JP4447076B2 - ビスフェノール類の開裂方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビスフェノール類の開裂方法に関する。詳しくは、ビスフェノールとビスフェノール製造過程で副生するクロマン誘導体やフラバン誘導体等の不純物を含有する混合物を開裂して、イソプロペニルフェノールとフェノールを主成分とする開裂生成物を高純度で製造し得るビスフェノール類の開裂方法に関する。
【0002】
本発明の方法で得られる開裂生成物は、イソプロペニルフェノール及びフェノールを含み、その他少量の不純物を含む。通常、そのままビスフェノール製造工程に循環され、ビスフェノールに再生される。本発明が好ましく適用されるのは、ビスフェノールAとビスフェノールA製造過程で副生するクロマン誘導体やフラバン誘導体等の不純物を含有する混合物の開裂である。
【0003】
【従来の技術】
触媒存在下で、ビスフェノールA又はビスフェノールA含有化合物を加熱すると開裂反応が進み、フェノール、4−イソプロペニルフェノール、及び4−イソプロペニルフェノール重合物等が生成する事が知られている。通常、該開裂反応は、塩基性触媒または酸性触媒の存在下に、150〜260℃の高温において、減圧条件のもとに行われる。(例えば、特開昭55−27108、特開昭62−148441号公報)
4−イソプロペニルフェノールは極めて反応性が高く、特に液状になると素早く重合が起こり開裂収率が低下する原因となる。そのため、従来は、4−イソプロペニルフェノールとフェノールを主成分とする開裂生成物は、蒸気状態のまま反応器から留出させており、蒸留精製等の操作は行っていない。このため、開裂原料中に含まれる、及び/または、開裂反応で副生する各種不純物が開裂留出物中に混入して開裂生成物の純度が低下する原因となっていた。
【0004】
通常、開裂反応生成物は、そのままビスフェノールA製造工程に循環され、ビスフェノールAに再生される。そのため、開裂生成物が多量の不純物を含有していると、ビスフェノールAの純度低下の原因となる。また、ビスフェノールAの製造効率が低下する原因となっていた。イソプロペニルフェノールは極めて不安定な物質であり、一般的には蒸留精製では、イソプロペニルフェノールの収率が低下したり、副生したイソプロペニルフェノールのダイマー等による蒸留塔の閉塞にも繋がると言われていた。この為、従来は蒸留精製は行わず、上記用途に使用していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、高純度のイソプロペニルフェノール及びフェノールを含む生成物を得ることができるビスフェノール類の開裂方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、開裂生成物を蒸気状態で蒸留塔に供給して、蒸留工程にリボイラー等の加熱源を設置することなしに特定の還流比で蒸留しながらビスフェノール類の開裂反応を実施することにより、上記目的が達成し得ることを見出し、本発明の方法を確立するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、ビスフェノール、並びに、ビスフェノール製造過程で副生するクロマン誘導体及びフラバン誘導体を含む混合物を開裂してイソプロペニルフェノール及びフェノールを含む生成物を製造するビスフェノール類の開裂方法において、(1)ビスフェノール、並びに、ビスフェノール製造過程で副生するクロマン誘導体及びフラバン誘導体を含む混合物を開裂器に供給し、塩基性または酸性触媒の存在下、150〜260℃、300mmHg以下の減圧条件下において開裂反応する開裂工程、(2)開裂工程生成物を蒸気状態で蒸留塔に供給し、130〜200℃、300mmHg以下の減圧条件下において蒸留する蒸留工程、(3)蒸留工程留出物を凝縮し、その一部を還流比0.01〜3で蒸留工程に還流し、残部を系外に抜き出す還流工程、を含むことを特徴とするビスフェノール類の開裂方法である。
【0008】
