JP4292211B2 - 高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法 - Google Patents

高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4292211B2
JP4292211B2 JP2006532776A JP2006532776A JP4292211B2 JP 4292211 B2 JP4292211 B2 JP 4292211B2 JP 2006532776 A JP2006532776 A JP 2006532776A JP 2006532776 A JP2006532776 A JP 2006532776A JP 4292211 B2 JP4292211 B2 JP 4292211B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tower
column
carbonate
formula
distillation column
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006532776A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2006025478A1 (ja
Inventor
伸典 福岡
裕紀 宮地
広志 八谷
一彦 松崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Publication of JPWO2006025478A1 publication Critical patent/JPWO2006025478A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4292211B2 publication Critical patent/JP4292211B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C68/00Preparation of esters of carbonic or haloformic acids
    • C07C68/06Preparation of esters of carbonic or haloformic acids from organic carbonates
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D3/00Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping
    • B01D3/14Fractional distillation or use of a fractionation or rectification column
    • B01D3/143Fractional distillation or use of a fractionation or rectification column by two or more of a fractionation, separation or rectification step
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D3/00Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping
    • B01D3/14Fractional distillation or use of a fractionation or rectification column
    • B01D3/16Fractionating columns in which vapour bubbles through liquid
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C68/00Preparation of esters of carbonic or haloformic acids
    • C07C68/08Purification; Separation; Stabilisation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C69/00Esters of carboxylic acids; Esters of carbonic or haloformic acids
    • C07C69/96Esters of carbonic or haloformic acids
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency

