JP7180514B2 - 無線通信システム、無線通信方法、送信局装置および受信局装置 - Google Patents

無線通信システム、無線通信方法、送信局装置および受信局装置 Download PDF

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Description

本発明は、周波数選択性のフェージングがある通信環境下で広帯域のシングルキャリアMIMO(SC-MIMO(Single Carrier Multiple-Input Multiple-Output))伝送を行う無線通信システムにおいて、時間領域の線形等化器による送信ビーム形成を行う技術に関する。
周波数選択性のフェージングがある通信環境下で広帯域のSC-MIMO伝送を行う場合、通信路特性の時間的な広がりにより生じるシンボル間干渉と、複数のアンテナの空間的な広がりにより生じるストリーム間干渉とを除去する必要がある。そこで、FIR(finite impulse response)型の時間領域の線形等化器(FIRフィルタ)を用いて時間/空間方向に送信ビーム形成を行うことで、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を同時に除去する方法が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。FIRフィルタによる送信ビーム形成では、チャネル推定により得られた伝搬路特性(CIR(channel impulse response))の伝達関数行列の逆行列を送信ウェイト行列とし、送信ウェイト行列の各要素をフィルタタップ係数として時間領域の線形等化器を構成する。
栗山圭太,福園隼人,吉岡正文,立田努,"広帯域シングルキャリアMIMO伝送のためのFIR型送信ビーム形成"信学技報,vol.118,no.435,RCS2018-247,pp.31-36,2019年1月.
ここで、上記従来技術では、式(1)に示すように、伝達関数行列H(z)の逆行列H-1(z)を送信ウェイト行列W(z)として算出する。
Figure 0007180514000001
式(1)において、送信ウェイト行列W(z)は、1/det(H(z))の伝達関数とadj(H(z))の行列との積で表すことができる。なお、det(・)、adj(・)はそれぞれ行列式、随伴行列(adjugate matrix)を表す。また、adjは、エルミート転置を表す随伴行列(adjoint matrix)とは異なる。
ここで、CIRの伝達関数行列H(z)の逆行列を線形等化器の伝達関数に用いる方法では、伝達関数行列の行列式det(H(z))が非最小位相となる場合に送信ウェイト行列W(z)が発散してしまい、時間領域の線形等化器によるシンボル間干渉およびストリーム間干渉の除去を行うことができないという問題がある。
図5は、det(Hz)が最小位相または非最小位相の場合のフィルタタップ係数の一例を示す。図5において、横軸はFIRフィルタの遅延タップ(Z-0,Z-1,Z-2・・・)に対応する時間、縦軸は各遅延タップのフィルタタップ係数に対応する複素利得、をそれぞれ示す。図5(a)は、det(H(z))が最小位相となる場合の各遅延タップの複素利得を示し、図5(b)は、det(H(z))が非最小位相となる場合の各遅延タップの複素利得を示す。
図5(a)において、det(H(z))が最小位相となる場合は、遅延タップの複素利得が徐々に小さくなって収束するので、動作は安定し、FIRフィルタによる等化器の実現が可能である。一方、図5(b)において、det(H(z))が非最小位相となる場合は、遅延タップの複素利得が徐々に大きくなって発散するので、動作は不安定となり、FIRフィルタなどの時間領域の線形等化器での実現は難しい。
本発明は、SC-MIMO伝送においてCIRの伝達関数行列H(z)の行列式が非最小位相となる場合であっても発散しない送信ウェイト行列の算出方式を用いることにより、時間領域の線形等化器を用いてシンボル間干渉およびストリーム間干渉の除去を行うことができる無線通信システム、無線通信方法、送信局装置および受信局装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、送信局装置と受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う無線通信システムにおいて、前記送信局装置は、前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化部と、前記受信局装置が送信するトレーニング信号を受信して伝搬路特性の伝達関数行列を推定する伝搬路特性推定部と、推定された前記伝達関数行列を行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算するフィルタタップ計算部とを備え、前記受信局装置は、伝搬路特性の推定に用いる前記トレーニング信号を生成して前記送信局装置に送信するトレーニング信号生成部を備えることを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、前記送信局装置は、前記送信ウェイト行列のノイマン級数による近似を行えるか否かの条件を判定し、前記条件を満たさない場合には、ノイマン級数による近似とは異なる方法により前記フィルタタップ計算部に前記フィルタタップ係数を計算させるウェイト算出方式判定部をさらに備えることを特徴とする。