本発明の特徴は、上記構成の内、特に、開裂生成物を蒸気状態で蒸留塔に供給して、蒸留工程にリボイラー等の加熱源を設置することなしに特定の還流比で蒸留しながらビスフェノール類の開裂反応を実施することにある。その他、好ましい態様として、蒸留工程の塔底液を開裂工程に戻す上記の開裂方法、蒸留塔還流液の少なくとも1重量%をサイドカットにて系外に抜き出す上記の開裂方法、還流工程の留出物(還流残部)をビスフェノール類製造工程に導入、回収する上記の開裂方法等が挙げられる。本発明が好ましく適用し得る方法は、ビスフェノールA、及びビスフェノールAの製造過程で副生するクロマン誘導体及びフラバン誘導体等の不純物を含有する混合物の開裂方法である。
【0009】
本発明によれば、開裂生成物が蒸気状態で蒸留塔に供給されるため、反応性が高いイソプロペニルフェノール等の重合が防止され、ダイマー、トリマー等のオリゴマーの生成を抑制することができる。従って、高純度のフェノール及びイソプロペニルフェノールを得ることが可能である。ひいては、還流工程の留出物(還流残部)を、例えば、ビスフェノールA等の製造工程へ循環した場合でも、製品ビスフェノールAの品質を低下することがなく、むしろ純度の向上、製造コストの低減につながる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、ビスフェノール、並びに、ビスフェノール製造過程で副生するクロマン誘導体及びフラバン誘導体を含む混合物を開裂器に供給して開裂し、開裂生成物を蒸気状態で蒸留塔に供給し、特定の還流比で還流しながら蒸留して、イソプロペニルフェノール及びフェノールを含む生成物を製造する、ビスフェノール類の開裂方法である。
【0011】
本発明における開裂反応原料には、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール、並びに、該ビスフェノールの製造過程で副生するクロマン誘導体及びフラバン誘導体等の不純物を含有する混合物が用いられる。例えば、ビスフェノールA製造工程で得られるビスフェノールAの蒸留塔缶出液、ビスフェノールAの晶析母液を脱フェノールした物が挙げられる。以下、これらを総称して、ビスフェノール類という。
【0012】
本発明における開裂反応は、ビスフェノール類を開裂して、4−イソプロペニルフェノールとフェノールを主成分とする開裂生成物を得る方法であり、一般的には、塩基性触媒または酸性触媒の存在下に、150〜260℃の高温において、300mmHg以下の減圧条件のもとに行われる。また、収率向上のために開裂反応器下部より、不活性ガスで連続的にバブリングを行ってもよい。開裂反応原料の開裂器への供給方法は、連続的でも間歇的でもよいが、連続的供給が好ましい。
【0013】
開裂反応の触媒には、塩基性触媒または酸性触媒が用いられる。塩基性触媒としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩等が挙げられる。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化カルシウム等が挙げられる。酸性触媒としては、塩化アルミニウム、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム等が挙げられる。一般的には塩基性触媒が好ましい。触媒の使用量は、開裂反応原料であるビスフェノール類の0.001〜1重量%程度が好ましい。
【0014】
前述の様に、開裂反応で生成する、例えば、4−イソプロペニルフェノールは、極めて反応性が高く、特に液状になると素早く重合反応が起こり、4−イソプロペニルフェノールダイマー、トリマー等の低重合物が生成する。4−イソプロペニルフェノールやフェノールの収率を考慮すると、開裂生成物を開裂反応器から留出させるときには、蒸気状態が好ましく、液相部は極力少なくするのが良い。かかる観点より、本発明においては、通常の蒸留塔に設置されているリボイラー方式の蒸留は好ましくない。本発明では、開裂生成物は蒸気の状態で蒸留塔に導かれる。ここで、蒸気の状態とは、少量であれば液相部ミストを含む状態であっても差し支えない。具体的には、30重量%以下、好ましくは10重量%以下であれば液相部を含んだ状態でもよい。