Description

本発明は、高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法に関する。さらに詳しくは、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を原料とし、特定の構造を有する反応蒸留塔でエステル交換反応を行うことによって得られたジアリールカーボネートを含む反応混合物を2基の特定の構造を有する連続多段蒸留塔を用いて分離・精製し、エステル交換法ポリカーボネートの原料として有用な高純度ジアリールカーボネートを工業的に製造する方法に関する。
高純度ジアリールカーボネートは、最も需要の多いエンジニアリングプラスチックである芳香族ポリカーボネートを、有毒なホスゲンを用いないで製造するための原料として重要である。芳香族カーボネートの製法として、芳香族モノヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応による方法が古くから知られており、最近も種々検討されている。しかしながら、この方法はホスゲン使用の問題に加え、この方法によって製造された芳香族カーボネートには分離が困難な塩素系不純物が存在しており、そのままでは芳香族ポリカーボネートの原料として用いることはできない。なぜならば、この塩素系不純物は極微量の塩基性触媒の存在下で行うエステル交換法ポリカーボネートの重合反応を著しく阻害し、たとえば、1ppmでもこのような塩素系不純物が存在すると殆ど重合を進行させることができない。そのため、エステル交換法ポリカーボネートの原料とするには、希アルカリ水溶液と温水による十分な洗浄と油水分離、蒸留などの多段階の面倒な分離・精製工程が必要であり、さらにこのような分離・精製工程での加水分解ロスや蒸留ロスのため収率が低下するなど、この方法を経済的に見合った工業的規模で実施するには多くの課題がある。
一方、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応による芳香族カーボネートの製造方法も知られている。しかしながら、これらのエステル交換反応は全て平衡反応であって、しかもその平衡が原系に極端に偏っていることに加えて反応速度が遅いことから、この方法によって芳香族カーボネート類を工業的に大量に製造するのは多大な困難があり、これを改良するために2種類の提案がなされている。その1つは、反応速度を高めるための触媒開発に関するものであり、このタイプのエステル交換反応用触媒として数多くの金属化合物が提案されている。たとえば、遷移金属ハライド等のルイス酸またはルイス酸を生成させる化合物類(特許文献1:特開昭51−105032号公報、特開昭56−123948号公報、特開昭56−123949号公報(西独特許公開公報第2528412号、英国特許第1499530号明細書、米国特許第4182726号明細書)、特開昭51−75044号公報(西独特許公開公報第2552907号、米国特許第4045464号明細書)、有機スズアルコキシドや有機スズオキシド類等のスズ化合物(特許文献2:特開昭54−48733号公報(西独特許公開公報第2736062号)、特開昭54−63023号公報、特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号明細書)、特開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号明細書)、特開昭62−277345号公報、特開平1−265063号公報)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩類およびアルコキシド類(特許文献3:特開昭57−176932号公報)、鉛化合物類(特許文献4:特開昭57−176932号公報、特開平1−93560号公報)、銅、鉄、ジルコニウム等の金属の錯体類(特許文献5:特開昭57−183745号公報)、チタン酸エステル類(特許文献6:特開昭58−185536号公報(米国特許第4410464号明細書)、特開平1−265062号公報)、ルイス酸とプロトン酸の混合物(特許文献7:特開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号明細書))、Sc、Mo、Mn、Bi、Te等の化合物(特許文献8:特開平1−265064号公報)、酢酸第2鉄(特許文献9:特開昭61−172852号公報)等が提案されている。
触媒開発だけでは不利な平衡の問題を解決できないので、もう1つの提案として、反応方式を工夫することによって平衡をできるだけ生成系側にずらし、芳香族カーボネート類の収率を向上させる試みがなされている。たとえば、ジメチルカーボネートとフェノールの反応において、副生するメタノールを共沸形成剤とともに共沸によって留去する方法(特許文献10:特開昭54−48732号公報(西独特許公開公報第736063号、米国特許第4252737号明細書))、副生してくるメタノールをモレキュラーシーブで吸着させて除去する方法(特許文献11:特開昭58−185536号公報(米国特許第410464号明細書))が提案されている。また、反応器の上部に蒸留塔を設けた装置によって、反応で副生してくるアルコール類を反応混合物から分離させながら同時に蒸発してくる未反応原料との蒸留分離を行う方法も提案されている(特許文献12:特開昭56−123948号公報(米国特許第4182726号明細書)の実施例、特開昭56−25138号公報の実施例、特開昭60−169444号公報(米国特許第4554110号明細書)の実施例、特開昭60−169445号公報(米国特許第4552704号明細書)の実施例、特開昭60−173016号公報(米国特許第4609501号明細書)の実施例、特開昭61−172852号公報の実施例、特開昭61−291545号公報の実施例、特開昭62−277345号公報の実施例)。
しかしながら、これらの反応方式は基本的にはバッチ方式か、切り替え方式であった。なぜならば、これらのエステル交換反応に対しては触媒開発による反応速度の改良の程度はそれほど大きくなく、反応速度が遅いことから、連続方式よりもバッチ方式の方が好ましいと考えられていたからである。これらのなかには、連続方式として蒸留塔を反応器の上部に備えた連続攪拌槽型反応器(CSTR)方式も提案されているが、反応速度が遅いことや反応器の気液界面が液容量に対して小さいことから反応率を高くできないなどの問題がある。したがって、これらの方法で芳香族カーボネートを連続的に大量に、長期間安定的に製造するという目的を達成することは困難であり、経済的に見合う工業的実施にいたるには、なお多くの解決すべき課題が残されている。
本発明者等は、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物を連続的に多段蒸留塔に供給し、触媒を存在させた該塔内で連続的に反応させ、副生するアルコールを含む低沸点成分を蒸留によって連続的に抜き出すと共に、生成したアルキルアリールカーボネートを含む成分を塔下部より抜き出す反応蒸留法(特許文献13:特開平3−291257号公報)、アルキルアリールカーボネートを連続的に多段蒸留塔に供給し、触媒を存在させた該塔内で連続的に反応させ、副生するジアルキルカーボネートを含む低沸成分を蒸留によって連続的に抜き出すと共に、生成したジアリールカーボネートを含む成分を塔下部より抜き出す反応蒸留法(特許文献14:特開平4−9358号公報)、これらの反応を2基の連続多段蒸留塔を用いて行い、副生するジアルキルカーボネートを効率的にリサイクルさせながらジアリールカーボネートを連続的に製造する反応蒸留法(特許文献15:特開平4−211038号公報)、ジアルキルカーボネートと芳香族ヒドロキシ化合物等を連続的に多段蒸留塔に供給し、塔内を流下する液を蒸留塔の途中段および/または最下段に設けられたサイド抜き出し口より抜き出し、蒸留塔の外部に設けられた反応器へ導入して反応させた後に、該抜き出し口のある段よりも上部の段に設けられた循環用導入口へ導入することによって、該反応器内と該蒸留塔内の両方で反応を行う反応蒸留法(特許文献16:特開平4−224547号公報、特開平4−230242号公報、特開平4−235951号公報)等、これらのエステル交換反応を連続多段蒸留塔内で反応と蒸留分離とを同時に行う反応蒸留法を開発し、これらのエステル交換反応に対して反応蒸留方式が有用であることを世界で初めて開示した。
本発明者等が提案したこれらの反応蒸留法は、芳香族カーボネート類を効率よく、かつ連続的に製造することを可能とする初めてのものであり、その後これらの開示をベースとする同様な反応蒸留方式が数多く提案されるようになった(特許文献17:国際公開第00/18720号公報(米国特許第5362901号明細書);特許文献18:イタリア特許第01255746号公報;特許文献19:特開平6−9506号公報(欧州特許0560159号明細書、米国特許第5282965号明細書);特許文献20:特開平6−41022号公報(欧州特許0572870号明細書、米国特許第5362901号明細書);特許文献21:特開平6−157424号公報(欧州特許0582931号明細書、米国特許第5334742号明細書)、特開平6−184058号公報(欧州特許0582930号明細書、米国特許第5344954号明細書);特許文献22:特開平7−304713号公報;特許文献23:特開平9−40616号公報;特許文献24:特開平9−59225号公報;特許文献25:特開平9−110805号公報;特許文献26:特開平9−165357号公報;特許文献27:特開平9−173819号公報;特許文献28:特開平9−176094号公報、特開2000−191596号公報、特開2000−191597号公報;特許文献29:特開平9−194436号公報(欧州特許0785184号明細書、米国特許第5705673号明細書);特許文献30:国際公開第00/18720号公報(米国特許第6093842号明細書)、国際公開第01/042187号公報(特表2003−516376号公報);特許文献31:特開2001−64234号公報、特開2001−64235号公報;特許文献32:国際公開第02/40439号公報(米国特許第6596894号、米国特許第6596895号、米国特許第6600061号明細書))。
また、本出願人は、反応蒸留方式において、多量の触媒を必要とせずに高純度芳香族カーボネートを長時間、安定に製造できる方法として、触媒成分を含む高沸点物質を作用物質と反応させた上で分離し、触媒成分をリサイクルする方法(特許文献33:国際公開第97/11049号公報(欧州特許0855384号明細書、米国特許第5872275号明細書))や、反応系内の多価芳香族ヒドロキシ化合物を触媒金属に対して質量比で2.0以下に保ちながら行う方法(特許文献34:特開平11−92429号公報(欧州特許1016648号明細書、米国特許第6262210号明細書))を提案した。さらに、本発明者等は、重合工程で副生するフェノールの70〜99質量%を原料として用いて、反応蒸留法でジフェニルカーボネートを製造しこれを芳香族ポリカーボネートの重合原料とする方法をも提案した(特許文献35:特開平9−255772号公報(欧州特許0892001号明細書、米国特許第5747609号明細書))。
しかしながら、これら反応蒸留法による芳香族カーボネート類の製造を提案する全ての先行文献には、工業的規模の大量生産(たとえば、1時間あたり1トン以上)を可能とする具体的な方法や装置の開示は全くなく、またそれらを示唆する記述もない。たとえば、ジメチルカーボネートとフェノールから主としてジフェニルカーボネート(DPC)を製造するために開示された2基の反応蒸留塔の高さ(HおよびH:cm)、直径(DおよびD:cm)、段数(NおよびN)と反応原料液導入量(QおよびQ:kg/hr)に関する記述は、次表のとおりである。
すなわち、この反応を反応蒸留方式で実施するにあたり用いられた2基の連続多段蒸留塔の最大のものは、本出願人が特許文献33、34において開示したものである。このように、この反応用に開示されている連続多段蒸留塔における各条件の最大値は、H=1200cm、H=600cm、D=20cm、D=25cm、N=N=50(特許文献23)、Q=86kg/hr、Q=31kg/hrであり、ジフェニルカーボネートの生産量は約6.7kg/hrに過ぎず、工業的規模の生産量ではなかった。
このようなジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物を原料とするエステル交換反応等で製造されたジアリールカーボネートを含む反応混合物からジアリールカーボネートを分離・精製する方法として、晶析法、蒸留法等が提案されている。蒸留法としても3つの方式が提案されている。1つの方式は、蒸留塔の塔頂成分としてジアリールカーボネートを得る方法であり、たとえば、
I)触媒を含む反応混合物をそのままバッチ方式の蒸留塔で蒸留し、塔頂成分としてジフェニルカーボネートを得る方法(特許文献10の実施例、特許文献19の実施例2)、
II)触媒を含む反応混合物を蒸発缶等でフラッシュ蒸留し、低沸点物質と大部分の触媒を含む高沸点物質とに分離した後、該低沸点物質を原料回収用の蒸留塔で蒸留し、塔底物質として触媒を含むジフェニルカーボネートを得、これを精製塔で蒸留することによって、ジフェニルカーボネートを塔頂成分として得る方法(特許文献37:特開平4−100824号公報、実施例1;特許文献38:特開平9−169704号公報)、
III)触媒を含む反応混合物を蒸留塔(および蒸発缶)で蒸留し、低沸点物質と大部分の触媒を含む高沸点物質とに分離した後、該低沸点物質を軽沸分離塔、メチルフェニルカーボネート分離塔、ジフェニルカーボネート分離塔の3塔からなる蒸留装置により順次連続蒸留を行い、ジフェニルカーボネートを塔頂成分として得る方法(特許文献25)等が挙げられる。
別の方式は、蒸留塔の塔底成分としてジアリールカーボネートを得る方法であり、たとえば、
IV)触媒を含む反応混合物を蒸留塔で蒸留し、低沸点物質と大部分の触媒を含む高沸点物質とに分離した後、該低沸点物質を蒸留塔で蒸留し、塔底成分としてジフェニルカーボネートを得る方法(特許文献31)等が挙げられる。
他の方式は、蒸留塔のサイドカット成分としてジアリールカーボネートを得る方法であり、たとえば、
V)触媒を含む反応混合物をそのまま第3番目の反応蒸留塔に導入し、さらに反応と蒸留を行い、該反応蒸留塔のサイドカット成分としてジフェニルカーボネートを得る方法(特許文献21)、
VI)触媒を含む反応混合物を蒸発缶等でフラッシュ蒸留し、低沸点物質と大部分の触媒を含む高沸点物質とに分離した後、該低沸点物質を蒸留塔に導入し、蒸留を行い、該反応蒸留塔のサイドカット成分としてジフェニルカーボネートを得る方法(特許文献34、35、特許文献39:国際公開第92/18458号公報(米国特許第5426207号明細書))、
VII)触媒を含む反応混合物を第1精製塔で蒸留し、低沸点物質と触媒を含む高沸点物質とに分離した後、該低沸点物質を第2精製塔に導入し、蒸留を行い、該第2精製塔のサイドカット成分としてジフェニルカーボネートを得る方法(特許文献40:特開平11−49727号公報)、
VIII)サリチル酸フェニルを含むジフェニルカーボネートを理論段数5〜15の蒸留塔に導入し、塔底温度150℃以上で蒸留し、該蒸留塔のサイドカット成分としてジフェニルカーボネートを得る方法(特許文献36:特開平9−194437号公報(欧州特許0784048号明細書))等が挙げられる。
しかしながら、これらの蒸留法によるジフェニルカーボネートの分離・精製法においても種々の課題が残されていることが判明した。すなわち、前記I)で得られるジフェニルカーボネートは純度が低く、またバッチ方式であるので工業的に大量生産するには不適である。II)の特許文献37の方法はバッチ方式であり、特許文献38の方法で得られるジフェニルカーボネート中には1ppm以下とはいえチタン触媒が存在しており、着色の無い高純度のポリカーボネートを製造する原料としては不適である。III)の方法では、ジフェニルカーボネートが軽沸分離塔、メチルフェニルカーボネート分離塔の2基の蒸留塔の塔底部で高温に加熱された後にジフェニルカーボネート分離塔分離塔で高温に曝されるので、ジフェニルカーボネートの変性が起こり、純度の低下と収率の低下をもたらす。
また、IV)の塔底部からジフェニルカーボネートを得る方法では、純度が低く目的とするポリカーボネートを製造することはできないので不適である。
V)の方法では、第2反応蒸留塔の底部から触媒や未反応原料や不純物等全てを含む反応混合物が第3反応蒸留塔の上部から導入されており、この塔のサイドからジフェニルカーボネートが抜出されているので触媒や不純物や原料などの蒸気やミストがエントレインされ得られるジフェニルカーボネートの純度は低い。VI)の方法はジフェニルカーボネートの生産量が6.7kg/hr(特許文献34、実施例3)、3.9kg/hr(特許文献35、実施例1)であり、工業的規模ではない。VII)の方法は好ましい方法であるが、ジフェニルカーボネートの生産量が2kg/hr(特許文献40、実施例8)と少量であって工業的規模ではない。また、第1精製塔の塔頂圧力が200Paと高真空で実施されているので、工業的に実施しようとすれば高真空を保持できる非常に大きな蒸留塔が必要となり、困難である。
さらに、VIII)の方法では3000ppmのサリチル酸フェニルの含有量を50ppm(特許文献36、実施例2)まで低下させるとの記載はあるもののそれ以外の不純物についてはまったく記載がない。たとえば、この実施例はホスゲン法によって製造され、必ず塩素系不純物を含むジフェニルカーボネートの精製法であるにもかかわらず、塩素系不純物(数10ppbの極微量でポリカーボネートの重合および物性に悪影響)に関する記載は全くない。なお、この方法ではこれらの塩素系不純物を分離することは不十分であり、ポリカーボネート用原料として使用することはできない。このことは、特許文献36より1年以上も後に出願された特許文献41(特開平11−12230号公報)の精製方法(アルカリ熱水2回洗浄後、熱水洗浄。次いで、蒸留で脱水したジフェニルカーボネートを固体アルカリ充填カラムに通した後、多段蒸留塔で減圧蒸留)の比較例1(アルカリカラム不使用)に記載のとおりである。
