JP2005252834A - Mimo固有モード適応伝送システム及びmimo−ofdm固有モード適応伝送システム - Google Patents

Mimo固有モード適応伝送システム及びmimo−ofdm固有モード適応伝送システム Download PDF

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Hiroshi Sakaguchi
啓 阪口
See Ho Ting
シーホー ティン
Atsumichi Araki
純道 荒木
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Abstract

【課題】
ドプラ変動などがある実環境を考慮した適応符号化変調機能及び簡易で高効率な適応電力制御機能を搭載したMIMO固有モード適応伝送システムを提供する。
【解決手段】
固有モードの受信信号対干渉雑音電力SINRに基づいた適応符号化変調手段と選択型等分配電力制御手段とから構成される送信適応制御手段を具備する。前記送信適応制御手段による送信適応制御がスループット最大化もしくはビット誤り率に関する拘束条件下でのスループット最大化を目的関数とするものである。前記固有モードのSINRの値がチャネル推定誤差の推定値、固有ビーム利得損失の推定値及び固有ビーム間干渉の推定値に基づいて計算される。前記チャネル推定誤差と前記固有ビーム利得損失と前記固有ビーム間干渉はチャネルの最大ドプラ周波数及び時間相関に基づいて推定される。前記選択型等分配電力制御手段ではアクティブな固有モードを選択し選択された固有モードに全電力を等分配する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ワイヤレス通信システムに関し、特に、MIMO固有モード適応伝送システム及びMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムに関するものである。
近年、限られた周波数帯域で大容量伝送を実現する技術として、マルチプルインプット・マルチプルアウトプット(MIMO)固有モード適応伝送システムが注目を集めている。このMIMO固有モード適応伝送システムの概要を以下に説明する。
送信側にM本、受信側にN本のアンテナを用いた狭帯域MIMO通信システムを考える。このとき、M次の送信信号ベクトルを

Figure 2005252834
とすると、N次の受信信号ベクトル

Figure 2005252834
はN×M次のチャネル行列

Figure 2005252834
を用いて、下記数1のように表すことができる。
Figure 2005252834
ここで、

Figure 2005252834
はN次の加法性雑音ベクトルであり、その共分散は下記数2で与えられる。
Figure 2005252834
一方、チャネル行列

Figure 2005252834
は下記数3のように特異値分解することができる。
Figure 2005252834
ここで、

Figure 2005252834
および

Figure 2005252834
はその列ベクトルが互いに直交した左および右特異行列であり、Σはm=min[M,N]個の直交したチャネル(これを一般に固有モードと呼ぶ)の伝達係数を表す特異値を要素とする対角行列である。
そこで、下記数4のように

Figure 2005252834
を送信固有ビーム(つまり、送信ウェイト)、下記数5のように

Figure 2005252834
を受信固有ビーム(つまり、受信ウェイト)として用いることによって、下記数6で表される固有モード伝送を行うことが出来る。
Figure 2005252834
Figure 2005252834
Figure 2005252834
ここで、各固有モードのチャネル応答は下記数7で表される。
Figure 2005252834
また、

Figure 2005252834
は下記数8のように各固有モードに割当てられる電力を表し、その総電力は下記数9のように表される。ちなみに、総電力の上限値は電波法で規定されている。
Figure 2005252834
Figure 2005252834
また、下記数10で表す

