JP6135394B2 - ジアリールカーボネートの連続的製造方法 - Google Patents

ジアリールカーボネートの連続的製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジアルキルカーボネートを原料とし、芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応及びそれにより生成するアルキルアリールカーボネートの不均化反応によりジアリールカーボネートを連続的に製造する方法に関する。詳しくは、本発明は、ジアリールカーボネートの熱効率に優れた連続的製造方法に関する。
ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とを原料に用いてジアリールカーボネートが製造されることはよく知られている。ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応により、アルキルアリールカーボネートが得られる(下記(1)式)。得られたアルキルアリールカーボネートは下記(2)式で表される不均化反応(同一種分子間のエステル交換反応)によりジアリールカーボネートを生成する。なお、下式中、Rはアルキル基を表し、Arはアリール基を示す。)
Figure 0006135394
(1)
Figure 0006135394
(2)
しかしながら、上記反応は全て平衡反応であり、平衡が著しく原料側に偏っているためジアリールカーボネートの生成速度が遅いという欠点を有している。ジアリールカーボネートの生成速度を高める研究として触媒開発に関する提案が多くなされているが、ジアリールカーボネートを効率よく生成するためにはジアリールカーボネート側へ平衡を効果的にシフトさせる必要があり、そのためのプロセス上の様々な工夫が提案されている。
そのうち、反応を第1工程(エステル交換工程)と第2工程(不均化工程)とに分け、第1工程ではジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物及び触媒を蒸留塔内へ連続的に供給し、蒸留塔中で反応を行ってアルキルアリールカーボネートを製造し、第2工程ではアルキルアリールカーボネート及び触媒を含む液を蒸留塔内へ連続的に供給し、蒸留塔中で反応を行ってジアリールカーボネートを製造する方法が提案されている(特許文献1)。
このような2段による製造方法では、第1工程(エステル交換工程)で加熱により反応を進行させると共に、副生するアルキルアルコールを留去することによって平行をずらして反応をさらに促進させる。また、第2工程(不均化工程)においても加熱により反応を進行させる必要があり、大きなエネルギーを必要とする。
しかしながら、従来の方法では、例えば第1工程(エステル交換工程)で加えられる熱量を十分に有効利用することができないため、エネルギー効率が悪くなりコスト上昇を招く場合があった。
これに対し、アルキルアルコール留去のために加える熱量を有効利用する方法として、エステル交換塔の濃縮部に中間コンデンサーを備え、凝縮に起因して得られる凝縮熱を直接又は間接的に回収・再利用する方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、この方法でもプロセス全体のエネルギー効率の向上効果は十分とは言えない。よって、エステル交換工程に用いられる熱量をプロセス全体に有効利用するための方法の開発が望まれる。
特開2004−323384号公報 特開2009−051814号公報
本発明が解決しようとする課題は、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応及びそれにより生成するアルキルアリールカーボネートの不均化反応によりジアリールカーボネートを連続的に製造する方法において、エステル交換工程で加える熱量を有効利用し、プロセス全体のエネルギー効率を向上させる方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エステル交換反応と生成したアルコールの濃縮分離を一緒に行っていた反応蒸留塔を、エステル交換反応蒸留塔とアルコール濃縮蒸留塔の二つの蒸留塔に分け、エステル交換反応蒸留塔の圧力を高くしエステル交換反応温度を上げることにより、ジアルキルカーボネートからアルキルアリールカーボネートへの転化率を上げると共に、高温の塔頂留出ガスから回収した熱を次の不均化工程で使い、熱回収された後の留出液は、アルコール濃縮蒸留塔の圧力を低くすることで、少ない熱量でも濃縮分離できるようにすることでエネルギー効率を高くすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す連続的製造方法に関する。
(1)ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によりアルキルアリールカーボネートを生成するエステル交換反応工程と、前記アルキルアリールカーボネートの不均化反応によりジアリールカーボネートを生成する不均化反応工程とを連続的に行うジアリールカーボネートの製造方法において、前記エステル交換反応工程が、以下に示す工程1と工程2とを含むことを特徴とする、ジアリールカーボネートの連続的製造方法。
(工程1)
エステル交換反応蒸留塔において、ジアルキルカーボネート及び芳香族ヒドロキシ化合物からなる原料化合物を蒸留塔内へ連続的に供給して加圧下にエステル交換反応を行い、