さらにまた、特許文献36では、蒸留で得られたジフェニルカーボネートの純度評価法として、ビスフェノールAと反応させ、フェノールが留出し始める温度と時間が示されているが、このテスト方法では重合に適したジフェニルカーボネートの評価はできない。なぜならば、必要な重合度のポリカーボネートを製造できない純度の低いジフェニルカーボネートでも、初期のフェノールを脱離する反応は十分に起こるからである。また、この評価方法では、ビスフェノールAに対して2.3ppmもの大量のNaOHを触媒に用いているので、たとえば、1ppmの塩素系不純物を含むジフェニルカーボネートであっても高純度であってポリカーボネートの原料として適しているとの誤った評価をすることになる。先述のとおり、1ppmの塩素系不純物を含むジフェニルカーボネートはポリカーボネートの原料としては全く使用することはできない。通常の重合では、このように大量のアルカリ触媒は使わないのであるから、この評価方法はポリカーボネート用のジフェニルカーボネートの純度評価として不適である。また、特許文献36には、エステル交換法で得られたジフェニルカーボネートの精製についての具体的な記述は全くない。ホスゲン法で得られたジフェニルカーボネートとエステル交換法で得られたジフェニルカーボネートは、不純物の種類や含有量が異なるから、同じ精製法で同じ純度のジフェニルカーボネートが得られるということはできない。すなわち、特許文献36の方法による精製法では、ポリカーボネートの原料としての必要な純度を有するジフェニルカーボネートを得ているとは到底いえない。また、特許文献36に開示されているジフェニルカーボネートの精製量は、0.57kg/hrであり、工業的規模ではない。
均一系触媒の存在下、ジアルキルカーボネートとフェノールとを原料とするエステル交換反応で得られる反応混合物中には、通常、種々の反応副生物が含まれているが、特に目的とするジフェニルカーボネートよりも沸点の高い、サリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニル、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレン等の高沸点副生物を十分なレベル以下まで低減させていないジフェニルカーボネートをエステル交換法ポリカーボネートの原料として用いれば、着色や物性低下の原因となる。したがって、これらの不純物はできるだけ低減させることが好ましい。しかしながら、これらの高沸点副生物は、その分離が困難なこともあり、これまでに提案されている方法では、これらの高沸点副生物を十分なレベル以下まで低減させることができなかった。特に生産量が1トン/hr以上の工業的規模で、高品質・高性能ポリカーボネートの原料として必要な高純度ジアリールカーボネートを製造する方法は全く提案されていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を原料とし、高品質・高性能ポリカーボネートの原料として使用可能な高純度のジアリールカーボネートを、1トン/hr以上の工業的規模で長期間安定的に製造できる具体的な方法を提供することにある。
本発明者らが連続多段蒸留塔を用いる芳香族カーボネート類の製造方法を開示して以来、反応蒸留法等による芳香族カーボネート類を含む反応混合物の製造方法に関する多くの提案があるが、これらは全て小規模、短期間の実験室的レベルのものであり、したがって、これらの反応混合物から高品質・高性能ポリカーボネートの原料として使用できる高純度のジアリールカーボネートを工業的規模で大量生産できる具体的な方法や装置の開示には到っていなかった。そこで、本発明者らは、1時間あたり1トン以上の工業的規模で、高品質・高性能ポリカーボネートの原料として重要な高純度のジアリールカーボネートを長期間安定的に製造できる具体的な方法を見出すべき検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第一の態様では、
1.ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を原料とし、この原料を均一系触媒が存在する連続多段蒸留塔からなる反応蒸留塔内に連続的に供給し、該塔内でエステル交換反応と蒸留を同時に行い、生成するジアルキルカーボネートを含む低沸点反応混合物を塔上部よりガス状で連続的に抜出し、塔下部よりジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物を液状で連続的に抜出し、該高沸点反応混合物を高沸点物質分離塔Aに連続的に導入し、ジアリールカーボネートを含む塔頂成分(A)と触媒を含む塔底成分(A)に連続的に蒸留分離し、次いで該塔頂成分(A)を、サイドカット抜き出し口を有するジアリールカーボネート精製塔Bに連続的に導入し、塔頂成分(B)、サイドカット成分(B)、塔底成分(B)の3つの成分に連続的に蒸留分離することによって、高純度ジアリールカーボネートを製造するにあたり、
(a)該反応蒸留塔が、下記式(1)−(6)を満足する、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nのインターナルを有する連続多段蒸留塔であって、塔頂部またはそれに近い塔の上部に内径d(cm)のガス抜出し口、塔底部またはそれに近い塔の下部に内径d(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部および/または中間部に1つ以上の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の下部に1つ以上の導入口を有するものであって、
1500 ≦ L ≦ 8000 式(1)
100 ≦ D ≦ 2000 式(2)
2 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
10 ≦ n ≦ 80 式(4)
2 ≦ D/d ≦ 15 式(5)
5 ≦ D/d ≦ 30 式(6)
(b)該高沸点物質分離塔Aが、下記式(7)−(9)を満足する、長さL(cm)、内径D(cm)で、内部に段数nのインターナルを有する連続多段蒸留塔であって、
800 ≦ L ≦ 3000 式(7)
100 ≦ D ≦ 1000 式(8)
20 ≦ n ≦ 100 式(9)
(c)該ジアリールカーボネート精製塔Bが、下記式(10)−(15)を満足する、長さL(cm)、内径D(cm)で、内部にインターナルを有するものであって、塔の中段に導入口B1、該導入口B1と塔底との間にサイドカット抜き出し口B2を有し、導入口B1から上部のインターナルの段数がn、導入口B1とサイドカット抜き出し口B2との間のインターナルの段数がn、サイドカット抜き出し口B2から下部のインターナルの段数がnで、段数の合計(n+n+n)がnである連続多段蒸留塔であって、
1000 ≦ L ≦ 5000 式(10)
100 ≦ D ≦ 1000 式(11)
5 ≦ n ≦ 20 式(12)
12 ≦ n ≦ 40 式(13)
3 ≦ n ≦ 15 式(14)
20 ≦ n ≦ 70 式(15)
(d)サイドカット成分(B)として連続的に高純度ジアリールカーボネートを、1時間あたり1トン以上得る、
ことを特徴とする、高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法、
2.塔底温度(T)185〜280℃、塔頂圧力(P)1000〜20000Paの条件下で該高沸点物質分離塔Aの蒸留操作を行い、塔底温度(T)185〜280℃、塔頂圧力(P)1000〜20000Paの条件下で該ジアリールカーボネート精製塔Bの蒸留操作を行うことを特徴とする、前項1記載の方法、
3.該反応蒸留塔のL、D、L/D、n、がそれぞれ、2000≦L≦6000、 150≦D≦1000、 3≦L/D≦30、 15≦n≦60、であり、
該高沸点物質分離塔AのL、D、n がそれぞれ、1000≦L≦2500、 200≦D≦600、 30≦n≦70 であり、
該ジアリールカーボネート精製塔BのL、D、n1、n、n、nがそれぞれ、1500≦L≦3000、 150≦D≦500、 7≦n≦15、 12≦n≦30、 3≦n≦10、 25≦n≦55であり、
が190〜240℃、Pが2000〜15000Pa、Tが190〜240℃、Pが2000〜15000Paであることを特徴とする、前項1または2記載の方法、
4.該反応蒸留塔、該高沸点物質分離塔A、該ジアリールカーボネート精製塔Bが、それぞれ該インターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることを特徴とする、前項1ないし3のうち何れか一項に記載の方法、
5.該反応蒸留塔がインターナルとして充填物を上部に、トレイを下部に有する蒸留塔であり、該高沸点物質分離塔Aおよび該ジアリールカーボネート精製塔Bのインターナルが、それぞれ充填物であることを特徴とする、前項1ないし4のうち何れか一項に記載の方法、
6.該充填物が、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッドから選ばれた少なくとも一種の規則充填物であることを特徴とする、前項5に記載の方法、
7.該反応蒸留塔の該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイであることを特徴とする、前項4または5記載の方法、
8.該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする、前項7に記載の方法、
9.該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることを特徴とする、前項7または8に記載の方法、
を提供する。
た、
ハロゲンを含まない原料と触媒とを用いて、請求項1〜9のいずれかに記載の方法で製造されたジアリールカーボネートが炭素数6から10の芳香族基からなるジフェニルカーボネートであって、該ジフェニルカーボネートのハロゲン含有量が0.1ppm以下で、且つ、該ジフェニルカーボネートより高沸点の副生物の含有量が100ppm以下である高純度ジフェニルカーボネート、
を提供することができる
さらに、本発明の第の態様では、
10.ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を原料として導入する、均一系触媒が存在する連続多段蒸留塔からなる反応蒸留塔であって、該塔内でエステル交換反応と蒸留とを同時に行い、生成するジアルキルカーボネートを含む低沸点反応混合物を塔上部よりガス状で抜出し、塔下部よりジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物を液状で抜出す反応蒸留塔と、
該高沸点反応混合物を導入し、ジアリールカーボネートを含む塔頂成分(AT)と触媒を含む塔底成分(AB)に蒸留分離する、該反応蒸留塔と連結した高沸点物質分離塔Aと、
該高沸点物質分離塔Aと連結しており、該塔頂成分(AT)を、塔頂成分(BT)、サイドカット成分(BS)、塔底成分(BB)の3つの成分に蒸留分離するジアリールカーボネート精製塔Bと、
を備える高純度ジアリールカーボネートの製造装置において、
(a)該反応蒸留塔が、下記式(1)−(6)を満足する、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nのインターナルを有する連続多段蒸留塔であって、塔頂部またはそれに近い塔の上部に内径d1(cm)のガス抜出し口、塔底部またはそれに近い塔の下部に内径d2(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部および/または中間部に1つ以上の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の下部に1つ以上の導入口を有し、
1500 ≦ L ≦ 8000 式(1)
100 ≦ D ≦ 2000 式(2)
2 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
10 ≦ n ≦ 80 式(4)
2 ≦ D/d1 ≦ 15 式(5)
5 ≦ D/d2 ≦ 30 式(6)
(b)該高沸点物質分離塔Aが、下記式(7)−(9)を満足する、長さLA(cm)、内径DA(cm)で、内部に段数nAのインターナルを有する連続多段蒸留塔であり、
800 ≦ LA ≦ 3000 式(7)
100 ≦ DA ≦ 1000 式(8)
20 ≦ nA ≦ 100 式(9)
(c)該ジアリールカーボネート精製塔Bが、下記式(10)−(15)を満足する、長さLB(cm)、内径DB(cm)で、内部にインターナルを有するものであって、塔の中段に導入口B1、該導入口B1と塔底との間にサイドカット抜き出し口B2を有し、導入口B1から上部のインターナルの段数がn1、導入口B1とサイドカット抜き出し口B2との間のインターナルの段数がn2、サイドカット抜き出し口B2から下部のインターナルの段数がn3で、段数の合計(n1+n2+n3)がnBである連続多段蒸留塔である、
1000 ≦ LB ≦ 5000 式(10)
100 ≦ DB ≦ 1000 式(11)
5 ≦ n1 ≦ 20 式(12)
12 ≦ n2 ≦ 40 式(13)
3 ≦ n3 ≦ 15 式(14)
20 ≦ nB ≦ 70 式(15)
ことを特徴とする製造装置、
11.塔底温度(TA)185〜280℃、塔頂圧力(PA)1000〜20000Paの条件下で該高沸点物質分離塔Aの蒸留操作を行い、塔底温度(TB)185〜280℃、塔頂圧力(PB)1000〜20000Paの条件下で該ジアリールカーボネート精製塔Bの蒸留操作を行うことを特徴とする、前項10記載の製造装置、
12.該反応蒸留塔のL、D、L/D、n、がそれぞれ、2000≦L≦6000、 150≦D≦1000、 3≦L/D≦30、 15≦n≦60、であり、
該高沸点物質分離塔AのLA、DA、nA がそれぞれ、1000≦LA≦2500、 200≦DA≦600、 30≦nA≦70 であり、
該ジアリールカーボネート精製塔BのLB、DB、n1、n2、n3、nB がそれぞれ、1500≦LB≦3000、 150≦DB≦500、 7≦n1≦15、 12≦n2≦30、 3≦n3≦10、 25≦nB≦55であり、
Aが190〜240℃、PAが2000〜15000Pa、TBが190〜240℃、PBが2000〜15000Paであることを特徴とする、前項10または11記載の製造装置、
13.該反応蒸留塔、該高沸点物質分離塔A、該ジアリールカーボネート精製塔Bが、それぞれ該インターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることを特徴とする、前項10ないし12のうち何れか一項に記載の製造装置、
14.該反応蒸留塔がインターナルとして充填物を上部に、トレイを下部に有する蒸留塔であり、該高沸点物質分離塔Aおよび該ジアリールカーボネート精製塔Bのインターナルが、それぞれ充填物であることを特徴とする、前項10ないし13のうち何れか一項に記載の製造装置、
15.該充填物が、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッドから選ばれた少なくとも一種の規則充填物であることを特徴とする、前項14に記載の製造装置、
16.該反応蒸留塔の該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイであることを特徴とする、前項13または14に記載の製造装置、
17.該多孔板トレイが該多孔板部の面積1m2あたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする、前項16に記載の製造装置、
18.該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cm2であることを特徴とする、前項16または17に記載の製造装置、
を提供する。
本発明を実施することによって、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物から、高品質・高性能のポリカーボネートの原料となる高純度ジアリールカーボネートを、1時間あたり1トン以上、好ましくは1時間あたり2トン以上、さらに好ましくは1時間あたり3トン以上の工業的規模で、2000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に製造できることが見出された。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で用いられるジアルキルカーボネートとは、一般式(16)で表されるものである。
OCOOR (16)
ここで、R1は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の脂環族基、炭素数6〜10のアラールキル基を表す。このようなR1としては、たとえば、メチル、エチル、プロピル(各異性体)、アリル、ブチル(各異性体)、ブテニル(各異性体)、ペンチル(各異性体)、ヘキシル(各異性体)、ヘプチル(各異性体)、オクチル(各異性体)、ノニル(各異性体)、デシル(各異性体)、シクロヘキシルメチル等のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等の脂環族基;ベンジル、フェネチル(各異性体)、フェニルプロピル(各異性体)、フェニルブチル(各異性体)、メチルベンジル(各異性体)等のアラールキル基が挙げられる。なお、これらのアルキル基、脂環族基、アラールキル基において、他の置換基、たとえば、低級アルキル基、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン等で置換されていてもよいし、不飽和結合を有していてもよい。
このようなR1を有するジアルキルカーボネートとしては、たとえば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート(各異性体)、ジアリルカーボネート、ジブテニルカーボネート(各異性体)、ジブチルカーボネート(各異性体)、ジペンチルカーボネート(各異性体)、ジヘキシルカーボネート(各異性体)、ジヘプチルカーボネート(各異性体)、ジオクチルカーボネート(各異性体)、ジノニルカーボネート(各異性体)、ジデシルカーボネート(各異性体)、ジシクロペンチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジシクロヘプチルカーボネート、ジベンジルカーボネート、ジフェネチルカーボネート(各異性体)、ジ(フェニルプロピル)カーボネート(各異性体)、ジ(フェニルブチル)カーボネート(各異性体)ジ(クロロベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシベンジル)カーボネート(各異性体)、ジ(メトキシメチル)カーボネート、ジ(メトキシエチル)カーボネート(各異性体)、ジ(クロロエチル)カーボネート(各異性体)、ジ(シアノエチル)カーボネート(各異性体)等が挙げられる