第3の発明は、送信局装置と受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う無線通信システムにおいて、前記送信局装置は、前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化部と、伝搬路特性の推定に用いるトレーニング信号を生成して前記受信局装置に送信するトレーニング信号生成部とを備え、前記受信局装置は、前記送信局装置が送信する前記トレーニング信号を受信して伝搬路特性の伝達関数行列を推定する伝搬路特性推定部と、推定された前記伝達関数行列を行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算して、前記送信局装置に送信するフィルタタップ計算部とを備えることを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明において、前記受信局装置は、前記送信ウェイト行列のノイマン級数による近似を行えるか否かの条件を判定し、前記条件を満たさない場合には、ノイマン級数による近似とは異なる方法により前記フィルタタップ計算部に前記フィルタタップ係数を計算させるウェイト算出方式判定部をさらに備えることを特徴とする。
第5の発明は、送信局装置と受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う無線通信システムにおける無線通信方法であって、前記送信局装置は、前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化処理と、前記受信局装置が送信するトレーニング信号を受信して伝搬路特性の伝達関数行列を推定する伝搬路特性推定処理と、推定された前記伝達関数行列を行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化処理のフィルタタップ係数を計算するフィルタタップ計算処理とを実行し、前記受信局装置は、伝搬路特性の推定に用いる前記トレーニング信号を生成して前記送信局装置に送信するトレーニング信号生成処理を実行することを特徴とする。
第6の発明は、第5の発明において、前記送信局装置は、前記送信ウェイト行列のノイマン級数による近似を行えるか否かの条件を判定し、前記条件を満たさない場合には、ノイマン級数による近似とは異なる方法により前記フィルタタップ計算処理で前記フィルタタップ係数を計算させるウェイト算出方式判定処理をさらに実行することを特徴とする。
第7の発明は、受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う送信局装置において、前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化部と、前記受信局装置が送信するトレーニング信号を受信して伝搬路特性の伝達関数行列を推定する伝搬路特性推定部と、推定された前記伝達関数行列を行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算するフィルタタップ計算部と、前記送信ウェイト行列のノイマン級数による近似を行えるか否かの条件を判定し、前記条件を満たさない場合には、ノイマン級数による近似とは異なる方法により前記フィルタタップ計算部に前記フィルタタップ係数を計算させるウェイト算出方式判定部とを備えることを特徴とする。
第8の発明は、送信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う受信局装置において、前記送信局装置が送信するトレーニング信号を受信して伝搬路特性の伝達関数行列を推定する伝搬路特性推定部と、推定された前記伝達関数行列を行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して、伝搬路のシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する前記送信局装置側の時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算して、前記送信局装置に送信するフィルタタップ計算部と、前記送信ウェイト行列のノイマン級数による近似を行えるか否かの条件を判定し、前記条件を満たさない場合には、ノイマン級数による近似とは異なる方法により前記フィルタタップ計算部に前記フィルタタップ係数を計算させるウェイト算出方式判定部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る無線通信システム、無線通信方法、送信局装置および受信局装置は、SC-MIMO伝送においてCIRの伝達関数行列H(z)の行列式が非最小位相となる場合であっても発散しない送信ウェイト行列の算出方式を用いることにより、時間領域の線形等化器を用いてシンボル間干渉およびストリーム間干渉の除去を行うことができる。
各実施形態における無線通信システム全体の構成例を示す図である。 送信局装置および受信局装置の一例を示す図である。 第1実施形態に係る送信局装置および受信局装置の一例を示す図である。 第2実施形態に係る送信局装置および受信局装置の一例を示す図である。 det(Hz)が最小位相または非最小位相の場合のフィルタタップ係数の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明に係る無線通信システム、無線通信方法、送信局装置および受信局装置の実施形態について説明する。
図1は、各実施形態に共通の無線通信システム100全体の構成例を示す。図1において、無線通信システム100は、複数(N個:N≧2の整数)のアンテナATt(1)からアンテナATt(N)を有する送信局装置101と、複数(N個:N≧2の整数)のアンテナATr(1)からアンテナATr(N)を有する受信局装置102とを備え、送信局装置101と受信局装置102との間で無線通信を行う。ここで、以降の説明において、送信局装置101のアンテナATt(1)からアンテナATt(N)に共通の説明を行う場合は符号末尾の(番号)を省略してアンテナATtと表記し、特定のアンテナを指す場合は符号末尾に(番号)を付加して例えばアンテナATt(1)のように表記する。受信局装置102のアンテナATr(1)からアンテナATr(N)についても同様に表記する。また、複数の同じブロックを有する場合についても同様に表記する。