【0015】
蒸留塔としては、充填塔式蒸留塔、薄膜式蒸留塔、分縮器型蒸留塔等が挙げられる。開裂生成物の蒸留塔への供給段は、塔の中段でも良いが、塔底が好ましい。蒸留塔は、開裂反応器の上部に付設された物でも良く、また、開裂反応器とは独立に設置されていても良い。蒸気状態の開裂生成物を蒸留塔に供給する際の凝縮、液化等を考慮すると、開裂反応器の上部に付設された蒸留塔が好ましい。蒸留塔の段数は、4−イソプロペニルフェノールダイマー等の高沸点物質を4−イソプロペニルフェノール及びフェノールから分離出来る条件であれば良い。蒸留塔内における液の滞留時間の増大は、4−イソプロペニルフェノール等の収率悪化に繋がる。そのため、蒸留塔精留部での液滞留時間を短くした方が良い。一般的には、理論段で1〜10の蒸留塔が使用される。この為、蒸留塔は棚段塔でも良いが、液のホールドアップ量が少なく、操作性に優れた充填塔方式が好ましい。場合によっては、薄膜蒸留塔方式や分縮器方式でも良い。
【0016】
蒸留塔下部には、液ミストの同伴を防止する為のデミスターを設置することが好ましい。充填塔方式の蒸留塔では、液ミスト中に含まれる凝固し易い不純物の為に、充填物が閉塞したり偏流が発生し、蒸留効率の低下、蒸留塔の運転安定性の悪化等に繋がるからである。又、薄膜蒸留塔や分縮器の場合は、液ミストによる純度低下防止の為に、分縮蒸気の出口部にデミスターを設置することが好ましい。下部デミスターとして、集液器式デミスターが好ましく用いられる。
【0017】
蒸留塔の運転温度は、4−イソプロペニルフェノールの反応性の面からは低温程好ましい。しかし、低温操作は、4−イソプロペニルフェノールのダイマーやトリマー等の低重合物による固形物発生や閉塞の原因に繋がる。一方、蒸留塔の温度は、気液平衡により決まり、且つ、蒸気組成は大きくは変わらない為、蒸留塔温度を上げる事は開裂圧力を上げる事につながる。開裂反応器の圧力は、開裂収率の関係より適度な減圧度が必要である。このため、温度を上げすぎると開裂反応器での4−イソプロペニルフェノールの収率が低下する事になる。
【0018】
これらのことを考慮して鋭意検討した結果、蒸留塔の塔内温度を上記低重合物が凝固せず、且つ、4−イソプロペニルフェノールダイマー等の分解が始まる130〜200℃の範囲で運転する事により、固形物の発生や閉塞、及び4−イソプロペニルフェノールの収率低下もなく、クロマン誘導体やフラバン誘導体等の不純物を分離除去出来る事が判明した。蒸留塔の圧力は300mmHg以下がよい。
【0019】
蒸留塔を留出した開裂物は凝縮されて、その一部が蒸留塔に還流される。この還流液は、全縮器で全縮された液の一部であっても良いし、分縮器で分縮された液の一部または全部であっても良い。通常、こうした凝縮液は、凝縮液の受器を経由して蒸留塔へ還流される。この場合、凝縮液受器内において、更には凝縮器内においもて、4−イソプロペニルフェノールの一部がダイマーやトリマー等の低重合物となる。こうした低重合物は、4−イソプロペニルフェノールやフェノールに比べて凝固し易く、蒸留塔内での固形物発生や閉塞の原因となる。この為、凝縮器及び凝縮器受器等における液滞留時間は極力短くするのが良い。
【0020】
還流量は、多すぎても少なすぎても良くない。多すぎる還流は、4−イソプロペニルフェノールの収率低下原因、4−イソプロペニルフェノールの低重合物による蒸留塔内での固形物発生や閉塞の原因となる。逆に、少なすぎる還流は、蒸留精製効果の点で好ましくない。かかる点を考慮すると、還流比は0.01〜3の範囲が好ましい。更に好ましくは0.05〜1の範囲である。ここで言う還流比とは、還流液重量/(全留出蒸気重量−還流液重量)を示す。
【0021】
本発明の方法により得られた開裂生成物には、ビスフェノールA等のビスフェノール製造工程で分離の困難なクロマン誘導体やフラバン誘導体が大幅に減少している。この為、開裂生成物の精製を行っていなかった従来の方法に比べて、ビスフェノールAの純度の向上が可能となる。さらには、不純物の循環量が減る為、ビスフェノールA等の製造コストの低下にも繋がる。特に、純度一定の運転では、この合理化効果はより大となる。
【0022】
