しかし、上記の技術では居室空間に存在する人間の快適性は考慮されていない。本発明の課題は、居室空間を複数の単位空間に仮想分割して単位空間毎に空気調和装置や照明装置の制御を行う技術において、居室空間に存在する人間の快適性を高めることにある。
請求項1に係る設備制御システムは、発信器と、受信器と、第1情報導出手段と、第2情報導出手段と、設備制御手段とを備え、設備機器を制御する。なお、ここにいう「設備機器」とは、例えば、空気調和装置や照明装置などであり、この「設備機器」では、居室空間を構成する複数の単位空間それぞれに対して異なる運転設定が可能である。また、ここにいう「空気調和装置」とは、例えば、冷房装置、暖房装置、除湿器、加湿器、換気装置、および空気清浄装置などである。また、ここでいう「単位空間」とは、居室空間を壁等によって物理的に分割することにより規定されてもよいし、複数の移動体検知センサ(人検知センサなど)の検知範囲を調節することにより規定されてもよいし、カメラからの撮影画像を分割することによって規定されてもよいし、居室空間を座標化してその座標を分割することによって規定されてもよい。受信器は、発信器が居室空間内に存在している場合に発信器からの信号を受信可能である。第1情報導出手段は、受信器により受信された発信器からの信号に基づいて、第1嗜好情報と、第1位置情報とを導出する。なお、ここにいう「第1嗜好情報」とは、第1移動可能体の運転設定に関する嗜好を示す情報である。なお、ここでいう「第1移動可能体」とは、発信器を携帯している移動可能体である。また、ここにいう「移動可能体」とは、居室空間内を移動可能な主体であり、例えば、人間などである。また、ここにいう「第1位置情報」とは、第1移動可能体が複数の単位空間のうちどの単位空間内に存在しているのかを示す情報である。第2情報導出手段は、総数情報を導出する。ここにいう「総数情報」とは、居室空間内に存在している移動可能体の総数を示す情報である。設備制御手段は、第1嗜好情報、第1位置情報および総数情報に基づいて、設備機器を制御する。設備制御手段は、判定部と、設定部とを有する。判定部は、第1位置情報に基づいて、第1移動可能体の数である第1数を算出し、第1数と総数情報とを比較することにより、居室空間内に第1移動可能体以外の移動可能体である第2移動可能体が存在しているか否かを判定する。設定部は、判定部において第2移動可能体が存在していないとの判定結果が出た場合には、第1処理を実行し、判定部において第2移動可能体が存在しているとの判定結果が出た場合には、第2処理を実行する。第1処理は、第1嗜好情報および第1位置情報に基づいて、複数の単位空間それぞれに対する運転設定を行う処理である。第2処理は、第1嗜好情報および第1位置情報に基づいて、予め定められた運転設定の範囲内から第1移動可能体の運転設定に関する嗜好に最も近い運転設定を選択し、第1移動可能体が存在している単位空間に対する運転設定を行う処理である。
この設備制御システムでは、居室空間内の移動可能体が携帯している発信器からの信号に基づいて、その移動可能体の設備機器の運転設定に関する嗜好情報およびその移動可能体の存在している単位空間を示す位置情報が導出される。そして、導出された嗜好情報および位置情報に基づいて、単位空間ごとに設備機器が制御される。このため、この設備制御システムでは、単位空間ごとに移動可能体の嗜好に応じて設備機器の制御を行うことができる。したがって、この設備制御システムでは、居室空間に存在する移動可能体の快適性を高めることができる。
また、移動可能体の存在を考慮して設備機器が制御されるこの設備制御システムにおいて、移動可能体の存在が移動可能体の携帯している発信器からの信号にのみに基づいて検出される場合には、発信器を携帯していない移動可能体に不快な環境がもたらされる虞がある。この点、請求項1に係る設備制御システムでは、発信器の携帯の有無を問わず居室空間内の移動可能体の総数情報が導出され、導出された総数情報を利用して設備機器が制御される。このため、この設備制御システムでは、居室空間内に発信器を携帯していない移動可能体が存在する場合にも、その移動可能体の存在を考慮して単位空間ごとに設備機器を制御することができる。したがって、この設備制御システムでは、発信器を携帯している移動可能体の嗜好を活かした設備機器の運転設定を行いつつ、発信器を携帯していない移動可能体に不快な環境がもたらされることを抑制することができる。
また、この設備制御システムでは、居室空間内の移動可能体の総数情報と居室空間内の発信器を携帯している移動可能体の位置情報とに基づいて、居室空間内における発信器を携帯していない移動可能体の存否が判定され、その判定結果に応じて単位空間ごとに設備機器の運転設定が行われる。すなわち、この設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の存在を検出することができる。したがって、この設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の存在を考慮して、単位空間ごとに設備機器を制御することができる。
また、移動可能体の存在を考慮して設備機器が制御される設備制御システムにおいて、移動可能体の存在が移動可能体の携帯している発信器からの信号にのみに基づいて検出される場合には、発信器を携帯していない移動可能体に不快な環境がもたらされる虞がある。この点、この設備制御システムでは、発信器からの信号に基づいて移動可能体が存在していると判定される単位空間に対する設備機器の運転設定としては、予め定められた運転設定の範囲から外れない限りにおいて、その単位空間内の発信器を携帯している移動可能体の嗜好に最も近いものが選択されることになる。したがって、この設備制御システムでは、発信器を携帯している移動可能体の嗜好を活かした設備機器の運転設定を行いつつ、発信器を携帯していない移動可能体に不快な環境がもたらされることを抑制することができる。
請求項2に係る設備制御システムは、請求項1に記載の設備制御システムであって、第3情報導出手段をさらに備える。第3情報導出手段は、判定部において居室空間内に第2移動可能体が存在していると判定された場合には、第2位置情報を推定して導出する。なお、ここにいう「第2位置情報」とは、第2移動可能体が複数の単位空間のうちどの単位空間内に存在しているのかを示す情報である。設定部は、第1嗜好情報、第1位置情報および第2位置情報に基づいて、複数の単位空間のそれぞれに対して運転設定を行う。
この設備制御システムでは、居室空間内において発信器を携帯していない移動可能体の存在が検出された場合には、その発信器を携帯していない移動可能体の存在している単位空間を示す位置情報が推定により導出される。したがって、この設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を考慮して、単位空間ごとに設備機器を制御することができる。
請求項3に係る設備制御システムは、請求項2に記載の設備制御システムであって、第3情報導出手段は、第2移動可能体が複数の単位空間のうち所定の単位空間内に存在しているものと推定して、第2位置情報を導出する。設定部は、所定の単位空間内に存在している移動可能体の総数を考慮して、予め定められた運転設定の範囲内から所定の単位空間内に存在している第1移動可能体の運転設定に関する嗜好に近い運転設定を選択し、所定の単位空間に対する運転設定とする。
この設備制御システムでは、居室空間内において発信器を携帯していない移動可能体の存在が検出された場合には、その発信器を携帯していない移動可能体は、居室空間内の所定の単位空間内に存在しているものと推定される。すなわち、この設備制御システムでは、例えば、移動可能体が居室空間内においてその大部分の時間をある特定の単位空間で過ごすような場合には、発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を合理的に推定することができる。なお、「所定の単位空間」は、移動可能体が一定の行動パターンに従って移動する場合等においては時間帯ごとに設定されてもよく、この場合においても発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を合理的に推定することができる。さらに、この設備制御システムでは、移動可能体が存在していると推定された単位空間に対する設備機器の運転設定が選択されるに際しては、その単位空間内の移動可能体の総数が考慮されるとともに、予め定められた運転設定の範囲から外れない限りにおいて、その単位空間内の発信器を携帯している移動可能体の嗜好についても考慮されることになる。
請求項4に係る設備制御システムは、請求項2に記載の設備制御システムであって、第4情報導出手段をさらに備える。第4情報導出手段は、第2嗜好情報を導出する。ここにいう「第2嗜好情報」とは、第2移動可能体の運転設定に関する嗜好を示す情報である。設定部は、第1嗜好情報、第1位置情報、第2嗜好情報および第2位置情報に基づいて、複数の単位空間それぞれに対する運転設定を行う。
この設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の設備機器の運転設定に関する嗜好情報が導出される。したがって、この設備制御システムでは、居室空間内の全ての移動可能体の嗜好に応じて設備機器の制御を行うことができる。
請求項5に係る設備制御システムは、請求項4に記載の設備制御システムであって、第3情報導出手段は、第2移動可能体が複数の単位空間のうち所定の単位空間内に存在しているものと推定して、第2位置情報を導出する。
この設備制御システムでは、居室空間内において発信器を携帯していない移動可能体の存在が検出された場合には、その発信器を携帯していない移動可能体は、居室空間内の所定の単位空間内に存在しているものと推定される。すなわち、この設備制御システムでは、例えば、移動可能体が居室空間内においてその大部分の時間をある特定の単位空間で過ごすような場合には、発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を合理的に推定することができる。なお、「所定の単位空間」は、移動可能体が一定の行動パターンに従って移動する場合等においては時間帯ごとに設定されてもよく、この場合においても発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を合理的に推定することができる。
請求項6に係る設備制御システムは、請求項4に記載の設備制御システムであって、第3情報導出手段は、第1移動可能体の行動パターンおよび第2移動可能体の行動パターンに基づいて、第2位置情報を推定して導出する。
この設備制御システムでは、居室空間内において発信器を携帯していない移動可能体の存在が検出された場合には、その発信器を携帯していない移動可能体の行動パターンと発信器を携帯している移動可能体の行動パターンとの関係を考慮して、発信器を携帯している移動可能体の実際の位置情報から発信器を携帯していない移動可能体の位置情報が推定される。すなわち、この設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を合理的に推定することができる。
また、請求項に係る発明には直接的には関連しないが、同様の課題を解決するための手段として以下の発明も考え得る。
第1発明に係る設備制御システムは、存否判定部、設備機器、第1情報保持部、および設備制御部を備える。存否判定部は、単位空間に仮想分割された居室空間において単位空間それぞれについて移動可能体が存在するか否かを判定する。なお、ここにいう「単位空間」には、複数の移動可能体が存在可能である。また、ここにいう「移動可能体」とは、例えば、人間や人間に携帯されている情報端末機などである。また、居室空間の仮想分割は、複数の移動体検知センサ(人検知センサなど)の検知範囲を調節することにより行われてもよいし、カメラからの撮影画像を分割することによって行われてもよいし、居室空間を座標化してその座標を分割することによって行われてもよい。また、設備機器が空気調和装置である場合、空気調和装置の空調範囲(空調能力)により単位空間の大きさを決定してもよい(つまり、空調範囲(空調能力)が高い場合は単位空間を大きく設定し、空調範囲(空調能力)が低い場合は単位空間を小さく設定する)。また、移動可能体が単位空間に存在するか否かについては、移動体検知センサを利用してもよいし、撮影画像の変化を利用して判定してもよいし、移動可能体が携帯している発信器あるいは受信器の位置を三辺測量法により特定することによって判定してもよいし、移動可能体が携帯している発信器の位置を電波強度を利用して特定してもよい。設備機器は、単位空間それぞれに対応して設置される。なお、ここにいう「設備機器」は、例えば、空気調和装置や照明装置などである。また、ここにいう「空気調和装置」は、例えば、冷房装置、暖房装置、除湿器、加湿器、換気装置、および空気清浄装置などである。第1情報保持部には、移動可能体関連情報が保持される。なお、ここにいう「移動可能体関連情報」とは、移動可能体に関する情報であり、例えば、移動可能体の嗜好情報などである。また、ここにいう「嗜好情報」とは、例えば、設備機器が空気調和装置である場合、移動可能体(人間)が好む設定温度や、設定湿度、風向、風量、空気清浄レベル、二酸化炭素濃度などであり、設備機器が照明装置である場合、移動可能体(人間)が好む明るさや色調などである。また、この移動可能体関連情報は、移動可能体の携帯端末に自己識別情報が記憶されていない場合にはその携帯端末に記憶され、移動可能体の携帯端末に自己識別情報が記憶されている場合には情報管理サーバ等に記憶される。設備制御部は、第1単位空間に対応する設備機器に対して第1制御を行う。なお、ここにいう「第1単位空間」とは、存否判定部において移動可能体が存在していると判定された単位空間である。また、ここにいう「第1制御」とは、移動可能体関連情報を利用した制御である。
この設備制御システムでは、存否判定部が、単位空間に仮想分割された居室空間において単位空間それぞれについて移動可能体が存在するか否かを判定する。また、設備機器が、単位空間それぞれに対応して設置される。また、第1情報保持部に、移動可能体関連情報が保持される。そして、設備制御部が、第1単位空間に対応する設備機器に対して第1制御を行う。このため、この設備制御システムでは、第1単位空間において人間などの嗜好に応じて設備機器の制御を行うことができる。したがって、この設備制御システムでは、居室空間に存在する人間の快適性を高めることができる。
第2発明に係る設備制御システムは、第1発明に係る設備制御システムであって、第2情報保持部、情報関連テーブル保持部、および情報導出部をさらに備える。第2情報保持部には、移動可能体識別情報が保持される。なお、ここにいう「移動可能体識別情報」とは、移動可能体を識別する情報である。情報関連テーブル保持部には、情報関連テーブルが保持される。なお、ここにいう「情報関連テーブル」とは、移動可能体識別情報と移動可能体関連情報とを関連づけるテーブルである。情報導出部は、情報関連テーブルに基づいて移動可能体識別情報から特定の移動可能体関連情報を導出する。そして、第1制御は、特定の移動可能体関連情報を利用した制御である。
この設備制御システムでは、第2情報保持部に、移動可能体識別情報が保持される。また、情報関連テーブル保持部に、情報関連テーブルが保持される。そして、情報導出部が、情報関連テーブルに基づいて移動可能体識別情報から特定の移動可能体関連情報を導出する。そして、設備制御部が、第1単位空間に対応する設備機器に対して、特定の移動可能体関連情報を利用した制御を行う。このため、この設備制御システムでは、移動可能体は移動可能体識別情報のみを保持しておけばよい。したがって、この設備制御システムでは、移動可能体に保持させる情報記憶媒体を、例えば、RFIDタグなどの簡素なものとすることができる。この結果、この設備制御システムは、低コストで構築することが可能となる。
第3発明に係る設備制御システムは、第1発明または第2発明に係る設備制御システムであって、設備制御部は、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合、演算出力情報に基づいて第1制御を行う。なお、ここにいう「演算出力情報」とは、複数の移動可能体に対応する複数の移動可能体関連情報を演算して得られる情報である。
この設備制御システムでは、設備制御部が、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合、演算出力情報に基づいて第1制御を行う。このため、この設備制御システムでは、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合に、複数の移動可能体に対してできるだけ快適な空間を提供できるような制御パラメータを自動決定させることができる。
第4発明に係る設備制御システムは、第3発明に係る設備制御システムであって、移動可能体関連情報は、数値情報である。そして、演算出力情報は、移動可能体関連情報の平均値の情報である。