本実施形態に係る無線通信システム100は、送信局装置101と受信局装置102との間で複数のアンテナを用いる広帯域のSC-MIMO方式による無線通信を行う。図1(a)に示すように、送信局装置101のN個のアンテナと受信局装置102のN個のアンテナとの間では、空間的な広がりによるストリーム間干渉が生じる。また、送信局装置101および受信局装置102のそれぞれのアンテナ間で送受信される信号には、マルチパスなど遅延時間が異なる複数の遅延波による周波数選択性のフェージングが生じ、図1(b)に示すような時間的な広がりによるシンボル間干渉が生じる。このため、無線通信システム100では、ストリーム間干渉とシンボル間干渉とを抑制する必要がある。
ここで、送信局装置101と受信局装置102との間の無線通信路のCIRは、複数のアンテナの数に応じてN×Nを要素とする伝達関数の行列(伝達関数行列と称する)H(z)で表すことができる。式(2)は、N=N(=N)とし、N×NのMIMOにおける伝達関数行列H(z)を表し、H(z)はN次の多項式行列となる。
Figure 0007180514000002
式(2)において、伝達関数行列H(z)の各要素の伝達関数Hij(z)は、式(3)で表され、L次の多項式となる。
Figure 0007180514000003
ここで、iは1≦i≦Nの整数、jは1≦j≦Nの整数である。また、h(l) ijは、第i番目の受信アンテナと第j番目の送信アンテナとの間のlパス目のCIRを示す。LはCIR長(信号が伝搬するパス数に相当)、z-lは伝達関数の遅延作用素である。
そして、伝達関数行列H(z)の逆行列H-1(z)を送信ウェイト行列W(z)として線形等化部を構成することで、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を同時に除去することができる。
図2は、送信局装置101および受信局装置102の一例を示す。図2において、送信局装置101は、QAM変調部201、線形等化部202、RF部203およびアンテナATtを備える。
QAM変調部201は、受信局装置102へ送信するデータ情報ビットのビット列を直交振幅変調(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)したデータ信号S(n)を出力する。なお、QAM変調部201は、QAM変調部201(1)からQAM変調部201(N)を有し、N個のストリームに対応するデータ信号を出力する。
線形等化部202は、送信局装置101と受信局装置102との間のCIRに基づいて算出された送信ウェイト行列W(z)により、シンボル間干渉およびストリーム間干渉の時間領域の線形等化処理を行う。ここで、送信ウェイト行列W(z)の算出方法については、後で詳しく説明する。なお、等化処理と同時に送信電力を正規化する処理も行われる。
RF部203は、N個のアンテナATtにそれぞれ対応するN個のRF部203(1)からRF部203(N)を有し、線形等化部202が出力する信号を高周波の送信信号に周波数変換して、ストリーム毎に各アンテナATtから送出する。
アンテナATtは、アンテナATt(1)からアンテナATt(N)のN個のアンテナを有し、RF部203が出力するストリーム毎の高周波信号を電磁波として空間に放射する。
このようにして、送信局装置101は、線形等化部202によりシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去した信号を受信局装置102へ送信することができる。
図2において、受信局装置102は、アンテナATr、RF部301およびQAM復調部302を備える。
アンテナATrは、アンテナATr(1)からアンテナATr(N)のN個の送受信用のアンテナを有し、送信局装置101から送信された空間上の電磁波を高周波信号に変換する。
RF部301は、N個のアンテナATrにそれぞれ対応するN個のRF部301(1)からRF部301(N)を有し、アンテナATr(1)からアンテナATr(N)が出力するそれぞれの高周波信号をベースバンドのデータ信号に周波数変換する。
QAM復調部302は、RF部301が出力するN個のストリームのデータ信号S^(n)を情報ビットに復調し、ビット列を出力する。なお、RF部301は、アンテナATrの数に応じてN個のストリームのデータ信号S^(n)を出力するので、QAM復調部302は、ストリーム毎にデータ信号S^(n)を復調する。
このようにして、受信局装置102は、送信局装置101側でシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去した信号を受信して、データ信号を復調することができる。
図2において、QAM変調部201が出力するデータ信号をS(n)、線形等化部202の送信ウェイト行列をW(Z)、CIRの伝達関数行列をH(z)、RF部301が出力するデータ信号をS^(n)、付加雑音をη(n)とすると、本実施形態に係る無線通信システム100において送受信される信号の関係は、式(4)で表すことができる。
Figure 0007180514000004
(送信ウェイト行列W(z)の算出方法)
次に、送信ウェイト行列W(z)の算出方法について説明する。送信局装置101および受信局装置102のアンテナ数がN(Nは正の整数)の場合、N×NのMIMO伝送がのCIRの伝達関数行列H(z)は、パス数をL(Lは正の整数)、lをパス番号とすると、式(5)のように、L次の行列多項式に分解することができる。ここで、zは遅延作用素、H(l)はlパス目の伝達関数行列をそれぞれ示す。
Figure 0007180514000005
ここで、lパス目の伝達関数行列H(l)は、N×NのN次正方行列となり、式(6)で表すことができる。
Figure 0007180514000006
また、送信局装置101の線形等化器で用いる送信ウェイト行列W(z)は、式(5)で示した伝達関数行列H(z)の逆応答として、式(7)で表すことができる。
Figure 0007180514000007
そして、送信ウェイト行列W(z)の各要素を時間領域の線形等化器のフィルタタップ係数とするために、式(7)を式(8)のように変形する
Figure 0007180514000008
ここで、式(9)に示すノイマン級数による式変形を用いる。
Figure 0007180514000009