Figure 2005252834
は、各固有モードに割当てられる送信シンボルであり、1シンボルがr[bit]の情報を有する変調および符号化率がcを有する符号化が施されている。
Figure 2005252834
ここで、例えばシステムスループットが最大になるように、各固有モードの送信電力P、変調ビット数r及び符号化率cを適応的に制御するMIMO通信システムは、MIMO固有モード適応伝送システムと呼ばれる。
図6は従来のMIMO固有モード適応伝送システムの一構成例(M=N=4の場合の例)を表している。図6において、101はシリアルパラレル変換回路で、102は符号化変調回路で、103は電力制御回路で、104は送信固有ビーム形成回路で、105は送信アレーアンテナで、106は受信アレーアンテナで、107は受信固有ビーム形成回路で、108は復調復号回路で、109はパラレルシリアル変換回路で、110はチャネル推定回路で、111は特異値展開計算回路で、112Aは適応符号化変調制御回路で、112Bは適応電力制御回路で、113は受信適応制御回路で、114は制御回線である。
図6に示されるように、このMIMO固有モード適応伝送システムでは、伝搬環境に応じて各固有モードの変調方式(例として、16QAM,QPSK,BPSK,none)と電力(総電力を1として0.1単位)を適応的に制御している。
ところで、MIMO固有モード適応伝送システムにおける重要な機能ブロックとして、適応電力制御(図6の適応電力制御回路112Bを参照)及び適応符号化変調(図6の適応符号化変調制御回路112Aを参照)がある。これらに関して、従来技術としては、例えば特許文献1に開示された、注水定理に基づく適応電力制御及び適応符号化変調を具備したMIMO固有モード適応伝送システムがある。その動作原理は次のようになっている。
つまり、特許文献1に開示された、注水定理に基づく適応アルゴリズムを採用するMIMO固有モード適応伝送システムでは、情報理論に基づく解析を用いて下記数11を用いて各固有モードの電力を決定し、下記数12を用いて各固有モードの変調ビット数および符号化率の組合せを決定するようにしている。
Figure 2005252834
Figure 2005252834
ここで、μは上記数9を満たすように決定される媒介変数である。特許文献1に開示されたこのMIMO固有モード適応伝送システムに採用されたアルゴリズムは、情報理論的には最適であるが、実環境においては変調ビット数および符号化率が離散的な組合せしか持たないこと、また、有限の性能を持つ符号化方式が採用されていること(例えば、畳込み符号)から伝送特性が劣化するといった問題がある。このような問題があるので、注水定理に基づく適応アルゴリズムは、現在の技術では実用化できない。
そこで、上述した問題を解決するために、電力、変調ビット数および符号化率に関して、例えばスループットを最大化する組合せを全探索する方法が提案されている。例えば、非特許文献1に開示された、スループットを最大化する電力・符号化変調を全探索するMIMO固有モード適応伝送システムにおいて、各固有モードの受信信号対雑音電力(SNR)は、下記数13で計算されるため、各固有モードの誤り率およびスループットは、それぞれ下記数14、数15で表される。
Figure 2005252834
Figure 2005252834
Figure 2005252834
ここで、berはある符号化変調方式に相当する誤り率関数であり、また、tpはある信号フレームフォーマットでのスループット関数である。これらの関数を用いて、下記数16のようにシステム全体のスループットを最大化する電力、変調ビット数および符号化率の組合せを全探索する。
Figure 2005252834
上述したように、非特許文献1に開示された、このMIMO固有モード適応伝送システムに採用された全探索に基づく適応アルゴリズムは、限られた符号化変調方式および離散的な電力ステップの中で最適な組合せを探索することができるが、探索する電力のステップ数をLとすると、計算量がLのm乗となり、膨大な計算量となるといった問題がある。
このように、例えば特許文献1に開示された注水定理に基づくアルゴリズムでは離散的な変調ビット数及び符号化率を有する有限性能の符号化変調方式を採用したときに特性が大きく劣化する問題点がある。また、例えば非特許文献1に開示された全探索に基づくアルゴリズムでは適応制御に膨大な計算量が必要となるといった問題点がある。
更に、MIMO固有モード適応伝送システムを実際に実装する場合には、実環境における不完全性(問題点)を考慮しなければならない。第1の不完全性(問題点)とは、チャネル推定誤差である。誤差を含んだチャネル行列の推定値を下記数17で表す。
Figure 2005252834
また、チャネルを推定するフレームと実際にデータ送信するフレームは異なるため、ドプラ変動などによりチャネルが変動する。変動したチャネル行列を下記数18とする。
Figure 2005252834
このとき実環境においては下記数19が成り立つため、固有ビーム利得の損失および固有モード間干渉が発生し、伝送特性が大きく劣化するといった問題がある。
Figure 2005252834
特開2001−237751号公報 宮下、外5名,「MIMOチャネルにおける固有ビーム空間分割多重(E-SDM)方式」、信学技報,2002年5月,RCS2002−53
