JP4708205B2 - 無線通信システムおよび無線通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ひとつの基地局装置が複数の端末局装置と同時に空間多重して通信を行うマルチユーザMIMO(Multiple Input Multiple Output)通信の手法を利用した無線通信システムおよび無線通信方法に関する。
近年、2.4GHz帯または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などの普及が目覚しい。これらのシステムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbpsの伝送速度を実現している。ただし、ここでの伝送速度とは物理レイヤ上での伝送速度であり、実際にはMAC(Medium Access Control)レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値は30Mbps程度である。一方で、有線LANの世界ではEthernetの100Base−Tインタフェースをはじめ、各家庭にも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)が普及し、また100Mbpsの高速回線の提供が普及しており、無線LANの世界においても更なる伝送速度の高速化が求められている。そのための技術としては、MIMO技術が有力である。このMIMO技術とは、送信局装置側において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を空間多重して送信し、受信局装置側において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、各送信アンテナ/受信アンテナ間の伝達関数行列を求め、この行列を用いて送信局装置側の各アンテナから送信した独立な信号を受信側にて推定し、データを再生するものである。
このMIMO通信の究極の形態として、ひとつの基地局装置が複数の端末局装置と同時に空間多重して通信を行うマルチユーザMIMO通信がある。従来のMIMO通信技術は、基地局装置と通信する端末局装置は時分割で棲み分けられ、常に1対1の通信であった。通常、これをシングルユーザMIMO通信と呼ぶ。このシングルユーザMIMO通信では、端末局装置は比較的少数のアンテナを小さな筐体の中に備え、各アンテナ間の相関は非常に強い状況である。この様な状態では、時空間資源を十分に有効活用することはできない。一般には、アンテナ間の距離を離し、アンテナ間の相関を低くすることで高次の空間多重を実現し、且つ、各サブチャネル(MIMO伝送において各信号系列の伝送に用いられる仮想チャネル)のSNRを高く保つことが可能である。
マルチユーザMIMO通信は、ひとつひとつの端末においては空間多重するMIMOチャネル数を少なくする一方、複数の異なる端末と同時に同一周波数チャネルで空間多重を行う。図1に示すように、マルチユーザMIMOシステムが、基地局装置101、端末局装置#1〜#3(102〜104)を備えているとする。このとき、実際にひとつの基地局装置が収容する端末局装置数は多数であるが、その中の数局装置を選び出し(端末局装置#1〜#3:102〜104)通信を行う。各端末局装置は基地局装置と比較して送受信アンテナ数が一般的に少ない。例えば基地局装置から端末局装置方向への通信(ダウンリンク)を行う場合を考える。基地局装置101は多数のアンテナを用いて、複数の指向性ビームを形成する。例えば、各端末局装置102〜104に対してそれぞれ3つのMIMOチャネルを割り当て、全体としては9系統の信号系列を送信する場合を考える。その際、端末局装置102に対して送信する信号は、端末局装置103および端末局装置104方向には指向性利得が極端に低くなるように調整し、この結果として端末局装置103および端末局装置104への干渉を抑制する。同様に、端末局装置103に対して送信する信号は、端末局装置102および端末局装置104方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。同様の処理を端末局装置104にも施す。この様に指向性制御を行う理由は、例えば端末局装置102においては、端末局装置103および端末局装置104で受信した信号の情報を知る術がないため、端末間での協調的な受信処理ができない。つまり、アンテナが3本しかない端末局装置102のみの受信処理において、9系統の全ての信号系列を信号分離することは非常に厳しい。そこで、各端末局装置には他の端末局装置宛の信号が受信されないように、送信側で干渉分離を事前に行う。
次に、指向性ビームの形成方法について、以下に説明を加える。例えば、基地局装置101の第jアンテナと端末局装置102の第1受信アンテナとの間の伝達関数をh1jと表記することにする。基地局装置101のj=1〜9の全てのアンテナに関する伝達関数を用い、行ベクトルhを(h11,h12,h13,…,h18,h19)と表記する。同様に基地局装置101と端末局装置102の第2受信アンテナ、第3受信アンテナの伝達関数をh2jおよびh3jとし、対応する行ベクトルhおよびhを(h21,h22,h23,…,h28,h29)、(h31,h32,h33,…,h38,h39)とする。端末局装置103、端末局装置104の受信アンテナも同様に、行ベクトルh〜hを(h41,h42,h43,…,h48,h49)〜(h91,h92,h93,…,h98,h99)とする。加えて、基地局装置101が送信する9系統の信号をt〜tと表記し、これを成分とする列ベクトルをTx[all]=(t,t,t,…,t,t)と表記する。ここで、右肩のTの文字はベクトル、行列の転置を表す。また同様に、端末局装置102〜104の9本のアンテナでの受信信号をr〜rと表記し、これを成分とする列ベクトルをRx[all]=(r,r,r,…,r,r)と表記する。最後に、行ベクトルh〜hを第1から第9行成分とする行列を、全体伝達関数行列H[all]と表記する。この様に表記した場合、システム全体としては以下の関係式が成り立つ。
