JP4503540B2 - 無線通信システムの基地局装置およびその無線通信方法 - Google Patents

無線通信システムの基地局装置およびその無線通信方法 Download PDF

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Description

本発明は、基地局装置が複数のアンテナを用いて端末局装置へ送信する信号の指向性を変化させ、端末局装置へ信号を伝送する無線通信システムの基地局装置およびその無線通信方法関する。
近年、2.4GHz帯または5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格などの普及が目覚しい。これらのシステムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、最大で54Mbpsの伝送速度を実現している。ただし、ここでの伝送速度とは物理レイヤ上での伝送速度であり、実際にはMAC(Medium Access Control )レイヤでの伝送効率が50〜70%程度であるため、実際のスループットの上限値は30Mbps程度である。一方で、有線LANの世界ではEthernet(登録商標)の100Base−Tインタフェースをはじめ、各家庭にも光ファイバを用いたFTTH(Fiber to the home)の普及から、100Mbpsの高速回線の提供が普及しており、無線LANの世界においても更なる伝送速度の高速化が求められている。
そのための技術としては、MIMO技術が有力である。このMIMO技術とは、送信局装置側(基地局装置側:BS)において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を送信し、受信局装置側(端末局装置側:MS)において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、各送信アンテナ/受信アンテナ間の伝達関数行列を求め、この行列を用いて送信局装置側で各アンテナから送信した独立な信号を推定し、データを再生するものである。
ここで、N本の送信アンテナを用いてN系統の信号を送信し、M本のアンテナを用いて信号を受信する場合を考える。まず、送受信局装置の各アンテナ間にはM×N個の伝送のパスが存在し、第i送信アンテナから送信され第j受信アンテナで受信される場合の伝達関数をhj,iとし、これを第(j,i)成分とするM行N列の行列をHと表記する。さらに、第i送信アンテナからの送信信号をtとし(t,t,t,・・・t)を成分とする列ベクトルをTx、第j受信アンテナでの受信信号をrとし(r,r,r,・・・r)を成分とする列ベクトルをRx、第j受信アンテナの熱雑音をnとし(n,n,n,・・・n)を成分とする列ベクトルをnと表記する。この場合、以下の関係式が成り立つ。
Figure 0004503540
したがって、受信局装置側で受信した信号Rxをもとに、送信信号Txを推定する技術が求められている。このMIMO通信においては、伝搬路の情報を利用して、その伝搬路に対して最適な状況で信号を送信することにより、最も効率的に通信を行うことができる。例えば、特許文献1で示す「無線通信方法、並びに該方法を用いた無線通信システム」等に記載された固有モードSDM(Space Division Multiplexing)方式を用いたMIMO伝送においては、信号の伝送方向のMIMOチャネルの伝達関数行列Hを送信局装置側で取得できた場合に、この伝達関数行列に対応した送信信号の最適化を行う。具体的には、伝達関数行列Hとそのエルミート共役な行列H(右肩の「H」の記号はエルミート共役を表す)の積を対角化可能なユニタリ行列Uを取得し、このユニタリ行列で送信信号を変換して信号を送信する。このユニタリ変換行列Uと伝達関数行列Hの間には以下の関係式が成り立つ。
Figure 0004503540
ここで、右辺の行列Λは対角成分のみが値を持ち、その他の成分がゼロである対角行列である。この様な特徴を持つユニタリ行列Uを列ベクトルTxに作用させて信号を送信することにより、(式1)は以下の様に変換される。
Figure 0004503540
この変換により、送信信号はMIMOチャネル毎に直交化され、受信側での処理において簡易なZF(Zero Forcing)方式を用いた場合であっても、各送信信号をMIMOチャネル毎のSNR特性が良好になるように調整される。また、このユニタリ行列の各列ベクトルは、送信信号である列ベクトルTxを各送信アンテナに分配する際の各アンテナに乗算する係数(以降、「送信ウエイト」と呼ぶ)を与える。この送信ウエイトを用いることで、各MIMOチャネル毎に直交したビーム形成を行い、それぞれのビーム(固有ビーム)に相当するチャネルの利得がその固有ベクトルの固有値となる。したがって、全MIMOチャネルのチャネル容量Cの上限は以下の式で与えられる。
Figure 0004503540
ここでBは帯域幅、Pは第i番のMIMOチャネルの総送信電力、σは雑音電力の分散値を意味する。この式から、どの程度の伝送レートの伝送モード(ここではQPSK, 64QAMなどの変調方式と誤り訂正の符号化率の組み合わせにより規定されるモードを「伝送モード」と定義する)を適用可能か、またさらにどの程度の数のMIMOチャネルを多重化できるかが推定できる。