これらの中で、本発明において好ましく用いられるのは、R1がハロゲンを含まない炭素数4以下のアルキル基からなるジアルキルカーボネートであり、特に好ましいのはジメチルカーボネートである。また、好ましいジアルキルカーボネートのなかで、さらに好ましいのは、ハロゲンを実質的に含まない状態で製造されたジアルキルカーボネートであって、たとえば、ハロゲンを実質的に含まないアルキレンカーボネートとハロゲンを実質的に含まないアルコールから製造されたものである。
本発明で用いられる芳香族モノヒドロキシ化合物とは、下記一般式(17)で表されるものであり、芳香族基に直接ヒドロキシル基が結合しているものであれば、どの様なものであってもよい。
ArOH (17)
ここでAr1は炭素数5〜30の芳香族基を表す。このようなAr1を有する芳香族モノヒドロキシ化合物としては、たとえば、フェノール;クレゾール(各異性体)、キシレノール(各異性体)、トリメチルフェノール(各異性体)、テトラメチルフェノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、プロピルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ジエチルフェノール(各異性体)、メチルエチルフェノール(各異性体)、メチルプロピルフェノール(各異性体)、ジプロピルフェノール(各異性体)、メチルブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、ヘキシルフェノール(各異性体)、シクロヘキシルフェノール(各異性体)等の各種アルキルフェノール類;メトキシフェノール(各異性体)、エトキシフェノール(各異性体)等の各種アルコキシフェノール類;フェニルプロピルフェノール(各異性体)等のアリールアルキルフェノール類;ナフトール(各異性体)および各種置換ナフトール類;ヒドロキシピリジン(各異性体)、ヒドロキシクマリン(各異性体)、ヒドロキシキノリン(各異性体)等のヘテロ芳香族モノヒドロキシ化合物類等が用いられる。これらの芳香族モノヒドロキシ化合物の中で、本発明において好ましく用いられるのは、Ar1 が炭素数6から10の芳香族基からなる非置換および置換フェノールであり、特に好ましいのは非置換フェノールである。また、これらの芳香族モノヒドロキシ化合物の中で、本発明において好ましく用いられるのは、ハロゲンを実質的に含まないものである。
本発明の原料であるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を得るために用いられるジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物の量比はモル比で、0.5〜3であることが必要である。この範囲外では、目的とするアルキルアリールカーボネートの必要量に対して、未反応物の残存量が多くなり、効率的でないし、またそれらを回収するために多くのエネルギーを要する。この意味で、このモル比は、0.5〜5がより好ましく、さらに好ましいのは、1〜3である。
本発明において用いられる触媒は、Pb、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Al、Ti、V、Sn等の金属を含有するものであって、反応系に溶解する均一系触媒である。したがって、これらの金属成分が有機基と結合した触媒種が好ましく用いられる。もちろん、これらの触媒成分が反応系中に存在する有機化合物、たとえば、脂肪族アルコール類、芳香族モノヒドロキシ化合物類、アルキルアリールカーボネート類、ジアリールカーボネート類、ジアルキルカーボネート類等と反応したものであってもよいし、反応に先立って原料や生成物で加熱処理されたものであってもよい。本発明で用いられる触媒は、反応条件において反応液への溶解度の高いものであることが好ましい。この意味で好ましい触媒としては、たとえば、PbO、Pb(OH)2、Pb(OPh)2;TiCl4、Ti(OMe)、(MeO)Ti(OPh)、(MeO)Ti(OPh)、(MeO)Ti(OPh)、Ti(OPh)4;SnCl4、Sn(OPh)4、Bu2SnO、Bu2Sn(OPh)2;FeCl3、Fe(OH)3、Fe(OPh)3等、またはこれらをフェノールまたは反応液等で処理したもの等が挙げられる。
本発明では、ハロゲンを含まない原料と触媒を使用することが特に好ましく、この場合、製造されるジアリールカーボネートは、ハロゲンを全く含まないため、エステル交換法でポリカーボネートを工業的に製造するときの原料として重要である。なぜならば、重合原料中にハロゲンが、たとえば、1ppmよりも少ない量であっても存在しておれば、重合反応を阻害したり、生成したポリカーボネートの物性を低下させたり着色の原因となるからである。
ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によってアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を製造する方法については、どのようなものであってもよいが、工業的に実施するのに特に好ましいのは、本発明者らが先に提案した連続多段蒸留塔を反応蒸留塔として用いる方法である。この方法のなかでも特に好ましいのは、均一系触媒の存在下にジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応を行い、塔頂からアルコールを含む反応混合物を連続的に抜き出し、塔底からアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を連続的に抜出す方法である。
本発明では、このようにして得られたアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を均一系触媒が存在する連続多段蒸留塔からなる反応蒸留塔内に連続的に供給し、該塔内でエステル交換反応と蒸留を同時に行い、生成するジアルキルカーボネートを含む低沸点反応混合物を塔上部よりガス状で連続的に抜出し、塔下部よりジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物を液状で連続的に抜出す。このエステル交換反応においては、アルキルアリールカーボネートのアルコキシ基が系中に存在する芳香族モノヒドロキシ化合物のアリーロキシ基と交換されアルコール類を脱離する反応と、アルキルアリールカーボネート2分子間のエステル交換反応である不均化反応によってジアリールカーボネートとジアルキルカーボネートに変換される反応が含まれている。本発明の反応蒸留塔では、アルキルアリールカーボネートの不均化反応が主として起こっている。
なお、本発明で原料として用いられるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物は、純度の高いものであってもいいが、他の化合物を含むものであってもよく、たとえば、このアルキルアリールカーボネートを得るために用いられたジアルキルカーボネートおよび/または芳香族モノヒドロキシ化合物を含んでいてもよいし、この工程および/または他の工程で生成する化合物や反応副生物、たとえば、アルコール類、アルキルアリールエーテル類、ジアリールカーボネートを含むものであってもよい。ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応混合物から未反応物質や触媒を分離せずにそのまま本発明の原料とすることも好ましい方法である。なお、本発明のように工業的に実施する場合、本発明の原料であるアルキルアリールカーボネートを得るために用いられる、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物は、新規に反応系に導入されるジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物に加え、この工程および/または他の工程から回収されたものをも使用することが好ましい。
図1は、本発明の一つの態様にて実施する反応蒸留塔の概略図である。本発明において用いられる反応蒸留塔とは、長さL(cm)、内径D(cm)の円筒形の胴部の上下に鏡板部5を有し、内部に段数nをもつインターナル6を有する構造をしており、塔頂部またはそれに近い塔の上部に内径d(cm)のガス抜出し口1と、塔底部またはそれに近い塔の下部に内径d(cm)の液抜出し口2と、該ガス抜出し口1より下部であって塔の上部および/または中間部に1つ以上の第一の導入口3と、該液抜出し口2より上部であって塔の下部に1つ以上の第二の導入口4と、を有する連続多段蒸留塔であることが必要であり、蒸留だけでなく反応も同時に行う。なお、本発明で用いる用語「塔頂部またはそれに近い塔の上部」とは、塔頂部から下方に約0.25Lまでの部分を意味し、用語「塔底部またはそれに近い塔の下部」とは、塔底部から上方に約0.25Lまでの部分を意味する。また、「L」は、前述の定義とおりである。
本発明で用いる反応蒸留塔は特定の構造を有していることが必要である。すなわち、本発明のこの工程においては、蒸留だけでなく反応も同時に行いながら、1時間あたり1トン以上の高純度ジアリールカーボネートを与えることのできるジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物を長期間安定的に製造できるものとするには種々の条件を満足させることが必要である。すなわち、該反応蒸留塔は、単なる蒸留機能からの条件だけではなく、安定的に高選択率で反応を進行させるために必要とされる条件とが複合したものであり、具体的には、該蒸留塔は、下記式(1)−(6)を満足する必要がある。
1500 ≦ L ≦ 8000 式(1)
100 ≦ D ≦ 2000 式(2)
2 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
10 ≦ n ≦ 80 式(4)
2 ≦ D/d ≦ 15 式(5)
5 ≦ D/d ≦ 30 式(6)
式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)を同時に満足する連続多段蒸留塔を用いることによって、アルキルアリールカーボネートを含む反応混合物から、高純度ジアリールカーボネートを1時間あたり1トン以上、50トン以下の工業的規模で生産できる量のジアリールカーボネートを主成分とする高沸点反応混合物を高選択率・高生産性で、たとえば、2000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に製造できることが見出されたのである。本発明の方法を実施することによって、このような優れた効果を有する工業的規模でのジアリールカーボネートの製造が可能になった理由は明らかではないが、式(1)〜(6)の条件が組み合わさった時にもたらされる複合効果のためであると推定される。なお、各々の要因の好ましい範囲は下記に示される。
L(cm)が1500より小さいと、反応率が低下するため目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成できる反応率を確保しつつ設備費を低下させるには、Lを8000より小さくすることが必要である。より好ましいL(cm)の範囲は、2000≦L ≦6000 であり、さらに好ましくは、2500≦L≦5000 である。
D(cm)が100よりも小さいと、目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを2000より小さくすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、150≦D≦1000 であり、さらに好ましくは、200≦D≦800 である。
L/Dが2より小さい時や40より大きい時は安定運転が困難となり、特に40より大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなり選択率の低下をもたらす。より好ましいL/Dの範囲は、3≦L/D≦30 であり、さらに好ましくは、5≦L/D≦15 である。
nが10より小さいと反応率が低下するため目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成できる反応率を確保しつつ設備費を低下させるには、nを80よりも小さくすることが必要である。さらにnが80よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなり選択率の低下をもたらす。より好ましいnの範囲は、15≦n≦60 であり、さらに好ましくは、20≦n≦50 である。
D/dが2より小さいと設備費が高くなるだけでなく大量のガス成分が系外に出やすくなるため、安定運転が困難になり、また15よりも大きいとガス成分の抜出し量が相対的に小さくなり、安定運転が困難になるだけでなく、反応率の低下をもたらす。より好ましいD/dの範囲は、2.5≦D/d≦12 であり、さらに好ましくは、3≦D/d≦10 である。
D/dが5より小さいと設備費が高くなるだけでなく液抜出し量が相対的に多くなり、安定運転が困難になり、30よりも大きいと液抜出し口や配管での流速が急激に速くなりエロ−ジョンを起こしやすくなり装置の腐食をもたらす。より好ましいD/dの範囲は、7≦D/d≦25 であり、さらに好ましくは、9≦D/d≦20 である。
さらに本発明では該dと該dが式(18)を満足する場合、さらに好ましいことがわかった。
1 ≦d/d ≦ 6 式(18)
本発明でいう長期安定運転とは、1000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上、配管のつまりやエロージョンがなく、運転条件に基づいた定常状態で運転が継続でき、高選択率を維持しながら、所定量のジアリールカーボネートが製造されていることを意味する。
本発明の反応蒸留工程でいうジアリールカーボネートの選択率とは、反応したアルキルアリールカーボネートに対するものであって、本発明では通常95%以上の高選択率であり、好ましくは97%以上、さらに好ましくは99%以上の高選択率を達成することができる。
本発明で反応蒸留塔として用いられる連続多段蒸留塔は、インターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることが好ましい。本発明でいうインターナルとは、蒸留塔において実際に気液の接触を行わせる部分のことを意味する。このようなトレイとしては、たとえば、泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ、スーパーフラックトレイ、マックスフラックトレイ等が好ましく、充填物としては、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック等の不規則充填物やメラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッド等の規則充填物が好ましい。なお、本発明で用いる用語「インターナルの段数n」とは、トレイの場合は、トレイの数を意味し、充填物の場合は、理論段数を意味する。したがって、トレイ部と充填物の充填された部分とを合わせ持つ連続多段蒸留塔の場合、nはトレイの数と、理論段数の合計である。
本発明のアルキルアリールカーボネートと、系中に存在する芳香族モノヒドロキシ化合物との反応は、平衡定数が極端に小さく、しかも反応速度が遅いし、主たる反応であるアルキルアリールカーボネートの不均化反応も平衡反応であって平衡定数が小さく反応速度も遅い。このような本発明の反応を行う反応蒸留用の連続多段蒸留塔としては、該インターナルが充填物およびトレイの両方を有する多段蒸留塔であることが見出された。そして、この蒸留塔において、充填物の充填された部分が上部に設置されており、トレイ部が下部に設置されているものが好ましい。また、本発明においては、該充填物は規則充填物であることが好ましく、さらに該規則充填物が1基または2基以上用いられることが好ましい。そして、該規則充填物は、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッドから選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
さらに本発明の反応蒸留塔としては、該インターナルの該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイが機能と設備費との関係で特に優れていることが見出された。そして、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有していることが好ましいことも見出された。より好ましい孔数は該面積1mあたり120〜900個であり、さらに好ましくは、150〜800個である。また、該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmであることが好ましいことも見出された。より好ましい孔1個あたりの断面積は、0.7〜4cmであり、さらに好ましくは0.9〜3cmである。さらには、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有しており、且つ、孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmである場合、特に好ましいことが見出された。さらに、該規則充填物が、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッドから選ばれた少なくとも一種であり、該多孔板トレイが該多孔板部の面積1mあたり100〜1000個の孔を有するものであり、該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cmである連続多段蒸留塔の場合、特に好ましいことも見出した。反応蒸留塔に上記の条件を付加することによって、本発明の反応蒸留工程が、より容易に達成されることが判明したのである。
本発明の反応蒸留工程を実施する場合、アルキルアリールカーボネートを含む原料を均一系触媒が存在する連続多段蒸留塔内に連続的に供給し、該塔内で反応と蒸留を同時に行い、生成するジアルキルカーボネートやアルコール類を含む低沸点反応混合物を塔上部よりガス状で連続的に抜出し、ジアリールカーボネートを反応主生成物とする高沸点反応混合物を塔下部より液状で連続的に抜出すことにより、ジアリールカーボネートが連続的に製造される。本発明において、反応蒸留塔内に触媒を存在させる方法はどのようなものであってもよいが、原料や反応液に溶解する均一系触媒であるので、蒸留塔の中間部より上部の位置から蒸留塔内に供給することが好ましい。この場合、原料または反応液に溶解させた触媒液を原料と一緒に導入してもよいし、原料とは別の導入口からこの触媒液を導入してもよい。また、アルキルアリールカーボネートを含む原料を製造するのに使用し、この原料に含まれている触媒をそのまま本反応蒸留工程の触媒とすることも好ましい方法であるが、必要に応じて前記の触媒を新たに追加することもできる。本発明で用いる触媒の量は、使用する触媒の種類、原料の種類やその量比、反応温度並びに反応圧力などの反応条件の違いによっても異なるが、原料の合計質量に対する割合で表して、通常、0.0001〜30質量%、好ましくは0.005〜10質量%、より好ましくは0.001〜1質量%で使用される。