Figure 0004708205
ここで、受信側において効率的に信号分離を行えるように、送信局装置側では送信指向性制御を行う。ここでは9行9列の送信ウエイト行列Wを導入し、(式1)を以下のように書き換える。
Figure 0004708205
さらに、送信ウエイト行列Wを列ベクトルw〜wに分解し、W=(w,w,w,…,w,w)と表記すると、以下のように表すことができる。
Figure 0004708205
ここで、例えば6つの行ベクトルh〜hと3つの列ベクトルw〜wの乗算(各成分同士を乗算したものの総和、複素ベクトルの場合は内積とは異なる)が全てゼロになるようにw〜wを選ぶことを考える。同様に、行ベクトルh〜hおよびh〜hと列ベクトルw〜wの積、行ベクトルh〜hと列ベクトルw〜wの積の全てがゼロになるように選ぶことにする。すると、(式3)に示す9行9列の行列は、3行3列の9個の部分行列を用いて表記すると以下のように表すことができる。
Figure 0004708205
ここで、部分行列H[1]、H[2]、H[3]は3行3列の行列であり、またこの数式において「0」と示した部分行列は成分が全てゼロの3行3列の行列である。この様な条件を満たす変換行列Wを選択することで、(式4)は以下の3つの関係式に分解できる。
Figure 0004708205
Figure 0004708205
Figure 0004708205
ここで、Tx[1]=(t,t,t)、Tx[2]=(t,t,t)、Tx[3]=(t,t,t)、Rx[1]=(r,r,r)、Rx[2]=(r,r,r)、Rx[3]=(r,r,r)とした。この様にして、3つのシングルユーザMIMO通信とみなすことができるようになる。以上がマルチユーザMIMOシステムの概要である。
マルチユーザMIMO通信においては、(式3)に示した送信ウエイト行列の算出が必須である。一般の端末局装置の場合には、端末局装置の場所移動や周囲の動きにより、伝搬チャネルは時間的に変動する。シングルユーザMIMO通信の場合にも固有モード伝送のために送信指向性制御を行うことがあるが、1台の送信局装置と1台の受信局装置間のMIMOチャネルのみを考慮して最適化を行えばよかった。例えばシングルユーザMIMO通信では、送信ウエイト行列としてはMIMOチャネルに関する伝達関数行列を対角化するユニタリー行列などが用いられるが、その伝達関数行列のサイズ(行列の行数、列数)は比較的小さく、行列演算も比較的演算量が少なくて済んだ。
しかし、マルチユーザMIMO通信においては、同時に空間多重される端末数の増加に伴い行列のサイズが増大し、行列の対角化をはじめとする各種演算処理の計算量が指数関数的に増大する。一方で、ある端末局装置が静止している場合でも、他の端末局装置に動きがあると、再度、全体での送信ウエイト行列の最適化を行う必要がある。これは、ある端末局装置に対する信号送信が他の端末局装置に対して干渉とならないような指向性制御を行う場合、ひとつの端末局装置に動きがあると、他の端末局装置の送信指向性を全て調整しなおす必要があるからである。
また、多数の端末局装置がひとつの基地局装置の配下にある場合、同時に空間多重できる端末はそれらの全体の端末の中の一部であり、少数である。通信時には、多数の端末から同時に空間多重するのに適した端末の組み合わせを選択する必要があるが、ある端末局装置への送信信号が他の端末局装置に対してどの程度干渉となるかがシステム全体の特性を左右するため、同時に空間多重する端末局装置の組み合わせの選び方が重要である。しかし、その組み合わせの最適解はチャネルの時変動と共に変わるため、逐次、組み合わせの最適化処理を行わなければならない。例えば全体でN局装置の端末局装置があり、その中からM局の装置を選択して空間多重をする場合、その組み合わせは通りとなる。この膨大な組み合わせに対し、それぞれ送信指向性制御の送信ウエイト行列を求め、初めて特性の優劣が評価できるのであるが、前述の様に送信ウエイト行列の演算は容易ではない。したがって、この様に逐次環境が激しく変動する環境では、マルチユーザMIMOにおいて求められる送信指向性制御の負荷は非常に大きくなる。この様に、マルチユーザMIMO通信の運用中における処理・演算量の削減は必須の課題となっている。このための対策として、非特許文献1に示す方式が提案されている。
Jaehak Chung, Chan-Soo Hwang, Kiho Kim and Young Kyun Kim"A Random Beamforming Technique in MIMO Systems Exploiting Multiuser Diversity"IEEE JOURNAL ON SELECTED AREAS IN COMMUNICATIONS, VOL. 21, NO. 5, JUNE 2003
ここで、上述の従来技術において用いられるランダムビームフォーミングの原理は以下の通りである。まず、基地局装置は自局装置のもつアンテナで所定の数の信号系列を空間多重して送信する際の送信ウエイト行列を何らかの手段で定める。例えば、ランダムに選んだ直交ベクトルであったり、ランダムに仮定した伝達関数行列に対して特異値分解を行って得たユニタリー行列でも構わない。この送信ウエイト行列を用いて、(式2)と同様に既知のパターンのチャネル推定用信号を送信する。各端末局装置は、受信した信号をもとにチャネル推定を行い、基地局装置との間の伝達関数行列を取得する。この伝達関数行列をもとに受信指向性形成を行った場合、空間多重された各信号系列を受信した場合の推定SNR(Signal to Noise Ratio:信号対雑音比)を求め、これを基地局装置に対して返送する。基地局装置はこの返送された信号系列毎の推定SNRをもとに、各端末が所望のSNRで信号を受信できるように、空間多重する端末の組み合わせを選択する。この組み合わせに対し、空間多重数や伝送モード(変調方式と誤り訂正の符号化率の組み合わせ)の最適化を行う。