要するに、MIMO固有モード適応伝送方式を実用化するために、次の問題点を解決する必要がある。第1の問題点とはドプラ変動などがある実環境における伝送特性劣化という問題で、第2の問題点とは膨大な計算量を必要とする適応制御という問題である。
本発明は、上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、ドプラ変動などがある実環境を考慮した適応符号化変調機能及び簡易で高効率な適応電力制御機能を搭載した、MIMO固有モード適応伝送システム及びMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムを提供することにある。
本発明は、MIMO固有モード適応伝送システムに関し、本発明の上記目的は、固有モードの受信信号対干渉雑音電力SINRに基づいた適応符号化変調手段と、選択型等分配電力制御手段とから構成される送信適応制御手段を具備することにより、或いは、前記送信適応制御手段による送信適応制御が、スループット最大化もしくはビット誤り率に関する拘束条件下でのスループット最大化を目的関数とするものであることにより、或いは、前記固有モードの受信信号対干渉雑音電力SINRの値が、チャネル推定誤差の推定値、固有ビーム利得損失の推定値及び固有ビーム間干渉の推定値に基づいて計算されるようにすることにより、或いは、前記チャネル推定誤差と前記固有ビーム利得損失と前記固有ビーム間干渉はチャネルの最大ドプラ周波数及び時間相関に基づいて推定されるようにすることにより、或いは、前記選択型等分配電力制御手段では、アクティブな固有モードを選択し、選択された固有モードに全電力を等分配することによって効果的に達成される。
また、本発明は、MIMO−OFDM固有モード適応伝送システムに関し、本発明の上記目的は、OFDMサブキャリア毎に、上述した本発明のMIMO固有モード適応伝送システムを含み、且つ、前記選択型等分配電力制御手段による選択型等分配電力制御における総電力は、全てのOFDMサブキャリアにおける全ての固有モードに割当てられた電力の和となるようにすることにより、或いは、同一順位の固有モードに対しては、全OFDMサブキャリアで同一の送信適応制御を行うことによって効果的に達成される。
まず、本発明に係る受信信号対干渉雑音電力SINRに基づいた適応符号化変調アルゴリズムを用いることによって、MIMOシステムの伝送特性劣化を防ぐことができるといった優れた効果を奏する。
また、本発明に係る選択型等分配電力制御アルゴリズムを用いることによって、MIMOシステムの計算負荷を低減することができるといった優れた効果を奏する。例えば、実施例では、非特許文献1に開示された全探索法の場合に、Lのm乗となる、つまり例えばL=80、m=4のとき40,960,000回の計算量が必要であるのに対して、本発明ではたったの10回の計算量となる。本発明によれば、MIMOシステムの計算負荷の低減の効果は一目瞭然である。
つまり、受信信号対干渉雑音電力SINRに基づいた適応符号化変調アルゴリズムと選択型等分配電力制御アルゴリズムとから構成される本発明に係る送信適応制御アルゴリズムをMIMO固有モード適応伝送システムに実装することによって、ドプラ変動などがある実環境において、高い実用性のあるMIMO固有モード適応伝送システムが得られる。勿論、本発明に係る送信適応アルゴリズムをMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムに実装することによって、ドプラ変動などがある実環境において、高い実用性のあるMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムも得られるわけである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明の着眼点として、上述した第1の問題点を解決するために、受信信号対干渉雑音電力SINR(つまり、受信信号対干渉雑音比)に基づいた適応符号化変調手段を備えたMIMO固有モード適応伝送システムを導入する。当該適応符号化変調手段により、ドプラ変動などがある環境においても、高い伝送容量を実現することができる。また、上述した第2の問題点を解決するために、アクティブな固有モードを選択し、選択された固有モードに全電力を等分配する選択型等分配電力制御手段を備えたMIMO固有モード適応伝送システムを導入する。当該選択型等分配電力制御手段により、システムの伝送特性を劣化させることなく必要な計算量を大幅に削減することができる。
要するに、上記適応符号化変調手段と上記選択型等分配電力制御手段とから構成される本発明に係る送信適応制御手段をMIMO固有モード適応伝送システムに備えることによって、従来の問題点を簡単に解決することができる。
ここで、本発明に係る送信適応制御手段を備えたMIMO固有モード適応伝送システムのシステムパラメータとして、Tはトレーニング長で、Fはフィードバックデータ長で、Dはデータ長で、Lはフレーム長(つまり、L=T+F+D)で、Tsymはシンボル長で、Pはトレーニングに割当てられた電力で、Pはデータに割当てられた電力で、bは特異ベクトルの量子化ビット数である。Tfbは制御回線のフィードバック遅延である。