式(8)に式(9)を適用すると、送信ウェイト行列W(z)は、式(10)のように変形できる。
Figure 0007180514000010
ここで、時間領域の線形等化器を構成するFIRフィルタは、有限のタップ数M(Mは正の整数)により計算を打ち切るので、送信ウェイト行列W(z)は式(11)で表される。なお、kは0≦k≦M-1の整数である。
Figure 0007180514000011
このようにして、N×NのMIMO伝送におけるCIRの伝達関数行列をzを変数とする行列多項式に分解して、行列多項式で表される伝達関数の逆応答を用いて送信ウェイト行列W(z)を求めるので、W(z)の各要素をフィルタタップ係数とするFIRフィルタで実現することができる。
ここで、ノイマン級数による式変形から伝達関数行列H(z)の逆行列を求める場合の適用条件は、以下の通りである。
ノイマン級数による近似は、l={1,・・・,L-1}において、下記を満たすことが条件である。
Figure 0007180514000012
そして、任意のpノルムを用いて、上記の(条件1)を判定する。
このようにして、本実施形態に係る無線通信システム100は、(条件1)を満たすか否かを判定して、(条件1)を満たす場合、線形等化器の送信ウェイト行列W(z)を求めて、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去することができる。
ここで、従来技術で説明したように、CIRの伝達関数行列H(z)の行列式det(H(z))が非最小位相となる場合、FIRフィルタのフィルタタップ係数が発散するので、FIRフィルタによるシンボル間干渉およびストリーム間干渉の除去を行うことができないが、本実施形態に係る無線通信システム100は、(条件1)を満たす場合において、det(H(z))が非最小位相となる場合であっても、FIRフィルタによるシンボル間干渉およびストリーム間干渉の除去を行うことができる。
[変形例について]
上述のように、(条件1)のみに基づいて送信ウェイト行列W(z)算出して、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去するようにしてもよいが、(条件1)を満たさない場合は、シンボル間干渉およびストリーム間干渉の除去を行うことができないので、送信処理を中断するか、アンテナの配置や使用するアンテナの組み合わせを切り替えるなどの処理が必要となる。
そこで、本変形例では、非特許文献1の条件((条件2)と称する)を追加して、(条件1)を満たさない場合は、(条件2)を満たすか否かを判定して、(条件2)を満たす場合は、従来技術で説明した式(1)で送信ウェイト行列W(z)を算出する。
このようにして、本変形例に係る無線通信システム100は、第1実施形態で説明した(条件1)が適用できない部分を(条件2)でカバーし、(条件2)が適用できない部分を(条件1)でカバーするので、シンボル間干渉およびストリーム間干渉の除去が正しく行われる伝搬路特性の適用条件を拡大することができる。
(2×2のMIMOの具体例)
ここで、2×2のMIMOの場合の具体例を挙げて、(条件1)および(条件2)について説明する。なお、簡単化のために、2×2のMIMO構成で、各アンテナ間の遅延波パスを2波モデルで仮定した例を示す。
(条件1の場合)
先ず、2×2のMIMOにおける(条件1)の具体例について説明する。2×2のMIMOにおける(条件1)は、先に説明したように、式(12)の任意のpノルムが1未満であることである。
Figure 0007180514000013
式(12)において、p=1またはp=∞の場合は、式(13)または式(14)の条件を満たす場合に(条件2)を満たすので、式(11)で説明した送信ウェイト行列W(z)を適用できる。
Figure 0007180514000014
または、
Figure 0007180514000015
ここで、p=1は列毎に成分の絶対値の和を計算したうちでその最大のもの、p=∞は行毎に同様の和を考えたときの最大のものをそれぞれ示す。
(条件2の場合)
次に、2×2のMIMOにおける(条件2)の具体例について説明する。式(15)は、2×2のMIMOにおける伝達関数行列H(z)を示す。
Figure 0007180514000016
上式において、H(z)の各要素は、式(16)で表すことができる。
Figure 0007180514000017
ここで、iは1又は2の整数、jは1又は2の整数である。また、h(l) ijは、第i番目の受信アンテナと第j番目の送信アンテナとの間のlパス目のCIRを示す。LはCIR長(信号が伝搬するパス数に相当)、z-lは伝達関数の遅延作用素である。
そして、次の式(17)のdet(H(z))が最小位相となる場合に(条件2)を満たすと判定する。
Figure 0007180514000018
式(17)が最小位相となるのは、下記の式(18)かつ式(19)を満たす場合である。
Figure 0007180514000019
かつ
Figure 0007180514000020
このようにして、2×2のMIMOにおいて、(条件1)の判定、および、(条件2)の判定を行うことができる。
[第1実施形態]
図3は、第1実施形態に係る送信局装置101および受信局装置102の一例を示す。図3において、無線通信システム100は、図2の送信局装置101および受信局装置102の詳細な構成例を示し、先に説明した(条件1)による送信ウェイト行列W(z)の算出、または、(条件1)と(条件2)による送信ウェイト行列W(z)の算出を行って、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する。
図3において、送信局装置101は、情報ビット生成部401、データ信号変調部402、FIRフィルタ部403、送信信号変換部404、受信信号変換部405、CIR推定部406、ウェイト算出方式判定部407、フィルタタップ計算部408およびアンテナATt(1)からアンテナATt(N)のN個のアンテナを有する。また、図3において、受信局装置102は、アンテナATr(1)からアンテナATr(N)のN個のアンテナ、受信信号変換部501、データ信号復調部502、情報ビット検出部503、トレーニング信号生成部504および送信信号変換部505を有する。
