以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(1)実施の形態1
本実施の形態では、第1及び第2のアンテナを用いて各アンテナから異なる変調信号を送信するにあたって、一方の変調信号についてのみ同一のデータを複数回送信することを提案する。この実施の形態では、異なる2系統のデータをそれぞれ変調することで2つの変調信号を形成し、この2つの変調信号をそれぞれ異なるアンテナから送信する。この際、一方のアンテナから送信する変調信号については、信号点配置の仕方を変えて同一のデータを複数回送信する。これにより、基本的には各アンテナから異なる変調信号を送信しているので時空間ブロック符号を用いた場合よりもデータ伝送速度を高く保ちつつ、複数回送信されたデータの誤り率特性を向上させることができるので結果として両系統(2系統)の誤り率特性を向上させることができる。
図2Aに、本発明の実施の形態1に係る通信装置から送信される変調信号のフレーム構成を示す。変調信号Aと変調信号Bは、異なるアンテナからそれぞれ送信される。変調信号A、Bは、それぞれ電波伝搬環境推定シンボル101、104を含む。電波伝搬環境推定シンボル101、104は、受信装置において電波伝搬環境を推定するための既知シンボルである。
102、103、105、106はデータシンボルを示す。変調信号Aの時点iのデータシンボル102(S1(i))と時点i+1のデータシンボル103(S1(i)’)は、互いに同一のデータをマッピング規則を変えて信号点配置して形成したものである。一方、変調信号Bの時点iのデータシンボル105(S2(i))と時点i+1のデータシンボル106(S2(i+1))は、互いに異なるデータを同一のマッピング規則に従って信号点配置したものである。すなわち、変調信号Bは一般的な変調信号であるのに対して、変調信号Aは同一のデータをマッピングパターンを変えて複数回送信するものである。
図2Bに示す送信アンテナ107からは変調信号Aが送信されると共に、送信アンテナ108からは変調信号Bの信号が送信される。そして受信アンテナ109、110では、それぞれ、伝搬路上で混ざり合った変調信号Aと変調信号Bの合成信号が受信される。
図3A〜図3Cに、変調信号Aについての信号点配置例を示す。図3Aは図2のシンボル102の信号点配置を示している。図3B及び図3Cは図2のシンボル103の信号点配置を示している。図3Bは、同一のデータを、図3Aの信号点配置に対して90°位相を回転させて配置した例である。また図3Cは、同一のデータを、図3Aの信号点配置に対して、45°位相を回転させて配置した例である。
図4に、本実施の形態における送信装置の構成例を示す。図4の送信装置は、符号化部302と、変調部304と、拡散部306と、無線部308と、電力増幅器310と、変調部314と、拡散部316と、無線部318と、電力増幅器320と、フレーム構成信号生成部323とから主に構成されている。
図4において、フレーム構成信号生成部323は、フレーム構成を示す信号フレーム構成信号324、例えばフレーム内のシンボルのいずれを送信するかを示す情報を出力する。符号化部302は、フレーム構成信号324に基づき、送信ディジタル信号301をシンボル単位で複数回(この実施の形態では2回)、符号化後のディジタル信号303として出力する。
変調部304は、符号化後のディジタル信号303、フレーム構成信号324を入力とし、送信直交ベースバンド信号305を拡散部306に出力する。この際、変調部304は、図3Aに示したように情報を所定の信号点配置でマッピングして変調し、次に図3B又図3Cに示したように同じ情報を前回と異なる信号点配置でマッピングして変調する。
拡散部306は、送信直交ベースバンド信号305拡散し、拡散後の送信直交ベースバンド信号307を無線部308に出力する。無線部308は、拡散後の送信直交ベースバンド信号307をベースバンド周波数から無線周波数に変換し、変換後の変調信号309を電力増幅器310に出力する。電力増幅器310は、変調信号309の電力を増幅し、増幅後の変調信号311を出力する。変調信号311は、アンテナ107から電波として出力される。
変調部314は、送信ディジタル信号313、フレーム構成信号324を入力とし、送信直交ベースバンド信号315を出力する。拡散部316は、送信直交ベースバンド信号315を拡散し、拡散後の送信直交ベースバンド信号317を出力する。
無線部318は、拡散後の送信直交ベースバンド信号317をベースバンド周波数から無線周波数に変換し、変換後の変調信号319を出力する。電力増幅器320は、変調信号319の電力を増幅し、増幅後の変調信号321を出力する。変調信号311は、アンテナ108から電波として出力される。
図5に、本実施の形態における図4の変調部304の構成例を示す。図5において、マッピング部X402は、符号化後のディジタル信号401、フレーム構成信号324を入力とし、図3Aのようのディジタル信号401をマッピングすることにより、第1のマッピングされた送信直交ベースバンド信号403を出力する。
マッピング部Y404は、符号化後のディジタル信号401、フレーム構成信号324を入力とし、図3B又は図3Cのようにマッピング部X402とは異なるマッピングパターンでディジタル信号401をマッピングすることにより、第2のマッピングされた送信直交ベースバンド信号405を出力する。
信号選択部407は、第1のマッピングされた送信直交ベースバンド信号403、第2のマッピングされた送信直交ベースバンド信号405、フレーム構成信号324を入力とし、フレーム構成信号に基づいて送信直交ベースバンド信号403又は405のいずれかを選択し、選択した送信直交ベースバンド信号408を出力する。
図6に、本実施の形態における受信装置の構成例を示す。無線部503は、アンテナ109で受信した受信信号502を入力とし、受信直交ベースバンド信号504を出力する。逆拡散部505は、受信直交ベースバンド信号504を入力とし、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506を出力する。
変調信号A伝送路推定部507は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506を入力とし、変調信号Aに含まれる電波伝搬環境推定シンボル101(図2A)に基づいて変調信号の伝送路変動(図2Bのh11(t))を推定し、推定結果を変調信号Aの伝送路推定信号508として出力する。同様に、変調信号B伝送路推定部509は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506を入力とし、変調信号Bに含まれる電波伝搬環境シンボル104(図2A)に基づいて変調信号Bの伝送路変動(図2Bのh21(t))を推定し、推定結果を変調信号Bの伝送路推定信号510として出力する。
無線部513は、アンテナ110で受信した受信信号512を入力とし、受信直交ベースバンド信号514を出力する。逆拡散部515は、受信直交ベースバンド信号514を入力とし、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号516を出力する。
変調信号A伝送路推定部517は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号516を入力とし、変調信号Aに含まれる電波伝搬環境推定シンボル101(図2A)に基づいて変調信号の伝送路変動(図2Bのh12(t))を推定し、推定結果を変調信号Aの伝送路推定信号518として出力する。同様に、変調信号B伝送路推定部519は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号516を入力とし、変調信号Bに含まれる電波伝搬環境シンボル104(図2A)に基づいて変調信号Bの伝送路変動(図2Bのh22(t))を推定し、推定結果を変調信号Bの伝送路推定信号520として出力する。
フレーム同期部521は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516を入力とし、各受信直交ベースバンド信号506、516に含まれる既知シンボル等に基づいてフレーム間での同期をとるためのフレーム構成信号522を形成し、これを出力する。
復調部523は、変調信号Aの伝送路推定信号508、518、変調信号Bの伝送路推定信号510、520、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516、フレーム構成信号522を入力とし、伝送路推定信号508、518、510、520及びフレーム構成信号522を用いて受信直交ベースバンド信号506、516を復調することにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を得、これを出力する。
図7に、復調部523の詳細構成を示す。復調部523は、変調信号A,B復調部608と変調信号B復調部610とを有する。
変調信号A、B復調部608は、変調信号Aの伝送路推定信号508、518、変調信号Bの伝送路推定信号510、520、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516、フレーム構成信号522を入力とし、伝送路推定信号508、518、510、520及びフレーム構成信号522を用いて受信直交ベースバンド信号506、516を復調することにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524及び変調信号Bの受信ディジタル信号525−1を得、これらを出力する。
変調信号B復調部610は、変調信号Aの伝送路推定信号508、518、変調信号Bの伝送路推定信号510、520、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516、フレーム構成信号522に加えて、変調信号A、B復調部608により得られた変調信号Aの受信ディジタル信号524を入力とし、これらを用いて変調信号Bについての受信ディジタル信号525−2を出力する。
図8に、復調部523の別の構成例を示す。図8では、図7と同様に動作するものについては同一符号を付した。
変調信号A、B復調部608は、変調信号Aの伝送路推定信号508、518、変調信号Bの伝送路推定信号510、520、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516、フレーム構成信号522を入力とし、伝送路推定信号508、518、510、520及びフレーム構成信号522を用いて受信直交ベースバンド信号506、516を復調することにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525−1、第1の軟判定値信号701及び第2の軟判定値信号702を得、これらを出力する。
変調信号B復調部703は、第1の軟判定値信号701、第2の軟判定値信号702及びフレーム構成信号522を入力とし、第1の軟判定値信号701及び第2の軟判定値信号702を復調することにより、変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を得、これを出力する。
次に本実施の形態の動作について説明する。
上述したように本実施の形態の送信装置300は、2つの変調信号A、Bをそれぞれアンテナから送信するにあたって、変調信号Aについてのみ、マッピングパターン(すなわち信号点配置の仕方)を変えて同一のデータを複数回送信する。これにより、時空間ブロック符号を用いる場合と比較すると、時空間ブロック符号では複数のアンテナで繰り返し同一情報を送信するのに対して、送信装置300は一方のアンテナからは同一情報を繰り返し送信せずに、他方のアンテナからのみ情報を繰り返し送信しているので、時空間ブロック符号を用いた場合よりもデータ伝送速度を高く保つことができる。
また受信装置500では、このような信号を受信することで、変調信号Aと変調信号Bを誤り率特性良く復調することができる。これについて順を追って詳しく説明する。
先ず、受信装置500は、電波伝搬環境推定シンボルを用いて、時間tにおける各変調信号の各アンテナ間でのチャネル変動h11(t)、h12(t)、h21(t)、h22(t)を推定する。時間iにおいてアンテナ109で受信した受信信号R1(i)、アンテナ110で受信した受信信号R2(i)と、時間iにおいてアンテナ107から送信された変調信号S1(i)、アンテナ108から送信された変調信号S2(i)との関係は、チャネル変動h11(i)、h12(i)、h21(i)、h22(i)を用いて次式で表すことができる。
同様に、時点i+1においては、次式の関係式が成り立つ。
(1)式の関係からS1(i)、S2(i)を得ることができると共に、(2)式の関係からS1(i)’、S2(i+1)を得ることができる。
ここで、図2Aの例のように、データシンボル102、105を送信する時間と、データシンボル103、106を送信する時間の差が小さい場合(図2Aの例では、「1」の時間しか差がない)には、h11(i)≒h11(i+1)、h12(i)≒h12(i+1)、h21(i)≒h21(i+1)、h22(i)≒h22(i+1)が成立する。
従って、このような場合には、(1)式と(2)式の行列はほぼ等しい行列となるが、(S1(i),S2(i))のベクトルと(S1(i)’,S2(i+1))のベクトルが異なるため、復調して得られるデータの確からしさが異なることになる。特に、文献“A simple transmit diversity technique for wireless communications,”IEEE Journal on Select Areas in Communications, pp.1451-1458, vol.16, no.8, October 1998で示されている尤度検波(Likelihood Detection)を用いた際、データの確からしさの差が大きくなる。
このときの、時間iと時間i+1の受信信号における候補信号点の変化の一例を、図52A、図52Bに示す。図52Aは時間iの受信信号における候補信号点の配置を示し、図52Bは時間i+1の受信信号における候補信号点の配置を示す。このように、本実施の形態においては、候補信号点の配置が時間iと時間i+1で異なるため、時間iでの受信品質と時間i+1での受信品質が異なることになる。これにより、ダイバーシチ効果を得ることができる。なお、図52A、図52Bの詳細については、後で説明する。
本実施の形態の送信装置300及び受信装置500では、この特性を利用し、受信データの品質を向上させるようになされている。
具体的に説明する。送信装置300では、上述したように、同一の送信データを時間iと時間i+1での信号点配置が変化するように変調して変調信号A(S1(i)、S1(i)’)を形成し、これを異なるアンテナを使って変調信号B(S2(i)、S2(i+1))と同時に送信する。これにより、受信側では、時間iにおいては変調信号S1(i)と変調信号S2(i)が混ざり合った信号から変調信号S1(i)と変調信号S2(i)とを分離復調することになり、一方、時間i+1においては変調信号S1(i)’と変調信号S2(i+1)が混ざり合った信号から変調信号S1(i)’と変調信号S2(i+1)とを分離復調することになる。
ここで変調信号Aの信号点配置を時間iと時間i+1で変えているので、時間iでの上記混ざり合った信号の信号点位置と、時間i+1での上記混ざり合った信号の信号点位置も異なるものとなり、この結果それらを分離復調したときの受信データの誤り率も異なるものとなる。
本実施の形態の受信装置500では、時間iでの受信品質の方が良い場合には、変調信号Aの復調結果として変調信号S1(i)を復調したものを用いる。すなわち変調信号S1(i)’の復調結果としてもS1(i)の復調結果を用いる。そして、受信品質の良い変調信号S2(i)は、変調信号S1(i)と変調信号S2(i)が混ざり合った信号から通常の分離復調によって復調する。これに対して受信品質の悪い変調信号S2(i+1)は、受信品質の悪い変調信号S1(i)’に置き換えて、受信品質の良い変調信号S1(i)の復調結果を用いて、復調するようになっている。
一方、時間i+1での受信品質の方が良い場合には、変調信号Aの復調結果として変調信号S1(i)’を復調したものを用いる。すなわち変調信号S1(i)の復調結果としてもS1(i)’の復調結果を用いる。そして、受信品質の良い変調信号S2(i+1)は、変調信号S1(i)’と変調信号S2(i+1)が混ざり合った信号から通常の分離復調によって復調する。これに対して受信品質の悪い変調信号S2(i)は、受信品質の悪い変調信号S1(i)に置き換えて、受信品質の良い変調信号S1(i)’の復調結果を用いて、復調するようになっている。
このように、復調精度の良い時間の変調信号Aの復調結果を用いることにより、変調信号Aの復調時の誤り率特性を向上させることができると共に、復調精度の良い時間の変調信号Aの復調結果を用いて変調信号Bの復調を行うことにより、変調信号Bの復調時の誤り率特性も向上させることができるようになる。
受信装置300の具体的な復調(復号)手順は、以下の通りである。
<1>時間iの検波を行い、(S1(i),S2(i))を得る。
<2>時間i+1の検波を行い、(S1(i)’,S2(i+1))を得る。
<3>時間i及び時間i+1の受信品質を比較する。
時間iの受信品質の方が良い場合、時間iの検波で得た(S1(i),S2(i))のデータをそのまま使う。そしてS2(i+1)のデータは、時間iの検波で得られたS1(i)から時間i+1のS1(i)’を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
これに対して、時間i+1の受信品質の方が良い場合には、時間i+1の検波で得た(S1(i)’,S2(i+1))のデータをそのまま使う。そしてS2(i)のデータは、時間i+1の検波で得られたS1(i)’から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
受信装置500においては、復調部523でこのような復調処理を行うことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を得る。
この復調処理について、さらに詳しく説明する。
この実施の形態の例では、変調信号A、変調信号BがともにQPSK変調された信号なので、同一時間に、変調信号Aで2ビット、変調信号Bで2ビットの計4ビットが送信可能である。つまり、0000,0001,・・・・,1111が送信可能である。ただし、上位2ビットは変調信号Aで送信された2ビット、下位2ビットは変調信号Bで送信された2ビットとする。
先ず、復調部523の全体的な動作を説明する。
復調部523は、先ず、時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号508、変調信号Bの伝送路推定信号510を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。その信号点の様子を、図14の符号1302で示す。また復調部523は、逆拡散部505から受信直交ベースバンド信号506として、図14の符号1301に示すような信号点の信号を入力する。次に、復調部523は、図14の符号1302の示した全ての信号点に関して、I−Q平面における信号点1301との例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0001(i)、・・・・、X1111(i)を求める。
同様に、復調部523は、時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号518、変調信号Bの伝送路推定信号520を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。その信号点の様子を、図14の符号1302で示す。また復調部523は、逆拡散部515から受信直交ベースバンド信号516として、図14の符号1301に示すような信号点の信号を入力する。次に、復調部523は、図14の符号1302で示す全ての信号点に関して、I−Q平面における信号点1301との距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0001(i)、・・・・、Y1111(i)を求める。
次に、復調部523は、X0000(i)とY0000(i)の和Z0000(i)=X0000(i)+Y0000(i)を求め、同様にしてZ0001(i)、・・・、Z1111(i)を求める。復調部523は、同様にして、時間i+1についてもZ0000(i+1)、Z0001(i+1)、・・・、Z1111(i+1)を求める。
次に、復調部523は、時間iと時間i+1との受信データの確からしさの比較を行う。
例えば、Z0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
同様に、Z0000(i+1)、Z0001(i+1)、・・・、Z1111(i+1)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i+1)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i+1)とする。
そして、例えば、R(i)=F(i)/S(i)、および、R(i+1)=F(i+1)/S(i+1)を求める。
復調部523は、R(i+1)>R(i)のとき、時間iの方が受信品質が良いと判断し、F(i)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間iで得た2ビットを時間i及び時間i+1での受信データとする。また変調信号Bについては、時間iで送信された2ビットとしては時間iで得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間i+1で送信された2ビットは時間i+1での変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、Z0000(i+1)、Z0001(i+1)、Z0010(i+1)、Z0011(i+1)の中から最も値が小さくなるものを探索することで、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、Z0100(i+1)、Z0101(i+1)、Z0110(i+1)、Z0111(i+1)の中から最も値が小さくなるものを探索することで、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
復調部523は、R(i)>R(i+1)のとき、時間i+1の方が受信品質が良いと判断し、F(i+1)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間i+1で得た2ビットを時間i及び時間i+1での受信データとする。また変調信号Bについては、時間i+1で送信された2ビットとしては時間i+1で得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間iで送信された2ビットは時間iでの変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、Z0000(i)、Z0001(i)、Z0010(i)、Z0011(i)の中から最も値が小さくなるものを探索することで、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、Z0100(i)、Z0101(i)、Z0110(i)、Z0111(i)の中から最も値が小さくなるものを探索することで、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
次に、復調部523を、図7や図8のように構成した場合の動作について説明する。
復調部523を図7に示すように構成した場合、変調信号A,B復調部608は、上記のように、時間i及び時間i+1において変調信号Aで送信されたデータのうち、受信品質の良い方の時間の信号から復調したものを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また、上記のように、受信品質の良い時間の変調信号Bで送信されたデータを変調信号Bの受信ディジタル信号525−1として出力する。
変調信号B復調部610は、上記のように、受信品質の良い変調信号Aの受信ディジタル信号524を入力し、これを利用することで受信品質の悪い時間の変調信号Bを復調することにより、品質の良い変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を得て、これを出力する。