前記エステル交換反応の生成物であるアルキルアリールカーボネートを含む塔底部抜き出し液を塔底部より連続的に抜き出し、不均化反応工程における不均化反応蒸留塔へ連続的に供給するとともに、
前記エステル交換反応の副生物であるアルキルアルコール、原料化合物及びアルキルアリールカーボネートを含む塔頂部抜き出し液を蒸留塔の塔頂部より連続的に抜き出し、熱交換器に通して熱回収したのち、アルコール濃縮蒸留塔へ連続的に供給する工程
(工程2)
アルコール濃縮蒸留塔において、前記塔頂部抜き出し液を蒸留塔内へ連続的に供給して濃縮し、アルキルアルコールを塔頂部より連続的に抜き出すと共に、原料化合物及びアルキルアリールカーボネートを含む液を塔底部より連続的に抜き出してエステル交換反応蒸留塔へ供給する工程。
(2)前記工程1において、熱交換器により回収された回収熱を、不均化反応蒸留塔へ供給することを特徴とする、(1)記載の連続的製造方法。
(3)前記連続的製造方法が、不均化反応工程に続いて該不均化反応工程における未反応アルキルアリールカーボネートを回収するアルキルアリールカーボネート回収工程を含み、且つ該回収アルキルアリールカーボネートを、前記熱交換器に通して熱取得したのち不均化反応蒸留塔へ供給することを特徴とする、(1)又は(2)記載の連続的製造方法。
(4)前記エステル交換反応蒸留塔内の圧力が800〜2000torr、温度が180〜250℃である、(1)〜(3)のいずれかに記載の連続的製造方法。
(5)前記ジアルキルカーボネートが、炭素数1〜6のアルキル基を有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の連続的製造方法。
(6)前記芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールである、(1)〜(5)のいずれかに記載の連続的製造方法。
(7)前記アルコール濃縮蒸留塔内の圧力が10〜760torr、温度が20〜200℃である、(1)〜(6)のいずれかに記載の連続的製造方法。
(8)前記不均化反応工程が、不均化反応蒸留塔において、生成するジアリールカーボネートを含む粗反応液を塔底部より連続的に抜き出すとともに、副生するジアルキルカーボネートを塔頂部より連続的に抜き出す工程を含むことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の連続的製造方法。
本発明によれば、エステル交換反応と生成したアルコールの濃縮分離を一緒に行っていた反応蒸留塔を、エステル交換反応蒸留塔(工程1)と、常圧又は減圧下のアルコール濃縮蒸留塔(工程2)の二つの蒸留塔に分け、工程1ではエステル交換反応蒸留塔の圧力を高くしエステル交換反応温度を上げることにより、ジアルキルカーボネートからアルキルアリールカーボネートへの転化率を上げると共に、高温となった副生アルキルアルコールを含む蒸気の熱を熱交換器により回収した後、温度の低下した留出液は工程2の常圧又は減圧下のアルコール濃縮蒸留塔で副生アルキルアルコールを分離する。
このように、エステル交換反応工程を加圧下の工程1と常圧又は減圧下の工程2とに分けることにより、再利用可能な高温の熱を回収することが可能となる。
熱交換器により回収した高温の熱(回収熱)は、本発明のプロセスへフィードバックすることにより、加圧によりエステル交換反応温度が高まることによるアルキルアリールカーボネートの生成量の増加と相まってプロセス全体の熱効率(エネルギー効率)を向上させることができる。本発明のプロセスのどこへフィードバックするかは特に制限されないが、例えば回収熱を不均化反応工程への供給液(エステル交換反応蒸留塔底液及び回収アルキルアリールカーボネート)の加熱に利用して、不均化反応に必要な熱量を助けるなどの方法により、効率的に回収熱を再利用することができる。フィードバックの方法はこれに限られず、例えば触媒分離塔、アルキルアリールカーボネート回収塔、ジアリールカーボネート精製塔等に用いることもできる。
本発明に用いるジアリールカーボネートの連続的製造装置の概略図である。 従来技術(比較例)でのジアリールカーボネートの連続的製造装置の概略図である。
1 エステル交換反応蒸留塔
2 アルコール濃縮蒸留塔
3 熱交換器
4 不均化反応蒸留塔
5 触媒分離塔
6 アルキルアリールカーボネート回収塔
7 ジアリールカーボネート精製塔
本発明の方法は、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によりアルキルアリールカーボネートを生成するエステル交換反応工程と、前記アルキルアリールカーボネートの不均化反応によりジアリールカーボネートを生成する不均化反応工程とを連続的に行うジアリールカーボネートの製造方法である。
(1)ジアルキルカーボネート
本発明の原料であるジアルキルカーボネートは、下記(3)式で表されるものである。
Figure 0006135394
(3)
上記化4式中、R及びRはアルキル基を表し、RとRはそれぞれ同じものであっても異なっていてもよい。アルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜6、より好ましくは炭素数が3〜6のものである。特に好ましくは、RとRがともに炭素数4のもの(ブチル基、特にn−ブチル基)である。
ジアルキルカーボネートの具体例としては、ジプロピルカーボネート(各異性体)、ジブチルカーボネート(各異性体)、ジペンチルカーボネート(各異性体)、ジヘキシルカーボネート(各異性体)が挙げられる。これらのうちで特に好ましいものは、ジブチルカーボネートである。
