JP4447741B2 - 1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造法 - Google Patents

1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種医薬品の合成中間体化合物として重要な、次式(I):
【0002】
【化7】
Figure 0004447741
【0003】
で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の新規な製造方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
最近、窒素原子含有の4員環構造を有するアゼチジン化合物が注目をあびてきており、各種医薬品化合物の側鎖の修飾基として種々用いられてきている。例えば、本発明の目的化合物である式(I)のアゼチジン化合物を、順次酸処理ならびに還元処理等をして誘導される次式(V):
【0005】
【化8】
Figure 0004447741
【0006】
で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンは、強力な抗菌活性を有するカルバペネム系抗生物質の2位の側鎖置換基として利用されているものである(例えば、特許第2666118号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は、カルバペネム系抗生物質の2位の側鎖として利用されている式(V)で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンを合成する際に、重要な中間体化合物となる上記式(I)で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体について、工業的に適用し得るより簡便な、新規製造法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明は、具体的態様として以下の製造法を提供する。すなわち、次式(II):
【0009】
【化9】
Figure 0004447741
【0010】
(式中、Raはスルホニル残基を表わし、Bzlはベンジル基を表す。)
で表される化合物のベンジル基を除去して、次式(III):
【0011】
【化10】
Figure 0004447741
【0012】
(式中、Raはスルホニル残基を表す。)
で表される化合物とし、得られた式(III)の化合物を単離するか、または単離することなくチオ硫酸ナトリウムと反応させて、次式(IV):
【0013】
【化11】
Figure 0004447741
【0014】
で表される化合物とした後、得られた式(IV)の化合物を単離するか、または単離することなくクロロエチルイソチオシアネートと反応させることを特徴とする、次式(I):
【0015】
【化12】
Figure 0004447741
【0016】
で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造方法を提供する。
【0017】
また本発明は、上記製造方法において、各反応ステップで生成する式(IV)で示される化合物を単離することなく行うか、さらには式(III)で示される化合物および式(IV)で示される化合物のそれぞれを、単離することなく行う式(I)で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造方法を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明が提供する式(I)で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造法は、本発明者らが開発し、提供している簡便な合成法により得られる式(II)のN−ベンジル−アゼチジン誘導体を出発原料として、その反応条件には苛酷な高圧、あるいは高温度での加熱、さらには高価な試薬、溶媒等を使用することなく、極めて簡便な操作により、高収率で目的物を製造できるという工業的製造法として、特に優れたものである。
【0019】
以下に本発明が提供する式(I)で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造法について、さらに詳細に説明する。
【0020】
本発明が新規に提供する1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造法は、基本的には下記化学式で示される方法により実施される。
【0021】
【化13】
Figure 0004447741
【0022】
(上記化学反応式中、Raはスルホニル残基を表わし、Bzlはベンジル基を表す。また、○内の各数字は、工程ナンバーを示す。)
【0023】
すなわち本発明は、式(II)で示される化合物のベンジル基を除去して式(III)で表される化合物へ誘導する第1工程と、第1工程で得られた式(III)の化合物にチオ硫酸ナトリウムを反応させて式(IV)で表される化合物に導く第2工程と、第2工程で得られた式(IV)の化合物にクロロエチルイソチオシアネート(ClCH2CH2NCS)を反応させて目的とする式(I)で表される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体を得る第3工程とからなるものである。
以下に各工程を詳細に説明することにより、本発明を明らかにする。
【0024】
本発明の製造法である、式(II)で示される化合物のベンジル基を除去して式(III)で示される化合物へ誘導する第1工程は、通常の有機化学上用いられている脱ベンジル化反応により実施される。具体的には、ラネーニッケル、酸化パラジウム、パラジウム−炭素等の触媒を用いる、水素添加反応等により、好ましく実施することができる。
【0025】