また復調部523を図8に示すように構成した場合、変調信号A,B復調部608は、上記のように、時間i及び時間i+1において変調信号Aで送信されたデータのうち、受信品質の良い時間の信号から復調したものを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また変調信号A,B復調部608は、第1の軟判定値信号701として、Z0000(i)、・・・、Z1111(i)を出力すると共に、第2の軟判定値信号702としてZ0000(i+1)、・・・、Z1111(i+1)を出力する。また変調信号A,B復調部608は、時間i又は時間i+1いずれかの変調信号Bの受信ディジタル信号525−1を出力する。
変調信号B復調部703は、第1の軟判定値信号701であるZ0000(i)、・・・、Z1111(i)と第2の軟判定値信号702であるZ0000(i+1)、・・・、Z1111(i+1)を入力とし、上記のように、時間iと時間i+1の受信品質を基に、変調信号Bの復調を行うことにより、受信ディジタル信号525−1を得た変調信号Bとは異なる時間の変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を得て、これを出力する。
かくして本実施の形態によれば、それぞれ異なるアンテナから送信する変調信号A、Bのうち、変調信号Aは同一のデータを信号点配置の仕方を変えて複数回変調して形成すると共に、変調信号Bは同一のデータを信号点配置の仕方を変えて複数回変調することなく時系列のデータを順次変調して形成する(すなわち通常の変調を施して形成する)ようにしたことにより、時空間ブロック符号を用いた場合よりもデータ伝送速度を高く保ちつつ、複数回送信されたデータ系列の誤り率特性を向上させることができるので結果として両系統(2系統)の誤り率特性を向上させることができるようになる。
実際には受信側では、受信品質の良い時間の受信信号を基に得た変調信号Aの復調結果を変調信号Aの受信ディジタル信号とすると共に、既に判定した受信品質の良い時間の変調信号Aの受信ディジタル信号を利用して受信品質の悪い時間の受信信号から当該受信品質の悪い時間に受信された変調信号Bの受信ディジタル信号を得るようにしたことにより、受信品質の悪い時間に受信された変調信号Bの誤り率特性も向上させることができる。
さらに、変調方式としてQPSKを採用する場合には、変調信号Aについては、同一データから、互いに45°の位相差をもつQPSK変調信号を形成し、これらを送信すれば、時間iと時間i+1で最小ユークリッド距離が大きな状態を得ることができるので、一段と誤り率特性を向上させることができるようになる。
(1−1)変形例1
なお上述した例では、送信装置300によって送信するフレーム構成を、図2Aのようにした場合について説明したが、送信するフレーム構成を、図9に示すようにしてもよい。図9のフレーム構成が図2Aのフレーム構成と異なる点は、変調信号Aにおいて同一データを変調した信号S1(i)を送信する時間の差を、図2Aの場合には小さくしたのに対して、図9では非常に大きくしている点である。
これにより、時間iと時間jとでは、電波伝搬環境が全く異なるようになる。これを考慮して、図9の場合には時間jで送信する変調信号Aの信号点配置を、時間iで送信する変調信号Aの信号点配置と同じにしている。これは、敢えて変調信号Aの信号点配置を変えなくても、時間iと時間jの受信品質は、電波伝搬環境の違いにより、ある程度異なるものになると考えたためである。
この結果、受信品質の良い時間の受信信号を基に得た変調信号Aの復調結果を変調信号Aの受信ディジタル信号とすると共に、既に判定した受信品質の良い時間の変調信号Aの受信ディジタル信号を利用して受信品質の悪い時間の受信信号から当該受信品質の悪い時間に受信された変調信号Bの受信ディジタル信号を得るようにすれば、図2Aのフレーム構成の信号を送信した場合と同様に、受信品質の悪い時間に受信された変調信号Bの誤り率特性も向上させることができる。
具体的に説明する。時間iにおいて、上記(1)式が成立する。同様に、時間jにおいて、次式の関係が成り立つ。
(3)式におけるh11(j)、h12(j)、h21(j)、h22(j)は、受信装置500において、例えば図9の電波伝搬環境推定シンボル801、803を用いて推定する。ここで、時間iと時間jでは、電波伝搬環境が異なるので、h11(i)≠h11(j)、h12(i)≠h12(j)、h21(i)≠h21(j)、h22(i)≠h22(j)が成立する。従って、時間iと時間jでの受信品質は全く異なることになる。
以上を考慮し、時間iと時間jのI−Q平面における信号点配置について説明する。
変調信号AのI−Q平面における信号点配置の一例を、図3A〜図3Cに示す。図9に示すフレーム構成を採った場合、時間iと時間jの信号点配置は、共に図3Aでもよいし、時間iでは図3A、時間jでは図3Bのように異なっていてもよい。これは、図2Aのフレーム構成のときとは異なり、時間iと時間jとでは電波伝搬環境が異なるため、時間iと時間jで、敢えて信号点配置を変えなくても、時間iと時間jとで受信品質が異なるようになるためである。
以下では、復号化の手順について詳しく説明するが、図2Aのフレーム構成の動作と同様に考えることができる。つまり、時間i+1の動作を時間jに置き換えて考えればよい。
<1>時間iの検波を行い、(S1(i),S2(i))を得る。
<2>時間jの検波を行い、(S1(i),S2(j))を得る。
<3>時間i及び時間jの受信品質を比較する。
時間iの受信品質の方が良い場合、時間iの検波で得た(S1(i),S2(i))のデータをそのまま使う。そしてS2(j)のデータは、時間iの検波で得られたS1(i)から時間jのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
これに対して、時間jの受信品質の方が良い場合、時間jの検波で得た(S1(i),S2(j))のデータをそのまま使う。そして、S2(i)のデータは、時間jの検波で得られたS1(i)から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
受信装置500においては、復調部523でこのような復調処理を行うことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を得る。
なお図9のフレーム構成の送信信号を受信した際の復調部523での詳細な動作は、上述した時間i+1の動作を時間jに置き換えて考えればよいだけなので、省略する。ただし、上述した時間i+1と時間jでの処理においては、時間i+1では図2Aの電波伝搬環境推定シンボル101、104を用いて得た信号点(候補信号点)に基づいて時間i+1でのデータの確からしさを判定したのに対して、時間jでは図9の電波伝搬環境推定シンボル801、803を用いて得た信号点(候補信号点)に基づいて時間jでのデータの確からしさを判定する点が異なる。
(1−2)変形例2
ここでは、送信装置300によって送信するフレーム構成を、図10Aや図10Bのようにした場合について説明する。
図10Aのフレーム構成は、要するに、図2Aのフレーム構成では変調信号Aで同一のデータを信号点配置の仕方を変えて連続して2回送信したのに対して、変調信号Aで同一のデータを信号点配置の仕方を変えて連続して3回送信するようにしたものである。
また図10Bのフレーム構成は、要するに、図9のフレーム構成では変調信号Aで同一のデータを信号点配置の仕方を変えずに離れた時間で2回送信したのに対して、変調信号Aで同一のデータを信号点配置の仕方を変えずに離れた時間で3回送信するようにしたものである。
先ず、図10Aのフレーム構成を採った場合について説明する。
時間i、i+1の状態については、図2Aのフレーム構成の際の説明と同様である。時間i+2において、次式の関係が成り立つ。
時間iから時間i+2までの時間は短いので、h11(i)≒h11(i+1)≒h11(i+2)、h12(i)≒h12(i+1)≒h12(i+2)、h21(i)≒h21(i+1)≒h21(i+2)、h22(i)≒h22(i+1)≒h22(i+2)が成立する。
(1)式の関係からS1(i)、S2(i)を得ることができ、また(2)式の関係からS1(i)’、S2(i+1)を得ることができ、(4)式の関係からS1(i)”、S2(i+2)を得ることができる。
このとき、(1)式、(2)式及び(4)式の行列は、ほぼ等しい行列であるが、S1(i)、S1(i)’及びS1(i)”の信号点を変えているので、(S1(i),S2(i))のベクトルと(S1(i)’,S2(i+1))のベクトルと(S1(i)”,S2(i+2))のベクトルが異なるため、各時間i〜i+2で得られるデータの確からしさが異なることになる。この際、例えば、時間iのS1(i)は図11Aの信号点配置に、時間i+1のS1(i)’は図11Bの信号点配置に、時間i+2のS1(i)”は図11Cの信号点配置にする。このように、同一データの変調信号S1(i)、S1(i)’、S1(i)”の信号点配置の仕方を異なるようにすることで、各時間i〜i+2で得られるデータの確からしさを効率よく変化させることができる。
図10Aのフレーム構成の送信信号は、図4に示す構成の送信装置300によって形成することができる。変調信号304を、図5の変調部304の構成に、マッピング部Z(図示せず)を追加した構成を採ればよい。そして、追加したマッピング部Zにおいて、時間i+2のマッピングを行うようにすればよい。
図10Aのフレーム構成の信号を受信した際の、受信装置300の具体的な復調(復号)手順は、以下の通りである。
<1>時間iの検波を行い、(S1(i),S2(i))を得る。
<2>時間i+1の検波を行い、(S1(i)’,S2(i+1))を得る。
<3>時間i+2の検波を行い、(S1(i)”,S2(i+2))を得る。
<4>時間i、時間i+1及び時間i+2の受信品質を比較する。
時間i、時間i+1及び時間i+2の中で、時間iの受信品質が最も良い場合、時間iの検波で得た(S1(i),S2(i))のデータをそのまま使う。そしてS2(i+1)のデータは、時間iの検波で得られたS1(i)から時間i+1のS1(i)’を推定し、その結果を利用することで得るようにする。またS2(i+2)のデータは、時間iの検波で得られたS1(i)から時間i+2のS1(i)”を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
また、時間i+1の受信品質が最も良い場合、時間i+1の検波で得た(S1(i)’,S2(i+1))のデータをそのまま使う。そしてS2(i)のデータは、時間i+1の検波で得られたS1(i)’から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。またS2(i+2)のデータは、時間i+1の検波で得られたS1(i)’から時間i+2のS1(i)”を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
さらに、時間i+2の受信品質が最も良い場合、時間i+2の検波で得た(S1(i)”,S2(i+2))のデータをそのまま使う。そしてS2(i)のデータは、時間i+2の検波で得られたS1(i)”から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。またS2(i+1)のデータは、時間i+2の検波で得られたS1(i)”から時間i+1のS1(i)’を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
受信装置500においては、復調部523でこのような復調処理を行うことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を得る。
この復調処理について、さらに詳しく説明する。
変調信号A、変調信号BがともにQPSK変調された信号の場合、同一時間に、変調信号Aで2ビット、変調信号Bで2ビットの計4ビットが送信可能である。つまり、0000,0001,・・・・,1111が送信可能である。ただし、上位2ビットは変調信号Aで送信された2ビット、下位2ビットは変調信号Bで送信された2ビットとする。
先ず、復調部523の全体的な動作を説明する。
復調部523は、先ず、図10Aの時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号508、変調信号Bの伝送路推定信号510を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。その信号点の様子を、図14の符号1302で示す。また復調部523は、逆拡散部505から受信直交ベースバンド信号506として、図14の符号1301に示すような信号点の信号を入力する。次に、復調部523は、図14の符号1302で示す全ての信号点に関して、I−Q平面における信号点1301との例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0001(i)、・・・・、X1111(i)を求める。
同様に、復調部523は、図10Aの時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号518、変調信号Bの伝送路推定信号520を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。その信号点の様子を、図14の符号1302で示す。また復調部523は、逆拡散部515から受信直交ベースバンド信号516として、図14の符号1301に示すような信号点の信号を入力する。次に、復調部523は、図14の符号1302で示す全ての信号点に関して、I−Q平面における信号点1301との距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0001(i)、・・・・、Y1111(i)を求める。
次に、復調部523は、X0000(i)とY0000(i)の和Z0000(i)=X0000(i)+Y0000(i)を求め、同様にしてZ0001(i)、・・・、Z1111(i)を求める。復調部523は、同様にして、時間i+1についてもZ0000(i+1)、Z0001(i+1)、・・・、Z1111(i+1)を求める。また時間i+2についてもZ0000(i+2)、Z0001(i+2)、・・・、Z1111(i+2)を求める。
次に、復調部523は、時間iと時間i+1と時間i+2との受信データの確からしさの比較を行う。
例えば、Z0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
同様に、Z0000(i+1)、Z0001(i+1)、・・・、Z1111(i+1)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i+1)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i+1)とする。
同様に、Z0000(i+2)、Z0001(i+2)、・・・、Z1111(i+2)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i+2)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i+2)とする。
そして、例えば、R(i)=F(i)/S(i)、R(i+1)=F(i+1)/S(i+1)、及び、R(i+2)=F(i+2)/S(i+2)を求める。以上の値を用いて、時間i、時間i+1、時間i+2の受信品質を推定する。
時間iの受信品質が最も良いと判断した場合、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間iで得た2ビットを時間i、時間i+1、時間i+2での受信データとする。また変調信号Bについては、時間iで送信された2ビットとしては時間iで得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間i+1、i+2で送信された2ビットは時間i+1、i+2での変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。
また、時間i+1の受信品質が最も良いと判断した場合、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間i+1で得た2ビットを時間i、時間i+1、時間i+2での受信データとする。また変調信号Bについては、時間i+1で送信された2ビットとしては時間i+1で得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間i、i+2で送信された2ビットは時間i、i+2での変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。
さらに、時間i+2の受信品質が最も良いと判断した場合、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間i+2で得た2ビットを時間i、時間i+1、時間i+2での受信データとする。また変調信号Bについては、時間i+2で送信された2ビットとしては時間i+2で得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間i、i+1で送信された2ビットは時間i、i+1での変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。
このような処理を行うための復調部523の詳細構成例を、図12に示す。図12の変調信号A,B復調部608は、上記のように、時間i、時間i+1及び時間i+2において変調信号Aで送信されたデータのうち、受信品質の最も良い時間の信号から復調したものを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また変調信号A,B復調部608は、第1の軟判定値信号701として、Z0000(i)、・・・、Z1111(i)を、第2の軟判定値信号702としてZ0000(i+1)、・・・、Z1111(i+1)を、第3の軟判定値信号1101としてZ0000(i+2)、・・・、Z1111(i+2)を出力する。また変調信号A,B復調部608は、時間i、時間i+1又は時間i+2いずれかの変調信号Bの受信ディジタル信号525−1を出力する。
変調信号B復調部703は、第1の軟判定値信号701であるZ0000(i)、・・・、Z1111(i)と、第2の軟判定値信号702であるZ0000(i+1)、・・・、Z1111(i+1)と、第3の軟判定値信号1101であるZ0000(i+2)、・・・、Z1111(i+2)とを入力とし、上記のように、時間iと時間i+1と時間i+2の受信品質を基に、変調信号Bの復調を行うことにより、受信ディジタル信号525−1を得た変調信号Bとは異なる時間の変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を得て、これを出力する。
このように、図10Aに示すようなフレーム構成を用いた場合には、図2Aに示すようなフレーム構成を用いた場合と比較して、受信品質の最も良い時間を、より多くの時間の中から選ぶことができるようになるので、一段と誤り率特性の良い変調信号A、Bの復調データを得ることができるようになる。
なおここでは、図10Aに示すように、同一データを信号点配置を変えて連続した3シンボルS1(i)、S1(i)’、S1(i)”で送信した場合について説明したが、これに限ったものではなく、要は、短い時間間隔で同一データの変調信号を複数回送信する際には、同一データの変調信号の信号点配置を変えることにより、各時間での受信品質を変化させるようにすればよい。つまり、時間i、i+1、i+2で送信した変調信号を、時間i、i+n、i+mで送信するようにしてもよい。このとき、h11(i)≒h11(i+n)≒h11(i+m)、h12(i)≒h12(i+n)≒h12(i+m)、h21(i)≒h21(i+n)≒h21(i+m)、h22(i)≒h22(i+n)≒h22(i+m)の関係が成立すると効果的である。この場合には、上述した時間i+1の動作を時間i+nの動作として、時間i+2の動作を時間i+mとして考えれば同様に実施することができる。
次に、図10Bのフレーム構成を採った場合について説明する。
また図10Bのフレーム構成は、上述したように、要するに、図9のフレーム構成では変調信号Aで同一のデータを信号点配置を変えずに離れた時間で2回送信したのに対して、変調信号Aで同一のデータを信号点配置を変えずに離れた時間で3回送信するようにしたものである。
時間i、jの状態については、図9のフレーム構成の際の説明と同様である。時間kにおいて、次式の関係が成り立つ。
ここで、時間iとjとkは、電波伝搬環境が異なるような時間であるため、h11(i)≠h11(j)≠h11(k)、h12(i)≠h12(j)≠h12(k)、h21(i)≠h21(j)≠h21(k)、h22(i)≠h22(j)≠h22(k)が成立する。従って、時間iとjとkでの受信品質は全く異なることになる。これを考慮して、図10Bの場合には時間j及び時間kで送信する変調信号Aの信号点配置を、時間iで送信する変調信号Aの信号点配置と同じにしている。これは、敢えて変調信号Aの信号点配置を変えなくても、時間iと時間jと時間kの受信品質は、電波伝搬環境の違いにより、ある程度異なるものになると考えたためである。
変調信号AのI−Q平面における信号点配置の一例を、図11A〜図11Cに示す。図10Bに示すフレーム構成を採った場合、時間i、j、kの信号点配置は、全て図11Aでもよいし、時間iでは図11A、時間jでは図11B、時間kでは図11Cのように異なるようにしてもよい。これは、時間i、j、kでは電波伝搬環境が異なるため、各時間で、敢えて信号点配置を変えなくても、各時間の受信品質が異なるようになるためである。
図10Bのフレーム構成の信号を受信した際の、受信装置300の具体的な復調(復号)手順は、以下の通りである。
<1>時間iの検波を行い、(S1(i),S2(i))を得る。
<2>時間jの検波を行い、(S1(i),S2(j))を得る。
<3>時間kの検波を行い、(S1(i),S2(k))を得る。
<4>時間i、時間j及び時間kの受信品質を比較する。
時間i、時間j及び時間kの中で、時間iの受信品質が最も良い場合、時間iの検波で得た(S1(i),S2(i))のデータをそのまま使う。そしてS2(j)のデータは、時間iの検波で得られたS1(i)から時間jのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。またS2(k)のデータは、時間iの検波で得られたS1(i)から時間kのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
また、時間jの受信品質が最も良い場合、時間jの検波で得た(S1(i),S2(j))のデータをそのまま使う。そしてS2(i)のデータは、時間jの検波で得られたS1(i)から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。またS2(k)のデータは、時間jの検波で得られたS1(i)から時間kのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
さらに、時間kの受信品質が最も良い場合、時間kの検波で得た(S1(i),S2(k))のデータをそのまま使う。そしてS2(i)のデータは、時間kの検波で得られたS1(i)から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。またS2(j)のデータは、時間kの検波で得られたS1(i)から時間jのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
受信装置500においては、復調部523でこのような復調処理を行うことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を得る。
この復調処理について、さらに詳しく説明する。
変調信号A、変調信号BがともにQPSK変調された信号の場合、同一時間に、変調信号Aで2ビット、変調信号Bで2ビットの計4ビットが送信可能である。つまり、0000,0001,・・・・,1111が送信可能である。ただし、上位2ビットは変調信号Aで送信された2ビット、下位2ビットは変調信号Bで送信された2ビットとする。
先ず、復調部523の全体的な動作を説明する。
復調部523は、先ず、図10Bの時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号508、変調信号Bの伝送路推定信号510を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。その信号点の様子を、図14の符号1302で示す。また復調部523は、逆拡散部505から受信直交ベースバンド信号506として、図14の符号1301に示すような信号点の信号を入力する。次に、復調部523は、図14の符号1302で示す全ての信号点に関して、I−Q平面における信号点1301との例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0001(i)、・・・・、X1111(i)を求める。