反応蒸留塔の塔上部から連続的に抜出される低沸点反応混合物中には、系中に存在する芳香族モノヒドロキシ化合物やアルキルアリールエーテル類およびや未反応のアルキルアリールカーボネートなどを含んでいてもよい。この低沸点反応混合物はジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応器に循環再使用することが好ましい。また、本発明において反応蒸留塔の塔頂ガス抜き出し成分を凝縮した後、その一部を蒸留塔上部にもどす還流操作を実施することも好ましい方法である。この場合、還流比は0.05〜10、好ましくは0.08〜5、さらに好ましくは、0.1〜2の範囲である。
本発明において、アルキルアリールカーボネートを含む原料を反応蒸留塔内に連続的に供給するには、蒸留塔の上部のガス抜出し口よりも下部であるが塔の上部または中間部に設置された1箇所または数箇所の導入口から、液状および/またはガス状で供給することが好ましい。また、本発明の好ましい実施態様である上部に充填物部、下部にトレイ部を有する蒸留塔を用いる場合、導入口の少なくとも1箇所は充填物部とトレイ部との間に設置されることが好ましい。また、充填物が2基以上の複数の規則充填物からなっている場合は、これらの複数の規則充填物を構成する間隔に導入口を設置することも好ましい方法である。
本発明で行われるエステル交換反応の反応時間は反応蒸留塔内での反応液の平均滞留時間に相当すると考えられるが、これは蒸留塔のインターナルの形状や段数、原料供給量、触媒の種類や量、反応条件などによって異なるが、通常0.01〜10時間、好ましくは0.05〜5時間、より好ましくは0.1〜3時間である。
反応温度は、用いる原料化合物の種類や触媒の種類や量によって異なるが、通常100〜350℃である。反応速度を高めるためには反応温度を高くすることが好ましいが、反応温度が高いと副反応も起こりやすくなり、たとえば、アルキルアリールエーテルやジアリールカーボネートのフリース転移生成物やそのエステル化合物などの副生が増えるので好ましくない。このような意味で、好ましい反応温度は130〜280℃、より好ましくは150〜260℃、さらに好ましくは、180〜240℃の範囲である。また反応圧力は、用いる原料化合物の種類や組成、反応温度などにより異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常塔頂圧力が0.1〜2×10Pa、好ましくは、10〜10Pa、より好ましくは、5×10〜10の範囲で行われる。
本発明では、反応蒸留塔の塔下部より連続的に抜出されたジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物中には、ジアリールカーボネートの他に、通常、触媒、ジアルキルカーボネート、芳香族モノヒドロキシ化合物、アルキルアリールカーボネート、副生物等が含まれている。副生物としては、アルキルアリールエーテル等の比較的沸点の低い副生物と、アルキルアリールカーボネートやジアリールカーボネートのフリース転移生成物やその誘導体、ジアリールカーボネートの変生物、および構造不明の高沸点物質などの高沸点副生物がある。たとえば、ジメチルカーボネートとフェノールを原料にして、ジフェニルカーボネートを製造する場合、反応副生物としてアニソール、サリチル酸メチル、サリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニル、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレン等が存在しており、通常、これらがさらに反応したと考えられる構造不明の高沸点副生物が少量含まれている。
本発明では、反応蒸留塔の塔下部より連続的に抜出されたジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物を高沸点物質分離塔Aに連続的に導入し、ジアリールカーボネートを含む塔頂成分(A)と触媒を含む塔底成分(A)に連続的に分離し、次いで該塔頂成分(A)を、サイドカット抜き出し口を有するジアリールカーボネート精製塔Bに連続的に導入し、塔頂成分(B)、サイドカット成分(B)、塔底成分(B)の3つの成分に連続的に蒸留分離し、高純度ジアリールカーボネートをサイドカット成分(B)として連続的に、1時間あたり1トン以上得るのであるが、そのためには該高沸点物質分離塔Aと該ジアリールカーボネート精製塔Bをそれぞれ特定の構造を有する連続多段蒸留塔とし、それらを組み合わせて用いることが必要である。
図2は、本発明を実施するための高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔Bとを連結した連続分離・精製装置の例を示す概略図である。高沸点物質分離塔Aおよびジアリールカーボネート精製塔Bの各々は、連続多段蒸留塔から構成され、それらの内部には、以下のものに限定されるわけではないが、この例において、所定の理論段数を有する規則充填物からなるインターナルが設置されている。なお、各塔AおよびBは、本発明に係る精製方法および製造方法を実施するためには、後述する構造を備える。
本発明で用いる該高沸点物質分離塔Aは、下記式(7)−(9)を満足する、長さL(cm)、内径D(cm)で、内部に段数nのインターナルを有する連続多段蒸留塔であることが必要である。
800 ≦ L ≦ 3000 式(7)
100 ≦ D ≦ 1000 式(8)
20 ≦ n ≦ 100 式(9)
該高沸点物質分離塔Aの蒸留条件としては、塔底温度(T)が185〜280℃、塔頂圧力(P)が1000〜20000Paであることが好ましい。
また、該ジアリールカーボネート精製塔Bは、下記式(10)−(15)を満足する、長さL(cm)、内径D(cm)で、内部にインターナルを有するものであって、塔の中段に導入口B1、該導入口B1と塔底との間にサイドカット抜き出し口B2を有し、導入口B1から上部のインターナルの段数がn、導入口B1とサイドカット抜き出し口B2との間のインターナルの段数がn、サイドカット抜き出し口B2から下部のインターナルの段数がnで、段数の合計(n+n+n)がnである連続多段蒸留塔であることが必要である。
1000 ≦ L ≦ 5000 式(10)
100 ≦ D ≦ 1000 式(11)
5 ≦ n ≦ 20 式(12)
12 ≦ n ≦ 40 式(13)
3 ≦ n ≦ 15 式(14)
20 ≦ n ≦ 70 式(15)
該ジアリールカーボネート精製塔Bの蒸留条件としては、塔底温度(T)185〜280℃、塔頂圧力(P)1000〜20000Paであることが好ましい。
これらの条件の全てを同時に満足する高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔Bを用いることによって、ジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物から高純度ジアリールカーボネートを、1時間あたり1トン以上、50トン以下の工業的規模で、たとえば、2000時間以上、好ましくは3000時間以上、さらに好ましくは5000時間以上の長期間、安定的に製造できることが見出されたのである。本発明の方法を実施することによって、このような優れた効果を有する工業的規模での高純度ジアリールカーボネートの製造が可能になった理由は明らかではないが、式(7)〜(15)の条件が組み合わさった時にもたらされる効果と蒸留条件との複合効果のためであると推定される。なお、各々の要因の好ましい範囲は下記に示される。
(cm)が800より小さいと、内部に設置できるインターナルの高さに制限ができるため分離効率が低下するため好ましくないし、目的の分離効率を達成しつつ設備費を低下させるには、Lを3000より小さくすることが必要である。より好ましいL(cm)の範囲は、1000≦L≦2500 であり、さらに好ましくは、1200≦L≦2000 である。
(cm)が100よりも小さいと、目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを1000より小さくすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、200≦D≦600 であり、さらに好ましくは、250≦D≦450 である。
が20より小さいと分離効率が低下するため目的とする高純度を達成できないし、目的の分離効率を達成しつつ設備費を低下させるには、nを100よりも小さくすることが必要である。さらにnが100よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなりすぎるため、高沸点物質分離塔Aの長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなるので好ましくない。より好ましいnの範囲は、30≦n≦70 であり、さらに好ましくは、35≦n≦60 である。
が185℃よりも低いと塔頂圧力をより低くしなければならないため高真空を保持する設備にしなければならないし、また設備が大きくなるので好ましくなく、280℃より高くすると蒸留時に高沸点副生物が生成するのでこのましくない。より好ましいTは190〜240℃、であり、さらに好ましくは195〜230℃の範囲である。
が1000Paよりも低いと高真空を保持できる大きな設備となり好ましくなく、20000Paより高いと蒸留温度が高くなり副生物が増加するので好ましくない。より好ましいPは2000〜15000Paであり、さらに好ましくは3000〜13000Paの範囲である。
(cm)が1000より小さいと、内部に設置できるインターナルの高さに制限ができるため分離効率が低下するため好ましくないし、目的の分離効率を達成しつつ設備費を低下させるには、Lを5000より小さくすることが必要である。より好ましいL(cm)の範囲は、1500≦L≦3000 であり、さらに好ましくは、1700≦L≦2500 である。
(cm)が100よりも小さいと、目的とする生産量を達成できないし、目的の生産量を達成しつつ設備費を低下させるには、Dを1000より小さくすることが必要である。より好ましいD(cm)の範囲は、150≦D≦500 であり、さらに好ましくは、200≦D≦400 である。
が20より小さいと塔全体としての分離効率が低下するため目的とする高純度を達成できないし、目的の分離効率を達成しつつ設備費を低下させるには、nを70よりも小さくすることが必要である。さらにnが70よりも大きいと塔の上下における圧力差が大きくなり、ジアリールカーボネート精製塔Bの長期安定運転が困難となるだけでなく、塔下部での温度を高くしなければならないため、副反応が起こりやすくなるので好ましくない。より好ましいnの範囲は、25≦n≦55 であり、さらに好ましくは、30≦n≦50 である。さらに、目的とする高純度のジアリールカーボネートを長時間安定的に得るためには、n1、n、nがそれぞれ、5≦n≦20、 12≦n≦40、 3≦n≦15 の範囲にあることが必要であることが判明した。より好ましい範囲は、 7≦n≦15、 12≦n≦30、 3≦n≦10 である。
が185℃よりも低いと塔頂圧力をより低くしなければならないため高真空を保持する設備にしなければならないし、また設備が大きくなるので好ましくなく、280℃より高くすると蒸留時に高沸点副生物が生成するので好ましくない。より好ましいTは190〜240℃、であり、さらに好ましくは195〜230℃の範囲である。
が1000Paよりも低いと高真空を保持できる大きな設備となり好ましくなく、20000Paより高いと蒸留温度が高くなり副生物が増加するので好ましくない。より好ましいPは2000〜15000Paであり、さらに好ましくは3000〜13000Paの範囲である。
なお、高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔Bにおいて、DおよびDが上記の範囲にある限り、塔の上部から下部までそれぞれ同じ内径であってもよいし、部分的に内径が異なっていてもよい。たとえば、これらの連続多段蒸留塔において、塔上部の内径が塔下部の内径よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。
本発明で用いる高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔Bは、それぞれインターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔である。本発明でいうインターナルとは、蒸留塔において実際に気液の接触を行わせる部分のことを意味し、前記のとおりである。トレイ部と充填物の充填された部分とを合わせ持つ多段蒸留塔も用いることができる。
本発明の高沸点物質分離塔Aはインターナルとして充填物を有するものが好ましく、さらに充填物として規則充填物が好ましいことも判明した。また、ジアリールカーボネート精製塔Bはインターナルとして充填物であることが好ましく、さらに1基または2基以上の規則充填物が好ましいことが見出された。
本発明においては、反応蒸留塔の塔底から連続的に抜出された塔底液をそのまま高沸点物質分離塔Aに供給することが好ましい。反応蒸留塔の塔底から連続的に抜出される高沸点反応混合物には、通常、ジアルキルカーボネートが、0.05〜2質量%、芳香族モノヒドロキシ化合物が1〜20質量%、アルキルアリールエーテルが0.05〜2質量%、アルキルアリールカーボネートが10〜45質量%、ジアリールカーボネートが50〜80質量%、高沸点副生物が0.1〜5質量%、触媒が0.001〜5質量%含まれている。該高沸点反応混合物の組成は、反応蒸留条件、触媒の種類と量等によって変化するが、一定の条件下で反応蒸留が行われる限り、ほぼ一定の組成の反応混合物が製造できるので、高沸点物質分離塔Aに供給される該高沸点反応混合物の組成はほぼ一定である。しかしながら、本発明においては、高沸点反応混合物の組成が上記の範囲内であれば、それが変動しても、ほぼ同様の分離効率で分離できる。このことは本発明の特徴の1つである。
本発明において、該高沸点反応混合物を高沸点物質分離塔A内に連続的に供給するには、該分離塔Aの中間部より下部に設置された1箇所または数箇所の導入口から、液状で供給してもよいし、該分離塔Aのリボイラーの下部に設けた配管からリボイラーを経て塔内に供給することも好ましい方法である。高沸点物質分離塔Aに供給される該高沸点反応混合物の量は、製造すべき高純度ジアリールカーボネートの生産量、該高沸点反応混合物中のジアリールカーボネートの濃度、該分離塔Aの分離条件等によって変化する。本発明で用いる該高沸点反応混合物中には、ジアリールカーボネートは、通常、50〜80質量%含まれているので、1時間あたり1トン以上、50トン以下の高純度ジアリールカーボネートを得るためには、高沸点物質分離塔Aに連続的に導入される反応混合物の量は、ジアリールカーボネートの含有量によって変化するが、約1.3〜2トン/hr以上、100トン以下である。通常は約2トン/hr以上、好ましくは約6トン/hr以上、さらに好ましくは約10トン/hr以上で、導入量の上限は装置の大きさ、必要生産量等によって変わるが、通常200トン/hrである。
高沸点物質分離塔Aに連続的に供給された高沸点反応混合物は、ジアリールカーボネートの大部分と未反応原料、アルキルアリールエーテル、アルキルアリールカーボネート等のジアリールカーボネートよりも沸点の低い化合物の大部分からなる塔頂成分(A)と、少量のジアリールカーボネートと触媒とジアリールカーボネートより高沸点の副生物とを含む塔底成分(A)に分離される。塔底成分(A)中には少量のアルキルアリールカーボネートが含まれていてもよい。塔底成分中のこれらの有機物は触媒成分を溶解させ液状に保つのに役立っている。この塔底成分(A)の、全量または一部はエステル交換反応の触媒成分として、通常そのままでジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応器および/または反応蒸留塔に循環再使用することは好ましい。
本発明においては、芳香族モノヒドロキシ化合物として、たとえば、非置換または低級炭化水素置換フェノールを用いた場合、サリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニル、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレン等のジフェニルカーボネートより高沸点の副生物、またはこれらの低級炭化水素置換化合物等の低級炭化水素置換ジフェニルカーボネートより高沸点の副生物と、触媒成分は、この高沸点物質分離塔Aで、ほぼ完全に塔底成分(A)として分離することができる。
塔頂成分(A)中における、これらのジアリールカーボネートより高沸点の副生物と触媒成分の含有量は、通常200ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下にすることが容易にできるのが本発明の特徴の1つである。塔頂成分(A)中にこれらの高沸点副生物を殆ど含ませないで、しかも、導入された反応混合物中のジアリールカーボネートの大部分を塔頂から抜き出すことができることも本発明の特徴の1つである。本発明においては、高沸点物質分離塔Aに連続的に供給された反応混合物中のジアリールカーボネートの95%以上、好ましくは96%以上、さらに好ましくは98%以上を塔頂から抜出すことができる。
また、本発明においては、該分離塔Aに供給される反応混合物の組成に依存することではあるが、連続的に供給された液の通常、90〜97質量%が塔頂成分(A)として塔頂から連続的に抜出され、10〜3質量%が塔底成分(A)として塔底から連続的に抜出される。塔頂成分(A)の組成は、通常、塔頂成分100質量%に対して、ジアルキルカーボネートが0.05〜2質量%、芳香族モノヒドロキシ化合物が1〜21質量%、アルキルアリールエーテルが0.05〜2質量%、アルキルアリールカーボネートが11〜47質量%、ジアリールカーボネートが52〜84質量%であり、高沸点副生物の含有量は、通常、200ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppmである。
本発明においては、高沸点物質分離塔Aの還流比は0.01〜10の範囲であり、好ましくは0.08〜5、さらに好ましくは、0.1〜3の範囲である。
