されるものとし、簡単のため、インデックスkは省略して記述する。
プリコーディング部501では、CSI取得部115より入力される伝搬路行列Hに対して、初めに伝搬路行列変換部503において、行列変換処理が行なわれる。行列変換処理は摂動ベクトルの探査における生き残り数Mを小さくするためのものである。
VPにおいて最小化すべき数式は式(5)で与えられており、プリコーディング部109における信号処理の説明でも記述したように、摂動項の候補はzに対する候補からリストアップされていくことになる。ここで、zに対する候補は以降の全てのステージのメトリックの計算に用いられることとなるため、以降のステージの摂動項候補と比較して、全体の送信電力に与える影響が大きい。そこで、zについては、できるだけ信頼度が高い候補を選択することが重要となる。そのためには、式(5)において下三角行列Lの第1行1列成分L1,1が可能な限り大きいことが望ましい。L1,1を大きくする方法の一つして、伝搬路行列Hに対するオーダリングが考えられる。
オーダリングとは、伝搬路行列の各行を入れ替えることを意味しており、一般に順列行列Πの乗算により実現可能である。すなわち、伝搬路行列変換部503では、入力された伝搬路行列Hに対して、順列行列Πが乗算された行列ΠHを新たな伝搬路行列Hとして出力する信号処理が行なわれる事になる。適切な順列行列Πの算出方法については、最適な方法としては、伝搬路行列HがU行N列の行列である場合に、選択可能な順列行列は全部でU!個存在するから、その全てについて行列ΠHのコレスキー分解行列Lを計算し、最もL1,1を大きくできるものを選択すれば良い。しかし、この方法では、演算量が膨大となるため、BLAST方式や、ソート付きQR分解に基づく方法により順列行列を求めても良い。
適切な順列行列Πが算出されたのち、ΠHを伝搬路行列、送信シンボルベクトルdにΠが乗算されたΠdを新たに送信シンボルベクトルと見なして、他の構成装置において信号処理を行なえば良い。伝搬路行列変換部503以外の構成装置における信号処理については、伝搬路行列Hと送信シンボルベクトルdを上記のように更新する以外は、プリコーディング部109と全く一緒であるため、説明は省略する。
行列変換の方法として、オーダリングではなく、格子基底縮小技術を用いる方法も考えられる。格子基底縮小技術は与えられた行列Hに対して、unimodular行列Tを乗算することで、より直交性の高い行列を得る行列変換技術である。直交性の高い行列であれば、直交性の低い行列と比較して、三角行列の対角成分が大きくなり、結果として第1行1列成分の値もまた、大きくすることが可能となる。unimodular行列とは、構成要素が全てガウス整数であり、行列式が1もしくは−1となる行列である。適切なunimodular行列の算出方法としては何かに限定されるものではないが、良く知られているLLLアルゴリズムに基づく方法が考えられる。以下では、線形フィルタとしてZF規範に基づく線形フィルタ(すなわちW=H−1)が用いられるものとして説明する。
初めに、伝搬路行列変換部503では、伝搬路行列Hの逆行列H−1に対して、LLLアルゴリズムを適用し、より直交性の高い逆行列G−1を算出する。ここでLLLアルゴリズムの出力はG−1=H−1Tとなるから、G=T−1Hとなる。ここで、T−1はやはりunimodular行列となるから、T−1をTに置き換えて表現することとする(すなわちG=TH)。伝搬路行列変換部503からはTHを新たな伝搬路行列として出力される事となり、他の構成装置では、THを伝搬路行列と見なした信号処理が行なわれる事になる。一方、送信信号ベクトルdについてもTが乗算されたTdを新たな送信信号ベクトルと見なすが、更に、Tdに対して、modulo幅2δのmodulo演算を施したものを送信信号ベクトルと見なす。格子基底縮小技術を用いる場合でも、伝搬路行列変換部503以外の構成装置における信号処理については、伝搬路行列Hと送信シンボルベクトルdを上記のように更新する以外は、プリコーディング部109と全く一緒であるため、説明は省略する。
なお、前述したオーダリング適用時に算出される順列行列もunimodular行列の一種である。よって、伝搬路行列変換部503では、任意のunimodular行列により行列変換を行なっても良い。例えば、複数のunimodlar行列を予めコードブック等に纏めておき、そのうち、最も伝搬路の直交性を高められるunimodular行列を用いるように制御しても良い。また、上述した方法によっても、第1ステージの摂動項候補に対する信頼性が向上しない場合、第1ステージを始めとする前半のステージの生き残り数については、後半ステージより大きくしても良い。
以上説明してきたプリコーディングを行なうことで、生き残り数Mを第1の実施形態の方法と比較して小さくすることができるため、演算量を更に削減することが可能となる。