同様に、復調部523は、図10Bの時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号518、変調信号Bの伝送路推定信号520を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。その信号点の様子を、図14の符号1302で示す。また復調部523は、逆拡散部515から受信直交ベースバンド信号516として、図14の符号1301に示すような信号点の信号を入力する。次に、復調部523は、図14の符号1302で示す全ての信号点に関して、I−Q平面における信号点1301との距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0001(i)、・・・・、Y1111(i)を求める。
次に、復調部523は、X0000(i)とY0000(i)の和Z0000(i)=X0000(i)+Y0000(i)を求め、同様にしてZ0001(i)、・・・、Z1111(i)を求める。復調部523は、同様にして、時間jについてもZ0000(j)、Z0001(j)、・・・、Z1111(j)を求める。また時間kについてもZ0000(k)、Z0001(k)、・・・、Z1111(k)を求める。
次に、復調部523は、時間iと時間jと時間kとの受信データの確からしさの比較を行う。
例えば、Z0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
同様に、Z0000(j)、Z0001(j)、・・・、Z1111(j)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(j)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(j)とする。
同様に、Z0000(k)、Z0001(k)、・・・、Z1111(k)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(k)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(k)とする。
そして、例えば、R(i)=F(i)/S(i)、R(j)=F(j)/S(j)、及び、R(k)=F(k)/S(k)を求める。以上の値を用いて、時間i、時間j、時間kの受信品質を推定する。
時間iの受信品質が最も良いと判断した場合、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間iで得た2ビットを時間i、時間j、時間kでの受信データとする。また変調信号Bについては、時間iで送信された2ビットとしては時間iで得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間j、kで送信された2ビットは時間j、kでの変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。
また、時間jの受信品質が最も良いと判断した場合、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間jで得た2ビットを時間i、時間j、時間kでの受信データとする。また変調信号Bについては、時間jで送信された2ビットとしては時間jで得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間i、kで送信された2ビットは時間i、kでの変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。
さらに、時間kの受信品質が最も良いと判断した場合、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間kで得た2ビットを時間i、時間j、時間kでの受信データとする。また変調信号Bについては、時間kで送信された2ビットとしては時間kで得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間i、jで送信された2ビットは時間i、jでの変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。
このような処理を行うための復調部523の詳細構成例を、図12に示す。図12の変調信号A,B復調部608は、上記のように、時間i、時間j及び時間kにおいて変調信号Aで送信されたデータのうち、受信品質の最も良い時間の信号から復調したものを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また変調信号A,B復調部608は、第1の軟判定値信号701として、Z0000(i)、・・・、Z1111(i)を、第2の軟判定値信号702としてZ0000(j)、・・・、Z1111(j)を、第3の軟判定値信号1101としてZ0000(k)、・・・、Z1111(k)を出力する。また変調信号A,B復調部608は、時間i、時間j又は時間kいずれかの変調信号Bの受信ディジタル信号525−1を出力する。
変調信号B復調部703は、第1の軟判定値信号701であるZ0000(i)、・・・、Z1111(i)と、第2の軟判定値信号702であるZ0000(j)、・・・、Z1111(j)と、第3の軟判定値信号1101であるZ0000(k)、・・・、Z1111(k)とを入力とし、上記のように、時間iと時間jと時間kの受信品質を基に、変調信号Bの復調を行うことにより、受信ディジタル信号525−1を得た変調信号Bとは異なる時間の変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を得て、これを出力する。
このように、図10Bに示すようなフレーム構成を用いた場合には、図9に示すようなフレーム構成を用いた場合と比較して、受信品質の最も良い時間を、より多くの時間の中から選ぶことができるようになるので、一段と誤り率特性の良い変調信号A、Bの復調データを得ることができるようになる。
(1−3)変形例3
ここでは、送信装置300によって送信するフレーム構成を、図2Aに換えて図13に示すようにする例を挙げる。図13のフレーム構成が図2Aのフレーム構成と異なる点は、変調信号Aにおいて同一データを変調した信号S1(i)とS1(i)’を送信する時間の差を、図2Aの場合には「1」としたのに対して、図13では「n」とした点である。
ここで、h11(i)≒h11(i+n)、h12(i)≒h12(i+n)、h21(i)≒h21(i+n)、h22(i)≒h22(i+n)の関係が成立するようなnであれば、図2Aのフレーム構成の信号を送信した場合と同様に実施できる。つまり、時間i+1の動作を時間i+nの動作として考えれば同様に実施することができる。
(1−4)変形例4
ここでは、時間iと時間i+1とで、変調信号Aの送信パワー又は変調信号Bの送信パワーを異なるようにすることを提案する。このようにすることで、上述した変調信号Aの信号点配置のパターンを時間iと時間i+1で変える場合と同様に、時間iと時間i+1とで受信品質を変えることができるようになるので、上述したフレーム構成を採用した場合と同様の効果を得ることができる。さらに、上述したフレーム構成と組み合わせた場合には、一段と各時間の受信品質の差を大きくすることができる。すなわち、信号点配置の仕方を変えるとは、送信パワーを変えることを含むものとする。
具体的には、時間iにおいて(1)式が成り立つ変調信号S1(i)、S2(i)を送信し、時間i+1においては、以下の(6)式又は(7)式が成り立つ変調信号rS1(i)’、S2(i+1)又は変調信号S1(i)’、rS2(i+1)を送信する。
(6)式と(7)式の違いは、変調信号A(S1)の送信パワーを変化させるか、又は変調信号B(S2)のどちらの送信パワーを変化させるかである。なおこのように、送信パワーを変化させて受信品質を変化させることは、以下の実施の形態と組み合わせて実施することもできる。
(1−5)変形例5
送信装置の構成は図4の構成の構成に限らず、変調部304の構成も図5の構成に限らない。要は、第1の変調部と第2の変調部を設け、第1の変調部によって第1の送信データの同一データを信号点配置の仕方を変えて、又は時間間隔を数シンボル隔てて複数回変調することにより第1の変調信号を形成し、第2の変調部によって、第2の送信データを時系列で変調することにより第2の変調信号を形成し、この第1及び第2の変調信号を異なるアンテナから送信するようにすればよい。
また受信装置の構成は図6の構成に限らず、復調部523の構成も図6、図7、図8の構成に限ったものではない。要は、受信品質の良い時間の受信信号を基に得た変調信号A(すなわち同一データを複数回変調して送信された変調信号)の復調結果を変調信号Aの受信ディジタル信号とすると共に、既に判定した受信品質の良い時間の変調信号Aの受信ディジタル信号を利用して受信品質の悪い時間の受信信号から当該受信品質の悪い時間に受信された変調信号Bの受信ディジタル信号を得るようにすればよい。
また各アンテナは、複数のアンテナにより一つのアンテナを構成してもよい。また上述した実施の形態では、変調信号数とアンテナ数を同じにした場合について説明したが、変調信号数n(n≧2)よりも多くのアンテナを設け、送信アンテナを切り替えて使用するようにしてもよい。このようにすれば、送信アンテナを切り替えることで、各時間での受信品質を一段と異なるようにすることができる。これは、後述する実施の形態の場合にも当てはまる。
また上述した実施の形態では、受信品質を求めるための計算式として、例えば、R(i)=F(i)/S(i)、R(i+1)=F(i+1)/S(i+1)、R(i+2)=F(i+2)/S(i+2)、R(j)=F(j)/S(j)、R(k)=F(k)/S(k)を用いた場合について述べたが、これに限ったものではなく、例えば、R(i)=F(i)―S(i)、R(i+1)=F(i+1)―S(i+1)、R(i+2)=F(i+2)―S(i+2)、R(j)=F(j)―S(j)、R(k)=F(k)―S(k)といった計算式を用いても同様に受信品質を求めることができる。これは、後述する実施の形態にも当てはまる。ただし、このような計算式を用いた場合には、実施の形態で説明したものに対して大小関係は逆となる。つまり、R(i)が大きい方が受信品質は良いことになる。
また上述した実施の形態では、変調信号Aで同一データを2回送信するフレーム構成及び3回送信するフレーム構成を提案したが、これに限らず、変調信号Aで同一データをn(n≧4)回送信するフレーム構成においても同様に実施することができる。ここでnの数を多くするほど、変調信号Aで送信可能な見かけ上のデータ伝送速度は低下するが、変調信号A、Bを復調したときの誤り率特性は向上するので、電波伝搬環境が悪いほどnを多く設定すれば、実質的なデータ伝送速度を上げることもできるようになる。
また上述した実施の形態では、スペクトル拡散方式を用いたときを例に説明したが、これに限らず、スペクトル拡散を行わないシングルキャリア方式においても同様に実施することができる。このとき、送信装置は拡散部を省略した構成とし、受信装置は逆拡散部を省略した構成とすればよい。また、OFDM方式を例とするマルチキャリア方式においても各キャリアにおいて本実施の符号化を施すことができる。例えば、OFDM方式を用いた場合、送信装置はOFDM方式を用いた変調信号を生成するために逆フーリエ変換部を加えた構成とし、受信装置はフーリエ変換部を加えた構成とすればよい。これは、後述する実施の形態にも当てはまる。
また上述した実施の形態では、変調信号Aと変調信号Bの符号化を時間軸方向に対して行った。つまり、上述した実施の形態の例では、変調信号Aにおいて、異なる時間に同一のデータの変調信号を送信している。しかし、本実施の形態の符号化(変調信号の送信フレームへの配置)は、特に、OFDM方式を例とするマルチキャリア方式を用いた場合、周波数軸方向に行うことができる。つまり、変調信号Aを、異なるキャリアに複数同一データのシンボルを配置したものとすればよい。
また上述した実施の形態では、変調信号Aの受信品質(誤り率特性)を向上させることで、変調信号Bの受信品質(誤り率特性)も向上させるようになっている。上述した実施の形態に加えて、変調信号Aに対して、ブロック符号、ビタビ符号やターボ符号などの畳み込み符号、LDPC(Low-Density Parity-Check)符号などの符号化を施すようにすれば、受信信号Aの受信品質をさらに向上させることができるので、変調信号Bの受信品質もさらに向上させることができる。これは、後述する実施の形態にも当てはまる。
ただし、ブロック符号、ビタビ符号やターボ符号などの畳み込み符号、LDPC符号などの誤り訂正符号は、変調信号Aのみに施す場合に限らず、変調信号A、Bの両方に施すようにしてもよい。この場合、変調信号Aを復号後、変調信号Bを復号することになる。
さらに上述した実施の形態では、2本のアンテナから2つの変調信号を送信する構成を例に説明したが、本発明はこれに限らず、アンテナn本からn個の変調信号を送信するフレーム構成において、n個の変調信号のうちの少なくとも1つの変調信号を、同一のデータを複数回、異なる周波数、あるいは、異なる時間を用いて送信するようにすればよい。これは、後述する実施の形態にも当てはまる。
(2)実施の形態2
実施の形態1では、2つのアンテナを用いてそれぞれ異なる2つの変調信号を送信するにあたって、一方の変調信号についてのみ同一のデータを複数回送信することを提案した。これに対して、本実施の形態では、3つのアンテナを用いてそれぞれ異なる3つの変調信号を送信するにあたって、3つの変調信号のうち1つ又は2つの変調信号について同一のデータを複数回送信することを提案すると共に、その具体的なフレーム構成及び装置構成について説明する。
図2Aとの対応部分に同一符号を付して示す図15に、本実施の形態における変調信号のフレーム構成の一例を示す。本実施の形態では、変調信号A、変調信号Bと同時に、変調信号Cを送信する。変調信号Cは、電波伝搬環境推定シンボル1401を含む。1402、1403はデータシンボルを示す。変調信号Cの時点iのデータシンボル1402(S3(i))と時点i+1のデータシンボル1403(S3(i+1))は、変調信号Bと同様に、互いに異なるデータを同一のマッピング規則に従って信号点配置したものである。すなわち、変調信号Aのみ同一のデータを信号点配置の仕方を変えて複数回送信する特殊な信号とし、変調信号B、Cを一般的な変調信号とする。
図17に、本実施の形態による送信アンテナ1601、1602、1603と、受信アンテナ1604、1605、1606と、これらの送受信アンテナ間の伝搬路との関係を示す。
図4との対応部分に同一符号を付して示す図18に、本実施の形態における送信装置の構成例を示す。送信装置1700において、変調部1702は、送信ディジタル信号1701、フレーム構成信号324を入力とし、送信直交ベースバンド信号1703を出力する。拡散部1704は、送信直交ベースバンド信号1703を拡散し、拡散後の送信直交ベースバンド信号1705を出力する。
無線部1706は、拡散後の送信直交ベースバンド信号1705をベースバンド周波数から無線周波数に変換し、変換後の変調信号1707を出力する。電力増幅器1708は、変調信号1707の電力を増幅し、増幅後の変調信号1709を出力する。変調信号1709は、アンテナ1603から電波として出力される。
図6との対応部分に同一符号を付して示す図19に、本実施の形態における受信装置の構成例を示す。受信装置1800において、無線部1803は、アンテナ1606で受信した受信信号1802を入力とし、受信直交ベースバンド信号1804を出力する。逆拡散部1805は、受信直交ベースバンド信号1804を入力とし、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号1806を出力する。
変調信号A伝送路推定部1807は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号1806を入力とし、変調信号Aの伝送路推定信号1808を出力する。変調信号B伝送路推定部1809は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号1806を入力とし、変調信号Bの伝送路推定信号1810を出力する。
変調信号C伝送路推定部1811は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号1806を入力とし、変調信号Cの伝送路推定信号1812を出力する。変調信号C伝送路推定部1813は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506を入力とし、変調信号Cの伝送路推定信号1814を出力する。変調信号C伝送路推定部1815は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号516を入力とし、変調信号Cの伝送路推定信号1816を出力する。
フレーム同期部521は逆各拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516、1806を入力とし、フレーム構成信号522を出力する。
復調部1820は、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516、1806、変調信号Aの伝送路推定信号508、518、1808、変調信号Bの伝送路推定信号510、520、1810、変調信号Cの伝送路推定信号1812、1814、1816、フレーム構成信号522を入力とし、変調信号A、変調信号B、変調信号Cの復調を行ことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525、変調信号Cの受信ディジタル信号1817を得、これを出力する。
図20に、復調部1820の詳細構成を示す。変調信号A,B,C復調部1913は、変調信号Aの伝送路推定信号508、518、1808、変調信号Bの伝送路推定信号510、520、1810、変調信号Cの伝送路推定信号1814、1816、1812、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516、1806、フレーム構成信号522を入力とし、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525−1、変調信号Cの受信ディジタル信号1817−1、第1の軟判定値信号1917、第2の軟判定値信号1918を出力する。
変調信号B、C復調部1919は、第1の軟判定値信号1917、第2の軟判定値信号1918、フレーム構成信号522を入力とし、変調信号Bの受信ディジタル信号525−2、変調信号Cの受信ディジタル信号1817−2を出力する。
次に本実施の形態の動作について説明する。
上述したように本実施の形態の送信装置1700は、3つの変調信号A、B、Cをそれぞれアンテナから送信するにあたって、変調信号Aについてのみ、マッピングパターンを変えて(信号点配置の仕方を変えて)同一のデータを複数回送信する。これにより、時空間ブロック符号を用いる場合と比較すると、時空間ブロック符号では複数のアンテナで繰り返し同一情報を送信するのに対して、送信装置1700は3つのアンテナのうち1つのアンテナからのみデータを繰り返し送信しているので、時空間ブロック符号を用いた場合よりもデータ伝送速度を高く保つことができる。
また受信装置1800では、このような信号を受信することで、変調信号A、B、Cの全てを誤り率特性良く復調することができる。すなわち、このような信号の受信時には、受信した変調信号の信号点配置が時間iと時間i+1とで変わるため、時間iにおける変調信号A、変調信号B及び変調信号Cの復調の精度と、時間i+1における変調信号A、変調信号B及び変調信号Cの復調の精度が異なるようになる。そして、復調の精度の良い時間で変調信号Aを復調し、その結果を利用して変調信号B及び変調信号Cの復調を行うことで、変調信号B及び変調信号Cの復調の精度を向上させることができる。
受信装置1800の動作について詳しく説明する。
先ず、受信装置1800は、電波伝搬環境推定シンボルを用いて、各送受信アンテナ間でのチャネル変動を推定する。ここで図17の送受信アンテナの関係があるとき、送信アンテナiから受信アンテナjへのチャネル変動をhjiとあらわすと、受信アンテナjの受信信号をRjとすると、時間iにおける送受信信号の関係式は次式のように表すことができる。
同様に、時間i+1において、次式のような関係が成立する。
(8)式の関係から、S1(i)、S2(i)、S3(i)を得ることができると共に(9)式の関係からS1(i)’、S2(i+1)、S3(i+1)を得ることができる。
実施の形態1と同様に、h11(i)≒h11(i+1)、h12(i)≒h12(i+1)、h13(i)≒h13(i+1)、h21(i)≒h21(i+1)、h22(i)≒h22(i+1)h23(i)≒h23(i+1)、h31(i)≒h31(i+1)、h32(i)≒h32(i+1)h33(i)≒h33(i+1)が成立する。
このとき、(8)式と(9)式の行列は、ほぼ等しい行列であるが、(S1(i),S2(i),S3(i))のベクトルと(S1(i)’,S2(i+1),S3(i+1))のベクトルが異なるため、得られるデータの確からしさが異なることになる。
本実施の形態の送信装置1700及び受信装置1800では、この特性を利用し、受信データの品質を向上させるようになされている。
受信装置1800の具体的な復調(復号)手順は、以下の通りである。
<1>時間iの検波を行い、(S1(i),S2(i),S3(i))を得る。
<2>時間i+1の検波を行い、(S1(i)’,S2(i+1),S3(i+1))を得る。
<3>時間i及び時間i+1の受信品質を比較する。
時間iの受信品質の方が良い場合、時間iの検波で得た(S1(i),S2(i),S3(i))のデータをそのまま使う。そして、時間iの検波で得たS1(i)から時間i+1のS1(i)’を推定し、その結果を利用して、S2(i+1),S3(i+1)を得る。
時間i+1の受信品質の方が良い場合、時間i+1の検波で得た(S1(i)’,S2(i+1),S3(i+1))のデータをそのまま使う。そして、時間i+1の検波で得たS1(i)’から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用して、S2(i)、S3(i)を得る。
受信装置1800においては、復調部1820でこのような復調処理を行うことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525、変調信号Cの受信ディジタル信号1817を得る。
この実施の形態の例では、変調信号A、変調信号B、変調信号CがともにQPSK変調された信号なので、同一時間に、変調信号Aで2ビット、変調信号Bで2ビット、変調信号Cで2ビットの計6ビットが送信可能である。つまり、000000,000001,・・・・,111111が送信可能である。ただし、上位2ビットは変調信号Aで送信された2ビット、中位2ビットは変調信号B、下位2ビットは変調信号Cで送信された2ビットとする。
先ず、復調部1820の全体的な動作を説明する。
復調部1820は、先ず図15の時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号508、変調信号Bの伝送路推定信号510、変調信号Cの伝送路推定信号1814を用いて、000000,000001,・・・,111111の64個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。また復調部1820は、逆拡散部505から逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506を入力し、この受信直交ベースバンド信号506からI−Q平面における受信状態(受信信号点)を求める。
次に、復調部1820は、64個すべての信号点に関して、I−Q平面における受信信号点との例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット000000の信号点と受信信号点との距離の2乗値X000000(i)を求め、同様に送信ビット000001、・・・・、111111の信号点と受信信号点との距離の2乗値X000001(i)、・・・・、X111111(i)を求める。
同様に、復調部1820は、図15の時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号518、変調信号Bの伝送路推定信号520、変調信号Cの伝送路推定信号1816を用いて、000000,000001,・・・,111111の64個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。また復調部1820は、逆拡散部515から逆拡散後の受信直交ベースバンド信号516を入力し、この受信直交ベースバンド信号516からI−Q平面における受信状態(受信信号点)を求める。
次に、復調部1820は、64個すべての信号点に関して、I−Q平面における受信信号点との例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット000000の信号点と受信信号点との距離の2乗値Y000000(i)を求め、同様に送信ビット000001、・・・・、111111の信号点と受信信号点との距離の2乗値Y000001(i)、・・・・、Y111111(i)を求める。