この設備制御システムでは、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合、設備制御部が、移動可能体関連情報の平均値に基づいて第1制御を行う。このため、この設備制御システムでは、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合に、ほとんどの移動可能体に対して適度に快適な空間を提供することができる。
第5発明に係る設備制御システムは、第3発明に係る設備制御システムであって、移動可能体関連情報には、優先度の情報が含まれる。そして、演算出力情報は、高い優先度の情報が含まれる移動可能体関連情報を優先的に利用して得られた演算出力情報である。なお、ここにいう「高い優先度の情報が含まれる移動可能体関連情報を優先的に利用」するとは、例えば、高い優先度の情報が含まれる上位数個の移動可能体関連情報のみを利用することや、高い優先度の情報が含まれる移動可能体関連情報に大きな重み付けをすることなどを意味する。
この設備制御システムでは、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合、設備制御部が、高い優先度の情報が含まれる移動可能体関連情報を優先的に利用して第1制御を行う。このため、この設備制御システムでは、例えば、知的生産性の高い人や虚弱な人などに対して優先的に快適空間を提供することができ、組織全体の知的生産性の向上や虚弱者の健康保護などを図ることが可能となる。
第6発明に係る設備制御システムは、第3発明に係る設備制御システムであって、移動可能体滞在時間計測部をさらに備える。移動可能体滞在時間計測部は、移動可能体の単位空間の滞在時間を計測する。そして、演算出力情報は、単位空間の滞在時間を利用して得られた演算出力情報である。このときの第1制御の態様としては、例えば、単位空間の滞在時間の長い移動可能体に対応する移動可能体関連情報を優先的に利用して第1制御を行うこと、逆に、単位空間の滞在時間の短い移動可能体に対応する移動可能体関連情報を優先的に利用して第1制御を行うこと等が考えられる。なお、ここにいう「単位空間の滞在時間の長い又は短い移動可能体に対応する移動可能体関連情報を優先的に利用」するとは、例えば、単位空間の滞在時間の長い又は短い移動可能体に対応する上位数個の移動可能体関連情報のみを利用することや、単位空間の滞在時間の長い又は短い移動可能体に対応する移動可能体関連情報に大きな重み付けをすることなどを意味する。
この設備制御システムでは、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合、設備制御部が、単位空間の滞在時間を利用して第1制御を行う。このため、この設備制御システムでは、単位空間の利用時間を考慮して快適空間を提供することができる。
第7発明に係る設備制御システムは、第3発明に係る設備制御システムであって、移動可能体関連情報は、数値情報である。そして、演算出力情報は、移動可能体関連情報の総和の情報である。
この設備制御システムでは、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合、設備制御部が、移動可能体関連情報の総和に基づいて第1制御を行う。例えば、設備機器が換気装置である場合、単位空間それぞれについて二酸化炭素センサを設けるのはコスト増につながる。しかし、この設備制御システムにおいて、移動可能体関連情報が居室空間を利用する人それぞれに固有の単位時間当たりの二酸化炭素排出量である場合、単位時間当たりの二酸化炭素排出量に滞在時間を乗じた値の総和を求めれば、単位空間それぞれにおける二酸化炭素排出量が推定可能である。したがって、この設備制御システムでは、上記のような場合、二酸化炭素センサを設けることなく低コストで同様の換気制御を行うことができる。
第8発明に係る設備制御システムは、第1発明から第7発明のいずれかに係る設備制御システムであって、第1情報表示部をさらに備える。第1情報表示部は、情報を表示する。なお、ここにいう「情報」とは、例えば、移動可能体関連情報(数値情報および優先度の情報など)、移動可能体識別情報、および演算出力情報などである。
この設備制御システムでは、第1情報表示部が、移動可能体関連情報(数値情報および優先度の情報など)、移動可能体識別情報、および演算出力情報などを表示する。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を見ることができれば、複数の移動可能体が1つの単位空間に存在する場合、その単位空間に対応する設備機器がどのように制御されているのか、また、その単位空間に存在する複数の移動可能体がどのような移動可能体関連情報を有しているのか等を確認することができる。したがって、この設備制御システムでは、移動可能体は、第1情報表示部を見ることができれば、設備機器が自身の希望と異なる制御を行っていたとしても、ある程度納得することができる。
第9発明に係る設備制御システムは、第8発明に係る設備制御システムであって、第1情報表示部は、移動可能体それぞれに対して用意される。また、この第1情報表示部は、自体が存在する単位空間に存在する移動可能体に対応する移動可能体関連情報を表示する。なお、ここにいう「自体」とは、情報表示部自体である。
この設備制御システムでは、第1情報表示部が、移動可能体それぞれに対して用意され、自体が存在する単位空間に存在する移動可能体に対応する移動可能体関連情報を表示する。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を携帯していれば、移動可能体は、自身が存在する単位空間に存在する他の移動可能体の移動可能体関連情報を確認することができる。したがって、この設備制御システムでは、移動可能体は、設備機器が自身の希望と異なる制御を行っていたとしても、ある程度納得することができる。
第10発明に係る設備制御システムは、第8発明または第9発明に係る設備制御システムであって、カウント部をさらに備える。カウント部は、単位空間に存在する移動可能体の数をカウントする。そして、第1情報表示部は、移動可能体それぞれに対して用意される。また、この第1情報表示部は、自体が存在する単位空間に存在する前記移動可能体の数の情報を表示する。
この設備制御システムでは、カウント部が、単位空間に存在する移動可能体の数をカウントする。そして、第1情報表示部が、移動可能体それぞれに対して用意され、自体が存在する単位空間に存在する前記移動可能体の数の情報を表示する。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を携帯していれば、移動可能体は、自身が存在する単位空間に存在する他の移動可能体の数を認識することができる。
第11発明に係る設備制御システムは、第8発明から第10発明のいずれかに係る設備制御システムであって、第1情報表示部は、移動可能体それぞれに対して用意される。また、この第1情報表示部は、自体が存在する単位空間に対応する設備機器に関連する情報である設備関連情報を表示する。
この設備制御システムでは、第1情報表示部が、移動可能体それぞれに対して用意され、設備関連情報を表示する。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を携帯していれば、移動可能体は、自身のために運転されている設備機器を特定したり設備機器の能力などを確認したりすることができる。
第12発明に係る設備制御システムは、第3発明から第7発明のいずれかに係る設備制御システムであって、第2情報表示部をさらに備える。第2情報表示部は、移動可能体それぞれに対して用意される。また、この第2情報表示部は、自体が存在する単位空間に対応する演算出力情報を表示する。なお、ここで、第1情報表示部と第2情報表示部とは同一であってもよい。
この設備制御システムでは、第2情報表示部が、移動可能体それぞれに対して用意され、自体が存在する単位空間に対応する演算出力情報を表示する。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を携帯していれば、移動可能体は、自身が存在する単位空間に対応する設備機器の制御状態を確認することができる。
第13発明に係る設備制御システムは、第1発明から第12発明のいずれかに係る設備制御システムであって、情報変更手段をさらに備える。情報変更手段では、移動可能体関連情報が変更される。
この設備制御システムでは、情報変更手段で、移動可能体関連情報が変更される。このため、この設備制御システムでは、例えば、運動直後など、移動可能体の嗜好が一時的に変化するような場合に、容易に対応することができる。
第14発明に係る設備制御システムは、第13発明に係る設備制御システムであって、情報変更範囲制限手段をさらに備える。情報変更範囲制限手段は、移動可能体関連情報を変更する範囲を制限する。
この設備制御システムでは、情報変更範囲制限手段が、移動可能体関連情報を変更する範囲を制限する。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が過度に移動可能体関連情報を変更することを防止することができる。
第15発明に係る設備制御システムは、第13発明に係る設備制御システムであって、移動可能体関連情報は、数値情報である。また、この設備制御システムは、情報入力部をさらに備える。情報入力部は、移動可能体関連情報のオフセット値情報を入力するためのものである。そして、情報変更手段は、オフセット値情報を利用して移動可能体関連情報を変更する。
この設備制御システムでは、情報変更手段が、オフセット値情報を利用して移動可能体関連情報を変更する。このため、この設備制御システムでは、元の移動可能体関連情報を変更せずに移動可能体関連情報の変更が可能となる。したがって、この設備制御システムでは、移動可能体が不用意に元の移動可能体関連情報を永久変更してしまうことを防止することができる。
第16発明に係る設備制御システムは、第15発明に係る設備制御システムであって、オフセット値情報範囲制限手段をさらに備える。オフセット値情報範囲制限手段は、オフセット値情報の範囲を制限する。
この設備制御システムでは、オフセット値情報範囲制限手段が、オフセット値情報の範囲を制限する。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が過度に移動可能体関連情報を変更することを防止することができる。
第17発明に係る設備制御システムは、第13発明から第16発明のいずれかに係る設備制御システムであって、変更時間規定部をさらに備える。変更時間規定部では、移動可能体関連情報を変更する時間が規定される。
この設備制御システムでは、変更時間規定部で、移動可能体関連情報を変更する時間が規定される。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が不用意に元の移動可能体関連情報を永久変更してしまうことを防止することができる。
第18発明に係る設備制御システムは、第1発明から第17発明のいずれかに係る設備制御システムであって、設備制御部は、存否判定部において移動可能体が存在していないと判定された単位空間に対応する設備機器に対して第2制御を行う。なお、ここにいう「第2制御」とは第1制御とは異なる制御であり、例えば、設備機器を停止させる制御や、設備機器を最低能力で運転する制御などである。
この設備制御システムでは、設備制御部が、存否判定部において移動可能体が存在していないと判定された単位空間に対応する設備機器に対して第2制御を行う。このため、この設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となる。
第19発明に係る設備制御システムは、第18発明に係る設備制御システムであって、第2制御は、停止制御である。
この設備制御システムでは、第2制御が、停止制御である。このため、この設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となる。
第20発明に係る設備制御システムは、第18発明に係る設備制御システムであって、設備機器は、インバータ制御される圧縮機を有する空気調和装置である。そして、第2制御は、圧縮機の運転周波数を最小にする制御である。
この設備制御システムでは、第2制御が、圧縮機の運転周波数を最小にする制御である。このため、この設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となる。また、この設備制御システムでは、圧縮機を停止させないので、圧縮機の寿命を延ばすことができる。
第21発明に係る設備制御システムは、第1発明から第17発明のいずれかに係る設備制御システムであって、隣接判定部をさらに備える。隣接判定部は、第2単位空間が第1単位空間に隣接しているか否かを判定する。なお、ここにいう「第2単位空間」とは、存否判定部において移動可能体が存在していないと判定された単位空間である。そして、設備制御部は、隣接判定部において第1単位空間に隣接していると判定された第2単位空間に対応する設備機器に対して設備機器が第1制御されているときよりも消費電力が小さくなる制御を行い、隣接判定部において第1単位空間に隣接していないと判定された第2単位空間に対応する設備機器に対して、停止制御を行う。
この設備制御システムでは、設備制御部が、隣接判定部において第1単位空間に隣接していると判定された第2単位空間に対応する設備機器に対して設備機器が第1制御されているときよりも消費電力が小さくなる制御を行い、隣接判定部において第1単位空間に隣接していないと判定された第2単位空間に対応する設備機器に対して、停止制御を行う。このため、この設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となるとともに、移動可能体が存在する単位空間の快適性を損なうことを防ぐことができる。
第22発明に係る設備制御システムは、第1発明から第17発明のいずれかに係る設備制御システムであって、位置検出部をさらに備える。位置検出部は、第2単位空間と第1単位空間との位置関係を検出する。なお、ここにいう「第2単位空間」とは、存否判定部において移動可能体が存在していないと判定された単位空間である。そして、設備制御部は、第2単位空間に対応する設備機器に対して第3制御を行う。なお、ここにいう「第3制御」とは、位置関係を利用した制御である。
この設備制御システムでは、位置検出部が、第2単位空間と第1単位空間との位置関係を検出する。そして、設備制御部が、第2単位空間に対応する設備機器に対して第3制御を行う。このため、この設備制御システムでは、例えば、第1単位空間からの距離が遠い第2単位空間に対応する設備機器ほど、能力を弱める制御などを行うことが可能となる。したがって、この設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となるとともに、移動可能体が存在する単位空間の快適性を損なうことを防ぐことができる。
第23発明に係る設備制御システムは、第22発明に係る設備制御システムであって、第3制御は、第1単位空間からの距離が遠い第2単位空間に対応する設備機器ほど、能力を弱める制御である。
この設備制御システムでは、第3制御が、第1単位空間からの距離が遠い第2単位空間に対応する設備機器ほど、能力を弱める制御である。このため、この設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となるとともに、移動可能体が存在する単位空間の快適性を損なうことを防ぐことができる。
第24発明に係る設備制御システムは、第23発明に係る設備制御システムであって、設備機器の能力を弱める割合は、移動可能体の標準移動速度および設備機器の時間に関する情報を利用して決定される。なお、ここにいう「設備機器の時間に関する情報」とは、例えば、起動速度や反応速度などである。
この設備制御システムでは、設備機器の能力を弱める割合が、移動可能体の標準移動速度および設備機器の時間に関する情報を利用して決定される。このため、この設備制御システムでは、移動可能体が移動している間であっても移動可能体に快適な空間を提供し続けることが可能となる。
第25発明に係る設備制御装置は、存否判定部、第1情報取得部、および設備制御部を備える。存否判定部は、単位空間に仮想分割された居室空間において単位空間それぞれについて移動可能体が存在するか否かを判定する。なお、ここにいう「単位空間」には、複数の移動可能体が存在可能である。また、ここにいう「移動可能体」とは、例えば、人間などである。また、居室空間の仮想分割は、複数の移動体検知センサ(人検知センサなど)の検知範囲を調節することにより行われてもよいし、カメラからの撮影画像を分割することによって行われてもよいし、居室空間を座標化してその座標を分割することによって行われてもよい。また、移動可能体が単位空間に存在するか否かについては、移動体検知センサを利用してもよいし、撮影画像の変化を利用して判定してもよいし、移動可能体が携帯している発信器あるいは受信器の位置を三辺測量法により特定することによって判定してもよい。第1情報取得部は、移動可能体関連情報を取得する。なお、ここにいう「移動可能体関連情報」とは、移動可能体に関する情報である。設備制御部は、第1単位空間に対応する設備機器に対して第1制御を行う。なお、ここにいう「第1単位空間」とは、存否判定部において移動可能体が存在していると判定された単位空間である。また、ここにいう「設備機器」は、例えば、空気調和装置や照明装置などである。また、ここにいう「空気調和装置」は、例えば、冷房装置、暖房装置、除湿器、加湿器、換気装置、および空気清浄装置などである。また、ここにいう「第1制御」とは、移動可能体関連情報を利用した制御である。