<1>本発明の適応符号化変調手段に採用されるアルゴリズム
本発明の適応符号化変調アルゴリズムは、受信信号対干渉雑音電力SINR(つまり、受信信号対干渉雑音比)に基づいたものである。具体的に、以下のようになっている。
つまり、本発明の適応符号化変調手段では、実環境におけるMIMO固有モード適応伝送の特性劣化を防ぐために、まず、チャネル推定誤差、固有ビーム利得損失、固有モード間干渉を適切に推定し、そして、これらの不完全性が存在する環境での各固有モードの受信信号対干渉雑音電力SINRを下記数20により予測するようにしている。
Figure 2005252834
ここで、εはチャネル推定誤差の推定値、χは固有ビーム利得損失の推定値、ξは固有モード間干渉の推定値をそれぞれ表しており、各々下記数21、数22、数23で計算される。
Figure 2005252834
Figure 2005252834
Figure 2005252834
また、上記数22において、ρTxとρRxは、それぞれ送信固有行列

Figure 2005252834
と受信固有行列

Figure 2005252834
の時間相関係数を表し、下記数24、数25でそれぞれ計算される。
Figure 2005252834
Figure 2005252834
更に、上記数24及び上記数25におけるρcは、チャネルの時間相関係数を表し、予め計測されるものである。

<2>本発明の選択型等分配電力制御手段に採用されるアルゴリズム
本発明では、全探索法における計算負荷を軽減するために、選択型等分配電力制御アルゴリズムを導入する。本発明の選択型等分配電力制御アルゴリズムでは、下記数26に示すように、m個の固有モードより電力の大きい

Figure 2005252834
個の固有モードを選択し、それらに全電力を等分配するようにしている。
Figure 2005252834
従って、本発明の選択型等分配電力制御アルゴリズムにおける計算負荷は、全探索法における電力のステップ数に関わらず、下記数27に表されるように一定となる。
Figure 2005252834
また、本発明では、選択型等分配電力制御アルゴリズムをMIMO固有モード適応伝送システムに適用させることによっては、スループット特性の劣化が、後述する実施例にも示すように、非常に小さい。