具体的には、例えば基地局装置が4つの信号系列を空間多重して送信するケースを例に取って説明する。ランダムな送信ウエイト行列を用いた際に端末局装置102においては信号系列#1〜信号系列#2の推定SNRは高いが信号系列#3〜信号系列#4の推定SNRは非常に低く、逆に端末局装置103においては信号系列#3〜信号系列#4の推定SNRは高いが信号系列#1〜信号系列#2の推定SNRは非常に低いとする。この場合、端末局装置102宛ての信号を信号系列#1〜信号系列#2に割り当て、端末局装置103宛ての信号を信号系列#3〜信号系列#4に割り当てることで同時に信号を空間多重して送信しても、事前に端末局装置が学習した受信指向性形成のための受信ウエイト行列を用いて信号受信すれば、他局装置宛の信号は抑制できる。実際の基地局装置の判断は、単なる推定SNRではなく、干渉信号の推定SNRを考慮した信号対干渉雑音比SNIR(Signal to Noise Interference Ratio)をもとに推定品質を判断し、決定する。
図7は従来技術における基地局装置の送信処理フローを示す図である。
基地局装置が信号送信にあたり、ランダムな送信ウエイト行列を適宜生成し(S101)、複数の既知のプリアンブル信号を要素とする送信信号ベクトルに送信ウエイト行列を乗算し(S102)、空間多重しながらこれらの信号を送信する(S103)。その後、端末局装置からの推定SNR情報が収容された返信信号を受信し(S104)、これらの報告された推定SNR情報から空間多重可能な端末の組み合わせを検索する(S105)。この結果として空間多重が可能と判断された端末局装置に対し、先の送信ウエイト行列を用いて空間多重しながら信号を送信する(S106)。
図8は従来技術における端末局装置の受信処理フロー(事前処理)を示す図である。
事前処理フローとは、実際の信号を受信する前の処理であり、図7におけるステップS103とステップS104の間に実施される処理に相当する。図8より、まず、端末局装置がランダムな送信ウエイト行列を乗算したプリアンブル信号を受信すると(S111)、チャネル推定により伝達関数行列を取得する(S112)。その後、伝達関数行列の特異値分解を実施する(S113)。この特異値分解によって得られた固有値及び固有ベクトルを用いて推定SNRを算出する(S114)。その後、この推定SNR情報を基地局装置に対して通知する(S115)。
図9は従来技術における端末局装置の受信処理フロー(データ受信処理)を示す図である。
基地局装置では、図7のステップS106によりデータを送信する。端末局装置は、先の図8の事前処理に続けて、基地局装置から送信されるデータの受信処理を図9のように行う。まず信号を受信すると(S121)、図8の事前処理のステップS113にて求めた伝達関数行列を対角化するユニタリー行列を受信信号ベクトルに乗算し(S122)、他局装置宛の信号の抑圧を行う。その後、自局装置宛の信号のチャネル推定を行い(S123)、ここで求めた伝達関数行列を用いて後続するデータの信号検出処理を実施し(S124)、信号検出後の信号を合成してデータを再生し、出力する(S125)。以上が従来技術であるランダムビームフォーミングの概要である。
しかし、このランダムビームフォーミング法では、ランダムに行ったひとつの送信指向性制御に適した端末局装置の組み合わせが存在する場合に利用可能であり、且つ、それらの端末宛の送信データが送信バッファ内に蓄積されていて初めて意味がある。しかし、実際には送信データのある限定された端末局装置の中で、たった一つのランダムな送信ウエイト行列に適した端末局装置が存在する可能性は低い。つまり、このランダムビームフォーミング法は膨大な数の端末局装置が存在し、且つそれぞれに対し送信すべきデータが定常的に存在する場合に有効であるが、現実にはその様な条件は存在しない。したがって、新たなマルチユーザMIMO通信における処理・演算量の削減方法の開発が課題となっている。
そこでこの発明は、マルチユーザMIMO通信の運用中における処理・演算量の削減することができる無線通信システムおよび無線通信方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、1つの第1無線局装置と複数の第2無線局装置により構成され、前記第1無線局装置は複数本のアンテナで構成される第1アンテナ群を備え、前記第2無線局装置は複数本のアンテナで構成される第2アンテナ群を備え、前記第1無線局装置の前記第1アンテナ群および前記複数の第2無線局装置の全てまたはその一部の前記第2アンテナ群により構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムであって、前記第1無線局装置は、前記第1アンテナ群の各アンテナから送信する際に付与する複数の送信ウエイトを成分とする複数種類の送信ウエイトベクトルを記憶する手段と、該送信ウエイトベクトルを該第1無線局装置および前記第2無線局装置の双方で既知であるパターンのチャネル推定用信号に乗算した信号を生成する手段と、複数種類の送信ウエイトベクトルに対応した複数の前記信号を前記第1アンテナ群の各アンテナを介して送信する手段と、その信号を受信した前記第2無線局装置が返送する推定SNRに関する情報を受信する手段と、その受信した情報をもとに複数の前記第2無線局装置との間で同時に空間多重して通信することができる当該第2無線局装置の組み合わせおよびその際に用いるべき送信ウエイト行列を決定する手段と、該決定した、同時に空間多重して通信することができる前記第2無線局装置の組み合わせおよびその際に用いるべき送信ウエイト行列の対応をデータベース化して記録する手段と、該データベース化された情報から、送信すべきデータが存在する第2無線局装置の間で空間多重ができる該第2無線局装置の組み合わせを検索する手段と、空間多重ができる第2無線局装置の組み合わせが検索された場合には、その組み合わせに対応した送信ウエイト行列を用い送信する信号を要素とする送信信号ベクトルに該送信ウエイト行列を乗算する手段と、該乗算結果を前記第1アンテナ群の各アンテナから送信する手段と、を備え、前記第2無線局装置は、前記第1無線局装置より既知であるパターンのチャネル推定用信号に複数の送信ウエイトベクトルを乗算した信号を受信する手段と、該受信信号に対しチャネル推定する手段と、前記第2のアンテナ群の各アンテナ毎の伝達関数を要素とするベクトルすなわち伝達関数ベクトルに対し、該ベクトルの各成分の絶対値のべき乗値ないしはその近似値を全アンテナに対して総和をとる手段と、該総和の値が大きい方からひとつまたは複数の伝達関数ベクトルを選択する手段と、選択された該伝達関数ベクトル毎に、該ベクトル以外の他の伝達関数ベクトルとの内積ないしはその近似値を演算する手段と、該内積値が所定の閾値以下の伝達関数ベクトルの中から、ひとつまたは複数個を内積値の小さい方から選択する手段と、その結果を第1無線局装置に対して通知する手段と、を備えることを特徴とする無線通信システムである。
また本発明は、1つの第1無線局装置と複数の第2無線局装置により構成され、前記第1無線局装置は複数本のアンテナで構成される第1アンテナ群を備え、前記第2無線局装置は複数本のアンテナで構成される第2アンテナ群を備え、前記第1無線局装置の前記第1アンテナ群および前記複数の第2無線局装置の全てまたはその一部の前記第2アンテナ群により構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記第1無線局装置は、前記第1アンテナ群の各アンテナから送信する際に付与する複数の送信ウエイトを成分とする複数種類の送信ウエイトベクトルを該第1無線局装置および前記第2無線局装置の双方で既知であるパターンのチャネル推定用信号に乗算した信号を生成する処理と、複数種類の送信ウエイトベクトルに対応した複数の前記信号を前記第1アンテナ群の各アンテナを介して送信する処理と、その信号を受信した前記第2無線局装置が返送する推定SNRに関する情報を受信する処理と、その受信した情報をもとに複数の前記第2無線局装置との間で同時に空間多重して通信することができる当該第2無線局装置の組み合わせおよびその際に用いるべき送信ウエイト行列を決定する処理と、該決定した、同時に空間多重して通信することができる前記第2無線局装置の組み合わせおよびその際に用いるべき送信ウエイト行列の対応をデータベース化して記録する処理と、該データベース化された情報から、送信すべきデータが存在する第2無線局装置の間で空間多重ができる該第2無線局装置の組み合わせを検索する処理と、空間多重ができる第2無線局装置の組み合わせが検索された場合には、その組み合わせに対応した送信ウエイト行列を用い送信する信号を要素とする送信信号ベクトルに該送信ウエイト行列を乗算する処理と、該乗算結果を前記第1アンテナ群の各アンテナから送信する処理とを実施し、前記第2無線局装置は、前記第1無線局装置より既知であるパターンのチャネル推定用信号に複数の送信ウエイトベクトルを乗算した信号を受信する処理と、該受信信号に対しチャネル推定する処理と、前記第2のアンテナ群の各アンテナ毎の伝達関数を要素とするベクトルすなわち伝達関数ベクトルに対し、該ベクトルの各成分の絶対値のべき乗値ないしはその近似値を全アンテナに対して総和をとる処理と、該総和の値が大きい方からひとつまたは複数の伝達関数ベクトルを選択する処理と、選択された該伝達関数ベクトル毎に、該ベクトル以外の他の伝達関数ベクトルとの内積ないしはその近似値を演算する処理と、該内積値が所定の閾値以下の伝達関数ベクトルの中から、ひとつまたは複数個を内積値の小さい方から選択する処理と、その結果を第1無線局装置に対して通知する処理とを実施することを特徴とする無線通信方法である。
本発明によれば、マルチユーザMIMO通信を行う際の送信指向性制御を行うための送信ウエイト行列を、高次の行列の特異値分解や直交化などの膨大な線形演算を行うことなしに簡易に求めることが可能となる。また、この演算の簡易化技術として提案されていた従来のランダムビームフォーミング技術では、送信ウエイトベクトルの組み合わせである送信ウエイト行列を一方的に基地局装置が決定し、この送信ウエイト行列に適合した端末局装置を検索してマルチユーザMIMO通信を行なうとしていたために、偶然にもその条件に一致している端末局装置が存在し、且つそれらの端末局装置宛てのデータが送信バッファ内に存在する場合にのみ有効であった。しかし、本発明では、ランダムに生成する送信ウエイトベクトルを、端末局装置から返信される情報に応じて自由に組み合わせて利用することが可能となるため、本技術が有効に適用可能な状況の頻度が飛躍的に増大する。その結果として、マルチユーザMIMO通信を安定して有効に利用することが可能となり、周波数資源の効率的な運用が可能となる。
以下、本発明の一実施形態による無線通信システムを図面を参照して説明する。
図1はマルチユーザMIMOによる無線通信システムの構成を示す図である。
この図において、101は基地局装置、102〜104は端末局装置#1〜#3を示す。なお無線通信システムにおいて、実際は1つの基地局装置が収容する端末局装置数は多数であるが、その中の数局装置を選び出し(図では端末局装置#1〜#3:102〜104)通信を行う。各端末局装置は基地局装置と比較して送受信アンテナ数が一般的に少ない。