ちなみに、(式4)の中の送信電力Pは全てのMIMOチャネルに共通の値である必要はなく、また各MIMOチャネル毎に伝送モードを変更しても構わない。一般に、注水定理と呼ばれる手法を用いることでこのPの値を最適化することが可能である。この中で、P=0となるMIMOチャネルが存在した場合、そのチャネルは実際の伝搬には用いずに、他のMIMOチャネルに電力を配分した方が効率的であることを意味している。つまり、MIMOの多重数を元々の上限値よりも少なく設定することになる。この様にして、多重化するMIMOチャネルの最適値を判断することも可能である。
以上の固有モードSDM技術は、送信側で指向性を持った送信ビームを形成し、空間上で多重化する信号を受信側で効率的に信号分離できるようにするものである。ここで、通常のMIMO通信、すなわちひとつの送信局装置とひとつの受信局装置の間で通信を行うをシングルユーザMIMOと呼ぶ。無線LANや携帯電話等を例に見れば、基地局装置はサイズ的に比較的大きく、端末局装置側はポータブルな端末としてサイズは基地局装置よりも大幅に小さい。この様な小型端末の中に、MIMO通信のための複数のアンテナを実装しても、アンテナ間の距離が短く、アンテナ相関が非常に大きくなってしまう。この場合、(式4)における固有値λの値は小さくなる傾向にあり、実際に通信に利用できるMIMOチャネル数はそれほど多くはない。この様なケースにおいて、ひとつひとつの端末との間では空間多重するMIMOチャネル数を少なくする一方、複数の異なる端末と同時に同一周波数チャネルで通信するマルチユーザMIMO通信が有効である。
マルチユーザMIMOシステムが、例えば、基地局装置101、端末局装置102〜104を備えているものとする。このとき実際にひとつの基地局装置が収容する端末局装置数は多数であるが、その中の数局を選び出し(端末局装置102〜104)、通信を行う。各端末局装置は基地局装置と比較して送受信アンテナ数が一般的に少ない。例えば基地局装置から端末局装置方向への通信(ダウンリンク)を行う場合を考える。基地局装置101は多数のアンテナを用いて、複数の指向性ビームを形成する。例えば、各端末局装置102〜104に対してそれぞれ3つのMIMOチャネルを割り当て、全体としては9系統の信号系列を送信する場合を考える。その際、端末局装置102に対して送信する信号は、端末局装置103および端末局装置104方向には指向性利得が極端に低くなるように調整し、この結果として端末局装置103および端末局装置104への干渉を抑制する。同様に、端末局装置103に対して送信する信号は、端末局装置102および端末局装置104方向には指向性利得が極端に低くなるように調整する。同様の処理を端末局装置104にも施す。この様に指向性制御を行う理由は、例えば端末局装置102においては、端末局装置103および端末局装置104で受信した信号の情報を知る術がないため、端末間での協調的な受信処理ができない。つまり、アンテナが3本しかない端末局装置102のみの受信処理において、9系統の全ての信号系列を信号分離することは非常に厳しい。そこで、各端末局装置には他の端末局装置宛の信号が受信されないように、送信側で干渉分離を事前に行う。以上が既存のマルチユーザMIMOシステムの概要である。
次に、指向性ビームの形成方法について、以下に説明を加える。上記マルチユーザMIMOシステムにおいて、端末局装置102の第1受信アンテナと基地局装置101の第jアンテナとの間の伝達関数をh1jと表記することにする。基地局装置101のj=1〜9の全てのアンテナに関する伝達関数を用い、行ベクトルhを(h11,h12,h13,…,h18,h19)と表記する。同様に端末局装置102の第2受信アンテナ、第3受信アンテナと基地局装置101の伝達関数をh2jおよびh3jとし、対応する行ベクトルhおよびhを(h21,h22,h23,…,h28,h29)、(h31,h32,h33,…,h38,h39)とする。端末局装置103、端末局装置104の受信アンテナにも同様の連番をふり、行ベクトルh〜hを(h41,h42,h43,…,h48,h49)〜(h91,h92,h93,…,h98,h99)とする。加えて、基地局装置101が送信する9系統の信号をt〜tと表記し、これを成分とする列ベクトルをTx[all]=(t,t,t,…,t,t)と表記する。ここで、右肩のTの文字はベクトル、行列の転置を表す。また同様に、端末局装置102〜104の9本のアンテナでの受信信号をr〜rと表記し、これを成分とする列ベクトルをRx[all]=(r,r,r,…,r,r)と表記する。最後に、行ベクトルh〜hを第1から第9行成分とする行列を、全体伝達関数行列H[all]と表記する。この様に表記した場合、システム全体としては以下の関係式が成り立つ。
Figure 0004503540
これはシングルユーザMIMOにおける(式1)に対応する。同様に(式3)に示すような送信指向性制御を行うため、9行9列の送信ウエイト行列Wを導入し、(式3)を以下のように書き換える。
Figure 0004503540
さらに、送信ウエイト行列Wを列ベクトルw〜wに分解し、W=(w,w,w,…w,w)と表記すると、以下の様に表せる。
Figure 0004503540
ここで、例えば6つの行ベクトルh〜hと3つの列ベクトルw〜wの乗算(各成分の乗算したものの総和、複素ベクトルの場合は内積とは異なる)が全てゼロになるようにw〜wを選ぶことを考える。同様に、行ベクトルh〜hおよびh〜hと列ベクトルw〜wの積、行ベクトルh〜hと列ベクトルw〜wの積の全てがゼロになるように選ぶことにする。すると、(式7)に示す9行9列の行列は、3行3列の9個の部分行列を用いて表記すると以下のように表すことができる。
Figure 0004503540
ここで、部分行列H[1]、H[2]、H[3]は3行3列の行列であり、この数式においてQで示すものは成分が全てゼロの3行3列の行列である。この様な条件を満たす変換行列Wを選択することで、(式8)は以下の3つの関係式に分解できる。