<3>本発明に係る送信適応制御アルゴリズムをMIMO固有モード適応伝送システムへの適用
本発明に係る送信適応制御アルゴリズムを適用したMIMO固有モード適応伝送システム(以下、本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システムと称する)の一構成例を図1に示す。
図1に示された本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システムにおいて、101はシリアルパラレル変換回路で、102は符号化変調回路で、103は電力制御回路で、104は送信固有ビーム形成回路で、105は送信アレーアンテナで、106は受信アレーアンテナで、107は受信固有ビーム形成回路で、108は復調復号回路で、109はパラレルシリアル変換回路で、110はチャネル推定回路で、111は特異値展開計算回路で、112は適応符号化変調制御回路と適応電力制御回路を含む送信適応制御回路で本発明の送信適応制御アルゴリズムが採用されており、113は受信適応制御回路で、114は制御回線である。ここで、シリアルパラレル変換回路101、符号化変調回路102、電力制御回路103及び送信固有ビーム形成回路104は、固有モード適応送信回路を形成し、また、受信固有ビーム形成回路107、復調復号回路108及びパラレルシリアル変換回路109は、固有モード適応受信回路を形成する。
また、図1に示された本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システムにおいて、チャネル推定回路110及び特異値展開計算回路111は、基本構成ではB局に実装され、計算された右特異行列及び特異値は、制御回線114を介してA局へフィードバックされる。しかし、A局からB局への通信とB局からA局への通信が、同一の周波数帯を用いる場合には、チャネル推定回路110及び特異値展開計算回路111をA局及びB局の双方へ実装することによって、制御回線の負荷を軽減することができる。
なお、通常、送信固有ビーム形成回路104と送信アレーアンテナ105の間にはDA変換器とアップコンバータが接続されるが、図1では省略している。同様に、受信アレーアンテナ106と受信固有ビーム形成回路107の間にはダウンコンバータとAD変換器が接続されるが、図1では省略している。
図1のMIMO固有モード適応伝送システムにおいて、送信適応制御回路112に含まれる適応電力制御回路に本発明の選択型等分配電力制御アルゴリズムを採用し、また、送信適応制御回路112に含まれる適応符号化変調制御回路に本発明の受信信号対干渉雑音電力SINRに基づいた適応符号化変調アルゴリズムを採用するように構成されている。
つまり、本発明では、送信適応制御回路112の動作原理は次のようになっている。先ず、各固有モードに対して、数26に基づいて選択型等分配電力制御を行い、次に、固有モードに割当てられた電力量から、数20に基づいて各固有モードのSINRを計算する。最後に、数13〜数16におけるSNRを数20に基づいて計算されたSINRに置き換えることによって、エラーマージンを考慮した上でスループットを最大とする符号化変調方式の組合せを選択するようになっている。
なお、数15におけるスループットの計算は、予めSINRに対する最大スループットとそれを実現する符号化変調方式を図2のようにテーブル化(LUT)することで、簡単に実装することができる。また、目標関数としてスループット最大化だけではなく、ビット誤り率に対する拘束条件も設ける場合は、それに対応したLUTを用意するだけでよい。
図1に示された本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システムにおいて、送信適応制御回路112で行われる送信適応制御(つまり、電力・符号化変調適応制御)の手順を図3のフローチャートに示す。図3に示されるように、先ず、

Figure 2005252834
を入力し(ステップS100)、初期化する(ステップS110)。数26に基づいて選択型等分配電力制御を行い(ステップS120)、数20に基づいてSINR最悪値を計算する(ステップS130)。次に、数14と数15から計算されたLook−Up Table(LUT)を用いて各固有モードの誤り率とスループットを計算し(但し、SNRの代わりにSINRを用いる)、適応符号化変調制御を行う(ステップS140)。そして、総スループットを計算し(ステップS150)、最適の