まず基地局装置101は、多数の異なる送信ウエイトベクトルをデータテーブル内に記憶している。また基地局装置101は、チャネル推定用の所定のプリアンブル信号に、これらの送信ウエイトベクトルを乗算した変換プリアンブル信号も合わせてデータテーブル内に記憶している。例えば、OFDM変調方式を用いたシステムであれば、1シンボルあたりの信号パターンを記録しておく。これらの多数の変換プリアンブル信号は連続的に複数パターンを一括して送信する。例えば、100個の送信ウエイトベクトルを用意している場合には、100OFDMシンボルに渡り一括して信号送信を行う。
各端末局装置102〜104ではこれらの変換プリアンブル信号を全て受信する。変換前のプリアンブル信号のパターンは端末局装置102〜104においても既知であり、既知のパターンを用いて受信アンテナ毎に相関をとり、伝達関数情報を取得する。端末局装置102〜104は、この様にして求めた伝達関数情報を各アンテナに対応した成分とする伝達関数ベクトルを、各送信ウエイトベクトルに対する情報として記憶する。同一の送信ウエイトベクトルに対する変換プリアンブル信号の送信は、通信の間に適宜繰り返し送信される。その都度、伝達関数ベクトルを求めるが、この伝達関数ベクトルは1回の信号受信毎に更新しても良いし、複数回の受信に対して平均化した値としてもよい。また均等な平均化ではなく、忘却係数μ(0<μ<1)を導入し、過去のベクトルVold、新規に取得したベクトルVnewに対し、更新後の伝達関数ベクトルをμVnew+(1−μ)Voldの様に与えても構わない。なお、基地局装置101が用いる送信ウエイトベクトルは、送信する順番やその他の制御情報等により、基地局装置101と端末局装置間102〜104で対応をとることが可能なようにしておく。なお、以上の説明では異なる送信ウエイトベクトルを乗算した変換プリアンブル信号は別々のタイミングで送信するとしていたが、お互いが直交関係にあるパターンであるならば、同時に送信を行っても個別に伝達関数ベクトルを取得可能である。
各端末局装置102〜104は、この様にして求めた複数の伝達関数ベクトルに対し、それぞれの各成分の絶対値ないしは絶対値のべき乗(例えば2乗)の全成分の総和(以降、伝達関数ベクトル絶対値と呼ぶ)を求め、この値が大きくなる方から所定の数だけ伝達関数ベクトルを求める。ここで、この伝達関数ベクトル絶対値は、各伝達関数ベクトルに対する推定SNRに比例する物理量である。また各端末局装置102〜104は、この様にして求めた伝達関数ベクトルに対し、他の伝達関数ベクトルとのベクトル積(内積)をとり、この値が小さくなる伝達関数ベクトルを検索する。ここでは、所定の数だけ小さい方から伝達関数ベクトルを検索する他、所定の閾値以下となる伝達関数ベクトルを検索することとしても良い。なお、閾値は単一である必要は無く、複数段階の閾値を設けても良い。
以上処理の結果を各端末局装置102〜104は基地局装置101に通知する。通知する内容は、単に伝達関数ベクトル絶対値が大きい伝達関数ベクトルの識別番号(例えば、その信号を受信した順番等)と、その伝達関数ベクトルに対して内積値が小さい伝達関数ベクトルの識別番号の組であっても良い。さらには、伝達関数ベクトル絶対値が大きい伝達関数ベクトルの識別番号に加えてその伝達関数ベクトル絶対値を通知したり、各伝達関数ベクトルに対して内積値が小さい伝達関数ベクトルの識別番号に加えてその内積値を通知しても良い。その他、伝達関数ベクトル絶対値を内積値で除算した値(またはその対数値等)であっても良い。以上のそれぞれの値は、値そのものを通知する他、ある程度の刻み幅で階級化しておき、その値が所属する階級値を報告に用いることも出来る。この様に情報の加工を端末局装置102〜104側で行い、この結果を基地局装置に集約することで基地局装置101の処理量を軽減することが出来る。
基地局装置101においては、この結果をもとに効率的な空間多重の組み合わせを求める。例えば、送信ウエイトベクトルを100種類設定したとする。端末局装置101において、100種類の中で1および2番の伝達関数ベクトルの絶対値が大きいとする。1番の伝達関数ベクトルに対し内積値が小さいベクトルが例えば20〜30であったとする。また同様に、2番の伝達関数ベクトルに対し内積値が小さいベクトルが例えば25〜35、また3番の伝達関数ベクトルに対し内積値が小さいベクトルが例えば40〜50、4番の伝達関数ベクトルに対し内積値が小さいベクトルが例えば60〜70であったとする。この場合、例えば基地局装置101がある端末局装置に対して25番から30番のいずれかの送信ウエイトベクトルを用いて信号送信したとしても、それに重畳する形で1番と2番の送信ウエイトベクトルを用いて端末局装置102に対してふたつの信号系列を空間多重することが可能である。
例えば、端末局装置103において、26番と27番の伝達関数ベクトルの伝達関数ベクトル絶対値が大きく、26番と27番の伝達関数ベクトルが1番および2番の伝達関数ベクトルとの内積値が共に小さな値であるならば、1番、2番、26番、27番の送信ウエイトベクトルからなる送信ウエイト行列を用いて4つの信号系列を空間多重し、端末局装置102および端末局装置103に対して同時にマルチユーザMIMO通信を行うことが可能である。補足であるが、例えば端末局装置104において、伝達関数ベクトルの45番及び65番の絶対値が大きな値であるとする。しかし、伝達関数ベクトルの45番ないしは65番と1番および2番との内積が大きければ端末基地局装置104は同時に空間多重するのには適さない。ただし、同一の端末局装置間においては、空間多重する際の伝達関数ベクトルの内積が必ずしも小さくなる必要はない。また、実際の通信時においてはチャネルの時変動により先の送信ウエイトベクトルに対して補正が必要な場合がある。