同様に、復調部1820は、図15の時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号1808、変調信号Bの伝送路推定信号1810、変調信号Cの伝送路推定信号1812を用いて、000000,000001,・・・,111111の64個の信号点のI−Q平面における信号点(候補信号点)を求める。また復調部1820は、逆拡散部1805から逆拡散後の受信直交ベースバンド信号1806を入力し、この受信直交ベースバンド信号1806からI−Q平面における受信状態(受信信号点)を求める。
次に、復調部1820は、64個すべての信号点に関して、I−Q平面における受信信号点との例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット000000の信号点と受信信号点との距離の2乗値Z000000(i)を求め、同様に送信ビット000001、・・・・、111111の信号点と受信信号点との距離の2乗値Z000001(i)、・・・・、Z111111(i)を求める。
次に、復調部1820は、X000000(i)とY000000(i)とZ(000000)の和K000000(i)=X000000(i)+Y000000(i)+Z000000(i)を求め、同様にしてK000001(i)、・・・、K111111(i)を求める。復調部1820は、同様に、時間i+1についてもK000000(i+1)、K000001(i+1)、・・・、K111111(i+1)を求める。
次に、復調部1820は、時間iと時間i+1との受信データの確からしさの比較を行う。
例えば、K000000(i)、K000001(i)、・・・、K111111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
同様に、K000000(i+1)、K000001(i+1)、・・・、K111111(i+1)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i+1)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i+1)とする。
そして、例えば、R(i)=F(i)/S(i)、および、R(i+1)=F(i+1)/S(i+1)を求める。
復調部1820は、R(i+1)>R(i)のとき、時間iの方が受信品質が良いと判断し、F(i)を与える6ビットを正しいデータと判断する。そして、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間iで得た2ビットを時間i及び時間i+1での受信データとする。また変調信号B、Cについては、それぞれ、時間iで送信された2ビットとしては時間iで得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間i+1で送信された2ビットは時間i+1での変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。
例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、K000000(i+1)、K000001(i+1)、K000010(i+1)、K000011(i+1)、K000100(i+1)、K000101(i+1)、K000110(i+1)、K000111(i+1)、K001000(i+1)、K001001(i+1)、K001010(i+1)、K001011(i+1)、K001100(i+1)、K001101(i+1)、K001110(i+1)、K001111(i+1)の16点の中から最も値が小さくなるものを探索することで、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビット及び変調信号Cで送信された2ビットを判定する。
変調信号Aで送信された2ビットが01、10、11のときも同様にして、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビット及び変調信号Cで送信された2ビットを判定する。
復調部1820は、R(i)>R(i+1)のとき、時間i+1の方が受信品質が良いと判断し、F(i+1)を与える6ビットを正しいデータと判断する。そして、変調信号Aで送信された2ビットとしては、時間i+1で得た2ビットを時間i及び時間i+1での受信データとする。また変調信号B、Cについては、それぞれ、時間i+1で送信された2ビットとしては時間i+1で得た2ビットをそのまま受信データとするのに対して、時間iで送信された2ビットは時間iでの変調信号Aで送信された2ビットが既に判定されているのを利用して判定する。
例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、K000000(i)、K000001(i)、K000010(i)、K000011(i)、K000100(i)、K000101(i)、K000110(i)、K000111(i)、K001000(i)、K001001(i)、K001010(i)、K001011(i)、K001100(i)、K001101(i)、K001110(i)、K001111(i)の16点の中から最も値の小さくなるものを探索することで、時間iに変調信号Bで送信された2ビット及び変調信号Cで送信された2ビットを判定する。
変調信号Aで送信された2ビットが01、10、11のときも同様にして、時間iに変調信号Bで送信された2ビット及び変調信号Cで送信された2ビットを判定する。
次に、復調部1820を、図20のように構成した場合の動作について説明する。
変調信号A,B,C復調部1913は、上記のように、時間i及び時間i+1において変調信号Aで送信されたデータのうち、受信品質の良い方の時間の信号から復調したものを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また時間i、時間i+1いずれかの変調信号Bの受信ディジタル信号525−1、変調信号Cの受信ディジタル信号1817−1を出力する。さらに第1の軟判定値信号1917としてK000000(i)、・・・、K111111(i)を出力すると共に、第2の軟判定値信号1918としてK000000(i+1)、・・・、K111111(i+1)を出力する。
変調信号B、C復調部1919は、第1の軟判定値信号1917であるK000000(i)、・・・、K111111(i)と第2の軟判定値信号1918であるK000000(i+1)、・・・、K111111(i+1)を入力とし、上記のように、時間iと時間i+1の受信品質を基に、変調信号B、変調信号Cの復調を行うことにより、受信ディジタル信号525−1を得た変調信号Bとは異なる時間の変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を得ると共に受信ディジタル信号1817−1を得た変調信号Cとは異なる時間の変調信号Cの受信ディジタル信号1817−2を得る。
かくして本実施の形態によれば、それぞれ異なるアンテナから送信する変調信号A、B、Cのうち、変調信号Aは同一のデータを信号点配置の仕方を変えて複数回変調して形成すると共に、変調信号B、Cは同一のデータを信号点配置の仕方を変えて複数回変調することなく時系列のデータを順次変調して形成する(すなわち通常の変調を施して形成する)ようにしたことにより、時空間ブロック符号を用いた場合よりもデータ伝送速度を高く保ちつつ、複数回送信されたデータ系列の誤り率特性を向上させることができるので結果として3系統全ての誤り率特性を向上させることができるようになる。
実際には受信側では、受信品質の良い時間の受信信号を基に得た変調信号Aの復調結果を変調信号Aの受信ディジタル信号とすると共に、既に判定した受信品質の良い時間の変調信号Aの受信ディジタル信号を利用して受信品質の悪い時間の受信信号から当該受信品質の悪い時間に受信された変調信号B、Cの受信ディジタル信号を得るようにしたことにより、受信品質の悪い時間に受信された変調信号B、Cの誤り率特性も向上させることができる。
(2−1)変形例1
なお本実施の形態では、送信装置1700によって送信するフレーム構成を、図15のようにした場合について説明したが、送信するフレーム構成を、図16に示すようにしてもよい。図16のフレーム構成が図15のフレーム構成と異なる点は、変調信号Aにおいて同一データを変調した信号S1(i)を送信する時間の差を、図15の場合には小さくしたのに対して、図16では非常に大きくしている点である。
これにより、時間iと時間jとでは、電波伝搬環境が全く異なるようになる。これを考慮して、図16の場合には時間jで送信する変調信号Aの信号点配置を、時間iで送信する変調信号Aの信号点配置と同じにしている。これは、敢えて変調信号Aの信号点配置を変えなくても、時間iと時間jの受信品質は、電波伝搬環境の違いにより、ある程度異なるものになると考えたためである。
この結果、受信品質の良い時間の受信信号を基に得た変調信号Aの復調結果を変調信号Aの受信ディジタル信号とすると共に、既に判定した受信品質の良い時間の変調信号Aの受信ディジタル信号を利用して受信品質の悪い時間の受信信号から当該受信品質の悪い時間に受信された変調信号B、Cの受信ディジタル信号を得るようにすれば、図15のフレーム構成の信号を送信した場合と同様に、受信品質の悪い時間に受信された変調信号B、Cの誤り率特性も向上させることができる。
具体的に説明する。時間iにおいて、上記(8)式が成立する。同様に、時間jにおいて、次式の関係が成り立つ。
(10)式におけるh11(j)、h12(j)、h13(j)、h21(j)、h22(j)、h23(j)、h31(j)、h32(j)、h33(j)は、受信装置1800において、例えば図16の電波伝搬環境推定シンボル801、802、1503を用いて推定する。ここで、時間iとjでは、電波伝搬環境が異なるので、h11(i)≠h11(j)、h12(i)≠h12(j)、h13(i)≠h13(j)、h21(i)≠h21(j)、h22(i)≠h22(j)、h23(i)≠h23(j)、h31(i)≠h31(j)、h32(i)≠h32(j)、h33(i)≠h33(j)が成立する。従って、時間iとjでの受信品質は全く異なることになる。
以上を考慮し、時間iと時間jのI−Q平面における信号点配置について説明する。
変調信号AのI−Q平面における信号点配置の一例が、図3A〜図3Cである。図16に示すフレーム構成を採った場合、時間iとjの信号点配置は、共に図3Aでもよいし、時間iでは図3A、時間jでは図3Bのように異なっていてもよい。これは、図15のフレーム構成のときとは異なり、時間iとjとでは電波伝搬環境が異なるため、時間iとjで、敢えて信号点配置を変えなくても、時間iと時間jとで受信品質が異なるようになるためである。
以下では、復号化の手順について詳しく説明するが、図15のフレーム構成の動作と同様に考えることができる。つまり、時間i+1の動作を時間jに置き換えて考えればよい。
<1>時間iの検波を行い、(S1(i),S2(i),S3(i))を得る。
<2>時間jの検波を行い、(S1(i),S2(j),S3(j))を得る。
<3>時間i及び時間jの受信品質を比較する。
時間iの受信品質の方が良い場合、時間iの検波で得た(S1(i),S2(i),S3(i))のデータをそのまま使う。そして、時間iの検波で得たS1(i)から時間jのS1(i)を推定し、その結果を利用して、S2(j)、S3(j)を得る。
時間jの受信品質の方が良い場合、時間jの検波で得た(S1(i),S2(j),S3(j))のデータをそのまま使う。そして、時間jの検波で得たS1(i)から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用して、S2(i),S3(i)を得る。
受信装置1800においては、復調部1820でこのような処理を行うことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525、変調信号Cの受信ディジタル信号1817を得る。
なお図16のフレーム構成の送信信号を受信した際の復調部1820での詳細な動作は、図15のフレーム構成について上述した時間i+1の動作を時間jに置き換えて考えればよいだけなので、省略する。ただし、上述した時間i+1と時間jでの処理においては、時間i+1では図15の電波伝搬環境推定シンボル101、104、1401を用いて得た信号点(候補信号点)に基づいて時間i+1でのデータの確からしさを判定したのに対して、時間jでは図16の電波伝搬環境推定シンボル801、803、1503を用いて得た信号点(候補信号点)に基づいて時間jでのデータの確からしさを判定する点が異なる。
(2−2)変形例2
ここでは、送信装置1700によって送信するフレーム構成を、図15に換えて図21に示すようにする例を挙げる。図21のフレーム構成が図15のフレーム構成と異なる点は、変調信号Aにおいて同一データを変調した信号S1(i)とS1(i)’を送信する時間の差を、図15の場合には「1」としたのに対して、図21ではnとした点である。
ここで、h11(i)≒h11(i+n)、h12(i)≒h12(i+n)、h21(i)≒h21(i+n)、h22(i)≒h22(i+n)の関係が成立するようなnであれば、図15のフレーム構成の信号を送信した場合と同様の効果を得ることができる。つまり、時間i+1の動作を時間i+nの動作として考えれば同様に実施することができる。
(2−3)変形例3
ここでは、送信装置1700によって送信するフレーム構成を、図15に換えて図22に示すようにすることを提案する。図22のフレーム構成を説明する。変調信号Aでは、時間i、i+1、i+2、i+3において同一の情報を送信する。そして、S1(i)の信号点配置は例えば図3Aのようにし、S1(i)’の信号点配置は図3Bのようにし、S1(i)”の信号点配置は図3Cのようにし、S1(i)”’の信号点配置は図3A、図3B、図3Cとは異なる配置とする。このように、変調信号Aにおいて、時間i、i+1、i+2、i+3において、同一情報を異なる信号点配置で送信する。ただし、必ずしも異なる信号点配置とする必要はない。しかし、異なる信号点配置で送信すると、時間i、i+1、i+2、i+3の受信品質が異なるようになる可能性が高くなるという効果がある。
変調信号Bでは、時間i、i+1で同一の情報を送信すると共に、時間i+2、i+3で同一の情報を送信する。例えば、時間iではS2(i)を、図3Aの信号点配置で送信する。時間i+1ではS2(i)’を、図3Bの信号点配置で送信する。時間i+2ではS2(i+2)を、図3Aの信号点配置で送信する。時間i+3ではS2(i+2)’を、図3Bの信号点配置で送信する。
変調信号Cでは、時間i、i+1、i+2、i+3において、異なる情報を送信する。変調信号Cの信号点配置は、例えば図3Aのようにする。
以上のように、変調信号Aでは4回同一情報を送信し、変調信号Bでは2回同一の情報を送信する。このように、変調信号Aと変調信号Bで同一の情報を送信する回数を変えることで、変調信号Aを復調し、次に、変調信号Bを復調し、次に、変調信号Cを復調するというような復調操作が可能となる。これにより、実施の形態の場合よりも一段と受信品質を向上させることができると共に、データの伝送速度を向上させることができるようになる。
図22に示すフレーム構成の信号は、例えば図23に示す構成の送信装置2200によって形成することができる。図18との対応部分に同一符号を付して示す図23において、送信装置2200が、図18の送信装置1700と異なる点は、符号化部2201を有する点である。
符号化部2201は、変調信号Bの送信ディジタル信号313、フレーム構成信号324を入力とし、図22のフレーム構成にしたがって送信ディジタル信号313を符号化することで符号化された変調方式Bの送信ディジタル信号2202を得、これを出力する。
送信装置2200から送信された、図22のフレーム構成の送信信号は、図19に示す受信装置1800によって受信される。そして、図22のフレーム構成の送信信号を復調する場合には、復調部1820を、例えば図24に示すように構成すればよい。
図24の復調部1820について説明する。
変調信号A復調部2301は、変調信号Aの伝送路推定信号508、518、1808、変調信号Bの伝送路推定信号510、520、1810、変調信号Cの伝送路推定信号1814、1816、1812、逆拡散後の受信直交ベースバンド信号506、516、1806、フレーム構成信号522を入力とし、変調信号Aの受信ディジタル信号524、第1の軟判定値信号2303、第2の軟判定値信号2304、第3の軟判定値信号2305、第4の軟判定値信号2306を出力する。
変調信号B復調部2307は、第1の軟判定値信号2303、第2の軟判定値信号2304、第3の軟判定値信号2305、第4の軟判定値信号2306、変調信号Aの受信ディジタル信号524、フレーム構成信号522を入力とし、変調信号Bの受信ディジタル信号525、第1の軟判定値信号2309、第2の軟判定値信号2310、第3の軟判定値信号2311、第4の軟判定値信号2312を出力する。
変調信号C復調部2313は、第1の軟判定値信号2309、第2の軟判定値信号2310、第3の軟判定値信号2311、第4の軟判定値信号2312、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525、フレーム構成信号522を入力とし、変調信号Cの受信ディジタル信号1817を出力する。
次に、図22のフレーム構成の送信信号を受信したときの、復調部1820の動作について説明する。変調信号A復調部2301は、図22のフレーム構成における時間i、i+1、i+2、i+3における変調信号を用いて、変調信号Aの復調することで変調信号Aの受信ディジタル524を、また時間iの軟判定値信号を第1の軟判定値信号2303として、時間i+1の軟判定値信号を第2の軟判定値信号2304として、時間i+2の軟判定値信号を第3の軟判定値信号2305として、時間i+3の軟判定値信号を第4の軟判定値信号2306として出力する。
次に、変調信号B復調部2307は、第1の軟判定値信号2303、第2の軟判定値信号2304、第3の軟判定値信号2305、第4の軟判定値信号2306、変調信号Aの受信ディジタル信号524を入力とし、変調信号Aの受信ディジタル信号524の結果を利用し、かつ第1の軟判定値信号2303、第2の軟判定値信号2304を用いて、図22の変調信号Bの時間i、i+1で送信された情報S2(i),S2(i)’を復調する。また、変調信号Aの受信ディジタル信号524の結果を利用し、かつ第3の軟判定値信号2305、第4の軟判定値信号2306を用いて、図22の変調信号Bの時間i+2、i+3で送信された情報S2(i+2)、S2(i+2)’を復調する。そして、これらの復調結果を変調信号Bの受信ディジタル信号525として出力する。
変調信号C復調部2313は、第1の軟判定値信号2309、第2の軟判定値信号2310、第3の軟判定値信号2311、第4の軟判定値信号2312、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を入力とし、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を利用し、かつ第1の軟判定値信号2309を用いて、時間iで送信された変調信号Cの情報S3(i)を復調する。同様に、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を利用し、かつ第2の軟判定値信号2310を用いて、時間i+1の変調信号Cで送信された情報S3(i+1)を復調する。同様に、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を利用し、かつ第3の軟判定値信号2311を用いて、時間i+2の変調信号Cで送信された情報S3(i+2)を復調する。同様に、変調信号Aの受信ディジタル信号524、変調信号Bの受信ディジタル信号525を利用し、かつ第4の軟判定値信号2312を用いて、時間i+3の変調信号Cで送信された情報S3(i+3)を復調する。
かくして、変調信号Aおよび変調信号Bにおいて同一データの変調信号を複数回送信し、変調信号Aの同一データの送信回数を変調信号Bの同一データの送信回数より多くするようにしたことにより、受信側において、先ず変調信号Aの復調を行い、次に変調信号Aの復調結果に基づいて変調信号Bの復調を行い、次に変調信号A及び変調信号Bの復調結果に基づいて変調信号Cの復調を行うことで、変調信号A、B、C全てにおいて誤り率特性の良い復調データを得ることができる。また時空間ブロック符号を用いた場合よりもデータ伝送速度を高く保ちつつ、誤り率特性を向上させることができる。
(2−4)変形例4
ここでは、送信装置1700によって送信するフレーム構成を、図25に示すようにすることを提案する。なお図25では、図22と対応する部分には図22と同一符号を付して示した。図25のフレーム構成が図22のフレーム構成と異なる点は、図22のフレーム構成では同一データの変調シンボルを時間1の間隔で送信するのに対して、図25のフレーム構成では同一データの変調シンボルを時間nの間隔で送信する点である。
ここでh11(i)≒h11(i+n)≒h11(i+2n)≒h11(i+3n)、h12(i)≒h12(i+n)≒h12(i+2n)≒h12(i+3n)、h13(i)≒h13(i+n)≒h13(i+2n)≒h13(i+3n)、h21(i)≒h21(i+n)≒h21(i+2n)≒h21(i+3n)、h22(i)≒h22(i+n)≒h22(i+2n)≒h22(i+3n)、h23(i)≒h23(i+n)≒h23(i+2n)≒h23(i+3n)、h31(i)≒h31(i+n)≒h31(i+2n)≒h31(i+3n)、h32(i)≒h32(i+n)≒h32(i+2n)≒h32(i+3n)、h33(i)≒h33(i+n)≒h33(i+2n)≒h33(i+3n)の関係が成立するようなnであれば、図22のフレーム構成の信号を送信した場合と同様に実施できる。つまり、図22の時間i+1の動作を図25の時間i+nの動作、図22の時間i+2の動作を図25の時間i+2nの動作、図22の時間i+3の動作を図25の時間i+3nの動作として考えれば、図22のフレーム構成の説明と同様に実施することができる。
(2−5)変形例5
ここでは、送信装置1700によって送信するフレーム構成を、図26に示すようにすることを提案する。なお図26では、図22と対応する部分には図22と同一符号を付して示した。図25のフレーム構成が図22のフレーム構成と異なる点は、図22のフレーム構成では同一データの変調シンボルを時間1の間隔で送信するのに対して、図25のフレーム構成では同一データの変調シンボルを時間i、j、k、mで送信する点である。
ここでh11(i)≠h11(j)≠h11(k)≠h11(m)、h12(i)≠h12(j)≠h12(k)≠h12(m)、h13(i)≠h13(j)≠h13(k)≠h13(m)、h21(i)≠h21(j)≠h21(k)≠h21(m)、h22(i)≠h22(j)≠h22(k)≠h22(m)、h23(i)≠h23(j)≠h23(k)≠h23(m)、h31(i)≠h31(j)≠h31(k)≠h31(m)、h32(i)≠h32(j)≠h32(k)≠h32(m)、h33(i)≠h33(j)≠h33(k)≠h33(m)の関係が成立する。
図22の時間i+1の動作を図26の時間jの動作、図22の時間i+2の動作を図26の時間kの動作、図22の時間i+3の動作を図26の時間mの動作と考えれば、図22のフレーム構成の説明と同様に実施することができる。ただし、図26のフレーム構成において、時間jの電波伝搬環境を推定するためのシンボルは、電波伝搬環境推定シンボル2101、2106、2111とは別に必要となる。同様に、時間kの電波伝搬環境を推定するためのシンボルは、電波伝搬環境推定シンボル2101、2106、2111とは別に必要となる。そして、時間mの電波伝搬環境を推定するためのシンボルは、電波伝搬環境推定シンボル2101、2106、2111とは別に必要となる。
(2−6)変形例6
本実施の形態では、変調信号A,Bの変調方式をQPSKとして説明した。以下では、変調信号A,Bを形成するのに適した変調方式の設定方法について言及する。
例えば、変調信号A,Bの変調方式を16QAMとした場合、I−Q平面における信号点の密度が高くなるため、位相回転を与えてもユークリッド距離に大きな変化を与えることが困難であるため、受信品質の大きな改善を望むことはできない。
この課題を解決する、つまり、位相回転を与え、ユークリッド距離に変化を与える方法として、変調信号Aの変調方式をBPSK、または、QPSKとし、変調信号Bの変調方式を8PSK、16QAM、64QAM、128QAM、256QAMとする方法が考えられる。このようにすると、受信した際、規則的に信号点が配置していることになるというメリットがある。そして、変調信号Aの送信パワーと変調信号Bの送信パワーを適した値に設定すると一段と好ましい。