[3.第3の実施形態]
第2の実施形態においては、VPの演算量削減を更に削減するために伝搬路行列に予め行列変換を施すプリコーディングを対象とした。第2の実施形態で対象としてオーダリングや格子基底縮小技術の演算量は、VPの摂動ベクトルの探査と比較すれば少ないものの、端末多重数が増加するに従い、無視できない大きさとなってくる。第3の実施形態においては、無線リソース間の伝搬路行列の相関に着目することで、行列変換に係る演算量を小さくする方法を対象とする。基地局装置構成、アンテナ部111構成および端末装置構成は第1の実施形態と同様であり、異なるのは、プリコーディング部601の構成と信号処理となる。以下では、第3の実施形態に係るプリコーディング部601の構成と信号処理についてのみ説明することとする。
[3.1 プリコーディング装置]
図8は、本発明の第3の実施形態に係るプリコーディング部601の装置構成を示すブロック図である。図8に示すように、プリコーディング部601は、線形フィルタ生成部301と、信号変換部303と、摂動ベクトル探査部305と、送信信号生成部307と、伝搬路行列変換部603とを含んで構成されている。装置構成はプリコーディング部501と同じであるが、プリコーディング部601には、各端末装置宛の送信データに関するS/P変換部107出力の第kサブキャリア成分{d(k);u=1〜U}と、CSI取得部115出力の第kサブキャリアの伝搬路行列H(k)に加えて、他のサブキャリアのプリコーディング部601の伝搬路行列変換部603出力が入力される。H(k)は上述したCRSに基づき、端末装置にて推定され、基地局装置に通知される。一般的な無線通信チャネルにおいては、伝搬路は無線リソース間で相関を有している。例えば、本実施形態で対象としているOFDM伝送の場合、伝搬路の周波数選択性が弱い場合には、第kサブキャリアの伝搬路行列H(k)と第(k+1)サブキャリアの伝搬路行列H(k+1)とは高い相関を有している。第3の実施形態ではこのことに着目している。
伝搬路行列変換部603では、プリコーディング部501における伝搬路行列変換部603における信号処理と同様に、伝搬路行列Hに対して、オーダリング等の行列変換が施されるが、このとき、伝搬路の周波数選択性に応じて、一定数のサブキャリア間では同じ変換行列に基づき行列変換を行なうようにする。例えば伝搬路の周波数選択性が弱い場合には、第1〜12サブキャリアについては第7サブキャリアの伝搬路行列に対してのみunimodular行列Tを計算し、第1〜12サブキャリアついては、そのunimodular行列を常に使うようにすれば良い。また、単純にunimodular行列を使いまわすのではなく、あるサブキャリアにおけるunimoduloar行列の算出は、隣接するサブキャリアで算出されたunimodular行列により変換が施された伝搬路行列に基づいて行なうことで、unimodular行列算出に係る演算量を抑圧するように制御しても良い。
伝搬路が相関を有するのはサブキャリア間だけではなく、端末装置の移動速度が低速である場合には、時間方向すなわち、OFDM信号間でも相関を有する。例えば第kサブキャリアの伝搬路行列の変換行列を求める場合に、連続する7個のOFDM信号のうち、先頭の第1OFDM信号においてのみ、unimodular行列を算出し、以降のOFDM信号の第kサブキャリアのプリコーディング部601において、そのunimodular行列を共用するようにしても良い。また、連続する7個のOFDM信号の連続する12個のサブキャリア、つまり合計で84個のサブキャリアに対して、一つだけunimodular行列を算出し、それを共用しても良い。
また、本発明では、基本的に上りリンクと下りリンクの搬送波周波数が異なる周波数分割複信(FDD)を対象としているが、上下リンクで同じ搬送波周波数を用いる時間分割複信(TDD)でも本発明に基づくVPを用いたMU−MIMOは適用可能である。この場合、本発明で対象としている下りリンクMU−MIMOで同時接続している端末装置が、上りリンクでも同時通信を行なった場合、上りリンク伝送は上りリンクMU−MIMOと呼ばれる伝送方式となる。上りリンクMU−MIMOでは、各端末装置より送信された信号が基地局装置に空間多重された状態で受信されるため、MIMO−SDMと同様の空間分離処理を行なう必要がある。空間分離処理としては、V−BLAST方式やMLD方式が良く知られているが、いずれの技術においても、事前に推定された伝搬路行列に対して、オーダリングや格子基底縮小を施すことで、空間分離精度を向上させることができる。TDDでは、上下リンクの伝搬路には強い相関を有しているから、空間分離処理において用いられた順列行列やunimodular行列を、プリコーディング部601の伝搬路行列変換部603に入力し、その情報に基づいて伝搬路行列変換を行なっても良く、お互いに情報を供与し、プリコーディング、もしくは空間分離に用いても良い。