本発明では、エステル交換反応工程においてジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物のエステル交換反応によりアルキルアリールカーボネートを効率良く生成するには、副生するアルコールを反応系外に除いて平衡をずらすことが重要である。
炭素数が7以上のジアルキルカーボネートは、副生するアルコールともう1つの原料である芳香族ヒドロキシ化合物の沸点が近くなるため分離が難しくアルコールの反応系外への除去が困難となる、あるいはアルコールの沸点が芳香族ヒドロキシ化合物の沸点より高くなって反応が行えなくなる、といった欠点が生じる場合がある。
一方、炭素数が2以下のジアルキルカーボネートを用いることは可能であるが、アルコールとジアルキルカーボネートの沸点差が小さく共沸化合物もつくる場合があるため、アルコールを系外に除くためには複雑な装置を要するなど、コストが増大する可能性がある。
ジアルキルカーボネートは一般に入手しにくいが、尿素あるいは相当するアルキルカーバメート、およびアルキルアルコールを原料として良好な収率で合成することができる。アルキルカーバメートとジアルキルカーボネートの分離方法としては、カーバメートを結晶化させて除去する方法、温水で洗浄する方法、操作圧力の異なる2つの蒸留塔を用いる方法等が挙げられるが、中でも簡便で効率の良い方法として、特開2000−1461号公報に提案されている芳香族ヒドロキシ化合物との共存下で蒸留する方法が挙げられる。この方法では塔頂よりジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物の混合物が得られるが、本発明ではこれらを分離することなく、そのままエステル交換反応の原料として蒸留塔に供給することができる。
(2)芳香族ヒドロキシ化合物
本発明のもう一方の原料である芳香族ヒドロキシ化合物とは、下記(4)式で表されるものである。
Figure 0006135394
(4)
上記化5式中、Arは置換されていても良いフェニル基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン等が挙げられる。
具体的には、フェノール、クレゾール(各異性体)、キシレノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、メトキシフェノール(各異性体)、フルオロフェノール(各異性体)、クロルフェノール(各異性体)などが挙げられる。製造されるジアリールカーボネートの有用性を考えるとフェノールが好ましい。
原料として用いるジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物の比率は、単位加熱量あたりのジアリールカーボネートの生成量を増やすという観点から、ジアルキルカーボネート:芳香族ヒドロキシ化合物がモル比で2:1から1:10、さらに好ましくは、1:1から1:4の間であることが好ましい。
(3)触媒
本発明では、通常エステル交換触媒として用いられているものを必要に応じて触媒として使用することができる。具体的には、チタン、アルミニウム、ガリウム、スズ、イットリウムから選ばれる金属の、アルコキシド、アリールオキシド、アルキル置換オキシド、アセチルアセトナートのいずれか、またはそれらの化合物と他の化合物とのアダクトが好ましい。
上記触媒の中でも、特に、Ti(OX)(但し、Xは炭素数3から6のアルキル基、またはアリール基を示す。)で示されるチタン化合物、またはTi(OX)・XOH(但し、Xは炭素数3から6のアルキル基、またはアリール基を示す。)で示されるチタン化合物のアダクトを使用することが好ましい。
上記式で表される触媒の例としては、例えば、チタニウムテトラプロポキシド(各異性体)、チタニウムテトラブトキシド(各異性体)、チタニウムテトラアミルオキシド(各異性体)、チタニウムテトラヘキシルオキシド(各異性体)、チタニウムテトラフェノキシド、チタニウムテトラ(4−メチルフェノキシド)等が挙げられる。
また、R'SnO、R'Sn(OR")、Sn(OR")で表されるスズ化合物を用いることも好ましい。ここでR'は炭素数1〜10のアルキル基を示し、R"は炭素数3〜6のアルキル基を示す。
上記式で表される触媒の例としては、ジエチルスズオキシド、ジプロピルスズオキシド(各異性体)、ジブチルスズオキシド(各異性体)、ジアミルスズオキシド(各異性体)、ジオクチルスズオキシド(各異性体)、ジブチルジブトキシスズ(各異性体)、ジエチルジアミルオキシスズ(各異性体)、テトラブトキシスズ(各異性体)、テトライソアミルオキシスズ(各異性体)等が挙げられる。又、反応条件下でこれらの化合物に変化する化合物も適当であるし、トリアルキルモノアルコキシドやモノアルキルトリアルコキシドも適当である。
該上記触媒はエステル交換反応工程及び不均化反応工程のいずれの場合にも使用することができるが、エステル交換反応工程と不均化反応工程で同一の触媒を用いることが好ましい。また、触媒の量は、原料に用いるジアルキルカーボネートに対して0.01〜10モル%が適当である。
(4)連続製造装置
本発明に用いる連続製造装置の概念図を図1に示す。図中、1はエステル交換反応蒸留塔、2はアルコール濃縮蒸留塔、3は熱交換器、4は不均化反応蒸留塔、5は触媒分離塔、6はアルキルアリールカーボネート回収塔、7はジアリールカーボネート精製塔である。