この設備制御装置では、存否判定部が、単位空間に仮想分割された居室空間において単位空間それぞれについて移動可能体が存在するか否かを判定する。また、第1情報取得部が、移動可能体関連情報を取得する。そして、設備制御部が、第1単位空間に対応する設備機器に対して第1制御を行う。このため、この設備制御装置では、第1単位空間において人間などの嗜好に応じて設備機器の制御を行うことができる。したがって、この設備制御装置では、居室空間に存在する人間の快適性を高めることができる。
請求項1に係る設備制御システムでは、単位空間ごとに移動可能体の嗜好に応じて設備機器の制御を行うことができる。したがって、この設備制御システムでは、居室空間に存在する移動可能体の快適性を高めることができる。また、居室空間内に発信器を携帯していない移動可能体が存在する場合にも、その移動可能体の存在を考慮して単位空間ごとに設備機器を制御することができる。したがって、この設備制御システムでは、発信器を携帯している移動可能体の嗜好を活かした設備機器の運転設定を行いつつ、発信器を携帯していない移動可能体に不快な環境がもたらされることを抑制することができる。
また、発信器を携帯していない移動可能体の存在を検出することができる。したがって、この設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の存在を考慮して、単位空間ごとに設備機器を制御することができる。
また、発信器を携帯している移動可能体の嗜好を活かした設備機器の運転設定を行いつつ、発信器を携帯していない移動可能体に不快な環境がもたらされることを抑制することができる。
請求項2に係る設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を考慮して、単位空間ごとに設備機器を制御することができる。
請求項3に係る設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を合理的に推定することができる。
請求項4に係る設備制御システムでは、居室空間内の全ての移動可能体の嗜好に応じて設備機器の制御を行うことができる。
請求項5に係る設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を合理的に推定することができる。
請求項6に係る設備制御システムでは、発信器を携帯していない移動可能体の位置情報を合理的に推定することができる。
第1発明に係る設備制御システムでは、第1単位空間において人間などの嗜好に応じて設備機器の制御を行うことができる。したがって、この設備制御システムでは、居室空間に存在する人間の快適性を高めることができる。
第2発明に係る設備制御システムでは、移動可能体に保持させる情報記憶媒体を、例えば、RFIDタグなどの簡素なものとすることができる。この結果、この設備制御システムは、低コストで構築することが可能となる。
第3発明に係る設備制御システムでは、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合に、複数の移動可能体に対してできるだけ快適な空間を提供できるような制御パラメータを自動決定させることができる。
第4発明に係る設備制御システムでは、単位空間に複数の移動可能体が存在している場合に、ほとんどの移動可能体に対して適度に快適な空間を提供することができる。
第5発明に係る設備制御システムでは、知的生産性の高い人や虚弱な人などに対して優先的に快適空間を提供することができ、組織全体の知的生産性の向上や虚弱者の健康保護などを図ることが可能となる。
第6発明に係る設備制御システムでは、単位空間の利用時間を考慮して快適空間を提供することができる。
第7発明に係る設備制御システムでは、二酸化炭素センサを設けることなく低コストで同様の換気制御を行うことができる。
第8発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を見ることができれば、複数の移動可能体が1つの単位空間に存在する場合、その単位空間に対応する設備機器がどのように制御されているのか、また、その単位空間に存在する複数の移動可能体がどのような移動可能体関連情報を有しているのか等を確認することができる。したがって、この設備制御システムでは、移動可能体は、第1情報表示部を見ることができれば、設備機器が自身の希望と異なる制御を行っていたとしても、ある程度納得することができる。
第9発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を携帯していれば、移動可能体は、自身が存在する単位空間に存在する他の移動可能体の移動可能体関連情報を確認することができる。したがって、この設備制御システムでは、移動可能体は、設備機器が自身の希望と異なる制御を行っていたとしても、ある程度納得することができる。
第10発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を携帯していれば、移動可能体は、自身が存在する単位空間に存在する他の移動可能体の数を認識することができる。
第11発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を携帯していれば、移動可能体は、自身のために運転されている設備機器を特定したり設備機器の能力などを確認したりすることができる。
第12発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が第1情報表示部を携帯していれば、移動可能体は、自身が存在する単位空間に対応する設備機器の制御状態を確認することができる。
第13発明に係る設備制御システムでは、例えば、運動直後など、移動可能体の嗜好が一時的に変化するような場合に、容易に対応することができる。
第14発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が過度に移動可能体関連情報を変更することを防止することができる。
第15発明に係る設備制御システムでは、元の移動可能体関連情報を変更せずに移動可能体関連情報の変更が可能となる。したがって、この設備制御システムでは、移動可能体が不用意に元の移動可能体関連情報を永久変更してしまうことを防止することができる。
第16発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が過度に移動可能体関連情報を変更することを防止することができる。
第17発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が不用意に元の移動可能体関連情報を永久変更してしまうことを防止することができる。
第18発明に係る設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となる。
第19発明に係る設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となる。
第20発明に係る設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となる。また、この設備制御システムでは、圧縮機を停止させないので、圧縮機の寿命を延ばすことができる。
第21発明に係る設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となるとともに、移動可能体が存在する単位空間の快適性を損なうことを防ぐことができる。
第22発明に係る設備制御システムでは、例えば、第1単位空間からの距離が遠い第2単位空間に対応する設備機器ほど、能力を弱める制御などを行うことが可能となる。したがって、この設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となるとともに、移動可能体が存在する単位空間の快適性を損なうことを防ぐことができる。
第23発明に係る設備制御システムでは、居室全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となるとともに、移動可能体が存在する単位空間の快適性を損なうことを防ぐことができる。
第24発明に係る設備制御システムでは、移動可能体が移動している間であっても移動可能体に快適な空間を提供し続けることが可能となる。
第25発明に係る設備制御装置では、第1単位空間において人間などの嗜好に応じて設備機器の制御を行うことができる。したがって、この設備制御装置では、居室空間に存在する人間の快適性を高めることができる。
ここでは、図1〜図34の図面を参照しながら本発明の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300について説明する。なお、以下の説明において、同じ参照符号の付された構成要素は同じ構成を有するものとする。
<第1実施の形態>
〔セル型空調・照明制御システム〕
このセル型空調・照明制御システム1は、図1に示されるように、主に、空気調和装置2a,2b,2c,・・・、照明装置3a,3b,3c,・・・、携帯型SIP(Session Initiation Protocol)フォン4a,4b,4c,・・・、情報管理サーバ5、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント10a,10b,10c・・・、および制御装置7から構成されている。以下、これらの各構成要素について詳述する。
(1)空気調和装置
本実施の形態に係る空気調和装置2a,2b,2c,・・・は、図1に示されるように、主に、居室内に設置される室内機20a,20b,20c,・・・、屋外に設置される室外機21a,21b,21c,・・・、室内機20a,20b,20c,・・・と室外機21a,21b,21c,・・・とを冷媒循環可能に接続する冷媒配管22a,22b,22c,・・・、および室内機20a,20b,20c,・・・と室外機21a,21b,21c,・・・とを通信接続する第3通信線23a,23b,23c,・・・から構成されるセパレート型の空気調和装置である。また、この室内機20a,20b,20c,・・・は、カセット式の室内機であり、化粧パネル24a,24b,24c,・・・が居室側に露出するように天井裏に埋設される。また、この室外機21a,21b,21c,・・・には、図示しない圧縮機が搭載されているが、この圧縮機は、インバータ制御可能な圧縮機である。なお、これらの空気調和装置2a,2b,2c,・・・は、基本機能として、送風機能、冷暖房機能、および除湿機能などを有する。また、これらの空気調和装置2a,2b,2cでは室外機21a,21b,21c,・・・それぞれに図示しない加湿ユニットが設けられており、加湿ユニットは第1給気管(図示せず)を介して室内機20a,20b,20c,・・・に接続されている。このため、これらの空気調和装置2a,2b,2cは、加湿機能をも有する。また、これらの空気調和装置2a,2b,2c,・・・では室内機20a,20b,20c,・・・それぞれに外気導入管(図示せず)および第2排気管(図示せず)が配管接続されている。このため、これらの空気調和装置2a,2b,2c,・・・は、換気機能をも有する。なお、本実施の形態では、外気導入管および第2排気管は全熱交換器(図示せず)に接続されているため、換気時において無駄に熱を排出することはない。
そして、これらの空気調和装置2a,2b,2cは、第2通信線92を介して制御装置7に通信接続されており、制御装置7から送信される制御信号に従って種々の機能を発揮する。また、この室内機20a,20b,20c,・・・には、図1に示されるように、無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・が内蔵されている。
(2)照明装置
本実施の形態に係る照明装置3a,3b,3c,・・・は、照度調節可能な照明装置である。なお、これらの照明装置3a,3b,3c,・・・には図示しない照度センサが設けられており、照度センサは第1通信線91を介して制御装置7に通信接続されている。照度センサは計測値を制御装置7に送信し、制御装置7は照明装置3a,3b,3c,・・・の照度が目的照度に達すように照明装置3a,3b,3c,・・・の制御部(図示せず)に電力消費信号を第1通信線91を介して送信する。
(3)携帯型SIPフォン
本実施の形態に係る携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・は、携帯電話の形をした無線LAN対応のIP電話である。このため、この携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・は、無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・と無線通信を行うことができる。なお、この携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・にはデータ書き換え可能な記憶部(図示せず)が内蔵されており、その記憶部にはIP電話実行プログラムや、その携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を所有する人の識別番号データ(以下、個人識別番号データという)などが記憶されている。本実施の形態では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の電源が投入されている場合、この携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・は、個人識別番号データを常時発信している。
(4)情報管理サーバ
本実施の形態に係る情報管理サーバ5は、図2に示されるように、主に、サーバ本体50およびルータ60から構成されている。なお、情報管理サーバ5にメンテナンスやアップデートが必要な場合は、図示しない入力装置インターフェイスやディスプレイインターフェイス等に入力装置(図示せず)やディスプレイ(図示せず)等が適宜接続される。
サーバ本体50は、図2に示されるように、主に、中央処理部51、メインメモリ53、ハードディスク54、接続部52、IDEインターフェイス55、およびLANインターフェイス56から構成されている。そして、このサーバ本体50では、中央処理部51が第1バス線57を介して、メインメモリ53が第2バス線58を介して、LANインターフェイス56およびIDEインターフェイス55が第3バス線59を介して接続部52に接続されている。ここで、中央処理部51は、例えば、マイクロプロセッサと呼ばれる半導体チップ等であって、主に、制御部51Aおよび演算部51Bから構成される(他に1次キャッシュメモリや2次キャッシュメモリ等を含んでいてもよい)。メインメモリ53は、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)等の半導体チップである。接続部52は、チップセット等の半導体チップである。なお、このハードディスク54は、外付けタイプであってもかまわない。そして、このハードディスク54には、図3に示されるように、オペレーティングシステム54a、デバイスドライバ54b、データベースアプリケーション54c、位置情報導出アプリケーション54e、制御パラメータ導出アプリケーション54g、およびソフトウェアタイマーアプリケーション54iといったプログラムや、居室の平面座標データ54f(後述)、設備対応関係データベース54h(後述)、個人情報データベース54d等が格納されている。オペレーティングシステム54aは、例えば、WINDOWS(登録商標)、MAC OS(登録商標)、OS/2、UNIX(登録商標)(例えば、Linux(登録商標)等)、あるいはBeOS(登録商標)等であって、各部52〜54、各種インターフェイス55,56、ルータ60等のハードウェア管理や、ユーザインターフェイスの提供、各種データの管理、アプリケーションの共通部分の処理等を行う。デバイスドライバ54bは、ハードディスク54、接続部52、およびルータ60それぞれに対して用意されている専用プログラムであって、オペレーティングシステム54aがハードディスク54、接続部52、およびルータ60を制御するための橋渡しを行う。データベースアプリケーション54cは、個人情報データベース54dや設備対応関係データベース54hなどを構築したりアップデートしたりするためのプログラムである。なお、本実施の形態において、個人情報データベース54dには、図4に示されるように、個人識別番号データに対して、重み付け係数データ、ならびに冷房時希望設定温度データ、暖房時希望設定温度データ、冷房時希望設定湿度データ、暖房時希望設定湿度データ、二酸化炭素排出量データ、および希望設定照度データ(本実施の形態においては、500ルクス以上という制限が設けられている)などの個人嗜好データが関連づけられた上で蓄積されている。なお、これらの重み付け係数データおよび個人嗜好データは、後述する様々な空調・照明制御において利用されることになる。位置情報導出アプリケーション54eは、無線LANアクセスポイント10a,10b.10cからイーサネット(登録商標)ケーブル94およびルータ60を介して送信されてくる個人識別番号データと電波強度データとからその個人識別番号データを発信している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の位置を導出する。制御パラメータ導出アプリケーション54gは、制御装置7が空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tを制御するために必須となる制御パラメータを導出し、制御装置7に送信する。ソフトウェアタイマーアプリケーション54iは、時刻を刻む。IDE(Integrated Drive Electronics)インターフェイス55は、ハードディスク54を接続部52に接続する。LANインターフェイス90は、第1イーサネット(登録商標)ケーブル94aを介してルータ60に接続され、ルータ60は第2イーサネット(登録商標)ケーブル94bを介して無線LANアクセスポイント10a,10b,10c,・・・に通信接続される。なお、ここで、符号94a,94bは、図1の符号94に対応する。
次に、図5を用いて情報管理サーバ5の動作について説明する。
制御部51Aは、図5に示されるように、メインメモリ53に一時記憶されるプログラムを読み込み(Fd5参照)、読み込んだプログラムに従って各部52〜56およびルータ60に動作を指示する(Fc1〜Fc4参照)。演算部51Bは、制御部51Aの命令に従ってメインメモリ53から必要なデータを取得して(Fd1参照)演算処理(例えば、算術演算処理や論理演算処理等)を行う。メインメモリ53は、プログラムやデータ等をハードディスク54から取得して(Fd3参照)一時記憶したり、演算部51Bやルータ60から送信されるデータ(Fd2およびFd7参照)を一時記憶したりする。また、このメインメモリ53は、制御部51Aの命令に応じて一時記憶しているデータ等を各部52〜56およびルータ60に送信する(Fd1、Fd4、およびFd6参照)。ハードディスク54は、制御部51Aの命令に応じてメインメモリ53にプログラムやデータ等を供給したり(Fd3参照)メインメモリ53から送信されるデータ等を格納したりする(Fd4参照)。
(5)無線LANアクセスポイント
本実施の形態に係る無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・は、上述したように、室内機20a,20b,20cに内蔵される。なお、これらの無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・のアンテナ11a,11b,11cは、化粧パネル24a,24b,24c,・・・から居室側に露出するように突出している。また、これらの無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・は、イーサネット(登録商標)ケーブル94およびルータ50B(図2参照)を介して情報管理サーバ5に通信接続されている。
(6)制御装置
本実施の形態に係る制御装置7は、図6に示されるように、主に、中央処理部71、RAM(Random Access Memory)72、ROM(Read Only Memory)74、EEPROM75、I/O制御部73、LAN用インターフェイス76、空気調和装置用インターフェイス77、照明装置用インターフェイス78、LANケーブル用コネクタ79、空気調和装置用コネクタ80、および照明装置用コネクタ81から構成されている。ここで、中央処理部71、RAM72、ROM74、EEPROM75、およびI/O制御部73は、例えば、マイクロコンピュータであって、相互に第1バス線82によって接続されており、1つの集積回路を構成している。また、LAN用インターフェイス76、空気調和装置用インターフェイス77、および照明装置用インターフェイス78は、例えば、プリント回路基板等であって、第2バス線83a,83b,83cを介してI/O制御部73に接続されている。また、LANケーブル用コネクタ79は、第4通信線84を介してLAN用インターフェイス76に接続されている。また、空気調和装置用コネクタ80は、第5通信線85を介して空気調和装置用インターフェイス77に接続されている。また、照明装置用コネクタ81は、第6通信線86を介して照明装置用インターフェイス78に接続されている。
中央処理部71は、主に、制御部71Aおよび演算部71Bを有する。制御部71Aは、図7に示されるように、ROM74に記憶されている空調・照明制御プログラムを読み込み(Fd6参照)、読み込んだ空調・照明制御プログラムに従って演算部71B、RAM72、ROM74、EEPROM75、およびI/O制御部73に動作を指示する(Fc1〜Fc4参照)。演算部71Bは、図7に示されるように、制御部71Aの命令に従って制御部71A、RAM72、ROM74、およびEEPROM75から必要なデータを取得して(Fd1、Fd4、およびFd7参照)演算処理(例えば、算術演算処理や論理演算処理等)を行う。また、この演算部71Bは、制御部71Aの命令に従って、演算処理の処理結果データを制御部71Aに供給することができる(Fd2参照)。また、この演算部71Bは、制御部71Aの命令に従って、演算処理の処理結果データをRAM72やEEPROM75に書き込むことができる(Fd3参照)。
RAM72は、図7に示されるように、制御部71Aの指示に従って、各種データを制御部71Aに供給することができる(Fd5参照)。また、このRAM72は、データをI/O制御部73から取得して(Fd9参照)一時記憶したり、演算部71Bから送信されるデータ(Fd3参照)を一時記憶したりする。また、このRAM72は、制御部71Aの命令に応じて一時記憶しているデータをI/O制御部73に送信する(Fd8参照)。
ROM74は、監視制御プログラムや各種データを格納している。そして、このROM74は、図7に示されるように、制御部71Aの指示に従って、それらを制御部71Aに供給する(Fd6参照)。また、このROM74は、制御部71Aの指示に従って、各種データを演算部71Bに供給することができる(Fd7参照)。
EEPROM75は、電気的に書き換え可能なROMであり、空気調和装置2a,2b,2c,・・・や照明装置3a,3b,3c,・・・の監視データや情報管理サーバ5から提供される個人嗜好データなどを記憶する。
I/O制御部73は、LAN用インターフェイス76に着信するデータや、空気調和装置2a,2b,2c,・・・や照明装置3a,3b,3c,・・・から送信されてくる監視データ等をRAM72へ入力したり(Fd9参照)、RAM72に記憶されている各種データや制御信号などを空気調和装置2a,2b,2c,・・・や照明装置3a,3b,3c,・・・に送信したりする。
LAN用インターフェイス76、空気調和装置用インターフェイス77、および照明装置用インターフェイス78は、通信線84〜86を介してLANケーブル用コネクタ79、空気調和装置用コネクタ80、および照明装置用コネクタ81に接続されており、情報管理サーバ5や、空気調和装置2a,2b,2c,・・・、照明装置3a,3b,3c,・・・から送信されてくるデータ等を受信すると同時にそれらのデータを中央処理部71が処理可能な形式に変換したりI/O制御部73から情報管理サーバ5や、空気調和装置2a,2b,2c,・・・、照明装置3a,3b,3c,・・・に出力されるデータや制御信号などを情報管理サーバ5や、空気調和装置2a,2b,2c,・・・、照明装置3a,3b,3c,・・・が処理可能な形式に変換したりする。
LANケーブル用コネクタ79には、情報管理サーバ5から伸びるイーサネット(登録商標)ケーブル94bが接続される。
空気調和装置用コネクタ80には、空気調和装置2a,2b,2c,・・・の室外機21a,21b,21cから伸びる第2通信線92が接続される。
照明装置用コネクタ81には、照明装置3a,3b,3c,・・・から伸びる第1通信線91が接続される。
〔居室における空気調和装置および照明装置の配置〕
居室LSは、本実施の形態において多数の人々が作業を行うオフィスであり、図8に示される居室LSの上面図のように、情報管理サーバ5上において5メートル四方のセル空間15a〜15xに仮想的に分割されている。ここで、セル空間15a〜15xの大きさを5m四方としたのは、室内機20a〜20xの空調可能範囲に基づいている。また、ここで、室内機20a〜20xは、セル空間15a〜15xのほぼ中央に位置している。また、照明装置3a〜3tは、居室LSの長手方向に沿って室内機20a〜20xの中間付近にくるように配置されている。
〔携帯型SIPフォンの位置検出と携帯型SIPフォンが存在するセル空間の特定〕
居室LSは、情報管理サーバ5上で平面座標データ化されている(図8参照)。ここで、図中、符号P1で示される点は(0,0)で表されており、符号P2〜P35で示される点は、それぞれ順に(100,0)、(200,0)、(300,0)、(400,0)、(500,0)、(600,0)、(0,100)、(100,100)、(200,100)、(300,100)、(400,100)、(500,100)、(600,100)、(0,200)、(100,200)、(200,200)、(300,200)、(400,200)、(500,200)、(600,200)、(0,300)、(100,300)、(200,300)、(300,300)、(400,300)、(500,300)、(600,300)、(0,400)、(100,400)、(200,400)、(300,400)、(400,400)、(500,400)、(600,400)で表されている。つまり、座標単位は、実際の居室LSにおいては5cmに相当することになる。
そして、上述したように、情報管理サーバ5では、位置情報導出アプリケーション54eにより、個人識別番号データと電波強度データとから個人識別番号データを発信している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の座標データが導出される。そして、この座標データを平面座標データに照合して個人識別番号データを発信している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・、つまり人の存在するセル空間15a〜15xを特定する。例えば、位置情報導出アプリケーション54eにより導出された座標が(325,252)であれば、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・、つまり人が符号15jのセル空間に存在すると判断される。
〔空気調和装置および照明装置とセル空間との対応関係〕
空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tとセル空間15a〜15zとの対応関係は、設備対応関係データベース54hとして情報管理サーバ5に記憶されている。設備対応関係データベース54hでは、空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tのアドレスデータとセル空間15a〜15xとが関係づけられている。なお、本実施の形態において、空気調和装置2a〜2xは、室内機20a〜20xが設置されているセル空間15a〜15xに対応づけられている。また、照明装置3a〜3tは、図8において向かって左側のセル空間15a〜15xに対応づけられている。例えば、符号3mで示される照明装置は、符号15oで示されるセル空間に対応づけられている。
〔セル型空調・照明制御システムの制御内容〕
(1)温湿度制御
携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していなかったセル空間15a〜15xにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されると、情報管理サーバ5において、図9に示されるフローチャートに従ってそのセル空間15a〜15xの温湿度制御が行われる。
図9において、ステップS1では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されたセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータを設備対応関係データベース54hから抽出する。ステップS2では、情報管理サーバ5が、制御装置7に対して、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されたセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータを送信し、その空気調和装置2a〜2xの運転モードデータを要求する。ステップS3では、情報管理サーバ5が、制御装置7からその空気調和装置2a〜2xの運転モードデータを受信する。ステップS4では、情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータが冷房モードデータであるか、暖房モードデータであるか、あるいはその他の運転モードデータであるかを判定する。ステップS4において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータが冷房モードデータであると判定した場合、処理はステップS5に移る。ステップS4において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータが暖房モードデータであると判定した場合、処理はステップS8に移る。ステップS4において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータがその他の運転モードデータであると判定した場合、処理は終了される。ステップS5では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・から発信されている個人識別番号データに対応する冷房時希望設定温度データおよび冷房時希望設定湿度データ(以下、冷房時希望設定温湿度データと略する)を個人情報データベース54dから抽出する。ステップS6では、情報管理サーバ5が、ステップS1において抽出された空気調和装置2a〜2xのアドレスデータ、ステップS5において抽出された冷房時希望設定温湿度データ、および温湿度制御の実行指令信号を制御装置7に送信する。ステップS7では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する空気調和装置2a〜2xに対して、設定温度を冷房時希望設定温度データと等しくするための制御信号と、設定湿度を冷房時希望設定湿度と等しくするための制御信号とを送信する。ステップS8では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・から発信されている個人識別番号データに対応する暖房時希望設定温度データおよび暖房時希望設定湿度データ(以下、暖房時希望設定温湿度データと略する)を個人情報データベース54dから抽出する。ステップS9では、情報管理サーバ5が、ステップS1において抽出された空気調和装置2a〜2xのアドレスデータ、ステップS5において抽出された暖房時希望設定温湿度データ、および温湿度制御の実行指令信号を制御装置7に送信する。ステップS10では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する空気調和装置2a〜2xに対して、設定温度を暖房時希望設定温度と等しくするための制御信号と、設定湿度を暖房時希望設定湿度と等しくするための制御信号とを送信する。
なお、情報管理サーバ5において、セル空間15a〜15xに複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が検出されると、図10に示されるフローチャートに従って空気調和装置2a〜2xの設定温度および設定湿度が決定される。