本工程の水素添加反応等に使用する溶媒としては、反応に直接関与しない溶媒が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒が好ましく、このアルコール系溶媒と共に水を共存させた混合溶媒が、特に好ましく使用し得る。
【0026】
なお本発明の製造方法で、出発化合物である式(II)で示される化合物における置換基Raのスルホニル残基としては、低級アルキルスルホニル基あるいはアリールスルホニル基等があげられる。低級アルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等を例示することができ、また、アリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等を例示することができる。なかでも、特に好ましい式(II)で示される化合物は、置換基Raがメタンスルホニル基を有する化合物であり、この化合物は、本発明者らによりすでに提案された方法により収率よく得ることができる。
【0027】
この第1工程により製造される式(III)で表わされる化合物は、反応終了後、適宜所望により、濾過、液性変換、濃縮、抽出、転溶、塩形成等、有機化学上汎用される通常の処理手段を採用することにより、例えば、遊離塩基として、あるいは塩の形態(例えば、塩酸塩)として単離することもできる。しかしながら、式(III)の化合物を反応溶液から単離することなく、そのまま次の第2工程に付すことも可能であり、工業的製造法としては、式(III)の化合物を単離することなく次の第2工程に付すのが好ましい。
【0028】
次いで上記工程により脱ベンジル化された式(III)の化合物に、チオ硫酸ナトリウムを反応させて式(IV)で示される化合物へ変換する第2工程は、具体的には、式(III)の化合物を、適当な溶媒に溶解させ、そこに当モル量ないしやや過剰のチオ硫酸ナトリウムを添加し、反応が完結するまで適宜攪拌等の手段を行うことにより実施される。
【0029】
反応に使用する溶媒としては、式(III)の化合物ならびにチオ硫酸ナトリウムを溶解する溶媒であればどのようなものでもよく、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒とともに水を共存させた混合溶媒が好ましく使用し得る。
【0030】
さらに、本第2工程は、第1工程の反応終了後、反応溶液から工程1で使用した触媒を除去した溶液をそのまま用い、チオ硫酸ナトリウムと反応させることもできる。
【0031】
これらの反応は、室温ないし加熱下に実施することができ、例えば室温下にチオ硫酸ナトリウムを添加し攪拌した後、50℃程度の加熱条件下で攪拌を行う等、適宜反応条件を選択することができる。反応終了後、目的とする式(IV)の化合物は結晶として反応溶液中から単離することができる。
【0032】
この場合においても、目的とする式(IV)の化合物を反応溶液から単離することなく、そのまま次の第3工程に付すことも可能である。したがって、工業的製造法としては、式(IV)の化合物を反応系より単離することなく、次の第3工程に付すのが好ましい。
【0033】
次いで、以上の工程により得られた式(IV)の化合物に、クロロエチルイソチオシアネートを反応させ、アゼチジン環の窒素原子上に1,3−チアゾリル基を導入した、本発明の目的化合物である式(I)で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体へ誘導する第3工程は、以下のようにして実施される。
【0034】
すなわち、適当な溶媒中、塩基の存在下、式(IV)の化合物に対し、当モル量ないしやや過剰量のクロロエチルイソチオシアネートを添加し、0℃〜100℃程度の温度条件下で反応させることにより実施される。
【0035】
反応に使用する溶媒としては、当該反応に対して不活性なものであれば特に限定はされず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、含水アルコール等の溶媒が好ましく使用される。
【0036】
また塩基としては、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の有機アミン、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の無機塩基等を挙げることができ、その添加量は、反応に使用するクロロエチルイソシアネートの添加量とほど同一とするのが良い。
【0037】
当該反応は、好ましくは室温下に行われ、ほぼ20時間程度実施することで完結し、目的とする式(I)で表わされる1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体は、反応終了後、適宜所望により、濾過、液性変換、濃縮、抽出、転溶、塩形成等、有機化学上汎用される通常の処理手段を採用することにより、結晶として単離することができる。
【0038】
かくして製造された本発明の目的化合物である式(I)で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体は、その後、例えば下記反応式:
【0039】
【化14】
Figure 0004447741
【0040】
に示す、酸処理とそれに続く酸化反応、次いで還元反応を順次行い、例えば、カルバペネム系抗生物質の2位の側鎖として利用されている式(V)で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンに誘導される。
【0041】
その詳細を説明すれば、すなわち、式(I)で示される本発明の化合物は、酸処理とそれに続く酸化反応に付され、式(VI)で示されるジスルフィド化合物へ変換される。この場合の式(I)の化合物に対する酸処理は、具体的には、水もしくはアルコール系の溶媒中、塩酸、硫酸などの鉱酸;あるいはメタンスルホン酸、エタンスルホン酸などの有機酸による酸処理を行うことにより実施される。また、その後の酸化反応は、過酸化水素、クロム酸、四酢酸鉛、有機過酸等の酸化剤を用いる方法、あるいはFeなどの金属の触媒を用いて空気酸化を行う方法により実施される。