(5)エステル交換反応工程;工程1
工程1で用いられるエステル交換反応蒸留塔は、コンデンサー段とリボイラー段を含む段数が3段以上を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものであればどのようなものでもよい。例えば、泡鐘トレイ、シーブトレイ、バルブトレイ等を用いた棚段塔、スルザーラボパッキング、スルザーパッキング、メラパック、ディクソンパッキング、ラシヒリング等の充填物が充填された充填塔等いずれも用いることができる。この中でも棚段塔を用いることが好ましい。尚、ここでいう段数は、棚段塔の場合は実段数、充填塔の場合は理論段数を意味するものとする。
エステル交換反応蒸留塔には、エステル交換反応工程の原料であるジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物が導管10から、不均化反応塔で回収されたジアルキルカーボネートが導管20から、触媒分離塔で回収された触媒が導管21から、混合器8を経て、導管11によって塔底部より上段の位置に連続的に供給される。これらの供給原料中には、プロセスで回収される未反応のジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物の他、副生アルキルアルコール、アルキルアリールカーボネート及びジアリールカーボネートが含まれていても構わない。しかしながら、本反応は可逆反応のため、これら生成物の濃度があまり高いと原料の反応率が低下するので好ましくない。
エステル交換反応工程で用いられる触媒(混合器8を経て塔底部より上段の位置から供給される)は、そのまま供給しても良いし、操作性を向上させる目的で不活性溶媒(例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、ハロゲン化芳香族炭化水素類等)に溶解又は分散させて供給しても良い。また、エステル交換反応工程の原料あるいは生成物であるアルキルアリールカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、脂肪族アルコールあるいはこれらの混合物に溶解あるいは分散させて加えてもよい。
エステル交換反応蒸留塔では、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を加圧下に行う。エステル交換反応蒸留塔内の圧力は、好ましくは800〜2000torr、より好ましくは900〜1200torr、特に好ましくは900〜1100torrである。すなわち、エステル交換反応蒸留塔では従来の技術と大きく異なり、加圧下でエスエル交換反応が行われる。これにより、後述するように副生するアルキルアルコールを塔頂部より高温の蒸気として抜き出すことができ、これを熱交換器に通して熱回収し再利用する(プロセス内へフィードバックする)ことによって、プロセス全体のエネルギー効率を向上させることができる。
エステル交換反応蒸留塔における反応温度は、原料であるジアルキルカーボネート及び芳香族ヒドロキシ化合物の種類、操作条件等によって異なるが、通常180〜250℃、好ましくは190〜250℃、より好ましくは190〜210℃で行われる。加圧によりエステル交換反応温度が高まることによりアルキルアリールカーボネートの生成量が増加する。
エステル交換反応工程では反応を進行させるため、副生するアルキルアルコールを積極的な還流をさせずにエステル交換反応蒸留塔の塔頂部より導管13を通して連続的に抜き出す。この塔頂部抜き出し液はアルキルアルコールの他、原料化合物、生成したアルキルアリールカーボネート、ジアリールカーボネート等を含んでいても良い。
この塔頂部抜き出し液は、導管13から熱交換器3を経由してアルコール濃縮蒸留塔へ連続的に供給される。このとき、副生アルキルアルコールを含む塔頂部抜き出し液は、加圧されたエステル交換反応蒸留塔から高温の蒸気として抜き出されるため、熱交換器に通すことによって多くの熱量を回収することができる。
使用可能な熱交換器としては特に制限はなく、従来公知のものを装置の規模、流量、温度差等を考慮して選択することができる。具体的にはシェルアンドチューブ熱交換器、スパイラル熱交換器等が好ましく用いられる。また、回収できる熱量の目安は特に制限されないが、例えば50〜300kcal/kg程度である。
なお、通常は必要ないが、窒素等の不活性ガスを流しながら反応を行っても良い。
また、エステル交換反応蒸留塔では、前記エステル交換反応の生成物であるアルキルアリールカーボネートを含む塔底部抜き出し液が塔底部より連続的に抜き出される。塔底部抜き出し液には、アルキルアリールカーボネートの他、通常は触媒が含まれ、また原料化合物、アルキルアルコール、ジアリールカーボネートが含まれていても良い。
塔底部抜き出し液と、アルキルアリールカーボネート回収塔からのアルキルアリールカーボネートは混合器9を通して不均化反応蒸留塔4へ連続的に供給されるが、このとき、熱交換器3に通して回収熱を取得(吸収)し、温度を上げてから不均化反応蒸留塔4へ供給することができる。導管17内は熱交換器で気化してしまわない圧力に、配管径の設計やオリフィスを設けることなどで調整する。これによって、副生アルキルアルコールの高温蒸気から熱交換器により回収した熱を、不均化反応に必要な熱量の補助として再利用することができる。ただし、回収熱のフィードバックの方法はこれに限られない。