先ず、送信局装置101の構成について説明する。
情報ビット生成部401は、受信局装置102へ送信するデータ情報ビットを生成する。データ情報ビットは、例えば外部(不図示)から入力するデータ信号、内部で生成するデータ信号などに対応するビット列であり、アンテナATtの数の信号ストリーム数に分割して、データ信号変調部402に出力する。なお、情報ビット生成部401は、所定の符号化率で誤り訂正符号を生成する誤り訂正符号化機能やインターリーブ機能などを有してもよい。
データ信号変調部402は、情報ビット生成部401が出力する信号ストリーム毎のビット列を所定の変調方式(例えば直交振幅変調(QAM)など)で変調したデータ信号S(n)を出力する。なお、本実施形態では、情報ビット生成部401がアンテナATtの数に応じて分割した信号ストリーム毎に変調したデータ信号を出力するので、各ストリーム毎にデータ信号変調部402を有する。
FIRフィルタ部403は、後述するフィルタタップ計算部408により算出されたフィルタタップ係数を使用して、データ信号変調部402が出力するデータ信号S(n)からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去した信号を送信信号変換部404へ出力する。なお、FIRフィルタ部403は、時間領域の線形等化処理を行う線形等化部に対応する。FIRフィルタ部403は、例えば、データ信号変調部402が出力するデータ信号を保持し、一定時間毎にシフトする遅延タップを有し、各遅延タップの信号に所定のフィルタタップ係数を乗算した信号の和を出力する。このようにして、FIRフィルタ部403は、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去するための時間領域の線形等化処理を行う。なお、FIRフィルタ部403は、時間領域の線形等化処理と同時に送信電力を正規化する処理も行う。
送信信号変換部404は、FIRフィルタ部403が出力するデータ信号をアンテナATtから送出するための高周波の送信信号に周波数変換する。例えば、送信信号変換部404は、20MHz帯域のデータ信号を5GHz帯の高周波信号にアップコンバートして、アンテナATtから送出する。ここで、複数の信号ストリームに分割された各々の信号ストリームは、それぞれ高周波信号に変換され、アンテナATt(1)からアンテナATt(N)のそれぞれから送出される。
アンテナATtは、アンテナATt(1)からアンテナATt(N)のN個の送受信用のアンテナを有し、送信信号変換部404が出力する高周波信号を電磁波として空間に放射する。或いは、アンテナATtは、受信局装置102から送信された空間上の電磁波を高周波信号に変換して、受信信号変換部405へ出力する。
受信信号変換部405は、アンテナATt(1)からアンテナATt(N)のそれぞれのアンテナにより受信された高周波の受信信号を低周波のベースバンド信号に周波数変換する。例えば、受信信号変換部405は、5GHz帯の高周波信号をダウンコンバートして20MHz帯域のベースバンド信号を出力する。ここで、本実施形態では、受信信号変換部405は、受信局装置102からトレーニング信号を受信してCIR推定部406に出力する。
CIR推定部406は、受信局装置102から送信されるトレーニング信号に基づいてCIRを推定する。なお、CIR推定部406は、伝搬路特性推定処理を実行する伝搬路特性推定部に対応する。
ウェイト算出方式判定部407は、先に説明した(条件1)、または、(条件1)と(条件2)の組み合わせにより、送信ウェイト行列W(z)の算出方式を判定する(ウェイト算出方式判定処理に対応)。ウェイト算出方式判定部407は、例えば(条件1)のみによる判定を行って、(条件1)を満たす場合に式(11)による送信ウェイト行列W(z)の算出方式を選択する。または、ウェイト算出方式判定部407は、(条件1)と(条件2)の組み合わせによる判定を行って、(条件1)を満たす場合は式(11)による送信ウェイト行列の算出方式、(条件1)を満たさず(条件2)を満たす場合は従来技術で説明した式(1)による送信ウェイト行列の算出方式、をそれぞれ選択する。
フィルタタップ計算部408は、ウェイト算出方式判定部407が判定した送信ウェイト行列W(z)の算出方式により、FIRフィルタ部403で使用するフィルタタップ係数を計算して、FIRフィルタ部403に出力する(フィルタタップ計算処理に対応)。
このようにして、送信局装置101は、FIRフィルタ部403により、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去したデータ信号を受信局装置102へ送信することができる。
次に、図3に示す受信局装置102の構成について説明する。
アンテナATrは、アンテナATr(1)からアンテナATr(N)のN個の送受信用のアンテナを有し、後述する送信信号変換部505が出力する高周波信号を電磁波として空間に放射する。或いは、アンテナATrは、送信局装置101から送信された空間上の電磁波を高周波信号に変換して、後述する受信信号変換部501へ出力する。
受信信号変換部501は、送信局装置101の受信信号変換部405と同様に、アンテナATr(1)からアンテナATr(N)のそれぞれから受信される高周波信号をベースバンド信号に周波数変換する。ここで、送信局装置101から受信するデータ信号は、データ信号復調部502へ出力される。
データ信号復調部502は、受信信号変換部501が出力するデータ信号S^(n)を情報ビットに復調し、ビット列を出力する。なお、受信信号変換部501は、アンテナATrの数に応じて複数のストリームのデータ信号を出力するので、複数のデータ信号復調部502は、ストリーム毎のデータ信号をそれぞれ復調する。そして、データ信号復調部502は、送信局装置101側で複数のストリームに分割されたビット列を結合したビット列を情報ビット検出部503に出力する。なお、データ信号復調部502は、送信局装置101側の機能に応じて、誤り訂正復号機能やデインターリーブ機能を備えてもよい。
