JP4451671B2 - SiOの製造方法及び製造装置 - Google Patents

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本発明は、ファインセラミックス原料、あるいは蒸着剤原料、さらに高純度シリコン製造の中間原料等としても利用価値の高い高純度なSiOを量産する方法及び装置に関するものである。
SiOの製造に関する従来技術として、例えば、(特許文献1)に開示されているような、SiOと炭素あるいは金属Siの混合物を1500℃以上の高温度の減圧下で反応させてSiO蒸気を発生させ、このSiO蒸気を還元窒化、還元炭化もしくは減圧した酸素雰囲気内に断熱膨張で噴射することにより、粒径0.1μm以下のアモルファス状のSiO微粉末を得る方法が知られている。
あるいは、(特許文献2)に開示されているような、SiO系原料と炭素含有物及び/又は金属Si粉末との混合物を、0.1気圧以下に減圧した非酸化性雰囲気中の1300〜2000℃の温度域で熱処理し、SiO蒸気を発生させ、該SiO蒸気を非酸化性ガスにより凝縮させかつ搬送し、SiO微粉末として回収することにより、0.1μm以下のSiO微粉末を製造する方法が知られている。
また、(特許文献3)に開示されているような、主としてSiO系酸化物粉末からなる原料混合物を減圧非酸化性雰囲気中で熱処理することによりSiO蒸気を発生させ、その後このSiO蒸気を気相中で凝縮させてSiO粉を回収する装置であって、上・下にそれぞれ原料供給系、副製品取り出し系を接続してなる主反応塔内に、上下方向から予熱帯、均熱帯、冷却帯として作用するマッフルを設け、このマッフルの中央部均熱帯からは水平方向に突出するSiO蒸気搬送用パイプを配置すると共にその搬送用パイプの他端にはSiO粉末回収室を配設し、そして前記マッフル及び搬送用パイプのまわりには発熱帯を配設した構成を有するSiO粉末の製造装置が知られている。
さらに、(特許文献4)に開示されているような、主としてSiO系酸化物粉末からなる原料混合物を減圧非酸化性雰囲気中で熱処理することによりSiO蒸気を発生させ、その後このSiO蒸気を気相中で凝縮させてSiO粉を回収する装置であって、熱処理反応本体内に、移動機構を使って自動的に供給される原料混合物を収容しておくマッフルを設置し、このマッフルには発生SiO蒸気の搬送用パイプ複数個を接続すると共に、これらの搬送用パイプに対しては発熱体を付帯させ、そして各搬送用パイプの他端にSiO粉末回収室を複数個配設したSiO粉末の製造装置が知られている。
特公昭59−50601号公報 特開昭60−165676号公報 特開昭63−103815号公報 特開昭63−103814号公報
しかしながら、上述した(特許文献1)の方法は、多量にSiOを生産しようとすると、SiO蒸気搬送用のパイプが閉塞する、あるいは断熱膨張で噴射させるためのノズルがSiO蒸気により侵食されたりする問題がある。また、(特許文献2)の方法は、回分法であるために、多量のSiOを生産するには適さない。このように、これらの方法は少量のSiO製造のためのものであり、工業的に量産するための方法とはいえない。
一方、(特許文献3)の装置は、連続的なSiO製造を行なうことを目的としており、縦型炉の形式であって、上部から供給した粉状原料混合物が炉内に充填され減圧非酸化性雰囲気で熱処理されてSiO蒸気を発生させるが、このような形式の炉にあってはSiOが昇華性の固体であるため原料充填層の低温部に凝縮して通気性が損なわれることがしばしば起こり、SiO蒸気の発生が阻害されて連続的製造ができなくなる。