従来は、塔底部抜き出し液をアルキルアリールカーボネート回収塔から回収されるアルキルアリールカーボネートと混合器を通すだけで不均化反応蒸留塔4へ供給していたが、回収アルキルアリールカーボネートは温度が比較的低いため、この合流により温度が低下し、不均化反応に必要な熱量を多く補う必要から、プロセス全体のエネルギー効率が必ずしも良好ではなかった。
しかし、本発明では前記塔底部抜き出し液と回収アルキルアリールカーボネートを合流させ混合器9を通したのち、熱交換器3を経由させて回収熱を取得(吸収)し、温度を上げてから不均化反応蒸留塔4へ供給することができる。これにより、エステル交換反応に使用した熱を不均化反応へ再利用できるため、プロセス全体のエネルギー効率が向上する。
(6)アルコール濃縮蒸留工程;工程2
工程2では、アルコール濃縮蒸留塔において、前記塔頂部抜き出し液を蒸留塔内へ連続的に供給して濃縮し、アルキルアルコールを塔頂部より連続的に抜き出すと共に、原料化合物及びアルキルアリールカーボネートを含む回収液を塔底部より連続的に抜き出してエステル交換反応蒸留塔へ回収する。
アルコール濃縮蒸留塔内の圧力は、760torr以下、好ましくは10〜760torr、より好ましくは100〜300torrである。すなわち、アルコール濃縮蒸留塔では、常圧又は減圧下でアルキルアルコールの蒸留が行われる。これにより、エステル交換反応蒸留塔から熱交換器3を経由して温度が低下した塔頂部抜き出し液からでも効率的にアルキルアルコールを蒸留することができるため、熱交換器により塔頂部抜き出し液から熱回収してもプロセス全体の生産効率は低下しない。
アルコール濃縮蒸留塔における蒸留温度は、原料であるジアルキルカーボネート及び芳香族ヒドロキシ化合物の種類、操作条件等によって異なるが、通常20〜200℃、好ましくは50〜150℃で行われる。
(7)不均化反応工程
本発明の不均化反応工程では、アルキルアリールカーボネートを含むエステル交換反応蒸留塔1の塔底部抜き出し液とアルキルアリールカーボネート回収塔から回収されたアルキルアリールカーボネートを不均化反応蒸留塔4(蒸留塔)へ連続的に供給し、不均化反応を実施してジアリールカーボネートを生成する。
不均化反応工程で用いられる不均化反応蒸留塔4は、前述のエステル交換反応工程におけるエステル交換反応蒸留塔と同様に、コンデンサー段とリボイラー段を含む段数が3段以上を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものであればどのようなものでもよい。中でも充填塔を用いることが好ましい。
不均化反応工程では反応を進行させるため、副生するジアルキルカーボネートを塔頂部より連続的に抜き出す。抜き出し物には芳香族ヒドロキシ化合物が含まれ、アルキルアルコールやアルキルアリールカーボネート、ジアリールカーボネートを少量含んでいても良い。この際、蒸留効率を高めるため還流操作を行っても良い。還流比は通常0.001〜20、好ましくは0.01〜10が用いられる。また、通常は必要ないが、窒素等の不活性ガスを流しながら反応を行っても良い。
不均化反応蒸留塔4の塔頂部より抜き出されたジアルキルカーボネート及び芳香族ヒドロキシ化合物は、導管20を通してエステル交換反応蒸留塔に循環し、原料として再使用される。
不均化反応工程で生成するジアリールカーボネートを含む粗反応液は、塔底部より導管19を通して連続的に抜き出される。抜き出し物(粗反応液)には未反応アルキルアリールカーボネート及び触媒が含まれる。また、ジアルキルカーボネート、芳香族ヒドロキシ化合物、アルキルアルコール等が含まれていても良い。
不均化反応塔4の反応温度はアルキルアリールカーボネートや芳香族ヒドロキシ化合物の種類、操作条件によって異なるが、通常100〜350℃、好ましくは120〜300℃で行われる。圧力は7.5〜750torr(0.001〜0.1MPa)が適当である。
(7)その他の工程
不均化反応蒸留塔4の塔底部より抜き出されたジアリールカーボネート、未反応アルキルアリールカーボネート及び触媒を含む粗反応液からは、さらに以下の工程を経て精製ジアリールカーボネートを得ることができる。
(i)触媒分離工程
不均化反応蒸留塔4の塔底部より抜き出された粗反応液は、導管19より触媒分離塔5(蒸留塔)へ連続的に供給され、ここでフラッシュ蒸留により触媒の分離・除去が行われる(触媒分離工程)。触媒分離塔5の塔頂部からは、アルキルアリールカーボネート及びジアリールカーボネートが連続的に抜き出される。抜き出し物にはジアルキルカーボネートや芳香族ヒドロキシ化合物、脂肪族アルコールを少量含んでいても良い。
触媒分離塔5の塔底部からは触媒を含む液が連続的に抜き出される。操作性を向上させるため、抜き出された液にはジアリールカーボネート、アルキルアリールカーボネート、ジアルキルカーボネート、芳香族ヒドロキシ化合物及び脂肪族アルコールを含んでいても良い。この液は導管21を経てエステル交換反応蒸留塔に循環し、触媒として再使用される。
フラッシュ蒸留は温度100〜300℃、圧力は7.5〜750torr(0.001〜0.1MPa)の範囲で行われるが、運転を安定させるため、後続のアルキルアリールカーボネート回収塔の操作圧力に近い圧力で運転することが好ましい。フラッシュ圧力を調整するために、フラッシュ蒸留装置の温度を調節することも好ましい。
(ii)アルキルアリールカーボネート回収工程