また、FDDでは、上下リンクで伝搬路の瞬時利得はほぼ無相関となるが、伝搬路の統計的性質(例えば、伝搬路行列の共分散行列)には上下リンク間で強い相関を有しているものもある。本実施形態においては、プリコーディングは伝搬路行列H(k)、すなわち、瞬時の伝搬路利得に基づいて行なわれる事が基本となるが、共分散行列を始めとする伝搬路の統計的性質に基づいてプリコーディングが行なわれる場合には、上りリンクの受信信号より算出される共分散行列に基づいて、行列変換等を行なっても良く、プリコーディング自体を上りリンクの受信信号より算出される共分散行列に基づいて行なっても良い。
第3の実施形態では、伝搬路行列を変換する変換行列を無線リソース間で共用する場合を対象とした。伝搬路の状況に応じて、変換行列を計算すべき回数を削減することが可能となるため、さらに演算量を削減することが可能となる。
<全実施形態共通>
[変形例]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
本発明に関わる移動局装置および基地局装置で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態における移動局装置および基地局装置の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。移動局装置および基地局装置の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
101 チャネル符号化部
103 データ変調部
105 参照信号多重部
107 S/P変換部
109 プリコーディング部
111 アンテナ部
113 制御情報取得部
115 CSI取得部
201 IFFT部
203 GI挿入部
205 無線送信部
207 無線受信部
209 アンテナ
301 線形フィルタ生成部
303 信号変換部
305 摂動ベクトル探査部
307 送信信号生成部
401 アンテナ
403 無線受信部
405 GI除去部
407 FFT部
409 参照信号分離部
411 伝搬路推定部
413 フィードバック情報生成部
415 無線送信部
417 伝搬路補償部
419 P/S変換部
421 データ復調部
423 チャネル復号部
501 プリコーディング部
503 伝搬路行列変換部
601 プリコーディング部
603 伝搬路行列変換部

Claims (12)

  1. 複数のアンテナを備える無線送信装置から、少なくとも一つの無線受信装置へ送信される送信データに予備的処理を行なうプリコーディング装置であって、
    前記各アンテナと前記無線受信装置との間の伝搬路情報に基づいて、線形フィルタを生成する線形フィルタ生成部と、
    送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および前記送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開する信号変換部と、
    前記複素平面上に展開された前記摂動項候補および前記基準信号に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査する摂動ベクトル探査部と、を備え、
    前記送信データベクトルに前記探査された摂動ベクトルを加算し、前記線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出することを特徴とするプリコーディング装置。
  2. 前記基準信号は、他の基準信号に関連付けられた摂動ベクトルの摂動項候補に基づいて算出されることを特徴とする請求項1記載のプリコーディング装置。
  3. 前記伝搬路情報を示す伝搬路行列を、前記線形フィルタに対するQR分解、QL分解またはコレスキー分解のいずれか一つの行列演算に適合した行列に変換する伝搬路行列変換部を更に備え、
    前記信号変換部は、前記変換された伝搬路行列を用いて、前記線形フィルタに対し、前記変換された伝搬路行列に対応する行列演算を実行することを特徴とする請求項2に記載のプリコーディング装置。
  4. 前記伝搬路行列変換部は、前記伝搬路行列に対して、格子基底縮小技術またはオーダリング技術に基づいて算出されたユニモジュラー(unimodular)行列を乗算することを特徴とする請求項3記載のプリコーディング装置。
  5. 前記伝搬路行列変換部は、無線リソースの間で相関が高い場合、前記ユニモジュラー行列に含まれる情報の一部を前記無線リソース間で共用して前記伝搬路行列の変換を行なうことを特徴とする請求項4記載のプリコーディング装置。