図10において、ステップS21では、情報管理サーバ5が、複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・それぞれから発信されている個人識別番号データに対応する重み付け係数データと冷房時希望設定温湿度データまたは暖房時希望設定温湿度データとを個人情報データベース54dから抽出する。なお、ステップS21において冷房時希望設定温湿度データが抽出されるか暖房時希望設定温湿度データが抽出されるかについては、図9に示されるフローチャートと同様の理屈で決定される。ステップS22では、情報管理サーバ5が、演算部51Bにおいて、冷房時希望設定温湿度または暖房時希望設定温湿度を、重み付け係数を用いて重み付け平均する。例えば、個人識別番号データ100501を発信する携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を携帯する人と、個人識別番号100575を発信する携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を携帯する人とが同じセル空間15a〜15xに存在する場合であれば、冷房時希望設定温度の重み付け平均の結果は、(8x28.0+1x29.0)/(8+1)=28.1となる。ステップS23では、情報管理サーバ5が、演算部51Bにおいて、ステップS22において求められた数値を丸める。なお、希望設定温度の重み付け平均値を丸める場合は、0.5℃単位で丸める。上記の例であれば、28.5℃よりも28.0℃の方が近いので、その値は28.0℃とされる。また、希望設定湿度の重み付け平均値を丸める場合は、1%単位で丸める。ステップS24では、情報管理サーバ5が、複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されたセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータ、ステップS23において出力された重み付け平均値データ、および温湿度制御の実行指令信号を制御装置7に送信する。ステップS25では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する空気調和装置2a〜2xに対して、設定温度を重み付け平均値と等しくするための制御信号を送信する。
(2)換気制御
本実施の形態に係る空調・照明制御システム1では、1時間おきに、図11に示されるフローチャートに従って換気制御が行われる。
図11において、ステップS31では、情報管理サーバ5が、セル空間15a〜15xごとに、いずれの携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在するかを確認する。ステップS32では、情報管理サーバ5が、セル空間15a〜15xごとに、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・から発信されている個人識別番号データに対応する二酸化炭素排出量データを個人情報データベース54dから抽出する。ステップS33では、情報管理サーバ5が、演算部51Bにおいて、セル空間15a〜15xごとに、二酸化炭素排出量の総和を算出する。なお、このとき、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在しないセル空間15a〜15xについては、その総和は0となる。また、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が1台しか存在しないセル空間15a〜15xについては、その二酸化炭素排出量がそのまま総和とみなされる。ステップS34では、情報管理サーバ5が、各セル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータ、各セル空間15a〜15xについて算出された総和値のデータ、および換気制御の実行指令信号を制御装置7に送信する。ステップS35では、制御装置7が、各アドレスに対応する空気調和装置2a〜2xに対して、換気量を総和値と等しくするための制御信号を送信する。なお、これらの制御信号が各空気調和装置2a〜2xにおいて受信された場合、各空気調和装置2a〜2xでは、外気導入管のダンパ(図示せず)の開度が調節される。また、総和値が0である場合、このダンパはもちろん閉状態となる。
(3)照度制御
携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していなかったセル空間15a〜15xにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されると、情報管理サーバ5において、図12に示されるフローチャートに従ってそのセル空間15a〜15xの照度制御が行われる。
図12において、ステップS41では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されたセル空間15a〜15xに対応する照明装置3a〜3tのアドレスデータを設備対応関係データベース54hから抽出する。ステップS42では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・から発信されている個人識別番号データに対応する希望設定照度データを個人情報データベース54dから抽出する。ステップS43では、情報管理サーバ5が、ステップS41において抽出された照明装置3a〜3tのアドレスデータ、ステップS42において抽出された希望設定照度データ、および照度制御の実行指令信号を制御装置7に送信する。ステップS44では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する照明装置3a〜3tに対して、設定照度を希望設定照度データと等しくするための制御信号を送信する。
なお、情報管理サーバ5において、セル空間15a〜15xに複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が検出されると、図13に示されるフローチャートに従って照明装置3a〜3tの設定照度が決定される。
図13において、ステップS51では、情報管理サーバ5が、複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・それぞれから発信されている個人識別番号データに対応する重み付け係数データと希望設定照度データとを個人情報データベース54dから抽出する。ステップS52では、情報管理サーバ5が、演算部51Bにおいて、希望設定照度を、重み付け係数を用いて重み付け平均する。例えば、個人識別番号データ100501を発信する携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を携帯する人と、個人識別番号100575を発信する携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を携帯する人とが同じセル空間15a〜15xに存在する場合であれば、希望設定照度の重み付け平均の結果は、(8x510+1x530)/(8+1)=512となる。ステップS53では、情報管理サーバ5が、複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されたセル空間15a〜15xに対応する照明装置3a〜3tのアドレスデータ、ステップS52において出力された重み付け平均値データ、および照度制御の実行指令信号を制御装置7に送信する。ステップS54では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する照明装置3a〜3tに対して、設定照度を重み付け平均値と等しくするための制御信号を送信する。
(4)省エネルギー空調制御
携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していたセル空間15a〜15xにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなると、情報管理サーバ5において、図14〜図17に示されるフローチャートに従ってそのセル空間15a〜15xの省エネルギー空調制御が行われる。
図14〜図17において、ステップS61では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータと、そのセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータとを設備対応関係データベース54hから抽出する。ステップS62では、情報管理サーバ5が、制御装置7に対して、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータを送信し、それらの空気調和装置2a〜2xの運転モードデータを要求する。ステップS63では、情報管理サーバ5が、制御装置7からそれらの空気調和装置2a〜2xの運転モードデータを受信する。ステップS64では、情報管理サーバ5が、受信した複数の運転モードデータの中に冷房モードデータが含まれるか否かについて判定する。ステップS64において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータの中に冷房モードデータが含まれると判定した場合、処理はステップS65に移る。ステップS64において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータの中に冷房モードデータが含まれないと判定した場合、処理はステップS66に移る。ステップS65では、情報管理サーバ5が、受信した複数の運転モードデータの中に暖房モードデータが含まれるか否かについて判定する。ステップS65において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータの中に暖房モードデータが含まれると判定した場合、処理はステップS67に移る。ステップS65において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータの中に暖房モードデータが含まれないと判定した場合、処理はステップS69に移る。ステップS66では、情報管理サーバ5が、受信した複数の運転モードデータの中に暖房モードデータが含まれるか否かについて判定する。ステップS66において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータの中に暖房モードデータが含まれると判定した場合、処理はステップS71に移る。ステップS65において情報管理サーバ5が、受信した運転モードデータの中に暖房モードデータが含まれないと判定した場合、処理はステップS67に移る。ステップS67では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータおよびアイドリングモード実行指令信号を制御装置7に送信する。なお、ここにいう「アイドリングモード」とは、室外機21a,21b,21c,・・・の圧縮機の運転周波数が最低となるように制御するとともに室内機20a,20b,20c,・・・の室内ファンを停止させる運転モードのことである。ステップS68では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する空気調和装置2a〜2xに対して、アイドリングモード実行信号を送信する。ステップS69では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータおよびセービング冷房モード実行指令信号を制御装置7に送信する。なお、ここにいう「セービング冷房モード」とは、室外機21a,21b,21c,・・・の圧縮機の運転周波数を最大周波数の1/4となるように制御するとともに室内機20a,20b,20c,・・・の室内ファンを最低回転速度で回転させる冷房運転モードのことである。ステップS68では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する空気調和装置2a〜2xに対して、セービング冷房モード実行信号を送信する。ステップS71では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータおよびセービング暖房モード実行指令信号を制御装置7に送信する。なお、ここにいう「セービング暖房モード」とは、室外機21a,21b,21c,・・・の圧縮機の運転周波数を最大周波数の1/4となるように制御するとともに室内機20a,20b,20c,・・・の室内ファンを最低回転速度で回転させる暖房運転モードのことである。ステップS72では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する空気調和装置2a〜2xに対して、セービング暖房モード実行信号を送信する。
(5)省エネルギー照明制御
携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していたセル空間15a〜15xにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなると、情報管理サーバ5において、図18に示されるフローチャートに従ってそのセル空間15a〜15xの省エネルギー照明制御が行われる。
図18において、ステップS81では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する照明装置3a〜3tのアドレスデータと、そのセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに対応する照明装置3a〜3tのアドレスデータとを設備対応関係データベース54hから抽出する。ステップS82では、情報管理サーバ5が、制御装置7に対して、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに対応する照明装置3a〜3tのアドレスデータを送信し、それらの照明装置3a〜3tの点灯/消灯状態データを要求する。ステップS83では、情報管理サーバ5が、制御装置7からそれらの照明装置3a〜3tの点灯/消灯状態データを受信する。ステップS84では、情報管理サーバ5が、受信した複数の点灯/消灯状態データの中に通常点灯状態データが含まれるか否かについて判定する。なお、ここにいう「通常点灯」とは、照度が500ルクス以上の点灯を意味する。ステップS84において情報管理サーバ5が、受信した点灯/消灯状態データの中に通常点灯状態データが含まれると判定した場合、処理はステップS85に移る。ステップS84において情報管理サーバ5が、受信した点灯/消灯状態データの中に通常点灯状態データが含まれないと判定した場合、処理はステップS86に移る。ステップS85では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xのアドレスデータおよびセービング照明モード実行指令信号を制御装置7に送信する。なお、ここにいう「セービング照明モード」とは、照度を300ルクスに固定する照明モードのことである。ステップS86では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する照明装置3a〜3tに対して、セービング照明モード実行信号を送信する。ステップS87では、情報管理サーバ5が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する照明装置3a〜3tのアドレスデータおよび消灯指令信号を制御装置7に送信する。ステップS88では、制御装置7が、受信したアドレスデータに対応する照明装置3a〜3tに対して、消灯指令信号を送信する。
〔セル型空調・照明制御システムの特徴〕
(1)
本実施の形態に係る空調・照明制御システム1では、位置情報導出アプリケーション54eにより、個人識別番号データと電波強度データとから個人識別番号データを発信している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の座標データが導出される。そして、この座標データを平面座標データに照合して個人識別番号データを発信している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・、つまり人の存在するセル空間15a〜15xを特定する。また、設備対応関係データベース54hでは、空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tのアドレスデータとセル空間15a〜15xとが関係づけられている。また、個人情報データベース54dには、図4に示されるように、個人識別番号データに対して、重み付け係数データ、ならびに冷房時希望設定温度データ、暖房時希望設定温度データ、冷房時希望設定湿度データ、暖房時希望設定湿度データ、二酸化炭素排出量データ、および希望設定照度データなどの個人嗜好データが関連づけられた上で蓄積されている。そして、制御装置7が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在するセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xや照明装置3a〜3tに対して個人嗜好データを利用した種々の制御を実行する。このため、この空調・照明制御システム1では、セル空間15a〜15xにおいて人間などの嗜好に応じて空気調和装置2a〜2xや照明装置3a〜3tの制御を行うことができる。したがって、この空調・照明制御システム1では、居室LSに存在する人間の快適性を高めることができる。