前記触媒分離塔5の塔頂部抜き出し液は、導管22を通してアルキルアリールカーボネート回収塔6(蒸留塔)へ連続的に供給され、アルキルアリールカーボネートをはじめとする低沸点成分が分離される(アルキルアリールカーボネート回収工程)。塔底部からはジアリールカーボネートが、塔頂部からはアルキルアリールカーボネートが連続的に抜き出される。塔頂部抜き出し液にはジアルキルカーボネート、芳香族ヒドロキシ化合物及びアルキルアルコールが含まれていても良い。
塔頂部抜き出し液は、導管24から混合器9にてエステル交換反応工程のエステル交換反応蒸留塔1の塔底部抜き出し液と合流し、原料として再使用される。このとき、熱交換器3に通して回収熱を取得したのち、不均化反応蒸留塔4へ再供給することによって、プロセス全体のエネルギー効率を向上させることができる。
アルキルアリールカーボネート回収工程の蒸留温度は通常100〜300℃、好ましくは120〜280℃で行われる。圧力は7.5〜750torr(0.001〜0.1MPa)が適当である。還流比は通常0.1〜20、好ましくは0.5〜10が用いられる。
(iii)ジアリールカーボネート精製工程
アルキルアリールカーボネート回収塔6の塔底部抜き出し液は、導管23よりジアリールカーボネート精製塔7へ連続的に供給し、精製処理を行う。アルキルアリールカーボネート回収塔6の塔底部から抜き出されたジアリールカーボネートには微量の高沸点成分が含まれており、溶融エステル交換法ポリカーボネートの原料として用いた場合は重合不良や着色の原因となる場合があるため、この高沸点成分を除去することが好ましい。
ジアリールカーボネート精製塔7の塔頂部からは、精製ジアリールカーボネートが連続的に抜き出される。また、塔底部からは微量の高沸成分がジアリールカーボネートの一部と共に連続的に抜き出される。
ジアリールカーボネート精製塔7の蒸留温度は通常100〜300℃、好ましくは120〜280℃である。圧力は7.5〜750torr(0.001〜0.1MPa)が適当である。還流比は通常0.1〜20、好ましくは0.5〜10が用いられる。
本発明の連続製造方法では、上記工程に加え、必要に応じて公知の工程を任意に含めることができる。例えば、エステル交換反応工程と不均化反応工程との間に、特開2004−323384号公報に記載されているような触媒分離工程を設け、アルキルアリールカーボネートの大部分を含む液と触媒を含む液とを分離して不均化反応工程へ供給しても良い。これにより、不均化反応蒸留塔の閉塞を避けることができる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。なお、以下の実施例では図1に示す連続的製造装置を用い、比較例では図2に示す連続的製造装置を用い、各塔、熱交換器、混合器及び導管は図中番号で示した。
<実施例>
(エステル交換反応蒸留;工程1)
定常状態において、50.1重量%のフェノール(PhOH)と、48.2重量%のジブチルカーボネート(DBC)と、0.5重量%のブチルフェニルカーボネート(BPC)と、0.7重量%のジフェニルカーボネート(DPC)と、0.4重量%のチタニウムテトラブトキシド(エステル交換触媒)とを含有する119℃の混合物を、混合器8から導管11により、エステル交換反応蒸留塔1へ棚段の最上段に1011.5kg/hで連続的に供給した。このとき導入管10の流量は124.8kg/h、導入管20の流量は875.5kg/h、導入管21の流量は11.1kg/hであった。
ここで、エステル交換反応蒸留塔1は塔径500mm、充填高さ7800mmで9段の棚段を有するもので、塔底部にリボイラーを備えたものであった。エステル交換反応蒸留塔1の塔底部のリボイラー温度は198.6℃、塔頂圧力は912Torrであった。上記混合物は、このエステル交換反応蒸留塔1の蒸留段の最上段から連続的に供給した。
このとき、エステル交換反応で生成したブタノール(BuOH)を含む178℃の蒸気をエステル交換反応蒸留塔1の塔頂部より540.6kg/hで連続的に抜き出し、導管13で熱交換器3に送った。
一方、塔底部からはエステル交換反応で生成したBPCを含む液を960.5kg/hで連続的に抜き出し、導管12で混合器9に送り、導管24からのアルキルアリールカーボネート回収塔6の塔頂から54.9kg/hで連続的に回収した液と混合した後、132℃となった液体を導管17により1015.4kg/hで熱交換器3に送った。
熱交換器3では、エステル交換反応蒸留塔1の塔頂蒸気から熱を回収し、回収した熱を混合器9で混合した液体に与えた。
熱交換器3で冷却され137℃の液体となったエステル交換反応蒸留塔1からの塔頂液留出物は導管14でアルコール濃縮蒸留塔2へ、熱を与えられ159℃の気液混合物となった混合器9の混合物は導管18で不均化反応蒸留塔4へ送られた。
(アルコール濃縮蒸留;工程2)
アルコール濃縮蒸留塔2は塔径400mm、充填高さ3000mm、理論段数6段で、塔頂部にコンデンサーを備えた充填塔であり、150torrの減圧で塔頂部から温度78.2℃のブタノール50.4kg/hを連続的に抜き出した。
(不均化反応工程)
不均化反応蒸留塔4は塔径450mm、充填高さ4200mm、理論段数6段で、塔底部にリボイラー、塔頂部にコンデンサーを備えた充填塔である。この不均化反応蒸留塔4の第3段に、熱交換器3で159℃に温度を上げた、エステル交換反応蒸留塔1塔底部抜き出し液及びアルキルアリールカーボネート回収塔6の塔頂部抜き出し液を合わせた、1015.4kg/hの気液混合物を導管18から供給した。
不均化反応蒸留塔4は塔頂圧力を90torr、リボイラー温度200℃とし、塔頂部123℃で、ジブチルカーボネート、原料化合物を含む液を875.5kg/hで連続的に抜き出し、塔底部からジフェニルカーボネート、エステル交換触媒、原料液を含む生成物を139.9kg/hで抜き出した。