さらに、(特許文献4)の装置も、SiOの連続的な製造を目的としており、移動台車に載置された収納容器に粉状原料混合物を積載し主反応室に運び込み、減圧非酸化性雰囲気で熱処理してSiO蒸気を発生させるが、このような装置にあっては、原料粉末だけでなく収納容器及び台車が一緒に加熱される、さらに熱処理の後、原料粉末を再度積載するためには、積載作業が可能な温度まで収納容器及び台車を冷却する必要があるため、熱効率が低く、また原料粉末の積載作業が煩雑で生産性が低い。
本発明は、上記の従来技術の課題を克服するためになされたものであり、高純度なSiOを高効率で連続的に製造する方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明は、SiO系原料及び還元剤からなる混合原料粉末を、回転する炉床を有する反応炉内に連続的に供給し、この炉床上に原料粉末の層を形成させ、減圧下で1300〜1800℃に加熱してSiO蒸気を発生させ、その後このSiO蒸気を1300〜1800℃に保温された搬送管を通して冷却室内に導入し、冷却板上に固体のSiOを析出させ、次いで、この固体のSiOを連続的に回収することを特徴とするSiOの製造方法、に関する。
さらに、上記方法において、混合原料粉末を上部から加熱すること、あるいはSiO蒸気を発生させた後に残る反応残留物を連続的に回収することが好ましい。
また、本発明は、SiO系原料及び還元剤からなる混合原料粉末を連続的に供給する手段を備え、これら混合原料粉末を反応させてSiO蒸気を発生させるための回転する炉床を有する反応炉と、該反応炉内に設置された加熱手段と、該反応炉に接続されたSiO蒸気の搬送管と、該搬送管の他端に接続されたSiO蒸気を凝縮させる冷却板を有する冷却室とを少なくとも備えることを特徴とするSiOの製造装置、に関する。
さらに、上記装置において、前記加熱手段を回転炉床の上部に設置し、あるいは反応炉から反応残留物を連続的に回収する手段を有することが好ましい。
本発明のSiOの製造方法及び製造装置によれば、利用価値の高い高純度なSiOを高効率で連続的に製造することができ、結果として安価な高純度SiOを市場に供給でき、ひいてはこれを利用したファインセラミックス、真空蒸着剤、高純度シリコン等の製品コストを下げることができる。
次に、本発明についてさらに詳しく説明する。本発明のSiO製造方法において、原料としては、主としてSiO系原料と還元剤からなる混合原料粉末を用いる。具体的には、SiO系原料としてけい砂や、微粉シリカ(いわゆるホワイトカーボン)、シリカガラスの粉、その他SiOを含有する酸化物粉末が利用される。還元剤としては、金属ケイ素含有粉末、炭素含有粉末等が挙げられる。これら原料粉末の粒径は、50〜1000μmのものが反応性や通気性の観点から好ましい。
上記の混合原料粉末は、回転する炉床を有する減圧下の反応炉内に、エアロック機構を有する供給手段により連続的に供給される。
供給された原料粉末は、減圧下で1300〜1800℃の温度範囲で加熱されて、SiO蒸気を発生する。この温度範囲で加熱するのは、1300℃未満ではSiOの発生速度が非常に小さく工業的な生産に適さないこと、及び1800℃超では製造装置の耐火物の耐久性が著しく悪化するためである。
回転する炉床を用いるのは、原料粉末を連続して供給しつつ、原料粉末の層を炉床上に形成するためである。そして、この層の厚みは100mm以下で、好ましくは30mm以下に調整される。このようにして形成された原料粉末の層は、減圧下で加熱手段により加熱されてSiO蒸気を発生するが、この層の厚みは、先に述べた(特許文献3)に開示されているような縦型炉内の原料充填層と比べ薄いため、通気抵抗が低くかつ熱伝導が比較的良いので、温度が均一になり易く、昇華性のSiO蒸気が発生しても低温部で再凝縮することがなく、通気性が良好な状態を保ち、連続してSiO蒸気を発生させることができる。