Figure 2005252834
を選択する(ステップS160)。選択された

Figure 2005252834
が成立するかどうかを判断する(ステップS170)。成立しない場合に、

Figure 2005252834
にしてから、ステップS120に戻り、

Figure 2005252834
が成立するまでに、ステップS120からステップS160までの処理を繰り返す。一方、

Figure 2005252834
が成立した場合に、本発明の送信適応制御が終了する。

<4>本発明に係る送信適応制御アルゴリズムをMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムへの適用
本発明に係る送信適応制御アルゴリズムを適用したMIMO−OFDM固有モード適応伝送システム(以下、本発明に係るMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムと称する)の一構成例を図4に示す。
図4に示された本発明に係るMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムにおいて、201はOFDMのためのシリアルパラレル変換回路で、202は固有モード適応送信回路(図1の固有モード適応送信回路に同じ)で、203はMIMO−OFDMのためのパラレルシリアル変換回路で、204は逆フーリエ変換回路で、205は送信アレーアンテナで、206は受信アレーアンテナで、207はフーリエ変換回路で、208はMIMO−OFDMのためのシリアルパラレル変換回路で、209は固有モード適応受信回路(図1の固有モード適応受信回路に同じ)で、210はOFDMのためのパラレルシリアル変換回路で、211はOFDMサブキャリア毎のチャネル推定回路で、212はOFDMサブキャリア毎の特異値展開計算回路で、213は適応符号化変調制御回路213Aと適応電力制御回路213Bを含む送信適応制御回路で本発明の送信適応制御アルゴリズムが採用されており、214は受信適応制御回路で、215は制御回線である。
図4に示された本発明に係るMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムでは、基本的には、図1に示された本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システムをOFDMサブキャリア毎に有するシステムとなっている。ゆえに、各OFDMサブキャリアにおいて、図1に示された本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システムと同様の送信適応制御を行うことによって、本発明の選択型等分配電力制御アルゴリズムと受信信号対干渉雑音電力SINRに基づいた適応符号化変調アルゴリズムを実装するようにしている。
ただし、図4に示された本発明に係るMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムにおいて、選択型等分配電力制御における総電力は、全てのOFDMサブキャリアにおける全ての固有モードに割当てられた電力の和となる。
なお、本発明に係る送信適応制御アルゴリズムを適用したMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムにおいて、同一順位の固有モードに対しては、全OFDMサブキャリアで同一の送信適応制御を行うことで、システムの負荷を軽減することができる。
また、図4に示された本発明に係るMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムにおいて、OFDMサブキャリア毎のチャネル推定回路211及びOFDMサブキャリア毎の特異値展開計算回路212は、基本構成ではB局に実装され、計算された右特異行列及び特異値は、制御回線215を介してA局へフィードバックされる。しかし、A局からB局への通信と、B局からA局への通信が同一の周波数帯を用いる場合には、OFDMサブキャリア毎のチャネル推定回路211及びOFDMサブキャリア毎の特異値展開計算回路212をA局及びB局の双方へ実装することによって制御回線の負荷を軽減できる。
また、通常、逆フーリエ変換回路204と送信アレーアンテナ205の間にはDA変換器とアップコンバータが接続されるが、図4では省略している。同様に、受信アレーアンテナ206とフーリエ変換回路207の間にはダウンコンバータとAD変換器が接続されるが、図4では省略している。