例えば、変調信号AがQPSK、変調信号Bが16QAMのとき、変調信号Aの送信パワー:変調信号Bの送信パワー=2:10と設定するとよい。
また変調信号AがQPSK、変調信号Bが64QAMのとき、変調信号Aの送信パワー:変調信号Bの送信パワー=2:42と設定するとよい。
また変調信号AがBPSK、変調信号Bが16QAMのとき、変調信号Aの送信パワー:変調信号Bの送信パワー=1:10と設定するとよい。
また変調信号AがBPSK、変調信号Bが64QAMのとき、変調信号Aの送信パワー:変調信号Bの送信パワー=1:42と設定するとよい。
(2−7)変形例7
なお、送信装置の構成は、図18、図23の構成に限ったものではない。また受信装置の構成は図19の構成に限ったものではなく、復調部の構成も図20、図24の構成に限ったものではない。
また本実施の形態では、3種類の変調信号A、B、Cを送信するフレーム構成について説明したが、n(n≧4)個の異なる変調信号を送信する場合も同様に実施することができる。要は、n種類の変調信号の中で、データを複数回送信する変調信号が存在していれば、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
またフレーム構成は、図15、図16、図21、図22、図25、図26に示したものに限らず、同一のデータを信号点配置の仕方を変えて複数回送信すれば、同様の効果を得ることができる。また本実施の形態においては、変調信号Aにおいて同一データを2回送信するフレーム構成、4回送信するフレーム構成について、変調信号Bでは同一データを2回送信するフレーム構成で説明したが、これに限らず、各変調信号A、Bで同一データをn(n≧4)回送信するフレーム構成においても同様に実施することができる。ここでnの数を多くするほど、変調信号A、Bで送信可能な見かけ上のデータ伝送速度は低下するが、変調信号A、B、Cを復調したときの誤り率特性は向上するので、電波伝搬環境が悪いほどnを多く設定すれば、実質的なデータ伝送速度を上げることもできるようになる。
また本実施の形態では、変調信号A、変調信号B及び変調信号Cの符号化を時間軸方向に対して行った。つまり、本実施の形態の例では、変調信号Aにおいて、異なる時間に同一のデータの変調信号を送信している。しかし、本実施の符号化は、特に、OFDM方式を例とするマルチキャリア方式を用いた場合、周波数軸方向に行うことができる。例えば、変調信号Aを、異なるキャリアに複数同一のデータのシンボルを配置したものとすればよい。
また本実施の形態では、変調信号Aの受信品質を向上させることで、変調信号B及び変調信号Cの受信品質も向上させるようになっている。また変調信号Bの受信品質を向上させることで、変調信号Cの受信品質も向上させるようになっている。本実施の形態に加えて、変調信号A、変調信号Bに対して、ブロック符号、ビタビ符号やターボ符号などの畳み込み符号、LDPC符号などの符号化を施すようにすれば、受信信号A、Bの受信品質をさらに向上させることができるので、変調信号Cの受信品質もさらに向上させることができる。
ただし、ブロック符号、ビタビ符号やターボ符号などの畳み込み符号、LDPC符号などの誤り訂正符号は、変調信号AやBのみに施す場合に限らず、変調信号A、B、Cの全てに施すようにしてもよい。この場合、変調信号Aを復号後、変調信号B、Cを復号することになる。
(3)実施の形態3
本実施の形態では、実施の形態1、実施の形態2とOFDM方式とを組み合わせた場合について説明する。
図27に、本実施の形態における送信装置の構成例を示す。符号化部2602は、変調信号Aの送信ディジタル信号2601、フレーム構成信号2624を入力とし、符号化後の送信ディジタル信号2603を出力する。変調部2625は、符号化後の送信ディジタル信号2603、フレーム構成信号2624を入力とし、フレーム構成信号2624にしたがった送信直交ベースバンド信号2626を出力する。シリアルパラレル変換部2604は、送信直交ベースバンド信号2626、フレーム構成信号2624を入力とし、パラレル信号2605を出力する。逆フーリエ変換部2606は、パラレル信号2605を入力とし、逆フーリエ変換後の信号2607を出力する。無線部2608は、逆フーリエ変換後の信号2607をベースバンド周波数から無線周波数に変換し、変換後の変調信号2609を出力する。電力増幅器2610は、変調信号2609の電力を増幅し、増幅後の変調信号2611を出力する。変調信号2611は、アンテナ2612から電波として出力される。
変調部2627は、変調信号Bの送信ディジタル信号2613、フレーム構成信号2624を入力とし、送信直交ベースバンド信号2628を出力する。シリアルパラレル変換部2614は、送信直交ベースバンド信号2628を入力とし、パラレル信号2615を出力する。逆フーリエ変換部2616は、パラレル信号2615を入力とし、逆フーリエ変換後の信号2617を出力する。無線部2618は、逆フーリエ変換後の信号2617をベースバンド周波数から無線周波数に変換し、変換後の変調信号2619を出力する。電力増幅器2620は、変調信号2619の電力を増幅し、増幅後の変調信号2621を出力する。変調信号2621は、アンテナ2622から電波として出力される。
図28に、本実施の形態における受信装置の構成例を示す。無線部2703は、アンテナ2701で受信した受信信号2702を入力とし、受信直交ベースバンド信号2704を出力する。フーリエ変換部2705は、受信直交ベースバンド信号2704を入力とし、フーリエ変換後の信号2706を出力する。
変調信号A伝送路推定部2707は、フーリエ変換後の信号2706を入力とし、変調信号Aの伝送路推定信号群2708を出力する。変調信号B伝送路推定部2709は、フーリエ変換後の信号2706を入力とし、変調信号Bの伝送路推定信号群2710を出力する。
無線部2713は、アンテナ2711で受信した受信信号2712を入力とし、受信直交ベースバンド信号2714を出力する。フーリエ変換部2715は、受信直交ベースバンド信号2714を入力とし、フーリエ変換後の信号2716を出力する。
変調信号A伝送路推定部2717は、フーリエ変換後の信号2716を入力とし、変調信号Aの伝送路推定信号群2718を出力する。変調信号B伝送路推定部2719は、フーリエ変換後の信号2716を入力とし、変調信号Bの伝送路推定信号群2720を出力する。
復調部2721は、変調信号Aの伝送路推定信号群2708、2718、変調信号Bの伝送路推定信号群2710、2720、フーリエ変換後の信号2706、2716を入力とし、変調信号Aの受信ディジタル信号2722、変調信号Bの受信ディジタル信号2723を出力する。
図29A、図29Bは、本実施の形態におけるフレーム構成例を示し、2801は電波伝搬環境推定シンボル、2802はデータシンボルであり時間軸方向に符号化されている。変調信号Aは、キャリア1で時間i、i+1に亘って符号化されている。変調信号Bは、キャリア1で時間i、i+1に亘って符号化されている。
変調信号Aは、キャリア1において、時間iでS1(i)を送信し、時間i+1でS1(i)’を送信する。なお上述したようにS1(i)とS1(i)’は同一データを信号点配置を変えて形成された変調シンボルである。
変調信号Bは、キャリア1において、時間iでS2(i)を送信し、時間i+1でS2(i+1)を送信する。S2(i)とS2(i+1)は、異なるデータから形成された変調シンボルである。
図30A、図30Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。図30A、図30Bの場合、変調シンボルは周波数軸方向に符号化されている。変調信号Aは、時間iでキャリア1、キャリア2に亘って符号化されている。変調信号Bは、時間iでキャリア1、キャリア2に亘って符号化されている。
変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1でS1(i)を送信し、キャリア2でS1(i)’を送信する。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1でS2(i−1)を送信し、キャリア2でS2(i−2)を送信する。ここでS2(i−1)とS2(i−2)は、異なるデータから形成された変調シンボルである。
図31A、図31Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。図31A、図31Bの場合、変調シンボルは時間軸方向に符号化されている。変調信号Aは、キャリア1において、時間i、時間i+nで符号化されている。変調信号Bは、キャリア1において、時間i、時間i+nで符号化されている。
変調信号Aは、キャリア1において、時間iでS1(i)を送信し、時間i+nでS1(i)’を送信する。変調信号Bは、キャリア1において、時間iでS2(i)を送信し、時間i+nでS2(i+1)を送信する。
図32A、図32Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。図32A、図32Bの場合、変調シンボルは周波数軸方向に符号化されている。変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア1+nで符号化されている。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア1+nで符号化されている。
変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1でS1(i)を送信し、キャリア1+nでS1(i)’を送信する。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1でS2(i−1)を送信し、キャリア1+nでS2(i−2)を送信する。
図33A、図33Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。図33A、図33Bの場合、変調シンボルは、時間軸方向に符号化されている。変調信号Aは、キャリア1において、時間i、時間jで符号化されている。変調信号Bは、キャリア1において、時間i、時間jで符号化されている。
変調信号Aは、キャリア1において、時間iはS1(i)を送信し、時間jでS1(i)’を送信する。変調信号Bは、キャリア1において、時間iでS2(i−1)を送信し時間jでS2(i+n)を送信する。
図34A、図34Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。図34A、図34Bの場合、変調シンボルは、周波数軸方向に符号化されている。変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1、キャリアjで符号化されている。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1、キャリアjで符号化されている。
変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1でS1(i)を送信し、キャリアjでS1(i)’を送信する。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1でS2(i−1)を送信し、キャリアjでS2(i−j)を送信する。
図35A、図35Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、キャリア1において、時間i、時間i+1、時間i+2で符号化されている。変調信号Bは、キャリア1において、時間i、時間i+1、時間i+2で符号化されている。
変調信号Aは、キャリア1において、時間iでS1(i)を送信し、時間i+1でS1(i)’を送信し、時間i+2でS(i)”を送信する。ここでS1(i)、S1(i)’、S(i)”は、同一データを信号点配置を変えて形成したものである。変調信号Bは、キャリア1において、時間iでS2(i)を送信し、時間i+1でS2(i+1)を送信し、時間i+2でS2(i+2)を送信する。ここでS2(i)、S2(i+1)、S2(i+2)は、異なるデータを変調して得られたものである。
図36A、図36Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2、キャリア3で符号化されている。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2、キャリア3で符号化されている。
変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1でS1(i)を送信し、キャリア2でS1(i)’を送信し、キャリア2でS1(i)”を送信する。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1でS2(i−1)を送信し、キャリア2でS2(i−2)を送信し、キャリア3でS2(i−3)を送信する。
図37A、図37Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、キャリア1において、時間i、時間j、時間kで同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’、S1(i)”によって送信する(同一の信号点配置でもよい)。変調信号Bは、キャリア1において、時間i、時間j、時間kで異なるデータをシンボルS2(i)、S2(j)、S2(k)によって送信する。
図38A、図38Bは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、時間iにおいて、キャリアi、キャリアj、キャリアkで同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’、S1(i)”によって送信する(同一の信号点配置でもよい)。変調信号Bは、時点iにおいて、キャリアi、キャリアj、キャリアkで異なるデータをシンボルS2(i)、S2(j)、S2(k)によって送信する。
図39A〜図39Cは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、キャリア1において、時間i、時間i+1で同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’によって送信する。変調信号Bは、キャリア1において、時間i、時間i+1で異なるデータをシンボルS2(i)、S2(i+1)によって送信する。変調信号Cは、キャリア1において、時間i、時間i+1で異なるデータをシンボルS3(i)、S3(i+1)によって送信する。
図40A〜図40Cは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2で同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’によって送信する。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2で異なるデータをシンボルS2(1)、S2(2)によって送信する。変調信号Cは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2で異なるデータをシンボルS3(1)、S3(2)によって送信する。
図41A〜図41Cは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、キャリア1において、時間i、時間jで同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’によって送信する(同一の信号点配置でもよい)。変調信号Bは、キャリア1において、時間i、時間jで異なるデータをシンボルS2(i)、S2(j)によって送信する。変調信号Cは、キャリア1において、時間i、時間jで異なるデータをシンボルS3(i)、S3(j)によって送信する。
図42A〜図42Cは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、時間iにおいて、キャリアi、キャリアjで同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’によって送信する。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリアi、キャリアjで異なるデータをシンボルS2(i)、S2(j)によって送信する。変調信号Cは、時間iにおいて、キャリアi、キャリアjで異なるデータをシンボルS3(i)、S3(j)によって送信する。
図43A〜図43Cは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、キャリア1において、時間i、時間i+1、i+2、i+3で同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’、S1(i)”、S1(i)”’によって送信する。変調信号Bは、キャリア1において、時間i、時間i+1で同一データを信号点配置の異なるシンボルS2(i)、S2(i)’によって送信し、時間i+2、時間i+3で同一データを信号点配置の異なるシンボルS2(i+2)、S2(i+2)’によって送信する。変調信号Cは、キャリア1において、時間i、時間i+1、時間i+2、時間i+3で異なるデータをシンボルS3(i)、S3(i+1)、S3(i+2)、S3(i+3)によって送信する。
図44A〜図44Cは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2、キャリア3、キャリア4で同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’、S1(i)”、S1(i)”’によって送信する。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2で同一データを信号点配置の異なるシンボルS2(1)、S2(1)’によって送信し、キャリア3、キャリア4で同一データを信号点配置の異なるシンボルS2(3)、S2(3)’によって送信する。変調信号Cは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2、キャリア3、キャリア4で異なるデータをシンボルS3(1)、S3(2)、S3(3)、S3(4)によって送信する。
図45A〜図45Cは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、キャリア1において、時間i、時間j、時間k、時間mで同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’、S1(i)”、S1(i)”’によって送信する。変調信号Bは、キャリア1において、時間i、時間jで同一データを信号点配置の異なるシンボルS2(i)、S2(i)’によって送信し、時間k、時間mで同一データを信号点配置の異なるシンボルS2(k)、S2(k)’によって送信する。変調信号Cは、キャリア1において、時間i、時間j、時間k、時間mで異なるデータをシンボルS3(i)、S3(j)、S3(k)、S3(m)によって送信する。
図46A〜図46Cは、本実施の形態における別のフレーム構成例を示し、図29A、図29Bとの対応部分には同一符号を付した。変調信号Aは、時間iにおいて、キャリア1、キャリアj、キャリアk、キャリアmで同一データを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’、S1(i)”、S1(i)”’によって送信する。変調信号Bは、時間iにおいて、キャリアi、キャリアjで同一データを信号点配置の異なるシンボルS2(i)、S2(i)’によって送信し、キャリアk、キャリアmで同一データを信号点配置の異なるシンボルS2(k)、S2(k)’によって送信する。変調信号Cは、時間iにおいて、キャリアi、キャリアj、キャリアk、キャリアmで異なるデータをシンボルS3(i)、S3(j)、S3(k)、S3(m)によって送信する。
次に、図2A、図2B、図3A〜図3C、図5、図14、図25、図27、図28、図29A、図29B、図30A、図30B、図31A、図31B、図32A、図32B、図33A、図33B、図34A、図34B、図35A、図35B、図36A、図36B、図37A、図37B、図38A、図38B、図39A〜図39C、図40A〜図40C、図41A〜図41C、図42A〜図42C、図43A〜図43C、図44A〜図44C、図45A〜図45C、図46A〜図46Cを用いて、本実施の形態の動作について詳しく説明する。
図29A、図29Bは、図27の送信装置2600が送信する変調信号A、変調信号Bのフレーム構成の一例を示している。図27における変調信号A送信部から送信される変調信号のフレーム構成が図29Aの変調信号Aフレーム構成である。また図27における変調信号B送信部から送信される変調信号のフレーム構成が図29Bの変調信号Bフレーム構成である。
図29A、図29Bのフレーム構成の特徴は、変調信号Aでは、キャリア1において、時間i、時間時間i+1同一のデータを信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’によって送信する一方、変調信号Bでは、キャリア1において、時間i、時間i+1で異なるデータをシンボルS2(i)、S2(i+1)によって送信することである。
S1(i)、S1(i)’のI−Q平面における信号点配置を示した図が図3A〜図3Cである。変調方式はQPSKである。例えば、図29Aにおいて、時間iでS1(i)の情報として(0,0)を送信したとする。このとき信号点は、図3Aのとおりである。そして、時間i+1では情報として(0,0)を、例えば、図3Bのとおりに送信する。(0,1)、(1,0)、(1,1)についても同様である。ただし、時間i+1の信号点配置は、図3Bに限ったものではなく、図3Cのような信号点配置としてもよい。
このようにすることで、キャリア1に着目すると、受信装置2700で、時間iと時間i+1とで変調信号の信号点配置がかわるため、時間iと時間i+1とで変調信号A、変調信号Bの復調の精度が異なるようになる。このため、復調の精度の良い時間で変調信号Aを復調し、次いでその結果を利用して変調信号Bの復調を行うことで、変調信号Bの復調の精度を向上させることができる。すなわち、変調信号A、Bともに復調精度を向上させることができる。
ここで送信装置2600によって図29A、図29Bフレーム構成の変調信号A、Bを形成する際の、送信装置2600の動作について説明する。
フレーム構成信号生成部2623は、図29A、図29Bのフレーム構成の情報をフレーム構成信号2624として出力する。符号化部2602は、送信ディジタル信号2601、フレーム構成信号2624を入力とし、送信ディジタル信号2601を図29Aの変調信号Aのフレーム構成のように符号化し、符号化後のディジタル信号2603を出力する。
変調部2625は、符号化後のディジタル信号2603、フレーム構成信号2624を入力とし、図29Aの変調信号Aのフレーム構成にしたがった送信直交ベースバンド信号2626を出力する。変調部2625は、例えば図5に示すような構成とすればよい。
図5において、マッピング部X402は、図3Aのように信号点をマッピングする。マッピング部Y404は、図3B、あるいは、図3Cのように信号点をマッピングする。
例えば、図29A、図29Bのフレーム構成における、キャリア1に着目したとき、フレーム構成信号2624が変調信号A、キャリア1、時間iのシンボルを示しているとき、マッピング部X402は、入力されたディジタル信号に対し、マッピングを施し、第1のマッピングされた送信直交ベースバンド信号403を出力する。
これに対して、フレーム構成信号2624が変調信号A、キャリア1、時間i+1のシンボルを示しているとき、マッピング部Y404は、入力されたディジタル信号に対し、マッピングを施し、第2のマッピングされた送信直交ベースバンド信号405を出力する。
信号選択部407は、第1のマッピングされた送信直交ベースバンド信号403、第2のマッピングされた送信直交ベースバンド信号405、フレーム構成信号324を入力とし、フレーム構成信号324の示している方の信号を選択し、選択された送信直交ベースバンド信号305を出力する。
なおここでは、図29A、図29Bのフレーム構成、つまり、時間iと時間i+1で符号化した場合を例に説明したが、図31A、図31Bのように、時間iとi+nで符号化されている場合にも同様に実施することができる。つまり、上述の説明で、時間i+1の動作を時間i+nの動作として考えれば同様に実施することができる。また、キャリア1に着目して説明したが、キャリア1以外のキャリアについても同様の符号化を施しても、同様に実施することができる。
次に、受信装置の構成について説明する。図28は、本実施の形態における受信装置の構成である。図28の受信アンテナ2701は図2Bのアンテナ109に相当し、受信アンテナ2711は図2Bのアンテナ110に相当するものとする。