【0042】
次いで、かくして、製造された式(VI)で示されるジスルフィド化合物は、適当な溶媒中で、トリフェニルホスフィンと処理することにより、式(V)で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンへ変換されるが、そのような溶媒としては、反応に対して不活性なものであれば特に限定はされず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、さらにこれら溶媒に水を共存させた混合溶媒、あるいはアセトニトリルが好ましく使用される。
【0043】
この反応は、好ましくは室温条件下に行われ、反応終了後、適宜所望により、濾過、液性変換、濃縮、抽出、転溶、塩形成等、有機化学上汎用される通常の処理手段を採用することにより、式(V)で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンを塩酸塩の結晶として単離することができる。
【0044】
かくして製造された、式(V)で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンは、例えばカルバペネム系抗生物質の一つである(1R,5S,6S)−2−[1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル]チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸、またはそのエステル体であるピバロイルオキシメチルエステルの2位の側鎖として使用される。
【0045】
したがって、本発明はカルバペネム系抗生物質の側鎖置換基として有用な、式(V)で示される3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンを製造するに際して極めて重要な中間化合物である、式(I)で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の簡易な製造方法を提供するものである。
【0046】
【実施例】
以下に本発明を、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に包含される限り、種々の変更例が可能であり、かかる変更例も本発明の権利範囲に含まれるものである。
【0047】
実施例1
【0048】
【化15】
Figure 0004447741
【0049】
N−ベンジル−3−メタンスルホニルオキシアゼチジンの塩酸塩[化合物(1)]55.56g(200mmol)のメタノール150mlおよび水32ml混合液に、室温下に、10%パラジウム−炭素(50%含水)11.11gを加え、次いで40℃にて、水素ガス500Kpa加圧で19時間攪拌し、水素添加を行い、化合物(2)を得た。反応終了後、触媒を吸引濾過にて濾別し、さらにメタノール20mlにて洗浄した。
【0050】
得られた濾液中から化合物(2)を単離することなく、濾液にチオ硫酸ナトリウム・5水和物の49.63g(200mmol)を添加した後、室温下で1時間攪拌し、次いで50〜60℃にて22時間攪拌した。反応終了をTLCにて確認後、反応溶液を0〜5℃まで冷却した。この反応液にイソプロパノール400mlを加え、0〜5℃にて1時間攪拌し、結晶を析出させた。析出した結晶を濾取して、イソプロパノール140mlにて洗浄し、真空乾燥し、化合物(3)を無色結晶として62.6g(純度:46.9%;収率:86.9%)得た。
【0051】
1H−NMR(400MHz;D2O)δ:4.44−4.54(3H,m),4.19−4.27(2H,m).
【0052】
実施例2
【0053】
【化16】
Figure 0004447741
【0054】
上記実施例1で得た化合物(3)1.52g(9mmol)を水2.5mlとメタノール7.5mlの混合溶媒に懸濁し、28%ナトリウムメトキシド1.54g(8mmol)とトリエチルアミン0.28ml(2mmol)を0℃下で添加した。その後、クロロエチルイソチオシアネート1.21g(10mmol)を加え、室温下30分間攪拌した。反応液を再び0℃に冷却し、塩化水素をバブリングした1.3mol/Lの塩化水素−メタノール溶液1.5ml(2mmol)を加えてpHを3とした後、0℃下でイソプロパノール20mlを加えて30分間攪拌した。反応溶液を吸引濾過し、得られたケーキ状物をメタノール/イソプロパノール=1/2溶液15mlにてリパルプ洗浄後、真空乾燥し、化合物(5)を無色結晶として4.21g(純度:48.5%;収率88.9%)得た。
【0055】
1H−NMR(400MHz;D2O)δ:4.41−4.47(1H,m),4.34−4.38(2H,m),3.92(2H,t,J=7.54Hz),3.56(2H,t,J=7.54Hz).
【0056】
実施例3
【0057】
【化17】
Figure 0004447741
【0058】
N−ベンジル−3−メタンスルホニルオキシアゼチジンの塩酸塩[化合物(1)]2.22g(8mmol)のメタノール6mlおよび水2ml混合液に、室温下に、10%パラジウム−炭素(50%含水)0.44gを加え、次いで40℃にて、水素ガス500Kpa加圧で24時間攪拌し、水素添加を行い化合物(2)の生成を確認し、触媒を吸引濾過にて濾別し、さらにメタノール1mlにて洗浄した。
【0059】
次いで得られた濾液にチオ硫酸ナトリウム・5水和物の1.98g(8mmol)を添加した後、室温下で1時間攪拌し、続いて50℃にて22時間攪拌した。反応終了をTLCにて確認後、反応溶液を0℃まで冷却し、この溶液にトリエチルアミン1.23ml(8.8mmol)および調製したクロロエチルイソチオシアネート1.07g(8.8mmol)を加え、室温下30分間攪拌した。
【0060】