しかし、MIMO通信固有のパスまでは大きく変動することは少ないので、端末局装置の良好な組み合わせパターンまでは変動は小さいものと考えられる。さらには、基地局装置101において、基地局装置101の送信アンテナと端末局装置の受信アンテナの間の伝達関数行列に関する情報が取得可能な場合、送信ウエイト行列の最適解ないしは準最適解は例えば「Quentin H. Spencer, A. Lee Swindlehurst and Martin Haardt, “Zero-Forcing Methods for Downlink Spatial Multiplexing in Multiuser MIMO Channels”, IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, VOL. 52, NO. 2, FEBRUARY 2004」に示す様な方法を用いることで求めることが出来る。
これらの方法は、初期値を出発点として、最小二乗誤差を小さくするような繰り返し処理(イタラティブアプローチ)を用いるのであるが、その初期値として先に求めた送信ウエイトベクトルを利用すると収束速度が速くなり、演算量を減らすことが可能である。
以下、本発明の一実施形態による各種処理フローを順を追って説明する。
図2は本発明の一実施形態による基地局装置の送信信号記憶フローを示す図である。
図2の処理フローにおいては、実際に基地局装置101内部で実施しなくても、全く同様の情報を別途作成し、基地局装置101内のメモリに保存することでも代用が出来るが、従来方式との対比の関係であえて示しておく。まず基地局装置101は、適宜、ランダムな送信ウエイトベクトルを生成する(ステップS1)。ここでの送信ウエイトベクトルは、各成分を全くランダムに与えるものであっても構わないし、その結果生成される指向性がランダムになるように生成されたものであっても構わない。後者の場合には、基地局装置101のアンテナ配列に対して物理的な仮想指向性を仮定し、この指向性を形成するウエイトをアレーアンテナ技術により定めることになる。この送信ウエイトベクトルをチャネル推定用の既知のプリアンブル信号に乗算し、各アンテナから送信すべき信号を生成する(ステップS2)。この生成した信号をメモリに保存する(ステップS3)。以上が事前処理であるが、基地局装置101の製造時に別途作成した信号をメモリに記録しておけばそれでもよい。
図3は本発明の一実施形態による基地局装置の事前処理フローを示す図である。
次に基地局装置101は定期的に、または特に送受信するデータが無く無線帯域に空きがある場合、ないしは新しい端末局装置を新規に収容する際に、メモリ内に記録されている送信ウエイトベクトルが乗算された信号を連続的に送信する(ステップS11)。例えば、100種類の送信ウエイトベクトルのパターンがあるのであれば、100シンボル以上をかけて送信する。もちろん、複数回に分割してこれらを送信しても構わない。この様に送信した信号をもとに、端末局装置が各自でチャネル推定を行い推定SNRを推定した結果を算出し、この情報を基地局装置101に返送した信号を受信する(ステップS12)。この報告された情報をもとに、各端末局装置間の希望送信ウエイトベクトルと、その際にペアにしても干渉とならない送信ウエイトベクトルの組み合わせとして、複数端末局装置間で全てが両立する組み合わせを検索する(ステップS13)。選択された組み合わせに対し、その送信ウエイトベクトルにより構成される(各行ベクトルが送信ウエイトベクトルである)送信ウエイト行列を生成する(ステップS14)。これらの組み合わせは一つの端末局装置につき一つの組み合わせだけではなく、複数の組み合わせに所属するようにデータベース化して記憶する(ステップS15)。実際のデータの送信にあたっては、このデータベース化された情報を参照し、空間多重する端末局装置の組み合わせと送信ウエイト行列を決定する。
図4は本発明の一実施形態による基地局装置の送信処理フローを示す図である。
実際にデータを送信する際には、基地局装置101は送信すべきデータが存在する端末局装置の中で、空間多重することが可能な組み合わせがあるか否かを検索する(ステップS21)。そして基地局装置101は、組み合わせが存在するか否かを条件判断し(ステップS22)、組み合わせがある場合にはその組み合わせ及びその組み合わせに対応した送信ウエイト行列を用い、送信信号ベクトルにその送信ウエイト行列を乗算して信号を送信し(ステップS23)、マルチユーザMIMO通信を実現する。また基地局装置101はステップS22の判断において組み合わせがない場合には、単独の端末局装置との間でのシングルユーザMIMO通信となるが、その端末局装置にとって推定SNRが高い送信ウエイトベクトルを用いて送信信号に乗算し、信号を送信する(ステップS24)。以上が基地局装置側における処理である。端末局装置側においては、図3で示した基地局装置101のステップS11とステップS12との間に行われる事前処理と、図4で示した基地局装置101のステップS23(またはステップS24)の処理の後に対応するデータ受信処理を実施する。
図5は本発明の一実施形態による端末局装置の受信処理フロー(事前処理)を示す図である。
端末局装置102〜104は、基地局装置101の上記ステップS11の処理により信号が送信されると、そのランダムな送信ウエイトベクトルが乗算された多数のプリアンブル信号を受信し(ステップS31)、それぞれの信号毎に個別にチャネル推定により伝達関数ベクトルを取得する(ステップS32)。そして伝達関数ベクトルから推定SNRを算出する。ここでの推定SNRとは、例えば伝達関数ベクトルの各成分の絶対値のべき乗値の総和、ないしはその近似値によって与えられる。受信した全ての送信ウエイトベクトル毎の推定SNR値を求め(ステップS33)、この中から推定SNR値が大きい伝達関数ベクトルを検索する(ステップS34)。ここでは、所定の数だけ推定SNR値が大きい方から選択したり、閾値以上の伝達関数ベクトルを選択したりする。