以下では、キャリア1の動作を例に説明する。図28の変調信号A伝送路推定部2707は、図29Aの変調信号A、キャリア1、時間iの電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて、キャリア1のチャネル変動h11(t)を求める。ただし、tは時間とする。同様に、変調信号B伝送路推定部2709は、図29Bの変調信号B、キャリア1、時間iの電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて、キャリア1のチャネル変動h12(t)を求める。変調信号A伝送路推定部2717は、図29Aの変調信号A、キャリア1、時間iの電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて、キャリア1のチャネル変動h21(t)を求める。ただし、tは時間とする。同様に、変調信号B伝送路推定部2719は、図29Bの変調信号B、キャリア1、時間iの電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて、キャリア1のチャネル変動h22(t)を求める。
そして、時間iにおいて、受信アンテナ2701で受信したキャリア1の信号をR1(i)、受信アンテナ2711で受信したキャリア1の信号をR2(i)とすると、(1)式が成立する。同様に、時間i+1において、(2)式が成立する。(1)式の関係からS1(i)、S2(i)を得ることができると共に、(2)式の関係からS1(i)’、S2(i+1)を得ることができる。
またh11(i)≒h11(i+1)、h12(i)≒h12(i+1)、h21(i)≒h21(i+1)、h22(i)≒h22(i+1)が成立する。このとき、(1)式と(2)式の行列は、ほぼ等しい行列であるが、(S1(i),S2(i))のベクトルと(S1(i)’,S2(i+1))のベクトルが異なるため、得られるデータの確からしさが異なることになる。
本実施の形態では、この特性を利用し、受信データの品質を向上させるようになされている。受信装置2700の具体的な復調(復号)手順は、以下の通りである。
<1>時間iの検波を行い、(S1(i),S2(i))を得る。
<2>時間i+1の検波を行い、(S1(i)’,S2(i+1))を得る。
<3>時間iおよび時間i+1の受信品質を比較する。
時間iの受信品質の方が良い場合、時間iの検波で得た(S1(i),S2(i))のデータをそのまま使う。そしてS2(i+1)のデータは、時間iの検波で得られたS1(i)から時間i+1のS1(i)’を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
これに対して、時間i+1の受信品質の方が良い場合には、時間i+1の検波で得た(S1(i)’,S2(i+1))のデータをそのまま使う。そしてS2(i)のデータは、時間i+1の検波で得られたS1(i)’から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用することで得るようにする。
受信装置2700においては、復調部2721でこのような復調処理を行うことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号2722、変調信号Bの受信ディジタル信号2723を得る。
図28の復調部2721の詳細の構成が、図8のとおりであり、以下では、その動作について説明する。
図8において、信号508は図28の2708に、信号510は図28の2710に、信号506は図28の2706に、信号518は図28の2718に、信号520は図28の2720に、信号516は図28の2716に相当する。
ここで、図27の送信装置2600において、図29A、図29Bのフレーム構成で、変調信号A、変調信号BともにQPSK変調で信号を送信したときを例に説明する。ただし、キャリア1についての説明である。
変調信号Aで2ビット、変調信号Bで2ビットの計4ビットが送信可能である。つまり、0000,0001,・・・・,1111が送信可能である。ただし、上位2ビットは変調信号Aで送信された2ビット、下位2ビットは変調信号Bで送信された2ビットとする。
ここでは、図28の復調部2721の動作について説明する。
復調部2721は、キャリア1、時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号群2708のキャリア1の成分、変調信号Bの伝送路推定信号群2710のキャリア1の成分を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点を求める。そのときの状態が図14の16個の信号点1302に相当する。
そして、フーリエ変換後信号2706のキャリア1の成分から、I−Q平面における受信状態が求まる。そのときの状態が図14の信号点1301に相当する。
次に、図14の1302で示すすべての信号点と信号点1301とのI−Q平面における例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0001(i)、・・・・、X1111(i)を求める。
同様に、図29A、図29Bのキャリア1、時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号群2718のキャリア1の成分、変調信号Bの伝送路推定信号群2720のキャリア1の成分を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点を求める。そのときの状態が図14の1302の16個の信号点に相当する。
そして、フーリエ変換後信号2716のキャリア1の成分から、I−Q平面における受信状態が求まる。そのときの状態が図14の信号点1301に相当する。
次に、図14の1302で示すすべての信号点と信号点1301とのI−Q平面における例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0001(i)、・・・・、Y1111(i)を求める。
そして、X0000(i)とY0000(i)の和Z0000(i)=X0000(i)+Y0000(i)を求める。同様に、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)を求める。同様にして、時間i+1についてもZ0000(i+1)、Z0001(i+1)、・・・、Z1111(i+1)を求める。
次に、時間iと時間i+1との受信データの確からしさの比較を行う。
例えば、Z0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
同様に、Z0000(i+1)、Z0001(i+1)、・・・、Z1111(i+1)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i+1)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i+1)とする。
そして、例えば、R(i)=F(i)/S(i)、および、R(i+1)=F(i+1)/S(i+1)を求める。
R(i+1)>R(i)のとき、時間iの方が受信品質が良いと判断し、F(i)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、時間iおよび時間i+1に変調信号Aで送信されたデータ2ビットと時間iに変調信号Bで送信されたデータ2ビットが得られる。そして、変調信号Aで送信された2ビットが判定されているのを利用し、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビットを判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、Z0000(i+1)、Z0001(i+1)、Z0010(i+1)、Z0011(i+1)の中から最も値の小さくなるものを探索し、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、Z0100(i+1)、Z0101(i+1)、Z0110(i+1)、Z0111(i+1)の中から最も値の小さくなるものを探索し、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
R(i)>R(i+1)のとき、時間i+1の方が受信品質が良いと判断し、F(i+1)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、時間iおよび時間i+1に変調信号Aで送信されたデータ2ビットと時間i+1に変調信号Bで送信されたデータ2ビットが得られる。そして、変調信号Aで送信された2ビットが判定されているのを利用し、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、Z0000(i)、Z0001(i)、Z0010(i)、Z0011(i)の中から最も値の小さくなるものを探索し、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、Z0100(i)、Z0101(i)、Z0110(i)、Z0111(i)の中から最も値の小さくなるものを探索し、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
図28の復調部2721の詳細の構成が図8である。図8の動作について説明する。
図8の変調信号A,B復調部608は、上記のように、時間iおよび時間i+1において変調信号Aで送信したデータを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また、第1の軟判定値信号701として、Z0000(i)、・・・、Z1111(i)を出力する。また、第2の軟判定値信号702としてZ0000(i+1)、・・・、Z1111(i+1)を出力する。そして、時間i、時間i+1いずれかの変調信号Bの受信ディジタル信号525−1を出力する。
変調信号B復調部703は、第1の軟判定値信号701であるZ0000(i)、・・・、Z1111(i)と第2の軟判定値信号702であるZ0000(i+1)、・・・、Z1111(i+1)を入力とし、上記のように、時間iと時間i+1の受信品質をもとに、変調信号Bの復調を行い、525−1とは異なる時間の変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を出力する。
ここでは、キャリア1の復号方法について説明したが、キャリア1以外のキャリアで同様に符号化している場合、上述の動作を他のキャリアと考えて実施すれば、同様に復号することができる。つまり、図28のフーリエ変換後の信号のキャリアnの成分、変調信号Aの伝送路推定信号群のキャリアnの成分、変調信号Bの伝送路推定信号群のキャリアnの成分により、キャリアnの復号を行うことができることになる。
次に図31A、図31Bに示すフレーム構成を採用する場合について説明する。図31A、図31Bのフレーム構成では、時間iとi+nで符号化が行われている。よって、h11(i)≒h11(i+n)、h12(i)≒h12(i+n)、h21(i)≒h21(i+n)、h22(i)≒h22(i+n)の関係が成立するようなnであれば、図29A、図29Bのフレーム構成と同様の処理を行うことで実施することができる。つまり、時間i+1の動作を時間i+nの動作として考えれば、図29A、図29Bについて説明したのと同様にして実施できる。
次に図33A、図33Bに示すフレーム構成を採用する場合について説明する。このとき、時間iとjとでは、時間がまったく異なるために電波伝搬環境が全くことなる状態であることが重要となる。
ここでは、キャリア1の動作を例に説明する。時間iにおいて、(1)式が成立する。同様に、時間jにおいて、(3)式が成立する。このとき、h11(i)、h12(i)、h21(i)、h22(i)は、受信装置において、例えば、図33Aのキャリア1の時間i−1の電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて推定する。同様に、h11(j)、h12(j)、h21(j)、h22(j)は、受信装置において、例えば、図33Bのキャリア1の時間j−1の電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて推定する。ここで、時間iとjでは、電波伝搬環境が大きく異なるような時間であるため、h11(i)≠h11(j)、h12(i)≠h12(j)、h21(i)≠h21(j)、h22(i)≠h22(j)が成立する。したがって、時間iとjでの受信品質は全く異なることになる。
以上を考慮し、時間iと時間jのI−Q平面における信号点配置について説明する。I−Q平面における信号点配置例を示した図が図3A〜図3Cである。図33A、図33Bのフレーム構成の際、時間iとjの信号点配置は、例えば、ともに図3Aでもよいし、時間iでは図3A、時間jでは図3Bのように異なっていてもよい。これは、図29A、図29B、図31A、図31Bのフレーム構成のときとは異なり、時間iとjとでは電波伝搬環境が異なるため、時間iとjでは、敢えて信号点配置を変えなくても、受信品質が異なるようになるからである。
以下では、復号化の手順について詳しく説明するが、図29A、図29Bのフレーム構成の動作と同様に考えることができる。つまり、時間i+1の動作を時間jに置き換えて考えればよい。
受信装置2700による、図33A、図33Bのフレーム構成信号に対する具体的な復調(復号)手順は、以下の通りである
<1>時間iの検波を行い、(S1(i),S2(i))を得る。
<2>時間jの検波を行い、(S1(i),S2(j))を得る。
<3>時間iおよび時間jの受信品質を比較する。
時間iの受信品質の方がよい場合、時間iの検波で(S1(i),S2(i))のデータを得る。次に、時間iの検波で得られたS1(i)から時間jのS1(i)を推定し、その結果を利用し、S2(j)を得る。
時間jの受信品質の方がよい場合、時間jの検波で(S1(i),S2(j))のデータを得る。次に、時間jの検波で得られたS1(i)から時間iのS1(i)を推定し、その結果を利用し、S2(i)を得る。
図28の復調部2721では、上述の手順を行うことで、変調信号Aの受信ディジタル信号2722、変調信号Bの受信ディジタル信号2723を得る。
図28の復調部2721の詳細の構成が、図8のとおりであり、以下では、その動作について説明する。
図8において、信号508は図28の2708に、信号510は図28の2710に、信号506は図28の2706に、信号518は図28の2718に、信号520は図28の2720に、信号516は図28の2716に相当する。
ここで、図27の送信装置2600において、図33A、図33Bのフレーム構成で、キャリア1において、変調信号A、変調信号BともにQPSK変調信号を送信したときを例に説明する。
変調信号Aで2ビット、変調信号Bで2ビットの計4ビットが送信可能である。つまり、0000,0001,・・・・,1111が送信可能である。ただし、上位2ビットは変調信号Aで送信された2ビット、下位2ビットは変調信号Bで送信された2ビットとする。
ここでは、図28の復調部2721の動作について説明する。
復調部2721は、時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号群2708のキャリア1の成分、変調信号Bの伝送路推定信号群2710のキャリア1の成分を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点を求める。そのときの状態が図14の16個の信号点1302に相当する。
そして、フーリエ変換後の信号2706のキャリア1の成分から、I−Q平面における受信状態が求まる。そのときの状態が図14の1301の信号点に相当する。
次に、図14の1302で示すすべての信号点と信号点1301とのI−Q平面における例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0001(i)、・・・・、X1111(i)を求める。
同様に、図33A、図33Bの時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号群2718のキャリア1の成分、変調信号Bの伝送路推定信号群2720のキャリア1の成分を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点を求める。そのときの状態が図14の16個の信号点1302に相当する。
そして、フーリエ変換後の信号2716のキャリア1の成分から、I−Q平面における受信状態が求まる。そのときの状態が図14の1301で示す信号点に相当する。
次に、図14の1302で示すすべての信号点と信号点1301とのI−Q平面における例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0001(i)、・・・・、Y1111(i)を求める。
そして、X0000(i)とY0000(i)の和Z0000(i)=X0000(i)+Y0000(i)を求める。同様に、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)を求める。同様に、時間jについてもZ0000(j)、Z0001(j)、・・・、Z1111(j)を求める。
ここで、時間iでの判定を行う際、電波伝搬環境の推定は、例えば、図33A、図33Bの時間i−1の電波伝搬環境推定シンボル2801のキャリア1のシンボルを用いて行う。これに対して、時間jを判定する際、電波伝搬環境の推定は、例えば、図33A、図33Bの時間j−1の電波伝搬環境推定シンボル2801のキャリア1のシンボルを用いて行う。
次に、時間iと時間jとの受信データの確からしさの比較を行う。
例えば、Z0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
同様に、Z0000(j)、Z0001(j)、・・・、Z1111(j)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(j)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(j)とする。
そして、例えば、R(i)=F(i)/S(i)、および、R(j)=F(j)/S(j)を求める。
R(j)>R(i)のとき、時間iの方が受信品質がよいと判断し、F(i)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、時間iおよび時間jに変調信号Aで送信されたデータ2ビットと時間iに変調信号Bで送信されたデータ2ビットが得られる。そして、変調信号Aで送信された2ビットが判定されているのを利用し、時間jに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、Z0000(j)、Z0001(j)、Z0010(j)、Z0011(j)の中から最も小さくなるものを探索し、時間jに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、Z0100(j)、Z0101(j)、Z0110(j)、Z0111(j)の中から最も小さくなるものを探索し、時間i+1に変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、時間jに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
R(i)>R(j)のとき、時間jの方が受信品質がよいと判断し、F(j)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、時間iおよび時間jに変調信号Aで送信されたデータ2ビットと時間jに変調信号Bで送信されたデータ2ビットが得られる。そして、変調信号Aで送信された2ビットが判定されているのを利用し、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、Z0000(i)、Z0001(i)、Z0010(i)、Z0011(i)の中から最も小さくなるものを探索し、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、Z0100(i)、Z0101(i)、Z0110(i)、Z0111(i)の中から最も小さくなるものを探索し、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
図28の復調部2721の詳細の構成が図8である。図8の動作について説明する。
図8の変調信号A,B復調部608は、上記のように、時間iおよび時間jにおいて変調信号Aで送信したデータを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また、第1の軟判定値信号701として、Z0000(i)、・・・、Z1111(i)を出力する。また、第2の軟判定値信号702としてZ0000(j)、・・・、Z1111(j)を出力する。そして、時間i、時間jいずれかの変調信号Bの受信ディジタル信号525−1を出力する。
変調信号B復調部703は、第1の軟判定値信号701であるZ0000(i)、・・・、Z1111(i)と第2の軟判定値信号702であるZ0000(j)、・・・、Z1111(j)を入力とし、上記のように、時間iと時間jの受信品質をもとに、変調信号Bの復調を行い、525−1とは異なる時間の変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を出力する。
ここでは、キャリア1の時間i、時間jの変調信号A、変調信号Bの復調について述べたが、キャリア1以外において同様に符号化している場合についても同様の処理を行うことで、実施が可能である。
次に、OFDM方式などのマルチキャリア方式を用いたときに可能となる、周波数軸方向に符号化を行った場合の動作について詳しく説明する。すなわち、上述の時間軸方向に符号化を行っていたものを周波数軸方向に符号化を行う。
図30A、図30Bに示すフレーム構成を採用する場合について説明する。図30A、図30Bのフレーム構成の特徴は、変調信号Aでは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2で同一データが信号点配置の異なるシンボルS1(i)、S1(i)’で送信され、変調信号Bでは、時間iにおいて、キャリア1、キャリア2で異なるデータをシンボルS2(i−1)、S2(i−2)で送信する点である。
S1(i)、S1(i)’のI−Q平面における信号点配置を示した図が図3A〜図3Cである。変調方式はQPSKである。例えば、図30Aにおいて、キャリア1、時間iでS1(i)の情報として(0,0)を送信したとする。このとき信号点は、図3Aのとおりである。そして、キャリア2、時間iでは情報として(0,0)を、例えば、図3Bのとおりに送信する。(0,1)、(1,0)、(1,1)についても同様である。ただし、キャリア2、時間iの信号点配置は、図3Bに限ったものではなく、図3Cで送信してもよい。このように、時間iにおいて、キャリア1とキャリア2で、同一の情報を異なる信号点配置で送信する。
このようにすることで、時間iに着目すると、受信装置で、受信した変調信号の信号点配置がキャリア1とキャリア2とで変わるため、キャリア1における変調信号A、変調信号Bの復調の精度と、キャリア2における変調信号A、変調信号Bの復調の精度が異なるようになる。そして、復調の精度のよい時間で変調信号Aを復調し、その結果を利用して変調信号Bの復調を行うことで、変調信号Bの復調の精度を向上させることができる。すなわち、変調信号A、Bともに復調精度を向上させることができる。
送信装置2600によって図30A、図30Bのフレーム構成の変調信号A、Bを形成する際の、送信装置2600の動作について説明する。
フレーム構成信号生成部2623は、図30A、図30Bのフレーム構成の情報をフレーム構成信号2624として出力する。符号化部2602は、送信ディジタル信号2601、フレーム構成信号2624を入力とし、送信ディジタル信号2601を図30Aの変調信号Aのフレーム構成のように符号化し、符号化後のディジタル信号2603を出力する。
変調部2625は、符号化後のディジタル信号2603、フレーム構成信号2624を入力とし、図30Aの変調信号Aのフレーム構成にしたがった送信直交ベースバンド信号2626を出力する。変調部2625は、例えば図5に示すような構成とすればよい。
図5において、マッピング部X402は、図3Aのように信号点をマッピングする。マッピング部Y404は、図3B、あるいは、図3Cのように信号点をマッピングする。
例えば、図30Aのフレーム構成における、時間iに着目したとき、フレーム構成信号2624が変調信号A、キャリア1、時間iのシンボルを示しているとき、マッピング部X402は、入力されたディジタル信号に対し、マッピングを施し、第1のマッピングされた送信直交ベースバンド信号403を出力する。