(2)
本実施の形態に係る空調・照明制御システム1では、セル空間15a〜15xに複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在している場合、情報管理サーバ5が、重み付け係数を利用して空気調和装置2a〜2xの設定温度や照明装置3a〜3tの照度を決定する。このため、この空調・照明制御システム1では、例えば、知的生産性の高い人や虚弱な人などに対して優先的に快適空間を提供することができ、組織全体の知的生産性の向上や虚弱者の健康保護などを図ることが可能となる。
(3)
本実施の形態に係る空調・照明制御システム1では、セル空間15a〜15xに複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在している場合、情報管理サーバ5が、複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・から発信される個人識別番号データに対応する二酸化炭素排出量の総和に基づいて換気制御を行う。このため、この空調・照明制御システム1では、二酸化炭素センサを設けることなく低コストで換気制御を行うことができる。
(4)
本実施の形態に係る空調・照明制御システム1では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していたセル空間15a〜15xにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなると、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xの運転モードを参照して、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する空気調和装置2a〜2xをアイドリングモードとするか、セービング冷房モードとするか、セービング暖房モードとするかを決定する。このため、この空調・照明制御システム1では、居室LS全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となるとともに、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに存在するであろう人の快適性を著しく下げることを抑制することができる。また、この空調・照明制御システム1では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・、つまり人が存在しない場合であっても圧縮機を停止させないので、圧縮機の寿命を延ばすことができる。
(5)
本実施の形態に係る空調・照明制御システム1では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していたセル空間15a〜15xにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなると、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに対応する照明装置3a〜3tの点灯/消灯状態を参照して、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに対応する照明装置3a〜3tをセービング照明モードとするか、消灯するかを決定する。このため、この空調・照明制御システム1では、居室LS全体を均一に制御するのに比べて消費エネルギーを低減することが可能となるとともに、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15xに隣接するセル空間15a〜15xに存在するであろう人の快適性を著しく下げることを抑制することができる。
<第2実施の形態>
〔セル型空調・照明制御システム〕
このセル型空調・照明制御システム100は、図21に示されるように、主に、空気調和装置2a,2b,2c,・・・、照明装置3a,3b,3c,・・・、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・、情報管理サーバ105、無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・、制御装置7、および入退室ゲート200から構成されている。以下、このセル型空調・照明制御システム100の導入された居室LS2について説明した後、第1実施形態との差異を中心にして、各構成要素について詳述する。
(1)居室
居室LS2は、図26に示されるように、複数のセル空間215a〜215jから構成されている。各セル空間215a〜215jは、空気調和装置2a〜2jの各室内機20a〜20jおよび各照明装置3a〜3jにそれぞれ1対1で対応しており、各室内機20a〜20jは、対応するセル空間215a〜215jを空気調和し、各照明装置3a〜3jは、対応するセル空間215a〜215jを照明する。この居室LS2は、本実施の形態においてはオフィスであり、セル空間215a〜215dは全体として事務所を形成しており、セル空間215e,215fは全体として廊下を形成しており、セル空間215gは会議室Aを形成しており、セル空間215h,215iは全体として会議室Bを形成しており、セル空間215jは会議室Cを形成している。すなわち、セル空間215a〜215jは、居室LS2が壁により物理的に、あるいは仮想的に仕切られることにより規定される空間である。なお、図26において、実線は壁による仕切りを示しており、二点鎖線は仮想的な仕切りを示している。そして、セル空間215a〜215dにより形成される事務所には、このオフィスで働く各従業者に個別の座席が用意されている。セル空間215e内の居室LS2の出入り口付近には、入退室ゲート200が設置されている。
(2)情報管理サーバ
本実施の形態に係る情報管理サーバ105は、図22に示されるように、ハードディスク54の代替としてハードディスク154が設けられている点を除いて、第1実施の形態に係る情報管理サーバ5と同様のハードウェア構成を有している。
ハードディスク154には、図23に示されるように、オペレーティングシステム54a、デバイスドライバ54b、データベースアプリケーション54c、位置情報導出アプリケーション54e、制御パラメータ導出アプリケーション54g、ソフトウェアタイマーアプリケーション54i、在室者管理アプリケーション154aおよび位置情報推定アプリケーション154bといったプログラムや、居室LS2の平面座標データ154f、設備対応関係データベース54h、個人情報データベース54d、位置情報履歴データベース154cおよび在室者情報データベース154d等が格納されている。
在室者情報データベース154dには、図24に示されるように、各データを識別するために付されるID番号に対して、個人識別番号データ、在室状況フラグデータ、入室日付データ、入室時刻データ、退室日付データ、および退室時刻データなどが互いに関連づけられたレコードが蓄積されている。
在室者管理アプリケーション154aは、入退室ゲート200からLAN(local Area Network)195を介して送られてくる情報に基づいて、在室者情報データベース154dに新規に格納されるレコードを作成したり、現在格納されているレコードに変更を加えたりするためのアプリケーションである。このレコードは、ある従業者が入退室ゲート200に予め配布されている認証カードをかざすことにより認証されて居室LS2内に入ってきたときに新規に作成されることになるが、個人識別番号データとしては認証カードから読み取られたその従業者を識別する個人識別番号が記録され、入室日付データ及び入室時刻データとしてはその入室日時が記録され、在室状況フラグデータとしては在室していることを示す「1」が記録され、退室日付データ及び退室時刻データとしては「NULL」が記録される。そして、その後、その従業者が入室時と同様の方法で入退室ゲート200を通り抜けて居室LS2内から外へ出たときには、その日時が退室日付データ及び退室時刻データとして記録されるとともに、在室状況フラグデータが「0」に変更される。このように、在室者管理アプリケーション154aは、居室LS2内の在室者に関する情報の管理を行っている。なお、本実施の形態においては、従業者以外の者が入退室ゲート200を出入りする場合には、その者に来客用の認証カードが配布されることになる。来客用の認証カードにおいては、個人識別番号データとしてその者が来客者であることを示す「guest」が記憶されている。
位置情報履歴データベース154cには、図25に示されるように、各データを識別するために付されるID番号に対して、個人識別番号データ、セル空間IDデータ、日付データ、および時刻データなどが互いに関連づけられたレコードが蓄積されている。位置情報導出アプリケーション54eは、無線LANアクセスポイント10a〜10jからLAN195(無線LANを含む)を介して定期的に(例えば、1分毎に)送信されてくる個人識別番号データと電波強度データとに基づいて、逐次、その個人識別番号データを発信している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が複数のセル空間215a〜215jのうちいずれのセル空間215a〜215jに存在しているかを示す位置情報を導出する。そして、位置情報導出アプリケーション54eは、その導出された位置情報と、無線LANアクセスポイント10a〜10jから送られてきた個人識別番号データと、無線LANアクセスポイント10a〜10jから個人識別番号データ等が送られてきた日時データとに基づいて、位置情報履歴データベース154cに格納すべきレコードを新規に作成してゆく。
位置情報推定アプリケーション154bは、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を所持していないか又は携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・に電源が投入されていないために無線LANアクセスポイント10a〜10jにおいてその存在が検出されない在室者について、その在室者が複数のセル空間215a〜215jのうちいずれのセル空間215a〜215jに存在しているかを示す位置情報を推定して導出するためのアプリケーションである。
(3)入退室ゲート
本実施の形態に係る入退室ゲート200は、居室LS2の出入り口付近に設置されている。この入退室ゲート200には、居室LS2内で働く従業者や来客者などに配布される認証カードを読み取り可能なカードリーダが備え付けられており、このカードリーダに認証カードがかざされることにより入退室者が認証され、その結果に応じてゲートが開くようになっている。また、この入退室ゲート200は、LAN195を介して情報管理サーバ105に接続されている。そして、入退室者が認証されて入退室ゲート200の通り抜けを許可された場合には、その認証の際にカードリーダを介して認証カードから読み取られたその入退室者の個人識別番号データとその入退室日時とが、逐次、入退室ゲート200からLAN195を介して情報管理サーバ105に送信されることになる。
〔携帯型SIPフォンの位置検出と携帯型SIPフォンが存在するセル空間の特定〕
居室LS2は、第1実施の形態の場合と同様に、情報管理サーバ105上で平面座標データ154f化されている。また、この平面座標データ154fには、居室LS2内で働く従業者の座席の配置に関する情報が含まれている。そして、情報管理サーバ105では、位置情報導出アプリケーション54eにより、個人識別番号データと電波強度データとを発信している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の座標データが導出される。続いて、情報管理サーバ105では、導出された座標データが平面座標データ154fと照合されることにより、個人識別番号データを発信している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在するセル空間215a〜215j、すなわち、その携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を所持している者の存在するセル空間215a〜215jが特定される。
〔空気調和装置および照明装置とセル空間との対応関係〕
空気調和装置2a〜2jおよび照明装置3a〜3jとセル空間215a〜215jとの対応関係を示す情報は、第1実施の形態の場合と同様に、情報管理サーバ105の設備対応関係データベース54hに記憶されている。なお、本実施の形態においては、空気調和装置2a〜2jは、室内機20a〜20jが設置されているセル空間215a〜215jにそれぞれ対応づけられており、照明装置3a〜3jも、セル空間215a〜215jにそれぞれ対応づけられている。
〔セル型空調・照明制御システムの制御内容〕
情報管理サーバ105では、図27に示されるフローチャートに係る処理が所定の間隔(例えば、5分毎)で繰り返される。この処理は、後述する処理A〜Dのうち、いずれの処理によって空気調和装置2a〜2jおよび照明装置3a〜3jについての温湿度制御、換気制御、照度制御、省エネルギー空調制御および省エネルギー照明制御を行うのかを選択するための処理である。
ステップS101では、情報管理サーバ105は、入退室ゲート200が正常に動作していない等の理由で人の入退室に関する情報を正常に取得できない状態になっていないか否かについて判定する。そして、情報管理サーバ105は、人の入退室に関する情報を正常に取得できる状態にあると判定した場合には、フローをステップS102に進め、人の入退室に関する情報を正常に取得できる状態にないと判定した場合には、処理Dを選択することを決定する。
ステップS102では、情報管理サーバ105は、居室LS2内に電源が投入された状態の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を所持していない者が存在しているか否かについて判定する。具体的には、情報管理サーバ105は、在室者情報データベース154dにおいて在室状況フラグデータの値が「1」となっているレコード数をカウントすることにより、居室LS2内における現在の在室者の総数(以下、総在室者数)を導出する。また、情報管理サーバ105は、位置情報履歴データベース154cを参照して、現在居室LS2内において電源が投入された状態の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を所持している者の総数(以下、携帯所持者数)を導出する。そして、情報管理サーバ105は、総在室者数と携帯所持者数を比較してこれらの値が一致した場合には、処理Aを選択することとし、総在室者数が携帯所持者数を上回っている場合には、フローをステップS103に進める。
ステップS103では、情報管理サーバ105は、居室LS2内の在室者のうち電源が投入された状態の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を所持している者(以下、携帯所持者)と電源が投入された状態の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を所持していない者(以下、携帯不所持者)との日常の行動パターンに相関があるか否かを判定する。具体的には、情報管理サーバ105は、位置情報履歴データベース154cを参照して、携帯所持者に関する過去のレコードと携帯不所持者に関する過去のレコードとを抽出する。そして、抽出されたレコードに基づいて、携帯所持者と携帯不所持者とが、過去において同じ日時に同じセル空間215a〜215jに存在していた確率を算出し、その確率が所定の確率よりも高ければ両者の行動パターンに相関があるものとして両者をグループ化し、その確率が所定の確率よりも低ければ両者の行動パターンに相関がないものと判定する。そして、情報管理サーバ105は、相関がないと判定された場合には、処理Bを選択することとし、相関があると判定された場合には、処理Cを選択することとする。
以下、空気調和装置2a〜2jおよび照明装置3a〜3jについての温湿度制御、換気制御、照度制御、省エネルギー空調制御および省エネルギー照明制御を行う処理A〜Dについて説明する。
(1)処理A
総在室者数と携帯所持者数とが一致する場合には、情報管理サーバ105は、セル空間215a〜215jのそれぞれに対して、第1実施の形態と同様の温湿度制御、換気制御、照度制御、省エネルギー空調制御および省エネルギー照明制御を実行する。
すなわち、処理Aでは、情報管理サーバ105は、携帯所持者の存在しているセル空間215a〜215jを示す位置情報を導出するとともに、個人情報データベース54dから携帯所持者の運転設定に関する嗜好情報(重み付け係数データや冷房時希望設定温度データ等)を抽出する。そして、情報管理サーバ105は、これらの携帯所持者の位置情報および嗜好情報に基づいて、制御装置7が空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tを制御するために必須となる制御パラメータを導出する。