<5>実施例
本発明の実施例として、図1に示されたMIMO固有モード適応伝送システムを示す。図1に示されたMIMO固有モード適応伝送システムでは、送受信のアンテナ本数は4とし、MIMO伝搬チャネルは独立で無相関なモデルを用いた。適応変調方式は16QAM,8PSK,QPSK,BPSK,noneより選択する。また、スループットを計算するためのフレーム長は128ビットとし、内31ビットをチャネル行列を推定するためのトレーニング信号とした。また、実環境における不完全性を模擬するために、フィードバック周期(1/Tfb)で規格化されたドプラ周波数fをパラメータとした。
特許文献1に開示された注水定理に基づくアルゴリズムを適用したMIMO固有モード適応伝送システム(以下では、注水定理と略する)、非特許文献1に開示された全探索に基づく適応アルゴリズムを適用したMIMO固有モード適応伝送システム(以下では、全探索法と略する)、及び図1に示された本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システム(以下では、本発明と略する)のスループット特性の比較結果を図5に示す。
図5から分かるように、まず、理想的な環境(つまり、f=0)に、全探索法と本発明のスループット特性はほぼ一致しているが、注水定理は、変調ビット数が離散的な組合せしかないことから、スループット特性が大きく劣化している。一方、本発明は全探索法に比べて計算量を1,000,000分の1にしているにも関わらずほぼ同等の性能を有している。
また、図5から、実環境における不完全性がある場合(つまり、f=0.035)には、注水定理も全探索法もSN比(SNR)が高い領域でスループット特性が大きく劣化しているものの、本発明ではその劣化量が非常に小さいことがよく分かる。例えば、受信SN比が40[dB]のとき、注水定理のスループット値は約8[bits/s/Hz]で、全探索法は約6[bits/s/Hz]であると伝送特性が劣化するのに対して、本発明では約10[bits/s/Hz]であると伝送特性の劣化が最も小さい。
本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システムの一構成例を示すブロック図である。
本発明において、SINRに対する最大スループットとそれを実現する適応変調方式のLUTの一例を示す図である。 本発明における電力・符号化変調適応制御アルゴリズムのフローチャートである。 本発明に係るMIMO−OFDM固有モード適応伝送システムの一構成例を示すブロック図である。 本発明に係るMIMO固有モード適応伝送システムのスループット特性と、従来のMIMO固有モード適応伝送システムのスループット特性との比較図である。 従来のMIMO固有モード適応伝送システムの一構成例を示すブロック図である。
符号の説明
101 シリアルパラレル変換回路
102 符号化変調回路
103 電力制御回路
104 送信固有ビーム形成回路
105 送信アレーアンテナ
106 受信アレーアンテナ
107 受信固有ビーム形成回路
108 復調復号回路
109 パラレルシリアル変換回路
110 チャネル推定回路
111 特異値展開計算回路
112 送信適応制御回路
112A 適応符号化変調制御回路
112B 適応電力制御回路
113 受信適応制御回路
114 制御回線
201 OFDMのためのシリアルパラレル変換回路
202 固有モード適応送信回路
202A 送信固有ビーム形成回路
203 MIMO−OFDMのためのパラレルシリアル変換回路
204 逆フーリエ変換回路
205 送信アレーアンテナ
206 受信アレーアンテナ
207 フーリエ変換回路
208 MIMO−OFDMのためのシリアルパラレル変換回路
209 固有モード適応受信回路
209A 受信固有ビーム形成回路
210 OFDMのためのパラレルシリアル変換回路
211 OFDMサブキャリア毎のチャネル推定回路
212 OFDMサブキャリア毎の特異値展開計算回路
213 送信適応制御回路
213A 適応符号化変調制御回路
213B 適応電力制御回路
214 受信適応制御回路
215 制御回線

Claims (7)

  1. 固有モードの受信信号対干渉雑音電力SINRに基づいた適応符号化変調手段と、選択型等分配電力制御手段とから構成される送信適応制御手段を具備することを特徴とするMIMO固有モード適応伝送システム。
  2. 前記送信適応制御手段による送信適応制御が、スループット最大化もしくはビット誤り率に関する拘束条件下でのスループット最大化を目的関数とするものである請求項1に記載のMIMO固有モード適応伝送システム。
  3. 前記固有モードの受信信号対干渉雑音電力SINRの値が、チャネル推定誤差の推定値、固有ビーム利得損失の推定値及び固有ビーム間干渉の推定値に基づいて計算される請求項1に記載のMIMO固有モード適応伝送システム。
  4. 前記チャネル推定誤差と前記固有ビーム利得損失と前記固有ビーム間干渉はチャネルの最大ドプラ周波数及び時間相関に基づいて推定される請求項3に記載のMIMO固有モード適応伝送システム。
  5. 前記選択型等分配電力制御手段では、アクティブな固有モードを選択し、選択された固有モードに全電力を等分配する請求項1に記載のMIMO固有モード適応伝送システム。
  6. OFDMサブキャリア毎に、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のMIMO固有モード適応伝送システムを含み、且つ、前記選択型等分配電力制御手段による選択型等分配電力制御における総電力は、全てのOFDMサブキャリアにおける全ての固有モードに割当てられた電力の和となるようにすることを特徴とするMIMO−OFDM固有モード適応伝送システム。
  7. 同一順位の固有モードに対しては、全OFDMサブキャリアで同一の送信適応制御を行う請求項6に記載のMIMO−OFDM固有モード適応伝送システム。
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