情報ビット検出部503は、データ信号復調部502が出力するビット列をデジタルデータに変換した受信データを出力する。なお、誤り訂正復号機能やデインターリーブ機能を情報ビット検出部503側で行ってもよい。
トレーニング信号生成部504は、送信局装置101のCIR推定部406がCIRを推定するためのトレーニング信号を生成する(トレーニング信号生成処理に対応)。トレーニング信号は、信号検出用のプリアンブルなどの予め決められた情報(例えば”01”の交互パターン等の特定パターン)をPSK(Phase Shift Keying)など干渉を受けにくい変調方式で変調した所定の信号であり、送信局装置101側でCIRを推定するために用いられる。なお、受信局装置102が送信するトレーニング信号の情報は、予め送信局装置101との間で既知である。
送信信号変換部505は、トレーニング信号生成部504が出力するトレーニング信号を高周波信号に変換してアンテナATrから送出する。
このようにして、受信局装置102は、送信局装置101側でCIRを推定するためのトレーニング信号を送信し、送信局装置101から送信されるシンボル間干渉およびストリーム間干渉が等化されたデータ信号を受信することができる。
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る送信局装置101aおよび受信局装置102aの一例を示す。ここで、図4に示す無線通信システム100aと図5で説明した無線通信システム100との違いは、受信局装置102aがトレーニング信号を送信し、受信局装置102aがCIRを推定して送信局装置101aのFIRフィルタ部403のフィルタタップ係数を計算して、送信局装置101aへ送信することである。なお、図4において、図3と同符号のブロックは、図3と同様の処理を行う。
図4において、送信局装置101aは、情報ビット生成部401、データ信号変調部402、FIRフィルタ部403、送信信号変換部404、受信信号変換部405、トレーニング信号生成部410およびアンテナATt(1)からアンテナATt(N)のN個のアンテナを有する。ここで、情報ビット生成部401、データ信号変調部402、FIRフィルタ部403、送信信号変換部404および受信信号変換部405は、図3の同符号のブロックと同様に動作する。
トレーニング信号生成部410は、第1実施形態で説明した受信局装置102のトレーニング信号生成部504と同様に動作し、生成したトレーニング信号を送信信号変換部404で高周波信号に変換し、アンテナATtから送信する。なお、トレーニング信号の送信は、FIRフィルタ部403から出力されるデータ信号を送信する前に行われる。
ここで、第1実施形態では、受信信号変換部405は、受信局装置102から送信されるトレーニング信号をアンテナATtを介して受信してCIR推定部406へ出力したが、第2実施形態では、受信信号変換部405は、受信局装置102aから送信されるフィルタタップ係数の情報を含む信号をアンテナATtを介して受信してFIRフィルタ部403へ出力する。
このようにして、送信局装置101aは、受信局装置102a側でCIRを推定するためのトレーニング信号を送信し、受信局装置102aが計算したフィルタタップ係数をFIRフィルタ部403に設定して、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を等化したデータ信号を送信することができる。
図4において、受信局装置102aは、アンテナATr(1)からアンテナATr(N)のN個のアンテナ、受信信号変換部501、データ信号復調部502、情報ビット検出部503、送信信号変換部505、CIR推定部510、ウェイト算出方式判定部511およびフィルタタップ計算部512を有する。ここで、受信信号変換部501、データ信号復調部502、情報ビット検出部503および送信信号変換部505は、図3の同符号のブロックと同様に動作する。
CIR推定部510は、第1実施形態のCIR推定部406と同様に動作し、送信局装置101aから送信されるトレーニング信号に基づいてCIRを推定する。
ウェイト算出方式判定部511は、第1実施形態のウェイト算出方式判定部407と同様に動作し、先に説明した(条件1)、または、(条件1)と(条件2)の組み合わせにより、送信ウェイト行列W(z)の算出方式を判定する。
フィルタタップ計算部512は、第1実施形態のフィルタタップ計算部408と同様に動作し、ウェイト算出方式判定部511が判定した送信ウェイト行列W(z)の算出方式により、送信局装置101aのFIRフィルタ部403で使用するフィルタタップ係数を計算する。そして、フィルタタップ計算部512は、計算したフィルタタップ係数を送信信号変換部505およびアンテナATrを介して送信局装置101aに送信する。
このようにして、受信局装置102aは、送信局装置101aから送信されるトレーニング信号によりCIRを推定し、送信局装置101aのFIRフィルタ部403でシンボル間干渉およびストリーム間干渉を等化するためのフィルタタップ係数を計算して送信局装置101aに送信する。これにより、送信局装置101aは、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を等化したデータ信号を送信することができる。
このようにして、第1実施形態に係る無線通信システム100および第2実施形態に係る無線通信システム100aは、トレーニング信号から推定したCIRに基づいて、ウェイト算出方式を判定して、FIRフィルタ部403で使用可能なフィルタタップ係数を求めることができる。これにより、シンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する処理をFIRフィルタ部403により実現することができる。