Figure 0004503540
Figure 0004503540
Figure 0004503540
ここで、Tx[1]=(t,t,t)、Tx[2]=(t,t,t)、Tx[3]=(t,t,t)、Rx[1]=(r,r,r)、Rx[2]=(r,r,r)、Rx[3]=(r,r,r)とした。この様にして、3つのシングルユーザMIMO通信とみなすことができるようになる。
次に、送信ウエイトベクトルw〜wの決定方法の例を以下に説明する。手順としては、端末局装置102に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定し、順次、端末局装置103に対する送信ウエイトベクトルw〜w6、端末局装置104に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定する。まず第1ステップとして、端末局装置における6つの行ベクトルh〜hにより構成される6次元部分空間の6つの基底ベクトルe〜eを求める。求める方法は、グラムシュミットの直交化法の他、様々な方法があるが、ここでは例としてグラムシュミットの直交化法を例に説明する。
まず、ひとつのベクトルhに着目し、この方向で絶対値が1のベクトルを基底ベクトルeとする。
Figure 0004503540
ここで、(h )は同一ベクトルの絶対値の2乗を意味するスカラー量であり、hを規格化することを意味する。次に、ベクトルhに着目し、このベクトルの中からe方向の成分をキャンセルしたベクトルh’を求めた後、さらに規格化する。
Figure 0004503540
Figure 0004503540
Figure 0004503540
Figure 0004503540
ここで(式15)のΣ(i)は、4≦i≦j−1(jは4〜9の整数)の整数iに対する総和を意味する。つまり、既に確定した基底ベクトル方向の成分をキャンセルすることを意味する。この様にして、6つの基底ベクトルe〜eを求めることができる。
次に第2ステップとして、端末局装置102に対する送信ウエイトベクトルw〜wを求める。まず、行ベクトルh〜hから、e〜eにより構成される6次元部分空間の成分をキャンセルする。具体的には以下の式で表せる。
Figure 0004503540
ここで、jは1〜3の整数であり、(式17)のΣ(i)は、4≦i≦9の整数iに対する総和を意味する。この様にして求めたベクトルh’〜h’に対し、適当な直交化処理を行う。簡単のためにここではグラムシュミットの直交化を例として用いるが、その他の方法を用いても良い。グラムシュミットの直交化法は、既に(式12)〜(式16)で説明しているので詳細な説明は省略するが、下記のように求めることができる。
Figure 0004503540
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Figure 0004503540
Figure 0004503540
Figure 0004503540
この様にして求める3次元空間の3つの基底ベクトルeからeを求める。さらに、この基底ベクトルの複素共役ベクトルの転置ベクトル、すなわちエルミート共役なベクトルを求めることで、w=e 、w=e 、W=e として送信ウエイトベクトル(列ベクトル)が求まる。以上の(式12)から(式22)までの処理により、端末局装置102に対する送信ウエイトベクトルw〜wを決定できた。第3ステップとしては同様の処理を端末局装置103および端末局装置104に対しても施し、その結果として全ての送信ウエイトベクトルw〜wが求まる。以上が従来方式における送信ウエイト行列の求め方である。
図4は、従来技術における送信ウエイト行列Wの算出のフローを示す図である。
まず、送信ウエイト行列の算出にあたり、全端末への伝達関数行列Hを取得する(S102)。宛先とする端末に通し番号を付与し、その番号をkと表記した場合、まずkを初期化する(S103)。さらに、kをカウントアップし(S104)、着目しているk=1に対応した端末局装置102に対する部分伝達関数(ここでは便宜上、Hmainと表記)の抽出(S105)と、それ以外の宛先の端末局装置の部分伝達関数行列(ここでは便宜上、Hsubと表記)を抽出(S106)する。
さらに、Hsubの各行ベクトルにより構成される部分空間の直交基底ベクトルを算出し、これを{e}とおく(S107)。次に、(式17)に相当する処理として、着目している端末局装置102に対する部分伝達関数Hmainから処理S107で求めた基底ベクトル{e}に関する成分をキャンセルし、これを行列H〜mainとする(S108)。さらに、(式18)〜(式22)に対応する処理として、行列H〜mainの行ベクトルにより構成される部分空間の直交基底ベクトルを算出し、これを{e}とおく(S109)。その後、{e}の各ベクトルのエルミート共役ベクトル(列ベクトル)として、端末局装置102宛の信号に関する送信ウエイトベクトル{w}を決定する。ここで、全ての宛先の端末局装置の送信ウエイトベクトルを検定済みか否かを判断し(S111)、残りの端末局装置があれば、処理S104から処理S110を繰り返す。もし全ての宛先の端末局装置の送信ウエイトベクトルを検定済みであれば、送信ウエイトベクトル{w}を各列ベクトルとする行列として送信ウエイト行列Wを決定し(S112)、処理を完了する(S113)。