不均化反応塔4の塔頂部抜き出し液は、エステル交換反応蒸留塔1のフィード液として再利用し、塔底液は生成液として以下の工程に使用した。
(精製工程)
不均化反応工程で得られた粗生成物を以下のような精製工程により連続的に生成しジフェニルカーボネート(DPC)を72.3kg/hで得た。
1)触媒分離工程
塔径250mmの触媒分離塔5(フラッシュ蒸留塔)により塔底温度190.8℃、塔頂圧力15torrで触媒液を連続的に塔底から分離した。粗DPC139.9kg/hを供給し、塔頂部抜き出し液128.8kg/hを抜き出し、下記のアルキルアリールカーボネート回収工程に使用した。塔底部より触媒を含む液を11.1kg/hで回収し、エステル交換反応蒸留塔1のフィード液として回収した。
2)アルキルアリールカーボネート回収工程
1)で得た液を理論段数10段、塔底温度188.7℃、塔頂圧力15torrの充填蒸留塔(アルキルアリールカーボネート回収塔6)の5段目にフィードし、塔頂部よりブチルフェニルカーボネート(BPC)を主成分とする液を温度141℃で54.9kg/hで、塔底部より粗DPCを73.9kg/hで得た。
3)DPC精製工程
2)で得た粗DPCを理論段数8段、塔底温度188.5℃、塔頂圧力15torrの充填蒸留塔(ジアリールカーボネート精製塔7)の4段目にフィードし、塔頂温度175.6℃で精製DPCを72.3kg/hで得た。
なお、本実施例における各塔頂部及び塔底部の圧力等を表1に示した。また、「Total Reboiler Duty」、DPC生産量、単位当たりDPCの消費エネルギー量を表1に示した。
表1中、「Total Reboiler Duty」は各蒸留塔の「Reboiler Duty」の和であり、「Reboiler Duty」(リボイラー熱負荷あるいはリボイラー熱量、単位;Gcal/hr)は、リボイラーへの熱媒流量と熱媒の出と入りの温度から公知の方法で計算される熱収支の値である(例えば化学工学概論(第2刷;1990年3月10日発行;丸善株式会社)第72〜75頁参照)。
Figure 0006135394
<比較例>
本比較例では、エステル交換反応蒸留(第1工程)とアルコール濃縮蒸留(第2工程)とを分離することなく一塔(エステル交換反応蒸留塔)で行い、且つ該エステル交換反応蒸留塔を常圧に調整した以外は、前記実施例と同様にして実験を行った。
なお、本比較例における導入管20と21の液体の流量は、前記実施例の導入管20と21の流量と同じである。
(エステル交換反応蒸留塔;第1及び第2工程を1塔で行った)
定常状態において、50.2重量%のフェノールと、48.1重量%のジブチルカーボネートと、0.4重量%のブチルフェニルカーボネートと、0.7重量%のジフェニルカーボネートと、0.4重量%のチタンテトラブトキシドを含有する120℃、995.2kg/hの混合物を、塔径500mm、充填高さ7800mmで9段の棚段部の上に、塔径400mm、充填高さ3000mmで理論段数6段のスルーザー充填部を有し、頭頂に還流器、塔底部にリボイラーを備えたエステル交換反応蒸留塔に、棚段の最上段から連続的に供給した。このとき導入管10の流量は108.6kg/h、導入管20の流量は875.5kg/h、導入管21の流量は11.1kg/hであった。
塔頂圧力は760torrの常圧、リボイラー温度191℃、塔頂部温度118℃でエステル交換反応蒸留を連続的に行い、塔底部からBPC、原料化合物及び触媒を含む液を導管12により950.7kg/hで連続的に抜き出し、導管24によりアルキルアリールカーボネート回収塔の塔頂から連続的に抜き出されたBPCを含む140℃の液47.3kg/hを混合器9で混合した後、129℃になった気液混合物を導管17で不均化反応蒸留塔へと導いた。
(不均化反応工程)
不均化反応蒸留塔4は塔径450mm、充填高さ4200mm、理論段数6段で、塔底部にリボイラー、塔頂部にコンデンサーを備えた充填塔である。この不均化反応塔4の第3段に、前述した129℃の気液混合物998.0kg/hを導管17より供給した。
不均化反応蒸留塔4は塔頂圧力を90torr、リボイラー温度200℃とし、塔頂部122.4℃で、ジブチルカーボネート、原料化合物を含む液を875.5kg/hで連続的に抜き出し、塔底部からジフェニルカーボネート、エステル交換触媒、原料液を含む生成物を122.5kg/hで抜き出した。
(精製工程)
不均化反応工程で得られた粗生成物を以下のような精製工程により連続的に生成しDPCを62.7kg/hで得た。
1)触媒分離工程
塔径250mmの触媒分離塔5(フラッシュ蒸留塔)により塔底温度190.8℃、塔頂圧力15torrで触媒液を連続的に塔底から分離した。粗DPC122.5kg/hを供給し、塔頂部抜き出し液111.4kg/hを抜き出し、下記のアルキルアリールカーボネート回収工程に使用した。塔底部より触媒を含む液を11.1kg/hで回収し、エステル交換反応蒸留塔1のフィード液として回収した。
2)アルキルアリールカーボネート回収工程
1)で得た液を理論段数10段、塔底温度188.7℃、塔頂圧力15torrの充填蒸留塔(アルキルアリールカーボネート回収塔6)の5段目にフィードし、塔頂部よりブチルフェニルカーボネート(BPC)を主成分とする液を温度139℃で47.3kg/hで、塔底部より粗DPCを64.2kg/hで得た。
3)DPC精製工程