この様にして選択された伝達関数ベクトルに対し、他の伝達関数ベクトルとの内積を求め(ステップS35)、この内積値が小さくなる伝達関数ベクトルの組み合わせを検索する(ステップS36)。ここでも、所定の数だけ内積値が小さい方から選択したり、閾値以下の伝達関数ベクトルを選択したりする。この様な組み合わせ結果の情報を、基地局に対して通知する(ステップS37)。ステップS37で通知する内容の詳細は、推定SNR値や内積値の全ての値を含んでいたり、これらの値を階級化し、どの階級に所属するかの値であっても構わない。また、具体的な推定SNR値や内積値の情報を省略し、単なる組み合わせ情報として、例えばステップS34で選択された伝達関数ベクトルと、ステップS36で選択された伝達関数ベクトルとの内積値が小さくなると判断された伝達関数ベクトルとの組み合わせ情報(実際には、各伝達関数ベクトルの識別番号の組み合わせ情報等)だけであっても構わない。また、それらの中間として、組み合わせ情報に付加する形で、具体的な推定SNR値や内積値の全体の情報の一部のみを収容しても構わない。
なお、報告される組み合わせにおいて、良好な推定SNRを示す伝達関数ベクトルに対しては内積値が大きくなる一方、この伝達関数ベクトルと組合される(内積値が小さい)伝達関数ベクトルとの内積は小さいような受信ウエイトベクトルを算出しておき、これをデータの受信処理の中で利用することも可能である。
図6は、本発明の一実施形態による端末局装置の受信処理フロー(データ受信処理)を示す図である。
これは、図5で示した事前処理の結果を受けて、基地局装置101が図3及び図4で示した処理によりユーザデータを含む信号を送信した際の端末局装置102〜104側の受信処理である。
まず端末局装置102〜104はそれぞれ信号を受信すると(ステップS41)、各信号系列のMIMOチャネル推定を行う(ステップS42)。ここでのチャネル推定は、少なくとも自端末局装置宛の信号系列については全て行う。一方、他端末局装置宛に関しては、可能であればチャネル推定を行い、他端末局装置宛の信号の干渉抑制のための受信ウエイト行列を算出する(ステップS43)。基地局装置101から空間多重の際に用いた送信ウエイト行列における送信ウエイトベクトルの情報が通知されている場合には、この情報をもとに受信ウエイト行列を選択しても構わない。この様な受信ウエイト行列を受信信号ベクトルに乗算し(ステップS44)、その結果の信号をもとに信号検出処理を行う(ステップS45)。その後、信号検出された信号を合成し、データを再生の後出力する(ステップS46)。
以上の実施形態を説明するため、各種パラメータを特定の条件に仮定して説明を行ったが、当然ながらその他の一般的なパラメータによって実施可能である。すなわち、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することが出来る。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明によれば、マルチユーザMIMO通信を行う際の送信指向性制御を行うための送信ウエイト行列を、高次の行列の特異値分解や送信ウエイトベクトルの直交化などの膨大な線形演算を行うことなしに簡易に求めることが可能となる。つまり、マルチユーザMIMO通信における処理・演算量の削減を行うことができる。また、この演算の簡易化技術として提案されていた従来のランダムビームフォーミング技術では、送信ウエイトベクトルの組み合わせである送信ウエイト行列を一方的に基地局装置が決定し、この送信ウエイト行列に適合した端末局装置を検索してマルチユーザMIMO通信を行なうとしていたために、偶然にもその条件に一致している端末局装置が存在し、且つそれらの端末局装置宛てのデータが送信バッファ内に存在する場合にのみ有効であった。しかし、本発明では、ランダムに生成する送信ウエイトベクトルを、端末局装置から返信される情報に応じて自由に組み合わせて利用することが可能となるため、本技術が有効に適用可能な状況の頻度が飛躍的に増大する。その結果として、マルチユーザMIMO通信を安定して有効に利用することが可能となり、周波数資源の効率的な運用が可能となる。
なお上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有していても構わない。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われることも可能である。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
マルチユーザMIMOにようる無線通信システムの構成を示す図である。 基地局装置の送信信号記憶フローを示すである。 基地局装置の事前処理フローを示す図である。 基地局装置の送信処理フローを示す図である。 端末局装置の受信処理フロー(事前処理)を示す図である。 端末局装置の受信処理フロー(データ受信処理)を示す図である。 従来技術における基地局装置の送信処理フローを示す図である。 従来技術における端末局装置の受信処理フロー(事前処理)を示す図である。 従来技術における端末局装置の受信処理フロー(データ受信処理)を示す図である。
符号の説明
101・・・基地局装置
102〜104・・・端末局装置

Claims (2)

  1. 1つの第1無線局装置と複数の第2無線局装置により構成され、前記第1無線局装置は複数本のアンテナで構成される第1アンテナ群を備え、前記第2無線局装置は複数本のアンテナで構成される第2アンテナ群を備え、前記第1無線局装置の前記第1アンテナ群および前記複数の第2無線局装置の全てまたはその一部の前記第2アンテナ群により構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムであって、