高沸点物質分離塔Aの塔頂から連続的に抜出される塔頂成分(A)の量は、前記のとおり、該分離塔Aに供給された反応混合物の通常約90〜97%であるが、これがそのままジアリールカーボネート精製塔Bの中段に設けられた導入口B1から該精製塔Bに連続的に供給され、塔頂成分(B)、サイドカット成分(B)、塔底成分(B)の3成分に連続的に分離される。該精製塔Bに供給された該分離塔Aの塔頂成分(A)に含まれていたジアリールカーボネートよりも低沸点の成分は全て塔頂成分(B)として塔頂から連続的に抜出され、塔底からは、少量の液体が連続的に抜出される。塔頂成分(B)中には、少量のジアリールカーボネートが含まれ、その量は供給されたジアリールカーボネートに対して、通常、1〜9%、好ましくは3〜8%である。この塔頂成分(B)中のジアリールカーボネートは、塔頂成分(B)を分離する別の蒸留塔で分離され、回収されるが、この別の蒸留塔の塔底成分として分離し、それを高沸点物質分離塔Aまたは/およびジアリールカーボネート精製塔Bに戻すことによって回収することも好ましい方法である。
塔底成分(B)はジアリールカーボネートと、数%程度に濃縮された少量の高沸点副生物からなっている。塔底から抜出される塔底成分(B)の中のジアリールカーボネートの量が非常に少なくてすむことも本発明の特徴の1つであり、その量は供給されたジアリールカーボネートに対して、通常、0.05〜0.5%である。
サイドカット抜き出し口B2からは、高純度ジアリールカーボネートが通常1トン/hr以上、好ましくは3トン/hr以上、さらに好ましくは5トン/以上、50トン以下の流量で連続的に抜出され、この量は該精製塔Bに供給されたジアリールカーボネートの通常、約90〜96%に相当する。
本発明でサイドカット成分(B)として得られるジアリールカーボネートの純度は、通常99.9%以上であり、好ましくは99.99%以上で、より好ましくは99.999%以上である。ジアルキルカーボネートと、フェノールまたは低級炭化水素置換フェノールとのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを用いて本発明を実施した時の高沸点不純物の含有量は、サリチル酸フェニルまたはその低級炭化水素置換体が、30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下であり、キサントンが30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下であり、メトキシ安息香酸フェニルまたはその低級炭化水素置換体が30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下であり、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレンまたはその低級炭化水素置換体が30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下である。そして、これら高沸点副生物の合計含有量は100ppm以下、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。なお、本発明で用いる用語「高純度ジアリールカーボネート」とは、その純度が99.9%以上であって、ジアルキルカーボネートとフェノールまたは低級炭化水素置換フェノールを原料として得られたジアリールカーボネートの場合には、その高沸点副生物の含有量が、100ppm以下であるジアリールカーボネートをいう。
また、本発明では通常ハロゲンを含まない原料と触媒を使用するので、得られるジアリールカーボネートのハロゲン含有量は0.1ppm以下であり、好ましくは10ppb以下であり、さらに好ましくは1ppb以下である。
本発明においては、ジアリールカーボネート精製塔Bの還流比は、0.01〜10の範囲であり、好ましくは0.1〜8、さらに好ましくは0.5〜5の範囲である。
本発明で用いられる反応蒸留塔、高沸点物質分離塔A、ジアリールカーボネート精製塔Bおよび接液部を構成する材料は、主に炭素鋼、ステンレススチールなどの金属材料であるが、製造するジアリールカーボネートの品質の面からは、ステンレススチールが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
ジフェニルカーボネートの純度、不純物の含有量はガスクロマトグラフィー法で、ハロゲン含有量は、イオンクロマトグラフィー法でそれぞれ測定した。
[実施例1]
<反応蒸留塔>
図1に示されるようなL=3100cm、D=500cm、L/D=6.2、n=30、D/d=3.85、D/d=11.1 である連続多段蒸留塔を用いた。なお、この実施例では、インターナルとして、上部にメラパック2基(合計理論段数11段)を設置し、下部に孔1個あたりの断面積=約1.3cm、孔数=約250個/mを有する多孔板トレイを用いた。
<高沸点物質分離塔A>
図2に示されるようなL=1700cm、D=340cmで、インターナルとして、n=30のメラパックを設置した連続多段蒸留塔を該分離塔Aとして用いた。
<ジアリールカーボネート精製塔B>
図2に示されるようなL=2200cm、D=280cm、インターナルとして、n=12、n=18、n=5である3基のメラパックを設置した連続多段蒸留塔を該精製塔Bとして用いた。
<反応蒸留>
ジメチルカーボネート/フェノール=1.3(重量比)からなる混合物をエステル交換反応させることによって得られた、メチルフェニルカーボネートを18質量%含む反応混合物を原料として用いた。この原料中には、ジメチルカーボネート26質量%、アニソール6質量%、フェノール48質量%、ジフェニルカーボネート1質量%が含まれており、さらに触媒がPb(OPh)として約100ppm含まれていた。この原料にはハロゲンは実質的に含まれていなかった(イオンクロマトグラフィーでの検出限界外で1ppb以下)。
メラパックと多孔板トレイとの間に設置されている原料導入口から、この原料を66トン/hrの流量で図1の反応蒸留塔に導入した。塔底部の温度が210℃で、塔頂部の圧力が3×10Pa、還流比が0.3の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。24時間後には安定的な定常運転が達成できた。塔底部から13.1トン/hrで連続的に抜出された高沸点反応混合物の組成は、ジメチルカーボネートが0.1質量%、アニソールが0.1質量%、フェノールが6.3質量%、メチルフェニルカーボネートが32.2質量%、ジフェニルカーボネートが58.6質量%、触媒を含む高沸点副生物が2.7質量%であった。
<分離・精製>
図2に示される高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔Bからなる装置を用いて、上記の反応蒸留で得られた反応混合物を導入口A1から該分離塔Aに13.1トン/hrで連続的に導入した。該分離塔Aにおいて塔底部の温度(T)を206℃、塔頂部の圧力(P)を3800Paとし、還流比0.6で連続的に蒸留を行い、導管16を通して塔頂成分(A)を12.5トン/hrで連続的に抜き出し、導管11を通して塔底成分(A)を0.6トン/hrで連続的に抜き出した。該塔頂成分(A)は、そのまま導入口B1から該精製塔Bに連続的に導入された。該精製塔Bにおいて塔底部の温度(T)を213℃、塔頂部の圧力(P)を5000Paとし、還流比1.5で連続的に蒸留を行い、導管26を通して塔頂成分(B)を5.3トン/hrで連続的に抜き出し、導管31を通して塔底成分(B)を0.03トン/hrで連続的に抜き出し、導管33を通してサイドカット成分(B)を7.17トン/hrで連続的に抜き出した。
系が完全に安定した24時間後の各成分の組成は次のとおりであった。
:ジメチルカーボネート0.1質量%、アニソール0.1質量%、フェノール6.6質量%、メチルフェニルカーボネート33.8質量%、ジフェニルカーボネート59.4質量%。
:ジフェニルカーボネート41.0質量%、サリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニル、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレン等のジフェニルカーボネートより高沸点の副生物および、触媒成分を含む高沸点物質59.0質量%。
:ジメチルカーボネート0.25質量%、アニソール0.25質量%、フェノール15.6質量%、メチルフェニルカーボネート79.6質量%、ジフェニルカーボネート4.3質量%。
:ジフェニルカーボネート95.0質量%、高沸点物質5.0質量%。
サイドカット成分中のサリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニルの含有量はいずれも1ppm以下であり、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレンは4ppmであった。また、ハロゲンの含有量は1ppb以下であった。このことから、サイドカットから得られたジフェニルカーボネートの純度は99.999%以上であることがわかった。また、この高純度ジフェニルカーボネートの生産量は、1時間あたり7.17トンであった。
この条件で長期間の連続運転を行った。500時間後、2000時間後、4000時間後、5000時間後、6000時間後のジフェニルカーボネートの生産量および純度は実質的に全く変わっていなかった。
[実施例2]
<反応蒸留>
ジメチルカーボネート/フェノール=1.9(重量比)からなる混合物をエステル交換反応させることによって得られた、メチルフェニルカーボネートを21質量%含む混合物を原料として用いた。この原料中には、ジメチルカーボネート32質量%、アニソール5質量%、フェノール41質量%、ジフェニルカーボネート1質量%が含まれており、さらに触媒がPb(OPh)として約250ppm含まれていた。この原料にはハロゲンは実質的に含まれていなかった(イオンクロマトグラフィーでの検出限界外で1ppb以下)。
メラパックと多孔板トレイとの間に設置されている原料導入口から、この原料を80トン/hrの流量で図1の反応蒸留塔に導入した。塔底部の温度が205℃で、塔頂部の圧力が2×10Pa、還流比が0.5の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。24時間後には安定的な定常運転が達成できた。塔底部から11.3トン/hrで連続的に抜出された高沸点反応混合物の組成は、ジメチルカーボネートが0.1質量%、アニソールが0.1質量%、フェノールが2.5質量%、メチルフェニルカーボネートが33.2質量%、ジフェニルカーボネートが62.5質量%、触媒を含む高沸点副生物が1.6質量%であった。
<分離・精製>
実施例1と同じ高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔Bからなる装置を用いて、上記の反応蒸留で得られた反応混合物を導入口A1から該分離塔Aに11.3トン/hrで連続的に導入した。該分離塔Aにおいて塔底部の温度(T)を205℃、塔頂部の圧力(P)を4000Paとし、還流比0.7で連続的に蒸留を行い、導管16を通して塔頂成分(A)を11.0トン/hrで連続的に抜き出し、導管11を通して塔底成分(A)を0.3トン/hrで連続的に抜き出した。該塔頂成分(A)は、そのまま導入口B1から該精製塔Bに連続的に導入された。該精製塔Bにおいて塔底部の温度(T)を210℃、塔頂部の圧力(P)を4500Paとし、還流比2.0で連続的に蒸留を行い、導管26を通して塔頂成分(B)を4.7トン/hrで連続的に抜き出し、導管31を通して塔底成分(B)を0.03トン/hrで連続的に抜き出し、導管33を通してサイドカット成分(B)を6.27トン/hrで連続的に抜き出した。
系が完全に安定した24時間後の各成分の組成は次のとおりであった。
:ジメチルカーボネート0.1質量%、アニソール0.1質量%、フェノール2.6質量%、メチルフェニルカーボネート34.1質量%、ジフェニルカーボネート63.1質量%。
:ジフェニルカーボネート40.2質量%、サリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニル、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレン等のジフェニルカーボネートより高沸点の副生物および、触媒成分を含む高沸点物質59.8質量%。
:ジメチルカーボネート0.3質量%、アニソール0.2質量%、フェノール6.1質量%、メチルフェニルカーボネート79.8質量%、ジフェニルカーボネート13.6質量%。
:ジフェニルカーボネート96.0質量%、高沸点物質4.0質量%。
サイドカット成分中のサリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニルの含有量はいずれも1ppm以下であり、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレンは3ppmであった。また、ハロゲンの含有量は1ppb以下であった。このことから、サイドカットから得られたジフェニルカーボネートの純度は99.999%以上であることがわかった。また、この高純度ジフェニルカーボネートの生産量は、1時間あたり6.27トンであった。
この条件で長期間の連続運転を行った。500時間後、1000時間後、2000時間後のジフェニルカーボネートの生産量および純度は実質的に全く変わっていなかった。
[実施例3]
<反応蒸留>
ジメチルカーボネート/フェノール=1.4(重量比)からなる混合物をエステル交換反応させることによって得られた、メチルフェニルカーボネートを16質量%含む混合物を原料として用いた。この原料中には、ジメチルカーボネート27質量%、アニソール7質量%、フェノール49質量%、ジフェニルカーボネート0.5質量%が含まれており、さらに触媒がPb(OPh)として約200ppm含まれていた。この原料にはハロゲンは実質的に含まれていなかった(イオンクロマトグラフィーでの検出限界外で1ppb以下)。
メラパックと多孔板トレイとの間に設置されている原料導入口から、この原料を94トン/hrの流量で上記の連続多段蒸留塔に導入した。塔底部の温度が215℃で、塔頂部の圧力が2.5×10Pa、還流比が0.4の条件下で連続的に反応蒸留が行われた。24時間後には安定的な定常運転が達成できた。塔底部から17.2トン/hrで連続的に抜出された高沸点反応混合物の組成は、ジメチルカーボネートが0.2質量%、アニソールが0.1質量%、フェノールが6.6質量%、メチルフェニルカーボネートが30.2質量%、ジフェニルカーボネートが60.1質量%、触媒を含む高沸点副生物が2.8質量%であった。
<分離・精製>
実施例1と同じ高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔Bからなる装置を用いて、上記の反応蒸留で得られた反応混合物を導入口A1から該分離塔Aに17.2トン/hrで連続的に導入した。該分離塔Aにおいて塔底部の温度(T)を207℃、塔頂部の圧力(P)を4100Paとし、還流比0.61で連続的に蒸留を行い、導管16を通して塔頂成分(A)を16.4トン/hrで連続的に抜き出し、導管11を通して塔底成分(A)を0.8トン/hrで連続的に抜き出した。該塔頂成分(A)は、そのまま導入口B1から該精製塔Bに連続的に導入された。該精製塔Bにおいて塔底部の温度(T)を220℃、塔頂部の圧力(P)を6600Paとし、還流比1.49で連続的に蒸留を行い、導管26を通して塔頂成分(B)を7.1トン/hrで連続的に抜き出し、導管31を通して塔底成分(B)を0.05トン/hrで連続的に抜き出し、導管33を通してサイドカット成分(B)を9.25トン/hrで連続的に抜き出した。
系が完全に安定した24時間後の各成分の組成は次のとおりであった。
:ジメチルカーボネート0.2質量%、アニソール0.1質量%、フェノール6.9質量%、メチルフェニルカーボネート31.7質量%、ジフェニルカーボネート61.1質量%。
:ジフェニルカーボネート39.80質量%、サリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニル、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレン等のジフェニルカーボネートより高沸点の副生物および、触媒成分を含む高沸点物質61.2質量%。
:ジメチルカーボネート0.5質量%、アニソール0.2質量%、フェノール16.0質量%、メチルフェニルカーボネート73.2質量%、ジフェニルカーボネート10.1質量%。
:ジフェニルカーボネート94.0質量%、高沸点物質6.0質量%。
サイドカット成分中のサリチル酸フェニル、キサントン、メトキシ安息香酸フェニルの含有量はいずれも1ppm以下であり、1−フェノキシカルボニル−2−フェノキシカルボキシ−フェニレンは4ppmであった。また、ハロゲンの含有量は1ppb以下であった。このことから、サイドカットから得られたジフェニルカーボネートの純度は99.999%以上であることがわかった。また、この高純度ジフェニルカーボネートの生産量は、1時間あたり9.25トンであった。
この条件で長期間の連続運転を行った。500時間後、1000時間後、2000時間後のジフェニルカーボネートの生産量および純度は実質的に全く変わっていなかった。
本発明は、ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を原料とし、高品質・高性能ポリカーボネートの原料として使用可能な高純度のジアリールカーボネートを、1トン/hr以上の工業的規模で長期間安定的に製造できる具体的な方法として好適に利用できる。
本発明を実施する反応蒸留塔の例を示す概略図である。 本発明を実施する高沸点物質分離塔Aとジアリールカーボネート精製塔B、およびそれらを連結した連続分離・精製装置の例を示す概略図である。例示として、各連続多段蒸留塔の内部には所定の理論段数を有する規則充填物からなるインターナルが設置されている。 1:ガス抜出し口、 2:液抜出し口、 3:導入口、 4:導入口、 5:鏡板部、 6:インターナル、 L:胴部長さ(cm)、 D:胴部内径(cm)、 d:ガス抜出し口内径(cm)、 d:液抜出し口内径(cm)、 A1およびB1:導入口、 B2: 抜出し口、 11: 高沸点物質分離塔Aの塔底成分抜出し口、13および23:塔頂ガス抜出し口、 14,24,18,28,38:熱交換器、 15および25:還流液導入口、 16:高沸点物質分離塔Aの塔頂成分抜出し口、 17および27:塔底液抜出し口、 26:ジアリールカーボネート精製塔Bの塔頂成分抜出し口、 31:ジアリールカーボネート精製塔Bの塔底成分抜出し口、33:ジアリールカーボネート精製塔Bのサイドカット成分抜出し口