一方、蒸留塔の塔底液は、系外に排出してもよいが、4−イソプロペニルフェノールの収率を考慮すると、開裂反応器に戻すことが効率的である。開裂器に戻された4−イソプロペニルフェノール及びまたはフェノール由来の高沸点化合物は再び開裂されて、4−イソプロペニルフェノール及びフェノールに戻り、留出回収される事になる。
【0023】
本発明における開裂反応器及び蒸留塔を含むプロセスから系外へ抜き出す物は、通常、蒸留塔塔頂からの開裂生成物と開裂反応器の残渣である。しかし、この方法では、クロマン誘導体やフラバン誘導体等の不純物は開裂反応器の残渣中に濃縮される事になる。該残渣も有用なフェノール系化合物であり、各種用途に使用されている。しかし、用途によってはクロマン誘導体やフラバン誘導体等の不純物を嫌うものもあり、これら不純物の減少が望まれている。
【0024】
排出する開裂残渣より、これら不純物を分離除去するのもよいが、効率的ではない。本発明では、上記蒸留塔内のクロマン誘導体やフラバン誘導体等の不純物をサイドカットにより系外に抜き出す事でかかる問題を解決し得ること見出した。サイドカットにより、蒸留精製された開裂生成物の純度アップにも繋がる。サイドカットにより、これら不純物が低減し、且つ、開裂留出物中に同伴している未開裂ビスフェノール類も減少した為である。
【0025】
サイドカットは、クロマン誘導体、フラバン誘導体、上記未開裂ビスフェノール類等の不純物が濃縮されている液相部で行うことが好ましい。又、サイドカット段としては、これら不純物が濃縮されている段が良く、蒸留塔の最下部が好ましい。サイドカットは、連続的でも間歇的でもよいが、サイドカット量は、蒸留塔還流液の少なくとも1重量%が好ましい。上限は特に制限はないが、経済性を考慮すると20重量%以下程度であることが好ましい。
【0026】
上記の様にして得られた開裂生成物は、ビスフェノールA等のビスフェノール製造プロセス内に循環、回収することが好ましい。回収された開裂生成物は、一般には、酸性触媒の存在下にビスフェノールAに再合成されて後、晶析精製され、ビスフェノールAとして回収される。
【0027】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、実施例に記載した組成分析値は、下記方法により測定した値である。
(1)組成分析
液体クロマトグラフ〔日本分光(株)製、形式:PU−980、検出器:UV−970、カラム:ODS−充填剤径5μm〕を使用し、展開溶媒としてアセトニトリル/水系グラジエントを用いて測定した。
【0028】
実施例1
ビスフェノールA60重量%、4−(4−ヒドロキシフェニル)−2,2,4−トリメチルクロマン(以降コダオマーと称す)11重量%、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2,4,4−トリメチルクロマン(以降フラバンと称す)5重量%、高沸点物24重量%を含有するビスフェノール類混合物を、留出部(上部)に充填塔を付設した開裂反応器を用いて開裂反応を行った。充填塔の充填部には高さ60cmの規則充填物〔住友重機(株)製、商品名:メラパック)を充填し、その下部にデミスターを兼ねた集液器を設置した。開裂反応器には、ビスフェノール類混合物を連続的に供給し、温度230℃、60mmHgの減圧下において水酸化ナトリウム触媒の存在下で開裂反応を行った。充填塔充填部の温度は160℃、58mmHgの減圧に制御した。開裂器留出物は蒸気状態で連続的に抜き出して充填塔に供給し、凝縮器にて凝縮した後、還流比0.3で充填塔の上部よりリフラックスした。2ヶ月間連続運転を実施したが充填部の圧力上昇は認められなかった。充填塔留出物の組成分析を行った結果、フェノール36重量%、4−イソプロペニルフェノール63重量%、コダイマー0.3重量%、フラバン0.2重量%、未同定物0.5重量%であり、供給原料の85重量%が回収された。また、この時の開裂残渣中には、コダイマーとフラバンがそれぞれ24重量%及び12重量%含有していた。
【0029】
実施例2