  6. 前記摂動ベクトル探査部は、前記複素平面を複数個の区画に分割し、前記基準信号が含まれる区画を特定し、前記特定した区画に含まれる摂動項候補を、前記送信データに加算する摂動項の候補として選択し、前記選択した摂動項の候補に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探索することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のプリコーディング装置。
  7. 前記摂動ベクトル探査部は、前記複素平面を複数個に分割した区画のそれぞれと、前記基準信号が含まれる区画との距離を取得し、前記距離に基づいて、前記複素平面を複数個に分割した区画のそれぞれに含まれる摂動項候補に対して、優先度の順位を決定することを特徴とする、請求項6に記載のプリコーディング装置。
  8. 前記摂動ベクトル探査部は、前記基準信号点に最も近いガウス整数を検出し、前記検出したガウス整数を、大きさで昇順に並んだガウス整数列に加算し、前記加算後のガウス整数列を、前記送信データに加算する摂動項の候補として選択し、前記選択した摂動項の候補に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探索することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のプリコーディング装置。
  9. 前記無線受信装置と前記無線送信装置間の伝搬路の空間相関に関連付けられた情報が、前記無線受信装置より前記無線送信装置に通知され、前記空間相関に関連付けられた情報に基づき、前記送信データに加算される摂動項の候補数を決定することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のプリコーディング装置。
  10. 複数のアンテナを備え、少なくとも一つの無線受信装置と通信を行う無線送信装置であって、
    前記各アンテナと前記無線受信装置との間の伝搬路情報に基づいて、線形フィルタを生成する線形フィルタ生成部と、
    送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および前記送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開する信号変換部と、
    前記複素平面上に展開された前記摂動項候補および前記基準信号に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査する摂動ベクトル探査部と、
    前記送信データベクトルに前記探査された摂動ベクトルを加算し、前記線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出する送信信号生成部と、を備えることを特徴とする無線送信装置。
  11. 複数のアンテナを備える無線送信装置から、少なくとも一つの無線受信装置へ送信される送信データに予備的処理を行なうプリコーディング用プログラムであって、
    前記各アンテナと前記無線受信装置との間の伝搬路情報に基づいて、線形フィルタを生成する処理と、
    送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および前記送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開する処理と、
    前記複素平面上に展開された前記摂動項候補および前記基準信号に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査する処理と、
    前記送信データベクトルに前記探査された摂動ベクトルを加算し、前記線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするプリコーディング用プログラム。
  12. 複数のアンテナを備える無線送信装置に実装されることによって、前記無線送信装置に対し、少なくとも一つの無線受信装置へ送信する送信データに予備的処理を行なうプリコーディング機能を発揮させる集積回路であって、
    前記各アンテナと前記無線受信装置との間の伝搬路情報に基づいて、線形フィルタを生成する機能と、
    送信データベクトルに加算される摂動ベクトルの摂動項候補および前記送信データに関連付けられた基準信号を複素平面上に展開する機能と、
    前記複素平面上に展開された前記摂動項候補および前記基準信号に基づいて、前記送信データベクトルに加算される摂動ベクトルを探査する機能と、
    前記送信データベクトルに前記探査された摂動ベクトルを加算し、前記線形フィルタを乗算して送信信号ベクトルを算出する機能と、の一連の機能を、前記無線送信装置に発揮させることを特徴とする集積回路。
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