なお、炉床の回転速度は、原料粉末からのSiO蒸気の発生が完了するまで、原料粉末が炉内に滞留するように調整される。その滞留時間は、原料粉末の層の厚みにほぼ比例しており、厚みが30mmの場合には2時間から3時間とするのが好ましい。
このような回転する炉床を用いることにより、先に述べた(特許文献4)に開示されているような移動台車に載置された収納容器に粉状原料混合物を積載し主反応室に運び込む方式と異なり、粉状原料混合物を台車や収納容器ごと加熱してSiO蒸気を発生させ、また、粉状原料混合物の積載作業のために冷却すると言うサイクルを繰り返す必要がなくなり、熱効率の観点からも、生産効率の観点からも、好適である。
また、加熱手段は、粉末原料層の上部から加熱するものであることが、効率的なSiO蒸気の発生をさらに促進するが、これについて以下に説明する。
混合原料粉末は、一般に熱伝導率が低く、また、SiO蒸気の発生は、大きな吸熱を伴う反応であるため、蒸気発生の速度は、伝熱量に律速される。また、SiOの発生速度は、通気抵抗が小さいほど大きいため、通気抵抗の少ない原料粉末層の表層部で、SiO蒸気を発生させた方が良い。このため、原料層の上部から加熱するのが、伝熱、通気抵抗の両面からみて、好適となる訳である。なお、加熱手段としては、抵抗ヒーターによる輻射加熱、あるいはマッフルを用いた輻射加熱等が利用できる。
また、このように上部から加熱することにより、SiO蒸気は、主として原料表層部から発生するが、これは、原料層下部からのSiO蒸気発生により原料粉末が吹き飛ばされて、SiO中の不純物となるのを防ぐ効果を有する。
このようにして発生したSiO蒸気は、1300〜1800℃に保温された搬送用パイプによって、冷却室まで搬送される。この温度範囲を設定するのは、1300℃未満ではSiOの凝縮が起こり、搬送用パイプの閉塞が起こること、また、1800℃超では搬送用パイプの耐火物の耐久性が著しく悪化するためである。搬送用パイプの保温は、外部からのヒーターによる加熱、あるいはパイプを導電性材料で作成し誘導加熱により、パイプ自身を加熱すること等で実現される。
冷却室に搬送されたSiOの蒸気は、冷却室内に設置された冷却板上で凝縮し、固体SiOとなる。ここで、冷却板としては、水冷、空冷、あるいは熱媒体により冷却された金属板等が利用できる。さらに、凝縮した固体のSiOは、スクレーパ、あるいは加振等により、冷却板から剥離され、エアロック機構を有する搬出手段により、装置外に搬出され、製品あるいは中間製品となる。
さらに、混合原料粉末が加熱されSiO蒸気が発生した後に、反応残留物が残る場合には、スクレーパ等により回転炉床上から除去され、エアロック機構を有する排出手段によって、装置外に排出される。この方式は、反応残留物が廃棄される場合のみならず、原料粉末からSi成分をSiOとして分離することにより、新たな有価物が生成する場合にも有効である。
上記の方法に用いる装置としては、例えば、図1に示すような装置を用いることができる。ここで、図1において、1は反応炉であり、その内部には回転する炉床2を有する。
原料粉末は、エアロック機構を有する供給手段3により、炉内に連続的に供給され、炉床2上に原料層4を形成する。この原料層は、加熱ヒーター5を備えたマッフル6により加熱され、加熱により発生したSiO蒸気は、保温された搬送パイプ7により、冷却室8に搬送される。冷却室8の内部には冷却板9が設置されており、SiO蒸気は、その表面で凝縮し、固体のSiOとなる。この固体SiOは、スクレーパ10により掻き落とされ、エアロック機構を有する搬出手段11により、装置外に搬出される。また、反応炉1には、回転する炉床2から反応残留物を掻き落とすスクレーパ12が設置されており、掻き落とされた反応残留物は、エアロック機構を有する排出手段13により、装置外に排出される。