以上、各実施形態で説明したように、本発明に係る無線通信システム、無線通信方法、送信局装置および受信局装置は、SC-MIMO伝送においてCIRの伝達関数行列H(z)の行列式が非最小位相となる場合であっても時間領域の線形等化器を用いてシンボル間干渉およびストリーム間干渉の除去を行うことができる。
100,100a・・・無線通信システム;101,101a・・・送信局装置;102,102a・・・受信局装置;201・・・QAM変調部;202・・・線形等化部;203,301・・・RF部;302・・・QAM復調部;401・・・情報ビット生成部;402・・・データ信号変調部;403・・・FIRフィルタ部;404,505・・・送信信号変換部;405,501・・・受信信号変換部;406,510・・・CIR推定部;407,511・・・ウェイト算出方式判定部;408,512・・・フィルタタップ計算部;410,504・・・トレーニング信号生成部;502・・・データ信号復調部;503・・・情報ビット検出部;ATt,ATr・・・アンテナ

Claims (8)

  1. 送信局装置と受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う無線通信システムにおいて、
    前記送信局装置は、
    前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化部と、
    前記受信局装置が送信するトレーニング信号を受信し、zを遅延作用素として、伝搬路特性の伝達関数行列H(z)を推定する伝搬路特性推定部と、
    伝搬路のパス数をL(Lは正の整数)、l(l=0,・・・,L-1)をパス番号、lパス目の伝達関数行列をH (l) として、任意のpノルムを用いたH (0)-1 (l) の作用素ノルム||H (0)-1 (l) || p が、l={1,・・・,L-1}において||H (0)-1 (l) || p <1になるという第1条件を満たすか否かを判定するウェイト算出方式判定部と、
    前記第1条件を満たす場合に、推定された前記伝達関数行列H(z)前記lパス目の伝達関数行列H (l) (l=0,・・・,L-1)の線形和であるL次の行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算するフィルタタップ計算部と
    を備え、
    前記受信局装置は、
    伝搬路特性の推定に用いる前記トレーニング信号を生成して前記送信局装置に送信するトレーニング信号生成部を備える
    ことを特徴とする無線通信システム。
  2. 送信局装置と受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う無線通信システムにおいて、
    前記送信局装置は、
    前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化部と、
    伝搬路特性の推定に用いるトレーニング信号を生成して前記受信局装置に送信するトレーニング信号生成部と
    を備え、
    前記受信局装置は、
    前記送信局装置が送信する前記トレーニング信号を受信し、zを遅延作用素として、伝搬路特性の伝達関数行列H(z)を推定する伝搬路特性推定部と、
    伝搬路のパス数をL(Lは正の整数)、l(l=0,・・・,L-1)をパス番号、lパス目の伝達関数行列をH (l) として、任意のpノルムを用いたH (0)-1 (l) の作用素ノルム||H (0)-1 (l) || p が、l={1,・・・,L-1}において||H (0)-1 (l) || p <1になるという第1条件を満たすか否かを判定するウェイト算出方式判定部と、
    前記第1条件を満たす場合に、推定された前記伝達関数行列H(z)前記lパス目の伝達関数行列H (l) (l=0,・・・,L-1)の線形和であるL次の行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算して、前記送信局装置に送信するフィルタタップ計算部と
    を備える
    ことを特徴とする無線通信システム。
  3. 請求項1又は2に記載の無線通信システムにおいて、
    前記ウェイト算出方式判定部は、
    前記第1条件を満たさない場合に、前記伝達関数行列H(z)の行列式det(H(z))が最小位相になるという第2条件を満たすか否かを判定し、
    前記フィルタタップ計算部は、
    前記第1条件を満たさずかつ前記第2条件を満たす場合に、前記伝達関数行列H(z)の随伴行列adj(H(z))を前記行列式det(H(z))で除算した行列を前記送信ウェイト行列とし、前記フィルタタップ係数を計算する
    ことを特徴とする無線通信システム。
  4. 送信局装置と受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う無線通信システムにおける無線通信方法であって、
    前記送信局装置は、
    前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化処理と、
    前記受信局装置が送信するトレーニング信号を受信し、zを遅延作用素として、伝搬路特性の伝達関数行列H(z)を推定する伝搬路特性推定処理と、
    伝搬路のパス数をL(Lは正の整数)、l(l=0,・・・,L-1)をパス番号、lパス目の伝達関数行列をH (l) として、任意のpノルムを用いたH (0)-1 (l) の作用素ノルム||H (0)-1 (l) || p が、l={1,・・・,L-1}において||H (0)-1 (l) || p <1になるという第1条件を満たすか否かを判定するウェイト算出方式判定処理と、
    前記第1条件を満たす場合に、推定された前記伝達関数行列H(z)前記lパス目の伝達関数行列H (l) (l=0,・・・,L-1)の線形和であるL次の行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化処理のフィルタタップ係数を計算するフィルタタップ計算処理と
    を実行し、