充填塔下部の集液部より、蒸留塔の還流液の5重量%に相当する液量を連続的に抜き出した以外は、実施例1と同じ方法で開裂反応を行った。開裂留出物の組成は、フェノール36.2重量%、4−イソプロペニルフェノール63.2重量%、コダイダー0.2重量%、フラバン0.1重量%、未同定物0.3重量%であった。開裂残渣中にはコダイマーとフラバンがそれぞれ5重量%及び2重量%含有していた。
【0030】
比較例1
開裂反応機留出部の充填塔を取り除き、留出物を直接系外に抜き出した以外は、実施例1と同じ方法で開裂反応を行った。開裂留出物の組成は、フェノール31重量%、4−イソプロペニルフェノール54重量%、コダイマー9重量%、フラバン5重量%、未同定物1重量%であった。
【0031】
比較例2
蒸留工程の還流比を5として以外は、実施例1と同じ方法で開裂反応を行った。開裂留出物の組成は、フェノール35重量%、4−イソプロペニルフェノール62重量%、コダイマー0.3重量%、フラバン0.2重量%、未同定物2.5重量%であった。留出液量は開裂器供給量の70重量%であった。
【0032】
比較例3
充填塔充填部の温度を110℃とした以外は、実施例1と同じ方法で開裂反応を行った。連続運転を開始して1ケ月間経過した時点で充填部の圧力が上昇を始め、2ケ月間経過した時点で運転が困難となったため停止した。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、開裂生成物が蒸気状態で蒸留塔に供給されるため、反応性が高いイソプロペニルフェノール等の重合が防止され、ダイマー、トリマー等のオリゴマーの生成を抑制することができる。従って、高純度のフェノール及びイソプロペニルフェノールを得ることが可能である。ひいては、還流工程の留出物(還流残部)を、例えば、ビスフェノールA等の製造工程へ循環した場合でも、製品ビスフェノールAの品質を低下することがなく、むしろ純度の向上、製造コストの低減につながる。更に、蒸留塔内のクロマン誘導体、フラバン誘導体等の不純物をサイドカットすることにより、開裂器残渣中にこれらの不純物が濃縮することを防止でき、開裂残さ中のクロマン類やフラバン類の低減にも繋がる効果を奏する。

Claims (8)

  1. ビスフェノールA、並びに、ビスフェノールA製造過程で副生するクロマン誘導体及びフラバン誘導体を含む混合物を開裂してイソプロペニルフェノール及びフェノールを含む生成物を製造するビスフェノールAの開裂方法において、(1)ビスフェノールA、並びに、ビスフェノールA製造過程で副生するクロマン誘導体及びフラバン誘導体を含む混合物を開裂器に供給し、塩基性または酸性触媒の存在下、150〜260℃、300mmHg以下の減圧条件下において開裂反応する開裂工程、(2)開裂工程生成物を蒸気状態で蒸留塔に供給し、130〜200℃、300mmHg以下の減圧条件下において蒸留する蒸留工程、(3)蒸留工程留出物を凝縮し、その一部を還流比0.01〜3で蒸留工程に還流し、残部を系外に抜き出す還流工程、を含むことおよび該蒸留塔が充填塔であることを特徴とするビスフェノールAの開裂方法。
  2. 蒸留工程の塔底液を開裂工程に戻すことを特徴とする請求項1記載のビスフェノールAの開裂方法。
  3. 蒸留塔還流液の少なくとも1重量%をサイドカットにて系外に抜き出すことを特徴とする請求項1記載のビスフェノールAの開裂方法。
  4. サイドカット箇所が蒸留塔の最下部であることを特徴とする請求項3記載のビスフェノールAの開裂方法。
  5. 蒸留塔の下部にデミスターを設置することを特徴とする請求項記載のビスフェノールAの開裂方法。
  6. 蒸留塔の下部デミスターが塔下部の集液器であることを特徴とする請求項記載のビスフェノールAの開裂方法。
  7. 蒸留塔が開裂反応器上部に付設されていることを特徴とする請求項1記載のビスフェノールAの開裂方法。
  8. 還流工程の留出物を、ビスフェノールA製造工程に導入、回収することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のビスフェノールAの開裂方法。
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