(2)処理B
総在室者数が携帯所持者数を上回り、かつ、携帯所持者と携帯不所持者との日常の行動パターンに相関がないと判定された場合には、情報管理サーバ105は、携帯不所持者がそれぞれの座席に着席しているものと推定する。すなわち、情報管理サーバ105は、居室LS2の平面座標データ154fを参照することにより携帯不所持者の座席が配置されているセル空間215a〜215jを特定し、その特定されたセル空間215a〜215jを示す情報をその携帯不所持者の位置情報とする。そして、情報管理サーバ105は、このようにして導出された位置情報により示されるセル空間215a〜215j内にその携帯不所持者が電源が投入された状態の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・を所持した状態で存在しているものと仮定した上で、セル空間215a〜215jのそれぞれに対して第1実施の形態と同様の温湿度制御、換気制御、照度制御、省エネルギー空調制御および省エネルギー照明制御を実行する。
すなわち、処理Bでは、情報管理サーバ105は、携帯所持者および携帯不所持者の双方についてその位置情報および嗜好情報を導出する。そして、情報管理サーバ105は、これらの携帯所持者および携帯不所持者の双方についての位置情報および嗜好情報に基づいて、制御装置7が空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tを制御するために必須となる制御パラメータを導出する。
(3)処理C
総在室者数が携帯所持者数を上回り、かつ、携帯所持者と携帯不所持者との日常の行動パターンに相関があると判定された場合には、情報管理サーバ105は、携帯不所持者が携帯所持者のうち日常の行動パターンの最も相関する者と同じセル空間215a〜215j内に存在しているものと推定する。その他の点については、処理Bと同様である。
(4)処理D
入退室ゲート200が正常に動作していない等の理由で総在室者数を正常に取得できないと判定された場合には、情報管理サーバ105は、セル空間215a〜215jのそれぞれに対して、第1実施の形態と同様にして冷房時設定温度、暖房時設定温度、冷房時設定湿度、暖房時設定湿度、換気量、および設定照度を決定する。続いて、情報管理サーバ105は、決定されたこれらの設定値が所定の範囲を超える場合には、これらの設定値をその所定の範囲内の値であってこれらの設定値に最も近い値に補正し、これらの設定値が所定の範囲内に収まっている場合には、これらの設定値をそのまま利用する。その他の点については、第1実施の形態と同様である。
〔情報管理サーバの動作時の内部構成〕
図28は、図27に示されるフローチャートに係る処理および処理A〜Dを実行する際の情報管理サーバ105の内部構成を示す。
情報管理サーバ105の中央処理部51は、ハードディスク154に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、第1情報導出部151A、第2情報導出部151B、第3情報導出部151C、第4情報導出部151D、および制御パラメータ導出部151Eとして動作する。第1情報導出部151Aは、位置情報導出アプリケーション54eを実行することにより携帯所持者の位置情報を導出するとともに、個人情報データベース54dを参照することにより携帯所持者の嗜好情報を導出する。第2情報導出部151Bは、在室者情報データベース154dを参照することにより、総在室者数を導出する。第3情報導出部151Cは、位置情報履歴データベース154cおよび在室者情報データベース154dを参照することにより、携帯不所持者の位置情報を推定して導出する。第4情報導出部151Dは、個人情報データベース54dおよび在室者情報データベース154dを参照することにより、携帯不所持者の嗜好情報を導出する。そして、制御パラメータ導出部151Eは、制御パラメータ導出アプリケーション54gを実行することにより、情報導出部151A〜151Dにより導出された情報に基づいて、制御装置7が空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tを制御するために必須となる制御パラメータを導出する。
〔変形例〕
(1)
上記第2実施の形態では、従業者の入退室が入退室ゲート200によって管理されるようになっているが、本発明はこの態様に限定されない。例えば、入退室ゲート200に代えて又は加えて、従業者の入退室が従業者に割り当てられたパーソナルコンピュータ(以下、PC)の稼働状態によって管理されるようになっていてもよい。この場合、例えば、各PCは、居室LS2内に張り巡らされたLAN195に接続される。そして、各PCの稼働状態を示す情報がLAN195を介して情報管理サーバ105に伝えられ、ハードディスク154に予め記憶されている事務所内の座席表データなどと照合されることにより、従業者の入退室が管理される。
(2)
上記ステップS103において、携帯所持者と携帯不所持者とを日常の行動パターンに基づいてグループ化するに際しては、別の方法が採られてもよい。例えば、業務の性質上行動パターンが類似することになると予測される者同士をグループ化して予め個人情報データベース54dに登録しておいてもよい。また、位置情報履歴データベース154cに蓄積された過去のレコードに基づいてグループ化を行う場合には、種々のデータマイニング手法を応用することが可能である。
<第3実施の形態>
〔セル型空調・照明制御システム〕
このセル型空調・照明制御システム300は、図29に示されるように、主に、空気調和装置2a,2b,2c,・・・、照明装置3a,3b,3c,・・・、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・、情報管理サーバ305、無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・、制御装置7、および入退室カウンタ400から構成されている。以下、このセル型空調・照明制御システム300の導入された居室LS3について説明した後、第1実施の形態および第2実施の形態との差異を中心にして、各構成要素について詳述する。
(1)居室
本実施の形態に係る居室LS3は、図30に示されるように、入退室ゲート200に代えて入退室カウンタ400が設置されている点を除いて、第2実施の形態における居室LS2と同様である。
(2)情報管理サーバ
本実施の形態に係る情報管理サーバ305は、図31に示されるように、ハードディスク54,154の代替としてハードディスク354が設けられている点を除いて、第1実施の形態および第2実施の形態に係る情報管理サーバ5,105と同様のハードウェア構成を有している。
そして、ハードディスク354は、図32に示されるように、在室者管理アプリケーション154aに代えて在室者管理アプリケーション354aがインストールされている点、および、在室者情報データベース154dが存在していない点を除いて、第2実施の形態と同様である。
在室者管理アプリケーション354aは、入退室カウンタ400からLAN195を介して送られてくる情報に基づいて、逐次、居室LS3内における総在室者数を算出している。
(3)入退室カウンタ
本実施の形態に係る入退室カウンタ400は、居室LS3の出入り口付近に設置されている。この入退室カウンタ400は、例えば、複数個の人感知センサを備えており、人が居室LS3の出入り口を通り抜けて入室した事実および退室した事実を検出することができる。したがって、入退室カウンタ400は、入退室ゲート200のようにカードリーダに認証カードをかざすといったような特別な動作を入退室者に課することなく、居室LS3の出入り口を通り抜けた人数をカウントすることができる。但し、入退室カウンタ400は、入退室ゲート200と異なり、居室LS3の出入り口を通り抜けた入退室者の個人識別番号データを特定することはできない。
また、この入退室カウンタ400は、LAN195を介して情報管理サーバ305に接続されており、人が居室LS3の出入り口の通り抜けて入室した事実および退室した事実を検出するたびに、逐次、LAN195を介して情報管理サーバ307に送信する。
〔セル型空調・照明制御システムの制御内容〕
情報管理サーバ305では、図33に示されるフローチャートに係る処理が所定の間隔(例えば、5分毎)で繰り返される。この処理は、第2実施の形態と同様の処理A,Dおよび後述する処理Eのうち、いずれの処理によって空気調和装置2a〜2jおよび照明装置3a〜3jについての温湿度制御、換気制御、照度制御、省エネルギー空調制御および省エネルギー照明制御を行うのかを選択するための処理である。
ステップS201では、情報管理サーバ305は、入退室カウンタ400が正常に動作していない等の理由で入退室者数を正常に取得できない状態になっていないか否かについて判定する。そして、情報管理サーバ305は、入退室者数を正常に取得できる状態にあると判定した場合には、フローをステップS202に進め、人の入退室に関する情報を正常に取得できる状態にないと判定した場合には、処理Dを選択することを決定する。
ステップS202では、情報管理サーバ305は、居室LS3内に携帯不所持者が存在しているか否かについて判定する。具体的には、情報管理サーバ305は、位置情報履歴データベース154cを参照して、居室LS3内における携帯所持者数を導出する。そして、情報管理サーバ105は、導出された携帯所持者数と在室者管理アプリケーション354aにより管理されている総在室者数とを比較してこれらの値が一致した場合には、処理Aを選択することとし、総在室者数が携帯所持者数を上回っている場合には、処理Eを選択することとする。
以下、空気調和装置2a〜2jおよび照明装置3a〜3jについての温湿度制御、換気制御、照度制御、省エネルギー空調制御および省エネルギー照明制御を行う処理Eについて説明する。
(1)処理E
総在室者数が携帯所持者数を上回る場合には、情報管理サーバ305は、セル空間215a〜215jのそれぞれに対して、第1実施の形態と同様にして冷房時設定温度、暖房時設定温度、冷房時設定湿度、暖房時設定湿度、換気量、および設定照度を決定する。続いて、情報管理サーバ305は、決定されたこれらの設定値について以下の2段階の補正を検討する。なお、このとき補正の対象となるのは、セル空間215a〜215dについての設定値のみである。
第1段階目の補正では、情報管理サーバ305は、総在室者数と携帯所持者数との人数差分の携帯不所持者が事務所内(すなわち、セル空間215a〜215d)に存在しているものと推定する。そして、情報管理サーバ305は、セル空間215a〜215d内に存在していると推定された携帯不所持者の人数に応じて、セル空間215a〜215dについての冷房時設定温度、暖房時設定温度、冷房時設定湿度および暖房時設定湿度を下げるように補正するとともに、換気量を上げるように補正する。
次に、第2段階目の補正では、情報管理サーバ305は、第1段階目の補正後の設定値が所定の範囲を超える場合には、第1段階目の補正後の設定値をその所定の範囲内の値であって第1段階目の補正後の設定値に最も近い値にさらに補正し、第1段階目の補正後の設定値がその所定の範囲内に収まっている場合には、その第1段階目の補正後の設定値をそのまま利用する。その他の点については、第1実施の形態と同様である。
〔情報管理サーバの動作時の内部構成〕
図34は、図33に示されるフローチャートに係る処理および処理A,D,Eを実行する際の情報管理サーバ305の内部構成を示す。
情報管理サーバ305の中央処理部51は、ハードディスク354に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、第1情報導出部351A、第2情報導出351B、第3情報導出部351C、および制御パラメータ導出部351Eとして動作する。第1情報導出部351Aは、位置情報導出アプリケーション54eを実行することにより携帯所持者の位置情報を導出するとともに、個人情報データベース54dを参照することにより携帯所持者の嗜好情報を導出する。第2情報導出部351Bは、在室者管理アプリケーション354aから総在室者数を取得する。第3情報導出部351Cは、携帯不所持者の位置情報を推定して導出する。そして、制御パラメータ導出部351Eは、制御パラメータ導出アプリケーション54gを実行することにより、情報導出部351A〜351Cにより導出された情報に基づいて、制御装置7が空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tを制御するために必須となる制御パラメータを導出する。
〔変形例〕
上記第3実施の形態では、入退室カウンタ400により居室LS3内の総在室者数が把握されるようになっているが、本発明はこの態様に限定されない。例えば、入退室カウンタ400に代えて又は加えて、居室LS3の出入り口に設置されたカメラにより総在室者数が把握されるようになっていてもよい。
<その他の実施の形態>
(A)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、天井埋設型のカセット式空気調和装置2a〜2xが採用されたが、これに代えて、天井吊下型の空気調和装置が採用されてもかまわない。
(B)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、情報管理サーバ5,105,305と制御装置7とが別々に設けられていたが、これらは物理的に又は機能的に一体とされてもかまわない。
(C)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、電波強度を利用して携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の位置検出を行ったが、これに代えて、TDOA(Time Difference Of Arrival)測定に基づく三辺測量方式を利用して携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の位置検出を行ってもよい。
(D)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、VoIPシステムを利用して人が存在するセル空間15a〜15x,215a〜215jを特定したが、これに代えて、カメラ映像を利用して人が存在するセル空間を特定するようにしてもよい。なお、かかる場合、セル空間は、カメラからの撮影画像を分割しておくことによって生成される。
(E)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、VoIPシステムを利用して人が存在するセル空間15a〜15x,215a〜215jを特定したが、これに代えて、人検知センサを利用して人が存在するセル空間を特定するようにしてもよい。かかる場合、セル空間は、人検知センサなどの検知範囲を調節することによって生成される。
(F)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していたセル空間15a〜15x,215a〜215jにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなり、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15x,215a〜215jに隣接するセル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する空気調和装置2a〜2xの運転モードが冷房モードでも暖房モードでもない場合、あるいは運転モードの中に冷房モードと暖房モードとの両方が含まれている場合、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する空気調和装置2a〜2xをアイドリングモードとした。しかし、かかる場合、圧縮機を停止させてもかまわない。
(G)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・と無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・とを利用して個人識別番号データを情報管理サーバ5,105,305に送信したが、これに代えて、RFIDタグとタグリーダとを利用して個人識別番号データを情報管理サーバ5,105,305に送信してもかまわない。
(H)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が個人識別番号データを常時発信していたが、個人情報データベース54dをなくして、それぞれの個人嗜好データを携帯型SIPフォンに記憶させて個人識別番号データとともに個人嗜好情報を常時発信させるようにしてもよい。