なお、ここまでの説明は全てシングルキャリアのシステムを仮定し、送信ウエイト行列はひとつだけ求めれば良かった。現在、MIMO技術は無線LANなどで注目を集めているが、IEEE802.11a、IEEE802.11gなどの標準規格の無線LANでは、マルチキャリアを用いたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を採用している。OFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、以上の処理を全てのサブキャリアにおいて個別に実施する必要がある。
図5は従来技術における送信局装置側の構成例(シングルキャリアの場合)を示す図である。この図は上述した各種処理を実現するための送信局装置の構成例である。
図5において、111aはデータ分割回路、112a−1〜112a−Lはプリアンブル付与回路、、113a−1〜113a−Lは変調回路、114aは送信信号変換回路、115a−1〜115a−Mは無線部、116a−1〜116a−Mは送受信アンテナ、117aは伝達関数行列取得回路、118aは送信ウエイト算出回路、119aは空間多重条件判断回路を表す。なお、ここでは空間多重する信号系列の総数をL(L>2、Lは整数)とし、無線部(115a−1〜115a−M)及び送受信アンテナ(116a−1〜116a−M)の系統数をMとした。また、送信局装置側の構成としたが、一般には基地局装置及び端末局装置は送信機能および受信機能の双方を備えており、ここで示した図はその中の送信に関する機能のみを抜粋したものとなっている。したがって、受信のための機能はここには明記していない。また、ここではダウンリンクでのマルチユーザMIMOを想定し、送信局装置側とは基地局装置を暗に想定しているが、必ずしも基地局装置である必要はない。
図における無線部(115a−1〜115a−M)及び送受信アンテナ(116a−1〜116a−M)では逐次信号の受信を個別に行う。例えば、送受信アンテナ116a−1にて受信された信号は、無線部115a−1にて周波数変換を施され、所定の処理の後、伝達関数行列取得回路(117a)にて各受信局装置の伝達関数情報を収集する。ここでの伝達関数情報の収集方法については、受信局装置側から伝達関数情報を制御チャネルを用いてフィードバックする方法、伝搬チャネル推定用のプリアンブル信号を送受双方向で適宜交換する方法など、様々な方法が選択可能であり、如何なる方法を用いても構わない。この様にして取得した各受信局装置毎の伝達関数行列の情報は、伝達関数行列取得回路(117a)内にて記録・管理しておく。空間多重条件判断回路(119a)は、信号を送信する際にどの受信局装置を同時に空間多重するか、及びその多重度をどの様に設定するかを管理する。ここで、空間多重する受信局装置と多重度が規定されると、送信ウエイト算出回路(118a)では、先に示した条件に対応する送信ウエイト列ベクトル(w1,w2,w3,…,wMT−1,wMT)を算出する。これらの情報を送信信号変換回路(114a)に入力する。
一方、送信すべきデータがデータ分割回路(111a)に入力されると、空間多重条件判断回路(119a)が判断した空間多重する受信局装置と多重度(全受信局装置でL多重とする)の条件に合わせて、データをL系統に分割する。それぞれの信号はプリアンブル付与回路(112a−1〜112a−L)に入力され、所定のチャネル推定用プリアンブルが付与され、変調回路(113a−1〜113a−L)に入力される。変調回路(113a−1〜113a−L)では所定の変調処理が行われ、この出力が送信信号変換回路(114a)に入力される。ここでは送信ウエイト算出回路(118a)が算出したベクトル群をもとに、変調回路(113a−1〜113a−L)からの出力信号を成分とする送信信号ベクトルに対し、変換行列W=(w,w,w,...,wMT−1,wMT)を乗算させる。この乗算により変換されたM系統の信号は、無線部(115a−1〜115a−M)にて周波数変換され、送受信アンテナ(116a−1〜116a−M)を介して送信される。以上がシングルキャリアの無線システムの例である。
図6はOFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムにおける送信局装置側の従来の構成例を示す図である。
OFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムの場合には、図6に示すように、サブキャリア毎に同様の処理を行うことになる。図6の図5との差分としては、各信号系列はデータ分割回路(111b)にてサブキャリア毎に分割され、各サブキャリアで同様の処理を行う。また、各サブキャリアでプリアンブル付与回路(112a−1〜112a−L)、変調回路(113a−1〜113a−L)、送信信号変換回路(114a)に相当する処理を並列的に実施する。その後、逆フーリエ変換処理をIFFT回路(120a−1〜120a−M)を実施し、無線部(115b−1〜115b−M)、送受信アンテナ(116b−1〜116b−M)を介して送信される。
次に、図7は従来技術における受信局装置の構成例を示す。
ここでは端末局装置が受信局装置となるダウンリンクを想定し説明を行う。この場合、マルチユーザMIMOシステムの場合でも、送信局装置側での送信指向性制御により、他の受信局装置宛の信号が干渉とならないように制御しているため、受信局装置は通常のシングルユーザMIMOと同様に受信処理を行えばよい。ここではひとつの例として、3つのアンテナを備える場合を例にとり説明する。