これに対して、フレーム構成信号2624が変調信号A、キャリア2、時間iのシンボルを示しているとき、マッピング部Y404は、入力されたディジタル信号に対し、マッピングを施し、第2のマッピングされた送信直交ベースバンド信号405を出力する。
信号選択部407は、第1のマッピングされた送信直交ベースバンド信号403、第2のマッピングされた送信直交ベースバンド信号405、フレーム構成信号324を入力とし、フレーム構成信号324の示している方の信号を選択し、選択された送信直交ベースバンド信号408を出力する。
なおここでは、図30A、図30Bのフレーム構成、つまり、時間iにおいて、キャリア1とキャリア2に亘って符号化した場合を例に説明したが、図32A、図32Bのように、キャリア1とキャリアnに亘って符号化されている場合にも同様に実施することができる。つまり、上述の説明で、キャリア2の動作をキャリアnの動作として考えれば同様に実施することができる。また時間iに着目して説明したが、時間i以外の時間で同様の符号化を施しても、同様に実施することができ、さらには時間iにおいてキャリア1、キャリア2以外のキャリア同士に亘って符号化しても同様に実施することができる。
次に、受信装置の構成について説明する。図28は、本実施の形態における受信装置の構成である。図28の受信アンテナ2701は図2Bのアンテナ109に相当し、受信アンテナ2711は図2Bのアンテナ110に相当する。
以下では、時間iの動作を例に説明する。はじめに、キャリア1について説明する。図28の変調信号A伝送路推定部2707は、図30Aの変調信号A、キャリア1、時間iの電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて、キャリア1のチャネル変動h11,1(t)を求める。ただし、tは時間とする。同様に、変調信号B伝送路推定部2709は、図30Bの変調信号B、キャリア1、時間iの電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて、キャリア1のチャネル変動h12,1(t)を求める。変調信号A伝送路推定部2717は、図30Aの変調信号A、キャリア1、時間iの電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて、キャリア1のチャネル変動h21,1(t)を求める。同様に、変調信号B伝送路推定部2719は、図30Bの変調信号B、キャリア1、時間iの電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて、キャリア1のチャネル変動h22,1(t)を求める。
そして、時間iにおいて、受信アンテナ2701で受信したキャリア1の信号をR1,1(i)、受信アンテナ2711で受信したキャリア1の信号をR2,1(i)とすると、次式が成立する。
(11)式の関係からS1(i)、S2(i−1)を得ることができ、(12)式の関係からS1(i)’、S2(i−2)を得ることができる。
またh11,1(i)≒h11,2(i)、h12,1(i)≒h12,2(i)、h21,1(i)≒h21,2(i)、h22,1(i)≒h22,2(i)が成立する。このとき、(11)式と(12)式の行列は、ほぼ等しい行列であるが、(S1(i),S2(i−1))のベクトルと(S1(i)’,S2(i−2))のベクトルが異なるため、得られるデータの確からしさが異なることになる。
本実施の形態では、この特性を利用し、受信データの品質を向上させるようになされている。受信装置2700の具体的な復調(復号)手順は、以下の通りである。
<1>時間i、キャリア1の検波を行い、(S1(i),S2(i−1))を得る。
<2>時間i、キャリア2の検波を行い、(S1(i)’,S2(i−2))を得る。
<3>キャリア1およびキャリア2の受信品質を比較する。
キャリア1の受信品質の方が良い場合、キャリア1の検波で(S1(i),S2(i−1))のデータを得る。次に、キャリア1の検波で得られたS1(i)からキャリア2のS1(i)’を推定し、その結果を利用し、S2(i−2)を得る。
キャリア2の受信品質の方が良い場合、キャリア2の検波で(S1(i)’,S2(i−2))のデータを得る。次に、キャリア2の検波で得られたS1(i)’からキャリア1のS1(i)を推定し、その結果を利用し、S2(i−1)を得る。
受信装置2700においては、復調部2721でこのような復調処理を行うことにより、変調信号Aの受信ディジタル信号2722、変調信号Bの受信ディジタル信号2723を得る。
図28の復調部2721の詳細の構成が、図8のとおりであり、以下では、その動作について説明する。
図8において、信号508は図28の2708に、信号510は図28の2710に、信号506は図28の2706に、信号518は図28の2718に、信号520は図28の2720に、信号516は図28の2716に相当する。
ここで、図27の送信装置2600において、図30A、図30Bのフレーム構成で、変調信号A、変調信号BともにQPSKにより変調した場合を例に説明する。ただし、キャリア1、キャリア2についての説明である。
変調信号Aで2ビット、変調信号Bで2ビットの計4ビットが送信可能である。つまり、0000,0001,・・・・,1111が送信可能である。ただし、上位2ビットは変調信号Aで送信された2ビット、下位2ビットは変調信号Bで送信された2ビットとする。
ここでは、図28の復調部2721の動作について説明する。
復調部2721は、キャリア1、時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号群2708のキャリア1の成分、変調信号Bの伝送路推定信号群2710のキャリア1の成分を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点を求める。そのときの状態が図14の16個の信号点1302に相当する。
そして、フーリエ変換後信号2706のキャリア1の成分から、I−Q平面における受信状態が求まる。そのときの状態が図14に示す信号点1301に相当する。
次に、図14に示すすべての信号点1302と信号点1301とのI−Q平面における例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0001(i)、・・・・、X1111(i)を求める。
同様に、図30A、図30Bのキャリア1,時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号群2718のキャリア1の成分、変調信号Bの伝送路推定信号群2720のキャリア1の成分を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点を求める。そのときの状態が図14の16個の信号点1302に相当する。
そして、フーリエ変換後の信号2716のキャリア1の成分から、I−Q平面における受信状態が求まる。そのときの状態が図14の信号点1301に相当する。
次に、図14に示すすべての信号点1302と信号点1301とのI−Q平面における例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0001(i)、・・・・、Y1111(i)を求める。
そして、X0000(i)とY0000(i)の和Z0000(i)=X0000(i)+Y0000(i)を求める。同様に、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)を求める。同様に、キャリア2についてもZ0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)を求める。
次に、キャリア1とキャリア2との受信データの確からしさの比較を行う。
例えば、キャリア1において、Z0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
同様に、キャリア2において、Z0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
そして、例えば、キャリア1において、R,1(i)=F(i)/S(i)、および、キャリア2において、R,2(i)=F(i)/S(i)を求める。
R,2(i)>R,1(i)のとき、キャリア1の方が受信品質がよいと判断し、キャリア1のF(i)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、キャリア1およびキャリア2に変調信号Aで送信されたデータ2ビットとキャリア1の変調信号Bで送信されたデータ2ビットが得られる。そして、変調信号Aで送信された2ビットが判定されているのを利用し、キャリア2の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、キャリア2のZ0000(i)、Z0001(i)、Z0010(i)、Z0011(i)の中から最も小さくなるものを探索し、キャリア2の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、キャリア2のZ0100(i)、Z0101(i)、Z0110(i)、Z0111(i)の中から最も小さくなるものを探索し、キャリア2の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、キャリア2の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
R,1(i)>R,2(i)のとき、キャリア2の方が受信品質がよいと判断し、キャリア2のF(i)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、キャリア1およびキャリア2に変調信号Aで送信されたデータ2ビットとキャリア2の変調信号Bで送信されたデータ2ビットが得られる。そして、変調信号Aで送信された2ビットが判定されているのを利用し、キャリア1の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、キャリア1のZ0000(i)、Z0001(i)、Z0010(i)、Z0011(i)の中から最も小さくなるものを探索し、キャリア1の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、キャリア1のZ0100(i)、Z0101(i)、Z0110(i)、Z0111(i)の中から最も小さくなるものを探索し、キャリア1の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、キャリア1の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
図28の復調部2721の詳細の構成が図8である。図8の動作について説明する。
図8の変調信号A,B復調部608は、上記のように、時間iのキャリア1およびキャリア2において変調信号Aで送信されたデータを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また、第1の軟判定値信号701として、キャリア1のZ0000(i)、・・・、Z1111(i)を出力する。また、第2の軟判定値信号702としてキャリア2のZ0000(i)、・・・、Z1111(i)を出力する。そして、時間iのキャリア1、キャリア2いずれかの変調信号Bの受信ディジタル信号525−1を出力する。
変調信号B復調部703は、第1の軟判定値信号701であるキャリア1のZ0000(i)、・・・、Z1111(i)と第2の軟判定値信号702であるキャリア2のZ0000(i)、・・・、Z1111(i)を入力とし、上記のように、キャリア1とキャリア2の受信品質をもとに、変調信号Bの復調を行い、525−1とは異なるキャリアの変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を出力する。
ここでは、キャリア1、キャリア2の復号方法について説明したが、キャリア1、キャリア2以外のキャリアで同様に符号化している場合でも、上述の動作と同様に実施すれば、同様に復号することができる。
図32A、図32Bに示すフレーム構成を採用した場合、h11,1(i)≒h11,1+n(i)、h12,1(i)≒h12,1+n(i)、h21,1(i)≒h21,1+n(i)、h22,1(i)≒h22,1+n(i)の関係が成立するようなnであれば、図30A、図30Bのフレーム構成の場合と同様の処理を行うことで、同様に実施することができる。つまり、キャリア2の動作をキャリア1+nの動作として考えれば同様に実施することができる。
次に図34A、図34Bに示すフレーム構成を採用する場合について説明する。図34A、図34Bのフレーム構成の場合、キャリア1とキャリアjとでは、周波数がまったく異なるために電波伝搬環境が全くことなる状態であることが重要となる。
ここでは、キャリア1とキャリアjを例に説明する。時間i、キャリア1において、(11)が成立する。また時間i、キャリアjにおいて、次式が成立する。
このとき、h11,1(i)、h12,1(i)、h21,1(i)、h22,1(i)は、受信装置において、例えば、図34A、図34Bのキャリア1の時間i−1の電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて推定する。同様に、h11,j(i)、h12,j(i)、h21,j(i)、h22,j(i)は、受信装置において、例えば、図34A、図34Bのキャリアjの時間i−1の電波伝搬環境推定シンボル2801を用いて推定する。このとき、キャリア1とjでは、電波伝搬環境が異なるような時間であるため、h11,1(i)≠h11,j(i)、h12,1(i)≠h12,j(i)、h21,1(i)≠h21,j(i)、h22,1(i)≠h22,j(i)が成立する。したがって、キャリア1とjでの受信品質は全く異なることになる。
以上を考慮し、キャリア1とキャリアjのI−Q平面における信号点配置について説明する。I−Q平面における信号点配置の一例を示した図が図3A〜図3Cである。図34A、図34Bのフレーム構成の際、キャリア1とキャリアjの信号点配置は、例えば、ともに図3Aでもよいし、キャリア1では図3A、キャリアjでは図3Bのように異なっていてもよい。これは、図29A、図29Bや、図31A、図31Bのフレーム構成のときとは異なり、キャリア1とキャリアjとでは電波伝搬環境が異なるため、キャリア1とキャリアjで、敢えて信号点配置を変えなくても、受信品質に差が出るようになるからである。
以下では、復号化の手順について詳しく説明するが、図30A、図30Bのフレーム構成の動作と同様に考えることができる。つまり、キャリア2の動作をキャリアjに置き換えて考えればよい。
受信装置2700による図34A、図34Bのフレーム構成信号の具体的な復調(復号)手順は、以下の通りである
<1>時間i、キャリア1の検波を行い、(S1(i),S2(i−1))を得る。
<2>時間i、キャリアjの検波を行い、(S1(i),S2(i−j))を得る。
<3>キャリアiおよびキャリアjの受信品質を比較する。
時間i、キャリア1の受信品質の方がよい場合、時間i、キャリア1の検波で(S1(i),S2(i−1))のデータを得る。次に、時間i、キャリア1の検波で得られたS1(i)から時間iキャリアjのS1(i)を推定し、その結果を利用し、S2(i−j)を得る。
時間i、キャリアjの受信品質の方がよい場合、時間i、キャリアjの検波で(S1(i),S2(i−j))のデータを得る。次に、時間iキャリアjの検波で得られたS1(i)から時間i、キャリア1のS1(i)を推定し、その結果を利用し、S2(i−1)を得る。
図28の復調部2721では、上述の手順を行うことで、変調信号Aの受信ディジタル信号2722、変調信号Bの受信ディジタル信号2723を得る。
図28の復調部2721の詳細の構成が、図8のとおりであり、以下では、その動作について説明する。
図8において、信号508は図28の2708に、信号510は図28の2710に、信号506は図28の2706に、信号518は図28の2718に、信号520は図28の2720に、信号516は図28の2716に相当する。
ここで、図27の送信装置2600において、図34A、図34Bのフレーム構成で、キャリア1、キャリアjにおいて、変調信号A、変調信号BともにQPSK変調で信号を送信したときを例に説明する。
変調信号Aで2ビット、変調信号Bで2ビットの計4ビットが送信可能である。つまり、0000,0001,・・・・,1111が送信可能である。ただし、上位2ビットは変調信号Aで送信された2ビット、下位2ビットは変調信号Bで送信された2ビットとする。
ここでは、図28の復調部2721の動作について説明する。
復調部2721は、時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号群2708のキャリア1の成分、変調信号Bの伝送路推定信号群2710のキャリア1の成分を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点を求める。そのときの状態が図14の16個の信号点1302に相当する。
そして、フーリエ変換後の信号2706のキャリア1の成分から、I−Q平面における受信状態が求まる。そのときの状態が図14の信号点1301に相当する。
次に、図14に示すすべての信号点1302と信号点1301とのI−Q平面における例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値X0001(i)、・・・・、X1111(i)を求める。
同様に、図34A、図34Bの時間iにおいて、変調信号Aの伝送路推定信号群2718のキャリア1の成分、変調信号Bの伝送路推定信号群2720のキャリア1の成分を用いて、0000,0001,・・・,1111の16個の信号点のI−Q平面における信号点を求める。そのときの状態が図14の16個の信号点1302に相当する。
そして、フーリエ変換後の信号2716のキャリア1の成分から、I−Q平面における受信状態が求まる。そのときの状態が図14の信号点1301に相当する。
次に、図14に示すすべての信号点1302と信号点1301とのI−Q平面における例えば距離の2乗値を計算する。すなわち、送信ビット0000の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0000(i)を求め、同様に送信ビット0001、・・・・、1111の信号点1302と信号点1301との距離の2乗値Y0001(i)、・・・・、Y1111(i)を求める。
そして、X0000(i)とY0000(i)の和Z0000(i)=X0000(i)+Y0000(i)を求める。同様に、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)を求める。
ここで、時間iでの判定を行う際、電波伝搬環境の推定は、例えば、図34A、図34Bの時間i−1の電波伝搬環境推定シンボル2801のキャリア1、キャリアjのシンボルを用いて行う。
次に、時間iのキャリア1とキャリアjの受信データの確からしさの比較を行う。
例えば、キャリア1のZ0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
同様に、キャリアjのZ0000(i)、Z0001(i)、・・・、Z1111(i)の中から、最も小さい値を探索する。その値をF(i)とする。そして、2番目に小さい値を探索する。その値をS(i)とする。
そして、例えば、キャリア1のR(i)=F(i)/S(i)、および、キャリアjのR(i)=F(i)/S(i)を求める。
キャリアjのR(i)>キャリア1のR(i)のとき、キャリア1の方が受信品質がよいと判断し、キャリア1のF(i)を与える4ビットを正しいデータと判断する。そして、キャリア1およびキャリアjに変調信号Aで送信されたデータ2ビットとキャリア1の変調信号Bで送信されたデータ2ビットが得られる。そして、変調信号Aで送信された2ビットが判定されているのを利用し、キャリアjの変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、キャリアjのZ0000(i)、Z0001(i)、Z0010(i)、Z0011(i)の中から最も小さくなるものを探索し、キャリアjの変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、キャリアjのZ0100(i)、Z0101(i)、Z0110(i)、Z0111(i)の中から最も小さくなるものを探索し、キャリアjの変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、キャリアjの変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
キャリア1のR(i)>キャリアjのR(i)のとき、キャリアjの方が受信品質がよいと判断し、キャリアjのF(i)を与える4ビットを正しいデータと判断し、キャリア1およびキャリアjの変調信号Aで送信されたデータ2ビットとキャリアjの変調信号Bで送信されたデータ2ビットが得られる。
そして、変調信号Aで送信された2ビットが判定されているのを利用し、キャリア1の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。例えば、変調信号Aで送信された2ビットが00であるならば、キャリア1のZ0000(i)、Z0001(i)、Z0010(i)、Z0011(i)の中から最も小さくなるものを探索し、キャリア1の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。同様に、変調信号Aで送信された2ビットが01であるならば、キャリア1のZ0100(i)、Z0101(i)、Z0110(i)、Z0111(i)の中から最も小さくなるものを探索し、キャリア1の変調信号Bで送信された2ビットを判定する。変調信号Aで送信された2ビットが10、11のときも同様にして、時間iに変調信号Bで送信された2ビットを判定する。
図28の復調部2721の詳細の構成が図8である。図8の動作について説明する。
図8の変調信号A,B復調部608は、上記のように、キャリア1およびキャリアjにおいて変調信号Aで送信したデータを変調信号Aの受信ディジタル信号524として出力する。また、第1の軟判定値信号701として、キャリア1のZ0000(i)、・・・、Z1111(i)を出力する。また、第2の軟判定値信号702としてキャリアjのZ0000(i)、・・・、Z1111(i)を出力する。そして、キャリア1、キャリアjいずれかの変調信号Bの受信ディジタル信号525−1を出力する。
変調信号B復調部703は、第1の軟判定値信号701であるキャリア1のZ0000(i)、・・・、Z1111(i)と第2の軟判定値信号702であるキャリアjのZ0000(i)、・・・、Z1111(i)を入力とし、上記のように、キャリア1とキャリアjの受信品質をもとに、変調信号Bの復調を行い、525−1とは異なるキャリアの変調信号Bの受信ディジタル信号525−2を出力する。
ここでは、時間iのキャリア1、キャリアjの変調信号A、変調信号Bの復調について述べたが、キャリア1、キャリアj以外において同様に符号化している場合についても同様の処理を行うことで、実施が可能である。
図35A、図35Bは、図10Aのフレーム構成をOFDM方式に適応したときのフレーム構成例を示すもので、実施の形態1で説明した図10Aのフレーム構成信号に対する処理と同様の処理を行えば、OFDM方式においても同様に実施することができる。
図36A、図36Bは、図35A、図35Bのフレーム構成が時間方向に符号化されているのに対して、周波数軸方向に符号化したときのフレーム構成である。この図36A、図36Bのフレーム構成信号に対する処理は、実施の形態1で説明した処理及び本実施の形態で説明した処理を融合することで、実施することができる。
図37A、図37Bは、図10Bのフレーム構成をOFDM方式に適応したときのフレーム構成例を示すもので、実施の形態1で説明した図10Bのフレーム構成信号に対する処理と同様の処理を行えば、OFDM方式においても同様に実施することができる。
図38A、図38Bは、図37A、図37Bのフレーム構成が時間方向に符号化されているのに対して、周波数軸方向に符号化したときのフレーム構成である。この図38A、図38Bのフレーム構成信号に対する処理は、実施の形態1で説明した処理及び本実施の形態で説明した処理を融合することで、実施することができる。
図39A〜図39Cは、図15のフレーム構成をOFDM方式に適応したときのフレーム構成例を示すもので。実施の形態2で説明した図15のフレーム構成信号に対する処理と同様の処理を行えば、OFDM方式においても同様に実施することができる。
図40A〜図40Cは、図39A〜図39Cのフレーム構成が時間方向に符号化されているのに対して、周波数軸方向に符号化したときのフレーム構成である。この図40A〜図40Cのフレーム構成信号に対する処理は、実施の形態2で説明した処理及び本実施の形態で説明した処理を融合することで、実施することができる。
図41A〜図41Cは、図16のフレーム構成をOFDM方式に適応したときのフレーム構成例を示すもので、実施の形態2と同様に実施すれば、OFDM方式においても実施することができる。