2)で得た粗DPCを理論段数8段、塔底温度188.5℃、塔頂圧力15torrの充填蒸留塔(ジアリールカーボネート精製塔7)の4段目にフィードし、塔頂温度175.6℃で精製DPCを62.7kg/hで得た。
なお、本比較例における各塔頂部及び塔底部の圧力等を表2に示した。また、「Total Reboiler Duty」、DPC生産量、単位当たりDPCの消費エネルギー量を表2に示した。
Figure 0006135394
表1と表2から分かるように、単位当たりDPCの消費エネルギー量は、実施例では2917.84(kcal/kg−DPC)であるのに対し、比較例では3669.28(kcal/kg−DPC)であり、実施例の方が比較例より消費エネルギー量が20.5%削減されていた。
すなわち、上記実施例においては、エステル交換反応蒸留塔1では加圧し温度が上がったことでリボイラーの消費熱量が増えたが、一方、不均化反応蒸留塔4では熱交換器3を経由して熱量を取得し温度が上昇した混合液が供給されたことにより、熱交換器を用いなかった場合と比較して、不均化反応に必要な熱量が補われたため、不均化反応塔へ供給する熱量をより少なくすることができた。その結果、エステル交換反応蒸留塔1と不均化反応蒸留塔4の消費熱量の和は、常圧でエステル交換反応蒸留を行った場合に比べ小さくなった。また、加圧により反応速度が上がり、DPC収量が増えたことから、単位DPC収量当たりのエネルギー消費量を20.5%削減することができたものである。
これは、加圧下のエステル交換反応蒸留塔1から抜き出される高温の塔頂部抜き出し液の蒸気から熱交換器により熱回収し、それを前記混合物の加熱に再利用することによって本発明のプロセス全体の熱効率(エネルギー効率)を高めることができたことを意味する。
本発明によれば、エステル交換反応工程を加圧下のエステル交換反応蒸留塔(工程1)と常圧又は減圧下のアルコール濃縮蒸留塔(工程2)とに分け、エステル交換反応蒸留塔の圧力を高くしエステル交換反応温度を上げることにより、ジアルキルカーボネートからアルキルアリールカーボネートへの転化率を上げると共に、高温の塔頂留出ガスから回収した熱を本発明のプロセスへフィードバックし、熱回収された後の留出液はアルコール濃縮蒸留塔の圧力を低くすることで少ない熱量でも濃縮分離できるようにしたため、プロセス全体の熱効率(エネルギー効率)を向上させることができる。このため、製造コストを抑えることができるなど、様々な利点を有し、工業的に有利である。

Claims (6)

  1. ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によりアルキルアリールカーボネートを生成するエステル交換反応工程と、前記アルキルアリールカーボネートの不均化反応によりジアリールカーボネートを生成する不均化反応工程とを連続的に行うジアリールカーボネートの製造方法において、前記エステル交換反応工程が
    (工程1)
    エステル交換反応蒸留塔において、ジアルキルカーボネート及び芳香族ヒドロキシ化合物からなる原料化合物を蒸留塔内へ連続的に供給して加圧下にエステル交換反応を行い、
    前記エステル交換反応の生成物であるアルキルアリールカーボネートを含む塔底部抜き出し液を塔底部より連続的に抜き出し、不均化反応工程における不均化反応蒸留塔へ連続的に供給するとともに、
    前記エステル交換反応の副生物であるアルキルアルコール、原料化合物及びアルキルアリールカーボネートを含む塔頂部抜き出し液をエステル交換反応蒸留塔の塔頂部より連続的に抜き出し、熱交換器に通して熱回収したのち、アルコール濃縮蒸留塔へ連続的に供給する工程1と、
    (工程2)
    アルコール濃縮蒸留塔において、前記塔頂部抜き出し液を蒸留塔内へ連続的に供給して濃縮し、アルキルアルコールを塔頂部より連続的に抜き出すと共に、原料化合物及びアルキルアリールカーボネートを含む回収液を塔底部より連続的に抜き出してエステル交換反応蒸留塔へ回収する工程2とを含み、
    前記製造方法は、不均化反応工程に続いて該不均化反応工程における未反応アルキルアリールカーボネートを回収するアルキルアリールカーボネート回収工程であって、該回収アルキルアリールカーボネートを、前記熱交換器に通して熱取得したのち不均化反応蒸留塔へ供給する工程を含むことを特徴とする、ジアリールカーボネートの連続的製造方法。
  2. 前記エステル交換反応蒸留塔内の圧力が800〜2000torr、温度が180〜250℃である、請求項に記載の連続的製造方法。
  3. 前記ジアルキルカーボネートが、炭素数1〜6のアルキル基を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の連続的製造方法。
  4. 前記芳香族ヒドロキシ化合物がフェノールである、請求項1〜のいずれかに記載の連続的製造方法。
  5. 前記アルコール濃縮蒸留塔内の圧力が10〜760torr、温度が20〜200℃である、請求項1〜のいずれかに記載の連続的製造方法。
  6. 前記不均化反応工程が、不均化反応蒸留塔において、生成するジアリールカーボネートを含む粗反応液を塔底部より連続的に抜き出すとともに、副生するジアルキルカーボネートを塔頂部より連続的に抜き出す工程を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の連続的製造方法。
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