図7において、121−1〜121−3は受信アンテナ、122−1〜122−3は無線部、123はチャネル推定回路、124は受信信号管理回路、125は伝達関数行列管理回路、126は行列演算回路#1、127は行列演算回路#2、128は硬判定回路、129はデータ合成回路、130はMIMO受信処理部を示す。まず、第1の受信アンテナ121−1から第3の受信アンテナ121−3は、それぞれ個別に受信信号を受信する。無線部122−1〜122−3を経由して、受信した信号はチャネル推定回路123に入力される。送信側で付与して所定のプリアンブル信号の受信状況から、チャネル推定回路123にて第i送信アンテナと第j受信アンテナ間の伝達関数をここで取得する。この様にして取得された伝達関数行列は、伝達関数行列管理回路125にて伝達関数行列Hとして管理される。
行列演算回路#1(126)では、伝達関数行列管理回路125で管理された伝達関数行列Hをもとに、H、HH、(HH)−1、(HH)−1を順次、演算により求める。一方、プリアンブル信号に後続するデータ信号は、1シンボル分づつ受信信号管理回路124に入力される。受信信号管理回路124では、各アンテナの受信信号(r,r,r)を成分とした受信信号ベクトルRxとして一旦管理される。この受信信号ベクトルは、行列演算回路#2(127)にて、行列演算回路#1(126)で求めた(HH)−1と乗算される。この信号は、送信信号ベクトルTxにノイズが乗った信号であるため、硬判定回路(128)にて信号判定がされ、各シンボル毎および各系統の信号はデータ合成回路(129)で合成され、もとのユーザデータが再生され出力される。
なお、以上の説明では簡単のため、行列演算回路#1(126)および行列演算回路#2(127)での処理は、ZF(Zero Forcing)法と呼ばれる簡単なMIMO信号検出法を仮定して説明を行ったが、MMSE(Minimum Mean Square Error)法や、MLD(Maximum Likelihood Detection)法などを用いても構わない。また、ZF法の説明として正方行列以外の伝達関数行列Hを想定し、擬似逆行列(HH)−1を用いる場合について説明したが、伝達関数行列Hが正方行列であれば簡易に伝達関数行列Hの逆行列を用いても構わない。さらに、硬判定回路(128)では硬判定を行うことを仮定していたが、誤り訂正を組み合わせ、軟判定を用いることも可能である。またさらに、OFDM変調方式を用いる場合には、サブキャリア毎に同様の処理を行うことになる。また、以下の説明の都合上、点線で囲んだ領域をMIMO受信処理部と呼ぶことにする。
国際公開第WO2005/055484A1パンフレット
しかしながら、上述の従来技術の送信局装置においては、伝搬環境に変動が生じると、送信指向性による空間分離度が劣化し、伝送品質の劣化をまねく。またドップラー周波数の推定では長時間の観測が必要であり、バースト伝送には向かない。さらに、高速に環境変動による伝送品質の劣化を見積もる必要がある。
そこでこの発明は、高速に環境変動による伝送品質の劣化を見積もることで、伝送品質を改善することのできる無線通信システムの基地局装置およびその無線通信方法に関する。
上記目的を達成するために、本発明は、複数のアンテナを有する基地局装置と少なくとも1素子以上のアンテナを有する端末局装置との間で通信する無線通信システムにおける前記基地局装置であって、前記基地局装置は、端末局装置への送信信号を複数のアンテナを用いて適応的に指向性を形成する1つ以上の適応指向性形成手段と、少なくとも2つ以上の異なった周波数により前記端末局装置と通信した際の、自装置のアンテナと前記端末局装置のアンテナの間の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、前記推定した伝達関数のうち少なくとも2つ以上の異なった前記周波数のそれぞれについて推定した伝達関数に基づいて、前記形成した指向性を用いて前記端末局装置へ通信した場合の伝送品質を推定する伝送品質推定手段と、該伝送品質の推定結果を用いて、前記端末局装置へ送信する変調方式、符号化方式および送信電力を決定する送信方式決定手段と、を備え、前記適応指向性形成手段は、複数のシンボルから構成される入力信号ブロックに対してフーリエ変換を行うフーリエ変換手段と、該フーリエ変換手段の出力の各周波数成分に対して各々指向性を形成する狭帯域指向性形成手段と、該複数の狭帯域指向性形成手段の出力を入力信号として逆フーリエ変換を行う逆フーリエ変換手段と、により構成され、前記伝送品質推定手段は、前記各狭帯域指向性形成手段で指向性を形成した周波数以外の周波数のうち少なくとも1つ以上の周波数に対する伝送品質を推定することを特徴とする基地局装置である。
また本発明は、上記基地局装置において前記伝送品質推定手段は、前記各狭帯域指向性形成手段で指向性を形成した周波数以外の周波数のうち少なくとも1つ以上の周波数に対して推定した伝送品質のうち、最も劣化したものを予測伝送品質として記憶し、前記送信方式決定手段は、該記憶された予測伝送品質に対し、予め定めた所要のビットエラーレートを満たす変調方式、あるいは符号化方式のうち、最大の伝送速度を実現できる変調方式、符号化方式を選択することを特徴とする。