図42A〜図42Cは、図41A〜図41Cのフレーム構成が時間方向に符号化されているのに対して、周波数軸方向に符号化したときのフレーム構成である。この図42A〜図42Cのフレーム構成信号に対する処理は、実施の形態2で説明した処理及び本実施の形態で説明した処理を融合することで、実施することができる。
図43A〜図43Cは、図22のフレーム構成をOFDM方式に適応したときのフレーム構成例を示すもので、実施の形態2と同様に実施すれば、OFDM方式においても実施することができる。
図44A〜図44Cは、図43A〜図43Cのフレーム構成が時間方向に符号化されているのに対して、周波数軸方向に符号化したときのフレーム構成である。この図44A〜図44Cのフレーム構成信号に対する処理は、実施の形態2で説明した処理及び本実施の形態で説明した処理を融合することで、実施することができる。
図45A〜図45Cは、図26のフレーム構成をOFDM方式に適応したときのフレーム構成例を示すもので、実施の形態2と同様に実施すれば、OFDM方式においても実施することができる。
図46A〜図46Cは、図45A〜図45Cのフレーム構成が時間方向に符号化されているのに対して、周波数軸方向に符号化したときのフレーム構成である。この図46A〜図46Cのフレーム構成信号に対する処理は、実施の形態2で説明した処理及び本実施の形態で説明した処理を融合することで、実施することができる。
なお、図35Aと図35B、図36Aと図36B、図39A〜図39C、図40A〜図40C、図43A〜図43C、図44A〜図44Cにおいて、時間、または、周波数軸において、隣のシンボルと符号化している例で説明したが、これに限ったものではなく、2、3、・・・、nシンボル離れている場合についても同様に実施することができる。
また送信装置の構成は図27の構成、変調部の構成は図5の構成に限ったものではない。また受信装置および復調部の構成は、図8、図28の構成に限ったものではない。
(4)実施の形態4
上述した実施の形態1〜3では、各アンテナから送信する変調信号のうち、少なくとも一つの変調信号を、同一のデータを信号点配置の仕方を時間方向又は周波数方向で変えて複数回変調することによって形成することを、主に提案した。
この実施の形態では、本発明は、同一のデータの信号点配置の仕方を変えなくても、少なくとも一つの変調信号を信号点配置の仕方を時間方向又は周波数方向で変えれば、見通し環境のような場合に効果的であることを説明する。
本実施の形態では、同一データを複数回変調することなく変調信号を形成するので、実施の形態1〜3と比較して、データ伝送効率を向上させることができる。
また本実施の形態では、好適な例として、実施の形態1〜3の構成に加えて、さらに送信データにインターリーブ処理を施し、所定のブロック単位で信号点配置の仕方を変えることを提案する。
図47A、図47Bは、本実施の形態におけるインターリーブの適用例を示している。図47Aは、インターリーブ前のデータの順番を示している。図47Bはインターリーブ後のデータ配列を示している。図47A、図47Bに示す例では、縦方向に、順次左から右にデータを読み出すことでインターリーブを行う。具体的には、データ1、データ101、データ201、データ2、データ102、データ202、・・・、データ100、データ200、データ300の順番にデータを並び替える(このデータの並びを、“パターンX”と名付ける)。
図48A〜図48Cは、図47Bのように並び替えたデータの信号点配置例を示している。図48A、図48B、図48Cは、変調信号Aと変調信号Bのそれぞれの信号点配置例を示している。
ここで、パターンXの1番目から100番目のシンボルのI−Q平面における信号点配置を変調信号A、Bそれぞれ図48Aのようにするものとする。このとき、信号点とI軸とで形成される位相は変調信号A、Bいずれも45度であるものとする。
パターンXの101番目から200番目のシンボルのI−Q平面における信号点配置を変調信号A、Bそれぞれ図48Bのようにするものとする。このとき、信号点とI軸とで形成される位相は、変調信号Aでは45度、変調信号Bでは0度であるものとする。
パターンXの201番目から300番目のシンボルのI−Q平面における信号点配置を変調信号A、Bそれぞれ図48Cのようにするものとする。このとき、信号点とI軸とで形成される位相は、変調信号Aでは45度、変調信号Bでは45+10度であるものとする。
本実施の形態では、300シンボルを3つに分けた場合について説明したが、300シンボルをm個に分割した場合、変調信号Aの信号点とI軸とで構成する位相は45度と固定であり、変調信号Bの信号点とI軸とで構成する位相は45度、0度、45+10度、10度、・・・、となり変化していく。
つまり、
1)2n−1回目の変化の信号点配置における変調信号Bの信号点とI軸とで構成する位相は、10n−10度
2)2n回目の変化の信号点配置における変調信号Bの信号点とI軸とで構成する位相は、45+10n度
とする。ただし、n=1、2、・・・とする。
このように、本実施の形態では、所定のブロック単位で信号点配置の仕方を変化させる。これにより、信号点配置の仕方でインターリーブを行った効果が得られるので、時間ダイバーシチゲインを得ることができる。この理由については、受信装置の動作において説明する。
図4との対応部分に同一符号を付して示す図49に、本実施の形態における送信装置の構成例を示す。符号化部4802は、送信ディジタル信号4801を入力とし、送信ディジタル信号4801に対して例えば畳み込み符号、ターボ符号、LDPC(Low Density Parity Check)などで符号化を施し、符号化後のディジタル信号4803を出力する。
インターリーブ部4804は、符号化後のディジタル信号4803、フレーム構成信号324を入力とし、符号化後のディジタル信号4803に対して例えば図47A、図47Cで示すようにインターリーブを施し、インターリーブ後のディジタル信号4805を出力する。
変調部304は、インターリーブ後のディジタル信号4805、フレーム構成信号324を入力とし、送信直交ベースバンド信号305を出力する。変調部304の詳細構成は、図50のとおりである。
図50において、マッピング部4902は、インターリーブ後のディジタル信号4901、フレーム構成信号4906を入力とし、インターリーブ後のディジタル信号4901に対して例えば図48Aのような信号点配置に従ってQPSK変調を施し、直交ベースバンド信号4903を出力する。
信号処理部(回転演算部)4904は、直交ベースバンド信号4903、フレーム構成信号4906を入力とし、上述したように、所定のブロック単位で異なる信号点配置となるように位相回転を施し、位相回転後の直交ベースバンド信号4905を出力する。
図49の符号化部4807、インターリーブ部4809は、上述した動作と同様の動作を行う。変調部314は、インターリーブ後のディジタル信号を入力とし、QPSK変調を施し、送信直交ベースバンド信号315を出力する。このとき、変調部314は、図48Aのように変調信号Bについては、信号点配置を変化させないので、変調部304とは異なり、図50の信号処理部(回転演算部)4904を有しなくてもよい。
図51は、本実施の形態における受信装置の構成の一例を示しており、図6と同様に動作するものについては、同一符号を付した。
MLD(Maximum Likelihood Detection)部523は、候補信号点と、受信ベースバンド信号とのユークリッド距離を求めることで、ブランチメトリックを求め、変調信号Aの軟判定値5001、および、変調信号Bの軟判定値5002を出力する。
デインターリーブ部5003は、変調信号Aの軟判定値5001を入力とし、これをデインターリーブし、デインターリーブ後の変調信号Aの軟判定値5004を出力する。復号部5005は、デインターリーブ後の変調信号Aの軟判定値5004を入力とし、これを軟判定復号し、変調信号Aの受信ディジタル信号5006を出力する。
同様に、デインターリーブ部5007は、変調信号Bの軟判定値5002を入力とし、これをデインターリーブし、デインターリーブ後の変調信号Bの軟判定値5008を出力する。復号部5009は、デインターリーブ後の変調信号Bの軟判定値5008を入力とし、これを軟判定復号し、変調信号Bの受信ディジタル信号5010を出力する。
ところで、見通しの伝搬環境について考える。このとき、(1)式におけるチャネル行列は、直接波成分のチャネル要素h
11,d,h
12,d,h
21,d,h
22,dと散乱波成分のチャネル要素h
11,s,h
12,s,h
21,s,h
22,sに分けて考えることができ、次式のように表すことができる。
直接波のチャネル要素は、定常の状態に陥ると、その状態に応じて受信電界強度が同一であっても全く異なる受信品質を示すことが知られている(例えば、文献“ライスフェージングにおけるMIMOシステムの解析”電子情報通信学会、信学技報RCS2003−90、pp.1−6、2003年7月を参照)。特に、直接波が支配的な見通し環境では、変調信号間でインターリーブパターンを異なるようにしたことの効果が十分に現れないような定常状態になる可能性がある。このような状態に陥ると、受信電界強度が十分とれていても、良好な誤り率特性を得られないと考えられる。これは、受信電界強度が十分ではあっても、(14)式の直接波の行列の状態によっては、受信品質が悪くなる場合が発生するためである。
本実施の形態では、少なくとも一つの変調信号の信号点配置の仕方を変えるようにしたので、上述した受信品質の劣化を改善することができる。特に、畳み込み符号などを用い、受信装置において軟判定を行う場合に好適である。その装置構成及び動作については、上述のとおりである。以下では、上述のような構成を採用した場合、受信品質が改善する理由について詳しく説明する。
図52A、図52Bにおいて、符号5101は、変調信号A、Bの合成信号を受信したときの信号点であり、図48A〜図48Cのように変調信号A、BいずれもQPSKの場合は、図52A、図52Bのように16個の候補信号点が存在することになる。図52A、図52Bにおいて、符号5102は、仮に変調信号Aのみ受信したときの仮想信号点を示す。実際は、変調信号A、Bが同時に送信されているため、5102の4点が候補信号点となることはない。
ここで、図48Aのような変調信号が送信された場合、受信装置において、図52Aのような信号点配置であったとする。このとき、最小ユークリッド距離に着目すると、非常に小さいところが存在する。
直接波が支配的な環境では、図48Aの状態で変調信号Aと変調信号Bを送信すると、この状態で受信しつづけることになり、この状態で軟判定復号を行うと、品質の良いデータを得ることができない。
これを回避するために、本実施の形態では、例えば、変調信号Bを、図48Bのように図48Aの配置に対し−45度回転させ、また、図48Cのように図48Aの配置に対し10度回転させる。すると、例えば、図48Bのように送信した場合、受信信号点は図52Bのような信号点配置となり、最小ユークリッド距離は大きくなり受信品質を良くすることができる。このように、変調信号Bにさまざまな位相回転を与えると、直接波が支配的な環境において、さまざまなユークリッド距離となるため、ダイバーシチ効果と同様の効果を得ることができる。これにより、受信データの品質を改善することができる。
以上のように、本実施の形態においては、少なくとも一つの変調信号は、時間方向に信号点配置の仕方を変えて形成したことにより、時間ダイバーシチ効果を得ることができ、誤り率特性の向上した受信データを得ることができるようになる。
加えて、インターリーブのブロックごとに信号点配置の仕方を変えるようにしたことにより、インターリーブとの相乗効果により、受信側で候補信号点と受信点のユークリッド距離が極端に小さくなることを回避できるので、一段と誤り率特性の向上した受信データを得ることができる。
なお、変調信号Bの信号点配置を回転させる角度は上述したものに限ったものではない。ただし、回転角を90度、180度、270度の回転角のみで構成しても、受信した信号の候補信号点配置が変わらないため、効果は得られない。回転角は0度から45度または−45度から0度によって構成することで一般性は成立し、この範囲内に定めると送信装置4800の回転演算部4904、受信装置500のMLD部523の構成を簡略化することができる。
また、上述した説明では、変調信号Bのみ回転させたが、変調信号Aを回転させても同様に実施することができる。しかし、両方の変調信号を回転させても、一方のみを回転させても、受信品質の改善効果は大きく変わらない。したがって、送信装置4800の回転演算部4904、受信装置5000のMLD部523の構成を簡略化することを考えると、一方の変調信号のみ回転させる方がよい。
次に、上述したのと異なる送信方法について説明する。
図53A、図53Bのように、変調信号Bにおいて、時間Tにおける信号点配置に対し、時間T+iでは、時間Tにおける信号点配置に対しθi度回転させる。因みに、ここでは変調信号Aに対しては、回転を与えないものを例として考える。図53A、図53Bでは、変調信号Bにおいて、時間iの信号点配置と時間i+1の信号点配置の関係を示しており、θi−θi−1=10度としている。
このように送信することで、上述と同様に、直接波が支配的な環境において、受信信号点と候補信号点とのユークリッド距離がさまざまな値をとるため、ダイバーシチ効果と同様の効果を得ることができる。これにより、受信データの誤り率特性を向上させることができる。
また、ここで挙げた例のように、時間iの信号点配置と時間i+1の信号点配置の関係をθi−θi−1=10度という固定値にすると送信装置4800の回転演算部4904、受信装置5000のMLD523の演算を簡略化できることになる。
ここで、θi−θi−1についてであるが、0、90、180、270度とすると、受信装置5000のMLD523における候補信号点の位置関係は、時間iと時間i+1で変化がなく、受信信号点と候補信号点とのユークリッド距離の関係に変化がないことになる。すると、受信装置5000は、ダイバーシチ効果を得づらく、データの誤り率改善効果が少なくなるので、適した回転角ではない。同様に考えると、θi−θi−1を45、105、225、315度とした場合もダイバーシチ効果を得づらいため、不適切な値である。
因みに、θi−θi−1が0、90、180、270度のときは、受信装置のMLDにおける候補信号点の位置関係は1種類であるが、θi−θi−1が45、105、225、315度のときは2種類となり、このときもダイバーシチ効果を得づらい。つまり、従来の技術のQPSK、π/4シフトQPSKを用いてもあまり大きなダイバーシチ効果は得られない。ただし、全くダイバーシチ効果が無いというわけではない。
適切な値としては、受信信号の候補信号点が複数の信号点配置をとる(複数の最小ユークリッド距離をとる)ように設計するのが望ましい。例えば5度(5度と同様の受信信号の候補信号点配置を与える角度は95、185、275、・・・がある。そして、90/5=18通りの受信信号の候補信号点配置を与えることになる。)、10度(10度と同様の受信信号の候補信号点配置を与える角度は100、190、280、・・・がある。そして、90/10=9通りの受信信号の候補信号点配置を与えることになる。)、15度(15度と同様の受信信号の候補信号点配置を与える角度は105、195、285、・・・がある。そして、90/15=6通りの受信信号の候補信号点配置を与えることになる。)などが考えられる。さらに適した値としては90/xを行い割り切ることができない値である。
上述した説明では、位相回転のみを与える場合について説明したが、送信パワーを切り替えることで、信号点配置の仕方を変えるようにしてもよい。また送信パワーと位相回転と併用することも可能である。図54A、図54Bに、位相回転と送信パワー切り替えを併用したときの受信信号の候補信号点配置例を示す。併用した場合でも、上述したのと同様に、ユークリッド距離の関係、特に、最小ユークリッド距離を変えることができる。これにより、ダイバーシチ効果を得ることができ、受信データの誤り率特性を改善することができる。
また一方の変調信号は、符号化を行いかつ位相回転を与え、もう一方の変調信号は符号化を行わない方法が考えられる。このことは、文献"Channel coding with multilevel/phase signals," IEEE Transaction on Information Theory, vol.IT-28, pp.55-67, January 1982で提案されているトレリス符号化変調を、MIMOシステムで実現することに相当する。トレリス符号化変調では、符号化を行うことで信号点の遷移に対し拘束を与えており、これによりユークリッド距離の離れた信号点を遷移するように設計されている。
これと同等の効果を得るためには、MIMOシステムでは回転角を与えることが重要となる。例えば2スロット間で考えた場合、位相を回転すると時間Tと時間T+1で受信した際の信号点配置が変わり、これによりユークリッド距離が異なることになる。したがって、位相回転を与えかつ符号化を行うことは、トレリス符号化変調と同様に、信号点の遷移に対し拘束を与えているということもできる。
なおこの実施の形態では、スペクトル拡散通信を行う場合について説明したがこれに限ったものではなく、拡散部、逆拡散部がない場合、つまり、シングルキャリア方式についても同様に実施することができる。
またOFDMなどのマルチキャリア方式にも同様に適用することができる。この場合、時間方向で位相を回転した変調信号を形成する方法の他に、時間軸方向で信号点配置を変える考え方を周波数軸方向に展開することもできる。具体的には、サブキャリア(キャリア)ごとに異なる信号点配置(例えば回転)を与えることができるようになる。このとき、簡単な構成の一例として、サブキャリアごとに一意の位相回転とする方法が考えられる。つまり、サブキャリア0の信号点配置に対し、サブキャリア1にはθ1、サブキャリア2にはθ2の位相回転、・・・、サブキャリアnにはθnの位相回転を与える。これにより、サブキャリア方向(周波数方向)にダイバーシチ効果を得ることができるので、時間方向にダイバーシチ効果を得た場合と同様に、受信データの誤り率特性を向上させることができる。
また本実施の形態において、畳み込み符号のほかに、LDPC、ターボ符号などを適用しても同様に実施することができる。
(5)実施の形態5
本実施の形態では、通信相手から、変調信号の受信状態を示すフィードバック情報を受信し、このフィードバック情報に基づいて信号点配置の仕方を変えることを提案する。
図55に、本実施の形態における基地局の構成例を示す。図55では、図49と同様に動作するものについては同一符号を付した。
基地局5400は、端末から送信された信号を受信アンテナ5401で受信する。受信装置5403は、受信アンテナ5401で受信した受信信号5402を入力とし、これを復調することにより受信ディジタル信号5504を出力する。
信号点配置決定部5405は、受信ディジタル信号5504を入力とし、この受信ディジタル信号5504からフィードバック情報を抽出し、さらにフィードバック情報から信号点配置を決定し、信号点配置制御信号5406を出力する。
変調部304、314は、この信号点配置制御信号5406に基づいて、信号点配置を行う。
ここで基地局5400は、変調部304、314によって施した信号点配置の仕方についての情報を端末に通知する。具体的には、基地局5400は、送信信号中に、変調時に行った信号点配置の仕方についての情報を含める。フィードバック情報、信号点配置の制御方法、端末の動作については、後で詳しく説明する。
図56に、本実施の形態における通信端末の構成例を示す。図56では、図51と同様に動作するものについては同一符号を付している。
MLD部523は、変調信号Aの伝送路推定信号508、518、変調信号Bの伝送路推定信号510、520に基づき、受信信号点状況の情報5501を出力する。受信信号点状況の情報5501としては、最小ユークリッド距離や固有値の状況、または、変調信号A、Bの伝送路推定信号などが適しているがこれに限ったものではない。例えば、ACK/NACK情報のように、誤りの有無を示す信号を受信信号点状況の情報5501としてもよい。
フィードバック情報生成部5502は、受信信号点状況の情報5501を入力とし、これを基にフィードバック情報5503を出力する。なお、フィードバック情報生成部5502によって、予め基地局5400での信号点配置の仕方を決定し、これをフィードバック情報5503として送信するようにしてもよい。つまり、通信端末5500で信号点配置の仕方を決定してもよい。
送信装置5505は、フィードバック情報5503、送信ディジタル信号5504を入力とし、これらに対して所定の無線処理を施すことにより送信信号5506を形成して出力する。送信信号5506は、送信アンテナ5507から出力される。
次に、信号点配置の制御方法について説明する。例えば、基地局5400は図53Aのような変調信号A,Bを送信するものとする。そして、通信端末5500は、これらの変調信号を図52Aのような状態で受信したとする。この状態は、MLD部523から出力された最小ユークリッド距離や固有値の状況、または、変調信号A,Bの伝送路推定信号などの情報である受信信号点状況の情報5501から分かる。そして、最小ユークリッド距離が図52Bのように大きくなるような信号点配置の仕方を基地局5400又は通信端末5500にて決定し、基地局5400では、決定した信号点配置に従って変調処理を行う。例えば、基地局5400は、信号点配置の仕方を図53Aから図53Bのように切り替えて変調を行うようになる。
以上のように、通信相手から、変調信号の受信状態を示すフィードバック情報を受信し、フィードバック情報に基づいて信号点配置を変えるようにしたことにより、受信状態に応じて信号点配置の仕方を変えることができるので、一段と最小ユークリッド距離を大きくすることができ、一段と受信データの誤り率特性を向上させることができる。特に、実施の形態4と同様に、直接波が支配的な環境のとき、大きな効果が得られる。
なおこの実施の形態では、スペクトル拡散通信を行っている場合について説明したがこれに限ったものではなく、拡散部、逆拡散部がない場合、つまり、シングルキャリア方式についても同様に実施することができる。またOFDMなどのマルチキャリア方式についても同様に実施することができる。
また信号点配置の仕方の変更は、位相回転のみではなく、他の実施の形態で説明したように、送信パワーを変更しても同様の効果を得ることができる。このとき、送信パワーのみの変更でもよいし、送信パワーと位相回転の変更を併用してもよい。
また本発明は、例えば、文献“MIMOチャネルにおける固有ビーム空間分割多重(E−SDM)方式”電子情報通信学会、信学技報RCS2002−53、2002年5月にも記載されているような、送信信号をマルチビーム化して送信するMIMOシステムに適用した場合にも、上述したのと同様の効果を得ることができる。
図57に、このようなMIMOシステムの概略構成を示す。送信側では、変調部5701が送信データ系列を入力し、これを変調することにより複数の変調信号を形成する。ここで変調部5701は、上述した実施の形態1〜5で説明したように、少なくとも一つの変調信号については、時間方向又は周波数方向で信号点配置の仕方を変えて変調処理を施す。
チャネル解析部5702は、伝搬チャネルの推定結果であるチャネル状態情報に基づいて、多重化チャネルを構成するための複数の送信のチャネルシグネチャベクトルを算出する。ベクトル多重化部5703は、各々の変調信号に別々のチャネルシグネチャベクトルを掛け合わせて合成し、合成後の信号を送信アレーアンテナ5704に送出する。これにより送信アレーアンテナ5704からマルチビーム化された信号が送信される。
受信側では、チャネル解析部5711が、伝搬チャネルの推定結果であるチャネル状態情報に基づいて、多重化された変調信号を分離するための複数の受信チャネルシグネチャベクトルを算出する。多重信号分離部5713は、受信アレーアンテナ5712の受信信号を入力し、各々の受信信号に別々のチャネルシグネチャベクトルを掛け合わせることにより、複数の変調信号が多重された信号を複数の受信変調信号に分離する。信号処理部5714は、分離された受信変調信号を復調及び復号することにより受信データを得る。
なお、本発明は上記実施の形態1〜5に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、主に、本発明をハードウェアにて実施した場合について説明したが、これに限られるものではなく、ソフトウェアにて実施することも可能である。
例えば、上述した機能を実行するプログラムを予めROM(Read Only Memory)に格納しておき、そのプログラムをCPU(Central Processor Unit)によって動作させるようにしてもよい。
以上説明したように本発明によれば、データ伝送効率の低下を抑制しつつ、優れた受信品質を得ることができる通信装置及び方法を実現できる。
本明細書は、2003年7月2日出願の特願2003−190683および2004年5月14日出願の特願2004−173224に基づく。その内容はすべてここに含めておく。