    前記受信局装置は、
    伝搬路特性の推定に用いる前記トレーニング信号を生成して前記送信局装置に送信するトレーニング信号生成処理を実行する
    ことを特徴とする無線通信方法。
  5. 送信局装置と受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う無線通信システムにおける無線通信方法であって、
    前記送信局装置は、
    前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化処理と、
    伝搬路特性の推定に用いるトレーニング信号を生成して前記受信局装置に送信するトレーニング信号生成処理と
    を実行し、
    前記受信局装置は、
    前記送信局装置が送信する前記トレーニング信号を受信し、zを遅延作用素として、伝搬路特性の伝達関数行列H(z)を推定する伝搬路特性推定処理と、
    伝搬路のパス数をL(Lは正の整数)、l(l=0,・・・,L-1)をパス番号、lパス目の伝達関数行列をH (l) として、任意のpノルムを用いたH (0)-1 (l) の作用素ノルム||H (0)-1 (l) || p が、l={1,・・・,L-1}において||H (0)-1 (l) || p <1になるという第1条件を満たすか否かを判定するウェイト算出方式判定処理と、
    前記第1条件を満たす場合に、推定された前記伝達関数行列H(z)を前記lパス目の伝達関数行列H (l) (l=0,・・・,L-1)の線形和であるL次の行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算して、前記送信局装置に送信するフィルタタップ計算処理と
    を実行することを特徴とする無線通信方法。
  6. 請求項4又は5に記載の無線通信方法において、
    前記ウェイト算出方式判定処理では、
    前記第1条件を満たさない場合に、前記伝達関数行列H(z)の行列式det(H(z))が最小位相になるという第2条件を満たすか否かを判定し、
    前記フィルタタップ計算処理では、
    前記第1条件を満たさずかつ前記第2条件を満たす場合に、前記伝達関数行列H(z)の随伴行列adj(H(z))を前記行列式det(H(z))で除算した行列を前記送信ウェイト行列とし、前記フィルタタップ係数を計算する
    ことを特徴とする無線通信方法。
  7. 受信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う送信局装置において、
    前記受信局装置に送信するデータ信号からシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する時間領域の線形等化部と、
    前記受信局装置が送信するトレーニング信号を受信し、zを遅延作用素として、伝搬路特性の伝達関数行列H(z)を推定する伝搬路特性推定部と、
    伝搬路のパス数をL(Lは正の整数)、l(l=0,・・・,L-1)をパス番号、lパス目の伝達関数行列をH (l) として、任意のpノルムを用いたH (0)-1 (l) の作用素ノルム||H (0)-1 (l) || p が、l={1,・・・,L-1}において||H (0)-1 (l) || p <1になるという第1条件を満たすか否かを判定し、前記第1条件を満たさない場合に、前記伝達関数行列H(z)の行列式det(H(z))が最小位相になるという第2条件を満たすか否かを判定するウェイト算出方式判定部と、
    前記第1条件を満たす場合に、推定された前記伝達関数行列H(z)前記lパス目の伝達関数行列H (l) (l=0,・・・,L-1)の線形和であるL次の行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して前記時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算し、前記第1条件を満たさずかつ前記第2条件を満たす場合に、前記伝達関数行列H(z)の随伴行列adj(H(z))を前記行列式det(H(z))で除算した行列を前記送信ウェイト行列とし、前記フィルタタップ係数を計算するフィルタタップ計算部と
    を備えることを特徴とする送信局装置。
  8. 送信局装置との間でシングルキャリアMIMO伝送を行う受信局装置において、
    前記送信局装置が送信するトレーニング信号を受信し、zを遅延作用素として、伝搬路特性の伝達関数行列H(z)を推定する伝搬路特性推定部と、
    伝搬路のパス数をL(Lは正の整数)、l(l=0,・・・,L-1)をパス番号、lパス目の伝達関数行列をH (l) として、任意のpノルムを用いたH (0)-1 (l) の作用素ノルム||H (0)-1 (l) || p が、l={1,・・・,L-1}において||H (0)-1 (l) || p <1になるという第1条件を満たすか否かを判定し、前記第1条件を満たさない場合に、前記伝達関数行列H(z)の行列式det(H(z))が最小位相になるという第2条件を満たすか否かを判定するウェイト算出方式判定部と、
    前記第1条件を満たす場合に、推定された前記伝達関数行列H(z)前記lパス目の伝達関数行列H (l) (l=0,・・・,L-1)の線形和であるL次の行列多項式で表し、前記行列多項式の逆応答を送信ウェイト行列とし、ノイマン級数により前記送信ウェイト行列を近似して、伝搬路のシンボル間干渉およびストリーム間干渉を除去する前記送信局装置側の時間領域の線形等化部のフィルタタップ係数を計算して、前記送信局装置に送信し、前記第1条件を満たさずかつ前記第2条件を満たす場合に、前記伝達関数行列H(z)の随伴行列adj(H(z))を前記行列式det(H(z))で除算した行列を前記送信ウェイト行列とし、前記フィルタタップ係数を計算して、前記送信局装置に送信するフィルタタップ計算部と
    を備えることを特徴とする受信局装置。
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