また本発明は、複数のアンテナを有する基地局装置と少なくとも1素子以上のアンテナを有する端末局装置との間で通信する無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記基地局装置が、端末局装置への送信信号を複数のアンテナを用いて適応的に指向性を形成する1つ以上の適応指向性形成処理と、少なくとも2つ以上の異なった周波数により前記端末局装置と通信した際の、自装置のアンテナと前記端末局装置のアンテナの間の伝達関数を推定する伝達関数推定処理と、前記推定した伝達関数のうち少なくとも2つ以上の異なった前記周波数のそれぞれについて推定した伝達関数に基づいて、前記形成した指向性を用いて前記端末局装置へ通信した場合の伝送品質を推定する伝送品質推定処理と、該伝送品質の推定結果を用いて、前記端末局装置へ送信する変調方式、符号化方式および送信電力を決定する送信方式決定処理と、を有し、前記適応指向性形成処理において、複数のシンボルから構成される入力信号ブロックに対してフーリエ変換を行うフーリエ変換処理と、該フーリエ変換処理の出力の各周波数成分に対して各々指向性を形成する狭帯域指向性形成処理と、該複数の狭帯域指向性形成処理の出力を入力信号として逆フーリエ変換を行う逆フーリエ変換処理と、を行い、前記伝送品質推定処理において、前記各狭帯域指向性形成処理で指向性を形成した周波数以外の周波数のうち少なくとも1つ以上の周波数に対する伝送品質を推定することを特徴とする無線通信方法である。
また本発明は、前記伝送品質推定処理において、前記各狭帯域指向性形成処理で指向性を形成した周波数以外の周波数のうち少なくとも1つ以上の周波数に対して推定した伝送品質のうち、最も劣化したものを予測伝送品質として記憶し、前記送信方式決定処理において、該記憶された予測伝送品質に対し、予め定めた所要のビットエラーレートを満たす変調方式、あるいは符号化方式のうち、最大の伝送速度を実現できる変調方式、符号化方式を選択することを特徴とする。
本発明によれば、ドップラー周波数の測定を行なうような長時間の伝搬環境推定は必要なく、瞬時に通信時の伝送品質の劣化を推定することが可能となり、適応変調・符号化を伝搬環境に合わせて適切に選択することが可能となる。また、適応変調・符号化を伝送品質が最悪値となることを基準に行なった場合には、本発明により伝搬環境の最悪状態が推定されているため、予想外の大きな誤りが生じることがなく、安定した通信が実現される。さらに、基地局装置と端末局装置の距離が大きく変動しない場合には、伝搬環境変動の最悪状態はほとんど変動しないため、本発明での適応変調・符号化を適用した場合には、適応変調・符号化を頻繁に変更する必要がなく、トラヒックも安定した伝送となる。
以下、本発明の一実施形態による無線通信システムを図面を参照して説明する。
図1はMIMOの通信方式による無線通信システムの構成を示す図である。
この図において、101は基地局装置、102〜104は端末局装置#1〜#3を示す。なお無線通信システムにおいて、実際は1つの基地局装置101が収容する端末局装置数は多数である。各端末局装置は基地局装置101と比較して送受信アンテナ数が一般的に少ない。
図2は同実施形態による無線通信システムの基地局装置の構成を示すブロック図である。無線通信システムの基地局装置101は、図2に示すように、適応変調・符号化処理部11、伝達関数推定処理部12、伝送品質推定処理部13、変調・符号化制御部14、指向性制御部15、適応指向性形成処理部16、合成処理部17を備えている。
図3は本実施形態による基地局装置の処理フローを示す図である。
次に本実施形態の無線通信システムにおける基地局装置101の処理について順を追って説明する。
まず基地局装置101に端末局装置宛ての送信信号が入力されると、適応変調・符号化処理部11が、送信信号の変調および符号化を行い(ステップS1)、端末局装置と通信する際に用いる空間チャネル数と同数の信号を出力する。ここで変調方式はBPSK、QPSK、8PSK、16QAMなどの変調方式を用いる。また符号化の処理においては、(1)入力信号に対して符号化を行なった後、シリアルパラレル変換を行い、前記空間チャネルと同数の信号を出力する方法や、(2)前記シリアルパラレル変換を行なった後にパラレルに出力された複数の信号系列の各々を独立に符号化して出力する方法や、(3)Space-time-Codingや送信ダイバーシチ用符号化などの時空間符号を用いて入力信号を直接符号化し、空間チャネルと同数の信号系列を生成する方法、などを用いる。いずれの場合も符号化方式及び変調方式は複数の符号化方式から選択できるようにする。変調方式、符号化方式の選択方法については後述する。さらに適応変調・符号化処理部11の各出力信号は、各々適応指向性形成処理部16が指向性形成の処理を行なう(ステップS2)。
ここで適応指向性形成処理部16はそれぞれ、適応変調・符号化処理部11から受付けた入力信号をアンテナ数に分岐し、分岐したそれぞれの信号に対して異なった複素数の重み値を設定することで、指向性形成を行なう。なお、この指向性形成の処理において、まず、各周波数毎に伝達関数推定の処理を行なう伝達関数推定処理部12が送信信号に用いる周波数に応じた伝達関数を指向性制御部15へ通知し、また指向性制御部15が当該伝達関数を適応指向性形成処理部16へ通知する。そして適応指向性形成処理部16は、SINR特性を最大化するMMSEアルゴリズムや、受信レベルを最大化する最大比合成アルゴリズムや、予め記憶した複数種類の重み付け値の組み合わせの中から、SNRまたはSINRなどの伝送特性が最大となるものを選択する選択アルゴリズムと、前記指向性制御部15から通知を受けた伝達関数とを用いて、前記複素数の重み値を決定する。
また各適応指向性形成処理部16は、自装置(基地局装置101)で備える複数のアンテナの一部を用いて指向性形成を行うようにしてもよい。そして各適応指向性形成処理部16は、自装置の各アンテナに対して信号を出力し、また各アンテナ素子の入力端子に接続されている合成処理部17が各適応指向性形成処理部16から受付けた信号を合成して(ステップS3)、アンテナに出力する(ステップS4)。
次に、上述のように信号送信を行う基地局装置101の処理において、適応変調・符号化及び送信電力を決定する処理について詳細に説明する。