Claims (18)

  1. ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を原料とし、この原料を均一系触媒が存在する連続多段蒸留塔からなる反応蒸留塔内に連続的に供給し、該塔内でエステル交換反応と蒸留を同時に行い、生成するジアルキルカーボネートを含む低沸点反応混合物を塔上部よりガス状で連続的に抜出し、塔下部よりジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物を液状で連続的に抜出し、該高沸点反応混合物を高沸点物質分離塔Aに連続的に導入し、ジアリールカーボネートを含む塔頂成分(AT)と触媒を含む塔底成分(AB)に連続的に蒸留分離し、次いで該塔頂成分(AT)を、サイドカット抜き出し口を有するジアリールカーボネート精製塔Bに連続的に導入し、塔頂成分(BT)、サイドカット成分(BS)、塔底成分(BB)の3つの成分に連続的に蒸留分離することによって、高純度ジアリールカーボネートを製造するにあたり、
    (a)該反応蒸留塔が、下記式(1)−(6)を満足する、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nのインターナルを有する連続多段蒸留塔であって、塔頂部またはそれに近い塔の上部に内径d1(cm)のガス抜出し口、塔底部またはそれに近い塔の下部に内径d2(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部および/または中間部に1つ以上の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の下部に1つ以上の導入口を有するものであって、
    1500 ≦ L ≦ 8000 式(1)
    100 ≦ D ≦ 2000 式(2)
    2 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
    10 ≦ n ≦ 80 式(4)
    2 ≦ D/d1 ≦ 15 式(5)
    5 ≦ D/d2 ≦ 30 式(6)
    (b)該高沸点物質分離塔Aが、下記式(7)−(9)を満足する、長さLA(cm)、内径DA(cm)で、内部に段数nAのインターナルを有する連続多段蒸留塔であって、
    800 ≦ LA ≦ 3000 式(7)
    100 ≦ DA ≦ 1000 式(8)
    20 ≦ nA ≦ 100 式(9)
    (c)該ジアリールカーボネート精製塔Bが、下記式(10)−(15)を満足する、長さLB(cm)、内径DB(cm)で、内部にインターナルを有するものであって、塔の中段に導入口B1、該導入口B1と塔底との間にサイドカット抜き出し口B2を有し、導入口B1から上部のインターナルの段数がn1、導入口B1とサイドカット抜き出し口B2との間のインターナルの段数がn2、サイドカット抜き出し口B2から下部のインターナルの段数がn3で、段数の合計(n1+n2+n3)がnBである連続多段蒸留塔であって、
    1000 ≦ LB ≦ 5000 式(10)
    100 ≦ DB ≦ 1000 式(11)
    5 ≦ n1 ≦ 20 式(12)
    12 ≦ n2 ≦ 40 式(13)
    3 ≦ n3 ≦ 15 式(14)
    20 ≦ nB ≦ 70 式(15)
    (d)サイドカット成分(BS)として連続的に高純度ジアリールカーボネートを、1時間あたり1トン以上得る、
    ことを特徴とする、高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法。
  2. 塔底温度(TA)185〜280℃、塔頂圧力(PA)1000〜20000Paの条件下で該高沸点物質分離塔Aの蒸留操作を行い、塔底温度(TB)185〜280℃、塔頂圧力(PB)1000〜20000Paの条件下で該ジアリールカーボネート精製塔Bの蒸留操作を行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 該反応蒸留塔のL、D、L/D、n、がそれぞれ、2000≦L≦6000、 150≦D≦1000、 3≦L/D≦30、 15≦n≦60、であり、
    該高沸点物質分離塔AのLA、DA、nA がそれぞれ、1000≦LA≦2500、 200≦DA≦600、 30≦nA≦70 であり、
    該ジアリールカーボネート精製塔BのLB、DB、n1、n2、n3、nB がそれぞれ、1500≦LB≦3000、 150≦DB≦500、 7≦n1≦15、 12≦n2≦30、 3≦n3≦10、 25≦nB≦55であり、
    Aが190〜240℃、PAが2000〜15000Pa、TBが190〜240℃、PBが2000〜15000Paであることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 該反応蒸留塔、該高沸点物質分離塔A、該ジアリールカーボネート精製塔Bが、それぞれ該インターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることを特徴とする、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の方法。
  5. 該反応蒸留塔がインターナルとして充填物を上部に、トレイを下部に有する蒸留塔であり、該高沸点物質分離塔Aおよび該ジアリールカーボネート精製塔Bのインターナルが、それぞれ充填物であることを特徴とする、請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の方法。
  6. 該充填物が、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッドから選ばれた少なくとも一種の規則充填物であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 該反応蒸留塔の該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイであることを特徴とする、請求項4または5記載の方法。
  8. 該多孔板トレイが該多孔板部の面積1m2あたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cm2であることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
  10. ジアルキルカーボネートと芳香族モノヒドロキシ化合物とのエステル交換反応によって得られるアルキルアリールカーボネートを含む反応混合物を原料として導入する、均一系触媒が存在する連続多段蒸留塔からなる反応蒸留塔であって、該塔内でエステル交換反応と蒸留とを同時に行い、生成するジアルキルカーボネートを含む低沸点反応混合物を塔上部よりガス状で抜出し、塔下部よりジアリールカーボネートを含む高沸点反応混合物を液状で抜出す反応蒸留塔と、
    該高沸点反応混合物を導入し、ジアリールカーボネートを含む塔頂成分(AT)と触媒を含む塔底成分(AB)に蒸留分離する、該反応蒸留塔と連結した高沸点物質分離塔Aと、
    該高沸点物質分離塔Aと連結しており、該塔頂成分(AT)を、塔頂成分(BT)、サイドカット成分(BS)、塔底成分(BB)の3つの成分に蒸留分離するジアリールカーボネート精製塔Bと、
    を備える高純度ジアリールカーボネートの製造装置において、
    (a)該反応蒸留塔が、下記式(1)−(6)を満足する、長さL(cm)、内径D(cm)、内部に段数nのインターナルを有する連続多段蒸留塔であって、塔頂部またはそれに近い塔の上部に内径d1(cm)のガス抜出し口、塔底部またはそれに近い塔の下部に内径d2(cm)の液抜出し口、該ガス抜出し口より下部であって塔の上部および/または中間部に1つ以上の導入口、該液抜出し口より上部であって塔の下部に1つ以上の導入口を有し、
    1500 ≦ L ≦ 8000 式(1)
    100 ≦ D ≦ 2000 式(2)
    2 ≦ L/D ≦ 40 式(3)
    10 ≦ n ≦ 80 式(4)
    2 ≦ D/d1 ≦ 15 式(5)
    5 ≦ D/d2 ≦ 30 式(6)
    (b)該高沸点物質分離塔Aが、下記式(7)−(9)を満足する、長さLA(cm)、内径DA(cm)で、内部に段数nAのインターナルを有する連続多段蒸留塔であり、
    800 ≦ LA ≦ 3000 式(7)
    100 ≦ DA ≦ 1000 式(8)
    20 ≦ nA ≦ 100 式(9)
    (c)該ジアリールカーボネート精製塔Bが、下記式(10)−(15)を満足する、長さLB(cm)、内径DB(cm)で、内部にインターナルを有するものであって、塔の中段に導入口B1、該導入口B1と塔底との間にサイドカット抜き出し口B2を有し、導入口B1から上部のインターナルの段数がn1、導入口B1とサイドカット抜き出し口B2との間のインターナルの段数がn2、サイドカット抜き出し口B2から下部のインターナルの段数がn3で、段数の合計(n1+n2+n3)がnBである連続多段蒸留塔である、
    1000 ≦ LB ≦ 5000 式(10)
    100 ≦ DB ≦ 1000 式(11)
    5 ≦ n1 ≦ 20 式(12)
    12 ≦ n2 ≦ 40 式(13)
    3 ≦ n3 ≦ 15 式(14)
    20 ≦ nB ≦ 70 式(15)
    ことを特徴とする製造装置。
  11. 塔底温度(TA)185〜280℃、塔頂圧力(PA)1000〜20000Paの条件下で該高沸点物質分離塔Aの蒸留操作を行い、塔底温度(TB)185〜280℃、塔頂圧力(PB)1000〜20000Paの条件下で該ジアリールカーボネート精製塔Bの蒸留操作を行うことを特徴とする、請求項10記載の製造装置。
  12. 該反応蒸留塔のL、D、L/D、n、がそれぞれ、2000≦L≦6000、 150≦D≦1000、 3≦L/D≦30、 15≦n≦60、であり、
    該高沸点物質分離塔AのLA、DA、nA がそれぞれ、1000≦LA≦2500、 200≦DA≦600、 30≦nA≦70 であり、
    該ジアリールカーボネート精製塔BのLB、DB、n1、n2、n3、nB がそれぞれ、1500≦LB≦3000、 150≦DB≦500、 7≦n1≦15、 12≦n2≦30、 3≦n3≦10、 25≦nB≦55であり、
    Aが190〜240℃、PAが2000〜15000Pa、TBが190〜240℃、PBが2000〜15000Paであることを特徴とする、請求項10または11記載の製造装置。
  13. 該反応蒸留塔、該高沸点物質分離塔A、該ジアリールカーボネート精製塔Bが、それぞれ該インターナルとしてトレイおよび/または充填物を有する蒸留塔であることを特徴とする、請求項10ないし12のうち何れか一項に記載の製造装置。
  14. 該反応蒸留塔がインターナルとして充填物を上部に、トレイを下部に有する蒸留塔であり、該高沸点物質分離塔Aおよび該ジアリールカーボネート精製塔Bのインターナルが、それぞれ充填物であることを特徴とする、請求項10ないし13のうち何れか一項に記載の製造装置。
  15. 該充填物が、メラパック、ジェムパック、テクノパック、フレキシパック、スルザーパッキング、グッドロールパッキング、グリッチグリッドから選ばれた少なくとも一種の規則充填物であることを特徴とする、請求項14に記載の製造装置。
  16. 該反応蒸留塔の該トレイが多孔板部とダウンカマー部を有する多孔板トレイであることを特徴とする、請求項13または14に記載の製造装置。
  17. 該多孔板トレイが該多孔板部の面積1m2あたり100〜1000個の孔を有するものであることを特徴とする、請求項16に記載の製造装置。
  18. 該多孔板トレイの孔1個あたりの断面積が0.5〜5cm2であることを特徴とする、請求項16または17に記載の製造装置。
JP2006532776A 2004-09-03 2005-09-01 高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法 Active JP4292211B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004256518 2004-09-03
JP2004256518 2004-09-03
PCT/JP2005/015980 WO2006025478A1 (ja) 2004-09-03 2005-09-01 高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2006025478A1 JPWO2006025478A1 (ja) 2008-05-08
JP4292211B2 true JP4292211B2 (ja) 2009-07-08