反応液を濃縮し、さらに濃縮液にイソプロパノール10mlを添加して共沸することにより水を完全に留去して結晶残渣を得た。この残渣をメタノール16mlに懸濁し、室温下に28%ナトリウムメトキシド1.53g(8mmol)を加えて15分間攪拌した。アルカリ性条件下で不溶の塩を吸引濾過し、メタノール5mlで洗浄した。濾液に塩化水素をバブリングした1.33mol/Lの塩化水素−メタノール溶液7.4ml(9.6mmol)を加えて液性を酸性とした(pH試験紙にて3〜4)。この酸性溶液にイソプロパノール25mlを添加し15分間攪拌し、目的とする化合物(5)を析出させ、吸引濾取した。得られた結晶を室温にて1時間真空乾燥し、化合物(5)を1.96g(純度:85.2%;化合物(1)からの収率82.1%)得た。
【0061】
参考例1
【0062】
【化18】
Figure 0004447741
【0063】
濃塩酸54.8ml中に、上記実施例3で得た化合物(5)33.06g(130mmol)を室温にて加え、50〜60℃にて2時間攪拌した。反応終了後、水27.4mlおよびメタノール27.4mを加え、0℃に冷却し、続いて炭酸水素カリウム104.1g(8当量)を25分間かけて加えた。1時間攪拌した後、30%過酸化水素水7.39g(65mmol)を、内温が25℃以下になるように45分間かけて加え、さらに0℃にて40分間攪拌した後、Na2SO3・7H2Oを3.28g(13mmol)および水164mlを加え、室温にて1時間攪拌した。反応液を室温に1日放置後、吸引濾取して、次いで30℃の温水164mlで2回リパルプ洗浄した。さらにヘプタン164mlで1回リパルプ洗浄後、7.5時間通気乾燥して恒量化し、無色結晶として化合物(6)を25.17g(純度:82.7%;収率:92.8%)得た。
【0064】
1H−NMR(270MHz;CDCl3)δ:4.35(4H,t,J=8.1Hz),4.03(4H,t,J=7.6Hz),3.83−4.01(6H,m),3.38(4H,t,J=7.6Hz)
【0065】
参考例2
【0066】
【化19】
Figure 0004447741
【0067】
上記参考例1で得た化合物(6)17.33g(50mmol)に、塩化水素をバブリングした8mol/Lの塩化水素−メタノール溶液15.6ml(125mmol)、トリフェニルホスフィン16.2g(60mmol)、水1.92gおよびアセトニトリル25mlを添加し、室温にて90分間攪拌した。次いで、テトラヒドロフラン50mlおよび少量の化合物(7)[108mg]を添加し、室温にて40分間攪拌した。結晶の析出を確認した後、さらにテトラヒドロフラン325mlを50分間かけて加え、室温にてさらに60分間攪拌した。析出した結晶を濾取して、テトラヒドロフラン50mlにて洗浄し、真空乾燥し、無色結晶として目的物である3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンの塩酸塩[化合物(7)]を20.22g(純度:96.6%;収率:92.7%)得た。
本品の機器分析データは、標品のデータと完全に一致した。
【0068】
【発明の効果】
以上に記載のように、本発明が提供する製造法によれば、本発明者らが先に提供している、極めて安価な化合物(II)から、特別高価な試薬あるいは溶媒を使用することなく、高収率で目的とする式(I)の1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体を製造することができる。
【0069】
この式(I)の1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体は、カルバペネム系抗生物質の2位の側鎖置換基として重要な、3−メルカプト−1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジンを製造する中間体化合物である。
【0070】
本発明の各ステップにおける目的物は、単離することなく次の工程に使用し得るものでもあり、また、反応溶液中から結晶として単離することができるものである。したがって、その操作も簡便なものであることより、工業的製造方法として特に優れたものである。

Claims (4)

  1. 次式(II):
    Figure 0004447741
    (式中、Raはスルホニル残基を表わし、Bzlはベンジル基を表す。)
    で表される化合物のベンジル基を除去して、次式(III):
    Figure 0004447741
    (式中、Raスルホニル残基を表す。)
    で表される化合物とし、得られた式(III)の化合物を単離するか、または単離することなくチオ硫酸ナトリウムと反応させて、次式(IV):
    Figure 0004447741
    で表される化合物とした後、得られた式(IV)の化合物を単離するか、または単離することなくクロロエチルイソチオシアネートと反応させることを特徴とする、次式(I):
    Figure 0004447741
    で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造方法。
  2. 次式(IV):
    Figure 0004447741
    で表される化合物にクロロエチルイソチオシアネートを反応させることを特徴とする、次式(I):
    Figure 0004447741
    で示される1−(チアゾリン−2−イル)アゼチジン誘導体の製造方法。
  3. 式(IV)で示される化合物を単離することなく行う請求項1に記載の製造方法。
  4. 式(III)で示される化合物および式(IV)で示される化合物のそれぞれを、単離することなく行う請求項1に記載の製造方法。
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CN107445950A (zh) * 2017-08-25 2017-12-08 浙江海翔川南药业有限公司 一种替比培南酯侧链的精制方法
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