まず、伝達関数推定処理部12が、基地局装置101の各アンテナと端末局装置の各アンテナの間の伝達関数推定を行う。伝達関数の推定方法は、基地局装置101の各アンテナから既知のトレーニング信号を送信し、端末局装置の各アンテナにおいてそのトレーニング信号と相関を取ることによって伝達関数を推定し、その結果を端末局装置が基地局装置101へフィードバックする方法や、端末局装置が各アンテナから基地局装置101へ向けて既知のトレーニング信号を送信し、基地局装置101の各アンテナにおいてそのトレーニング信号と相関をとることによって伝達関数を推定する方法の2通りがある。
いずれの伝達関数の推定方法の場合も、各アンテナからのトレーニング信号の送信は、異なったタイミングで送信する方法や、各アンテナから送信するトレーニング信号間で相関がなくなるようにし、基地局装置101で各複数の異なる既知のトレーニング信号系列と各基地局装置のアンテナ受信信号との相関をとる方法がある。また基地局装置で受信した信号に対して、複素数の重み行列を乗算して複数の指向性を形成し、指向性形成後の信号に対してトレーニング信号との相関を求め、求まった相関値に対して、複素数の重み行列の一般化逆行列を乗算することでも求めることが可能である。この方法は伝達関数推定用の信号を送信用の複数の指向性を用いて送信する場合にも適用が可能である。さらに、送受信とも指向性形成を行っている場合には、両方の一般化逆行列を送受の指向性の影響を含めて推定した各トレーニング信号との相関値から求めた伝達関数行列の左右から乗算することで求めることが可能である。
ここで伝達関数行列とは、j番目の指向性(またはアンテナ)により送信したトレーニング信号とi番目の指向性(またはアンテナ)により受信した信号において相関をとった値を、i行j列の要素とする行列である。本発明ではこの伝達関数推定を複数の周波数について行っている。周波数分割多重(FDM)伝送の場合は各周波数チャネルにおいて上記の伝達関数推定方法を用いればよい。
また、帯域を持った信号を送信し、端末局装置の各アンテナにおいて、基地局装置101のアンテナとの間の複素遅延プロファイルを推定し、その結果をフーリエ変換することによって求めることも可能である。この場合、適応指向性形成処理部16がフーリエ変換部と、複数の狭帯域指向性形成部と、逆フーリエ変換部とを備え、フーリエ変換部が複数のシンボルから構成される入力信号ブロックに対してフーリエ変換を行い、狭帯域指向性形成部が該フーリエ変換部の出力の各周波数成分に対して各々指向性を形成し、逆フーリエ変換部が該複数の狭帯域指向性形成部の出力を入力信号として逆フーリエ変換を行う。そして、伝送品質推定処理部13が、各狭帯域指向性形成部で指向性を形成した周波数以外の周波数(実際には通信に使わない周波数)のうち少なくとも1つ以上の周波数に対する伝送品質を推定する。
次に推定した伝達関数をもとに伝送品質推定処理部13が伝送品質の推定を行なう。伝送品質の評価値は、例えばSINRやチャネル容量、誤り率などである。伝送品質推定処理部13は、指向性制御部15から送信時に用いる重み付け値の列ベクトルの入力を受け、また伝達関数推定処理部12から当該処理部によって推定された複数の周波数に対する伝達関数の入力を受付ける。そして伝送品質推定処理部13は次に、指向性制御部15から受付けた重み付け値の列ベクトルを各周波数毎の伝達関数に右側乗算し、さらにその結果生成された列ベクトルの大きさを求めることによって、指向性制御部15で決定した指向性を各周波数に適用した場合に、どのような受信電力で信号を受信できるかを推定する。そして推定した受信電力と、予め設定されている雑音電力とに基づいて、SINRあるいはチャネル容量などの伝送品質を推定する。このようにして算出した各周波数成分の伝送品質のうち、最も劣化した伝送品質、あるいは予め定めた累積確率値の伝送品質を予測伝送品質として記憶する。そして、変調・符号化制御部14はこの伝送品質に対して予め定めた所要のBERを満たす変調方式、符号化方式のうち、最大の伝送速度を実現できる変調方式、符号化方式を選択して、適応変調・符号化処理部11へ通知する。
ここで、伝搬路はマルチパス波が存在すると、伝搬環境の変動が生じやすい。特にマルチパス波が様々な角度から到来する場合には、各到来波の位相が変化することで、基地局装置101における最適な指向性パターンが変動する。一方、強い直接波が存在する環境では、所望の指向性パターンは時間が経過された後でも変化が小さい。この特徴は、周波数方向でも観測することができる。すなわち、ある周波数で最適化した指向性パターンを他の周波数に適用しても伝送品質の劣化が小さい場合には、強い直接波が存在する環境での所望の指向性パターンが安定であると考えられ、環境変動を想定して伝送速度を低下させて伝送する必要はない。逆に周波数ごとに伝送品質が大きく変動する場合には、伝送品質が最も劣化している周波数においては、その伝送品質が時間的な変動があってもほぼ最悪値であると考えることができる。従って、ある指向性パターンに固定して、周波数方向で伝送品質を観測することで、伝達関数を推定する時刻と信号を送信する時刻が異なった場合に生じる、伝送品質の変動の予測が可能となり、環境変動に強い変調方式、符号化方式を決定することが可能となる。
そして本発明を用いることで、ドップラー周波数の測定を行なうような長時間の伝搬環境推定は必要なく、瞬時に通信時の伝送品質の劣化を推定することが可能となり、適応変調・符号化を伝搬環境に合わせて適切に選択することが可能となる。また、適応変調・符号化を伝送品質が最悪値となることを基準に行なった場合には、本発明により伝搬環境の最悪状態が推定されているため、予想外の大きな誤りが生じることがなく、安定した通信が実現される。さらに、基地局装置と端末局装置の距離が大きく変動しない場合には、伝搬環境変動の最悪状態はほとんど変動しないため、本発明での適応変調・符号化を適用した場合には、適応変調・符号化を頻繁に変更する必要がなく、トラヒックも安定した伝送となる。