Family

ID=36000127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006532776A Active JP4292211B2 (ja) 2004-09-03 2005-09-01 高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法

Country Status (8)

Country Link
US (1) US20080064846A1 (ja)
EP (1) EP1787976A4 (ja)
JP (1) JP4292211B2 (ja)
KR (1) KR100880141B1 (ja)
CN (1) CN101010285B (ja)
BR (1) BRPI0514693A (ja)
EA (1) EA012179B1 (ja)
WO (1) WO2006025478A1 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1762560A4 (en) * 2004-06-25 2008-05-07 Asahi Kasei Chemicals Corp PROCESS FOR PRODUCING AROMATIC CARBONATE AT THE INDUSTRIAL SCALE
KR100846332B1 (ko) 2004-07-13 2008-07-15 아사히 가세이 케미칼즈 가부시키가이샤 방향족 카보네이트류의 공업적 제조법
EP1783112B1 (en) 2004-08-25 2011-07-13 Asahi Kasei Chemicals Corporation Industrial process for production of high-purity diphenyl carbonate
EA010425B1 (ru) 2004-10-14 2008-08-29 Асахи Касеи Кемикалз Корпорейшн Способ получения диарилкарбоната высокой чистоты
EP2121563B1 (en) 2007-02-16 2016-05-04 SABIC Global Technologies B.V. Process for manufacturing dimethyl carbonate
IN2014DN07638A (ja) 2007-02-16 2015-07-10 Sabic Innovative Plastics Ip
DE102007055266A1 (de) 2007-11-20 2009-05-28 Bayer Materialscience Ag Verfahren zur Reinigung von Diarylcarbonaten
WO2023058681A1 (ja) 2021-10-05 2023-04-13 旭化成株式会社 高純度ジアリールカーボネートの製造方法

Family Cites Families (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AR204957A1 (es) 1974-06-25 1976-03-19 Snam Progetti Procedimiento para la preparacion de carbonatos aromatico
IT1015377B (it) 1974-06-25 1977-05-10 Snam Progetti Processo per la preparazione di carbonati aromatici
US4182726A (en) * 1974-06-25 1980-01-08 Snamprogetti, S.P.A. Process for the preparation of aromatic carbonates
IT1025961B (it) * 1974-11-25 1978-08-30 Snam Progetti Processo per la preparazione di carbonati aromatici
DE2736063A1 (de) * 1977-08-10 1979-02-22 Bayer Ag Verfahren zur herstellung aromatischer kohlensaeureester
US4410464A (en) * 1982-03-15 1983-10-18 General Electric Company Diaryl carbonate process
US4552704A (en) * 1983-12-27 1985-11-12 General Electric Company Process for the production of aromatic carbonates
US4554110A (en) * 1983-12-27 1985-11-19 General Electric Company Process for the preparation of aromatic carbonates
US4609501A (en) * 1983-12-27 1986-09-02 General Electric Company Process for the preparation of aromatic carbonates
CN1013195B (zh) * 1986-12-28 1991-07-17 化学工业部晨光化工研究院一分院 碳酸二苯酯的合成
KR940005956B1 (ko) * 1989-12-28 1994-06-25 아사히가세이고오교 가부시끼가이샤 방향족 카르보네이트의 연속 제조방법
JP3033062B2 (ja) * 1990-08-21 2000-04-17 旭化成工業株式会社 芳香族ポリカーボネートの製法
WO1992009357A1 (en) * 1990-11-29 1992-06-11 Nitto Denko Corporation Liquid-filtering film and filtering device using said film
DE4218061A1 (de) * 1992-06-01 1993-12-02 Bayer Ag Verfahren zur Herstellung von organischen Carbonaten mit mindestens einer aromatischen Estergruppe
DE4226756A1 (de) * 1992-08-13 1994-02-17 Bayer Ag Verfahren zur Herstellung von Dicarbonaten
DE4226755A1 (de) * 1992-08-13 1994-02-17 Bayer Ag Verfahren zur kontinuierlichen Herstellung von Diarylcarbonaten aus Dialkylcarbonaten
JP3865420B2 (ja) * 1995-10-17 2007-01-10 三菱化学株式会社 ジアリールカーボネート製造方法
IT1282363B1 (it) * 1996-01-16 1998-03-20 Enichem Spa Procedimento continuo per la preparazione di fenil metil carbonato
FI104658B (fi) * 1997-05-26 2000-03-15 Nokia Mobile Phones Ltd Kahden näytön näyttöjärjestely ja päätelaite
JP4112048B2 (ja) * 1997-09-16 2008-07-02 旭化成ケミカルズ株式会社 芳香族カーボネート類の製法
US6600061B1 (en) 2000-11-15 2003-07-29 General Electric Company Method for the continuous production of aromatic carbonates
EP1783112B1 (en) * 2004-08-25 2011-07-13 Asahi Kasei Chemicals Corporation Industrial process for production of high-purity diphenyl carbonate
EP1787977A4 (en) * 2004-09-02 2008-08-06 Asahi Kasei Chemicals Corp PROCESS FOR MANUFACTURING LARGE PURITY DIPHENYL CARBONATE WITH A COMMERCIAL SCALE
EA010425B1 (ru) * 2004-10-14 2008-08-29 Асахи Касеи Кемикалз Корпорейшн Способ получения диарилкарбоната высокой чистоты
JP4224514B2 (ja) * 2004-10-22 2009-02-18 旭化成ケミカルズ株式会社 高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
KR100880141B1 (ko) 2009-01-23
EP1787976A4 (en) 2008-08-13
EP1787976A1 (en) 2007-05-23
WO2006025478A1 (ja) 2006-03-09
JPWO2006025478A1 (ja) 2008-05-08
CN101010285B (zh) 2011-03-16
EA012179B1 (ru) 2009-08-28
EA200700546A1 (ru) 2007-10-26
KR20070047334A (ko) 2007-05-04
BRPI0514693A (pt) 2008-06-17
US20080064846A1 (en) 2008-03-13
CN101010285A (zh) 2007-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4292210B2 (ja) 高純度ジフェニルカーボネートの工業的製造方法
JP4292214B2 (ja) 高純度ジアリールカーボネートの製造方法
JP4224514B2 (ja) 高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法
JP4224103B2 (ja) 芳香族カーボネート類を工業的に製造する方法
JP4166258B2 (ja) 芳香族カーボネートの工業的製造法
JP4224104B2 (ja) 芳香族カーボネート類を工業的に製造する方法
JP4174540B2 (ja) 副生アルコール類の工業的分離方法
JP4224510B2 (ja) 芳香族カーボネート類の工業的製造法
JP4224511B2 (ja) 芳香族カーボネート類を工業的に製造する方法
JP4236205B2 (ja) 高純度ジフェニルカーボネートの工業的製造法
JP4174541B2 (ja) 副生アルコール類を工業的に分離する方法
JP4192195B2 (ja) 芳香族カーボネートの工業的製造方法
JP4292211B2 (ja) 高純度ジアリールカーボネートの工業的製造方法
JP4229395B2 (ja) 芳香族カーボネートの工業的製造方法
JP2007326782A (ja) 副生アルコール類の工業的分離装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080813

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20080813

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20080912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081003

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20081119

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090205

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20090313

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090331

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090406

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4292211

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120410

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120410

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130410

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130410

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140410

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350