(I)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、セル空間15a〜15x,215a〜215jに複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在している場合、情報管理サーバ5,105,305が、重み付け係数を利用して空気調和装置2a〜2xの設定温度や照明装置3a〜3tの照度を決定した。しかし、情報管理サーバ5,105,305が単純平均値を利用して空気調和装置2a〜2xの設定温度や照明装置3a〜3tの照度を決定するようにしてもかまわない。
(J)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、セル空間15a〜15x,215a〜215jに複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在している場合、情報管理サーバ5,105,305が、重み付け係数を利用して空気調和装置2a〜2xの設定温度や照明装置3a〜3tの照度を決定した。しかし、セル空間15a〜15x,215a〜215jに存在している携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の滞在時間を計測して、セル空間15a〜15x,215a〜215jの滞在時間の長い携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・に対応する個人嗜好データに大きな重み付け係数を与え、その重み付けを利用して空気調和装置2a〜2xの設定温度や照明装置3a〜3tの照度を決定してかまわない。
(K)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していたセル空間15a〜15x,215a〜215jにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなると、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15x,215a〜215jに隣接するセル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する空気調和装置2a〜2xの運転モードを参照して、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する空気調和装置2a〜2xをアイドリングモードとするか、セービング冷房モードとするか、セービング暖房モードとするかを決定した。しかし、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15x,215a〜215j(以下、このセル空間を第2セル空間という)の中心と、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されているセル空間15a〜15x,215a〜215j(以下、このセル空間を第1セル空間という)の中心との距離を出力し、その距離に基づいて第2セル空間に対応する空気調和装置2a〜2xをアイドリングモードとするか、セービング冷房モードとするか、セービング暖房モードとするかを決定してもよい。また、第2セル空間15a〜15x,215a〜215jの中心と、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・との距離を出力し、その距離に基づいて第2セル空間に対応する空気調和装置2a〜2xをアイドリングモードとするか、セービング冷房モードとするか、セービング暖房モードとするかを決定してもよい。また、情報管理サーバ5,105,305上で空気調和装置2a〜2xの設置位置が平面座標化されており、その座標と空気調和装置2a〜2xのアドレスデータとが関連付けられている場合には、第2セル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する空気調和装置2a〜2xと、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・との距離を出力し、その距離に基づいて第2セル空間に対応する空気調和装置2a〜2xをアイドリングモードとするか、セービング冷房モードとするか、セービング暖房モードとするかを決定してもよい。さらに、この際、その距離に基づいて圧縮機の運転周波数を決定してもよい。例えば、第1セル空間から遠い第2セル空間に対応する空気調和装置2a〜2xほど、圧縮機の運転周波数を下げる制御することが考えられる。また、圧縮機の運転周波数を下げる割合を、人の標準移動速度や空気調和装置2a〜2xの起動速度や反応速度などに基づいて決定してもよい。このようにすれば、人が移動している間であっても人に快適な空間を提供し続けることが可能となる。
(L)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在していたセル空間15a〜15x,215a〜215jにおいて携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなると、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15x,215a〜215jに隣接するセル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する照明装置3a〜3tの点灯/消灯状態を参照して、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する照明装置3a〜3tをセービング照明モードとするか、消灯するかを決定した。しかし、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されなくなったセル空間15a〜15x,215a〜215j(以下、このセル空間を第2セル空間という)の中心と、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の存在が検出されているセル空間15a〜15x,215a〜215j(以下、このセル空間を第1セル空間という)の中心との距離を出力し、その距離に基づいて第2セル空間に対応する照明装置3a〜3tをセービング照明モードとするか、消灯するかを決定してもよい。また、第2セル空間15a〜15x,215a〜215jの中心と、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・との距離を出力し、その距離に基づいて第2セル空間に対応する照明装置3a〜3tをセービング照明モードとするか、消灯するかを決定してもよい。また、情報管理サーバ5,105,305上で照明装置3a〜3tの設置位置が平面座標化されており、その座標と照明装置3a〜3tのアドレスデータとが関連付けられている場合には、第2セル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する照明装置3a〜3tと、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・との距離を出力し、その距離に基づいて第2セル空間に対応する照明装置3a〜3tをセービング照明モードとするか、消灯するかを決定してもよい。さらに、この際、その距離に基づいて照明装置3a〜3tの照度を決定してもよい。例えば、第1セル空間から遠い第2セル空間に対応する照明装置3a〜3tほど、照度を下げる制御することが考えられる。また、照度を下げる割合を、人の標準移動速度や照明装置3a〜3tの起動速度や反応速度などに基づいて決定してもよい。このようにすれば、人が移動している間であっても人に快適な空間を提供し続けることが可能となる。
(M)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tが第2通信線92および第1通信線91を介して制御装置7の空気調和装置用コネクタ80、および照明装置用コネクタ81に接続されていたが、空気調和装置2a〜2xおよび照明装置3a〜3tがLAN規格に対応しておりLANケーブルコネクタを有している場合には、これらの設備機器2a〜2x,3a〜3tは、イーサネット(登録商標)ケーブルおよびルータ等を介して制御装置7のLANケーブル用コネクタ79に接続されてもよい。かかる場合、アドレスデータとして、IPアドレスやMACアドレス等が利用されてもよい。
(N)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・は、個人識別番号データを常時発信する役目を担っていたが、これに加えて、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が、無線LANアクセスポイント10a,10b,10c・・・を介して情報管理サーバ5,105,305と無線通信し、図19に示されるように、情報管理サーバ5,105,305から送信される各種情報をディスプレイ41上に表示するようにしてもよい。
このディスプレイ41上に表示される情報としては、例えば、図19に示されるように、その携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在しているセル空間15a〜15x,215a〜215jの場所、空気調和装置2a〜2xや照明装置3a〜3tの識別番号、空気調和装置2a〜2xの運転モード、空気調和装置2a〜2xの設定温度、セル空間15a〜15において制御を共有している人の数などが挙げられる。また、その他、単一のセル空間15a〜15x,215a〜215jに複数の携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在している場合、温湿度制御において設定温度を決定するのに利用される複数の希望設定温度データおよび重み付け係数ならびにその最大値や最小値などをディスプレイ41上に表示することも考えられる。
なお、ディスプレイ上41に「携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・が存在しているセル空間15a〜15x,215a〜215jの場所」を表示するためには、設備対応関係データベース54h上でセル空間15a〜15x,215a〜215jに予め名称を付与しておけばよい。また、ディスプレイ上41に「空気調和装置2a〜2xや照明装置3a〜3tの識別番号」を表示するためには、設備対応関係データベース54hで空気調和装置2a〜2xや照明装置3a〜3tに予め識別番号を付与しておけばよい。なお、かかる場合、各空気調和装置2a〜2xおよび各照明装置3a〜3tに対応する識別番号ラベルを貼り付けておけば、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の携帯者は、どの空気調和装置2a〜2xあるいは照明装置3a〜3tが自身のために動作しているのかを特定することができ、便利である。また、ディスプレイ上に「空気調和装置2a〜2xの運転モード」を表示するためには、温湿度制御において情報管理サーバ5,105,305が制御装置7から受信した運転モードデータを携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・に送信するようにすればよい。また、ディスプレイ上に「空気調和装置2a〜2xの設定温度」を表示するためには、温湿度制御において情報管理サーバ5,105,305が制御装置7に送信する設定温度データを携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・にも送信するようにすればよい。また、ディスプレイ上に「セル空間15a〜15において制御を共有している人の数」を表示するためには、情報管理サーバ5,105,305において、演算部51Bが位置情報導出アプリケーション54eを利用して各セル空間15a〜15x,215a〜215jに存在する携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の数をカウントできるように設計しておけばよい。また、ディスプレイ上に「温湿度制御において設定温度を決定するのに利用される複数の希望設定温度データおよび重み付け係数ならびにその最大値や最小値など」を表示するためには、温湿度制御時において演算するに当たって個人情報データベース54dから抽出される各種情報を携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・に送信するようにしておけばよい。
(O)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300では、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・は、個人識別番号データを常時発信する役目を担っていたが、これに加えて、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の携帯者が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の入力用ボタン42を用いて、個人情報データベース54dに登録されている各種情報を変更できるようにしてもよい。なお、かかる場合、情報管理サーバ5,105,305にWWWサーバ機能などを付与する必要がある。この際、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の携帯者が、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・の入力用ボタン42を用いて、個人情報データベース54dに登録されている各種情報を直接書き換えできるようにしてもよいし、図20に示されるように、個人情報データベース54dに登録されている各種情報を直接書き換えるのではなく、ディスプレイ41上で一時変更オフセット値を入力することができるようにしてもよい(変更時の冷房時希望設定温度は、登録済みの冷房時希望設定温度に一時変更オフセット値を足した値になる)。なお、後者の場合、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・のディスプレイ上には、変更不可能な冷房時希望設定温度データと、一時変更オフセット値の入力用テキストボックスとが表示されることになる。
さらに、図20に示されるように、携帯型SIPフォン4a,4b,4c,・・・のディスプレイ上で、個人情報データベース54dに登録されている各種情報の変更持続時間を入力することができるようにしてもよい。なお、本実施の形態において、変更持続時間は、演算部51Bがソフトウェアタイマーアプリケーション54iを利用してカウントダウンする。そして、変更持続時間経過後は、一時変更オフセット値が0に戻る。
また、情報の変更に際して、入力データの制限範囲を規定しておいてもよい。例えば、一時変更オフセット値は−3から0までの値しか受け付けず、変更持続時間は0から600まで受け付けないといった具合である。
(P)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300において、制御装置7や情報管理サーバ5,105,305に空気調和装置2a〜2xに対する以下の制御機能が組み込まれていてもよい。
すなわち、1のセル空間15a〜15x,215a〜215j内の在室者数が急激に増加した(所定の時間当たりに所定以上の人数が入ってきた)と判断された場合には、空気調和装置2a〜2xを強制的にサーモON運転する。この場合、在室者から発される熱等により室温が急激に上昇することが抑制され、在室者に不快感を感じさせることなく室内を快適な温度に保つことができる。
また、1のセル空間15a〜15x,215a〜215j内に最初の1人が入ってきた際には、直ちに空気調和装置2a〜2xの運転を開始してそのセル空間15a〜15x,215a〜215jを予冷・予熱する。これにより、在室者の不快感が抑制される。
(Q)
先の実施の形態に係るセル型空調・照明制御システム1,100,300において、制御装置7や情報管理サーバ5,105,305に空気調和装置2a〜2xに対する以下の制御機能が組み込まれていてもよい。
すなわち、1のセル空間15a〜15x,215a〜215j内の在室者数が所定の人数よりも少ないと判断される場合には、そのセル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する空気調和装置2a〜2xの運転を停止することにより、空気調和装置2a〜2xの運転台数を減らす間引き運転を行う。これにより、セル空間15a〜15x,215a〜215jの負荷の低下に伴って空気調和装置2a〜2xが能力オーバーとなり、その結果、空気調和装置2a〜2xの圧縮機が発停を繰り返すといった事態を防止し、消費電力を抑制することができる。この間引き運転により停止される空気調和装置2a〜2xは、在室者の位置情報に基づいて決定される。特に、セル空間15a〜15x,215a〜215j内において在室者が偏在している場合には、在室者のいない又は少ないセル空間15a〜15x,215a〜215jに対応する空気調和装置2a〜2xの運転が停止されることになる。