また、装置間の位置関係を次に説明する。水平方向に回転可能な炉床2を有する反応炉1の一側面に、混合原料粉末を連続的に供給する手段3を備えている。該反応炉1内に設置されたヒーターなどの加熱手段5は、炉床2を、上部から加熱できるように、反応炉1の上部に設けられている。すなわち、加熱手段5は、マッフル6の内部または外部に設けてもよい。SiO蒸気の搬送パイプ7は該反応炉1に接続されているが、反応炉1の他側面、特に反応炉1の上部に取り付けることが好ましい。該原料供給手段3と反対側に設けられているので、反応炉の一側面から原料が供給され、反応後、反応炉の他側面から生成物が搬出され、原料を効率的に処理することができる。冷却室8に設けられた冷却板9は、その板面を、流入するSiO蒸気に対し、垂直にまたは平行に設定することができる。蒸気との接触効率の高さの点から垂直に設定することが好ましい。反応炉1から反応残留物を掻き出す手段12は反応炉に設けられるが、原料供給手段3と反対側、特に反応炉の下部に設けることが好ましい。原料の流れが一方通行となって、生産性が向上するからである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
原料として、SiO含有量99%で粒径が250〜400μmのけい砂と、Si含有量98%で粒径が60〜80μmの金属Si粉を、等しいモル数で混合した原料粉末を用い、図1に示す装置を用いて、SiOの製造を行った。この時の加熱温度は1500℃で、炉内圧力は0.01気圧であった。また、回転炉床上の原料粉末の層厚みは30mmであり、炉床の回転速度は、原料の炉内滞留時間が2時間となるように調節した。また、SiO搬送用パイプは、SiOの凝縮を防ぐため、1400℃に保たれた。このようにしてSiOを製造した結果、反応収率が70%以上で、SiOが連続的に製造でき、得られたSiOの純度は、99.9999%以上の高純度であった。さらに、本装置で連続24時間以上の操業を行なったが、何等支障なく連続したSiOの製造が可能であった。
本発明の一実施例を示す概略図である。
符号の説明
1 反応炉、
2 炉床、
3 供給手段、
4 原料層、
5 加熱手段、
6 マッフル、
7 搬送パイプ、
8 冷却室、
9 冷却板、
10 スクレーパ、
11 搬出手段、
12 スクレーパ、
13 排出手段、
14 断熱材、
15 真空ポンプ、
16 真空ポンプ、
17 真空ポンプ、
18 真空ポンプ。

Claims (6)

  1. SiO系原料及び還元剤からなる混合原料粉末を、回転する炉床を有する反応炉内に連続的に供給し、この炉床上に原料粉末の層を形成させ、減圧下で1300〜1800℃に加熱してSiO蒸気を発生させ、その後このSiO蒸気を1300〜1800℃に保温された搬送管を通して冷却室内に導入し、冷却板上に固体のSiOを析出させ、次いでこの固体のSiOを連続的に回収することを特徴とするSiOの製造方法。
  2. 混合原料粉末を上部から加熱することを特徴とする請求項1記載のSiOの製造方法。
  3. SiO蒸気を発生させた後に残る反応残留物を連続的に回収することを特徴とする請求項1記載のSiOの製造方法。
  4. SiO系原料及び還元剤からなる混合原料粉末を連続的に供給する手段を備え、これら混合原料粉末を反応させてSiO蒸気を発生させるための回転する炉床を有する反応炉と、該反応炉内に設置された加熱手段と、該反応炉に接続されたSiO蒸気の搬送管と、該搬送管の他端に接続されたSiO蒸気を凝縮させる冷却板を有する冷却室とを少なくとも備えることを特徴とするSiOの製造装置。
  5. 前記加熱手段が回転炉床の上部に設置された請求項4記載のSiOの製造装置。
  6. さらに、反応炉から反応残留物を連続的に回収する手段を有する請求項4記載のSiOの製造装置。
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