    前記第1無線局装置は、
    前記第1アンテナ群の各アンテナから送信する際に付与する複数の送信ウエイトを成分とする複数種類の送信ウエイトベクトルを記憶する手段と、
    該送信ウエイトベクトルを該第1無線局装置および前記第2無線局装置の双方で既知であるパターンのチャネル推定用信号に乗算した信号を生成する手段と、
    複数種類の送信ウエイトベクトルに対応した複数の前記信号を前記第1アンテナ群の各アンテナを介して送信する手段と、
    その信号を受信した前記第2無線局装置が返送する推定SNRに関する情報を受信する手段と、
    その受信した情報をもとに複数の前記第2無線局装置との間で同時に空間多重して通信することができる当該第2無線局装置の組み合わせおよびその際に用いるべき送信ウエイト行列を決定する手段と、
    決定した、同時に空間多重して通信することができる前記第2無線局装置の組み合わせおよびその際に用いるべき送信ウエイト行列の対応をデータベース化して記録する手段と、
    該データベース化された情報から、送信すべきデータが存在する第2無線局装置の間で空間多重ができる該第2無線局装置の組み合わせを検索する手段と、
    空間多重ができる第2無線局装置の組み合わせが検索された場合には、その組み合わせに対応した送信ウエイト行列を用い送信する信号を要素とする送信信号ベクトルに該送信ウエイト行列を乗算する手段と、
    該乗算結果を前記第1アンテナ群の各アンテナから送信する手段と、を備え、
    前記第2無線局装置は、
    前記第1無線局装置より既知であるパターンのチャネル推定用信号に複数の送信ウエイトベクトルを乗算した信号を受信する手段と、
    該受信信号に対しチャネル推定する手段と、
    前記第2のアンテナ群の各アンテナ毎の伝達関数を要素とするベクトルすなわち伝達関数ベクトルに対し、該ベクトルの各成分の絶対値のべき乗値ないしはその近似値を全アンテナに対して総和をとる手段と、
    該総和の値が大きい方からひとつまたは複数の伝達関数ベクトルを選択する手段と、
    選択された該伝達関数ベクトル毎に、該ベクトル以外の他の伝達関数ベクトルとの内積ないしはその近似値を演算する手段と、
    該内積値が所定の閾値以下の伝達関数ベクトルの中から、ひとつまたは複数個を内積値の小さい方から選択する手段と、
    その結果を第1無線局装置に対して通知する手段と、を備える
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 1つの第1無線局装置と複数の第2無線局装置により構成され、前記第1無線局装置は複数本のアンテナで構成される第1アンテナ群を備え、前記第2無線局装置は複数本のアンテナで構成される第2アンテナ群を備え、前記第1無線局装置の前記第1アンテナ群および前記複数の第2無線局装置の全てまたはその一部の前記第2アンテナ群により構成されるMIMO(Multiple Input Multiple Output)チャネルを介して複数の信号系統を同一周波数チャネルおよび同一時刻に空間多重してMIMO通信する無線通信システムにおける無線通信方法であって、
    前記第1無線局装置は、
    前記第1アンテナ群の各アンテナから送信する際に付与する複数の送信ウエイトを成分とする複数種類の送信ウエイトベクトルを該第1無線局装置および前記第2無線局装置の双方で既知であるパターンのチャネル推定用信号に乗算した信号を生成する処理と、
    複数種類の送信ウエイトベクトルに対応した複数の前記信号を前記第1アンテナ群の各アンテナを介して送信する処理と、
    その信号を受信した前記第2無線局装置が返送する推定SNRに関する情報を受信する処理と、
    その受信した情報をもとに複数の前記第2無線局装置との間で同時に空間多重して通信することができる当該第2無線局装置の組み合わせおよびその際に用いるべき送信ウエイト行列を決定する処理と、
    決定した、同時に空間多重して通信することができる前記第2無線局装置の組み合わせおよびその際に用いるべき送信ウエイト行列の対応をデータベース化して記録する処理と、
    該データベース化された情報から、送信すべきデータが存在する第2無線局装置の間で空間多重ができる該第2無線局装置の組み合わせを検索する処理と、
    空間多重ができる第2無線局装置の組み合わせが検索された場合には、その組み合わせに対応した送信ウエイト行列を用い送信する信号を要素とする送信信号ベクトルに該送信ウエイト行列を乗算する処理と、
    該乗算結果を前記第1アンテナ群の各アンテナから送信する処理とを実施し、
    前記第2無線局装置は、
    前記第1無線局装置より既知であるパターンのチャネル推定用信号に複数の送信ウエイトベクトルを乗算した信号を受信する処理と、
    該受信信号に対しチャネル推定する処理と、
    前記第2のアンテナ群の各アンテナ毎の伝達関数を要素とするベクトルすなわち伝達関数ベクトルに対し、該ベクトルの各成分の絶対値のべき乗値ないしはその近似値を全アンテナに対して総和をとる処理と、
    該総和の値が大きい方からひとつまたは複数の伝達関数ベクトルを選択する処理と、
    選択された該伝達関数ベクトル毎に、該ベクトル以外の他の伝達関数ベクトルとの内積ないしはその近似値を演算する処理と、
    該内積値が所定の閾値以下の伝達関数ベクトルの中から、ひとつまたは複数個を内積値の小さい方から選択する処理と、
    その結果を第1無線局装置に対して通知する処理とを実施する
    ことを特徴とする無線通信方法。
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