なお、上述の基地局装置や端末局装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
MIMOの通信方式による無線通信システムの構成を示す図である。 無線通信システムの基地局装置の構成を示すブロック図である。 基地局装置の処理フローを示す図である。 従来技術における送信ウエイト行列Wの算出のフローを示す図である。 従来技術における送信局装置側の構成例を示す図である。 OFDM変調方式を用いるマルチユーザMIMOシステムにおける送信局装置側の従来の構成例を示す図である。 従来技術における受信局装置の構成例を示す。
符号の説明
101・・・基地局装置
102〜104・・・端末局装置
11・・・適応変調・符号化処理部
12・・・伝達関数推定処理部
13・・・伝送品質推定処理部
14・・・変調・符号化制御部
15・・・指向性制御部
16・・・適応指向性形成処理部
17・・・合成処理部

Claims (4)

  1. 複数のアンテナを有する基地局装置と少なくとも1素子以上のアンテナを有する端末局装置との間で通信する無線通信システムにおける前記基地局装置であって、
    前記基地局装置は、
    端末局装置への送信信号を複数のアンテナを用いて適応的に指向性を形成する1つ以上の適応指向性形成手段と、
    少なくとも2つ以上の異なった周波数により前記端末局装置と通信した際の、自装置のアンテナと前記端末局装置のアンテナの間の伝達関数を推定する伝達関数推定手段と、
    前記推定した伝達関数のうち少なくとも2つ以上の異なった前記周波数のそれぞれについて推定した伝達関数に基づいて、前記形成した指向性を用いて前記端末局装置へ通信した場合の伝送品質を推定する伝送品質推定手段と、
    該伝送品質の推定結果を用いて、前記端末局装置へ送信する変調方式、符号化方式および送信電力を決定する送信方式決定手段と、を備え
    前記適応指向性形成手段は、複数のシンボルから構成される入力信号ブロックに対してフーリエ変換を行うフーリエ変換手段と、
    該フーリエ変換手段の出力の各周波数成分に対して各々指向性を形成する狭帯域指向性形成手段と、
    該複数の狭帯域指向性形成手段の出力を入力信号として逆フーリエ変換を行う逆フーリエ変換手段と、により構成され、
    前記伝送品質推定手段は、前記各狭帯域指向性形成手段で指向性を形成した周波数以外の周波数のうち少なくとも1つ以上の周波数に対する伝送品質を推定する
    ことを特徴とする基地局装置。
  2. 前記伝送品質推定手段は、前記各狭帯域指向性形成手段で指向性を形成した周波数以外の周波数のうち少なくとも1つ以上の周波数に対して推定した伝送品質のうち、最も劣化したものを予測伝送品質として記憶し、
    前記送信方式決定手段は、該記憶された予測伝送品質に対し、予め定めた所要のビットエラーレートを満たす変調方式、あるいは符号化方式のうち、最大の伝送速度を実現できる変調方式、符号化方式を選択する
    ことを特徴とする請求項1に記載の基地局装置。
  3. 複数のアンテナを有する基地局装置と少なくとも1素子以上のアンテナを有する端末局装置との間で通信する無線通信システムにおける無線通信方法であって、
    前記基地局装置が、
    端末局装置への送信信号を複数のアンテナを用いて適応的に指向性を形成する1つ以上の適応指向性形成処理と、
    少なくとも2つ以上の異なった周波数により前記端末局装置と通信した際の、自装置のアンテナと前記端末局装置のアンテナの間の伝達関数を推定する伝達関数推定処理と、
    前記推定した伝達関数のうち少なくとも2つ以上の異なった前記周波数のそれぞれについて推定した伝達関数に基づいて、前記形成した指向性を用いて前記端末局装置へ通信した場合の伝送品質を推定する伝送品質推定処理と、
    該伝送品質の推定結果を用いて、前記端末局装置へ送信する変調方式、符号化方式および送信電力を決定する送信方式決定処理と、を有し、
    前記適応指向性形成処理において、
    複数のシンボルから構成される入力信号ブロックに対してフーリエ変換を行うフーリエ変換処理と、
    該フーリエ変換処理の出力の各周波数成分に対して各々指向性を形成する狭帯域指向性形成処理と、
    該複数の狭帯域指向性形成処理の出力を入力信号として逆フーリエ変換を行う逆フーリエ変換処理と、を行い、
    前記伝送品質推定処理において、前記各狭帯域指向性形成処理で指向性を形成した周波数以外の周波数のうち少なくとも1つ以上の周波数に対する伝送品質を推定する
    ことを特徴とする無線通信方法。
  4. 前記伝送品質推定処理において、前記各狭帯域指向性形成処理で指向性を形成した周波数以外の周波数のうち少なくとも1つ以上の周波数に対して推定した伝送品質のうち、最も劣化したものを予測伝送品質として記憶し、
    前記送信方式決定処理において、該記憶された予測伝送品質に対し、予め定めた所要のビットエラーレートを満たす変調方式、あるいは符号化方式のうち、最大の伝送速度を実現できる変調方式、符号化方式を選択する
    ことを特徴とする請求項3に記載の無線通信方法。
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